Coolier - 新生・東方創想話

女神と羽が降る街 第五話

2010/06/30 14:35:06
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部屋でただ座っているとき、目の前にはいつのまにかアリアが居た

ずっと僕の肩を揺らしていたみたいだが、僕は何も感じなかった見たいだ

それはそうだ。結局救えなかったのだ。

マリアを、まだ若くて美しい人を

30歳で寿命だと言うのは、あまりにも残酷だと僕は感じた。

一体何の理由でアリアの世界は寿命が30歳にされたのだろうか

『師匠、早く行きましょう』

アリアは僕の手を握って僕を立ちあがらせようとした。

その反応で我に帰り、僕は立ちあがることにした

時計には、午前4時と書いてあった

『あの二人はまだ起きないわよね………?』

アリアは確認するようにそう言った。

『それよりも、昨日は冗談かと思ったのだが』

『師匠が終わらせるためでしょ?』

そうだ、昨日アリアが言ったあの一言が、今だ心に引っかかっている

【結婚】

その言葉を聞いた時は僕も驚いた。

もう少し別の方法を考えよう、と僕は最初言ったのだが、

その後も良い案は全く思い浮かばなかった。

それで、僕はアリアにあの大きな顔の事を報告したのだが、

『大きな顔………。』

その言葉を聞いたアリアは青ざめていた

『大きな顔って………女神さま………………?』

『女神?どうして女神が出てくるんだ?』

『あの女神の羽はね、天空の女神さまの島にしか咲かない花なの。』

僕は混乱した。

ならば僕たちが行ったその場所は天空にあったと言うのか。

だが、なぜ庶民でもその天空の女神さまが居る所に行けるんだ?

『僕たちはどうしてあの場所に行けたんだ?』

『私達が行った場所は間違いなく天空にある場所なの。テレポーレーションって言ってその天空まで一瞬に行けるように設定してあるみたいな
の。でもその場所に女神さまが居るなんて聞いた事無いよ』

