「小悪魔! どこにいるの? 小悪魔!」
図書館内にパチュリー様の声が響き渡った。
「はい! 今すぐ行きます!」
私は腕の中に抱えていた本の山を邪魔にならない場所において、声のするほうへと走った。
ここからパチュリー様のいる場所へはそこまで離れていない。
すぐにパチュリー様の姿が見えてきた。
「お、お待たせいたしました…」
私ははぁ、はぁ、と息を切らせながら言った。
「…大丈夫?」
私を見てそう声をかけてくれるパチュリー様。
「は、はい、大丈夫です…なんとか」
パチュリー様に向かって私はそう返す。
「そう、無理はしないでね?」
「ありがとうございます」
パチュリー様の優しい言葉に対して、私は自然に笑顔になる。
「さて、そろそろ本題に入るわね」
「はい!」
「この本を…魔理沙に届けてくれないかしら?」
そう言って渡されたのは古い魔道書だ。
「これを…ですか?」
「そう。魔理沙ったら今日取りにくるとか言っておきながら、全く姿を見せないのよ」
「そういえば…そうですね」
魔理沙さんが昨日の昼にやってきて、この本を貸してくれと言っていたのは覚えている。
「次に来る時まで私が持っていてもいいのだけれど、
魔理沙はこの本を借りるのを凄く楽しみにしていたから小悪魔には悪いけど今すぐ届けて頂戴。
…お願いできるかしら?」
なるほど。
すぐにでも届けてやりたい…ってことね。
「わかりました。主人の命令には絶対服従…ですから」
ニヤリと笑いながら一礼する。
「ふふふ、そうね。それじゃあついでにもう一つ命令しちゃおうかしら。
…帰ってきたら紅茶を二人分入れて私の部屋に来なさい。
もちろん紅茶は私と…あなたの分よ」
「…わかりました」
静かに微笑むパチュリー様。
私も微笑みながらそう返した。
「それじゃあ、お願いね」
「わかりました」
受け取った本を片手に私は図書館を出る。
パチュリー様の視線を背に受けながら。
空は少しだけ赤みがかっていて、カラスが鳴いていた。
「何事もなければ真っ暗になるまでには帰れるわね」
私は空を見上げながらそう呟いた。
夕方の空気は昼とは違い、涼しくて気持ちよかった。
「最近は暑いわよねぇ…まだ春なのに」
そうは言っても、もうそろそろ夏だ。
あと少ししたら本格的に暑くなるだろう。
「あ…もう少ししたら雨の日が多くなっちゃうわね…
梅雨の時期は本の管理が大変なのよねぇ…」
図書館は通気性が悪く、湿度が高くなってくるとカビが生えたりして駄目になってしまう本が出てきてしまうのだ。
私はそんなことが起きないように本をこまめにチェックしている。
はぁ、この仕事が大変で…
「おっと、そんなことを考えてないで急がないと。
パチュリー様も待っているし」
私はスピードを上げる。
「今日も一緒に寝てくれるのかな…」
そんなことを考えると自然に顔がにやけてくる。
最近の私はパチュリー様と一緒のベッドで寝ている。
寝ているときのパチュリー様、これがとてもかわいいのよね。
『うーん、こあくまぁ…』とか寝言で言ったり、腕に抱きついてきたり…
普段のパチュリー様からは想像できない姿だ。
おっと、これ以上考えるとニヤニヤが止まらなくなってしまうわね。
こんなこと考えるのは帰ってからにしようっと。
私がいろいろと妄想…もとい考え事をしていると魔理沙さんの家が見えてきた。
お、やっと着いたわね。
…うん、本もしっかり持ってるし、中に入らせてもらおうかしら。
ドアをコンコンと叩いて魔理沙さんが出てくるのを待った。
しかし、来る気配はない。
「あれ?」
もう一回ノックしてみる。
また少しの間待ってみるがやはり来る気配はない。
「…留守なのかな?」
うん、可能性はあるわね。
しょうがない、家の中にメモ書きと一緒に本を置いて帰ろう。
魔理沙さんはいつもドアに鍵をかけないので、いつでも中に入ることが出来る。
…色々と危ないけどね。
「失礼しまーす…」
誰もいないとはいえ、人の家に入るのだ。
しっかり挨拶くらいしなくては。
「…相変わらず、物が散乱してますねぇ」
私は苦笑した。
その時。
「…相変わらず汚くて…悪かったな…」
「え!?」
あまりにびっくりしすぎて腰を抜かしそうになった。
後ろを振り返ると…魔理沙さんがいた。
彼女はベッドの上で横になっている。
寝ていたのだろうか?
「す、すみません、勝手に入ってしまって…
それとさっきのことは聞かなかったことにしてください…」
とりあえず勝手に入ってしまったことと失言の件を詫びる。
「ああ…それくらい、いいよ…」
あれ…?
魔理沙さんの様子が…おかしい?
「す、すみません、ちょっといいですか?」
私はベッドに近寄って魔理沙さんの顔を見た。
…真っ赤な顔をしている。
もしかして…
「失礼しますね…」
一言断ってから魔理沙さんの額に手を置く。
「凄い熱…!」
「ああ、昨日の夜から頭とか体とか痛くてな…」
「大丈夫ですか!?」
「いや…大丈夫だよ…それより、本を持ってきてくれたのか?
すまないな、今日取りに行く予定だったんだが…」
力なく笑う魔理沙さん。
「そんなことはどうでもいいです! 薬は飲みました? ご飯は食べましたか!?」
「いや、薬も飲んでないし食事も取ってない…」
熱が出ていてきついのはわかるが薬くらいは飲んでてもいいだろう。
「薬くらいは飲んでください! ああ、薬はどこですか? 今取ってきますから」
「あ、いや…実は…」
「…なんですか?」
魔理沙さんは申し訳ないといった感じの顔でこう呟いた。
「…薬、今無いんだ。」
「はい!?」
私は驚いた。
「つい先日、アリスの看病に行った時にちょうど切らしてしまって…」
…呆れた。
「まったく、他人のことを考えるのもいいですけれど、自分のこともしっかり考えてくださいよ…」
「すまん…」
でも、少し感心した。
他人のことも自分のことのように心配するなんて…
パチュリー様が惹かれたのもわかる。
「とりあえず、このままにしておくわけにもいきませんし…
そうだ! 私が治るまでお世話してあげます!」
「いや、いいよ…そこまで迷惑をかけるわけにもいけないしな…」
「馬鹿なことと言わないでください!
今にも死にそうじゃないですか!
