願わくば 花の下にて 春死なん
その如月の 望月のころ…
文治六年二月十六日…
「どうして…、どうしてあなたは逝ってしまったの…」
一人の少女が、一樹の桜の樹の下で呟いた
大きな樹だ、幹の太さは大人が数人掛かりで取り囲めるほどに大きく、しっかりと地面に根を生やしている
まるで天を覆いつくさんばかりに満開に咲いた桜、空を桜色に染め、日の輝きを受け眩いばかりに咲き誇っている
その樹の元で、男が一人座っている
齢七十を過ぎているというのに、その老いも感じさせぬほどに若々しい
法体で丸めた頭に紫綬の衣、一目見ただけで徳の高そうな僧だと分かる
その双眸は固く閉じられ、その頬からは徐々に血色が失われていく
合掌された両手はすでに開くことは無く、糸で吊られているかの様に背筋の伸びた美しい姿勢のまま微動だにしない
男がすでに絶命し、涅槃へ旅立っていることは明白だった
しかし、その男の顔は、とても死んでいるとは思えないほどに穏やかで、一切の苦悩も感じない
幸福で満ち足りた顔のまま、男は死んでいた…
「どうして、貴方は私を置いていってしまったの…」
決して帰ってくることが無い問いかけを、少女は男の遺骸に向かって投げかける
枯山水を敷いた庭には、幾樹もの桜が満艦飾の如く咲き乱れ、まるで男の死を祝っているようでもある
一片の桜の花弁が少女の頬に張り付くが、少女は一切気にした様子も見せず、男を見つめる
一切の虚無、なにもかもが無意味に感じる。自分自身の存在さえもである
今、自分に見えているのは現実なのか、虚像なのか、それすらも分からなくなるほど、少女の心は虚ろに沈む
男の命が尽きかけてることも、男がこの桜の樹の下で末期を迎えたがっていることも知っていた
まだ若い少女には、男の心が理解できないでいた
自分を慕うものを、自分の愛したこの屋敷も全て捨てて、どうしてこれほど安らかに逝けるのか
この桜も、この屋敷も、男がいたからこそ美しく、優しく、安らぎのある居場所になり得た…
男がいないのなら、どれほど美しい花も、どれほど立派な屋敷であろうと無意味なのだ
しかし、主人を失い、存在の意味を失っていながら、それでも桜は美しく咲き誇っている
花はただ咲いているだけなのだ、それを美しいと感じるのは、見るものの心がそうさせるのだと男は言った
だが、それは嘘だった…
少女の心には大きな穴が空いてしまったというのに、桜の美しさは変わらない
美しいと感じるのは、心がそう見せるのではない。ただ、桜は美しいという厳然たる事実があるだけなのだ
「私は、もうどこへも行きません。貴方の残したこの屋敷と、この桜をずっと守り続けます」
少女は泣いてはいなかった。悲しみも、寂しさも何もかもが自分の中から消え失せてしまったような気がした
ここにいるのは、自分自身の抜け殻だった
少女が自分の指を咥える、少女の指先に歯が食い込み赤い血が流れる
少女の指先から滴る血から、幾千、幾万もの蝶が生まれ、天に向かって羽ばたいていく
一陣の強い風が、桜の花弁を吹き飛ばす
少女の血から生まれた蝶と桜の花弁が、天に吸い込まれるように舞い上がっていく
男の魂とともに、少女の心まで天に上っていくかのように…
「私も、いつかはそちらに行きます…。それまで待っていて下さいね…
お父様…」
~????????~
その山は深く、大小様々な木々に覆われ陽の光すら遮っている
紺のブレザーに緋色のネクタイ、太ももも露なミニスカートに紺のハイソックス。頭には大きな長い耳
鈴仙・優曇華院・イナバは、その山道を進んでいた
それは道とも呼べぬ獣道であり、とても人一人が通れる広さはない
絡み付く小枝や藪に、その艶かしい脚を傷つけられながら、優曇華はその道を下っていた
「もう、どれくらいになるだろう…」
誰に言うでもなく、優曇華は一人で呟いた
あの例月祭の夜、てゐのイタズラに手を焼きながら、餅をつき、客を接待していた優曇華
あの謎の白い光に吹き飛ばれ、意識を失った
気付いた時には、見知らぬ山の中にいた
そこに咲いている植物や、すんでいる動物の様子からも、幻想郷に存在している山ではないと直感的に分かった
ともかく、下山しようと歩き出したものの、山は最も樹木の生い茂る季節であり、道らしい道もない
山の傾斜も急で、迂闊に進むと滑落してしまう危険が多かった
空を飛んで降りようかとも考えたが、もしも、ここが幻想郷以外の世界であるなら、空を飛ぶ所を見られるのはまずいと思って止めた
優曇華は、月の都では優秀な軍人であった。サバイバル技術も習得している
用心深い優曇華は、自分の足で山を下りることにした
自分の長い耳を活かし、川の音を聞きだして飲み水を確保した
しかし、川の流れは急な上、大きな滝つぼに繋がっており、川伝いに降りることは断念した
何しろ、急に吹き飛ばされたため、優曇華にはなんの装備もないのである
優曇華は大きな切り株に腰を下ろした、食料は山で採ったキノコだった
永琳に教えて貰っていた、食べられるキノコと毒キノコの見分け方がこんな形で役に立つとは思わなかった
「どうして、こんなことになっちゃったんだろう…」
優曇華は、あの例月祭の夜を思い出す
あの時、優曇華は霊夢に神社の宴会に兎鍋を出さないように抗議していた
輝夜や永琳と竹林に住むようになって、幾度と無く例月祭を行ってきた
満月の夜は、幻想郷と月の都との距離が最も近くなる
そのため、月の都の裏切り者である輝夜と永琳は、ずっと身を隠していなければならない
しかし、今までだって一度も月の使者が襲ってきたことなどない
月の使者のリーダーは、優曇華の元の飼い主である綿月豊姫と依姫の姉妹である
二人とも、元は永琳の弟子であり、とても永琳を慕っていた
よもや、あの二人が永琳達を捕まえるために地上を強襲することなど考えられなかった
だから、優曇華は心の中ではいつまでも身を隠している必要はないと思っていた
輝夜や永琳もそのように感じていたのだろう。輝夜は永遠亭にかけていた永遠の魔法を解いたし、永琳も幻想郷の人間や妖怪を診る診療所を開いた
優曇華も、地上の人間は苦手だが、人間の里まで出向いて薬を売るようになった
てゐはいつもと変わらなかったが、それでも心境には少しずつ変化が現れていたと思う
そのきっかけとなったのは、やはり数年前に起こしたあの異変だろう
人間と妖怪が協力し、一緒に戦う様を見て、酷く羨ましくなったものだ
月の兎である自分も、地上の者達と一緒に暮らしていけるのではないかと思った
そして、あの例月祭には霊夢と魔理沙も来ていた
招待した訳でもないというのに、然もそこにいるのが当然とでも言わんばかりに
どうして来たのかと尋ねれば
『いいじゃない、これだけいるんだから私達二人くらい増えても一緒でしょ』
『酒が出る席は、人数が多いほど楽しいんだぜ』
…と、まことに自分勝手な理屈で乱入してきた
穢れた地上の人間らしい考えだが、不思議とそれがイヤではなかった
優曇華自身も、地上の穢れに冒されて来たのであろうか?
