バー・雲山 第一話「ステイ・ゴールド」
バー・雲山を開店してから少しの時が経った。今日の客は三人。見ての通りのこぢんまりとした、流行らない店だ。もっとも、暇を見つけては営む気まぐれなバー。そして、看板娘の一輪が休みともなれば、これでも上等だろうか?
「いいかい、そもそも日本酒とは言うがね、古くを遡れば、今に繋がる製法は大陸で発明された手法、九醞春酒法と言われている、それは三国時代の英雄、曹孟徳が生み出したと伝えられていて……」
テーブル席では、古道具屋の店主が連れの巫女に蘊蓄を語り出していた。目の前のカウンターに座る紳士――魂魄妖忌は幾らか苦い顔を浮かべては、
「若い者はすぐに蘊蓄に頼っていかんな」
と言い、芋焼酎で満たされた目の前の杯に口を付ける。
「酒は五臓六腑で味わうもの、言葉で味わうものではないというのに」
私は首を振って頷く。まあ、半分は同意出来る。良質な酒を飲んだ時、口が滑らかになるのは確かだ。だが、酒を表すために言葉を尽くせば尽くすほど、記憶に残るその味が薄まる気がしてならない。
ただ、飲んでは味わい、言葉よりももっと深いところで感じるもの。それが酒では無いだろうか。ともすれば、それは密教の教えにも似ている気もするほどに、深く、言葉では表現出来かねるものだとも思える。
「うむ、だが見事じゃな、雲山。絶妙な味わいじゃ。ほろ苦く、香り高い……言葉に出来ないほどにな」
妖忌は、目の前のウドの酢味噌和え、実にバーに似つかわしくない料理に舌鼓を打っては、杯を口に運ぶ。
「だが惜しいのう。お前が和食に専念すれば、間違いなく一角の料理人になれるのだが……この繊細な味わいは才能じゃよ」
私は首を振っては謙遜をする。才能。私にそのようなものがあるのだろうか?
料理は嫌いではない。料理とは力仕事でもあり、その点で私向きではあるし、口下手な私にとっての数少ない自己表現の手段だと思える。だが、才能と言われれば? 妖忌の剣は、まさに才の産物だと胸を張って言えるのだが。
それは葉桜の時期のこと。妖忌の剣捌きをただの一度だけ、見たことがある。凛とした、と言う形容詞が相応しい、美しい物であった。
妄執剣「修羅の血」と、妖忌が叫んだ刹那。既に彼の姿は無かった。
ただ、空気がぶれた様に見えた……恐らくは、それが妖忌の太刀筋だったのだろう。
暫しして、音が遅れて聞こえた。剣が空気を切り裂く音が。それから、間があり、ようやく切られた事に気がついたような間があり、藁人形が真っ二つとなり、崩れ落ちた。それと共に、僅かに残っていた桜の花と、葉が舞い落ちる。……まるで弾幕のように。
妖忌の剣の作り出した全ては、寒気がするほどに美しかった。
太刀筋自体、それには反応することも敵わなかった。妖忌の痕跡の残した美しさだけが私の心には残された。
「なんじゃ、せっかくのわしの美技を前に酒も飲まんとは、勿体ないのう」
それに見とれていた私の意識が、ふと現実に舞い戻った。後ろから聞こえてきた妖忌の声で、桜の浮いた酒を片手に、上機嫌に酒を呷る彼の姿が、そこにはあった。
あれを思えば、やはり私に才能など無い、身をすくめて妖忌にそれを伝えた。
「まるで求道者のようじゃな。お前さんとなると、どうにもさまになるが」
妖忌の言葉を聞きつつ、私はテーブルに座る巫女を見ていた。
彼女は今幾つだったか。二十にもならぬ子供だったのは間違いないだろう。妖忌を持ち出すまでもない、数え切れぬほど年下の少女を持ち出せば十分だ。
あの時の、白蓮様が復活する直前の事を、私は思いだしていた。
私も腕っ節には少なからぬ自身がある。白蓮様と会うまでは――いや、よそう。もう、遠い遠い昔の事だ。そして、あまり愉快な話でもない。客人の前で思い出す事でもなかろう。
ともかくも、私も入道として、力には自信がある。が、巫女と比べると、残念ながら実力、力量の差は如何ともしがたい。あの決闘もしかり。
数十倍はあろう私の経験の重み、それは彼女の才能を前にすれば、欠片の価値も無かった、と言うことだ。
まあ、或いは若い頃の私ならば、それに怒りと理不尽さを感じたのかもしれない。だが、それを感じるには、残念と言うべきかどうか、私は枯れすぎていた……理不尽なまでの才の違いを見せつけられることが、むしろ心地よい事はまさに枯れた証だろうか?
