この話は作品集121にある「赤髪の彼女たち」の続きになっております。
本作だけ読んでも分からない点があると思うので、先にそちらを読んでもらうと光栄です。
それでは以下より「銀髪のあなた」、スタートです。
~ ~ ~
きっとだれにも忘れられないものがあると思う。
風景だったり、音楽だったりと。これは人それぞれだろう。
私にとってそれは絵本であった。
まだ紅魔館に雇われて間もないころ、休憩時間中に図書館の中で本を見て回っていた。
しかしその行動の中には、感慨はほとんど含まれていない。
正確には、「時間つぶしのため、ただ本に視線をやりながら図書館内を歩いていた」と言ったほうが正しいだろう。
私はそんな決して有意義とは言えない行為に、時間を費やしていた。
それからしばらくして、私は足を止めた。
視線の先には絵本があった。まわりの本は大人でも読まないようなものばかりなのに、なぜかそこに似つかわしくない子供向けの本があった。それが私の興味を大いに引いたのである。
当たり前なのは分かっていた。なんせそれは絵本なのだから。
それでも言わせてもらうなら、内容はとても陳腐だった。
あらすじはこうである。
仲のいい王子様とお姫様がいた。しかしある日、些細なことで王子様はお姫様を怒らし、お姫様が城を出て行ってしまうのだ。王子様は悲しみ、部屋に閉じこもってしまう。それからしばらく経つとお姫様が泣きながら帰ってきて、王子様がお姫様に愛をささやき、仲直りをする。
もし大人がこの作品を読んでも、何も感じないだろう。もし感じるとしても、それは嘲りだったり罵りだったりときっといい感情は浮かんでこないと思う。
しかし私は違った。
陳腐とは思ったがそれ以上の酷評する感情は生まれなかった。それ以上に私はこの作品はいいと思えた。
簡単に言ってしまえば私はこの作品を気に入ったのだ。
理由は、最後の泣いているお姫様に愛をささやく王子様がかっこいいと思ったからだ。
だから気に入ったという思いと一緒に、いつの間にか「憧れ」という感情も抱いていた。
いつか私もこんなことをしてみたい、そう思いながら今日までこの絵本を忘れたことはない。
しかし私は年を重ねる度、ある思いが強くなってきた。
こんなことはありえない。
これは絵本の中だけの話だ。
もしかしたら「憧れ」と「あきらめ」は常に一緒にいるのかもしれない。
私の明るい感情と対立する暗い感情は増えるばかりだった。
それでも私は夢を見続けた。「あきらめ」に屈しないように自分を奮い立たせた。
それでも暗い感情は私に容赦なく言うのだ。
現実はそんなに甘くない、と…
銀髪のあなた
* * *
「はぁ~」
私、紅美鈴は霧の湖のほとりに立っていた。そこで珍しく霧のかかっていない湖面に映る月を見ながら、一つため息を吐いた。空で輝く月が私の影を後ろの地面に投影している。
小町さんと別れた後、私は意気揚々と紅魔館に向かっていた。
しかし情けないのだが、近づくにつれて自分の中の臆病虫が騒ぎだしてしまった。
悩んだあげく、その虫に負けてしまい霧の湖で道草を食っていたのだ。
私はもう一度ため息を吐いた。臆病な自分にあきれながら。
空を見上げると、少し欠けている月がきれいであった。湖に映った月とはまた違う美しさがある。
その美しさと今の自分を対比してしまい、余計に寂しさがこみ上げてきた。私は視線をまた下に向けた。
いつまでここにいるのだろう。
心の中でそうつぶやいた。
紅魔館まではもう少しなのだ。もう少しで咲夜さんに会えるのだ。
しかしそう思えば思うほど、より臆病虫が騒ぎだしてしまう。
だから私はただ湖面を見つめていることしかできなかった。
「咲夜さんに会いたいなぁ~」
今度のつぶやきは声になっていた。
言った後に自分が大胆なことを口にしたことに気が付き、一人で恥ずかしくなった。しかしそれが自分の本音であることは確かであった。
