常より多い人数がここ大図書館に集まっている。
とは言っても、紅魔館メンバー以外では紫に藍の二人しか増えてないが。
意外なことに招集をかけたのは小悪魔、幻想郷の危機だというので紅魔館のお偉方とマヨヒガの二人に来てもらったのだ。
「だがたった二人なのだろう?さほどの驚異とは認めがたい」
今までの話を聞いてそう断じた八雲藍であったが、小悪魔はかぶりを振った。
「有象無象の手駒は全く意味を成しません。
最高神がエンジェルコマンドを一千億体創って侵攻するより、最高神そのもの一人が侵略してくるほうが脅威です。
異世界に侵攻するなら天の使いなど、手間とコストと管理と面倒が増えるだけで、実のところ足手まといでしかありません。
手駒が必要になるのは手に入っている世界があって、その世界を管理する必要があってこそで、神一人がいればその他ごとき戦力として一切の意味は無いのです」
今回は二柱ですけれどね、世界は神の分身で100の力を世界に分けてしまったら弱点だけが増えますよねと話を結んだ。
小悪魔のほうもいつもの飄々かつおちゃらけた慇懃無礼と違い、真剣に話を進めている。
異世界の神による侵攻、現状がどれほどヤバいか理解できよう。
「ねぇ、なんでわざわざこっちの世界に攻めてきたのかな」
フランドールがもっともな疑問を口にするが、全ての事象において「何故」は大概わからないままで終わってしまう。だが今回は小悪魔から答えが返ってきた。
「めんどいからでしょう、世界の創造が。それに神だからといって世界のビジョンが描ける訳でもないんです」
なんという衝撃的な事実。
「貴女の世界の神から話が来たのよね、貴女の神では対抗できないの?」
今度は紫が疑問を口にするが、小悪魔は静かに目を伏せて返事を返した。
「我が創造神は幻想郷のために住民一人であろうとも犠牲にしようとしないでしょう。
世界を創造し、その世界に手間をかけ続けていますから、全てを戦闘に振り向けることができる夢月と幻月とは争いたくないようです。
手間で済むならそれを惜しむ方ではありませんが、寸毫でも身内や世界の鍵である自分に危険があるなら、幻想郷が滅んでもかまわないと考えてます。
守るのが自分の世界なら話は全く別になりますけれど」
それを聞いて今度はレミリアが怒りの声をあげる。
「魔界の神は過保護なママか!」
小悪魔が苦笑とともに答えを返す。
「神綺様は過保護なママです」
過保護なママじゃしかたねーなというダルい雰囲気のなか、小悪魔がトドメを刺す。
「いつかはこの館に来るかも知れません、私の様子を見に。過保護ですから」
悪魔の館に創造神の降臨か、堅苦しいのはいやだなぁと紅魔館メンバー特にフランドールが思っていると、やれやれといった調子で読んでいた本から顔を上げパチュリーが仕切り直しを始めた。
「で、その神綺とやらからの支援は全然ないの?貴女の様子からみると何かあるでしょ」
魔界神をやから呼ばわり、紫もやし△と小悪魔が思ったかどうか。
「アリスのもとに荷物が届いたそうです、今ごろ取説を読んでるんじゃないでしょうか」
買い出しなんかで適度に苦労している咲夜が疑問を口にする。
「荷物って、魔界から宅配便でも届くの?」
そういうサービスがあれば便利よねぇと遠い目をしている咲夜に小悪魔が苦笑を返す。
「神綺様が手ずから届けたようです。あれは運送できる代物ではありませんし、アリスさんの様子も見たかったんじゃないでしょうか。過保護ですから」
・・・魔界神って何者?
