博麗神社。
幻想郷と呼ばれる世界にたたずむ、とある神社。
鬼、吸血鬼、魔法使い、死神…。
様々な種族の妖怪や、人間が毎日のように訪れる賑やかな神社。
その割には、神社はボロボロで賽銭箱も空っぽ。
人里からの参拝客は正月くらいにしか訪れないのだ。
そんな神社で、相変わらず其処の巫女さんはのんびりと掃除を繰り返していた。
赤を基調とした巫女服、なのだが脇が出ているという特徴的な服。
リボンを頭に付けて、黒髪を風になびかせながら、少女は箒で境内を掃いていた。
そんなときに、1人の少女が神社へと降り立った。
箒にまたがり、白と黒の服を着た魔法使いの少女。
笑顔で微笑み、魔法使いの少女は巫女へと言葉を告げる。
金色の髪が太陽に映えてキラキラ光って見えた。
「よっ、『霊夢』。」
「…なぁんだ、またアンタ?」
金髪の少女の笑顔をぶった切るように、『霊夢』と呼ばれた巫女さんは溜息を吐いた。
客人相手になんという反応であろうか。
「なっ、なんだよまたって!昨日の昼以降、私此処に来てないぜ!?」
「毎日来てるじゃない。賽銭も入れないくせに…。」
嫌味ったらしくそんな事を言いながら、霊夢は掃除を続けていた。
そんな霊夢を見て、魔法使いの少女は駆け出し、霊夢のもとへ向かった。
「酷いぜ霊夢!私が何をしたって言うんだぜ!?」
「何もしてないのが悪いんでしょ、いい加減しつこいわよ『魔理沙』。」
まわりが聞けば、なんと酷い少女だと思うことだろう。
だが、2人の間ではこんな会話が当たり前だった。
そしてその後は、いつも決まったように2人同時に笑い出す。
先に笑い出すのは、いつも魔理沙と呼ばれた少女。
「…はっ…あっはっはっはっは!!」
「くす…くすくすっ。」
そして2人は笑い終わった後、ゆっくりと神社の中へ入っていく。
霊夢が誘いを出し、魔理沙がそれに付いて行く、と言った様な感じだ。
そして2人が神社の中に入ってから実に数時間後…。
空は真っ暗になり、もう既に夜になっていた。
「霊夢ー、茶菓子とかないのぜ?」
「んなもんないわよ。欲しかったらもう少し賽銭入れなさいよね。」
和風。
そういう言葉が一番似合うような居間。
畳張りの床。傍には縁側があり、部屋の真ん中には丸いちゃぶ台。
ただし、所々ボロボロであるが。
「賽銭賽銭…そんなに困ってるのか?」
「まぁ…困ってないって言ったら嘘になるかしらね。
実際食事もままならない状態な訳だし…。」
「…何食ってるんだ?」
「いつも何処かにたかりに行ってるわ。」
そして霊夢は指を折り、一つ一つ数え始める。
近頃は毎日たかりに行っている。そのことに興味を持った魔理沙は一直線に霊夢を見据えながら聞く。
「昨日は白玉楼でしょ…焼き魚食べたわ。『妖夢』のご飯美味しいのよね。
一昨日は紅魔館…。『咲夜』のデザートが中々に美味しかったわ。でも全部洋風なのがちょっとねぇ…。
その前は守矢神社。『早苗』と一緒にご飯作ったらタダで食べさせてもらえるって言われたから…。
で、その前は紅魔館…その前も紅魔館…またまた紅魔館…もういっちょ紅魔か―――」
「最終的に紅魔館ばっかりじゃないか!」
痺れを切らした魔理沙は霊夢に瞬時にツッコミを入れる。
まぁ実際言ってしまえば紅魔館の料理が美味しい訳だ。
「だ、だって守矢神社とかだと料理作るの手伝わさせられるんだもの!」
「それくらい頑張れば良いじゃないかなのぜ!!」
「嫌よ面倒臭い!」
余りにも自信満々に、そして尚且つとても大きな声でそう叫ぶ霊夢。
それを聞いた魔理沙は思わず溜息を吐き、頭を抱える。
「はぁ…もう少しこう…努力をするっていうか…。」
「だって、面倒な物は面倒じゃない?あ、永遠亭とか行ったことないわね…。
