私、藤原妹紅は孤独だった。しかし今はそうではなく、理解者である慧音、宿敵である輝夜、それからた霊夢とか魔理沙とか咲夜とかみょん(だっけ?)とか、色んな連中とも知り合った。そしてそのうちの一人、霊夢と人里でバッタリ出会い、誘われた。
「今晩うちで宴会するから、あなたも来なさいよ」
宴会か。そんなもの、もう何十年、あるいは何百年もご無沙汰だった。だから、行くと答えるのにはほんの少し勇気が必要だった。霊夢の反応は素っ気なく、適当に食べ物なりお酒なり持ってくるよう言って、立ち去ってしまった。
宴会か。霊夢達とは知り合ってまだ間もないし、会話だって数える程度しか交わしていない。だから、私一人で彼女達の宴会に乗り込むというのは少々心細い。
宴会か。慧音も誘われているのかな? 確認を取ってみようかと思ったが、お節介な慧音の事だ、もし行く予定が無くとも、私が行くと知れば付き添いをしようとするに違いない。ちょくちょく、十倍くらい長生きしている私を子供扱いしてくるのは困りものだ。ちょっと、嬉しい気持ちもあるけれど。
宴会か。楽しみだ。
宴会だ。すでに始まっているようで、どんちゃん騒ぎが鳥居の下まで聞こえてくる。
神社という場所を訪れるのも凄く久し振りだったので、賽銭箱の前に向かった。博麗神社の役割は伝聞で知っているが、なにを祀っているのかは知らない。けれど、祈っておいて悪い事は起きまい。私はポケットの中の小銭を三枚ほど掴むと、金額の確認もせず賽銭箱に放り込んでやった。チャリンチャリンと小気味のいい音がし、私は両手を合わせてまぶたを閉じた。
祈る。
祈る?
なにを?
自分の事?
慧音の事?
輝夜の事?
竹林の事?
人里の事?
幻想郷の事?
適当でいいや。
――槍の雨が降りますように。
槍が降ってきても、という言葉があるけれど実際に降った光景なんて見た事がない。
槍を投げられた事はあるけれど、雨というほどではない。
矢の雨なら経験したけれど、槍の方が太くて長くて迫力がありそうだ。
しかしこんな意味不明な願いをして、博麗神社の神様は呆れてやしないだろうか。
まあいいや。
私は眼を開けた。
さて、庭を回っていけば多分、宴会の会場を発見できるだろう。私は歩き出し、部屋から漏れる明かりと、縁側で酒盛りをする人影があって、私は近づいていった。縁側で月を見ながら呑んでいたのは、ええと、亡霊の『ゆゆゆ』と、ええと、えーっと、うーんと、あーっと、スキマババァの『ゆうかりん』だったかな? うろ覚え。あいつ等にはあまりいい印象残ってないんだよなぁ。会うの、竹林で一対二の四連戦仕掛けられて以来だし。霊夢達とはその後も会う機会はあったんだけどさ。だからどういうキャラクターしてるのかもあまり解ってない。
いっそさっきの願い通り、槍が降ってきて二人をくし刺しにでもしてくれないかなぁ。
「グングニルだぁぁぁッ!!」
頭上から声。見上げようとした瞬間、真紅の軌跡が降ってきて、ゆうかりんに突き刺さり爆発した。ゆゆゆは苦笑しながら部屋の中に引っ込む。
本当に槍が降ってくるなんてと驚きつつも、私の願いがかなったせいじゃないよなぁと思い込ませてもらう。改めて見上げる。吸血鬼の少女の、レ……レミ……ドレミちゃんが紅い槍を持って、月を背に浮かんでいた。それと相対する霊夢の姿。弾幕バトルしてたのか。
おーい、と、声をかける。
すると霊夢は周囲に滞空させていた夢想封印を消して、地面に降りてきた。
「ちょっと霊夢! まだ勝負の途中よ!」
「あんたの勝ちでいいわ」
「な、納得いかないわ!」
「しなくていい」
悪い事したかなぁ。ドレミちゃんは後を追うように降りてきた。表情は不満気で、怒りを孕んだ瞳がギラギラと輝いていた。炎に照らされたルビーのようで、向けられる怒りや敵意を感じられないほどに見惚れてしまう。これが吸血鬼の持つ魔性の魅力なのだろうか。
「よく来たわね。まあ、上がりなさいよ」
そんなドレミちゃんと、ついでにグングニルとやらを受けて無残な有様になったゆうかりんさえもスルーして、霊夢は私を誘い、縁側から居間へと上がらせた。卓には様々な料理と大量の酒が並べられており、その周囲を魔理沙とアリスとみょんと、えーと、ゆうかりんの遺体を抱いて泣いてる狐の尻尾の妖怪は誰だっけ?