「とりあえずですね、どうすれば一番いいんでしょうかね」
ダルい雰囲気になりかけたのを美鈴が軌道修正を図る。
「以前どこかの世界が誰かに侵攻された時は、ありとあらゆる時代や大陸を無視して、聖星船みたいなのが必要な人員を集めたそうです」
羽ペンで頭のコウモリ羽をいじくりながら小悪魔が話を続ける。
「この時の侵攻も二柱だったそうですが、その世界のみならず近接の英雄を集めて4隊を組織し『胎内』に強襲をかけたそうです」
「それで、どうなったの」
フランドールが興味津々で聞くが、小悪魔は渋い顔をする。
「侵攻は食い止められ二神は消滅しました、ですが英雄側にも甚大な損害がでました。自分の世界のみならず他の世界の英雄まで被害が出てしまったため、結果的に滅んでしまった世界もあったそうです。おとなしく侵攻されその世界だけ滅んだほうがまだ被害が少なかったですね、結果的に。
神綺様は必要な人員を集めるのに時間が掛かりすぎたと分析しています」
それを受けて藍が問うた。
「ならば迎撃が早ければ勝率が上がるのか?」
小悪魔が頷いた。
「異世界は環境が全く違います。深海の1000気圧の圧力も、宇宙の絶対零度も真空も、フレアが巻き揚がる三万度の灼熱も、どんな過酷もこの世界のものでしかありません。神は死にはしませんが、いかな闘神でも異世界で活動できるようになるには時間が掛かります。
特に物理的な面ではなくて、精神世界のつながりが断たれるのが効くみたいですけどね」
レミリアが決断した。
「今から出る。とりあえず紅魔館からは私が、マヨヒガからは紫だけが出て様子を見よう」
出ようとするレミリアを押しとどめて、慌てて紫が小悪魔に質問をする。
たぶん、これを逃したら生涯聞く機会は無くなる。そんな予感がした。
「世界を救うために世界から引きはがされた残りの『英雄』はどうなったの?」
「戻ると答えた者はあやふやな記憶だけをもって元の世界に戻されたようです。
幾人かはタネローン・・・その世界の幻想郷みたいな場所ですが、おぼろげながら彼の地の残滓がある戦場に残ったと記録されています。
英雄は世界に居場所が無い、全てを受け入れる世界というものを欲しているのです。
だけど戦場となるのは世界の影、幻想であってすでにほかの世界であるような場所、そこが境界。私たちが向かうべき場所もそんな場所です」
紫とレミリアが同時に叫んだ。
「それはどこだ!」
「死がもたらす眠りによって、目覚めること無き植物達が夢を結んでいる場所
かつて世界の乾きを満たし、今なお世界を支える「五月の柱」で出来た城塞
夢幻館、ヴァルプルギスの魔女の夜を統べる五月の女王、風見幽香の住み処」
「へー」といって紫が驚き顔を示すと、レミリアが茶々を入れた。
「そこの妖怪の賢者、まさか風見幽香の居所を知らなかったのか」
それに紫が返事を返す。
「え、だっていつも太陽の畑にいるじゃない、そこが住み処じゃないの?」
むぅ、しょうがねぇなぁという顔でレミリアが促した。
「美鈴、説明」
「あ、はい。では説明しますね。
城というのは公共のもので、城主のプライベートを保証するものではなかったんです。
役人だの兵士だのがいますからね、寝室だろうがプライベートは無いんです。婚姻も責務ですからね。
ですから自分の場所がほしいのでしたら、城の外、庭に求めるしかなかったのです。
ですから西洋の庭は居場所として整える必要があります。眺めるための日本の庭とはそこが違うといえば違うでしょう。
大体そういった流れは12世紀頃から始まり、座りが良いように盛り土をしてハーブを植えたり、ベンチの配置としては~」
「ああまぁそこいらでいい」
興がのってきた庭師美鈴の話を打ち切り、レミリアが紫に向き直る。
「で、夢幻館とやらの所在地はわかったか?」
返事の代わりにレミリアの足下にスキマが開いた。
もちろん無様に顔から落ちるなんてマネはしない。