…今日は私に任せてください!」
私は叫んだ。
しばしの沈黙の後、魔理沙さんは呟いた。
「…わかった、頼むよ、小悪魔」
「はい。ではまず紅魔館に大急ぎで帰って薬を取ってきますから、それまで待っててください!」
永遠亭に向かったほうが近いだろうけど、私が行ったところで迷って出れなくなってしまうのは眼に見えている。
それにパチュリー様に看病するから今日は帰れないということも伝えないといけないし。
「わざわざすまないな…」
「いえ大丈夫ですよ」
紅魔館に帰る前に、一つだけやることがある。
私は洗面所に向かってタオルを一枚取り、それを濡らした。
十分に濡らしてから絞る。
「これで少しは良くなるはずです」
絞ったタオルをゆっくりと魔理沙さんの額に乗せた。
「それでは行ってきます!」
私は外に飛び出して、走った。
私は息を切らせながら図書館へと駆け込む。
「た、ただいま戻りました!」
「あら、お帰り。本はしっかり届けてくれた?」
本から視線を私へと移して微笑むパチュリー様。
「そ、それより、大変…なんですよ!」
なんとか声を絞り出す。
「大変…?」
パチュリー様は微笑みを消して私をまっすぐ見た。
「魔理沙さんが…高熱で…」
「何ですって…!」
パチュリー様は椅子を後ろに倒しながら立ち上がった。
バタン、と椅子が倒れる音が図書館内に響く。
「ええ、だから私は紅魔館に予備の薬を取りに戻ってきたんです。
それと今日は魔理沙さんの看病で戻ってこれない、ということをパチュリー様に伝えるために…」
「…小悪魔…魔理沙は今どうしてるの?」
パチュリー様は私にそう聞いた。
「とりあえず、濡れタオルを額に乗せてはきました。
何もしないでここに戻ってくるよりはマシかな、と思って…
多分今頃寝ているかと…」
「…決めたわ。私も一緒に看病しに行く」
「ぱ、パチュリー様…本気ですか!?」
「もちろん本気よ」
「無理しないでください! 持病の喘息もあるのに…」
そう、パチュリー様は喘息持ちなのだ。
もし魔理沙さんの家に行くまでに発作が出てしまったら…
「お願い。無理はしないと約束する。
だから…連れて行って…」
パチュリー様は目に涙をためながら懇願した。
「…わかりました。でも無理はしないでくださいね?」
「…わかったわ。私は後から歩いて行く。
だから小悪魔、あなたは魔理沙のところに急いで行ってあげて」
「はい、わかってます」
そこまで言ってから私はパチュリー様の部屋に入った。
確かこの辺りに薬箱が…
あった。
えーと風邪薬は…よし、これだ!
「それではお先に行ってまいります!」
「私もあとから行くわ!」
「はい!」
私はパチュリー様を一人残して、また森のほうへと走った。
走りすぎで足や内臓が悲鳴を上げていたが、私は歯を食いしばって耐えた。
私よりも魔理沙さんのほうがきついはず…
そう考えると、歩くわけにはいかなかった。
しばらく走り続けてなんとか魔理沙さんの家にたどり着く。
「た…ただいま…戻って、来ました…」
家の中に飛びこんで、枕元へと急いだ。
「お、おい…お前、私よりも酷いことになっているじゃないか…!」
はぁはぁ言っている私を見ながら魔理沙さんは驚いた。
「だ、大丈夫ですこれくらい…
それよりも…薬を持ってきましたよ…」
私は手に持っていた薬を見せた。
「あ、ああ…すまない」
「い、今水を入れてきますので…」
先ほどよりは少し楽になったが、まだきつい。
私は台所に向かい、水をコップに注ぐ。
それから魔理沙さんに水と薬を手渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう…」
魔理沙さんは上体を起こして、コップと薬を手に取り、飲み込む。
私もやっと息切れがおさまった。
…足はまだ少し痛いけど。
「しばらく横になっていればすぐに良くなるはずですよ。
なにせ永遠亭の永琳さんが作った薬ですからね」
「だな…あいつの薬は恐ろしいほどよく効くんだ」
薬を飲み終わって、また横になりながら魔理沙さんはそう言った。
「あともう少しすればまた薬が来ますよ」
「へ…? どういうことだ…?」
首を傾げる魔理沙さん。
「ふふふ、それは秘密です」
「…まぁ、いいや。
薬を飲んだからといってもまだよくなった訳じゃないし、少しの間寝かせてもらうよ」
「はい、わかりました。
どうぞごゆっくり」
魔理沙さんはゆっくり目を閉じる。
すると5分もしないうちにすやすやと眠り込んでしまった。
さて、私は魔理沙さんのために食事でも作ろうかな。
外を見るとどんどん暗くなり始めていた。
私が台所で調理をしている時、パチュリー様が家の中に入ってきた。
「魔理沙、大丈夫!?」
「しーっ! さっき寝たところです…」
私はパチュリー様に静かにするように言う。
「あ、ごめんなさい…」
パチュリー様はそう言って、魔理沙さんの横へと向かった。
「全く…心配かけて…」
そう呟きながら魔理沙さんの頭を軽く触る。
「薬は飲ませたのですぐによくなると思いますよ。
それにしても永琳さんの作る薬は本当に凄いですよね…」
「確かにね。ちょっとした風邪くらいなら瞬く間に治ってしまうし…」
永琳さん恐るべし…
「それはそうと、小悪魔は何を作っているの?」
「あ、これですか?
お粥ですよ。風邪を引いたときにはこれが一番ですし」
私は笑いながら言った。
「そう。私も手伝わせてもらえないかしら?」
「え? もうすることなんて何も無いですよ…?」
強いてあげるならば出来上がるのを見守ることくらいだ。
「それじゃあ、盛り付けるくらいは私にやらせて頂戴」
「あ、はい、わかりました」
「出来上がったら呼んで。それまで私は魔理沙の側にいるわ」
「はい」
ちらりと二人のほうを見る。
魔理沙さんの顔はここからでは見えないが、パチュリー様の顔は何とか見ることが出来た。
パチュリー様は心配そうな顔で魔理沙さんを見ている。
「少し…羨ましいな」
ぽつりと私はそう呟いた。
私が高熱で寝込んだらパチュリー様はあそこまで心配してくれるだろうか?