だから、知らぬ間に自分も霊夢に対して不満をぶつけていたのだ
この幻想郷に住む、一人の妖怪兎として…
それが、あの白い光に全て吹き飛ばされてしまった
「あの白い光はなんだったんだろう…」
優曇華が呟く
あの白い光は、幻想郷でも、月の都でも見たことがないものだった
あの尋常でない破壊力といい、人間を異空間へ吹き飛ばす力といい、月の近代兵器にも通じる優曇華にも全く正体不明の光である
まさか、月の使者が見知らぬ新兵器を作って襲ってきたのかとも思ったが、優曇華はそれを自分で否定した
月の都の兵器開発は、月の賢者である八意永琳が自ら行ってきたのだ
永琳が地上へ逐電してから、誰も兵器の開発を行っていないと仲間の兎に聞いた事がある
なにより、綿月姉妹がそんなものを使って永琳を襲うとも思えなかった
少し前の話だが、綿月姉妹に謀反の嫌疑がかかっていた時も、月の都に侵入してきた吸血鬼と霊夢を利用して嫌疑を晴らす為の策を永琳が授けたとも聞いている
現在進行形で恩のある永琳に、綿月姉妹が牙を剥くとも思えない
だとしたら、あの白い光は一体何なんだろう?
幻想郷とは違う、別の世界からやってきたのだろうか?
どんなに考えても、釈然としない
喉に骨が刺さったかのようなもどかしさに襲われる
「やっぱり、私が月を逃げ出しちゃったからかな…?」
そういって、優曇華は自虐的に自分を責める
幻想郷での日々にも慣れ、ずっと忘れていた心の傷が今頃になって疼いている
優曇華は、月の都の兵士だった
月の使者は、地上を監視し、地上の穢れを月の都に持ち込まれないようにすることが仕事である
同時に、月の都における反乱分子を排除する仕事も担っており、月の都の軍隊を統括する立場にある
元は永琳がリーダーを務めていたが、輝夜と共に地上に逐電して以降は綿月姉妹がその任に就いている
永琳は月の都を去る際、地上の妖怪が月の都に攻めて来ることを予言していた
綿月姉妹はそれを信じ、月の兵士達への訓練を強化していた
そして、兵士たちのリーダーとして、優曇華が選ばれた
優曇華には、兵士としての天性の素質があった。柔軟でしなやかな筋力と兎特有の強力な脚力、それらを利用した格闘術
武器の扱いにも長け、銃器や大砲にも詳しく、戦略センスにも優れていた
今でも、綿月姉妹を除けば、自分より優れた兵士はいないだろうと自負している
厳しい綿月依姫の訓練にも耐え、優秀な軍人として期待されていた
そして、今から数百年間前、月の都は地上の妖怪からの襲撃を受けた
妖怪の軍団を率いていたのは、今も月の都においてその名を恐れられる八雲紫である
穢れた地上の妖怪による襲撃は、月の都を恐怖のどん底へ叩き落した
月の使者と、月の最新兵器の前に、妖怪軍団を撃退することには成功したものの、地上より持ち込まれた穢れは月の都に甚大な被害をもたらした
持ち込まれた穢れを恐れて、襲撃を受けて100年余りは誰も外に出ようとはしなかった
その間、月の都はメチャクチャに荒れ果てたのである
妖怪軍団との戦いで、多くの兵士が傷つき倒れた
特に、妖怪軍団の首領であった八雲紫の力は凄まじく、月の使者のリーダーであった綿月姉妹ですら敵わなかったといわれる
どうやって彼女を撃退したのかは、今の所定かでないが、この戦いで多くの兵士が死んでいった
ある者は血を流しながら、ある者は半身を失いながら、痛い痛いとのた打ち回って死んでいった
そんな中、優曇華は逃げ出した…
「今さら謝っても、誰も許してくれない…」
妖怪軍団からの襲撃を受けた際、大挙して攻めて来る妖怪軍団を水際で食い止めるべく、優曇華は出陣した
月の最新兵器を駆り、敵の侵入を防いでいたものの、数のものを言わせる妖怪軍団は防禦線を突破した
そして、地上の妖怪との直接戦闘に入った…
その瞬間、優曇華の脳裏に一つの記憶が蘇った
それは、月の兵士としての訓練中に、誤って殺してしまった仲間の事だった
格闘術の訓練中、組み手を行っていた際、優曇華は誤って相手の急所に打拳を放ち殺してしまった
演習中の事故であったが、月の都においては、『死』は日常ではない
優曇華にとって、初めて接する『死』は、自分自身の拳によるものだった
演習中の事故は已む無き事として、綿月姉妹は優曇華を不問にしたが、それでも優曇華は初めて感じた『死』の恐怖に取り付かれた
仲間の兎達も、優曇華を危険な存在として近づかないようになった
優曇華の拳が、敵の妖怪の急所にヒットした
妖怪は、ほぼ即死だった
当然だ。優曇華の力は、すでにそこらへんの妖怪の力など、圧倒的に超えているのだ
しかし、優曇華は怖くなったのである
戦闘による恐怖ではなく、自分自身の拳が、簡単に人を『死』に至らしめる凶器であるという事がである
しかし、ここは戦場である。殺さなければ殺される世界である
相手を傷つけることもできず、どうしようもなくなった優曇華には、もう逃げ出すことしかできなかった
どこの国の軍隊でも、敵前逃亡は重罪である
あれほど可愛がられ、期待してくれた綿月姉妹にも合わせる顔も無い
もはや、月の都に戻ることもできない…
そんなとき、優曇華が見つけたのが、一枚の月の羽衣であった
迷うヒマなど無かった。優曇華はその月の羽衣を纏い、地上に出奔した
「お師匠様、私はどうすればよいのでしょうか…」
優曇華は虚空を見つめ、一人で呟いた
傷つき倒れていく仲間を見捨て、優曇華は逃げ出した
地上に逃れ、永琳に庇護を求めた
あの時は、輝夜にも永琳にも猜疑の眼を向けられた
当然である。月の都の反逆者として負われている二人にとって、月の都から逃げ出してきた兎など信用できるはずもない
しかし、永琳は優曇華を受け入れてくれた。思えば、何かに利用しようとしていた節も無いではないが、それでも優曇華を匿ってくれた
輝夜は、最初は優曇華を疑っていた。何故なら、輝夜は月の都にいた時から綿月姉妹とは親友で、優曇華が二人のペットであると知っていたからだ
当然、綿月姉妹が月の使者のリーダーとなったことも知っており、月の使者の飼い兎が自分を尋ねてきた…ということになる
疑われるのは当たり前だった
しかし、その後の隠匿生活を続ける内に、そういう疑いの目は薄れていった
少しずつではあるが、輝夜も永琳も地上の穢れに冒されて来ていたのかもしれない
地上の兎であるてゐがいたことも大きいかもしれない
実際にてゐがやっていた事といえば、落とし穴を掘るか、イタズラを仕掛けるかのどちらかだが、そんなことが日常になるうちに、誰も優曇華を疑わなくなってきていた
…というよりも、輝夜と永琳とてゐと一緒に過ごしているうちに、月の都でのことなどどうでも良くなくなっていたとも言えるかもしれない
そして、数年前のあの永夜異変…
あの事件以降、変化が訪れなかった永遠亭にも変化が訪れるようになった
毎日変わらず、穏やかで温和な月の都と違い、幻想郷は毎日のように騒ぎがおき、休まる暇もないくらいだった
そんな日々を過ごす内に、月の都の事や見捨てた仲間のことなど、ほとんど思い出す事がなくなった
それが、正体不明の白い光に吹き飛ばされ、一人になってから、急激に優曇華の心に蘇ってきた
あの時死んでいった仲間が、自分を呼んでいる気がした…
『自分だけ逃げ出して、平穏無事な日々を送るなんて許せない…』
『あなたが逃げ出さなければ、私も同じように暮らせたかもしれないのに…』
『痛い…痛いよぅ…、助けて…、死にたくない…』
無数の仲間の顔が、自分を見つめている気がした
幾つもの怨嗟の声が、自分を呪っているように思える
優曇華は思わず走り出した
『どうして逃げるの…?、貴方はどこに行くの…?』
(違う…、私は…)
『どうして私達を見殺しにしたの…、私達を見捨てて、どうして生きているの…?』
(やめて…!、私はもう…!)