しかしいっそ顔から落ちていたほうが気まずくなくて良かったかもしれない。
全裸で包帯姿の風見幽香が、ベッドの上に横たわっていたのだから。
レミリアをみとめるなり「てめぇ、今すぐ殺す」という目をするあたりがゆうかりんである。
そしてその傍らで包帯を巻いていた金の髪、金の瞳、青白い肌の少女がレミリアを見て短い悲鳴をあげ逃げ出した。
「ふん、この私に断りも無く、兵士として吸血鬼を飼っていたのか」
殺気立っている風見幽香にこんな喧嘩売るマネなんてしたくない、だが言わねばならぬ時もある。ヴァンパイヤロードはつらいのだ。
「で、異世界から侵攻があったそうだけど、そっちはどうなったの」
レミリアを突き落として安全確認したつもりであった紫も、殺意が充満した部屋の有様にいささか面倒そうであったが、それでも話を進めざるを得ない。妖怪の賢者もつらいのだ。
幽香からは返事が無く、代わりに部屋の隅の観葉植物-どうみてもシナモンです-に流し目を与えた。そのまま鉢植えは変形して、悲鳴とともにサイズを携えた少女を引きずってきた。
「くるみ、客、案内」
幽香さまの御機嫌は今現在、全く麗しく無い。
「あれ?いらっしゃいませ。あの幽香様、私さぼっては・・・」
幽香の一瞥でくるみと呼ばれた少女(たぶん門番、玄関の方から悲鳴が聞こえたから)の口は封じられた。
だがここに居るのは紫にレミリアだ、ここで幽香を恐れてしまっては幻想郷で番を張ることなどできない。
「ちょっと幽香、現状を「話なら向こうで聞いて、もう私は知らん」」
すごい端的でなんか妙になげやりだが、今のところ緊急性は無いようだと判断して、紫とレミリアは引き下がることにした。
部屋から下がって角でも曲がったところで話しかける。ここなら幽香の殺気も気になるまい。
「くるみさんとおっしゃるの?貴女も結構つかうように見えるけど、今回の戦いには出たのかしら」
紫がわたわたと廊下を先導するくるみに声をかける。世間話を装って夢幻館の戦力分析に入っているのだろう。
くるみは幽香の威圧から少し自分を取り戻したのか返事を返した。
「いえ、私たちは幽香様が夢幻に入っている最中、妨害が入らないようにするのが任務です。私ごときですと、たぶん向こうにいっても足手まといにしかならないと思います」
「今までは幽香だけが迎撃に?」
「幽香様だけではなくて、恐竜が歩いていたころの神-タイタンとか龍神とかおっしゃるような方々とか、あとそれ以前からいらっしゃる昆虫の神様なんかが~」
なんかとてつもないことをくるみは言い出した、見てきたように話すところみると、もしかして結構生きてる?
彼女は胡桃という種の具現化なのだろうか・・・まぁ深く考えるのはよそう。
「今までじゃまが入ったことがあるのか」
レミリアの質問にくるみが返事を返す。
「私が知る限りただ一度、博霊の巫女と霧雨の魔法使いが急襲を仕掛けてきました」
「どうやってここを探り当てたのかしら」「それはこちらが知りたいです」
紫の質問は質問で返される、まぁ霊夢だし。
しかしここはそんな見つかりにくい場所なのだろうか。
そんなこんなしている間に案内されたのはコロニアルスタイルの客室で、そこには編まれた藤のソファで精魂尽き果てている様子のアリス・マーガトロイドが倒れ伏していた。
その様子をみてレミリアが鼻をつまみ紫は黙ってスキマを広げ、わらつとを取り出して中身を口の中に注ぎ込んだところ、乙女が出してはいけない音をノドから出しつつアリスが転がりだした。
「うぇぇ、あんたら、私になんの恨みが」
ひとしきりむせたあと恨めしげな声で恨みを口にする。ねばねばしていて、すごく卑猥です。さすがアリス。
「恨みなんてないわよぉ、納豆はねぇ~スタミナ食でお肌にもいいのよぉ~疲れた人には無理にでも食べさせるべきよね~~
それに~大豆イソフラボンは更年期障害に効果あるのねぇ~アリスにぴったりじゃない~」