『紫』にもたかってないわ。夜雀の飲み屋にでも食べに行かせて貰おうかしら。」
既に本日のたかり対象を決め始めている霊夢。
これは本格的に駄目人間だ。自分で稼ごうとは思わないのだろうか。
そんな事を魔理沙は考えながら、怪訝そうな表情で霊夢を見つめていた。
その時。
「あ。」
霊夢は何かを思いついたかの様に、魔理沙を見る。
その瞬間、魔理沙の身体中を寒気が走り回った。
嫌な予感がする。
「魔理沙、私アンタに奢って貰った事ってないわ。
…ねぇ、いつもお茶上げてるんだし、たまにはいいわよね…?」
凄まじい威圧感を持った目で霊夢は魔理沙を見つめていた。
霊夢の表情はとても晴れやかな笑顔だ。
だが、その表情が怖い。いや、恐ろしいおぞましい。
「ア、ワタシスコシヨウジヲオモイダシタノゼ。」
違和感。魔理沙の言葉はカタコトになり、見事な違和感を演じだしている。
逃げなければ。魔理沙の頭の中に瞬時にそんな言葉が浮かんだ。
「用事?私よりも大事な用事なのかしら?クスクスッ。」
霊夢の笑顔はより恐ろしい物へと変わっていく。
元からこんな話をするんじゃなかった。魔理沙は心の中で目一杯後悔した。
「い、いやその!あ、ほら私金を今持ってないのぜ!!」
「飛べ。」
霊夢はとても冷酷な表情で一言告げた。
恐ろしい一言であった。
魔理沙は顔を引き攣らせながら、聞こえなかったフリを取る。
「え?何か言ったか霊―――」
「ジャンプしなさい、って言ったのよ?」
霊夢の後ろからどす黒いオーラが溢れ出ている。
負の感情を丸々固めたような、そんなものが。
これこそまさに泣く子も黙る。と言った所であろうか。
そして逆らえなくなった魔理沙は、そのまま1つジャンプしてみせる。
チャリン。
「!!!!???」
「…持ってるわね?ふふっ。」
魔理沙は小銭を持っていた。
霊夢の表情はまた笑顔になる。だが、その笑顔に優しさなど存在しない。
奢れ。
その1つの感情のみであった。
「ヒッ…。」
「何安っぽい悪役みたいな声出してるのよ。さ、行くわよ魔理沙。」
霊夢は魔理沙の腕を目一杯の力で握りしめた。
魔理沙の細腕は霊夢のひ弱そうな腕の力でギリギリと締め付けられている。
「た、助けてくれぇぇぇぇっ!!!」
「ははははははっ!!!!」
魔理沙の必死の悲鳴は霊夢の笑い声によって、より何かおぞましいものを相手にしたような声に聞こえる。
だが、既に夜。
辺りに家も何もないこんな場所で、叫んでも誰かが助けてくれるはずもない。
そしてずりずりと引きずられながら、魔理沙は連行されていった。
そしてその次の日。
完全に持っている金という金を搾り取られた魔理沙は、夜雀の経営する飲み屋の前でボロ雑巾のような状態で発見されたとかなんとか。
完
幻想郷と呼ばれる世界にたたずむ、とある神社。
鬼、吸血鬼、魔法使い、死神…。
様々な種族の妖怪や、人間が毎日のように訪れる賑やかな神社。
その割には、神社はボロボロで賽銭箱も空っぽ。
人里からの参拝客は正月くらいにしか訪れないのだ。
そんな神社で、相変わらず其処の巫女さんはのんびりと掃除を繰り返していた。
赤を基調とした巫女服、なのだが脇が出ているという特徴的な服。
リボンを頭に付けて、黒髪を風になびかせながら、少女は箒で境内を掃いていた。
そんなときに、1人の少女が神社へと降り立った。
箒にまたがり、白と黒の服を着た魔法使いの少女。
笑顔で微笑み、魔法使いの少女は巫女へと言葉を告げる。
金色の髪が太陽に映えてキラキラ光って見えた。
「よっ、『霊夢』。」
「…なぁんだ、またアンタ?」
金髪の少女の笑顔をぶった切るように、『霊夢』と呼ばれた巫女さんは溜息を吐いた。