つぶやきを声に出したおかげかどうかは分からないが、ほんの少しだけ勇気がわいてきた。
私はその隙に猫背のまま後ろを向いた。最低限、紅魔館のほうを向こうと思ったのだ。
そして再びため息を吐き、うつむいていた顔を前に向けた。
「………」
「おぉっ!!」
かなり驚いて、声まで上げてしまった。
変な構えを取ったまま、体が動かなくなった。
理由は簡単である。湖には私だけしかいないと思っていたが、後ろを向いたらなんと咲夜さんが立っていたのだ。
能力もあり、私は気配を敏感に感じることができる。しかし数メートルしか離れていない咲夜さんに気が付かなかったということは、それほど考えることに集中していたということだろう。しかしそれだけに私の驚きも大きかった。
その表情は月に照らされていて、よく見えた。目を白黒している私に対して、咲夜さんは仏頂面を浮かべている。しかしその顔は赤く、ずぅっと斜め下を向いている。
なんだか嫌な予感がした。
「…いつからいたんですか?」
「…ついさっき」
「も、もしかして私のつぶやき、聞こえちゃいました…?」
しばらく間が空き、顔を赤く染めたまま静かに咲夜さんが頭を縦に振った。目は斜め下をとらえたままである。
嫌な予感が的中してしまった。
その瞬間、私の顔も赤くなっていたにちがいない。なんせ恥ずかしいという感情が体を満たしていたのだから。
どうやら彼女の顔が赤かったのは私のせいだったらしい。
まさか聞かれるとは思っていなかった。そのせいで頭の中は困惑状態である。
咲夜さんがさっきの言葉をどうとらえたかは、彼女の顔の色を見れば大体想像ができる。
まるで第三者が時間を止めてしまったように、私たちは動けなかった。
* * *
「咲夜さんはなぜここに…?」
「………」
困惑状態が解けてきたので、とりあえずそんな質問を投げかけてみた。
咲夜さんがこちらに顔を向け、口を開いた。顔の赤味が薄くなっているのがわかる。
「紅魔館に戻っている途中、この湖を通り過ぎようとしたらあなたの姿が見えて。それでここに下りたのよ」
彼女の顔は不機嫌そうであった。
私は「なるほど」とつぶやき、苦笑いを浮かべた。
「…あなたが出て行った後、お嬢様に怒られたわ。私の了承なしに働いている者を勝手にクビにするなって。それであなたを探して来いと命じられて、いろんなところを探していたわ」
咲夜さんは私を責めるようにそう言った。
どうやら彼女が不機嫌面なのも私のせいらしい。言い分が少し一方的な気もするが、迷惑をかけたのは確かなので謝ろうと息を吸った。
口を開こうとした瞬間、頭にあることが浮かんだ。
私が昼に彼女を怒らしてしまったこと。
私は今日一日、それに対して謝罪をしたかったこと。
苦笑いを浮かべていた顔を真剣なものへと切り替えた。
探させてしまったことよりそれを先に謝んないといけないではないか、そう思ったのだ。
私は口から出そうになっていた言葉を飲み込み、不機嫌面を浮かべている咲夜さんに対して頭を下げた。
「お昼の時変なことを言ってしまい、すいませんでした」
抽象的な表現を含んでしまった、謝罪の言葉を私は言った。しかし、言いたいことが十分に含まれている言葉である。
しばらく頭を下げていたが、それに対しての返答が返ってこないので恐る恐る頭をあげてみた。
いつの間にか咲夜さんの表情が、いつも通りの無表情に近い顔に戻っていた。
「まぁ、今回は私も言いすぎたわ…」
目を背けながらそう言った。月に照らされていて彼女の顔がほんのり赤いのがわかる。
ふと自分の心がとても軽くなっていることに気が付き、私は笑顔を浮かべた。
* * *
「そ、それでですね…」
「…なにかしら?」
私は顔を崩したまま、歯切れ悪く言葉を言った。恥ずかしさに連動するかのように、手は頭を掻いている。
確かに最初と比べれば心がとても軽くなったのがわかる。
それでも心にはまだ重しがくっついていた。
その正体は知っている。告白の言葉を告げていないことから生じる、後味の悪さ。