『あなたはどこにも逃げられない…、私達はずっとあなたと一緒にいるの…』
(私は怖いの…、自分が誰かを傷つけてしまうことが…!)
優曇華は走った
道ともいえぬ獣道を、ただ只管に我武者羅に走った
突き出した木の枝や、地面から露出した岩が優曇華の肌を傷つける
だが、痛みを感じる暇などありはしなかった
優曇華は、ただ逃げることだけしかできなかった
あの時と同じように…
「キャッ!」
小さな悲鳴を挙げ、優曇華は倒れた
石にでも躓いたのか、全身を強かに打つ
「いつつ…、ここは…?」
優曇華が辺りを見渡す。山の中腹辺りになるのだろか?
鬱蒼と木が生い茂る中、その部分だけが切り拓かれている
視線を上げた先に、木製の大きな門があった
当然のように、門があれば塀もあり、それが途轍もない大きさで広がっている
相当に大きなお屋敷である
永遠亭も大きいが、この屋敷はさらに大きい
いわゆる寝殿造りと呼ばれる平安貴族の好んだ様式だが、それを幾分か簡略化させた武家造りにも近いものがある
こんな大きな屋敷に住んでいるとすれば、余程の御大尽なのだろうが、何を好き好んでこんな山奥に建てたのであろう…
「でも…、どっかで見たことあるような…」
優曇華が、その屋敷を注視する
この無駄に大きな造りといい、優曇華の記憶がぐるぐると回転しだす
「何者だ!」
突如、大きな野太い声で優曇華が呼び止められた
そこには、六尺五寸はありそうな巨躯に、長い太刀を佩き、白く長い総髪の老人が立っていた
~永遠亭跡・時の最果て~
「慧音!、おい、慧音!」
紅魔館で身体を癒した輝夜と妹紅は、てゐを連れ永遠亭跡地に戻ってきていた
妹紅が慧音を激しく揺さぶる、慧音は立ったままのポーズで寝ていた
「う…、うん…、妹紅か…」
ようやく重いまぶたを開き、慧音が目覚めた
大きく伸びをし、周囲を見渡す
輝夜に引っ付くように、てゐがいるのを確認する
「ああ、てゐを連れ戻せたんだな、おめでとう」
まだ眠たそうな口調で、慧音は二人をねぎらう
「ああ、慧音のお陰だよ」
妹紅が言った。レミリアと咲夜が戦っているのを止められたのも、慧音がてゐと輝夜にホットラインを引いてくれたお陰である
「私のお陰?、何の事だ…?。そんなことより、ここは不便な場所だな…。ここで力を使おうとすると、かなりの霊力を消費する」
そういって、慧音は頭をポリポリと掻く
かなりの長い時間を寝ていたようだ
どうやら、この時の最果てでは、穢れのない蓬莱人以外はあまり活動できないらしい
「大丈夫なのかよ、しっかり休んだ方がいいんじゃないか?」
妹紅が慧音を心配する
実際、慧音の様子はどこか疲れているようで、今にも倒れそうだ
「ああ、大丈夫だ、お前たちが頑張っているのに、私だけが休めないよ」
そういって、気丈にも慧音は腕を捲くって見せた
「てゐ…」
輝夜が、てゐに声を掛けた
跡形も無く消失してしまった永遠亭に、てゐも言葉を失っているようだ
「ひ、姫様…、どうなってるウサ、永遠亭は、鈴仙やお師匠様はどこいったウサ」
あらかじめ聞かされていたとはいえ、改めてみるとその惨状は酷いものであった
永遠亭は柱の一本、壁板の一枚に至るまで破壊し尽くされているのだ
「ごめんなさい、私にも分からないわ…」
輝夜が力なく答える
てゐの目に、再び涙がこぼれる
「あんまり泣くんじゃない。気持ちは分かるが、今は心を強く持つんだ」
そういって、慧音がてゐを励ます
しかし、自分の家と家族を失うということは、想像以上に衝撃が大きいのだ
「てゐ、確かに今はみんな離れ離れだ。だがな、良く見てみろ」
慧音が指差したのは、先般の『時の光』があった方角である
そこには、輝夜達が通った『時の光』のほかに、数本の『時の光』が出現していた
「慧音、これは…」
妹紅が訊いた
「お前たちが行った後にな、続々と出現したんだ
恐らく、永琳達がいる時代に繋がっている、この『時の光』がな」
慧音が答える
『時の光』は、認識できないほど小さな時間が収束することで生まれる
異なる時間へ永琳達が飛ばされたお陰で、時間の流れに異変が起こっているのだ
「これは、永琳達からのSOSのサインだ。みんな、この『時の光』の向こうで戦っているんだ
悲しい時は泣けばいい。だがな、いまお前がしなければならないことは、泣くことじゃなくて二人を励ますことだ」
慧音が諭すようにてゐに語る
てゐは、袖で涙を拭いた
「分かってるウサ、姫様、妹紅、お師匠様や鈴仙達を助けて欲しいウサ」
涙を拭いたてゐが、二人に言った
『時の光』を通ることができるのは、穢れの無い蓬莱人だけである
二人は、新しい『時の光』の前に立った
「任せときなさい、すぐに全員見つけてくるから」
「一丁、やってくるか」
そういうと、二人は再び『時の光』に飛び込んだ
~????????~
大きな屋敷の前に辿り着いた優曇華は、奇怪な老人に呼び止められた
歳は六十くらいか、六尺五寸はあるような筋骨隆々の巨躯に大刀を佩く
薄い茶色の着物に馬乗袴、昔の侍のようないでたちである
「何者かと聞いておる」
優曇華に近づきながら、老人が問いかける
その巨躯から発せられる声には、妙に迫力がある
「わ、私は…」
老人の気迫に押されて、優曇華は上手く喋れない
「渇!」
そういうや、老人は刀を抜いて斬りかかった
優曇華は咄嗟に避ける
「ほう、よくぞかわした…。その面妖ないでたち、どうせ我が主人を狙いつけた物の怪の類であろう」
老人の太刀筋は鋭く、優曇華もよくかわせたものだと思った
しかし、問題なのは老人の太刀筋ではなく、その刀そのものである
三尺余りの長い刀身、鍔の無い直刀に近い姿に、まるで人魂のような朧気な刃紋が浮いている
柄頭に白い房が着き、目釘にあたる部分には桜の紋様が入っている
「その剣は…、楼観剣!」
優曇華は思わず口走ってしまった
その剣は紛れもなく、冥界の白玉楼の剣士、魂魄妖夢の愛刀である楼観剣であった
「貴様、何故、この楼観剣を知っている」
いぶかしむような目で、老人が優曇華を睨んだ
この剣は、魂魄家秘伝の剣である。それを知っている者は限られている
「怪しいやつ、もはや名など聞かぬ。我が名は魂魄妖忌。白玉楼を守りし楼観剣に、切れぬ物等何もない!」
老人は一人で名乗りを上げ、切っ先を優曇華に向けた
魂魄妖忌と老人は名乗った。その名に聞き覚えがある
妖夢の剣の師匠であり、祖父でもある。そして、突如として失踪してしまったという
いま、目の前にいる老人こそ、その魂魄妖忌なのだ
だとすれば、後ろに見えているあの屋敷は…『白玉楼』…!?
