「砂糖いくつ入れる?」
顔を上げると魔理沙がコーヒーカップを持ってこちらを見ていた。
「ひとつでいいよ」
「いっこだな」
角砂糖をコーヒーに入れ、スプーンでくるくるとかき回す。
ここ最近、魔理沙が店にやってくるとコーヒーを淹れるのが日課になっていた。
人里で手に入れた、上質のコーヒー豆。
それを飲むために用意した豆を挽くための道具、手挽きミル。
台所に置いてあったそれに魔理沙が気付き、言ったのだ。
「コーヒーなら私に任せな」
言うだけあって、確かに魔理沙の作るコーヒーは美味しかった。
魔理沙は和食派だと日ごろ主張しているので、意外な才能を見た感じである。
僕もせっかくならば美味しいものが飲みたいと思い、魔理沙が来た時は作ってくれるように頼んだのだ。
「特別な事をしているようには思えないんだけどな」
「ん?」
かき混ぜられているコーヒーを見ながら呟くと、魔理沙が不思議そうな顔をしていた。
「大した事じゃないよ」
「どうせまたつまんない事考えてたんだろ」
ことんとコーヒーカップが差し出される。
「いや、なんで魔理沙の淹れるコーヒーは美味しいのかと思ってさ」
黒い液体を口に運ぶ。渋みの中に混ざるまろやかな甘み。
「ん、やっぱり違う」
僕が作った時はどうしても渋みのほうが強くなってしまうのだ。
眠気覚ましにはそちらのほうが都合がよいので特に問題はないのだが。
「そりゃ私は魔法使いだからな。調合はお手の物さ」
「マジックアイテムじゃないんだぞ」
「同じようなもんだぜ」
魔理沙は爆弾を作る時にもミルクと砂糖を入れてスプーンでかき回すのだろうか。
「作り方を教授して貰いたいものだね」
自分でやってもどうにもこの味が出ないのだ。
お湯を八卦炉の火で暖めて作るのがいいのか、それともコーヒー豆の挽き方がいいのか。
はたまた粉の量がいいのか……考えるといろいろとまだ研究の余地はありそうだ。
「そいつは企業秘密だぜ」
「そうかい」
今度暇な時に調べてみることにしよう。
豆を挽くための道具、手挽きミルは香霖堂で好評発売中である。
異変解決に活躍している白黒の魔女も愛用しているお勧めの一品だ。
「ふむ」
天狗の新聞に記事を載せて貰えば少しは興味を持たれるだろうか。
「なーに考えてるんだ」
魔理沙がにやにやしながら僕の顔を眺めていた。
「商売の事だよ」
「そりゃ珍しい。明日は雨かな」
なんて言いながら自分用の黒いマグカップに淹れたコーヒーを口へ運ぶ。
魔理沙といい霊夢といい、どうして僕の店に自分用の食器を置きたがるんだろうか。
ちなみに霊夢は滅多な事ではコーヒーを飲まないが、飲む時は自分用の湯のみで涼しい顔をして飲んでいる。
そしてお茶のほうが美味しいわよという確率は今のところ100%である。
「うん、我ながらいい出来だ」
魔理沙はコーヒーを飲み干して満足げに笑った。
「今日は砂糖をどれくらいいれたんだい」
尋ねながらコーヒーを口に運ぶ。
「ん? 五個だったかな?」
返事を聞いただけで、口の中が一気に甘ったるくなった気がした。
魔理沙の飲んでいるそれはミルクも砂糖もかなり多く、コーヒーというよりはもう別の何かである。
「……少しは数を減らしたらほうがいいと思うよ」
「コーヒーは甘いのが好きなんだよ」
「まあ、好みは人の自由だが」
その甘さのコーヒーを一気飲みとは恐るべし魔理沙。
「そんなものばっかり飲んでいたら、太るんじゃないか?」
「どっかの出不精と違って、毎日運動してるから心配ご無用だぜ」
「そうかい」
僕は魔理沙が言うほど出不精ではない。
出かける時は空を飛ぶ魔理沙たちと違って基本は歩きだから、運動量も不足しているとは思えない。
しかし何を言っても茶化されるだけだと思い、黙ってコーヒーを飲んでいる事にした。
「ふふふふふ」
そんな僕の様子が面白いのか、魔理沙は終始笑顔であった。
「ふう」
朝早くから僕は無縁塚を歩いていた。
