出来た!
ふふふ、人形業界に新風を巻き起こす私の新発明!
その名も、ポータブル上海!
必要ないときは三分の一の大きさに折り畳んで持ち運ぶことができ、
性能はちょっと落ちるけど、消費魔力は半分ですむ省エネ設計・・・・・・
だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
こんなんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
大体人形が三分の一の大きさで持ち運べるからって何なのよ。普段から飛んでるじゃない!
消費魔力なんてはじめからほとんど無いわ!
それで性能落ちるってデメリットしかないじゃないのよぉぉぉぉ!
はぁはぁはぁはぁ
こんなんじゃダメ。
人形業界にイノベーションなんて起こせやしない。
なんかこう・・・・・・ぐっとくるなにかが・・・・・・
既存のものを陳腐化して、世界を新しくするアイデアがぁぁぁぁぁ
はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ
家にいても気が滅入るだけね。
・・・・・・出かけましょ。
何かないかしら。見ただけでこう新しいアイデアが降りてくるような何か・・・・・・
むっ、あれはメディスン・メランコリー!
そうだわ。いいこと思いついた。
「こんにちわメディスン」
「あっ、アリス。また上海働かせてるわね。ちゃんと人形基準法守ってる?」
「人形基準法?」
「人形は週に40時間以上操っちゃいけないって決まりよ。
その顔だと全く守ってないわね」
「守るも何も誰が作ったのよ。そんな決まり」
「私」
「だろうと思ったわ。そうね、守ってあげてもいいけど、
その代わり私のお願いも聞いて貰えないかしら」
「なによ?」
「服脱いで」
「はっ?」
「その体の隅々までじっくりねっとり調べさせて」
「ちょっちょっと近づかないで・・・・・・」
「でへへ~」
「いやぁぁぁぁ」
そんなに嫌がることないじゃない。
私はただ純粋に技術者としてあなたの体に興味があるだけなの。
やましい気持ちなんてこれっぽっちもないわ。うふふ~
「あなた、何してるのかしら」
ん?
「もう一度聞くわね。あなた、私のメディに何してるのかしら?」
げぇぇ、幽香ぁ!
「ちっ違うのよ。変な事しようなんて」
「うえぇぇぇん、幽香ぁぁ、怖かったよ~」
「よしよし、もう大丈夫よ。後は私に任せなさい
さあアリス、覚悟はいいわよね」
よくない! ひっ、だめぇぇぇぇ!
ふぅ、やっと家に帰ってこれた。
まったくひどい目にあったわ。
まさかあの二人があんなに仲がよかったなんて。今度から気をつけないと。
でもどうしましょ。なにかアイデアが湧きそうなものはないかしら。
そういえば昨日魔界新聞が届いてたわね。
新聞っていっても幻想郷に届くまで結構時間が過ぎてるから、あまり意味ないのよね。
まあ、それでも何か面白いことが書いてあるかもしれないし、一応読んでみますか。
なになに・・・・・・
『魔界支持率、夢子様48%で神綺様の52%に迫る勢い』そろそろ魔界も政権交代かしら。
『ユキとマイ、13度目の離婚』またなの。どうせしばらくしたら仲直りして結婚式やるんでしょ。
『神綺様、直属の研究班に光を使った魔力伝達の実用化を指示』
これよ!
光の速さで人形に念波を送る糸。きっとまだ誰も思いついてないわ。
時代に先駆けて私が作れば、一大センセーションを巻き起こせる。
よ~し、やるわよ~
まず、なにから始めようかしら。
そうね、光、光・・・・・・そうだわ!
「というわけでサニー、手を貸してほしいの」
「はっ、はい、頑張ります!」
快く引き受けてくれたみたいで嬉しいわ。
なんか顔赤いけど病気? そもそも妖精って病気にかかるの?
それから後ろの二人はなぜ無言で私を睨んでるのかしら?
「あの二人とも、私の顔に何かついてる?」
「いえ別に~」
「私たちのことはお気になさらず」
妙によそよそしいわね。まあ、いいか。
「アリスさん、何をしたらいいでしょうか」
「ちょっと待ってね」
ええと、あれ、どこにしまったかしら。
ずいぶん前に買ったまま仕舞込んだような気が・・・・・・
あった!