…今はこんなこと考えてる場合じゃないな。
またお粥に目を戻す。
ちょうどいいくらいだろうか。
私は少しだけすくって口に運ぶ。
…うん、ちょうどいい具合に出来ている。
「パチュリー様、出来ましたよ。
盛り付けお願いします」
「…わかったわ」
パチュリー様は立ち上がって、台所へ歩いてくる。
「はい、お皿です」
私はお皿を取ってパチュリー様に渡す。
「ありがとう」
パチュリー様はお皿を受け取ると、丁寧に盛り付け始めた。
きっと「早く元気になって欲しい」と願いを込めながら盛り付けているのだろう。
私はその様子を見守っていた。
「魔理沙さん、ご飯が出来ましたよ」
「ん、ああ、すまないな…」
私が軽く肩を叩くと魔理沙さんは目を覚ました。
「…ってパチュリー!? 何でこんなところに!?」
目を開けてパチュリー様を見ると魔理沙さんは驚いて叫んだ。
「何よ、ここにいたら悪い?」
「いや、悪くは無いが…驚いたよ。目覚めたらいつの間にか居たんだからな…」
「それより、これ、食べなさい」
パチュリー様はお粥を手渡した。
「お粥…もしかしてお前が作ったのか?」
「いえ、残念だけど作ったのは小悪魔よ。
盛り付けをしたのは私だけど」
「そうか、二人とも、すまなかったな」
そう言って謝る魔理沙さん。
「さ、早く食べないと冷めちゃいますよ」
「おっと、そうだな…いただきます」
そう言って一口お粥を食べる魔理沙さん。
「お! うまい、うまいぞ!」
私とパチュリー様は顔を見合わせて笑った。
魔理沙さんはあっという間に完食し、お代わりを頼んだ。
「かなりお腹が減っていたみたいですね」
「そうね」
私たちは笑いながら魔理沙さんを見ていた。
「いやぁ、うまかった。ご馳走様」
そう言って笑顔を見せる。
「そこまで喜んでいただけると私たちも嬉しいですよ。
ですよね、パチュリー様」
「そうね、とても嬉しいわ」
パチュリー様も私も笑顔で答える。
「二人のお陰で熱も引いたみたいだ。ありがとうな」
そう言いながら豪快に笑う魔理沙さん。
「どれどれ…」
パチュリー様は手を魔理沙さんの額に触れた。
「わ!? お、お前いきなり何を…!?」
「まだ少し熱いわね…」
驚く魔理沙さん。
少し反応が面白かったので、私も同じことをやってみる。
「まだ熱いですか? それじゃあ私も…」
「ひゃっ!? こ、小悪魔! お前もか!」
「…確かに下がりましたがまだまだ熱いですね。
それにしても魔理沙さんって意外と可愛らしい声を上げるんですねぇ…」
「そうねぇ…」
私とパチュリー様はニヤニヤと笑う。
「お、お前ら…病人をからかうんじゃないっ!」
真っ赤になりながら叫ぶ魔理沙さん。
その様子を見ながら私たちはまた大笑いするのだった。
「ほらほら、そんなに赤くなるとまた熱が出るわよ?」
「うっ…今回は私の負けみたいだぜ…」
ふぅ、とため息をつく魔理沙さん。
またまた大笑いする私たち。
それからしばらく家の中は笑い声や楽しそうな声に包まれた…
「とりあえず、大丈夫そうね」
パチュリー様は魔理沙さんの顔を見ながらそう言った。
「明日には完全に元気になるはずよ」
「そうか。今日は色々とすまなかったな、二人とも」
今日何度目かわからない謝罪の言葉を口にする魔理沙さん。
「む、もうこんな時間か…そうだ、お詫びといってはなんだが今日は泊まっていってくれ」
時計を見て私たちにそう言う魔理沙さん。
「それじゃあ、お言葉に甘えることにしましょうか、小悪魔?」
「そうですね」
「よし決まりだな」
私たちは魔理沙さんお言葉に甘えることにする。
…しかし私には気になることが一つあった。
「…そういえば私たちはどこで寝れば?」
魔理沙さんにそう聞くと、予想外の言葉が返ってきた。
「あ、そういえば寝るところが無いな。
…しょうがない、私のベッドで寝てくれ」
「はい!?」
私とパチュリー様は同時にそう叫んだ。
「い、いきなり何を言い出すの!?」
「え? 別に一緒に寝てもいいじゃないか…」
「魔理沙さんは抵抗無いんですか!?」
「抵抗ないっていうか…実は今日は一緒に寝てもらいたい気分だったり…」
「え…」
魔理沙さんの意外な言葉に私たちは絶句した。
「え、えーと、それはまたなんで…?」
「いや、たまにはこういうのもいいかな、と思ってな。
それに今日は誰か横にいてもらいたい気分なんだ…」
そこまで言うと顔を赤くして顔を伏せた。
これを言うと本人は怒るかもしれないけど、いつもは豪快で男らしい魔理沙さんがここまで可愛らしくなるなんて…
「…わかった。きっと風邪のせいね。完全に治るまで横にいてあげるわ」
パチュリー様は微笑みながらそう言う。
…私もご一緒させてもらおう。
「私もずっと側にいますよ。何かあったら遠慮なく言ってください」
「…今日は二人に迷惑をかけっぱなしだな」
「大丈夫ですよ。私たちは迷惑だ、なんて感じてませんから」
そう言って私は笑いかける。
「そうよ魔理沙。困った時はお互い様じゃない」
「そうか…それじゃあ今度風邪を引いたら私が看病してやるよ」
「その時は目一杯甘えさせてもらうわ」
「私も思いっきり甘えさせてもらいますね」
そこまで言って、私たちは笑いあった。
「さて、もうそろそろ寝ましょう。
睡眠をしっかりとらないとまた具合が悪くなるわよ?」
「そうだな。寝るか」
私とパチュリー様は魔理沙さんの布団の中に入った。
私たちは魔理沙さんを挟み込むようにして横になる。
魔理沙さんの体と私の体、パチュリー様の体と魔理沙さんの体が触れ合う。
「おい、パチュリー。お前の体冷たくないか?」
「何言ってるの。あなたの体が熱すぎるのよ」
「そうか?」
「ええ、そうよ」
確かにまだ少し熱い。
ずっと布団に入っていたからというのもあるだろうが。
「それにしても…近くで見る魔理沙さん、とても綺麗ですね」
「は!? い、いきなり何を…」
「確かにこの距離で見る魔理沙の顔はとても綺麗よね…
普段こんな近くによること、滅多に無いし…」
私たちは笑いながらそんなことを言い合う。
「だー! おまえら! 恥ずかしいからやめろ! さっさと寝てくれ!」
あ、魔理沙さんが怒った。
いや、これは…照れ隠し、かな?
「はいはい、さっさと寝ますよ」
「ふふふ、その方がいいみたいですね」
「そうしてくれ…色々と疲れたぜ…」
ふぅ、とため息をつく魔理沙さん。
そろそろ寝かしてあげないとまた体調を崩しそうだ。
「それじゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「私も寝るわ…」
魔理沙さんとパチュリー様はそう言ってから静かになる。
…私も寝よう。
…今は何時だろう。
私は喉の渇きで目が覚めた。
ああ、水が欲しい。
そう思い、二人を起こさないようにしてベッドをゆっくりと出た。
台所へと向かい、コップに水を注いで飲み干す。
「ふぅ…おいしい」
水を飲み干してからまたゆっくりとベッドへ戻る。
ベッドの中ではまだ二人が静かに寝ていた。