魔理沙は明日は雨だなんて言っていたが、雲ひとつない晴天である。
僕が商売の事を考えているのは至極当然であると天もわかっているのだろう。
運動不足だと言われたことを気にしたわけではない。
ただ最近は魔理沙や霊夢が朝早くから来るから、遠出をする機会がなかっただけだ。
店の入り口には本日休業と貼っておいたから彼女らが来ても何の心配も無い。
時間の許す限り、無縁仏を弔う事が出来るだろう。
そしてあわよくば珍しい品を見つけることが出来るかもしれない。
無縁塚は案外に広く、また色々探しながら歩くので移動距離は結構なものになる。
「思ったより疲れるな」
端から端まで歩き、また戻る。
繰り返すが、運動不足だと言われたことを気にしたわけではない。
ただ中々収穫がなかったので歩き回らざるを得なかっただけである。
歩くたびに拾った荷物が増えるので負担も増える。
額の汗を拭い、持ってきた水筒の水をごくりと飲んだ。
「まあ、これくらいにしておこうかな」
既に日も傾きかけている。
ここから香霖堂に帰るまでの体力も残しておかないといけない。
さほど目新しい収穫はなかったが、運動後の高揚もあり僕は満ち足りた気分で帰路を進んだ。
「ん?」
店に戻り、裏口に来て僕はおかしなことに気が付いた。
「開いてるな……」
裏口の戸が、開いていたのである。
出かける時に鍵を閉めたのは確認したはずなのだが。
万が一鍵を無くした時の為に、僕はすぐ傍の壷の底に鍵を隠してある。
確認してみると、やはりそこの鍵は無くなっていた。
「魔理沙か」
ここに鍵が隠してあるのを知っているのは魔理沙だけだ。
隠し場所を教えた経由は忘れてしまったが、入り口や鍵を壊されると困るからとかそんな理由だった気がする。
彼女がここの鍵を使う主な用途は、勝手に店の中に入り込んでご飯を食べているか眠っているかのどちらかである。
そして香霖がいないから飯を食っておいたぜとか寝てたんだぜというような事を言うのがお約束だ。
「しょうがないな、全く」
裏口から入るとに台所だ。
明かりをつけ、すぐに作業台の上に置いてある蚊帳を見つけた。
中にはおにぎりと焼き魚が置いてある。それから味噌汁は温めて食えよというメモと鍋。
魔理沙は勝手に料理をするが、必ず僕の分も作っておいてくれるのだ。
帰ってきてすぐに食事があるというのは、それだけでとてもありがたい事だ。
ここにいないということは、部屋か店の中にいるんだろうか。
「おーい、魔理沙」
道具を置き、手を洗って部屋を覗く。魔理沙の姿は無い。
とすると、店のほうか。
店内に行くと、僕が普段座っている場所に帽子を外してちょこんと座っている魔理沙がいた。
「魔理……」
近づいて、彼女が眠っている事に気付く。
背もたれに身を預け、口を小さく開いてくぅくぅと寝息を立てていた。
「やれやれ、手のかかる子だ」
僕は一旦客間に引き返し、押入れから布団を引っ張り出して床に敷いた。
魔理沙の元に引き返す。
「……こんなところで寝ていると風邪をひくよ」
肩を揺らしてみるが、起きる様子は無い。
「仕方ない……と」
魔理沙を抱きかかえるようにし、持ち上げた。
「おも……」
重い、と言いかけたのをなんとか止める。
やっぱり砂糖の入れすぎなんじゃないだろうか。
人のことを言えたもんじゃあないぞと一人ごちる。
それとも、僕が思っている以上に魔理沙が成長しているという事なのか。
後数年もしたら、びっくりするくらいの美人になっているかもしれない。
中身は何も変わっちゃいないだろうけれど。
「魔理沙は魔理沙のままだろうな」
軽く頭を撫でてやると、口をむにゃむにゃさせていた。
「……よっと」
魔理沙を布団の上に寝かせてやり、トレードマークの帽子を取りに行くために店内へ。
帽子を持ち上げると、ことんと何かが落っこちた。
魔理沙の帽子には内ポケットがあり、そこには様々なアイテムが詰まっている。
