外の世界で、スポーツカーなるものが幻想となったらしい。今、幻想郷にはスポーツカーと呼ばれるものが流通している。
これは乗り物の一種で、魔力を原動力としてものすごいスピードで走るのだ。お嬢様はこれがえらく気に入った御様子で、新たなモデルが幻想入りして河童の工房で再生される度に購入して咲夜さんを泣かせている。
まあそんな訳で、現在紅魔館の中庭にはスポーツカーが30台程並んでおり、車体に傷が付いて、修理の予定もなかった古いモデルの一つをしがない門番の私が貰い受ける事になったのだ。
「わぁ~~~~~・・・・・・・」
なんだか、幻想郷に来てから物を持つという事はあまりなかった気がする。こうして門の前まで移動させてくると、こんなおっきいものが私のものなんだと実感してうれしいやらむず痒いやら、なんだか変な気持になってくる。
因みに私には運転の才能があったみたいで、結構スピード出してたのに一度もぶつける事無く中庭からここまで運転してこれた。えっへん。
「でわでわ、さっそく」
一旦降りたスポーツカーに再び乗り込み、エンジンをかける。当所無くスポーツカーを走らせる事はドライブと呼ばれ、紳士淑女の嗜みであるとお嬢様が言っていた。そう、私はたった今から淑女なのだ!!!
ブルンブルンブオオオオオオオオオオオオオオオ
「キャー!!!!!」
速い速い!!!!このモデルは時速700kmまで出ると聞いていたが、本当に速い!!!
そりゃ、私が本気で地面を蹴り飛んだらもっと速いけど、そういう事ではないのだ!そう、ロマン!これはロマンなのだ!!
アホみたいな乗り回しをするお嬢様に耐えうるだけの耐久性を持ったこのスポーツカーはどんな悪路も遮蔽物もぶっ飛ばしていく。魔法の森も無人の野のよう!まさに気分爽快!!加速加速加速ぅ!!!!!!
「いっけえええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドルルンドルルンドルルンドルルン
グッシャアアアアアアアアアアアアアアア
「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!まりさああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
・・・・・ん?今一瞬アリスさんの声が聞こえたような・・・・
速すぎて回りがよく分からないのスポーツカーの欠点かもしれない。取り敢えず戻ってみよう。
停止して車体の向きを変えて、魔力ブースト!一気に最高速まで加速!!!!!
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
グッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!まりさああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
うーん、やっぱり速くてよく分からない。仕方ないから気にしない事にしよう。また停止して車体の向きを変えて、魔力ブースト!一気に最高速まで加速!!!!!
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
グッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!まりさああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドライブを終えて紅魔館の門前に戻ると、もう日はとっぷり暮れていた。
「はあ~、楽しかったな、ドライブ」
「そう。それはよかったわね」
ザシュッ
「痛いいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!」
頭にナイフが突き刺さる。咲夜さん以外にこんな事する人はいない。というか本当に痛いですよ、咲夜さん!
