Coolier - 新生・東方創想話

「どうしてもっていうなら、仕方ないわね…べ、別に嬉しくなんてないんだから!」

2010/06/13 14:52:43
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「はたてぇ~……ゴホッケホッ」

「はいはい、今行くわよ」

現在時刻夜の8時。んで、ここは文の家。

私は、熱で倒れやがりなさった文の看病をしているところだ。

数時間前、私が散歩していると、道端でぶっ倒れてた文を見つけた。

私が声を掛けるとボーッとした表情で「小町さん……三途の川の案内をお願いします……」とか呟いてたから、さすがにヤバいかな~と思って、家に連れ帰った。

風邪をこじらせたみたいで、熱測ってみたら40℃。高熱だよね。

永遠亭から薬を届けてもらったけど、あの兎は座薬しか持ってこなかった。永遠亭は私をバカにしてんのかな?

さすがに座薬を文に与えるわけにはいかないので、私が永遠亭まで薬を取りに行った。そしたら医者に自称万能薬「エーリンドメタシン」をもらった。うん、やっぱり私のことバカにしてるわ。

まあ仕方ないから、とりあえず文に薬飲ませてみたけど、あんまり良くなった感じはないかな……って、べ、別に文が心配とか、そんなんじゃないんだからね!


――そんなこんなで、現在に至る。





「文、具合はどう?」

文の寝ている部屋に、おかゆを持って入る。

「はい、はたてのおかげでさっきよりはマシですよ……」

文はそう言っているけど、それが強がりだっていうのはすぐに分かった。

「全く、あんまり無理しないでよね……」

「はは……すいません」

文が力無く笑う。本当に手間がかかるんだから……

「おかゆ作ったけど、食欲ある?」

「あ、はい、食べます。せっかくはたてが私の為に作ってくれたんですし」

「……!ち、ちがっ!ついでよ、ついで!自分用に作ったのが余っただけ!」

「……自分用って、なんで病気でもないはたてがおかゆを食べるんですか?」

「き、今日はおかゆが食べたかったの!そういう気分だったのよ!」

「……そういうことにしておきます」

文はクスクス笑いながらそう言った。病気のクセに、私をおちょくらないでよね。

「よいしょ…と」

文が食事をするために起き上がる。ずっと寝てたから、髪の毛があちこち跳ねてて、それがなんか可愛い……って、何考えてんのよ私っ!

「……はたて?顔が赤いですよ?」

「うぇ!?な、何でもない!」

私は誤魔化すために、文におかゆの乗ったトレイを押しつける。

「さ、さっさと食べなさい!」

「それじゃあ、いただきます」

文はレンゲを取るが、なかなか口におかゆを運べない。手に力が入らないのか、上手くすくえないようだ。

「……はたて」

「な、何よ……?」

文は私にレンゲとおかゆを手渡してきた。ま、まさか……

「……あーん、してください」

「ひょえぃ!?」

思わず変な声が出た。

あーんって、あれだよね?恋人とかがよくやる、あれのことだよね!?

待って待って待って待ってマジ待って!いくらなんでもそれは恥ずかしいって!

「はたて~……早くしてくださいよぉ……」

文が上目遣いでこっちを見てくる。やめて、本当にやめて!私がおかしくなる!

「あ、文……」

「これじゃあ私、ご飯が食べられないですよ……」

……仕方ない。覚悟を決めよう。

私は緊張で汗ばんだ手を拭いて、そっとおかゆをすくい、ゆっくりと文の口に近づける。

「……あ、あーん」

パクッ。

おかゆが文の口に運ばれた。私の心臓はBPM400くらいのスピードで鳴ってる。

「……美味しいですよ」

「と、ととと当然よ!」

文が美味しいと言ってくれたのが嬉しいのと、あーんの恥ずかしさで軽いパニックになっている。落ち着け私!