「――雲山」
妖忌の声で、ふと、我に返る。
「いつものを、冷やでもう一つ」
慌てて私は一升瓶を取りだし、杯と升に注いだ、並々と、溢れんばかりに。
「随分とぼんやりとしていたようだが、何を考えていたんじゃ?」
私は先ほど考えていたことを伝えた。才能のこと、それと、妖忌の剣のこと。
「才能、か」
ぽつりと呟き、二口、三口。暫しの無言を経て、再び妖忌の口が開き、指が動いた。
「そいつをくれるかな、ショットで」
その言葉に従い、ショットグラスにウイスキーを注いだ。チェイサーと共にそれを出す。ウイスキーしかり、ショットと言う名もしかり、その欧風な響きに、微かに違和感を感じつつも。
「わしに孫がいること、知ってたかな」
私は首を縦に振り、同意した。魂魄妖夢。彼の孫娘。二、三度、顔を合わせたことがある。あどけない顔で、少し抜けた所のある少女だった。
「ああいうのを、才能があるというのかもしれんな」
妖夢の剣もまた見たことがある。悪くは無かった。とはいえ、妖忌とは比するにも至らない、という印象もまた残っている。それだけ、妖忌がずば抜けている、と言うのもあるのだが。
故に、少し私は考え込んだ。ふむ。妖夢はまだ子供、考えてみればこの年であれだけの剣を見せることは才の証明かもしれない。それこそ、妖忌も敵わぬほどの。
その旨を私は聞いてみたが、妖忌は一笑に付して、否定した。
「妖夢の剣? いや、あれはチャンバラにも満たないな、私の若い頃に比べたら、スッポンに失礼なくらいじゃよ」
そして、子供のようにあどけなく、自身に満ちた言葉を、
「わしは剣においては誰にも負けなかったからな、今で言えば決闘、わしに言わせれば仕合かな。それで負けたことなど一度もない。だから妖夢の年頃、四十、五十で剣を極めてしまった――」
どこか自嘲的な口調で、野太く、枯れた声が伝えてきた。
「そう思ってたわ」
そして、ウイスキーを呷り、あけた。
「このウイスキー、美味いな。何年物かな、二十年、三十年は寝かしているんだろう」
妖忌は私にウイスキーを勧めてきた。私もまた、ショットグラスに入れ、呷る。甘く、芳醇な香りで口中が満たされ、そして「火酒」の異名通り、胃が焼けるように、だが心地よく熱い。
「もし、これを樽で百年寝かせたら、どう思うんだろうな」
それは私に取っても、全く未知の世界で、想像も付かぬほど甘美な世界に思えた。そして、妖忌の言いたいことが、ふとわかった気がする。
「わしはな、人の上に立っただけで満足してしまう、どうしようもない怠けものじゃよ、だが、妖夢は違うな、がむしゃらに努力して、自分に打ち勝とうとして……そして、誰も見たことの無い場所にいける。そんな最高の才能、努力する才能を持ってる、と思う、才能を持たぬわしは、追い越される日々を待つだけじゃ、幸い、あいつにはわしが居なくとも好敵手は多いしな」
それを言い終わると、妖忌は水を口に運び、そして再び冷酒に手を伸ばす。
「まあ、人間も妖怪も向き不向きがある、この酒を寝かせても、生臭い老ね香が漂うだけのようにな」
努力、その才能、私にそれがあるかは実感出来ない。だが、少なくとも料理、あるいは酒を作る事に苦痛を感じたことは無かった。毎回、楽しく出来ていた。それだけは認められる。
「少なくとも雲山に剣や決闘の才能はないだろう。残念かもしれんがな、しかし、料理を作る才能……周りを喜ばせるために努力出来る力があることは、わしとその舌が保証するよ」
顔は厳つく、口は下手。布教の邪魔こそしても、助けにはなれない入道の身。そんな中で、白蓮様達の心を休ませ、体を癒すべく覚えた料理の腕。
私はふと苦笑いを浮かべた。始めて作った料理を。あれは控えめにいって――生ゴミに毛が生えたような物だった物。
それでも作り続けた結果、妖忌に保証して貰える程度となったわけか。今日は、それを素直に信じよう、自分に料理の、努力する才能があると言うことを。それに、幸い、料理は誰かと争うものでもない。努力に果てもない。実に私向きだろう。
「もう一杯」
空の杯に、再び冷酒を注ぐ。
「ふむ、酒は言葉で味わうものでないと言う考えは捨てないが……肴としては最高かもな、お前さんがいると、酒が進んでいかん、なるほど、あの眼鏡の若者たちには、蘊蓄が最高の肴なのかな」
テーブルを眺める。巫女は既に船を漕ぎかけている様子だったが……まあ、そんな無粋なことを告げなくてもいいだろう。
「……肴ついでだ。わしの新しい取り組み、見てくれんかな」
妖忌は懐から幾枚かの紙を取り出した。写真のようだった。
「あいにく、これに才能があるかはわからん、だがな、実に楽しいよ、いつまでも続けて、上を目指そうと出来る」
剣、決闘、それは刹那に輝きを放ち、刹那に消え去るもの。その次に選んだ道が写真、その瞬間を切り取り、永遠に形に残すもの、というのは面白いかもしれない、と私は思った。
