勝てない……。イヤマジデ勝てない。
どのくらい勝てないかというと、格下のチルノに負けるくらい勝てない。
レミリアや紫にも勝ってきたはずなのだがそのあたりにもだいたい負けているし、そもそも弾幕遊びでは長い経験がある。
……だというのに……。
「人間がいくら背伸びしても妖精の能力も持てないくせに!」
今日もチルノにすら落とされる日々。
本当に、スランプというのは恐ろしいものである……。
とりあえず、そんなこんなで、対戦相手を探すことにしよう……。
……と、丁度いいところに霊夢がやってきた。
「よう、近頃弾幕遊びに飢えてるんだけれど、私と勝負していかないかい?」
「ハァ……そのセリフ昨日も聞いたわよね」
「弾幕も練習しないとさびついちまうぜ」
「大丈夫、昨日6戦連戦、しかも全勝でやってるんだから感覚なんて早々鈍らないわ。それに、昨日結構長い間戦った後遺症みたいなもので神社の掃除とか忙しいの。悪いけどまた今度ね」
そう言うと,さっさと神社の掃除に戻ってしまう霊夢。
無理矢理勝負に持ち込もうとは思ったものの、弾幕遊びはそれなりにルールに則ってやらないと面白くないのも事実。仕方ないので適当にブラブラと歩いていると、天子にぶつかった。
「よう、近頃弾幕遊びに飢えてるんだけれど、私と勝負していかないかい?」
「ごめーん,衣玖の用事ちょっと急いでるからまた今度にしたいんだけど」
「そんなこと言って、私の強さが怖いんだな」
「悪いけど、一昨日30連戦やって私が全勝しているから、どう考えても魔理沙の遠吠えにしか聞こえないわよ」
「うぐぐ……だがしかし,今日の私は昨日の私とは違うんだ」
「はいはい、わかったわよ。とにかく忙しいからまた今度ね」
戦いたい時に限って戦える相手がいないとはこのことである。
しかし困った。天子も駄目。霊夢も駄目。
チルノには先ほど負けてるし,どーにも今日は調子が悪いから違う相手とやりたい。
さて……どーしたもんかと思って進んでいくと、先程天子が話に出していた衣玖が道端の大石に座っているのを発見した。
「よう、近頃弾幕遊びに飢えてるんだけれど、私と勝負していかないかい?」
「はぁ、つい一週間ほど前に11連敗したのを懲りないと見えます」
「そんなことは忘れたぜ、さぁ、新しい弾幕ゲームを始めようぜ」
「すみませんが、今日は気分が優れませんし、そんなに対戦相手が欲しいならお空さんとかどうでしょう?ちょっと地霊殿は遠いですけれど、今のあなたにはちょうどいい相手かもしれませんよ」
「そうか、お空なら弾幕で遊んでくれるかも知れない……こいつはいいことを聞いたぜ」
「そうですか。お役に立てて光栄です」
どう考えてもあんまり好意的な来客でもない魔理沙だが、そういう相手でもきっちりと礼儀をわきまえて挨拶を返してくれる衣玖に再度感謝をすると、再度箒にまたがって目指す場所はいざ、地底。
そうして、地底に到達。ちょこちょこと周りを見渡すと、丁度いいところにお空の姿を発見した。
「よう、近頃弾幕遊びに飢えてるんだけれど、私と勝負していかないかい?」
「うにゅ??私と?」
「そうそう、お空と戦うためにわざわざ地上から駆けつけてきたんだぜ」
「なら、勝負しよう♪」
「地霊殿最強の私の強さ、特と味わってもらうわ!!」
「地霊殿最強だかなんだかわからないけれど、この霧雨魔理沙の名にかけて負けるわけにはいかないぜっ」
~~
1戦終了:敗者:霧雨魔理沙。
お空:やっぱり,私が最強ね
魔理沙:まだまだ、100%中の10%程度しか私は出してないぜ……
~~
最初の戦いは私の負け。あの強力な太陽みたいな火球とか真面目に有り得ないし、そもそも火力が私以上とかまさか思わなかった。
……だがしかし、この程度の条件は私に取ってはなんの不利もないはず。
次以降は私が余裕を持って打ち崩そう。
~~
5戦終了:敗者:霧雨魔理沙(ちなみに全敗)
お空:10%程度じゃ私に勝つのは無理ね
魔理沙:とうとう、私の本気を出す時が来たようだな。
~~
あのブーメランみたいな火の輪とか真面目にありえない。
だがブーメランという時点で、うまく行きの軌道さえ読めればかわせる筈!!
私の実力なら多分まだ90%くらいは勝機があるはずっつ
~~
10戦終了:敗者:霧雨魔理沙(全敗)
お空:本気でやっても私には勝てないみたいね
魔理沙:今日は調子が悪いだけだ。まだまだやらせてもらうぜ
~~
おかしい。相手の攻撃パターンはほとんど分かっている。
だというのになぜか勝てない……。
~~
15戦終了:敗者:霧雨魔理沙(全敗)
お空:いい加減戦うの飽きてきたんだけど
魔理沙:まだ..まだやれるはずだぜっつ
~~
ふふん、ここで気が散り始めたなら相手より私が有利。
次こそは、勝つ!!!
~~
17戦目 開始前
次の戦いを始めようとする、魔理沙のそばに,どこかで見た黒猫が現われると突然人形に戻って話し始めた。
いつもおもうんだが、お燐は黒猫の姿のほうが過ごしやすいんだろうか?
……と思っていると、人の姿に戻ったお燐が
「お空~~、さとりさまが美味しい食べ物が届いたから地霊殿にもどってくるようにーーー」
と、お空に告げると、お空は
「そんな訳で、悪いけどさとり様のところに行くからまたねーーーー」
さっさと空を飛んで去っていく。
その飛んでいく姿を見ながら、結局今回も全敗した事実に、ちょっとガクリと来るものの、直ぐに思いを切り替える。
弾幕遊びには敗北だってきっとある。
今日も今日とて勝てないけれど、いつかは勝てる時も来るさっ。
何しろ相手の方が火力も強いし、なにより今回はちょっと調子も悪かった。
うんきっとそう。
そのうち勝てると自分に言い聞かせ、
連敗のショックも気にせず,明日には勝てると思って家路に帰ろうとすると……。
丁度雑魚妖精が群がっていたので、マスタースパークで蹴散らした。
~~
雑魚妖精x霧雨魔理沙
勝者:霧雨魔理沙
~~
さぁ、次の戦いはドコにあるのか。それは誰にもわからない。
けれどいつかは大物相手にも勝てる時が来る。
負けるな、霧雨魔理沙。挫けるな、霧雨魔理沙!!
戦い、負ける。また戦い、負ける。なお戦い、負ける。悔しさか、はたまた意地か。なぜか分からないが戦い続けたくなる。深く共感できます。願わくは彼女がいつか諒解の得んことを。
では。
たまには、チルノに負ける魔理沙がいたっていいじゃない。
ワレモノ注意さんありがとうございます。