「…こうして見ていると二人とも、まるで子供みたいね」
二人は向かい合った状態で気持ちよさそうに寝ていた。
「さて、また寝ようかな…」
ベッドに入ったとき、パチュリー様がうーんと言って起きてしまった。
「あ、起こしてしまいましたか…?」
「いや、たまたま目が覚めただけよ…」
目をこすりながら私のほうを見るパチュリー様。
「小悪魔はなんで起きたの?」
「私はちょっと喉が渇きまして…」
「そう…」
そう呟くと、今度は魔理沙さんのほうに視点を移した。
「いつもは豪快な魔理沙でも寝ているときはとても可愛いわね…」
「ええ、同意です」
魔理沙さんは寝息を立てながら眠っている。
「私もなんだか魔理沙さんのことを好きになってしまいそうです」
「だーめ、魔理沙は私とアリスの物なの」
こつん、と指で額を突かれる。
「アリスさん…ですか?」
「そう、彼女とはよきライバル…って感じかしらね。
いろいろと話もするし、私自身もかなり尊敬しているしね。
実は最近は彼女も好きになってきているのよ
「意外ですね。特にどんなところが好きなんですか?」
てっきり私はアリスさんとは犬猿の仲だと思っていたのだけれども。
「特にあの努力を欠かさないところね。
何事にも熱心に取り組む姿勢。
私も見習いたいくらいよ」
「そうですか…でもパチュリー様もアリスさんに負けないくらいに努力していると思います」
「え?」
「パチュリー様もいつも熱心に魔法の研究をなさっているじゃないですか」
「…そう、かしら?」
「ええ、そうですよ」
私はパチュリー様の使い魔、よき理解者、そしてパチュリー様を好きな一人の女としてそう言った。
パチュリー様もアリスさんに負けず劣らず、努力家だ。
分からないことがあったら徹底的に調べる。
失敗をしたら何がいけなかったのか細かく再確認する。
私はずっとそんなパチュリー様を見守ってきたのだ。
私はパチュリー様の良さをたくさん知っている。
他の誰よりも。
「…あなたの言葉を信じることにするわ。
ありがとうね、小悪魔」
「あ…」
パチュリー様は私の頭を優しく撫でてくれた。
「さて、また一眠りしましょう」
「は、はい…!」
「あ、私は魔理沙のことが大好きだけど、もちろん小悪魔のことも大好きだからね?」
「あ、ありがとうございます…」
私はあまりの嬉しさに泣きそうになった。
「それじゃあ一足先に寝るわね。
小悪魔も早く寝なさいよ?」
「はい、わかりました」
パチュリー様は横になる。
私もベッドに入り、横で寝ている魔理沙さんを見た。
こちらからでは顔は見えないが、綺麗な金色の髪が見えていた。
「…綺麗な髪」
私はそっと、魔理沙さんの髪の毛に触れてみた。
さらさらとした、とても綺麗な髪だ。
「こっちを向いてくれないかな…」
そう呟いた時、うーん、と唸って魔理沙さんが寝返りを打った。
「え…」
気がつくと目の前には魔理沙さんの顔があった。
「び、びっくりした…」
これは奇跡か偶然か。
…いや、どっちでもいいや。
私は魔理沙さんの顔を見つめた。
「魔理沙さんって寝顔はとても可愛いのね…」
ふふふ、と私は笑う。
男勝りの強さと女の子らしい可愛さを兼ね備えた魔理沙さん。
彼女が好かれる理由がなんとなく分かった気がする。
「私もなんだか好きになってきちゃいましたよ…
まさに恋泥棒…ですね」
恋泥棒。
全くもってその通りだと思う。
「あなたは一体何人の心を盗めば気がすむんでしょうかね」
私は笑いながら寝ている魔理沙さんに問いかけた。
「…私もそろそろ寝よう。…いい夢見られるといいな」
私は魔理沙さんの手を握ってから目を閉じた。
私はそれから夢を見た。
パチュリー様、魔理沙さん、私、アリスさん。
四人で幸せに暮らす夢を。
たまには喧嘩しながら。
たまには泣きながら。
たまには笑いながら。
夢の中の私たちは幸せそうに暮らしていた。
…いつまでもこんな風に暮らせればいいのになぁ。
私はそう思った。
「小悪魔、起きて!」
「え…?」
「朝だぞ、起きろって!」
私がうっすらと目を開けると、目の前に二人の顔があった。
「ふわぁ…おはようございます…」
私はあくびをしながら答えた。
「まったく、何度呼んでも起きなかったものね。
よほどいい夢でも見ていたのかしら?」
「かもな。そういえば私も面白い夢を見たぞ」
「へぇ、どんな?」
パチュリー様は魔理沙さんにそう聞いた。
私も少し興味ある。
「ああ、なんか珍しいキノコがたくさん生えているところに迷い込んでな。
そこで笑いながらキノコを取ってる夢だ」
一瞬私たちは呆然としたが、すぐに笑い出す。
「何よそれ! まったく、キノコの夢なんて魔理沙らしいわね!」
「ええ、本当に面白い夢ですね!」
「おいおい、笑うなよ」
苦笑する魔理沙さん。
「そういえば、小悪魔」
「あ、はい。なんですか?」
私は魔理沙さんに呼ばれて笑うのをやめた。
「今日私が起きたらな…お前と私が手を繋いでいたわけだが…
これって無意識でやったのか?」
「え、いや…た、多分そうじゃ…ないかと…」
私は慌てながら何とかそう返す。
「そうか。
…意識してやってても別に私は構わないけどな」
「え…?」
「あ、いや、気にしないでくれ。ただの独り言だ」
もしかして私に気がある…わけないよね。
「魔理沙、あなたには私とアリスがいるでしょ?
二人じゃ飽き足らずに小悪魔にまで手を出そうっていうのかしら?」
「そ、そういうわけじゃないって…!」
慌ててパチュリー様の機嫌を取ろうとする魔理沙さん。
その様子が面白かったので、私は笑ってしまう。
もちろん二人に笑うなって怒られちゃったけど。
「それじゃあ私たちは帰るけど、本当にもう大丈夫?」
「ああ、完全に治ったよ。二人とも、ありがとうな」
「魔理沙さん、しっかり薬を取りに行ってくださいよ?」
私は魔理沙さんに薬のことを言うのを忘れない。
「う、分かってるよ…」
本当かな…
怪しいところだ。
「それじゃ、帰るわね。また図書館に来て頂戴。とびきりの紅茶を用意して待ってるわ」
「ああ、楽しみにしておくよ。それじゃあな」
私たちは魔理沙さんに見送られて、魔理沙さんの家を後にした。
空は晴れ渡り、朝の空気は涼しくて気持ちよかった。
「小悪魔…あなた魔理沙に惚れた?」
「あ…まあ、少し…」
苦笑しながらそう言うとパチュリー様ははぁ、とため息をついた。
「いや、パチュリー様のことも大好きですよ!」
機嫌を取るために慌ててそう言う私。
いや、機嫌を取るためっていうか、わりと本音だったりするんだけど。
「まったく、魔理沙は本当に好かれやすいわね…」
「そ、そうですね…」
私は苦笑した。
「…小悪魔」
「は、はい!」
いきなり話しかけられて驚く私。
「とりあえず帰ったら紅茶を二杯入れて頂戴。
もちろん一杯は私、もう一杯はあなたの分よ」
「…はい! わかりました!」
私は元気良く答えた。
「紅茶でも飲みながら色々と話しましょう。
魔理沙のこととか、ね?」
「はい!」
「よし、それじゃあ急ぎましょうか」
「あ、パチュリー様!