一枚、写真を眺める。妖夢の写真だった。一心不乱に剣に打ち込み、修練を重ねる姿が切り取られていた。
「白玉楼を離れて長い。だが、やっぱり孫なんじゃな。つい、ふとした時に気になってしまう……」
そう言った瞬間だけは、常に彼の顔を覆う険しさ、頑固爺の気配は消え去り、ただの祖父、好々爺となったように見えた。
私も思わず顔を緩め、写真を眺める――
「そして毎回思うんじゃよ、ああ、悲しいほどに発育が悪いなと」
孫娘の写真は僅か一枚。残りは白蓮様の写真と白蓮様の写真と白蓮様の写真がだった。
「一方命蓮寺の尼さんは素晴らしいな、あれこそ大人の女、という感じで」
寝顔の白蓮様の写真と、着替えをしている白蓮様の写真と、湯殿の――
「しかし剣など無意味と思ってたが、案外役に立つな、剣で鍛えた体裁きのおかげで隠し――」
「鉄拳『問答無用の妖怪拳』」
響き渡る鉄拳の音。
「!? 何? 異変? 霖之助さん!?」
バー・雲山は紳士淑女の隠れ家。紳士淑女の皆様をいつでもお待ちしております。……そう、人としてのルールを守れる方はいつでも歓迎しております。
バー・雲山 第二話「歌を忘れぬ夜雀は」
ここはバー・雲山。見てのように、さして流行っている店ではない。
カウンターに夜雀が一匹、それが、今日の客の全てだった。もっとも、一輪と私の二人で営むこぢんまりとした店。あまり多くの客が来たとしても、とうてい回しきれる物では無い。となると、あるいはこの状況こそがもっとも望ましいのかもしれない。
「……これなら、ライバルにはほど遠いわね、あ、おかわり」
と、目の前の夜雀――ミスティア・ローレライは言った。客よりも店員の方が多い現状を見れば、否定する余地は無いだろう。私は愛想笑いを返しつつ、一輪が運んできたすりこぎで、グラスの中のライムと砂糖を潰していく。
どうにも無骨だが、腕力自慢の入道たる私には相応しいのかもしれない。そのまま無骨に氷を砕いていく、限界まで砕かれたそれとカシャーサを注ぐ、そうすれば見た目にも涼しげなカクテル、カイピリーニャの出来上がりだ。
「うーん。やっぱりビールだけじゃあれかな……もっとハイカラなのが有った方が……」
彼女の目的は、いわば敵情視察、とでも言ったところだろうか。もちろん。私に隠す物など無い。良質な酒が広まること、それが人妖に笑みを生むこと。それは何よりも望むところなのだから。一人で営む屋台ともなれば制約も多いだろうが、是非何かを盗んでいって貰いたいものだ。
しかし、不思議なものだ。幻想郷は狭い。にも関わらず、ありとあらゆる酒がここでは造られているように思える。このカシャーサにしてもそうだ、何故、この土地でサトウキビから作られる酒があるのだろうか? ここの気候でサトウキビが育つはずはないのだが……
博麗神社にはこのような古い伝承が残されているという。「神主は一日で幻想郷を作り、六日間で酒を作った」そのような伝承が。 眉唾にも程があるが、それを信じさせるだけのものがここには有るように思えた。
「景気はどうですか?」
そう問いかけた一輪に対して、ミスティアはいかにも浮かなそうな表情で答えた。
「イマイチね、最近ライバルが出てきてさあ……」
残念ながらこのバー・雲山はライバルには入っていないようだが、ともかくも飲食業界は中々厳しいらしい。白蓮様には及ぶべくもないが、私も可能な限りは器の、懐の大きな妖怪でありたいと思っている。愚痴の一つや二つ、笑って聞ける程度には。愚痴を吐き出すもよし、吐き出しきれなければ酒で忘れるもよし、そうやって、明日への英気を養って貰いたい。
「なんかこれ以外で甘いの無いかしら? そうね、チューハイだけじゃ駄目ね、あの焼き鳥屋と差別化するためには」
私は少し考えて、コーヒーリキュールと氷を取り出した。ウオッカを注ぎ、シンプルにブラックルシアンが出来上がる。
あまり屋台に似合うものとは思えなかったし、わざわざ言うほど出しゃばった真似はしないが、これは作るのは容易で、そしてチューハイ等とは違い少々きつく、故に深みのある味を長く楽しめる、願わくば何かの参考にならんことを。
「ああ、これ好きかも、八目鰻とって気分ではないけど」
彼女が満足げな表情を浮かべ、私も安堵の表情を隠しきれない。
しかし……ミスティアも当然のように受け入れているが、一体コーヒーはどこで作られているのだろう……先日、古道具屋の店主とコーヒーを共に飲む機会があったが、彼もまた、当然のようにコーヒーの存在を受け入れ、嗜好品の魅力を語っていた。
だが、彼も、それどころかコーヒーを売る茶屋も、正確なコーヒーの産地を知らなかった。とある妖怪が外から運んで来るとも、地底の一角で作られるともいうが、結局の所謎だ。そして、コーヒーもまた酒の原料であるから存在している、と考えるのは流石に穿った考えだろうか?