『なら、僕が見たあの顔は一体なんだったんだ?』

『それを調べるために、今はどうするべき?』

アリアはこんな事言わせんなと言うように僕の顔から目を逸らした

あの顔の正体が女神ならば、僕がここに居る理由が分かるかもしれない。

この世界の事を救えるかもしれない

だが今度、あの遺跡に無理に入ったらこの子は追い出される。

ならば、入る事を正当化すればいい。

そのためには……………………。













『師匠、早く行きましょう』

アリアは気恥ずかしそうに僕の手を握りながら家の外に出た。

相変わらず外には羽が降っている。

『雨とか降る事はないのかい?』

『雨?』

『雫が落ちてくる現象さ』

『嘘。空から水が落ちてくるの?』

アリアは不思議そうな声で質問をした。

これで少しは緊張が落ちついたかと思った。

だが、今はもっと大変な事になっていた

目の前には、寝ていたはずの魔理沙と霊夢が居たのだ。

『お二人さん、また仲良くそうになにをやってるの?』

魔理沙がまた女口調になった

まずい、非常にまずい、

一刻も早く良い逃れなければ恐ろしい目にあうだろう。

また何か誤解、いやこれは知られたら誤解どころじゃすまないな

『別に、ただ結婚式を挙げるだけよ』

僕は、アリアの空気の読めなさに絶望した

何のためにこんな朝早くに出発する羽目になったんだ

魔理沙の周りにどす黒いオーラがまとっているのが見えた。

顔は鬼、真っ黒な鬼に見える

霊夢に関しては壮大なる恨みを見るような目で

謎の呪文をブツブツ唱えていた

その呪文の中には『破壊』と『虐殺』と『地獄』とい言葉が含まれていた。聞こえた

『こぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんんんんんんんんんん!!!!』

魔理沙から少女とは思えないほど低く大きな声が発された

そのどす黒いオーラから巨大な弾幕ができており、今にも襲いかかりそうだった

霊夢に関しては、呪文を唱えている上に印を結んでいた

両手が重なり滅茶苦茶な方向へ折り曲げているかと思うと、だんだんと声の強さが増していっている。

いくらなんでもこれは怒り過ぎだ。何がそんなに気に入らないのか僕にはよく分からない。

せいぜい反対される程度だと思っていたが、こんなにも殺意を感じるとは思えなかった

僕は、命を守るためか、それとも呆れてたのか説得させるための言葉を発した

『霊夢、魔理沙、言っておくが愛を誓ったから結婚をするのではない』

その言葉を聞いた二人は、さらにオーラの力が増していた。

一体どんな捕らえ方をしたというのだ

『いいか、もう一度あの花畑に行く為に僕たちは結婚式を挙げるだけだ。本当に夫婦になろうなんて微塵も思っちゃいない』

その言葉が正解だったようだ。なんとか二人のオーラは少しだけ大人しくなった

『あの花畑には何かがある。だがもう僕たちがその場所に行く事は不可能らしいんだ』

『だったら何?別に式なんて挙げなくていいじゃない』

霊夢は呪文を唱えるのを止めていた

『いや、そう言う訳もいかないようだ。今度不法侵入したらアリアが加わって居なくてもアリアがこの街に追い出される』

二人からようやくどす黒いオーラが消えていた。

だが、魔理沙はまだ納得できていない雰囲気だった

『だったらな!!式が終わったら香霖!幻想郷に帰るからな!!』

『ああ。そのつもりだが』

僕は涼しげに言った。

別に戸惑っても無い、もう全て打ち明けた上に信じてもらえたので、スッキリした

だが、魔理沙はまだモヤモヤしているのか、不機嫌に頭を掻き毟った

そして、僕から体を逸らし、そっぽ向いてしまった

『私は行かないからな。』

『別に来なくてもいいんだが』

僕はそう言ってあの遺跡の方に向かって行った。

霊夢はついて来るが、魔理沙は未だについて来る気配が無い。

振り向くと、魔理沙はかがんで家の隙間でいじけていた

木の棒で地面に何かを描いている。

書いている物は『死ね』という文字だったが、特に気にせず僕は前に進んだ

















結婚式にはたくさんの人が来ていた。

アリアは結構人望があったのだろうか。

いや、マリアが美しかったからか、もう亡くなってしまったが

後ろからまだ納得していないような霊夢の顔が見えた。

不愉快そうな顔を浮かべ、ずっと僕の方を見ていた

まだ式は始まって居ない。ここは待合室だ。

『お似合いですよ。森近さん』

僕は気慣れない少し堅苦しい服を着ている。

首にネクタイという首に巻きつける為の道具を首に巻き、椅子に腰かけた

『本当に似合うわね。文が居たら撮られてるわよ』