「これにありったけの光を集めてほしいの」
「糸、ですかこれ」
「そうよ。でも只の糸じゃないわ。ガラス繊維が織り込まれた強度の高い糸なの」
「「「へ~」」」
三人そろって興味深そうに見てるわ。
やっぱり妖精って珍しいものが好きなのかしら。
「光を集めた後どうするんですか?」
「ふふふ、集めた光を私が魔法で閉じこめるの。そうすれば糸に光の力が宿るのよ!」
「すごい! よくわからないけど」
やっぱりわからないのね。当然か。後ろの二人も不思議そうな顔してるし。
「まあ、早速よろしくね」
「まかせてください! それ!」
おっ、なかなか眩しいわね。
それじゃいくわよ。
ポコペンポコペンほいっと!
「うわっ、光が吸い込まれた!」
ふふふ、驚いてる驚いてる。
「これで終わりよ。ありがとう」
なでなで
この子の髪、さらさらしていて撫でると気持ちいいわね。
「えへへ~」
あら、また顔が赤くなった。
あと後ろの2人が不機嫌そうなのはなんで?
「そうだわ! 手伝ってくれたお礼をしなきゃね」
「いえ、お礼だなんて・・・・・・」
「遠慮することないわ。
そうね・・・・・・家で御馳走を振る舞うわ。三人ともついてらっしゃい」
「「「は~い!」」」
うんうん。元気があってよろしい。
ふわぁぁぁぁぁ
うぅ、頭痛いわ。
昨日あの後宴会やって、そのまま4人で寝ちゃったのよね。
あの子達は・・・・・・まだ寝てるわ。
起こすのも可哀想だしそっとしておきましょ。
さて、さっそく新しい糸を試してみますか。
ふふふ、楽しみだわ。
え~と、昨日作った糸を上海に繋げてっと。
さあ動きなさい上海!
「シャンハ~イ」
・・・・・・・あれ、いつもとあまり変わらないような気がする。
あ~それじゃ蓬莱に繋いで
「ホ~ライ」
いつもとほとんど同じじゃない! どうなってるの?
腕の動きも足の動きも何も変わらず、なんでよ。
ん、腕の動き・・・・・・まさか!
そうよ! いくら命令を速く送っても、中の歯車が速くなるわけじゃない!
結局遅いところに引きずられる。つまり・・・・・・あまり意味がない!
「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!!」
今度こそ良い物を作ったと思ったのに~!
はぁ、シャワーでも浴びて頭冷やしましょ。
「見て見て夢子ちゃん」
「何ですか神綺様。水晶にアリスの家が移ってるだけではないですか。
また白蓮さんあたりに撮ってきてもらったんですか。
全くあなたという人は」
「違うわ。これリアルタイム映像よ」
「そんなはずは、音声ならまだしも、こんなにも鮮明な映像は不可能です」
「いままでは、不可能だったのよ」
「まさか、この前研究班に指示したのは」
「そう、このためよ」
「こんなことしてアリスにばれたら只では済みませんよ」
「夢子ちゃんったら心配性ね。
撮影用の人形は動くとき以外コンパクトに擬態できるようになってるのよ。
省エネ設計だから魔界からの魔力供給でも動くし。まあ、その分性能は下がるけど、
端から凡用性は捨ててるから問題ないわ」
「何という技術と資源の無駄使いを」
「正しい技術を正しい目的に使ってるのよ。無駄なんてないわ」
どう見ても過剰な技術を歪んだ目的に使ってるが、いつものことなので夢子は何事もないように仕事に戻
「あっ、アリスちゃんお風呂入るみたい。え~と録画録画・・・・・・」
らず鉄拳かました。
「いたっ!」
「なにやってんですかあなたは!」
「娘の成長を見守るのは親の義務」
「その前に守るべき義務ってもんがあるでしょうが!」
「きゃっ夢子ちゃん怖い♪」
「ぶっ、かっ可愛子ぶったってダメですよ!」
「あら~夢子ちゃ~ん、鼻なんか抑えてどうしたの~」
「なんでもありません!今日こそお説教、いやお仕置きです!」
「きゃ~きゃ~」
それはともかく,家電技術のネタは手堅くて面白いのですが,そろそろ作者様の新境地を見たくなりましたよ.
楽しみにしていますので.