「――なのよね」
「大変ですね」
いけない、またぼんやりしていた。つい、考え事をしてしまいがちなのが私の悪い癖だ。
「昔はもっと流行ってたのにな」
「リピーターが少ない、って事ですか?」
「そうかしらね。みんな、最近は他の赤提灯にいっちゃうみたい」
なるほど、赤提灯と言えば焼き鳥が定番、その中に八目鰻を持ち込み、差別化した発想は確かに悪くない、だが、その珍しさを持続させるのは難しい。継続することは常に最大の難題だ。
「だいたい、あの紅白が酷いのよ、私は真面目に商売してるのに、すぐに退治に来るし。別に悪いことなんてしてないのに。ちょっとその辺の人間を鳥目にしたり、鰻に泥鰌を混ぜたくらいでさ」
「はあ……」
些か困惑した顔を浮かべる一輪。……まあ、人里を一歩出れば食われても文句の言えない修羅の地。それもまた幻想郷の真理。殊更何か言うべきことではないのだろう。そう思うこととした。
「なんかねえ、最近また赤提灯が出来たんだけど」
と、まあ、彼女の愚痴は続きそうだ。
――カランカラン
「ああ、八坂様、ついに私も大人の階段を上るんですね」
「はいはい、一杯だけね、早苗は弱いんだから」
そんな中、今日二組目のお客様がようやく来店したようだ、一輪を向かわせつつ、ミスティアの話に耳を傾け続ける。
「健康マニアの焼鳥屋なんて言ってて、本当かどうか眉唾だけど、やたらと流行ってるのよねえ……体によさげだのってイメージが当たったようで」
と言っては、彼女は焼酎を頼み、がぶがぶと呷り始めた。
「まあね、売れるってのはいいわけよ、だけど、鳥を食べるって本当に野蛮ね、それに対抗すべくこちらも頑張って八目鰻やそれっぽい物を売っているのに……だいたい、健康に気を使うなら肉なんて食うな、そう思わない?」
私は黙って頷く。
「シシトウでもシイタケでもなんでもいいじゃない、健康的な串よ、八目鰻は目に効くけど、鶏肉なんてカロリーが少ない程度でこれといった効能もないのに」
ああ、だんだん串が食べたくなってきた。明日の食事は串にすべきか? いや、ぬえも鳥が嫌いだったか……となると、たまには男一人、渋く焼き鳥を食べに行くのも乙なものかもしれないな。
「……でも、料理で勝負出来ずとも、私には切り札があるんだけどね」
切り札? と疑問に思い、私はミスティアに問いかけた。まったく、それが間違いであったと気づくには多くの時間はかからなかったのだが。
「歌よ、歌。頭の固い年寄りは雑音なんて言うけどね」
と言ってはミスティアは笑みを浮かべ、
「そうね、ひい、ふう、みい、よう。四人は少ないけど、仕方ないわね」
私は一輪の受け取った注文に従い、ビールと、薄めのオレンジブロッサムを作りながら、その時を待つ。
「百見は一聴にしかず。とくとお聞きあれ、ってとこよ」
店内に沈黙が走る。私も、一輪も、新規の二人もみな固唾をのみ、見守る。
「向日葵ぐるぐる向日葵ぐるぐる、向日葵ぐるぐる体当たり~♪」
なんという歌詞のセンスだろう。
「もういーくつねるとー、おーしょうがつー♪」
今は夏だ。
「お空の上はマッハの時代~♪ 文明開化の味がする~♪」
ピシ、という音がした。グラスすら悲鳴をあげたようだ。一輪の顔色は悪い。
「ああ、佳人薄命……儚い人生でした……1/1ガンダムを見られなかったのが心残りです……」
「早苗! 早苗! しっかり! ああ、チッチッチと鳴く鳥を、はよ吹き給え、伊勢の神風!」
夜雀狩りの呪文が効くのを待つほど悠長な状況でもないか、沈黙は金、
「連打『雲界クラーケン殴り』」
否、鉄拳は金か。鉄拳一発、ミスティアは天空へと消えた。歌はいい。だが、それは雲上で、他人に迷惑をかけずに行うべきだと、私はそう思う。
バー・雲山は紳士淑女の隠れ家。紳士淑女の皆様をいつでもお待ちしております。……そう、周りに気を仕える皆様を、何時でも歓迎しております。
バー・雲山 第三話「My Favorite Things(私のお気に入り)」
「アイスティーとケーキね」」
巨大な羽根を持った少女の注文はそれだった。
確か、霊烏路空、とか言う名だったろうか。三歩歩けば物事を忘れる……というのがもっぱらの評判らしい。
とはいえ、私や一輪と同じく、日々仕事に励む健気な少女だ。
しかし、ここはバーで有って洋菓子店ではない。紅茶とケーキと言われては、
「すみません、お客様。家にそのようなものは……」
一輪もそういうしかなかった。ただ、紅茶は無いわけではないが……