「待ってください、私は…」
優曇華は必死で説明しようとするが、老人から発する凄まじい剣気に押され、上手く口が動かない
「問答無用、行くぞ!」
そういうや、妖忌は優曇華に斬りかかった
妖夢の辻斬り癖は遺伝だったか…
「せい!」
真っ向から振り下ろされる妖忌の刃、その鋭さは妖夢の比ではない
地面も割れんばかりに振り下ろされる刀を、優曇華は紙一重でかわす
しかし、高速で振り下ろされた大刀が素早く反転、地面からせり上がって来るかのように優曇華目掛け斬り上げられる
「く…!」
しかし、優曇華の反応も速い
素早く後方に飛び退り、刃をかわした
「むぅ…、我が『燕返し』を避けるとは…」
あれほど長大な剣を遣っていながら、あれほど高速で振り下ろした刀をほとんど同じ速さで振り上げるとは…
確かに、これは佐々木巌流の『燕返し』に近い技である…
「聞いてください、私はこの屋敷のことなんて知らないんです。道に迷ったらここについてしまっただけで…」
優曇華が自分の潔白を訴える
妖夢の師匠であるなら、妖夢よりも強くて当然
あの太刀筋を見る限り、かなりの達人である
「ふ…、妖怪が道に迷ったなど信じられるか…。我が主に害をなす物の怪が…、この魂魄妖忌が成敗いたす!」
優曇華の主張にまったく聞く耳持たず、妖忌は再び正面から斬りかかった
「く…、―――!?」
再びかわそうとした優曇華の動きが止まる、妖忌の剣は途中で止まり、角度を変えて斬りかかった
先に剣を振って、相手の動きを見極め、相手の動きに合わせて斬りかかる
これは、柳生新陰流の燕飛の太刀に近い剣術である
白玉楼が寝殿造りと武家造りの両方の様相を持っていることから考えても、この時代は平安末期から鎌倉期にかけてである
この時代は甲冑で武装した鎧武者同士が打ち合う介者剣術が中心である
まだ日本式剣道の源流となる剣術は、技術体系として存在していないはずである
優曇華は後ろに飛び退いてかわすが、妖忌はそれを読んでいたかのように追う
その追い脚も速い、後方に飛び退った優曇華に一瞬で追いついてしまった
「せい!」
優曇華に向け、刺突を放つ。優曇華は身を捻ってかわす。しかし、その刃はすぐさま横薙ぎにの型に変わる
あれほどの長刀を、あれほどの速さで振っていて、なおかつその太刀筋は変幻自在である
「く…!?」
再び後方に下がりかわす。優曇華の胸のネクタイが千切れて飛んだ
徐々に、妖忌の太刀筋が優曇華を捉えて来ている
(いけない、妖夢さんの太刀筋を知っているからなんとかかわせて来たけど、この人の太刀筋は妖夢さんより速い!)
優曇華が、妖夢の顔を思い出す。永遠亭にもなんどか顔を見せたこともあるし、数度の手合わせもしてきた
自分より小柄な少女でありながら、大小の太刀を自在に操る技に感服したものだった
しかし、いま目の前にいる妖忌は、その妖夢よりもはるかに強い
「ふん、奇妙な娘だ。我が太刀筋を以前から知っていたかのような動きでかわしよる…」
妖忌の言っていることは当たっている。正確に言えば、この妖忌の弟子にあたる妖夢の太刀筋を知っているのである
「見事と褒めてやりたいが、そうはいかん…。そろそろ仕舞いにしよう」
そういうと、妖忌は左半身に構え、剣を立てて構えた
八双の構えである
「待ってください、私は…」
優曇華が最期の言葉を発するより前に、妖忌が動いた
立てていた剣を、優曇華に向かって真っ向から振り下ろす
勢いがついている分、その勢いは今までの比ではない
これほどの勢い、速さでは優曇華にかわしようがない
「く…!?」
優曇華の脳天に、妖忌の刀が振り下ろされた刹那、優曇華は両手で素早くその刃を挟み込んで止めた
真剣白刃取り、まさか月の兎が成功させるとは…
「見事…、だが甘かったな…」
「―――!?」
妖忌の剣を、真剣白刃取りの神業で受け止めた優曇華
しかし、その顔から血色が失われていく…
優曇華が、その場に倒れこんだ
妖忌の左腕には楼観剣、優曇華の白刃取りに止められた
そして、右手には小振りな小太刀が片手抜き胴の形で抜かれていた
妖忌は、楼観剣が白刃取りで受け止められるや、右手で楼観剣と対になる白楼剣を抜き、居合いの形で抜き胴を放ったのだ
なんという早業…、まさに神業の上を行く神業
優曇華は胴体を斬られ、その傷は内臓にも及んでいるだろう
もはや、助からない…
「…む、刀に血が着いておらん…!?」
しかし、自らの刀を見た妖忌は腑に落ちない表情を浮かべる
確かに優曇華の胴を切り裂いたはずの白楼剣に、血の一滴も着いていないのだ
「…なに!?」
優曇華が脇腹を押さえながら立ち上がった
その左の脇腹には、確かに斬られ衣服の破けた痕があるが、血は流れていない
優曇華はあの瞬間、咄嗟に『狂気を操る能力』を発動したのだ
狂気を操る能力は、全てのものに存在する波長を弄ることで、視聴覚を狂わせる力である
優曇華に波長を弄られた妖忌は、幻視した優曇華を斬った
それは、実体の無い幻の優曇華の姿だったのだ
「おのれ、さては妖術か」
そういうや、妖忌は右手に楼観剣を、左手に白楼剣を持ち替えた
これこそが、魂魄妖忌の本来のスタイルである
「わしに二刀を持って構えさせたのはお主が最初だ。魂魄二刀流、受けてみよ!」
妖忌は二刀を構え、優曇華に対峙した
宮本武蔵の二天一流が二刀流の兵法としては有名だが、実戦で二刀を構えたものはほとんどいない
近代剣道においても、団体戦において二刀流で防禦に徹し、引き分けを狙う姑息な振る舞いが横行して二刀流を禁止したほどである
しかも、操るのは長大な楼観剣と小太刀ほどの白楼剣である
「…はぁ、はぁ、やはり強い」
優曇華の呼吸が荒くなっていく
二刀を抜いて構えた途端、妖忌の発する剣気が一層強くなった
先ほどの攻防でも、咄嗟に能力を発動させたからなんとかかわすことができたのだ
あと一瞬でも、優曇華の能力が発動されるのが遅かったら、優曇華は兎鍋の実になっていたかもしれない
「ぬぅぅ!」
優曇華の考えがまとまらない内に、妖忌が仕掛けた
右手に構えた楼観剣が唸る、真っ向から振り下ろされる剣を、優曇華は寸前でかわす
「く…!!」
しかし、優曇華のかわす動きを見るや、その死角を突くように白楼剣が繰り出される
優曇華が後方に退くが、妖忌はそれすらも読んでいたのか、素早く間合いを詰める
二振りの刀が、まるで意思を持った生き物でもあるかのように、執拗に優曇華に迫ってくる
しかも、徐々に妖忌は優曇華の動きの癖を見抜き、その行動を先読みしてきている
長い楼観剣で優曇華の間合いの外から攻撃し、それをかわそうと動いた所を小回りの効く白楼剣で突く
太刀筋の速さ、体の動きの速さ、先読みの速さ、そのどれもが優曇華を凌いでいる
このままでは、優曇華も逃げ切れない
「―――!?」
妖忌の剣をかわした優曇華の背中に、固い樹木の感触が当たった
ついに、妖忌に追い詰められてしまった
「これで終わりだ!」
妖忌は、一気に間合いを詰めた
もはや逃げることも、かわすことも出来ない
長大な楼観剣が、優曇華の脳天めがけて振り下ろされる
もはや、能力を発動される暇もない。白刃取りでも防げないであろう、神速の剣閃が奔る!