「あなたねえ、昼間から仕事全部ほっぽりだしてスポーツカーでドライブって、真剣に頭おかしいんじゃないかしら?どこの世界にそんな労働者がいるの?というかどうしたらそんな発想が出てくるのかしら?」
「あう・・・・・・・・・」
いや、悪いとは思ってますよ。思ってますけど・・・・・
「貴方、私の何十倍も生きてるんでしょう?いい加減ねえ、そういう訳の分からない行動は抑えるべきなんじゃないかしら?」
「だって・・・・私、自分のものなんて、持ったの久し振りで・・・・」
・・・・先代様が生きてた頃はそうじゃなかったけれど、現在の紅魔館は生産活動をほとんどしてない事もあって、基本的にお給金はない。おまけに門番というのはここに立ち続けてるだけの仕事だから、あまり人とのかかわりは無い。こうしてものを持ったのは、本当に久しぶりだったのだ。
「・・・・・・まったく。そんなの、職務放棄の理由にならないわよ」
「はいぃ・・・・・・・・・・・」
いや、わかってますけどね。・・・・・あれ、なんで私こんな事言っちゃったんだろ。同情を買うのは、私は嫌いだ。普段の私はこんな事言うはずないのに。
「・・・・・・罰として、明日の買い出し、貴方が車出しなさい」
「・・・・え?」
「・・・聞こえなかったのかしら?明日、私を里まで送りなさいって言ってるの。それとも拒否する気かしら?」
「め、めっそうもない!!誠心誠意送らせて頂きます!!」
「そ。じゃあ頼んだわよ。きちんと出来たら、余ったお金で何か買ってあげるから、精々寝坊しないようにね」
「・・・・・・・はいっ!!!!」
咲夜さんはやっぱり優しい。でも、普段の私だったら、あんなおねだりみたいな形になったら、絶対に拒否するはずなのに。
どうして、そういう気持ちが、起こらないんだろう。
「さ、もうおゆはんだから食堂に行ってなさい。ちゃんと手は洗いなさいよ。」
・・・・・・わがままを言いたい気持ちになったのはいつぶりだろう。
「あの、咲夜さん」
「何かしら?」
「私、買ってもらうより、咲夜さんに何か作ってもらった方がうれしいかな~、なんて・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
・・・・ダメ、かな
「あ、いや、あの、輪ゴムとかでもいいですから!!」
「ふふっ・・・・・・輪ゴムなんてどうやって作るのよ。馬鹿ね」
「あう・・・・」
何言ってんだ私は・・・・
ああ、あんな事言わなきゃよかった・・・
「貴方が頑張ったら、考えてあげるわ。しっかりしなさいよ、美鈴?」
「あ・・は、はいっ!!!!!」
・・・・・咲夜さんといると、調子が狂う自分がいる。その言動に、割と本気で一喜一憂する自分がいる。それは、どういう事なんだろうか。
何か重大な事のような気もするし、でも、彼女が死んでしまったとしても、結局何も変わらない私がいる気がする。
結局、長い生涯の中で暇潰しを楽しんでるだけに過ぎないのだろうか?そう思うと、何故か少し胸が痛かった。
でも、私のそんな微かな感情の揺らぎは、今は、明日への期待で簡単に塗り潰されたのだった。
これは乗り物の一種で、魔力を原動力としてものすごいスピードで走るのだ。お嬢様はこれがえらく気に入った御様子で、新たなモデルが幻想入りして河童の工房で再生される度に購入して咲夜さんを泣かせている。
まあそんな訳で、現在紅魔館の中庭にはスポーツカーが30台程並んでおり、車体に傷が付いて、修理の予定もなかった古いモデルの一つをしがない門番の私が貰い受ける事になったのだ。
「わぁ~~~~~・・・・・・・」
なんだか、幻想郷に来てから物を持つという事はあまりなかった気がする。こうして門の前まで移動させてくると、こんなおっきいものが私のものなんだと実感してうれしいやらむず痒いやら、なんだか変な気持になってくる。
因みに私には運転の才能があったみたいで、結構スピード出してたのに一度もぶつける事無く中庭からここまで運転してこれた。えっへん。
「でわでわ、さっそく」
一旦降りたスポーツカーに再び乗り込み、エンジンをかける。当所無くスポーツカーを走らせる事はドライブと呼ばれ、紳士淑女の嗜みであるとお嬢様が言っていた。そう、私はたった今から淑女なのだ!!!
ブルンブルンブオオオオオオオオオオオオオオオ
「キャー!!!!!」
速い速い!!!!このモデルは時速700kmまで出ると聞いていたが、本当に速い!!!
そりゃ、私が本気で地面を蹴り飛んだらもっと速いけど、そういう事ではないのだ!そう、ロマン!これはロマンなのだ!!
アホみたいな乗り回しをするお嬢様に耐えうるだけの耐久性を持ったこのスポーツカーはどんな悪路も遮蔽物もぶっ飛ばしていく。魔法の森も無人の野のよう!まさに気分爽快!!加速加速加速ぅ!!!!!!
「いっけえええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドルルンドルルンドルルンドルルン
グッシャアアアアアアアアアアアアアアア
「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!まりさああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
・・・・・ん?今一瞬アリスさんの声が聞こえたような・・・・
速すぎて回りがよく分からないのスポーツカーの欠点かもしれない。取り敢えず戻ってみよう。
停止して車体の向きを変えて、魔力ブースト!一気に最高速まで加速!!!!!