「ええ? ないの? 食べ物屋さんなのに?」
「申し訳ありません……」
「今日忙しかったんだよね、真夏の最中に熱い熱い間欠泉で、残業に次ぐ残業で……甘いものが欲しくもなるって」
溜息を付きながら、空はそう言った。
雲で出来た――水分の塊である私には一面では幸い、一面では不幸にも熱い、や、ジメジメした不快感というものはわかりにくい。
だが、空の表情を見れば、今すぐにでも冷たい飲み物が欲しいのだろう、という事は容易に想像が付く。残念ながら、真夏のその魅力は私には実感しがたいのだが。
「ええと、下戸ではありませんか?」
「お酒は好きだよ、温泉でくいっと飲むのなんてたまらないね」
「どうでしょう? 今日は生きのいい幽霊を捕まえたので、ビールがキンキンに冷えてますよ?」
「あれ嫌い。苦いもん」
私は思わず軽い笑みを浮かべてしまった。やはり、まだまだ一輪は青いようだ。
ビール――優に五千年を越える歴史を持ち――ほぼ全ての妖怪より長い歴史を持つ酒は、単に冷やせばいい、という程、浅いものではない。
ここで私には二つの選択肢があった。一つはビールは苦い、そして冷やされてなければならない、という先入観を破りたい、そんな思いを込め酒を薦めること。悪くは無い。スイーツビールのストックも少々ながらある。だが、空の希望を汲めば、やはりこちらを選ぶべきだろう。
「あーあ。ケーキに……紅茶なんか飲んでさ……そういうのが欲しかったのに」
「残念ながらうちには紅茶は――」
そこで私は一輪に軽い目配せをして、一つの飲み物を伝えた。
確かに、ここに紅茶は、ない。だが、あれがある。古道具屋から仕入れたあれが。
なるほど、残念ながらここ幻想郷に、あれを作る技術は未だ生まれていない。私もまだ煩悩に捕らわれているのか、正直惜しい、と言う感も否めない。
だが、飲まれない飲み物など、衆生を救わぬ僧ほどに、意味の無いものだ。
「お客様、ケーキこそありませんが、一つお勧めの飲み物があります、いかがでしょう?」
「んー。苦くない?」
「はい、お口に合わなかったら代金はいりませんので」
と一輪は言ったが、それはないであろうと私は確信していた。
シェイカーにジン・ラム・ウオッカ・少しのホワイトキュラソーにシロップ。透き通った色の液体で満ちた中に、茶色のテキーラを入れる。氷を取り出し、入れる。それにしても透き通り、美しい氷だ。果たして河童の氷屋はどのようにしてこれを作り上げているのだろうか?
いけない。今はただ酒に集中せねば。私はシェイカーを掲げた。小気味よい音を響かせつつ、八の字の軌跡が舞う。そして、グラスに注ぎ――あれを入れる。
面白みのある形の瓶を取り、栓を抜く。グラスにコーラが注がれ、コーラから他の飲み物へと転生していく。最後にレモンを差し、ロングアイランドアイスティーの完成だ。
そして、私は無言で、空の前にそれを置いた。
出来は確信している、空がきっとこれを望んでいるだろう事も。だが、やはりこの瞬間は緊張を隠せない。口下手な私に取っては、これだけが己を表現出来る、唯一の手段かもしれないのだから……
思わず私の頬にも汗が滲んだ。私と一輪は無言で空を見つめた。無限にも思えた一瞬。空の喉を、カクテルが流れていく。
その瞬間。
「うん。美味しい。なんだ、紅茶あったんじゃない」
破顔一笑。空の顔に笑みが浮かび、一輪にもまた。私もほっと一息をつく。そして空は二口、三口。
「あー。なんだろう。でも、紅茶っぽいけど紅茶じゃないな。もっと深くて……難しいことはわかんないけど……とにかく紅茶と違った美味しさ」
私は無言のまま頷いた。それでいい。味を、そこから生まれる喜びを言葉にするなど無粋だ。ただ「美味しい」の一言と笑みがあれば全てを表現出来るのだから。
そのまま、三人だけの店内は穏やかだった。杯を二つ、三つと開けながら、静かに時間が流れていった。
「ああ、さとり様にも飲ませてあげたいな」
残されたコーラで作ったキューバ・リバーを飲みつつ、ふと空は呟いていた。
「さとり様、ああ、地霊殿の主とか言う」
「そう、私たちのご主人様」
さとり、古明地さとり。心を読む程度の能力を持ち、それが故に地底一の嫌われ者と聞く。
なるほど、心を読まれる。あまりぞっとしない力だ。だが、その性根は暖かく、慕われるものなのだろう。目の前にいる彼女のペットを見れば、それは疑う余地もない。
「是非、今度一緒にいらして下さい、ケーキと違って、カクテルはお店でないと飲めませんからね」
