夢を見た。
それはこれから先、必ず起こることを私に再確認させられた内容だった。
どうにもならないことに諦めてしまえと、言われていいるような気がした。
「おはよう、霊夢」
「アリス? おはよう。朝からなんの用?」
「ちょっと、クッキー作りすぎちゃって…。よかったら一緒に食べない?」
「あら。気が利くわね。あがってて、お茶用意してくるから」
「クッキーには紅茶が合うと思うんだけど」
「私の好みの味じゃないのよねぇ、あれ」
「ちょっとは我慢しなさいよ」
「私の好みに合わせたかったら少しは私の舌に合う紅茶を研究しときなさい」
「…考えておくわ」
一通り会話が終わると霊夢は台所に姿を消した。
私はとりあえず卓袱台にクッキーを置いて、周りを見渡した。
どこもかしこも霊夢の匂いがする。
まるで霊夢に包まれているような感覚に襲われる。
「お待たせ~」
「っ!? れ、霊夢!?」
「ん? なにそんなに驚いてるのよ?」
「べ、べつに? なんでもないわよ!」
「そ? なら早く食べましょうか」
「そうね…。口に合うかわかんないけど」
「大丈夫よ。アリスが作るものに失敗なんてないわ」
「あ、ありがと…」
「さて、それじゃいただきます!」
勢いよくクッキーを食べた霊夢はしばらくボリボリと口を動かすと
「うん! やっぱりおいしいわ。全部食べていい?」
と、言ってくれた。
「ええ。かまわないわ。元々作りすぎたものを持って来てるんだから」
「じゃあ遠慮なく」
喜んで食べてくれる霊夢に自然と笑みが零れる。
私はこんな霊夢のことが、好きなんだ…。
「ねぇ、霊夢。ちょっといいかしら?」
「ん~? なに?」
「私ね、今日夢を見たの」
「夢? どんな?」
「……ひとりの女の子が死んでしまう夢」
「ずいぶんとシリアスな話しね。それ、聞かなくちゃダメ?」
「じゃあここからは私の独り言。聞いても聞かなくてもどっちでもいいわ」
「ふ~ん。じゃあどうぞ?」
霊夢はそう言うと食べかけていたクッキーをまた食べ始めた。
それでも私の話を一応聞いてくれる姿勢はとってくれた。
「その子は人間なのよ。綺麗な黒髪がとってもよく似合う可愛い女の子。
いつも周りには誰かしら居て、とても楽しそうに笑っているの。
実は彼女はとても貧乏さんで、よく人からものを貰ってるわ。
どんな形であれ彼女は一生懸命生きていた。
そんな彼女が死んだの。
人間だもの、そりゃ死ぬわ。
みんな泣いていたけど、私は涙が出てこなかった。
信じたくなかったから、死んでしまったなんて。
認めてしまえば、私はもう二度と立ち直れないと思ったから。
でも、それはただ逃げているだけで、死んだという事実は覆らない。
だから私は認めた。
で、そこで目が覚めたわ。
何事もなかったかのようにいつもの朝だった。
私、恐くなって……」
そこまで言ったとき自分の頬に暖かいものが触れたのを感じた。
霊夢の手だ。
「なによ、それ…。その子が死んだくらいでなに泣いてるのよ」
「なっ!? 私にとってとても大事な人だったのよ! 泣いてなにが悪いのよ!!」
「…大事な人、ね」
「あっ…、いや、えっと、その…」
「あら? どうしたのよ、そんな顔赤くして」
わかる。
今、霊夢は完全に私で遊んでいる。
さっきのことだって、モロ霊夢のこと言ってるようなものだもの。
どうしよう、これはヤバイ展開じゃないだろうか。
「さて。アリスはその子のことがとっても大事なのねぇ」
「……。」
「泣いちゃうほど、大切なのねぇ」
「……。」
「あ~あ。私告白する前にフられちゃったわ~。私のほうが泣きたいわよ~」
「えっ!? あの、霊夢、今なんて…?」
「だから~。私はアリスのことが好きだってことよ」
さっきまでのニヤニヤした顔とはまったく違った表情をした。
キリっとして私を見つめてきた。
その視線を私は逸らすことはできなかった。
「私は、アリスのこと好きよ。この世界の誰よりも」
「れい、む…」
「そんな夢、まだ当分先の話だわ。不安なら、私を貴方の人形にしてもらってもかまわない」
「っ!? なに、言って…」
「それくらいアリスが好きってこと。束縛上等よ」
「いや、あの…」
「で、どうなの? それでもアリスは夢の中の女の子のほうが大事?」
「わたしは…」
「…ここに本物がいるのに?」
「あ、……私、…その」
そうだ。
あれは夢。
でも夢でもいつかは起きてしまう事実。
それでも私の目の前には夢ではない彼女がいる。
「…すき」
「え? よく聞こえない。もう一度」
「霊夢のことが好き! どうしようもないくらい好きなの!」
「…驚いた。そこまで想われてるなんてね」
「あっ! な、なんてこと言わせるのよ!」
「私のせい!?」
恥ずかしくてつい思っていないことを言ってしまう。
それでも霊夢は優しく微笑んでいた。
「アリスは本当に泣き虫ね。なに泣いてるのよ」
「え? 泣いてるって、私、…あれ?」
急いで手を目元にやるとそこには暖かい水があった。
おかしいな、なんで泣いてるのよ。
泣く要素なんてどこにもないじゃない。
「そんなに嬉しかったのかしら? 私の告白」
「へ? あ、…そっか」
「ん~? どうしたの?」
「…うん。きっと嬉しかったんだ。だから泣いてるんだと思う」
「バカねぇ。笑いなさいよ、そういうときは」
「そ、だよね…、うん、これでいい?」
私は涙を拭って霊夢に笑ってみせた。
そしたら霊夢も笑ってくれた。
その笑顔が私の一番好きな笑顔だということを霊夢はまだ知らない。
危ない危ない…最近レイアリが少なくて変な病気が…
やっぱりレイアリだな!!
もっともっと広がれレイアリの輪!!
あやれいむの波が来ていたけど、やっぱレイアリが一番だわ!!!
もっともっともっと広がれレイアリの輪!!!
霊夢にもアリスにも違和感がありすぎる。だのに百合となればそれだけで点数が高くなるのが納得できないな