霊夢は冗談交じりでそう言っていた

『親族の方ですか?』

『ええそうよ』

霊夢は、この結婚式については面白くないそうだ。

まぁ、大体予想はしていたが、

『師匠。』

後ろを振り向いた。

そこには白い布を巻きつけた少女が居た。

白い布のせいで赤い髪が恐ろしく目立つが、

だが、頭には何も飾りは無かった。香霖堂で前に見た本の冊子には頭の冠のような物が印象だったのだが、

それに少しボリュームが無いような気がした。白い布にはただ緊迫で塗られた風の絵が描かれているだけだった

『あまりにも華が無い服装だな』

アリアは服の事を指摘されてカチンと来たのか、しかめっ面で僕を睨みつけた

霊夢はそれを見て少し笑っていた。不敵の笑みに近い物だったが

『それでは式が始まりますよ、準備をしてください。』

と、女性の方は言っていたので僕達は外に出ることにした。

これであの花畑に行ける。それであの顔にまた再び出会えれば

それが僕がこの世界に来た理由に思えた。それ以外に考えられなかった。

普段は姿を見せないと言う女神。

そして結婚式でも無いのに現れた大きな顔

その顔はあきらかに僕の方を見ていたのだ。

異世界人の僕に一体何の用があるかは分からないが、これで全てが終わる気がした。

できれば、アリアの母親のマリアを助けたかったのだが、もう遅い

帰ろうとすれば、またあの大穴に入ればいいのではないかと思った時もあったが、

戻ってもまだ大穴は開いているのだ。

それに、その大穴が店にいつまでも残っていたら不愉快だ。

マリアが死んでからは自分の店の事を考えるようになっていた。

それが生きがいかのように、まるで

『師匠、早く行きましょう』

アリアはせかすように僕を式場まで引っ張った。

自分で歩くと言うように、僕はアリアの手を払い、式場まで向かった。

そうだ。あとはあの花畑に行けばいいだけだ

『霊夢、君も来るだろう?』

『当り前じゃない』

霊夢は相変わらず不機嫌にそう返した。

だが、アリアは少し複雑そうな顔になった

『どうしたんだ?』

『ううん………なんでもないよ………』

そして僕たちは、式場に来場した




そこに居た大勢の人達が大きな拍手で迎えた

『おめでとう!』

たくさんの人達が賛美するように

『幸せにな!!ずっと一緒に!!』

その言葉を聞くと、嘘をついている僕の心が痛くなる

霊夢も客席に戻ると、あぐらをかいてつまんなそうにこちらを見た

目の前には神父と言うような男が立っていた。

その神父は全身に草を巻いていて少し不気味な雰囲気だったが。

『あなた達は正式に夫婦になる事を互いに認め、永遠に愛し合う事を誓いますか?』

神父はそう質問をした。

ここは嘘をつかなければならないのだが、こう唐突に言われると少し焦ってしまう。

だが、あまりにはしょると疑われてしまうか、笑われてしまう。

さすがにそれは気恥ずかしいので、頭の中、思考を空にして答えた

『はい』

後ろで霊夢が、ふんっ!と言っているような息を吐いた

だが、それとは裏腹に神父の顔は穏やかだった。

『さよう。ではこの紋章の奥の崖に飛び降りてください』

神父は唐突にそう言った。

そうか、これは夫婦共々共に死ぬ事を望むか、それで本当の愛を確かめるためだったのか。

それで飛びこんだら花畑に居る、と言う事か。

『分かりました』

僕はそう言うと、アリアの手を掴み紋章の浮いている崖の方へと向かった。

『行くぞ』

僕はアリアにそう合図して、紋章の奥の崖へ飛び降りた




















紋章の向こうの世界には、白いお花畑は無かった。

真っ黒な羽が花弁の花が咲いていた。

その花の名前は、≪死の花:死を祝福するための花≫だった

『何………………これ……………………?』

周りを見ると、端の向こうには崖があった

それに島自体が狭い気がした

それは、僕たちの結婚を祝福していないかのようだった

『これは、どうして黒くなっているのかしら?』

霊夢もこの場所に来ていた。

『引っ掛かりはしなかったのかい?』

『ええ。神父をぶん殴ったらすんなり入れてくれたわ』

その言葉を聞いて僕は呆れてしまった。

なんとも暴力的な子になってしまったな。

『ひぃぃぃ!!!』

アリアが上を見て怯えていた

上を見ると、そこには大きな顔が映っていた。

その顔は、次第に下へと降りていった

僕らと同じ位置に落ちたその大きな顔は、橋に彫られていたあの女神の顔と全く同じであった。

まるで銅像かのような顔だ

ただ違うのは、恨みが大きい顔をしている事だった

『死ね』

大きな顔は、何重にも重なったような声でそうつぶやいた