「そうだね、でも、さとり様は人前に出るのが嫌いだからな」
私は、彼女の過去を知らない。だが、人から嫌われ……迫害された歴史は我々にもある。かつて封印されていた我々にも。彼女の過去が生み出す苦しみがわかる、などと軽々に言うことは出来ない。だが、もし彼女が望むなら……苦しみを分かち合ってあげたい。救ってあげたい。仏に仕えるものとして、心からそう思う。
「どうでしょう? なんでしたら貸し切りなんてのも悪くは無いのでは?」
半ば趣味でやっている店だ。それも悪くないのかもしれない。ともすれば彼女が地上に第一歩を踏み出す道しるべともなれるかもしれない。
それは正しく仏の道に沿っているようにも思えたし、さとりは無口な動物たちには好かれるという。ひょっとすると、動物並みに無口な私とも相性がよいのかもしれないな、とも思えた。
「雲山? どうしたの? 急にぼんやりして」
いけない。私は仏に、白蓮様に仕え、その身を捧げたもの。煩悩などとうの昔に捨て去ったはずだ。例えさとりが小柄な美少女だったとしても、所詮は悟りを開くまで、仮初めに持つ体であり、何より私とは無縁なこと。
「あ、もうこんな時間か」
空が時計を見上げ、私も時計を見た。妖怪が出歩くにはほどよい時間だが、ペットが帰るにもほどよい時間だろうか。
「そろそろ帰ろうかな、遅くなるとお燐やさとり様が心配するかも」
「そうですね、是非今度は皆様でお越し下さい」
「うん。今日は美味しいお酒を飲ませてくれてありがとう」
と言った空に一輪が笑いかけ、私もぎこちなくも心よりの笑みを浮かべた。すると、二人から笑みに加えて声が漏れてきた。
「おじさん、面白い顔するね」
「雲山、相変わらずの笑みね」
私は「はあ」と溜息を付いたが、笑い声にかき消され、それが私以外に聞こえることは無いようだった。やれやれ、酒を作るように、上手な笑みを作る方法。どこかに書いていないものだろうか。
「そうそう、お会計です」
「お会計ってなんだっけ? そうだ、お金を出すんだよね、あれ? でもお金ってなんだっけ?」
困惑した顔を浮かべる空。これが噂に聞く鳥頭か――
「ああ、思い出した。働いたらもらえる、大事なものだよね」
いけないいけない、お客様にそのような事を思うなど、空は財布らしきものを取り出すと、開く。色とりどりの輝きが中に見えた。
「どうぞ、どれでもいいよ。私の宝物だけど」
「……給料、それなんですか?」
「あー。どうだっけなあ……いや、なんか他にももらった気がする、変な紙クズも、いや、紙クズしかくれなかったのかな?」
空は遠い目をしながら答える。その時、私は一枚の札を既に手元に収めていた。
「酷いよねーあの神様。紙クズで働かせるなんて。見かねた兎さんがビー玉と交換してくれたからよかったけどさあ」
「……」
そして、私は札を掲げる。
「ええと、何話してたっけ? 紅茶だっけ? いや、そうだ、お会計ね、どれでもいいよ。ああ、でも青は私のお気に入りだから……」
「神拳『天海地獄突き』」
もう遅い時間だ。子供は寝る時間だろう。鉄拳一発。私は空を地霊殿へと送り返した。勢いよく飛び出した空、きっと、健やかな眠りに落ちつつ、地霊殿へと辿り着けるに違いない。
バー・雲山は紳士淑女の隠れ家。紳士淑女の皆様をいつでもお待ちしております。……ただし、お会計だけはしっかりと。
バー・雲山 最終回「虹の彼方に」
何処かから鈴虫の声が聞こえてきた。秋の匂いを感じると共に、我が愛するバー・雲山がいかに閑散としているかが伝わってくる。……それも当然だろう。もう、バー・雲山は閉店したのだから。外に掲げられた"Closed"の看板は、もはや"Open"となることはないだろう。
幸い、皆の努力も有って、命蓮寺に対する信仰も高まり、檀家の数も増えてきた。加えてバー・雲山の来客もゆっくりと増え続け、二足のわらじを履くのも些か厳しくなってきた。結果、私や一輪も趣味半ばの店を営む余裕など無くなってきたと言うことだ。
「色々有ったわね」
一輪が語りかけてきた。ほんの一夏の短い営業だったが、確かに無数の出会いと思い出があった。ふと、蝉の一生を思った。
幾年もの間地に潜り、一度出れば僅か一週間で生命を燃やし尽くす。それが無駄な時間に支配された生と感じ。哀れだと思った時代も有った。仏法に帰依するより昔の話だ。
「ああ、もったいないな」