そんなに急ぐと発作が…!」
「大丈夫よ。
もし発作が出たとしても小悪魔と魔理沙が助けてくれる…でしょ?」
「…わかりました。その時は私たちが助けますよ!」
私もパチュリー様に負けないように小走りで急いだ。
私は走りながら思った。
さっき見た夢のように四人で仲良く暮らしたい、と。
図書館内にパチュリー様の声が響き渡った。
「はい! 今すぐ行きます!」
私は腕の中に抱えていた本の山を邪魔にならない場所において、声のするほうへと走った。
ここからパチュリー様のいる場所へはそこまで離れていない。
すぐにパチュリー様の姿が見えてきた。
「お、お待たせいたしました…」
私ははぁ、はぁ、と息を切らせながら言った。
「…大丈夫?」
私を見てそう声をかけてくれるパチュリー様。
「は、はい、大丈夫です…なんとか」
パチュリー様に向かって私はそう返す。
「そう、無理はしないでね?」
「ありがとうございます」
パチュリー様の優しい言葉に対して、私は自然に笑顔になる。
「さて、そろそろ本題に入るわね」
「はい!」
「この本を…魔理沙に届けてくれないかしら?」
そう言って渡されたのは古い魔道書だ。
「これを…ですか?」
「そう。魔理沙ったら今日取りにくるとか言っておきながら、全く姿を見せないのよ」
「そういえば…そうですね」
魔理沙さんが昨日の昼にやってきて、この本を貸してくれと言っていたのは覚えている。
「次に来る時まで私が持っていてもいいのだけれど、
魔理沙はこの本を借りるのを凄く楽しみにしていたから小悪魔には悪いけど今すぐ届けて頂戴。
…お願いできるかしら?」
なるほど。
すぐにでも届けてやりたい…ってことね。
「わかりました。主人の命令には絶対服従…ですから」
ニヤリと笑いながら一礼する。
「ふふふ、そうね。それじゃあついでにもう一つ命令しちゃおうかしら。
…帰ってきたら紅茶を二人分入れて私の部屋に来なさい。
もちろん紅茶は私と…あなたの分よ」
「…わかりました」
静かに微笑むパチュリー様。
私も微笑みながらそう返した。
「それじゃあ、お願いね」
「わかりました」
受け取った本を片手に私は図書館を出る。
パチュリー様の視線を背に受けながら。
空は少しだけ赤みがかっていて、カラスが鳴いていた。
「何事もなければ真っ暗になるまでには帰れるわね」
私は空を見上げながらそう呟いた。
夕方の空気は昼とは違い、涼しくて気持ちよかった。
「最近は暑いわよねぇ…まだ春なのに」
そうは言っても、もうそろそろ夏だ。
あと少ししたら本格的に暑くなるだろう。
「あ…もう少ししたら雨の日が多くなっちゃうわね…
梅雨の時期は本の管理が大変なのよねぇ…」
図書館は通気性が悪く、湿度が高くなってくるとカビが生えたりして駄目になってしまう本が出てきてしまうのだ。
私はそんなことが起きないように本をこまめにチェックしている。
はぁ、この仕事が大変で…
「おっと、そんなことを考えてないで急がないと。
パチュリー様も待っているし」
私はスピードを上げる。
「今日も一緒に寝てくれるのかな…」
そんなことを考えると自然に顔がにやけてくる。
最近の私はパチュリー様と一緒のベッドで寝ている。
寝ているときのパチュリー様、これがとてもかわいいのよね。
『うーん、こあくまぁ…』とか寝言で言ったり、腕に抱きついてきたり…
普段のパチュリー様からは想像できない姿だ。
おっと、これ以上考えるとニヤニヤが止まらなくなってしまうわね。
こんなこと考えるのは帰ってからにしようっと。
私がいろいろと妄想…もとい考え事をしていると魔理沙さんの家が見えてきた。
お、やっと着いたわね。
…うん、本もしっかり持ってるし、中に入らせてもらおうかしら。
ドアをコンコンと叩いて魔理沙さんが出てくるのを待った。
しかし、来る気配はない。
「あれ?」
もう一回ノックしてみる。
また少しの間待ってみるがやはり来る気配はない。
「…留守なのかな?」
うん、可能性はあるわね。
しょうがない、家の中にメモ書きと一緒に本を置いて帰ろう。
魔理沙さんはいつもドアに鍵をかけないので、いつでも中に入ることが出来る。
…色々と危ないけどね。
「失礼しまーす…」
誰もいないとはいえ、人の家に入るのだ。
しっかり挨拶くらいしなくては。
「…相変わらず、物が散乱してますねぇ」
私は苦笑した。
その時。
「…相変わらず汚くて…悪かったな…」
「え!?」
あまりにびっくりしすぎて腰を抜かしそうになった。
後ろを振り返ると…魔理沙さんがいた。
彼女はベッドの上で横になっている。
寝ていたのだろうか?
「す、すみません、勝手に入ってしまって…
それとさっきのことは聞かなかったことにしてください…」
とりあえず勝手に入ってしまったことと失言の件を詫びる。
「ああ…それくらい、いいよ…」
あれ…?
魔理沙さんの様子が…おかしい?
「す、すみません、ちょっといいですか?」
私はベッドに近寄って魔理沙さんの顔を見た。
…真っ赤な顔をしている。
もしかして…
「失礼しますね…」
一言断ってから魔理沙さんの額に手を置く。
「凄い熱…!」
「ああ、昨日の夜から頭とか体とか痛くてな…」
「大丈夫ですか!?」
「いや…大丈夫だよ…それより、本を持ってきてくれたのか?
すまないな、今日取りに行く予定だったんだが…」
力なく笑う魔理沙さん。
「そんなことはどうでもいいです! 薬は飲みました? ご飯は食べましたか!?」
「いや、薬も飲んでないし食事も取ってない…」
熱が出ていてきついのはわかるが薬くらいは飲んでてもいいだろう。
「薬くらいは飲んでください! ああ、薬はどこですか? 今取ってきますから」
「あ、いや…実は…」
「…なんですか?」
魔理沙さんは申し訳ないといった感じの顔でこう呟いた。
「…薬、今無いんだ。」
「はい!?」
私は驚いた。
「つい先日、アリスの看病に行った時にちょうど切らしてしまって…」
…呆れた。
「まったく、他人のことを考えるのもいいですけれど、自分のこともしっかり考えてくださいよ…」
「すまん…」
でも、少し感心した。
他人のことも自分のことのように心配するなんて…
パチュリー様が惹かれたのもわかる。
「とりあえず、このままにしておくわけにもいきませんし…
そうだ! 私が治るまでお世話してあげます!」
「いや、いいよ…そこまで迷惑をかけるわけにもいけないしな…」
「馬鹿なことと言わないでください!
今にも死にそうじゃないですか!
…今日は私に任せてください!」
私は叫んだ。
しばしの沈黙の後、魔理沙さんは呟いた。
「…わかった、頼むよ、小悪魔」
「はい。ではまず紅魔館に大急ぎで帰って薬を取ってきますから、それまで待っててください!」
永遠亭に向かったほうが近いだろうけど、私が行ったところで迷って出れなくなってしまうのは眼に見えている。
それにパチュリー様に看病するから今日は帰れないということも伝えないといけないし。
「わざわざすまないな…」
「いえ大丈夫ですよ」
紅魔館に帰る前に、一つだけやることがある。
私は洗面所に向かってタオルを一枚取り、それを濡らした。
十分に濡らしてから絞る。
「これで少しは良くなるはずです」
絞ったタオルをゆっくりと魔理沙さんの額に乗せた。
「それでは行ってきます!」
私は外に飛び出して、走った。
私は息を切らせながら図書館へと駆け込む。
「た、ただいま戻りました!」
「あら、お帰り。本はしっかり届けてくれた?」
本から視線を私へと移して微笑むパチュリー様。
「そ、それより、大変…なんですよ!」
なんとか声を絞り出す。
「大変…?」
パチュリー様は微笑みを消して私をまっすぐ見た。
「魔理沙さんが…高熱で…」
「何ですって…!」
パチュリー様は椅子を後ろに倒しながら立ち上がった。
バタン、と椅子が倒れる音が図書館内に響く。
「ええ、だから私は紅魔館に予備の薬を取りに戻ってきたんです。
それと今日は魔理沙さんの看病で戻ってこれない、ということをパチュリー様に伝えるために…」
「…小悪魔…魔理沙は今どうしてるの?」
パチュリー様は私にそう聞いた。
「とりあえず、濡れタオルを額に乗せてはきました。
何もしないでここに戻ってくるよりはマシかな、と思って…
多分今頃寝ているかと…」
「…決めたわ。私も一緒に看病しに行く」
「ぱ、パチュリー様…本気ですか!?」
「もちろん本気よ」
「無理しないでください! 持病の喘息もあるのに…」
そう、パチュリー様は喘息持ちなのだ。
もし魔理沙さんの家に行くまでに発作が出てしまったら…
「お願い。無理はしないと約束する。
だから…連れて行って…」
パチュリー様は目に涙をためながら懇願した。
「…わかりました。でも無理はしないでくださいね?」
「…わかったわ。私は後から歩いて行く。
だから小悪魔、あなたは魔理沙のところに急いで行ってあげて」
「はい、わかってます」
そこまで言ってから私はパチュリー様の部屋に入った。
確かこの辺りに薬箱が…
あった。
えーと風邪薬は…よし、これだ!