『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』

さらに、恨みがましくその言葉を発していた

『何だ貴様は』

僕は、まずこの大きな顔の正体を追求することにした。

アリアは、僕のそばを一切離れなかった

『覚えてないか。覚えてないよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

まるで機械から出る声が壊れたかのような音を出していた。

『私は今、女神、女神』

『女神だと?女神が異世界人の僕に何の用だ』

急に女神は姿を消した。

そして、黒い花畑の場所は一瞬で別の風景へと変わった

その場所は、あの羽が降る街に似ている街だった

その場所の真ん中に、白銀の紙をした剣使が居た
















私が女神になる前の話、

私は、この街で一番の美女として生まれた。

男は私を見て好意を寄せ、女は私を見て羨ましがる。好意を寄せる者も居る

この国の王子でさえも私に好意を持っていたのだ。

だが、その王子はお世辞にも美しくはなかった。

私は、その王子との結婚は正直嫌悪していた。

だが、それとは裏腹に私は城に招待されることとなった。

王子は、私との結婚を楽しみにしていると言っていた。

私はその事は拒否をしたかった。

だが、拒否権は無かったのだ。

途方に暮れてこの城から出ようとした時に、私は彼を見た

『どこに行かれるのですか?』

それは、優秀な剣士とも呼ばれていた男性だった。

その方は、白銀な髪をしており、そして何よりも美しかった。

私が初めて恋をした男性であった。

その男を口説こうかと話をしようとしたが、気づいたらもう彼は居なかった

私は、次の日彼の名前を調べた。

彼の名前はバーガン・ブロッセル。全国的にも有名な剣使であった。

どこの国からでもオファーが来ており、史上最強の剣士とも言われていたのだ。

まだ20歳という若い年齢にも関わらずだ。しかもあの美貌で恋人も居ない。

私は、彼にどうにか振り向いてくれるよう、プレゼントを送ったり誘惑したりしたのだが、なかなか気ずいてもらえなかった。

彼はフラグを真正面からバキバキと折りまくるのだ、恋人が居ない理由が分かった気がする

私は、ついに彼に私の思いを告げる決心をした。

大丈夫だ。私は街一番の美女なのだ。

彼は今日、戦場に行く予定となっているようだ。

それも、私達の国の味方となって

『バーガンさん』

私は彼に思いを伝えようとした。

『この戦いで勝って、勝って、生き残ったら私を恋人にしてください』

その言葉を聞いた彼は、驚いたような顔をした

『この国の王子から婚約が来てますが、そんなの関係ありませんよね。私もあなたについていきたいんです』

私はそう言うと、私の想いを差し出す為に白い羽が花弁の花を渡した。

彼は、乱暴にその花を受けとった。そして踏みつぶした

私は、一瞬何がなんだか分からなかった

『お前、俺をそんな目で見ていたのか』

それは、彼から出た言葉とは思えなかった。次の瞬間、私の顔に拳が入った。

その衝撃に耐えられず、私はその場で転んでしまった

さらに彼は、私の腹を乱暴に踏みつけた

『うぜぇんだよ!!消え失せろクソ女!!!目障りなんだよ!!』

彼はそう言った後、馬車に乗って戦場に向かっていった

その場に取り残された私は、何が起こっているのかよくわからなかった

ただ、その場にはバラバラになった羽の花弁が散らばっていた。

違う、あんなの彼じゃない

彼じゃない…………彼じゃない……………

だが、振り向くとそこには兵士が居て、私の手を掴んだ

『戻りましょう、城へ』

『嫌!!違う!!あれはあの人は違う!!』

私は、兵士の言葉に何も反応しないまま連れ去られてしまった

『違う!!あれはバーガンなんかじゃない!!あああああああああああああああああああああ!!!』

私はそう言いながら、わんわん泣いた。

そうだ、私は今王子に婚約を約束されているのだ。

ならば、彼を待てば、きっと助けに来てくれる。その為の自演なのだ。

私はそれを期待した。だが、現実は厳しい物だった。

戦争の後、私の国は勝ったと報告された。

その言葉を聞いた貴族の者たちは、大変喜んでいた。

だが、次の言葉で私は生気を失ってしまった

『バーガンは戦死した模様です』

貴族の者も、その言葉を聞いては少し戸惑ってはいたが、すぐに歓喜の声に変わりパーティが開かれた

だが、その歓喜の中で私一人、その場で固まっていた

どうして!?どうして!?

戦争に勝った時、私と一緒になってくれるんじゃなかったの!?

私を助けてくれるんじゃなかったの?!

どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?どうして!?




………………………そうか。

私はその場で笑った。

周りの歓喜の中でただ、最も大きな声で笑った。

そして、あの剣士への忌々しい恨みが次第に膨らんだ。

死んでいようが、あいつへの恨みを絶対に晴らしてやる

そうして、私は王子と結婚をした。

当然、私は王子など愛していなかった。

その事が気に入らないのか、王子が王に上がった時の政権は最悪だった。

ほとんど独裁政権であり、気に入らない時はどうでもいい民間人を目の前に持ってきて殺す、などを行っていた。

そのおかげで、私は暇はしなかった。

だが、あの剣士への恨みはまだ晴れていない。

その時、私は女神の伝説の話を耳にした。

その女神は天空に住んでおり、私達を見守っていると言っていた。


その言葉を聞いた私は、すぐに気球の準備に取り掛からせ、天空へと向かった。

3日、ずっと気球の中で過ごしていたとき、

そこに確かに島があった。

天空に浮く島があった。

その場所に着くと、あの白い羽の花弁をした花が咲いていた。

その真中には、一人少女が居た。

少女は羽が花弁の花に輝く青色の水を与えており、こちらに気づくと笑顔になった。

少女の背中には羽が生えており、髪型は薄い灰色だった。

年は、今は23の私よりも7歳くらい年下の者だった。

『ようこそ、ここまで来てくれたんだね。』

少女は、本当にうれしそうな顔で私の方に近づいた。

『ずっと、ずっと一人で寂しかったんだ。ねぇねぇ、何して遊ぼうか。』

少女には邪念が無いように見える。ただ無邪気な少女だった。

こんな奴に私達は見守られていたのか。私は吐き気がした。

私には邪気がある。恨みもある。

『そうね。なら、』

私はナイフを女神の胸に刺した

『死ね!!死ね!!死ね!!あはっははあはははははははははは!!!!』

そのまま、私は動かなくなるまで刺し続けた。

少女は不思議な事に抵抗もしなかった。

途中で叫んだり、泣いたりはしていたが、

本当にこんな奴が女神か?私は薄ら笑いを浮かべた

『酷いよ………酷いよ…………』

少女は泣いて、泣き続けていた。

さっきの笑顔とは信じられないくらい。

『痛いよぉ………痛いよぉ……………』

真っ赤に染まった白い服が、私の服に触れていた

『触るな!!気色悪い!!!』

私はそう言うと、最後の止めを刺した。

少女は、全く動かなくなった。

すると、少女の体から急に謎の黒い煙のような物が出てきた。

その煙が、私の体の中にどんどん入ってきた。

正直に言えば、感触は少し気持ちわるかった。

だが、煙が全て私の中に入ると

私の背中には羽が生えていた。

そうだ。これが私の求めていた物だ。

これで私は2代目の女神となった。

『おお…………』

私について来た者は、私の姿を見て目を潤ませていた。

そうだ、今の私は美しいのだ。

世界で、誰よりも

私の頭の中には、この世界の事全てが入っていった。

化学の原理や世界の村、全ての光景など

私の知識は、完全な物になった。

これで、彼への復讐ができるかと思えば、それは不可能だったらしい。

女神になった私でも、死んだ人間を生き返らせる事ができなかった。虫一匹もできなかったのだ。

これでは復讐ができないのではないのか、ならば、

私は、一つ良い事を思いついた。

ならば、彼の生まれ変わりを探そう。

思いついた後は、この世界の常識を変えた。

寿命を90年から30年へと縮ませたのだ。

婚期も12歳が平均にした、これも子供を早く産ませるため、そして邪魔はすぐに消す為だ。

さらに欲をかけばと思い、夜に街に私の作り上げた天使を送りだすことにした。

だが、この天空から下まで行くのに約12時間はかかってしまう。

天使は、私の世話をする必要もあるので、下界に行く者と私の世話をするものと交代制でやる必要がある。

その為、下界に行く物は結局1時間しか下界に居る事ができない。

だが、それでも十分だった。