と言いながらも、一輪はワインを飲む手を止めはしない。秘蔵中の秘蔵のワインだ。これだけはお客様どころか、白蓮様にも飲ませるつもりはない。この店を閉める時に、一輪と飲むと決めて温めていたワインなのだから。予想より早かったのは残念だが、それも布教が成功しているおかげと思えば、むしろ喜ばしいことかも知れない。
数十年の間寝かされ、数刻で飲まれては消え去るワイン。だが、誰がそれを虚しいと言おう? 言えよう? その数十年の月日が、一瞬の輝く時を形作るのだから。そして、輝く一瞬の重みを考えれば、生の価値は時間にはないとわかる。
若い日本酒にも、長命のワインにも、等しく優劣の付けようのない輝きはある。それまでに長い時間を要すか否かの、種族の違いは有れども、輝きの価値は等しいのだ。
人間と妖怪。その生の差はあまりに大きい。短命で脆弱な人間、と思い馬鹿にしていた時代もあった。白蓮様をしてそうだろう。死と老いへの恐怖に取り付かれ、禁忌に手を出した時代があった。
そんな思い返したくも無い時代が……今日の私たちを形作り……今日の煌めき達を生む。それは酒も人も変わりはしない。
まったく、惜しいことだ、私に今少しの詩才が有れば、酒を人生になぞらえた名言の一つを歴史に残せるというのに。
「雲山、飲んでる?」
一輪の言葉に我に返り、私もワインを開けた。その刹那、言葉に出来ぬ深い味わいを感じ、己の浅はかさに気づく。妖忌も「酒は五臓六腑で味わうもの、言葉で味わうものではない」と言っていた。
ああ、いつまで経っても私は変わらないな、格好ばっかり付けたがる愚か者だ。微かに進歩したのは、それに気づけたことだけか。
「色々有った、か。私と雲山もそうね」
私は首を振り、頷いた。確かに長い付き合いだ。
「最初に組んだ時は、こうも長くなるとは思わなかったわね、本当に」
初めてした話でもない。まったく、といつものように私も同意した。確かに、私たち二人のタッグは今でこそ上手く言っている。力こそ有るが頭の固い私を、非力だが機転の利く一輪が補う。そんな我々の動きは、正に一心同体と呼ぶに相応しい。
だが、始めはそうでは無かった。一輪の能力は「入道を操る程度の能力」とはいえ、私は物では無い、物を扱うかのように自在に、とはいかない。実際の所、言葉を使わずとも思うだけで自在に、瞬時に意志の疎通が出来る、と言ったところが限界だろうか。
例えれば馬と騎手か。騎手は手綱一本で、言葉を介さぬ馬に指示を出し、騎手は些細な仕草から物言えぬ馬の気持ちを察し、人馬一体の境地へと至る。
「自分の能力のパッとしなさと、他力本願ぶりを恨んだこともあったわ」
だが、私は馬より遙かに傲慢だった。己の頭の固さを認めようともせず、一人でやった方が上手くいくと思っていた。一輪も一輪で、己の非力さと、指示の未熟さを認めようともしなかった。他の入道と汲めば……が口癖だったものだ。
一輪が飲み終わるタイミングなど、いつでもわかる。ちょうど無くなったところに、私はワインを注いだ。
「ありがとう」
一輪の言葉には「単に注いだ事への礼に留まらず。「これまでもありがとう」という意味が込められていた気がした。
昔の我々から見れば、このような状況など想像も付かなかっただろう。何か、大きなきっかけがあったわけではない。ただ、少しずつ、酒が熟成するかのように少しずつ、我々は互いの事を考えるようになった。いくら憎み合う、と形容してもいい二人だったとしても、目的は一。全ては白蓮様のため、それだけは共通していたのだから。
当然、一歩一歩我々のタッグは上手くいくようになり……それだけだ。我々の関係は、それが照らす輝きはワインの物だった、それだけだ。
「ねえ、雲山」
私は「なんだ?」と問い返すようにして、視線をグラスから一輪へと移した。
「寂しい?」
何も幻想郷を、命蓮寺を離れるわけではない。ここで出会った人妖達とは会おうと思えばいつでも会えるのだ。だが、私の心中には「寂しい」という思いが渦巻いていて、素直にその旨を伝えた。
「そうよね、私もそう。まあ、いつだって私たちの考えは同じなんだけど」
一輪はクスリと、楽しそうに、悲しそうに笑っては。「空いちゃったか」と言いながら、二つのグラスに残りのワインを注いだ。
「諸行無常、それはわかってるんだけど……悟りを開くのはまだ遠いわね、おかわりが欲しくてしょうがないわ」