それのひとつが落ちたのだろう。
「これは……」
瓶に入った黒い物体。
蓋はきっちり密閉されているが、僅かに匂いが感じられる。
「コーヒー豆か」
僕の家に置いてある物とは違う種類のもののようだ。
なるほど、魔理沙の淹れるコーヒーが美味しい理由のひとつがわかった気がした。
魔理沙は僕の家のコーヒー豆だけでなく、自前のコーヒー豆を混ぜ合わせたブレンドコーヒーを作り上げていたのである。
調合はお手の物と魔理沙が言っていたのはそのことを指していたのだろう。
「……というのは僕の憶測であって、実は全然違う理由があるに違いない」
帽子のポケットに瓶を戻し、眠っている魔理沙の傍に置いておく。
「さて、魔理沙の用意してくれた食事でも食べるとしようかな」
僕は台所で遅めの晩食を取る事にした。
「なにのんでるのー?」
親父さんと話を終え、店の奥で休憩しているとお嬢さんの魔理沙が僕に話しかけてきた。
独立して数年、霧雨の店に顔を出したのは久しぶりである。
彼女と会うのも久しぶりだ。
「これは魔理沙お嬢さん。ご機嫌いかがですか」
僕がそう呼ぶと不満そうな顔をする。
「おじょうさまはやめてっていったでしょー。けいごもやめて」
「ああ、ごめんごめん」
魔理沙はお嬢さん扱いされるのを極端に嫌っていた。
きっと特別扱いされるのが嫌なのだろう。
「それで、なにのんでるの?」
「これかい。これはコーヒーだよ」
「こーひー?」
「ああ」
外の世界では親しまれている嗜好品のひとつだ。
僕はそれを砂糖もミルクも入れずに飲むのが好きだった。
「おいしいの?」
「うーん。大人の味って感じかな」
「じゃあわたしものむー!」
「口に合わないかもしれないよ」
魔理沙は両手でコーヒーカップを掴み、目をきらきら輝かせて口に運んだ。
その笑顔が、みるみるうちに曇っていく。
「おいしくない……」
やはり魔理沙にはまだ早い味だったようだ。
「大人の味だからね」
「うー、こどもようのはないの?」
魔理沙は舌を出して渋い顔をしている。
「女の子なんだからそういう真似は止めた方がいいよ」
「むー」
ますますふくれっ面になる魔理沙。
「少し待っていてくれ」
かつて修行をしていた霧雨店。どこに何があるかはだいたいわかっている。
僕は彼女用のそれを用意することにした。
まずはいくつかの豆を混ぜ合わせ、手挽きミルでじっくり挽いていく。
「ここで豆を混ぜるのがポイントなんだ」
「ふーん」
魔理沙は興味深そうに豆が挽かれる様子を眺めていた。
「はい、できた」
「これをどうするの?」
「布を通して抽出するんだ」
「ちゅうしゅつ?」
「美味しくするおまじないみたいなものかな」
まずコーヒーサーバーを置き、ネルという濾し袋を置く。
「ここに粉を入れて」
お湯を入れてしばらく待つ。
「わ、なんかふくらんできた」
「いい豆だとこういう風になるんだよ」
そこにさらにお湯を入れ、ネルを持ち上げる。
黒い液体がゆっくりとコーヒーサーバーに注がれていく。
これを二度三度繰り返し、出来上がりだ。
「これでまずコーヒーが出来た」
といってもこれではただのブレンドコーヒーだ。
僕がさっき飲んでいたそれより味はまろやかになっているだろうが、魔理沙からしたら苦い液体のままだろう。
「そしてここに魔法のアイテムを入れるんだよ」
「まほう!」
魔理沙はぱあっと顔を輝かせた。
僕が彼女に懐かれたきっかけもそうだったが、彼女はマジックアイテムとか魔法とかそういうものがとても好きらしい。
なので僕は彼女を喜ばせようと思った時は必ず魔法というフレーズを使うようにしていた。
「このホワイトシュガーを使うんだ」
何の変哲も無い砂糖なのだが横文字で言うだけでそれっぽくなる。
「一杯、二杯、三杯、四杯」
砂糖壷に入った砂糖をスプーンですくって入れて、くるくるとかき回し。
「それからミルクを入れて」
ミルクを気持ち多めに注ぐ。
「はい、できあがり」