「何―――!?」
完全に、妖忌の剣が優曇華を捉えた
しかし、妖忌の剣は優曇華を斬ってはいない
優曇華は、間合いを詰められ逃げられないと悟るや、妖忌の腰に差してあった白楼剣の鞘を引き抜き、妖忌の剣を防いだ
敵から奪った鉄拵えの鞘で、妖忌の楼観剣の剣撃を防いだのだ
あの咄嗟で、これほどの機転が働くとは…
「ふふふ、良くぞ我が剣を止めた…。だが、それだけでは魂魄二刀流は防げん!」
妖忌は、左手の白楼剣を振り上げた。そして、それを優曇華が鞘で抑えた楼観剣の上から、直角に叩きつける
『魂魄二刀流・陰陽交叉』
「う…!」
妖忌の剣を受けていた鉄拵えの鞘は真っ二つに斬られた
咄嗟に地面に転がり込んだ優曇華も、肩を斬られている
一度受けられた剣の上から斬撃を重ねて、受けた得物ごと叩き斬るとは…
月の都でも、これほどの剣の使い手はいなかった
単純な剣術の強さでは、綿月依姫さえも凌ぐかもしれない
だが、妖忌の剣の腕を見せ付けられ、恐怖を感じる一方で、優曇華は心にざわつきを感じていた
あれほどの剣を見て、何故か心が昂揚していくような感覚を覚え始めていた
心のどこかで、この妖忌を打ち負かしたいという心が生まれ始めていた
(ダメだ、いつまでも逃げ続けては、いつかは斬られる。反撃をしなければやられる…)
そういうと、優曇華は傷をかばっていた手で拳を握った
両手で軽く拳を握り、前方に突き出すような構え
それは、この地球に存在するどの格闘技にもない構えであった
「面白い、その構えからどんな攻撃ができるか…」
妖忌は再び二刀を構える
妖忌が発する剣気が、さらに強くなった
「はぁ!」
再び、妖忌は楼観剣を真っ向から振り下ろした
「―――!?」
しかし、今度は優曇華の反応も速い
必要最小限の動きで左に動き、その太刀をかわす…
…と、同時に、妖忌の顔面を狙っての左回し蹴りを放つ
「速い!、だが…!」
優曇華の長く美しい脚は、紙一重で妖忌の顔面をすり抜ける
あれほどの蹴りを、紙一重でかわすとは…
左手に持った白楼剣が、蹴りを放った軸足を狙って繰り出される
「―――!?」
しかし、優曇華の放った左回し蹴りは、妖忌の顔面を通過した直後、空中で静止したと思うや、今度は左後ろ回し蹴りとして吹き戻ってくる
「ぬぅ!」
後の先を取ったはずの妖忌が、逆に後の先を返された
しかし、妖忌の動体視力もただ事ではない
高速で吹き戻ってくる左後ろ回し蹴りを、またも妖忌は紙一重でかわしてみせた!
「―――!?」
しかし、そこから優曇華は左後ろ回し蹴りが吹き抜ける反動で身体を捻り、軸足になっていた右足を跳ね上げ、右飛び回し蹴りを放った
まるで中国拳法の旋風脚のようだが、早く鋭い蹴りの連続業である
「ぐぅ…!」
「く…!」
さすがの妖忌も、これをかわすことはできず、白楼剣を握った左腕でブロックするのが精一杯だった
しかし、同時に振り下ろしていた楼観剣の刃を返し、蹴りを受けると同時に斬り上げた
優曇華も、そのしなやかな肢体をくねらせる様に曲げ、その斬撃をかわす
両者は一旦離れ、距離を取った
「面妖な、我が剣をかわし、斯様な蹴りを放つなど…」
妖忌も狼狽する
古来、日本の伝統的な武術には多彩な蹴り技は存在しない
相撲では蹴り技を使わないし、組み打ち術から派生した柔術でも蹴りは技の入りや繋ぎでしか使われない
あれほどの蹴りを放つ格闘術は、平安末期から鎌倉期にかけての日本には存在しないはずである
少なくとも、第二次大戦後に大山倍達が極真空手を創設するまでは…
それもそのはず、優曇華が遣うのは月の都の軍隊格闘術(マーシャルアーツ)である
兎特有のしなやかで柔軟な肉体と、強力な脚力を生かした蹴り技主体の格闘術である
「やはり強い…、私の技をあんなふうに返してくるなんて…」
呼吸を整えながら、優曇華が呟く
今の技は、初めて見るものならほとんどが何が起こったのか分からず即死していただろう
放った三つの蹴りの内、二つをかわし、一つはブロックされ、剰え反撃まで受けた
やはり、あの老人は只者ではない…
「でも…、何故だろう…、あの人と戦っていると、すごくドキドキする。胸の鼓動が抑えられない…」
優曇華は、自分の胸を抑えながら言った
妖忌と対峙するごとに、鼓動が高鳴り気分が昂揚していく
興奮が高まり、全身に力が満ちていくような感覚を覚える…
「戦うことが怖かったくせに…、仲間を見捨てて逃げ出したくせに…、私はいま、こんなにも戦いたいと思っている
自分が全力を出して、あの人と戦いたいと思っている」
優曇華の心に、あの時の記憶が蘇る
月の都が襲われたあの時、優曇華は全てを棄てて逃げ出した
仲間を、戦友を、すべてを見捨てて…
その優曇華が、いまは妖忌との戦いを切望しているのだ…
「ようやく分かった…、私は月の兵士として戦うことに劣等感を感じていたんだ…
月の兵士で最も優秀で、期待されていた自分に…」
今頃になって、ようやく優曇華は気付いた
優曇華は倦んでいたのだ。優秀な兵士として期待されることや、回りの誰よりも強くなってしまっていた自分に…
優曇華が逃げ出したのは、戦う恐怖や、人を傷つけることを恐れてではなかった
優曇華は、『自分自身』から逃げ出したのだ
それが、この魂魄妖忌と出会い、初めて自分と同等以上のものと戦う機会が得られた
だから昂揚しているのだ、今こそ、本当の自分の力を見せるのだと…
優曇華は、この老人にどうしても勝ちたいと思った
狂気を操る力を使えば、楽に倒せるかもしれない
だが、そんな勝ち方はしたくなかった
自分の持てる力を全て出し尽くし、そして勝ちたかった
相手が対抗しようのない未知の力を使って勝っても、それは無意味だった
「行きます…」
優曇華が、再び構えを取った
「猪口才な!」
妖忌もまた、二刀を構えた
両者の間に、凄まじい気がぶつかり合う
優曇華が、リズムを取るように身体を左右に振る
それは奇妙なリズムで、まるで優曇華が二人いるかのような錯覚をもたらす
これは狂気を操る力ではなく、月の兎特有のしなやかな動きと独特のリズムで相手に錯覚をもたらしているのである
「おのれ、そのようなまやかし、通用せぬ!」
妖忌はそれも気に留めず、一気に優曇華との間合いを詰めた
「せい!」
鋭い楼観剣の刺突が、優曇華に突き刺さる
しかし、それは優曇華の動きが作り出した錯覚であった
「後ろだ!」
しかし、妖忌の反応も速い
自分が斬ったのがまやかしの敵だと知るや、素早くその身を反転させ、遠心力のついた白楼剣の一撃を放つ!