空の瓶がカウンターの上に残された。もう少しすれば、グラスも空になるだろう。そうすれば、我が愛するバー・雲山とはお別れだ。そうか、人妖とは会えても、この店とは今生の別れになるのか。友と形容すべき、バー・雲山とは。
執着、それが苦の元であり、悟りを妨げるものだと言うことは重々承知している。だが、この名残惜しさを止めることが出来ない。ワインの渋みだけが舌に伝わってくる気がした。不思議とそれは不快ではなかった。
「片付けようか、雲山」
グラスも空いた。重い腰を上げ、私たちはささやかな宴を終えようとする、その時だ。
「姐さん!?」
「ああ、よかった。間に合いましたね」
驚きに満ちた一輪の視線の先には、白蓮様の姿が有った。いや、それだけではない。
「まったく……ご主人様が土産を無くすから手間取って」
「すいません……白蓮様……ナズーリン……」
ナズーリンが、星が、
「まあ、間に合ったからいいんじゃない?」
「ぬえ、元はと言えば貴方が土産を正体不明にして遊ぶから……」
ぬえが、村紗が、命蓮寺の面々が居た。それだけでもない。
「さとり様達も連れてきたよ!」
「新装開店祝いに歌を届けに来たわ」
「白蓮さんからの誘いは断れんよ」
空の、ミスティアの、妖忌の姿が有った、いや、他にも色んな人妖が。霊夢や霖之助の姿も。早苗や神奈子の姿も。その他、バー・雲山で出会った面々がそこにはいた。もう、名前を挙げきれないほどだ。
「こんなちっぽけな店の閉店に駆けつけてくれるなんて……」
一輪が声を詰まらせながら言った。ああ、これ以上に口下手でよかったと思う時はあるまい。もし饒舌な人間ならば、嗚咽の羅列しか飛びでない口を、どれだけ疎ましく思ったことだろうか。
「本当はその予定だったのですが……」
白蓮様が口ごもりつつ言ったのだが、脇からミスティアが「私の言うこと聞いてたの?」と口を挟んで、言った。
「新装開店よ! 新装開店!」
「新装はしませんけどね……そこまでお金の余裕はないから……」
「正体不明の店にしたければ何時でもするけど?」
冷静な村紗の声に、何時ものようなぬえの声。
「誰が来るというのかね……そんな恐ろしい店に」
「う~ん。肝試しバー。面白そうですね」
溜息混じりのナズーリンの声と、どこか抜けた星の感想、全てが物語っていた。
「一輪、雲山。檀家の皆様から是非にと頼まれまして、私も考えを改めました、是非、続けましょう。バー・雲山を」
バー・雲山の未来を告げていた。
「確かに命蓮寺は忙しくなるでしょう、ですが、檀家の皆様も少しずつでも命蓮寺の布教を手伝っていただけるそうですし、何より皆様の声を聞いて思いました」
確かに、それは寺がやることではないだろう。
「寺がバーを運営、おかしなことかも知れません。ですが、皆が、種族も、所属も、立場も問わず、同じ場で、同じ酒を飲み、同じ喜びを味わう。それのなんと素晴らしいことでしょう」
「なんか家の宴会が急に神聖な事に思えてきたわね……」
「ええ、霊夢。まったくその通りだと私は思います」
幻想郷に光が満ちた気がした。そして、その一角の雲が雨を降らせ、光を照らし、いつしか美しい虹が浮かぶことだろう。だが、それは今少し先の話だろう。雨は、止まない。大粒の涙雨は止まらない。
バー・雲山は紳士淑女の隠れ家。紳士淑女の皆様をいつでもお持ちしております。……口下手な頑固親父の店です……それでも宜しければ……我々は何時でも皆様を歓迎しております。最高の酒と、背一杯の誠意と、ハイカラ娘と共に。
酒が飲みたくなってたまらないw
渋くていい雰囲気。
今ではこんな渋くて緩やかな雰囲気のあるバーは無いんだよね・・・
ちょっとした時間に、ゆったりとお店の雰囲気に浸りながら、カクテルを傾ける・・・
少し暖かい、暖房の効いた部屋から、冬の風が通り抜ける路に出た時、
立待の月はゆったりと南へあがり始める・・・
誤字報告
>>回りを喜ばせるために努力出来る力があることは
「周り」だと思います。
実に良いBARだ
私のイメージの中の雲山はこんな感じだったのですが、それを実際にお目にかかれるとは。
素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました。
いつかこんなお店を見つけてみたい。
今まで無かった面白い話でした。
うつほが少々可哀想だったかな。曲がった事をさせられたに近い形だったわけだし。
とても素晴らしかったです!!
なんという渋い雲山。
願わくはこんな味のあるbarへ通ってみたいものです。
しかしお空ェ・・・