一口飲んでみると、びっくりするくらいに甘かった。
「……おいしい?」
「ああ、とても美味しいよ」
僕には甘すぎるくらいだ。
「むー」
魔理沙は警戒したままだった。
先ほどの味を知っているから尚更だろう。
「わたしも、そのまほうのアイテムいれる」
「え」
現時点でこのコーヒーには砂糖四回分が入っている。
そこにさらに入れるとなると……
「それだと甘すぎると思うけどね」
「わたしあまいのすきだもん」
「……そうかい」
この子は妙に頑固なところがあり、一度言うとテコでも譲らない。
「先に味見をしてからのほうがいいよ」
一応彼女の意識を尊重する事にして、コーヒーカップを手渡した。
「うん」
頷いてすぐに砂糖をスプーン大盛りにして突っ込む。
「いや、だからね」
「このほうがぜったいおいしいもん」
そのまま、かちゃかちゃと音を立てて混ぜ合わせる。
「ん」
そして自分なりに満足したのか、頷いてスプーンを置いた。
「……」
恐る恐るという感じでカップに口を近づける。
そして一口。
「ん! おいしい!」
「……それはよかったね」
僕は見ているだけで口の中が甘くてしょうがなかった。
「のむ?」
「え? あ、いや」
「のんで」
「……頂くよ」
ほんの少しだけ、口に入れる。
「お、美味しいね」
甘いなんてもんじゃない。砂糖をそのまんま舐めているような気分だった。
「でしょ。ふふーん」
魔理沙は満足げにコーヒーを飲んでいる。
「……」
そういえば僕のコーヒーもまだ残っていたはずだ。
口直しにとカップを手に取り、飲もうとして。
「ね、このアイテムそっちにもいれてあげる!」
「え」
魔理沙の言葉に固まった。
「ねえねえどれくらいほしい!」
満面の笑顔で砂糖壷を上下に振り回している。
答えないと、いくらでも平気で入れそうな勢いだ。
「うーん、一杯でいいよ」
僕は苦笑いしながら答えると、魔理沙は。
「いっぱいね!」
砂糖壷をそのまんまひっくり返し、コーヒーカップに注ぎ込むのであった。
「……」
どうやら昔の夢を見ていたようだ。
夢の内容のせいか、口周りにコーヒーと砂糖の混ざった甘ったるい味を感じる。
「……僕だったのか」
魔理沙にコーヒーのブレンドを教えたのも、砂糖を入れて甘くするのを教えたのも。
あの時の事を魔理沙は覚えていたんだろうか。
「それはそれとして」
今現在の状況を分析しないといけない。
僕は魔理沙の用意してくれた食事を終え、店内で本を読んでいた。
そしてそのまま眠ってしまったのだろう。
魔理沙に注意しておいてこれだ。
英語ですらよく理解できていない僕に、独逸語はまだ早すぎたようだ。
そんな事は今はどうでもいい。
僕は魔理沙をかついで客間に寝かせてやったはずである。
「……ぅうん」
だというのに何故魔理沙は僕の膝の上で眠っているのだろうか。
先ほど椅子の背もたれにしていたように僕に寄りかかり、胸板に半分顔をうずめて寝息を立てている。
「……」
机の上には飲みかけのコーヒーが置かれていた。
僕が飲んだものではない。
魔理沙が自分で飲んだのだろう。
客間に寝かせた魔理沙は、自分が客間にいることで僕が帰ってきた事に気がついた。
そして店内で眠る僕の姿を見つける。
魔理沙は思ったはずだ。
香霖め、私を寝かせておいてそれじゃ世話無いぜ。
そんな文句を僕に言うために、コーヒーを飲んで起きている事にした。
しかし時間は夜中も夜中。
コーヒーを飲んでも眠気には抗えず眠ってしまった。
そして魔理沙が眠ってしまった後に、僕が目覚めた。
こんなところだろうか。
「……」
既に冷めてしまったコーヒーを口に運ぶ。
「……甘い」
夢の中の味と何一つ変わらず、いやそれ以上に甘く感じた。
まあ時々ならば、こういう甘さもいい。
「……甘い?」
ふとある事に気付き、口元を押さえる。
何故僕はあんな夢を見たんだろう。
何故僕は起きた直後に甘ったるい味を感じたんだろう。