「はぁ!」
「―――!?、なに!」
妖忌の背後に回った優曇華は、その鋭い白楼剣の一撃を蹴りで受け止める
正確には、刀を持つ左手を目掛けて蹴りを放った
どれほどの達人であっても、指の一本一本まで鍛えられる訳ではない
高速で振り回される刀を、その持ち手を狙って正確に蹴りを入れるとは…
指の骨が数本折れる音がする。このまま剣を蹴り飛ば…
「…ぬう」
…せない
指を数本折られながら、妖忌はそのまま優曇華の蹴りを抑え付けた
なんという剛力…
「おおおお!」
妖忌は振り返り、楼観剣を振り上げる
「ちぃ!」
その一撃たるや、地面を砕き、何かが破裂したような強烈な轟音を挙げた
片手でこれほどの破壊力を生み出すとは…
優曇華はたまらず宙に逃れる
「―――!?」
しかし、宙を跳んだ優曇華に、すぐに追撃が襲い掛かる
『魂魄二刀流・陰陽撥止』
宙に跳んだ優曇華に、妖忌は観楼剣を投げ付けてきた
「く!」
空中では自由に身動きが取れない
それは空を飛べる優曇華でも同じだった。優曇華は拳で楼観剣を叩き落とす
「―――!?」
しかし、その楼観剣に隠れて、同じ軌道で白楼剣まで投げ付けられていた
「う…」
空中で身を捻り、串刺しになるのを避ける
「はぁ!」
しかし、同時に今度は妖忌自身まで宙に跳び上がった
体勢の崩れた優曇華には、これを避ける術がない
妖忌の重い飛び蹴りが、優曇華を吹き飛ばした
二刀を同じ軌道で投げ付けた上での、自身での打撃技…
「蹴り技は、なにも貴様だけの技ではない。貴様のような蹴りは撃てんが、型を崩せばどうということはない」
妖忌は折れて曲がった指を元のようにくっつけ、地面に落ちた刀を拾う
優曇華が撃たれた腹を抑えながら立ち上がる
(なんという強さだ…、指を折られても刀を離さず、あんな一撃を放つとは…
やはり、あの二刀流を防がなければ勝てない…)
立ち上がりながら、優曇華は思考する
どうすれば、この老人の技を防げるか…
常人離れした膂力、剣の鋭さ、動きの速さに加えてあの読みの速さ…
さきほどの攻防でも、自分が斬ったのがまやかしだと気付くや、後背にいる優曇華に気付いた
それらがあって、あの二刀流が遣えるのだ
あの二刀を防がない限り、優曇華に勝機はない
「ふ…、どう足掻いても無駄だ、お主はわしには勝てん。その理由は、貴様が良く知っているだろう」
妖忌が言った
優曇華が妖忌に勝てない理由。もちろん、優曇華はそれに気付いている
それは、二人の『体格差』…
六尺五寸はある妖忌に対して、五尺三寸程度の身長しかない優曇華
体重差は十貫目を軽く超えるだろう
さらに、妖忌は長大な楼観剣を使い、その死角を白楼剣で補っている
妖忌の間合いは、優曇華の間合いよりもはるかに広いのだ
故に、楼観剣の届く間合いは優曇華の間合いの外であり、そこから蹴りを放っても有効打にはなり得ない
優曇華が自分の間合いで戦うには、もっと妖忌の懐に飛び込む必要がある
だが、二人の体格さは大人と子供と言ってもいいほど大きい
組み打ち術では、体格に優れる者の方が圧倒的に有利である
仮に、楼観剣をかわしその死角に入り込めたとしても、次は白楼剣がある
小回りの効く小太刀は、優曇華の蹴りよりも速い
優曇華が自分の間合いで戦おうとしても、それよりも速く白楼剣が襲い掛かる
そして、妖忌の常人離れした膂力では、片腕でも優曇華の胴体を真っ二つにできるほどの攻撃力がある
(確かに…、この間合いで戦っていては、どれほど打ち込んでも有効打にはならない
自分の間合いで戦うには、あの二刀を封じなければならない…)
優曇華が考えている間にも、妖忌は少しずつ間合いを詰めていく
このままでは、またもや間合いの外からの攻撃を受けてしまう
優曇華が妖忌に勝つには、楼観剣の死角を突き、尚且つ、白楼剣が繰り出されるよりも速く攻撃を繰り出さねばならない
妖忌とて、その程度は十分に承知しているはず。妖忌の速さを持ってすれば、優曇華の蹴りより速く白楼剣を繰り出せるであろう
十に一つ、あるかないかのような薄い勝機、だが、不思議と優曇華の心は高鳴っていく
伸るか反るかの大博打に、自分の身を任せる快感が優曇華の心を侵食していく
「行くぞ!」
間合いを詰めた妖忌が、一気に楼観剣を振り上げた
…と、同時に優曇華も動き、妖忌の懐へ飛び込む
「―――!?、フェイント!」
やはり、妖忌は優曇華の考えを読んでいた
楼観剣を振り上げたのはフェイントで、優曇華が懐に飛び込んでくるのを見るや、白楼剣で刺突を放った
「楼観剣の死角を突くのは良い狙いだ、だが、魂魄二刀流に死角はない!」
このまま進めば白楼剣に貫かれる。だが、かわせば自分の間合いに踏み込めず攻撃できない
自分の間合いで戦えなければ、いずれは楼観剣の餌食になってしまうだろう
(ここで退いたら、負ける!)