これで邪魔者はほとんど消える。だが、あの剣士の生まれ変わりは未だに現れなかった。

だが、ある時誰かが空間を操り、この世界に入りこんできた事があった。

そいつは、あきらかに異世界の者だったが、私よりもはるかに長く生きている者だった。

そいつの情報を盗み見すると、その異世界にはあの剣士に似た男が存在することを知った。

そいつは、似ているような者ではない、瓜二つだった。

そうだ、こいつを殺そう

そう思い、私はこいつの場所に大穴をあけた。

こちらの世界にたどり着くまで、そして私の野望が終わるまで

ついに仇討ができる。恨みが晴れる。

そう思うと、私は笑いが止まらなかった















女神が笑っている途中で、その背景はすぐに黒い羽が花弁の花の花畑に変わった。

目の前には、大きな顔をした女神の銅像の顔がある。

『…………………………』

アリアはその光景を見て、わなわなと震えていた。

ああそうだ、そうだろうな。こんなの普通じゃない

この女神の我がままのせいで寿命が30年という短い人生を送ることになったのだ。

そのせいでマリアは死んだ。この女神の我がままのせいでな

『お前、最低だな』

僕は女神の銅像に話しかけた。

その銅像から、急にヒビが現れた。

眼球あたりにヒビが入っているのだが、そこから大穴が開いた時、そこに彼女は居た。

剣士に振られた、あの愚かな女神が羽を広げて

『あんな神よりも、あの頼りない青い神の奴の方がマシね』

霊夢はそう言った後、戦闘準備に取り掛かった。

『おい女神、人を生き返らせる事ができないと言ったのは人には魂も輪廻もない証拠じゃないのか?ならばお前のしている意味は全くないん
じゃないのか』

『黙れ、死ね。』

こいつには何を言っても無駄か。

恨みが大きすぎるのか、ようやく恨み晴らしができて興奮してるのか、ただ殺すしか言っていなかった

僕は、服に隠し持っていた草薙の剣を取り出し、刃を抜いた。

だが、急に草薙の剣は地に落ちた。

手を離した覚えはなかった。僕は下を見たのだが、

手を下にしたはずなのだが、どこには手は見当たらなかった、

ようやく気付いた。手が無い

どこにも手が無いのだ。肩を見るとそこからは白い服が真っ赤に染まって来ている

アリアはその光景を見て絶叫していた。

そして、女神に向かって怒涛を上げた

『どうして!?師匠はあの剣士とは関係ないじゃない!!!!あんたの我がままでお母さんは死んだの!?寿命で!?人殺し!!人殺し!!お母さんを返してよ!!お母さんを返してよぉぉぉぉ!!!!!!』

女神は全く知らないふりをしていた。

アリアはその場で泣き崩れた。

霊夢が呪文を唱えているが、何を言っているのか分からない。

女神は、不敵な笑みをしていた。

僕は殺気を感じ後ろを振り向いた。

そこには、大量の天使が居た。

だが、その天使は全身が真っ黒であり、悪魔と言ってもおかしくはなかった

両手を失った今、僕はどうすればいい?

その時、天使が僕をめがけて迫ってきた。

霊夢が事態に察し、天使に向かって弾幕と魔法を繰り出した。

だが、全て吹っ飛んで行くだけであって全く効いていない。

それでも、距離が遠ざかっているだけマシだった

敵は遠くに居る、そう思った時だった、

僕の頭を、誰かが掴んでいた

『はっははははははあはははははははははは!!!』

僕の真後ろで女神の笑い声が聞こえ、そして掴まれている所がものすごく痛くなった。

そして、頭に暖かい液体が流れるのを感じた、






僕の目の前には、何も映らなくなった
次回最終回です。

ついに一番書きたかった物が書けます。

お楽しみに!!!!


(今回グロかったね。怖かったねうん。)
ND
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コメント



0.920簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
次回最終回かぁー。
頑張ってくださいね
11.100名前が無い程度の能力削除
グロいな…
でも面白いです