客人相手になんという反応であろうか。
「なっ、なんだよまたって!昨日の昼以降、私此処に来てないぜ!?」
「毎日来てるじゃない。賽銭も入れないくせに…。」
嫌味ったらしくそんな事を言いながら、霊夢は掃除を続けていた。
そんな霊夢を見て、魔法使いの少女は駆け出し、霊夢のもとへ向かった。
「酷いぜ霊夢!私が何をしたって言うんだぜ!?」
「何もしてないのが悪いんでしょ、いい加減しつこいわよ『魔理沙』。」
まわりが聞けば、なんと酷い少女だと思うことだろう。
だが、2人の間ではこんな会話が当たり前だった。
そしてその後は、いつも決まったように2人同時に笑い出す。
先に笑い出すのは、いつも魔理沙と呼ばれた少女。
「…はっ…あっはっはっはっは!!」
「くす…くすくすっ。」
そして2人は笑い終わった後、ゆっくりと神社の中へ入っていく。
霊夢が誘いを出し、魔理沙がそれに付いて行く、と言った様な感じだ。
そして2人が神社の中に入ってから実に数時間後…。
空は真っ暗になり、もう既に夜になっていた。
「霊夢ー、茶菓子とかないのぜ?」
「んなもんないわよ。欲しかったらもう少し賽銭入れなさいよね。」
和風。
そういう言葉が一番似合うような居間。
畳張りの床。傍には縁側があり、部屋の真ん中には丸いちゃぶ台。
ただし、所々ボロボロであるが。
「賽銭賽銭…そんなに困ってるのか?」
「まぁ…困ってないって言ったら嘘になるかしらね。
実際食事もままならない状態な訳だし…。」
「…何食ってるんだ?」
「いつも何処かにたかりに行ってるわ。」
そして霊夢は指を折り、一つ一つ数え始める。
近頃は毎日たかりに行っている。そのことに興味を持った魔理沙は一直線に霊夢を見据えながら聞く。
「昨日は白玉楼でしょ…焼き魚食べたわ。『妖夢』のご飯美味しいのよね。
一昨日は紅魔館…。『咲夜』のデザートが中々に美味しかったわ。でも全部洋風なのがちょっとねぇ…。
その前は守矢神社。『早苗』と一緒にご飯作ったらタダで食べさせてもらえるって言われたから…。
で、その前は紅魔館…その前も紅魔館…またまた紅魔館…もういっちょ紅魔か―――」
「最終的に紅魔館ばっかりじゃないか!」
痺れを切らした魔理沙は霊夢に瞬時にツッコミを入れる。
まぁ実際言ってしまえば紅魔館の料理が美味しい訳だ。
「だ、だって守矢神社とかだと料理作るの手伝わさせられるんだもの!」
「それくらい頑張れば良いじゃないかなのぜ!!」
「嫌よ面倒臭い!」
余りにも自信満々に、そして尚且つとても大きな声でそう叫ぶ霊夢。
それを聞いた魔理沙は思わず溜息を吐き、頭を抱える。
「はぁ…もう少しこう…努力をするっていうか…。」
「だって、面倒な物は面倒じゃない?あ、永遠亭とか行ったことないわね…。
『紫』にもたかってないわ。夜雀の飲み屋にでも食べに行かせて貰おうかしら。」
既に本日のたかり対象を決め始めている霊夢。
これは本格的に駄目人間だ。自分で稼ごうとは思わないのだろうか。
そんな事を魔理沙は考えながら、怪訝そうな表情で霊夢を見つめていた。
その時。
「あ。」
霊夢は何かを思いついたかの様に、魔理沙を見る。
その瞬間、魔理沙の身体中を寒気が走り回った。
嫌な予感がする。
「魔理沙、私アンタに奢って貰った事ってないわ。
…ねぇ、いつもお茶上げてるんだし、たまにはいいわよね…?」
凄まじい威圧感を持った目で霊夢は魔理沙を見つめていた。
霊夢の表情はとても晴れやかな笑顔だ。
だが、その表情が怖い。いや、恐ろしいおぞましい。
「ア、ワタシスコシヨウジヲオモイダシタノゼ。」
違和感。魔理沙の言葉はカタコトになり、見事な違和感を演じだしている。
逃げなければ。魔理沙の頭の中に瞬時にそんな言葉が浮かんだ。