咄嗟の判断なのか、それとも優曇華の戦闘本能による物なのか、優曇華は白楼剣に構わずに進んだ!
このまま進めば、白楼剣に串刺しになる!
「―――!?、なに!」
妖忌の目が見開く
白楼剣が優曇華を貫いたと思った瞬間、優曇華は自分の右手を差し出し、白楼剣を受け止めた!
白楼剣の刃が、優曇華の右手を貫く
血が滴る中、優曇華は右手をさらに深く突き刺し、妖忌の左手を抑えた
自分の右手と引き換えに、優曇華は妖忌の懐に深く飛び込んだ
(右腕を棄てたか、だが、これだけ密着した間合いでは、貴様も蹴りは放てん!
組み打ち術なら、体格に優れるわしが有利!)
二人は、完全に密着した間合いとなった
白楼剣は優曇華に抑えられ、長い楼観剣はこの間合いでは使えない
だが、同時に優曇華もこの間合いでは有効な打撃技を放てない
サブミッションでは、妖忌との体格差から言っても勝機があるとは言えない
「ぬぅ!」
右手に走る痛みに耐えながら、優曇華は左手で拳を作った
だが、これだけ密着した間合いでは、踏み込みも効かず、有効な拳打にはなり得ない
この状態では、どんな打撃技でも有効な攻撃にはならないのだ
優曇華の拳が、妖忌の腹部に当たる
だが、やはり、この間合いでは踏み込みも勢いも足りない
妖忌の腹部には、蚊に刺されたほどの衝撃もなかった
「うおおお!」
「―――!?」
―――!!
妖忌の身体に拳が触れた瞬間、優曇華の咆哮が周囲に響いた
その瞬間、妖忌の身体を考えられないような衝撃が貫いた
(な、なんだこの衝撃は…!)
その激しい痛みを受け、妖忌は激しく狼狽した
あの優曇華の細い腕から仕掛けられた拳打など、何も感じなかった
しかし、優曇華の咆哮が響いた瞬間、拳の当たった部分から全身に波が広がっていくかのような途轍もない衝撃が走った!
(馬鹿な、この密着した間合いで、どうすればこのような打撃が…!)
妖忌は、気を失いそうになるのを必死に堪えた
1トン以上の衝撃を受けると人間は気絶するというが、この優曇華の攻撃は1トン近い衝撃があったということか
「ぬう!」
「く…!」
妖忌はその衝撃に耐え、振り上げていた楼観剣の柄頭で優曇華の鎖骨を撃った
優曇華は右手を白楼剣から引き抜き、妖忌から離れた
「はぁ…、はぁ…」
優曇華が離れた瞬間、妖忌は片膝を地面についた
まだあの攻撃の衝撃が抜け切れていない。思いのほか、ダメージが大きい
「うう…、あの技を食らって、意識を失わないなんて…」
撃たれた鎖骨を血塗れの右手で押さえながら、優曇華が呟く
「姫様が読んでいた外の世界の漫画の技…、技名は慥か…『虎砲』」
輝夜が読んでいた外の世界の漫画、それに出てきた主人公の必殺技の一つだった
完全に密着した間合いで、相手に1トン近い衝撃を与える技
興味を覚えた優曇華は、その本に書いてあった習得方法を参考に自分でその技を習得していた
優曇華の場合は、『兎砲』というべきか…
しかし、あの技でも完全に妖忌を倒すことはできなかった
優曇華の右手から血が溢れるように流れる
「く…、この魂魄妖忌に膝を衝かせるとは…、だが、この衝撃ではわしは倒せん」
楼観剣を杖にしながら、妖忌が立ち上がった
ダメージは抜け切れていないが、刀の握り手に力が戻っている
「はぁ…、はぁ…、強い…。でも、どうしてだろう…。私は勝ちたい、この人にどうしても…」
優曇華の心に、明らかな闘志の炎が猛っている
自分が強くありたいと思った、この老人よりも、そして誰よりも!
優曇華は右手を左手でかばいながら立ち上がる
「私の全妖力をこの拳にかける!」
優曇華は自分の持てる全ての妖気を、自分の右拳に集めた
いくらダメージを負っているとはいえ、妖忌の読みの速さの前には自分の如何なる攻撃も無効であろう
だが、妖忌はもう優曇華は右手を使えないと思っている。優曇華がその妖気の全てを右拳に集め攻撃するとは思わないだろう
いくら妖忌の読みが鋭くとも、意識の外から繰り出される攻撃ではダメージを受けている今なら食らってしまう
優曇華の右拳のダメージは大きい、その上で全妖力を拳に集めて攻撃すれば、拳自体もただではすまない
下手をすれば、もう優曇華の右手は一生使い物にならないかもしれない
だが、それでも優曇華は勝ちたかった
自分の右腕を犠牲にしてでも、自分の全てを賭けてこの老人との決着をつけたかった
「行くぞ!」
妖忌が自分に残っている最後の力を振り絞り、楼観剣を繰り出した
「おおお!!」
優曇華も、自身の妖気を右拳に集め、最後の拳を放った
両者の凄まじい力が、今まさにぶつからんとした、その刹那―――!!
「そこまでです!」
それは、清涼で凛とした少女の声だった
殺伐とした雰囲気が渦巻いていた二人の間に、まるで春風のような爽やかな空気が空間を浄化していくようだった
それはまるで、慈愛に溢れる聖母の声のように、優しく穏やかなものだった
その声が響いた瞬間、二人の間の殺気が嘘のように静まった
妖忌は剣を置き、門の方へ跪いた
「そこまでですよ、妖忌、いつも言っているでしょう。むやみに人に襲い掛かってはいけないと…」
門が開き、その声の主が現れる
清らかな白雪を思わせる肌、しっとりとした黒髪、桜紋の着物の下には外から見ても分かる豊満な胸と折れそうな程に細いウエスト
形の良い眉に、薄く張りのある唇、日本人離れした顔立ちは綺麗に整っている
優曇華は、その声の主に見覚えがあった
髪の色こそ違えど、間違うはずも無い
冥界の白玉楼の主、西行寺幽々子その人なのだ
「申し訳ございません、幽々子様…」
跪いていた妖忌が、深く頭を下げた
当然だ、自分の主人なのだから
「あなたも、ごめんなさいね。うちの家人がご迷惑を、怪我までさせて…」
幽々子が近づいてくる
間近でみると、やはり見紛う筈も無い、西行寺幽々子そのものなのだ
…と、いうことは、ここは冥界なのか?
自分はあの白い光に吹き飛ばされ、死んでしまったのか?