同時に、それを取り除く方法も知っている。咲夜さんに告白してしまえばいいのだ。
しかし、肝心の告白の言葉が出てこない。言おうと思うと体が私自身に鼓動を早めたり、口の中を乾かしたりと意地悪をしてくるのだ。
そのせいで続きの言葉が出てこないで、ただ時間だけが過ぎてしまう。
「いったい、どうしたの?」
咲夜さんの警戒も強まるばかりである。
「ちょ、ちょっと待っててください」
そう言うと私は手を広げ、深呼吸をした。
これが意外と効果があるのだ。昔から緊張した時は手を広げ、深呼吸をしている。
よし。とうとう自分の中の覚悟が決まった。
私は顔を引き締め、咲夜さんのほうを向いた。
「わ、私は…」
『はやくお嬢様に告白しちゃいましょう!』
…いきなり頭の中に今日の昼、言った言葉が浮かんできた。
その途端、体の力が一気に抜けてしまった。別に言ってしまった後悔を遅れながらに感じたわけではない。
ただ、この言葉を言った理由を思い出してしまったのだ。
そうだ、私は気が付いていたじゃないか。
咲夜さんがお嬢様に過剰なまでに尽くしていたことを。
幽香さんの言った「特別な感情」は私にではなく、お嬢様に向けられていることを。
だから私はこの言葉を言ったのだ。
視界がうるんできた。唇を強くかみしめた。
私は悲しかった。
お嬢様への嫉妬など他者への気持ちは浮かんではいない。自分の恋が実らぬものであることに対しての悲しみだけが心を満たしていた。
告白しても断られる、そんな「あきらめ」が私を覆っていた。
私はその場でうなだれた。
「だ、大丈夫?」という咲夜さんの心配してくれてる声が聞こえたが、返答することはできなかった。
私は本日二度目の絶望を感じながら、何とか口を開いた。
「さ、咲夜さんはなんであそこまでお嬢様に尽くせるんですか…?
……やっぱりお嬢様が好きなんですか?」
目をぬぐい、前を向いた。
咲夜さんは驚いた表情を見せたが、それはすぐに優しい笑顔に変わった。
いきなり咲夜さんがこちらに向かって歩き始めた。
私は何かされそうな気がして身構えたが、咲夜さんは私の横を通り過ぎてしまった。
少し驚きながら振り向くと、あと一歩踏み出せば湖に落ちてしまうようなところに彼女は止まっている。
私は咲夜さんの後を追いかけ、彼女に並んだ。
「私は星になりたいのよ」
湖に映る星を見ながら表情を変えず、咲夜さんが言った。もしかしたら月を見ているのかもしれないが、なぜだか彼女は今、星を見ている気がした。
私は呆気にとられ、目をぱちくりとさせるばかりである。
「お嬢様は捨てられていた私を拾ってくれたのよ。雨の中、ずぶぬれで震えていた私に手を差し伸べてくれたの。そのまま私を紅魔館まで連れて行って、温かいスープを出してくれたわ。それがたまらなくうれしくてその時お嬢様に、ここで働かせてほしいと言ったの。次の日から私は他のメイドと同じ仕事を任された。まだ子供だった私にとってそれらすべての仕事が重労働だったけど、それでも食事や住みかを与えてくれたお嬢様に対して、反抗心を抱いたことは一度もないわ。むしろ必要としてくれて、私はとてもうれしかった」
咲夜さんが視線をこちらに向けた。瞳は星のように輝いていた。
「それで私は決めたの。お嬢様が月ならば私は星になろうと。月が美しく見えるように私が星となって、全身全霊で補佐しようと。…だから私がお嬢様に抱いている気持ちは恋愛感情ではなく、ただ恩返しをしたいという気持ちだけよ」
彼女は自分の夢を語る少年のように無垢な笑顔を浮かべていた。
そんな咲夜さんに私も笑顔を浮かべた。
そのうち咲夜さんは控えめな笑顔に直し、再び湖へと視線を向けた。私も同じ方向を見た。
もう私の気持ちを止めるものは何もない。さっきより覚悟が固まっていた。湖の星たちと月が応援してくれているようにも思えた。
顔を引き締め、私は大きく息を吸った。