「それではお先に行ってまいります!」
「私もあとから行くわ!」
「はい!」
私はパチュリー様を一人残して、また森のほうへと走った。
走りすぎで足や内臓が悲鳴を上げていたが、私は歯を食いしばって耐えた。
私よりも魔理沙さんのほうがきついはず…
そう考えると、歩くわけにはいかなかった。
しばらく走り続けてなんとか魔理沙さんの家にたどり着く。
「た…ただいま…戻って、来ました…」
家の中に飛びこんで、枕元へと急いだ。
「お、おい…お前、私よりも酷いことになっているじゃないか…!」
はぁはぁ言っている私を見ながら魔理沙さんは驚いた。
「だ、大丈夫ですこれくらい…
それよりも…薬を持ってきましたよ…」
私は手に持っていた薬を見せた。
「あ、ああ…すまない」
「い、今水を入れてきますので…」
先ほどよりは少し楽になったが、まだきつい。
私は台所に向かい、水をコップに注ぐ。
それから魔理沙さんに水と薬を手渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう…」
魔理沙さんは上体を起こして、コップと薬を手に取り、飲み込む。
私もやっと息切れがおさまった。
…足はまだ少し痛いけど。
「しばらく横になっていればすぐに良くなるはずですよ。
なにせ永遠亭の永琳さんが作った薬ですからね」
「だな…あいつの薬は恐ろしいほどよく効くんだ」
薬を飲み終わって、また横になりながら魔理沙さんはそう言った。
「あともう少しすればまた薬が来ますよ」
「へ…? どういうことだ…?」
首を傾げる魔理沙さん。
「ふふふ、それは秘密です」
「…まぁ、いいや。
薬を飲んだからといってもまだよくなった訳じゃないし、少しの間寝かせてもらうよ」
「はい、わかりました。
どうぞごゆっくり」
魔理沙さんはゆっくり目を閉じる。
すると5分もしないうちにすやすやと眠り込んでしまった。
さて、私は魔理沙さんのために食事でも作ろうかな。
外を見るとどんどん暗くなり始めていた。
私が台所で調理をしている時、パチュリー様が家の中に入ってきた。
「魔理沙、大丈夫!?」
「しーっ! さっき寝たところです…」
私はパチュリー様に静かにするように言う。
「あ、ごめんなさい…」
パチュリー様はそう言って、魔理沙さんの横へと向かった。
「全く…心配かけて…」
そう呟きながら魔理沙さんの頭を軽く触る。
「薬は飲ませたのですぐによくなると思いますよ。
それにしても永琳さんの作る薬は本当に凄いですよね…」
「確かにね。ちょっとした風邪くらいなら瞬く間に治ってしまうし…」
永琳さん恐るべし…
「それはそうと、小悪魔は何を作っているの?」
「あ、これですか?
お粥ですよ。風邪を引いたときにはこれが一番ですし」
私は笑いながら言った。
「そう。私も手伝わせてもらえないかしら?」
「え? もうすることなんて何も無いですよ…?」
強いてあげるならば出来上がるのを見守ることくらいだ。
「それじゃあ、盛り付けるくらいは私にやらせて頂戴」
「あ、はい、わかりました」
「出来上がったら呼んで。それまで私は魔理沙の側にいるわ」
「はい」
ちらりと二人のほうを見る。
魔理沙さんの顔はここからでは見えないが、パチュリー様の顔は何とか見ることが出来た。
パチュリー様は心配そうな顔で魔理沙さんを見ている。
「少し…羨ましいな」
ぽつりと私はそう呟いた。
私が高熱で寝込んだらパチュリー様はあそこまで心配してくれるだろうか?
…今はこんなこと考えてる場合じゃないな。
またお粥に目を戻す。
ちょうどいいくらいだろうか。
私は少しだけすくって口に運ぶ。
…うん、ちょうどいい具合に出来ている。
「パチュリー様、出来ましたよ。
盛り付けお願いします」
「…わかったわ」
パチュリー様は立ち上がって、台所へ歩いてくる。
「はい、お皿です」
私はお皿を取ってパチュリー様に渡す。
「ありがとう」
パチュリー様はお皿を受け取ると、丁寧に盛り付け始めた。
きっと「早く元気になって欲しい」と願いを込めながら盛り付けているのだろう。
私はその様子を見守っていた。
「魔理沙さん、ご飯が出来ましたよ」
「ん、ああ、すまないな…」
私が軽く肩を叩くと魔理沙さんは目を覚ました。
「…ってパチュリー!? 何でこんなところに!?」
目を開けてパチュリー様を見ると魔理沙さんは驚いて叫んだ。
「何よ、ここにいたら悪い?」
「いや、悪くは無いが…驚いたよ。目覚めたらいつの間にか居たんだからな…」
「それより、これ、食べなさい」
パチュリー様はお粥を手渡した。
「お粥…もしかしてお前が作ったのか?」
「いえ、残念だけど作ったのは小悪魔よ。
盛り付けをしたのは私だけど」
「そうか、二人とも、すまなかったな」
そう言って謝る魔理沙さん。
「さ、早く食べないと冷めちゃいますよ」
「おっと、そうだな…いただきます」
そう言って一口お粥を食べる魔理沙さん。
「お! うまい、うまいぞ!」
私とパチュリー様は顔を見合わせて笑った。
魔理沙さんはあっという間に完食し、お代わりを頼んだ。
「かなりお腹が減っていたみたいですね」
「そうね」
私たちは笑いながら魔理沙さんを見ていた。
「いやぁ、うまかった。ご馳走様」
そう言って笑顔を見せる。
「そこまで喜んでいただけると私たちも嬉しいですよ。
ですよね、パチュリー様」
「そうね、とても嬉しいわ」
パチュリー様も私も笑顔で答える。
「二人のお陰で熱も引いたみたいだ。ありがとうな」
そう言いながら豪快に笑う魔理沙さん。
「どれどれ…」
パチュリー様は手を魔理沙さんの額に触れた。
「わ!? お、お前いきなり何を…!?」
「まだ少し熱いわね…」
驚く魔理沙さん。
少し反応が面白かったので、私も同じことをやってみる。
「まだ熱いですか? それじゃあ私も…」
「ひゃっ!? こ、小悪魔! お前もか!」
「…確かに下がりましたがまだまだ熱いですね。
それにしても魔理沙さんって意外と可愛らしい声を上げるんですねぇ…」
「そうねぇ…」
私とパチュリー様はニヤニヤと笑う。
「お、お前ら…病人をからかうんじゃないっ!」
真っ赤になりながら叫ぶ魔理沙さん。
その様子を見ながら私たちはまた大笑いするのだった。
「ほらほら、そんなに赤くなるとまた熱が出るわよ?」
「うっ…今回は私の負けみたいだぜ…」
ふぅ、とため息をつく魔理沙さん。
またまた大笑いする私たち。
それからしばらく家の中は笑い声や楽しそうな声に包まれた…
「とりあえず、大丈夫そうね」
パチュリー様は魔理沙さんの顔を見ながらそう言った。
「明日には完全に元気になるはずよ」
「そうか。今日は色々とすまなかったな、二人とも」
今日何度目かわからない謝罪の言葉を口にする魔理沙さん。
「む、もうこんな時間か…そうだ、お詫びといってはなんだが今日は泊まっていってくれ」
時計を見て私たちにそう言う魔理沙さん。
「それじゃあ、お言葉に甘えることにしましょうか、小悪魔?」
「そうですね」
「よし決まりだな」
私たちは魔理沙さんお言葉に甘えることにする。
…しかし私には気になることが一つあった。
「…そういえば私たちはどこで寝れば?」
魔理沙さんにそう聞くと、予想外の言葉が返ってきた。
「あ、そういえば寝るところが無いな。
…しょうがない、私のベッドで寝てくれ」
「はい!?」
私とパチュリー様は同時にそう叫んだ。
「い、いきなり何を言い出すの!?」
「え? 別に一緒に寝てもいいじゃないか…」
「魔理沙さんは抵抗無いんですか!?」
「抵抗ないっていうか…実は今日は一緒に寝てもらいたい気分だったり…」
「え…」
魔理沙さんの意外な言葉に私たちは絶句した。
「え、えーと、それはまたなんで…?」
「いや、たまにはこういうのもいいかな、と思ってな。
それに今日は誰か横にいてもらいたい気分なんだ…」
そこまで言うと顔を赤くして顔を伏せた。