「わ、私は…」
優曇華が呆けている
右手の痛みも忘れ、茫然自失の状態となる
自分が死んでいるかもしれない…、そう思った瞬間に、今までの妖忌との激闘さえどうでも良くなった
優曇華の心に浮かんだのは、輝夜や永琳達、永遠亭の住人の顔だった
もう、彼女たちにすら会えなくなってしまったのか…
「女の子相手にこんな傷をつけるなんて、本当に申し訳ないわ…」
自我を失いかけている優曇華に、幽々子は優しく微笑みかけてその手に触れた
「あ…!」
その瞬間、優曇華が我に返った
怪我をした優曇華の手を握る幽々子の手は、とても温かかった
ああ…、生きている…
優曇華の心に安堵の気持ちが生まれる
亡霊である幽々子の体温は、死人のように冷たいのだ
だが、いま触れられた幽々子の手は温かかった
生きているのだ、この西行寺幽々子は…
「すぐに治療しなければならないわ…。平氏が倒れ、奥州藤原氏も滅んだとはいえ、まだ天下には戦の火種は多く残っています
傷が癒えるまで、当家に逗留されるがいいわ。お詫びも兼ねてね」
にっこりと微笑みながら、幽々子が言った
その笑顔を見て、優曇華の顔が赤くなる
同姓でもまともに直視できないくらい、幽々子の顔立ちは整っている
絶世の美女とは、こういうものなのだろうか…
優曇華が思った通り、やはりここは平安末期の日本のようだった
源頼朝が奥州藤原氏を滅ぼしたのは、確か一一八九年の九月
八〇〇年以上前の日本なのである
「幽々子様、危険です。そのものは物の怪、佐殿は鎌倉に幕府というものを構え、全国に地頭を置き支配する考え
そのような怪しげなものを屋敷に置いては、いらぬ嫌疑をかけられます
ただでさえ、御父上とのことから、当家は鎌倉から良い目では見られておらぬのです」
妖忌が言った
幽々子の父は、歌聖として名高い西行法師である
西行寺家は、元は秀郷流武家藤原氏の出自であり、裕福な名門である
世の無常を感じ、父の西行は若くして出家し、隠遁生活を送りながら多くの歌を残した
西行の晩年、源平合戦において、平重衡に焼き討ちされた東大寺の復興のため、西行と縁のある藤原秀衡を頼った高僧・重源は西行に仲介を頼んだ
齢七十を過ぎていながら、これを引き受けた西行は奥州へ向かう途中、鎌倉により鶴岡八幡宮を参詣した
その時、平家を討ち破り時の権力者となった源頼朝と出会い、頼朝の館に招かれた
歌道や流鏑馬のことを聞かれたが、西行は飄々として『歌とは、花月を見て感動した時に、僅か三十一字を作るだけのこと。それ以上深いことは知りません』
流鏑馬にいたっては、『すっかり忘れ果てました』と嘯いたと伝わる
さすがの頼朝もこれに困惑し、西行は流鏑馬の流儀などをつぶさに語り、頼朝は書記を呼び書き記させた
これが、現在でも行われる鶴岡八幡宮の流鏑馬神事につながっているという
二人の会話は深夜まで及び、翌日も滞在を求められたが、西行は逃げ出すように出立した
そして、頼朝が贈った高価な純銀製の猫を、館の門を出るなり付近で遊んでいた子供に与えたという
頼朝自身はそれを気にしてはいなかったが、頼朝の家人郎党は自分の主人をないがしろにされたと思い、西行を憎んでいるという
「お黙りなさい、あなたは自分がこの娘を傷つけておきながら、それを手当てもせずに追い返すつもりですか」
幽々子はぴしゃりと言いつけた
妖忌は幽々子を心配しているようだが、それ以上はなにも言えなかった
「さあ、いらっしゃい、何もないけれど精一杯おもてなしするわ」
そういうと、幽々子は優曇華の手を引き屋敷に招き入れた
優曇華は抵抗することもできず、白玉楼へと足を踏み入れた
あと、燕返しは佐々木小次郎が編み出し、命名した技だったはずなので時代的にずれています。私の知識も確かなものではないのであまり偉そうなことは言えませんが。
幽々子様の過去話は個人的にツボなのでそれらさえなければ満点でした。
>本文にも書いてありますが、この時代は甲冑を着て刀をぶつけ合い、相手の体勢を崩して刺し殺す力任せの介者剣術が主流で、現代のように技術体系として確立した剣術というものは存在しておりません。そんな訳で、妖忌が現代剣道にも通じる剣術を身に着けている段階ですでにおかしいことになります。まぁ、魂魄二刀流は一子相伝なので後世に伝わる前に幻想入りしたということです
そんな訳で、妖忌の使ったのは魂魄妖忌の編み出した燕返しであり、佐々木巌流の燕返しとは似て非なるものです
本文をよく読むと、佐々木巌流の燕返しとの違いが分かると思います
パロあるならタグに入れろと。
内容はいいけどねぇ・・・。
さすがに僕に『か・く・の・や・め・た・ら・?』とか言うだけはあるなっておもったよ。
でもそんだけ書かれて分かるかっての。
てか『やめちまえ宣言』すんなら具体的に書けよ。
僕がいってることわかんないんだったら、
『剣と刀』に自分が書いたコメント読み直して思い出してください。
ま、僕的感想は話の内容はハイクオリティー(僕の目からはみんなそうだけど)と思うけど。
かわいそうにな、不評のが多いみたいだな。
さて作中に寝殿造りとありましたがそうすると時代は古くとも平安以降、その場合ですと平時において人を斬るための剣術は確立されてるはずですが……
とくめーきぼー
見損ないました。
あなたの作品に期待していたのですが裏ではこんなことしてたんですね。
お二人で場所を変えて議論してみたらどうですか?
もう謝ったとはいえ書くのやめろいわれたんぞ?
見損なうだなんだいってるけどさ、やめろだぞや・め・ろ。
もうお互い和解したんだろうから言いたくはなかったけどさ、
とくめー対象に言うのはゆるさねえ!
でもダイさんも責めちゃ駄目だぞ、お互いあやまったんだから。
それに俺やとくめーさんはダイさんシリーズはいい作品だと思ってるし
超才能あると思ってるからむしろ22,23なんて後悔してたんだぞ、
こんなこと書いてしまったことをな。
寧ろ批判する奴らが多いのが理解できねぇ
ショックの勢いで書いてしまいました。
あなたの作品、とてもハイクオリティーで、
とてもすばらしかったのに……
本当にひどいこと書きました。
フォローしてるの友人です。
確かにとくめーは最低だし「やめたら?」と書いてしまったダイさんも最低かもしれない。
でもひとつわかってほしいのは両者とも最終的に謝った。
大切で美しいのはどんなに傷つけあっても最終的に和解する仲だと思う。
だからこれいじょうとくめーサイド(11、64、65、57、66,67関係)についても
ダイさんサイド(22,23,25、26関係)についても言うのはこれを期に一切止めて頂ければ嬉しいと思う。
なんか偉そうになってしまって申し訳ない。
俺はあまり指摘以外の嫌味(やめたら、具体例無くつまんねえ、場違いetc)とか言うのは嫌いだ。
それにとくめーみたいにいちいち反撃に出向くのも嫌いだ。
ただ単に小説を読み、指摘すべき場所を指摘したりすればいいじゃないですか。
ダイさん、もしあなたが今までのシリーズのコメント(場違いetc)
を気にしてHPつくったのならぜひHP名を教えてください。
貴殿の作品とくと拝見いたしたい。
とくめー、おまえもがんばれ。
ここはファンの多い「東方」の小説サイトだ。
もう失言やら罵倒やらはブッ飛ばして幻想郷の物語をかくなり読むなり楽しもうじゃありませんか。