「お嬢様に対して星なら、私に対しての咲夜さんはお姫様になってくれませんか?」
きざな告白をしたせいで、より恥ずかしさが上昇していた。
* * *
横目で咲夜さんがこちらを向いたのが見えた。
それでも私は前を向いたまま、咲夜さんのほうを向けなかった。私の中の臆病虫が最後の足掻きを見せたからだ。
私は彼女がしゃべる隙を与えず、話を続ける。
「私は昔、図書館である絵本を読んだんです。内容は仲のよい王子様とお姫様がケンカをして、でも最後に仲直りをするというだけのものです。しかし私はその話を忘れたことはありません。最後の泣いているお姫様に愛をささやいた王子様が格好よかったからです」
頭が沸騰しそうだった。言ってることが自分でもよくわからなくなっていた。それでも自分の気持ちをしっかり伝えている自信はあった。
「いつからかはわかりません。でもわかることは、私は咲夜さんが大好きです。怒った顔も笑顔も全部大好きです。だから…」
私は咲夜さんのほうに体を向けた。月に照らされている彼女の顔がとてもきれいだと思った。
「私のお姫様になってくれませんか?」
私の顔は真っ赤に違いない。なんせ咲夜さんの顔が真っ赤なのだから。
告白をした達成感を感じていた。そして返事に対しての不安も感じていた。
何分か私たちは顔を見合せたまま硬直していたが、しばらくして咲夜さんが真っ赤な顔を湖に向けた。体もそっちに向けたままである。
「わ、私は星よ…?」
困惑しながらも静かに彼女が言い放った。私は唇を強くかんだ。
「私はお嬢様に忠誠を誓っている…だからあなたが寝ていれば今日みたいに叱るわ。時にはナイフも投げる。大変な仕事をお願いすることもある。もしあなたとお嬢様が同時にピンチだったら、私は間違いなくお嬢様を助けるわ」
咲夜さんがゆっくりこちらに顔と体を向けた。唇をかむ力が弱くなっており、いつの間にか私の口は半開きしている状態になっていた。
「そんな私があなたのお姫様でいいの…?」
彼女の瞳はうるんでいた。声も震えていた。
どうやら私はまた彼女を泣かせてしまったらしい。
しかし泣かせてしまったというのに、申し訳ない気持ちは全然わいてこない。
代わりにわいてくるのは喜びだけだった。その喜びの大きさをあらわすように、鼓動の音が大きくなっている。
「わ、私は咲夜さんに迷惑をかけるし、今日みたいに傷つけることもあると思います。それに昼言ったとおり、咲夜さんを好きな人は紅魔館にいっぱいいます。……それでも、私があなたの王子様でいいんですか?」
咲夜さんの瞳からとうとう涙が垂れてきてしまった。それでも彼女の顔は笑顔のままである。
そして咲夜さんが頭を縦に振った。
私までも泣きそうになってしまった。うれしくてうれしくて涙を流したくなった。
しかし私はそれをこらえ、無理やり笑顔をつくった。
姫が泣いてしまったら、王子は何をすればいいのか分かっているからだ。
私が長年抱いた「憧れ」はたった今現実と重なったからだ。
私は咲夜さんのほうに歩きだした。
私たちの距離はどんどん短くなる。最初は触れることもできなかったのに、もう手を伸ばせば届くほど近くなり、最終的には後ろの地面に投影されていた私と咲夜さんの影が重なった。
私は咲夜さんを抱きしめた。大好きな人を強く抱きしめた。耳元では彼女の小さな泣き声が聞こえている。それでも私は彼女の体を自分に抱き寄せる。
優しく咲夜さんの頭をなでた。それでも泣きやみそうになかった。
頭の中には、あの日読んだ絵本の一ページが浮かんでいた。私がその絵本を気に入り、読んだ日から忘れることができなくなった原因となったもの。
そこに描かれているのは泣く姫を抱きしめ、愛をささやく王子。
そして私はとうとう咲夜さんの耳元で、そこに書かれているセリフを読み上げた。
「泣きやんでください、我が愛しき姫よ」
…暗い感情は言った。
『こんなことはありえない』『これは絵本の中だけの話だ』
しかしそうじゃないことは今、証明した。