「恨みには死を持って報いるべきだと妹紅が言ってた。納豆で死にはしないから恨んでなんかないわよアリス。
あと幻想郷では決して油断してはならぬとか、そんなことを妹紅がいってた」
紫が幽々子の声マネをすれば、レミリアは妹紅を持ち出してアリスを真剣にからかう。
あんたらねぇとアリスがあきれた声になる。どうやら意義申し立てをすっかりあきらめたようだ。アリスが幻想郷に来て一番学べたことは諦めであったりする。
このタイミングで、この場所で、この二人というのは絶対に偶然では無い。
異界のとはいえ神(笑)の代理人(仮)であるアリスは聞かねばならない。
「この世界が隠しておきたい神秘がまたひとつ暴かれてしまったのね。で、どこからここのことを探り当てたの?」
「貴女のママから」「密告者は小悪魔」
紫とレミリアから端的なレスポンスが還ってきたアリスは目の幅で涙を流した。
「あ、あの人たちはなんて不用心な」
アリスちゃんの困った顔がみたいわぁ、困った時はもっと頼ってもいいのよというマッチポンプを地でゆく責任者神綺様と、カオスな状況を楽しみたい趣味悪戯(ただし世界破滅レベルも有り、どうせ人ごとの世界)の派遣員小悪魔のタッグは、受け入れた世界にひたすら面倒をもたらすのだが、幻想郷は他の面々も強烈すぎるため目立たなかった。
・・・それだけの話である。
「で、どうなったの」
ゆかりんがやっと本題に入ったが、今度はアリスが端的な返事を返す。
「終わったわ、圧勝」
「その割には疲れているじゃないの」
レミリアの冷静なつっこみ(←ここはあくまで平仮名)に、アリスがうんざりと説明する。
「後始末で面倒がおこったのよ」
「大変なの?」
「ええ、とっても大変」
「手伝おうか」
「いい、無駄」
「好意は受け取ったほうがいい」
「良く言ったレミリア、後悔しないでね」
机に座っていた上海の目が光り、カーテンにどこかの光景を映し出した。
「ここが幻想郷の影ね」
紫のつぶやきにアリスが補足する。
「幻想郷と夢幻界の間、これは向こうに送り込んだ蓬莱の視点」
「影とはいえずいぶん暗い世界だな、サーチライトの一つも付けられなかったのアリス」
レミリアの指摘に、アリスが訂正を入れる。
「画面が暗いのではなくて、背景がモノクロなのよ」
視点が上を向く、それだけではなくて人形自体も上に飛んだようだ。
どうやら窓やなにやら一切ないモノクロの建造物を映していただけのようだ。
「なんであんなものを映していたの?」
紫の質問にアリスが答える。
「じきにわかるわ、だから蓬莱を飛ばしているの。顔までゆかなくても胴体とかそこらを見ればわかるでしょうから」
「胴体!あれはヒトガタなのか。だとすると足の踵だけで人里よりも大きい」
「神造兵器ね、『海と陸をまたぎ、太陽の頭をもつ天使』。あの大きさのものがまさかメタルゴーレムだったなんて。一体ならば管理とかの面倒も無いわね」
レミリアが感想を述べ、紫が所見を口にする。それを聞いてアリスが顔をしかめた。
「ゴーレムじゃなくてメタルダー(装甲兵)よ。鉄人28号の親戚」
外界に詳しい紫も、幻想郷に比較的最近来たレミリアも鉄人にツッコミが入らない、これが早苗なら多いに興に乗ったことだろう。紫は年齢を言われるのを嫌って知らんぷりしただけかもしれないが。その紫が疑問を口にする。
「どう違うのよ」
「ゴーレムは命令で動くのよ、問題は頻繁に暴走する懸念があることね。
メタルダーは操縦する必要があるの、信頼性は本来メタルダーのほうが高いのだけど・・・今回は暴走したわ。後始末ってそれよ」
当然レミリアが聞く。
「アリスが暴走させたのか?で、どうすれば止まんのよ」
「暴走させたのは私じゃ無い、スズランの毒が切れれば勝手に止まるわ」
スズラン、どっかで聞いたようなと思っているうち、アリスがなにかして蓬莱との接続の音声もONにした。
「音をいれてなかったの?」
「ジェットエンジン搭載型蓬莱は音の壁を越えるから、上昇時に音声入れたく無いわ。