これを言うと本人は怒るかもしれないけど、いつもは豪快で男らしい魔理沙さんがここまで可愛らしくなるなんて…
「…わかった。きっと風邪のせいね。完全に治るまで横にいてあげるわ」
パチュリー様は微笑みながらそう言う。
…私もご一緒させてもらおう。
「私もずっと側にいますよ。何かあったら遠慮なく言ってください」
「…今日は二人に迷惑をかけっぱなしだな」
「大丈夫ですよ。私たちは迷惑だ、なんて感じてませんから」
そう言って私は笑いかける。
「そうよ魔理沙。困った時はお互い様じゃない」
「そうか…それじゃあ今度風邪を引いたら私が看病してやるよ」
「その時は目一杯甘えさせてもらうわ」
「私も思いっきり甘えさせてもらいますね」
そこまで言って、私たちは笑いあった。
「さて、もうそろそろ寝ましょう。
睡眠をしっかりとらないとまた具合が悪くなるわよ?」
「そうだな。寝るか」
私とパチュリー様は魔理沙さんの布団の中に入った。
私たちは魔理沙さんを挟み込むようにして横になる。
魔理沙さんの体と私の体、パチュリー様の体と魔理沙さんの体が触れ合う。
「おい、パチュリー。お前の体冷たくないか?」
「何言ってるの。あなたの体が熱すぎるのよ」
「そうか?」
「ええ、そうよ」
確かにまだ少し熱い。
ずっと布団に入っていたからというのもあるだろうが。
「それにしても…近くで見る魔理沙さん、とても綺麗ですね」
「は!? い、いきなり何を…」
「確かにこの距離で見る魔理沙の顔はとても綺麗よね…
普段こんな近くによること、滅多に無いし…」
私たちは笑いながらそんなことを言い合う。
「だー! おまえら! 恥ずかしいからやめろ! さっさと寝てくれ!」
あ、魔理沙さんが怒った。
いや、これは…照れ隠し、かな?
「はいはい、さっさと寝ますよ」
「ふふふ、その方がいいみたいですね」
「そうしてくれ…色々と疲れたぜ…」
ふぅ、とため息をつく魔理沙さん。
そろそろ寝かしてあげないとまた体調を崩しそうだ。
「それじゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「私も寝るわ…」
魔理沙さんとパチュリー様はそう言ってから静かになる。
…私も寝よう。
…今は何時だろう。
私は喉の渇きで目が覚めた。
ああ、水が欲しい。
そう思い、二人を起こさないようにしてベッドをゆっくりと出た。
台所へと向かい、コップに水を注いで飲み干す。
「ふぅ…おいしい」
水を飲み干してからまたゆっくりとベッドへ戻る。
ベッドの中ではまだ二人が静かに寝ていた。
「…こうして見ていると二人とも、まるで子供みたいね」
二人は向かい合った状態で気持ちよさそうに寝ていた。
「さて、また寝ようかな…」
ベッドに入ったとき、パチュリー様がうーんと言って起きてしまった。
「あ、起こしてしまいましたか…?」
「いや、たまたま目が覚めただけよ…」
目をこすりながら私のほうを見るパチュリー様。
「小悪魔はなんで起きたの?」
「私はちょっと喉が渇きまして…」
「そう…」
そう呟くと、今度は魔理沙さんのほうに視点を移した。
「いつもは豪快な魔理沙でも寝ているときはとても可愛いわね…」
「ええ、同意です」
魔理沙さんは寝息を立てながら眠っている。
「私もなんだか魔理沙さんのことを好きになってしまいそうです」
「だーめ、魔理沙は私とアリスの物なの」
こつん、と指で額を突かれる。
「アリスさん…ですか?」
「そう、彼女とはよきライバル…って感じかしらね。
いろいろと話もするし、私自身もかなり尊敬しているしね。
実は最近は彼女も好きになってきているのよ
「意外ですね。特にどんなところが好きなんですか?」
てっきり私はアリスさんとは犬猿の仲だと思っていたのだけれども。
「特にあの努力を欠かさないところね。
何事にも熱心に取り組む姿勢。
私も見習いたいくらいよ」
「そうですか…でもパチュリー様もアリスさんに負けないくらいに努力していると思います」
「え?」
「パチュリー様もいつも熱心に魔法の研究をなさっているじゃないですか」
「…そう、かしら?」
「ええ、そうですよ」
私はパチュリー様の使い魔、よき理解者、そしてパチュリー様を好きな一人の女としてそう言った。
パチュリー様もアリスさんに負けず劣らず、努力家だ。
分からないことがあったら徹底的に調べる。
失敗をしたら何がいけなかったのか細かく再確認する。
私はずっとそんなパチュリー様を見守ってきたのだ。
私はパチュリー様の良さをたくさん知っている。
他の誰よりも。
「…あなたの言葉を信じることにするわ。
ありがとうね、小悪魔」
「あ…」
パチュリー様は私の頭を優しく撫でてくれた。
「さて、また一眠りしましょう」
「は、はい…!」
「あ、私は魔理沙のことが大好きだけど、もちろん小悪魔のことも大好きだからね?」
「あ、ありがとうございます…」
私はあまりの嬉しさに泣きそうになった。
「それじゃあ一足先に寝るわね。
小悪魔も早く寝なさいよ?」
「はい、わかりました」
パチュリー様は横になる。
私もベッドに入り、横で寝ている魔理沙さんを見た。
こちらからでは顔は見えないが、綺麗な金色の髪が見えていた。
「…綺麗な髪」
私はそっと、魔理沙さんの髪の毛に触れてみた。
さらさらとした、とても綺麗な髪だ。
「こっちを向いてくれないかな…」
そう呟いた時、うーん、と唸って魔理沙さんが寝返りを打った。
「え…」
気がつくと目の前には魔理沙さんの顔があった。
「び、びっくりした…」
これは奇跡か偶然か。
…いや、どっちでもいいや。
私は魔理沙さんの顔を見つめた。
「魔理沙さんって寝顔はとても可愛いのね…」
ふふふ、と私は笑う。
男勝りの強さと女の子らしい可愛さを兼ね備えた魔理沙さん。
彼女が好かれる理由がなんとなく分かった気がする。
「私もなんだか好きになってきちゃいましたよ…
まさに恋泥棒…ですね」
恋泥棒。
全くもってその通りだと思う。
「あなたは一体何人の心を盗めば気がすむんでしょうかね」
私は笑いながら寝ている魔理沙さんに問いかけた。
「…私もそろそろ寝よう。…いい夢見られるといいな」
私は魔理沙さんの手を握ってから目を閉じた。
私はそれから夢を見た。
パチュリー様、魔理沙さん、私、アリスさん。
四人で幸せに暮らす夢を。
たまには喧嘩しながら。
たまには泣きながら。
たまには笑いながら。
夢の中の私たちは幸せそうに暮らしていた。
…いつまでもこんな風に暮らせればいいのになぁ。
私はそう思った。
「小悪魔、起きて!」
「え…?」
「朝だぞ、起きろって!」
私がうっすらと目を開けると、目の前に二人の顔があった。
「ふわぁ…おはようございます…」
私はあくびをしながら答えた。
「まったく、何度呼んでも起きなかったものね。
よほどいい夢でも見ていたのかしら?」
「かもな。そういえば私も面白い夢を見たぞ」
「へぇ、どんな?」
パチュリー様は魔理沙さんにそう聞いた。
私も少し興味ある。
「ああ、なんか珍しいキノコがたくさん生えているところに迷い込んでな。
そこで笑いながらキノコを取ってる夢だ」
一瞬私たちは呆然としたが、すぐに笑い出す。
「何よそれ! まったく、キノコの夢なんて魔理沙らしいわね!」
「ええ、本当に面白い夢ですね!」
「おいおい、笑うなよ」
苦笑する魔理沙さん。
「そういえば、小悪魔」
「あ、はい。なんですか?」
私は魔理沙さんに呼ばれて笑うのをやめた。
「今日私が起きたらな…お前と私が手を繋いでいたわけだが…
これって無意識でやったのか?」
「え、いや…た、多分そうじゃ…ないかと…」
私は慌てながら何とかそう返す。
「そうか。
…意識してやってても別に私は構わないけどな」
「え…?」
「あ、いや、気にしないでくれ。ただの独り言だ」
もしかして私に気がある…わけないよね。
「魔理沙、あなたには私とアリスがいるでしょ?