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
グッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!まりさああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
うーん、やっぱり速くてよく分からない。仕方ないから気にしない事にしよう。また停止して車体の向きを変えて、魔力ブースト!一気に最高速まで加速!!!!!
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
グッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!まりさああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドライブを終えて紅魔館の門前に戻ると、もう日はとっぷり暮れていた。
「はあ~、楽しかったな、ドライブ」
「そう。それはよかったわね」
ザシュッ
「痛いいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!」
頭にナイフが突き刺さる。咲夜さん以外にこんな事する人はいない。というか本当に痛いですよ、咲夜さん!
「あなたねえ、昼間から仕事全部ほっぽりだしてスポーツカーでドライブって、真剣に頭おかしいんじゃないかしら?どこの世界にそんな労働者がいるの?というかどうしたらそんな発想が出てくるのかしら?」
「あう・・・・・・・・・」
いや、悪いとは思ってますよ。思ってますけど・・・・・
「貴方、私の何十倍も生きてるんでしょう?いい加減ねえ、そういう訳の分からない行動は抑えるべきなんじゃないかしら?」
「だって・・・・私、自分のものなんて、持ったの久し振りで・・・・」
・・・・先代様が生きてた頃はそうじゃなかったけれど、現在の紅魔館は生産活動をほとんどしてない事もあって、基本的にお給金はない。おまけに門番というのはここに立ち続けてるだけの仕事だから、あまり人とのかかわりは無い。こうしてものを持ったのは、本当に久しぶりだったのだ。
「・・・・・・まったく。そんなの、職務放棄の理由にならないわよ」
「はいぃ・・・・・・・・・・・」
いや、わかってますけどね。・・・・・あれ、なんで私こんな事言っちゃったんだろ。同情を買うのは、私は嫌いだ。普段の私はこんな事言うはずないのに。
「・・・・・・罰として、明日の買い出し、貴方が車出しなさい」
「・・・・え?」
「・・・聞こえなかったのかしら?明日、私を里まで送りなさいって言ってるの。それとも拒否する気かしら?」
「め、めっそうもない!!誠心誠意送らせて頂きます!!」
「そ。じゃあ頼んだわよ。きちんと出来たら、余ったお金で何か買ってあげるから、精々寝坊しないようにね」
「・・・・・・・はいっ!!!!」
咲夜さんはやっぱり優しい。でも、普段の私だったら、あんなおねだりみたいな形になったら、絶対に拒否するはずなのに。
どうして、そういう気持ちが、起こらないんだろう。
「さ、もうおゆはんだから食堂に行ってなさい。ちゃんと手は洗いなさいよ。」
・・・・・・わがままを言いたい気持ちになったのはいつぶりだろう。
「あの、咲夜さん」
「何かしら?」
「私、買ってもらうより、咲夜さんに何か作ってもらった方がうれしいかな~、なんて・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
・・・・ダメ、かな
「あ、いや、あの、輪ゴムとかでもいいですから!!」
「ふふっ・・・・・・輪ゴムなんてどうやって作るのよ。馬鹿ね」
「あう・・・・」
何言ってんだ私は・・・・
ああ、あんな事言わなきゃよかった・・・
「貴方が頑張ったら、考えてあげるわ。しっかりしなさいよ、美鈴?」
「あ・・は、はいっ!!!!!」
・・・・・咲夜さんといると、調子が狂う自分がいる。その言動に、割と本気で一喜一憂する自分がいる。それは、どういう事なんだろうか。
何か重大な事のような気もするし、でも、彼女が死んでしまったとしても、結局何も変わらない私がいる気がする。
結局、長い生涯の中で暇潰しを楽しんでるだけに過ぎないのだろうか?そう思うと、何故か少し胸が痛かった。
でも、私のそんな微かな感情の揺らぎは、今は、明日への期待で簡単に塗り潰されたのだった。
もっとやっちゃってくださいw
ヴェイロンですら直線11㎞つかってようやく500キロでるくらいなのに。
空気抵抗もトラクションも各部の強度もどうなってるのやら。
あと加速もヤバそう。ドライバー死ぬんじゃ?
えっ?ヴェイロンって400オーバーが限界なのでは?