ちなみにこの蓬莱なら魔理沙だって追跡できるわよ」
なんのためにこれを創ったのか、その場にいた二人は正しく理解した。
画面ではメタルダーの頭に虫のようなものがたかっている。だが規格外にメタルダーがでかいので、たぶんそれでも人間くらいの大きさがあるのだろう。
アップにすると黒い西洋甲冑を着込んだ騎士が、甲冑の重量など無いかのように軽々と空を飛びランスを使って攻撃している。
「なにあれ、敵なの」
レミリアの問いにアリスが説明する。
「今回参加した英雄の皆様、240000000年ほど続いている昆虫の歴史のなかでも、伝説と呼ばれた存在。本来昆虫は外骨格で、それがそのまま鎧という形で具現化してるのだと思う」
ならば普段のリグルは骨が無い状態で幻想郷にいることになる。
「あ、あそこに居るのはかの有名な蠅の王ベルゼブブよ」
ゆかりんベルゼブブと知り合いなのでしょうか。
そうこうしているうちに聞き覚えのある声がした。
「幽香の蜜を吸えるのはこのボクだけだ!」
面頬を上げたそのかんばせは凛々しく整って、身にまとうは精悍な黒の鎧姿、栄光の騎士は姿形に負けない戦いぶりを示し、本当に力を出すなら幻想郷最強といえる存在と実感させた。だけどそれら全て見事なほどに台無しである。
「あんたなんか嫌い!幽香のミルク飲み人形になって、抱かれてお乳を飲むのは私だけでいいの!」
天をつく巨人からミルクのみ人形宣言が来ました。
なるほど幽香が死ヌほど不機嫌になる訳だと新参二人が納得した。
これで経緯も納得できた、侵略する神二柱に圧勝して気を良くしたメディが、力のある今のウチにリグルを排除しようとしたのだろう。
先が読めなくて短絡的なところはまさに生まれたての初々しさである。ちゃんと妖怪らしく黒いが。
ここで重要なことはただ一つ、幽香に顛末の一切を知ったということを悟られないうちに撤収することだ。もはや長居は無用である・・・・・・
そのままスキマからおいとました、出た場所は何故かひまわり畑である。
そこに何故かやる気に満ちた二人が降り立った。
「あー、なんか無駄だったけど幻想郷の一面がみれて楽しかったわ。
じゃあね、紅魔館のみんなによろしく。藍にも帰るように言っておいて。
ここから帰れるでしょ」
しかしレミリアはスキマに入り込もうとした紫に槍をひっかけて引き戻した。
「さて、八雲紫。どこへゆこうと言うんだ。なお返事は聞かずともわかっているぞ」
ゆかりんは不敵に嗤う。
「貴女じゃできないことをしに行くのよ、つるぺた幼女
可愛くて可愛そうなコに栄養つけてやらないとね。
それと貴女じゃ乳を飲んでいるほうがお似合いよ」
レミリアもニヤリとワラう。
「その通りだな、年増がおっぱいを吸っている姿は見苦しいを超えて情けないだろうよ」
殺気に近い気合いで二人は叫ぶ!この気合いならば天を開くことすらできよう。
「霊夢におっぱいをあげるのは私よ!」
「霊夢のおっぱいを吸うのは私だ!」
ここにおっぱいをあげたい年頃の幻想郷の過保護なママ、八雲紫と
甘えたい年頃の幻想郷の永遠に幼き紅い月、レミリア・スカーレットが激突した
わぁ駄目だこの二人、と思ったのはもちろん霊夢である。
「あんたら…とてつもない異変が起こっているような気がして来てみれば」
リグルとメランコリーの二人はきっとまだ戦っている、花の女神を賭けて。
むろん霊夢はんなこたぁ知らない。
で、幽香ほどこだわらない巫女は、どうということも無く二人に告げた。
「いいわよ、飲んであげるし吸わせてあげる、出ないけどね。でもこれっきりよ」
意外な提案にレミリアと紫は顔を見合わせた、しかし仇敵となった二人は同時に叫ぶ。
「それはこいつを倒してからだ!」
「良く言った!ならば両方死ね!二重弾幕結界っ」
-なぜ私らはあのとき「うん」と言わなかったのだろうか- 終
もう少し読者に親切にすると良いと思います。