二人じゃ飽き足らずに小悪魔にまで手を出そうっていうのかしら?」
「そ、そういうわけじゃないって…!」
慌ててパチュリー様の機嫌を取ろうとする魔理沙さん。
その様子が面白かったので、私は笑ってしまう。
もちろん二人に笑うなって怒られちゃったけど。
「それじゃあ私たちは帰るけど、本当にもう大丈夫?」
「ああ、完全に治ったよ。二人とも、ありがとうな」
「魔理沙さん、しっかり薬を取りに行ってくださいよ?」
私は魔理沙さんに薬のことを言うのを忘れない。
「う、分かってるよ…」
本当かな…
怪しいところだ。
「それじゃ、帰るわね。また図書館に来て頂戴。とびきりの紅茶を用意して待ってるわ」
「ああ、楽しみにしておくよ。それじゃあな」
私たちは魔理沙さんに見送られて、魔理沙さんの家を後にした。
空は晴れ渡り、朝の空気は涼しくて気持ちよかった。
「小悪魔…あなた魔理沙に惚れた?」
「あ…まあ、少し…」
苦笑しながらそう言うとパチュリー様ははぁ、とため息をついた。
「いや、パチュリー様のことも大好きですよ!」
機嫌を取るために慌ててそう言う私。
いや、機嫌を取るためっていうか、わりと本音だったりするんだけど。
「まったく、魔理沙は本当に好かれやすいわね…」
「そ、そうですね…」
私は苦笑した。
「…小悪魔」
「は、はい!」
いきなり話しかけられて驚く私。
「とりあえず帰ったら紅茶を二杯入れて頂戴。
もちろん一杯は私、もう一杯はあなたの分よ」
「…はい! わかりました!」
私は元気良く答えた。
「紅茶でも飲みながら色々と話しましょう。
魔理沙のこととか、ね?」
「はい!」
「よし、それじゃあ急ぎましょうか」
「あ、パチュリー様!
そんなに急ぐと発作が…!」
「大丈夫よ。
もし発作が出たとしても小悪魔と魔理沙が助けてくれる…でしょ?」
「…わかりました。その時は私たちが助けますよ!」
私もパチュリー様に負けないように小走りで急いだ。
私は走りながら思った。
さっき見た夢のように四人で仲良く暮らしたい、と。
キャラの言動も単純かつ類型的で血が通っていない印象。全部アリスが家で独り寂しくやってた人形劇でしたというオチだったらすごく納得したと思う。残念ながら。
空想・妄想どちらでも構わないので、今よりも更に想像力を働かせて
お話を書いてみては如何でしょうか?
例えばそれぞれの登場人物について、作者様が思い浮かぶ、又はそう在って欲しい特徴を
思いつくだけ箇条書きして、それを踏まえたうえでお互いの台詞や行動に、どういった反応を
示すかもう一度考えてみるとかですね。
文章が淡白・・・
これで言われたのは何回目でしょうか・・・
何回も言われてしまうということは、自分の文章力がまだまだということですね。
これからも文章力をつけられるように、更に精進いたします!
そしてアリスの人形劇だったというオチは全くの予想外ですねw
でもさすがにギャグにはしたくなかったのでこういうお話にさせていただきました^^;
>>10
とりあえず「作者の中の幻想郷はこんななんですね」と(生)温かく見守ってやってください^^;
>>14、15
感想やアドバイス、いつもありがとうございます^^
今よりも更に想像力を・・・ですか。
ある程度「このキャラはこんな性格だ」というのはあるんですが、それを生かせきれてないのかな、と思います。
次回は今回の反省点を踏まえて頑張ってみようと思います!
なかなか語る言葉がないのですが、誤解を恐れず言うと一人称視点は諸刃の剣です。個人の内面や主観に基づいて書きやすい―ハードルの低い筆法ではありますが、反面非常に制約の大きな手法です。特に画面に気を配らないと、どうしても単調な味気ない作品になってしまうくせ者です。貴方の作品の特徴は主人公の目線が、常に自分の表層意識か他のキャラクターの顔に向かっている事だと思います。
何かの折りに触れた文章で次のような話が書いてありました。ある写真慣れしていない人が写真を撮ってもらう時、緊張していたのだそうですが、カメラマンの方がその手のポーズに延々こだわって撮影したそうです。できあがった写真を見てみると、ただ手だけがぎこちなかっただけで、写真は実に良く写っていたそうです。つまり、全身の緊張を手に集中させる事で、身体全体がこわばってしまう事を防いだというお話です。
本作を読んでお話のフォーカスがあやふやになっている気がしました。つまり、女の子たちの暖かい愛情について書かれているはずなのに、表現が顔に留まっていて内面を描き切れていない気がします。作中に夢の描写が出ていますけど、夢とは本質的に人間の感情や記憶―つまり心の奥底にある"見えないモノ"と繋がっているのですから、もう少し丁寧に情緒的な描写を行っても良いのではないでしょうか。"生き生きとした表現"とは文字通り生モノですから、扱いを丁寧にしないと痛んでしまいがちです。それを留意して書かれては如何でしょうが。
とまれ、良い作品を読ませて頂きました。頑張って下さい。また会いましょう。では。
P.S. 蛇足ですが、直上の「生か・せ/き・れ/て」はおかしいですね。「生か・す」は五段ですから連用形は「生か・し」となるはずです。
意見を聞けば聞くほど自分の駄目な部分が現れてきますね。
色々とためになります。
感想、アドバイスありがとうございました!
最後に誤字訂正ありがとうございます。
それはさておき。
暑き春 ネット回線 接続し 読み返すのは 角の小説
というわけで今から嫁のところに行って一緒にベッドへ(ry
そして最後の短歌で涙腺崩壊しかけました…
まさか自分の小説を好きでいてくれる人がいてくれるとは…
次回も…いえ、これからもどうぞよろしくお願いします!