「用事?私よりも大事な用事なのかしら?クスクスッ。」
霊夢の笑顔はより恐ろしい物へと変わっていく。
元からこんな話をするんじゃなかった。魔理沙は心の中で目一杯後悔した。
「い、いやその!あ、ほら私金を今持ってないのぜ!!」
「飛べ。」
霊夢はとても冷酷な表情で一言告げた。
恐ろしい一言であった。
魔理沙は顔を引き攣らせながら、聞こえなかったフリを取る。
「え?何か言ったか霊―――」
「ジャンプしなさい、って言ったのよ?」
霊夢の後ろからどす黒いオーラが溢れ出ている。
負の感情を丸々固めたような、そんなものが。
これこそまさに泣く子も黙る。と言った所であろうか。
そして逆らえなくなった魔理沙は、そのまま1つジャンプしてみせる。
チャリン。
「!!!!???」
「…持ってるわね?ふふっ。」
魔理沙は小銭を持っていた。
霊夢の表情はまた笑顔になる。だが、その笑顔に優しさなど存在しない。
奢れ。
その1つの感情のみであった。
「ヒッ…。」
「何安っぽい悪役みたいな声出してるのよ。さ、行くわよ魔理沙。」
霊夢は魔理沙の腕を目一杯の力で握りしめた。
魔理沙の細腕は霊夢のひ弱そうな腕の力でギリギリと締め付けられている。
「た、助けてくれぇぇぇぇっ!!!」
「ははははははっ!!!!」
魔理沙の必死の悲鳴は霊夢の笑い声によって、より何かおぞましいものを相手にしたような声に聞こえる。
だが、既に夜。
辺りに家も何もないこんな場所で、叫んでも誰かが助けてくれるはずもない。
そしてずりずりと引きずられながら、魔理沙は連行されていった。
そしてその次の日。
完全に持っている金という金を搾り取られた魔理沙は、夜雀の経営する飲み屋の前でボロ雑巾のような状態で発見されたとかなんとか。
完
霊夢があまりに酷いやつすぎて、ちょっと素直に楽しめませんでした。
レミリアみたいな、好意的でありつつお金持ちなとこからたかるだけなら、ヒモ的なダメ人間だってだけで済んだと思います。
魔理沙から無理やり強奪するというのが、やり過ぎに感じました。
もう少しやんわりとお金を奪い取るとか…あ、いや違うか←
御意見ありがとう御座いました!これからの参考にさせていただきますっ!!
まず、霊夢が魔理沙に奢らせる、という題材は悪くはないと思います。
日頃から茶を出しているのだから、一回くらいは奢っても良いだろうというのも、理に適っているようにも思われます。
ただ、今回の霊夢のやり方は強引でひねりがないために味気ない、が正直な感想です。
それと、今回の題材で言いますと、魔理沙が実際に霊夢に奢るシーンが山場(?)にくるように思います。
ところが、この作品ではその過程がなく、結果だけに終わっているのが残念です。
必ずしも形式に拘る必要はないのですが、要するに、この作品には起承転結の転が抜けてしまっているために
読者を拍子抜けさせてしまい、評価を落としてしまう結果に陥っている。
次の作品で話の筋書きをメモ帳に書いてみたりすると、出来栄えは段違いに変わってくると思いますよ。
出来たら、また読ませて下さい。では。
二次ネタで酷いだけなら有りかも知れませんが、
この神社の巫女に
>鬼、吸血鬼、魔法使い、死神…。
>様々な種族の妖怪や、人間が毎日のように訪れる賑やかな神社。
な要素があるかどうか。一つの作品の中で整合性付けてくださいね。
筋が通ってないとか、文章の言葉を印象付ける何かがたりないわけですね…。
となるともう少ししっかり纏めてからとかの方がいいですね。
感性で書くのはいけないんですね!色々分かりましたっ!!
次回からの参考にさせていただきますっ!
また宜しければお読み下さいましー!!