「魔理沙」
名前を呼んでも魔理沙は答えない。
「……」
僕は魔理沙を抱きかかえ、起こさないように慎重に起き上がった。
もう一度彼女を客間に寝かせてやろう。
今度は同じ事にならないように僕も隣で眠る事にした。
「おーい香霖」
「やあ、おはよう魔理沙」
先に起きた僕が台所で朝食を作っていると、魔理沙が瞼をこすりながらやってきた。
「昨日は晩御飯をありがとう」
「あー、別についでだったからな」
ぽりぽりと頬を掻き、照れくさそうに笑う魔理沙。
「それよか何か飲み物無いか。なんか口が苦いんだよ」
べえと舌を出し、渋い顔をしている。
「さっきコーヒーを作ったばっかりなんだが、どうだい」
そう言って僕の飲みかけのコーヒーカップを持ち上げてみせる。
「ブラックで飲むと目が覚めるよ」
「遠慮しておくぜ」
「それは残念」
「……んんん?」
魔理沙はコーヒーカップと僕の顔を見合わせ、首を傾げていた。
それから口元に手を当て、何かに気付いたような顔をする。
「あー、気が変わった。たまには朝からコーヒーを飲むのもいいかもしれないな」
「そうかい。じゃあ淹れる事にするよ。砂糖はいくつ入れる?」
尋ねると帽子のふちで顔を隠しながら言った。
「今日はいらない。たまには香霖のお勧めに従ってみるぜ」
「そうかい」
こぽこぽと魔理沙専用マグカップに注ぐ。
「どうぞ」
「……サンキュ」
魔理沙はそれをゆっくりと口に運んだ。
「……苦い」
言葉の割には魔理沙は嬉しそうな顔をしていた。
「大人の味だからね」
「なるほど、大人の味だな」
うんうんと大仰に頷く。
それから僕の様子を伺うように、上目使いで見つめてきた。
「なあ香霖」
「なんだい?」
「その、なんだ」
口をもごもごさせて何か言いたげな様子だ。
「こ……香霖にはそういうのは似合わないぜ」
「僕もそう思う」
そういうのが何を指しているのかは聞かない。
ただ僕は、昨日眠っている僕に彼女がしただろう事を、同じようにやり返しただけである。
「……」
残ったコーヒーを飲み干してカップを置いた。
砂糖を入れていないはずなのにいやに甘く感じる。
「もう一杯飲みたいところだな」
「あー、だったら私が淹れてやるよ。な!」
魔理沙はやたらと挙動不審な動きでコーヒーを淹れていく。
慌てているのか、僕が見ているのに帽子の中から普通に自前のコーヒー豆を取り出して作っていた。
残念な事に僕は本を読んでいたので何も気付かなかったが。
「ほら、できたぞ香霖」
かしゃんとコーヒーが跳ねそうな勢いでカップが置かれた。
「ありがとう」
本を閉じ、顔を上げると魔理沙が凄い顔をしていた。
多分僕も同じ顔をしていると思う。
照れくさい、恥ずかしい、嬉しい、色々な感情が織り交ざった表情。
「あー」
それでもなんとかいつもと同じ事をしようとしているのか。
目線を合わせたり逸らしたりを続けながら、魔理沙は僕にこう尋ねるのであった。
「砂糖いくつ入れる?」
………………グッジョブ!
名前見てからクリック余裕でした
とりあえず一言言わせてください。
GJ!
コーヒーの中に砂糖が入っているのではなく、
砂糖の中にコーヒーが入っているんだと
甘すぎておじちゃんにはむせちゃうよ
あとがき読んで気付いた。そういうことか!!
入れる砂糖は・・・このSSのせいで口から吐き出した砂糖でいいや。
砂糖がいっぱいで胸焼けしそうです。いいぞもっとやれ。
なんだこの糖度。けしからん!と思ったら貴方様でしたか…。
やっぱりSPⅡさんは最高や!!
甘いよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
深夜なのに畳の上で転がりまくってしまいました
甘い!
そう言えば幻想郷に珈琲党っているのかな
ここまで近づいてくっつかないということが非常にもどかしい!
濃厚な魔理霖でした。
この距離感がたまらない