……それを何回繰り返しただろうか。気がつけばおかゆの入っていた器は空っぽになっていた。

「ごちそうさまでした」

「お粗末様。食器は洗っておくから」

これ以上文と一緒にいたらどうにかなってしまいそうだ。私は空の食器を持って、文の部屋を出た。



「はぁ……」

洗い物をしながら溜め息をつく。何やってんだ私は……

最近、私は文を過剰に意識している。多分、世間一般でいう「恋」なのかもしれない。

「恋、かぁ……」

私は一人で呟く。

「文は……私のこと、どう思ってんだろ……」

「分からないんですか?はたてさんも鈍感ですね~」

不意に椛が答える。

「うるさいわね、どうせ私は鈍感……って、え?」

思わず二度見してしまった。

私の隣には、いつの間にか椛が立っていたのだ。

「うわぁあぁ!も、椛!?」

「どうもはたてさん。文さんのお見舞いに来ました。洗い物手伝います」

椛は何事もなかったかのように、私の手伝いを始めた。

「……いつから居たの?」

「はたてさんが『恋、かぁ……』と呟いてた頃からですかね?」

そう言って椛はからかうような笑いを見せる。私は恥ずかしくて死にそうだった。

「……文には絶対言わないでよ!」

「分かってますよ。にしても、はたてさんも恋するんですね」

「あぁ~!もう黙れ!」

「何ですか?照れてるんですか?はたてさんも女の子ですね~」

「うるさいうるさいうるさい!何なのよ、文のお見舞いに来たんじゃないの!?文の部屋に行きなさいよ!」

「行きましたよ。気持ちよさそうに眠ってたんで、起こさないようにこっちに来ました」

「え?……ああ、文、寝ちゃったのか」

私はふと、思考が文の事に切り替わる。

そういえば、今日1日熱は下がらなかったけど、大丈夫かな……

「……はたてさんは本当に文さんが好きなんですね」

椛が笑いながら言う。恥ずかしかったけど、事実だし言い返せなかった。

「……私も、文さんのことは好きです」

「え……」

椛は表情を変えずに呟く。思わず私は、お皿を洗う手が止まってしまった。

「でも、もういいんです。……文さんの目には、はたてさんしか映ってないですから。敗者は潔く引きます」

椛は笑った。でも私には、その笑顔が今にも泣き出しそうなほど儚く見えた。




椛は文が好きだった。

いつも文の背中を追いかけては、文と話をするのが楽しかったみたいだ。

でも、私も文を好きになった。多分、文の好意も私に向いている。椛は一体、どんな気持ちなんだろうか。




「椛……私は」

私は口を開こうとしたが、それを椛が制止した。

「……文さんを、大切にしてあげてくださいね。もし泣かせたり、ましてや捨てたりしたら……私の刀が、あなたの血で赤くなるかもしれませんよ?」

椛は笑っている。心から椛は、文の幸せを願っているのだ。それだけ文のことが大好きだったのだろう。

「……当たり前じゃない。私は文が大好きだもの。大切にしないはずないでしょ」

「そうですよね。はたてさんなら、私も安心です」

「……あの、さ。椛……」

「はい?」

「……ありがと」





現在時刻は夜の11時30分。もうすぐ今日が終わる。

皿洗いを終えて、お風呂をいただいた私と椛は、居間でお茶を飲みながらくつろいでいた。

とはいえ、このまま文の家に居ては、文を起こしてしまう。

「……もう遅いし、帰ろうかな」

そんな私の呟きを聞いた椛が、驚いた表情になった。

「……え?はたてさん、お泊まりしないんですか?」

「お、お泊ま……っ!?」

心臓が跳ね上がる。椛ってば何を言い出すのよ!?

「……恥ずかしいんですか?お泊まり」

「うっ」

図星過ぎて言い返せない。

好きな人と一つ屋根の下で寝るなんて、私には難易度が高すぎる。

すると、椛は呆れたように溜め息をついた。

「あのですね……文さんは病気なんですよ?もし寝てる時に具合が悪くなったらどうするんですか?私は、そういう意味で泊まった方がいいと言ってるんですけど……」

「……あ」

そうだ、文は病気なのだ。

誰かがついていた方がいいに決まっている。

それなのに私は、恥ずかしいだのどうだのと……不謹慎にも程がある。

「お分かりですか?それでは私はこれで~」

「え、あっ……ちょっと椛!?」

私が呼び止めるのも聞かずに、椛は帰ってしまった。

「……う」

居間に一人残される。今この家は、私と文の二人だけなわけで……

色々な思考が浮かんでは消える。疲れてるのかな私。寝て頭を冷やそう。

「ああ、もう!さっさと文の様子見て寝よう……」

「私がどうかしましたか?」

「ぬぉっは!?」

思わず変な声(二回目)。

居間に突然文が現れたのだ。

「あ、文?体はもう大丈夫なの?」

声が裏返らないようにゆっくりと聞く。

「はい、おかげさまで。さっき飲んだ薬が効いたみたいです。ちょっと喉が渇いたので水を飲みに来ました」

文は自分で注いだコップの水を飲み干す。

そんな文の様子を見て、私は少し安心した。

「はぁ……全く、心配したんだからね」

「ごめんなさい、はたてには迷惑をかけました」

二人で軽く笑い合う。そんな些細なことが幸せだった。

「でも、まだ全快ってわけじゃないでしょ?もう遅いし、寝た方が……」

私の言葉を遮るように、文が私の裾を引く。

「じゃあ……私の隣りで、寝てください」

文が小さな声で呟いた。

「……ま、まぁ、どうしてもっていうなら仕方ないけど……!」

「ありがとうございます、はたて」

多分、今の私の顔は真っ赤だと思う。

でも、文の嬉しそうな顔が見れたからよしとしよう……そう思った。









不意に、文が私に言った。
「別に、はたてが居てくれることが嬉しいわけじゃないですよ?」








やっぱり、文は可愛い。
だだだんごです。
長い文章を書くのが苦手です。
なので、お見苦しい箇所があるかもしれません。
……え?別に長くない?すいません、自分的には長いつもりです。

「ヘタレなはたて」をメインに書きたかったんですが……どうしてこうなったw
椛も最初は出すつもり無かったんですけどね(汗)
まあ皆さんが面白いと感じてくれれば嬉しいです。
だだだんご
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コメント



0.1480簡易評価
8.100名前が無い程度の能力削除
はたてさん・・・座薬でいきましょうよ
11.100名前も財産も無い程度の能力削除
おお、甘い甘い。良き、はた文、ご馳走様でした。

…それはそうとして、二人の添い寝シーンはまだですかな?w
19.100名前が無い程度の能力削除
はたてはへたれツンデレ
阿求さん幻想郷縁起に書いておいてください

さて失恋椛を慰めてくるかな
24.100名前が無い程度の能力削除
やっぱはたてはツンデレなのかw
もみもみ切ねぇっ
25.100ぺ・四潤削除
やっべ。はたてはツンデレ。もうこれでイメージが固まった。
座薬は本当によく効くんだよ。入れて何時間かでぶわっと汗掻いたと思ったらサーっと熱が引く。
文ちゃんのことを思うのならば使うべきだったんだ。
さて、椛を慰めてくるか……
28.100名前が無い程度の能力削除
これはいいあやはた
32.40名前が無い程度の能力削除
これは間違ったツンデレ