なぜなら私はそれを現実で実行したからだ。
だから卑屈な感情を心の中で笑ってやった。
…だがその感情が言っていたことも一理はあるらしい。
『現実はそんなに甘くない』
私はこの意見にたった今心から賛成できた。
理由は簡単である。
現実の姫は、愛のささやきを聞いたら余計泣きだしてしまったのだ。
* * *
「…落ち着きましたか?」
「……ええ」
私は咲夜さんをなでていた手を止めた。
咲夜さんがより大きな声で泣き出してしまった時は戸惑ってしまい、何をしていいのか分からなくなってしまった。
だがこのまま抱きしめているだけというのも悪いので、彼女が落ち着くまで私の胸にうずくめている頭をなでていたのだ。
それが何分か続き、どうやら彼女は落ち着くことができたらしい。
「ごめんね、美鈴…」
「どうして謝るんですか…?」
咲夜さんが私の腰に手を回したまま体を離し、私と向かい合った。身長の問題で彼女が私を見上げている状態となっている。
彼女の目はまだうるんでいた。顔も赤いままである。
「あなたの夢だったのに、泣きやむことができなくて…」
「そんなの気にしないでください。あれは単なる私のわがままですから。それに…」
「それに…?」
咲夜さんと目を合わせながら、私は再び笑顔をつくった。
「お姫様がほしい、という夢はかないました」
彼女の顔がもっと赤くなった。私も言っておきながら恥ずかしくなり、自分の頬を掻いた。
「実はね…あなたを探しに行ったのはお嬢様の命令じゃないの」
「そうなんですか?」
「ええ。このままあなたがクビになっちゃうのも嫌だから、お嬢様に探しに行ってもいい許可をもらったの。でも、あなたが早く私の気持ちに気が付いてくれたら、こんなことにもならなかったのに。……というか昼のあれはなによ!『お嬢様に告白しましょう』って。あなた本当に鈍感なのね!いつも差し入れ持っていったりしてあげているのに。あの差し入れはあなたにしか持っていっていないのよ!?」
いっきに咲夜さんが言ってきた。彼女には言いたいことがたまっていたらしい。言い終わってもなお、こちらを睨んでいる。しかしその顔は子供が拗ねた顔のようで可愛らしかった。
私はそんな相手に苦笑いを浮かべながら、謝罪の言葉を言うのであった。
しばらく見つめ合っていると、突然咲夜さんが悲しげな表情を浮かべた。
「…紅魔館に戻れば私はメイドとなり、あなたは門番。こう抱きついていられるのも今のうちなのね…」
とても悲哀の満ちた声でそう言った。しかし、私は笑顔を崩さず言い返した。
「大丈夫です。二人きりならいつでもどこでもあなたは美鈴王子のお姫様です」
そう言うと目をきょとんとさせたが、すぐに咲夜さんは声を出して笑いだした。「笑わないで下さいよ~」と照れながら言ったが、彼女を見ていたら私も自分の言葉がおかしく思えて一緒に笑った。
それからしばらく二人で笑いあい、ちょうど笑いが収まってきたとき咲夜さんが口を開いた。
「さあ、そろそろ紅魔館に戻りましょう」
そう言い、私の腰から手を離した。
しかし私は離さなかった。やることがまだ残っているからだ。
「さ、咲夜さん…」
「…どうしたの?」
私はまたまた自分の顔を引き締めた。咲夜さんはただ驚くだけだった。
「絵本は仲直りをして終わります。それ以上は何もありません。しかし私には夢がもう一つあります。なのでここからはわたくし美鈴王子の独断で行動させていただきます」
そう言い、私は深呼吸をした。
腕を広げることはできなかったが、今回も効果があったらしく覚悟を決めることができた。
私は彼女の顔に自分の顔を近づけていった。最初は接触もできないほど離れていたが、もうお互いの吐息がかかるほど近くなり、最終的には……
私と咲夜さんの唇が重なった。
湖のほとりで、私はお姫様となったあなたに口づけをするのであった。
でも、幽リグもよろs(殴
何だ砂糖か(´・ω・)
めーさくなめーさくでした!
gj!!!