慧音は……いないか。輝夜の馬鹿がいない点は実に素晴らしい。こういった面子だから誘ってくれたのだとすれば、霊夢の心遣いに感謝だ。
「おー、妹紅じゃないか。ほれ、上がれ上がれ。飲め飲め」
真っ先に私に気づいたのは魔理沙で、新しい杯にたっぷりと酒を注いでくれた。私は土産として持ってきたタケノコを霊夢に渡すと、座布団に座り杯に口をつけた。安酒だな。でも、場を包む活気が精神的味わいを与えてくれる。
「ホウラーイ」
一体の人形が、私の前に料理を運んでくれた。これは、アリスって奴の人形だな。礼を言うと、人形は嬉しそうに小さく跳ねた。自我があるのか、それともアリスが操っているだけなのか。どっちでもいいや。
ゴボウと里芋か。もっと早く来ていれば、ここに私のタケノコも入っていたかもしれない。まずゴボウ。うん、歯ごたえがあっていい。他にはどんなのがあるだろう。えーと、これは兎の肉か、永遠亭の連中がいない訳だ。さっそく一口。うんうん、いい味してる。
「シャンハーイ」
また人形が料理を持ってきた。おお、天ぷらじゃないか。尻尾がカリカリしてておいしいんだよね。礼を言うと、やはり嬉しそうにピョコンと跳ねた。可愛いなぁ。ふとアリスへ視線を向ければ、どうだとばかりにしたり顔をしていた。
「お前さー、まだ輝夜と殺し合いとかしてるの?」
してるよ。魔理沙の問いに即答すると、急に肩を組んできて酒臭い息を吐きかける。
「いいなぁ、不死身だと過激な弾幕ごっこができて。でも、パワーと美しさとパワーと華麗さとパワーと格好よさとパワーを競い合うのも忘れるなよ」
美しさと華麗さと格好よさを競い合うのは忘れないさ。
「そうだ! 弾幕はパワーとパワーとパワーとパワーとパワーによって成り立っている事を忘れるなよ!」
忘れた。
「あんた、結構いい性格してるじゃない」
ワイングラスを片手に、アリスが微笑を向けてきた。ワインもあるのか。よくよく見れば、アリスの前に並んでいるのは洋食だった。ああ、そういえばドレミちゃんがいるんだから、あのメイドもいる訳で、洋食が混じってても不自然じゃないな。姿が見えないのは、メイドらしく台所で働いているからだろうか。あ、霊夢もいないから、もしかしたら一緒かも。
しかめっ面のドレミちゃんはアリスと近い席に座っていて、やはりワインを飲んでいる。ん……? メイドの名前が咲夜で、あいつは……レ……ドレミちゃんで合ってるよな? なんか違和感が。
肩を組んだままの魔理沙に小声で訊ねてみる。
「あ? なに言ってんだ妹紅、当たり前だろ」
よかった、ドレミちゃんで合ってたのか。
「合ってない!」
ドレミちゃんがワイングラスを投げてきたので、魔理沙の身体を引っ張って身代わりとした。
「ぎゃふん!」
顔面にグラスを受けた魔理沙はワインで真っ赤に染まり、血まみれのようにも見えた。実際、砕けたグラスのせいで血が混じってるかもしれないけど。私達の肩は離れ、魔理沙だけ畳の上に倒れ込んだ。私は構わず箸を動かす。うん、この大根の漬物は絶品だ。
「まったく、魔理沙も悪ふざけがすぎるわね」
呆れたように言うアリスは、養豚場に行く豚を見るような眼差しを魔理沙に向けていたが、人形がおしぼりで魔理沙の顔を拭いてやっていた。人形に自我があるのかどうかは知らないが、それを止めないという事はアリスの意思に反している訳ではないのだろう。なるほど、これが慧音の言ってたツンデレというものか。
「そいつの名前はドレミちゃんじゃなくて、レミリア・ウーよ」
レミリア・ウーか。よし、記憶に刻み込んだ。
「ウーが余計!」
今度は人魂を投げてくるレミリア・ウー。
「みょん!?」
その隣でゆゆゆにお酌をしていたみょんが悲鳴を上げた。驚き方にも色々あるけど、自分の名前を叫ぶのって変な驚き方だなぁ。あの人魂はみょんのペットかなにかだろうか。
「ホウラーイ!」
アリスに迫る人魂に向かって、アリスの人形が身を投げ出した。衝突した二体は卓の上に落ちて、皿を引っくり返してしまう。人形がこっち側に転がってきたので起こしてやると、ペコリと頭を下げて感謝の意を示してくれた。
可愛いなぁ。名前はあるのかな?
「ホウラーイ」
蓬莱かぁ。
私も蓬莱人形って異名を持ってるのよね。
「ホウラーイ」
パクリはよくないな。
著作権使用料を払ってくれ。
「ホウラーイ!?」
分割払いでもいいぞ。
「ホウラーイ!」
うん、なに言ってるのか全然解んない。
もういいや。はい、返す。
「どうも」
魔理沙が倒れているため、私とアリスの間を阻むものは無く、蓬莱は魔理沙の腹の上を歩いて主人の元へ帰っていった。魔理沙がうめいた気がする。蓬莱って名前の人形だから、蓬莱人形でいいのかな、名前は。偶然ってあるもんだなぁ、私とかぶってる。じゃあ、あっちのシャンハーイは上海人形かな。
つまり、アリスのフルネームはアリス・ニンギョーか。変な名前。
「マーガトロイドよ」
と、アリス・マーガトロイドのツッコミが投げられた。
「ホウラァァァイ!?」
主人の元に帰ったばかりの蓬莱人形が悲鳴を上げながら突っ込んできて、同じ名前同士、避けるのも不憫と思いキャッチしてやる。すると、蓬莱人形の身体がギュルンと回転して私の手を跳ね除けた。互いの鼻っ柱を衝突させて、私は蓬莱人形もろともその場に引っくり返ってしまう。
「解ったレミリア? 回避や防御を予測して投げなきゃ、普段弾幕勝負をしてる私達には通用しないのよ」
「ぐぬぬ……そっちのスキマババァには当たったわ!」
「ただの流れ弾でしょう。自機狙いの弾より厄介だけれど、ただの偶然じゃない」
「表に出なさい。霊夢との弾幕が不完全燃焼だったから、丁度いい、あなたで渇きを潤すとするわ。さあ、出なさい!」
「魔理沙、いい加減に起きなさいよ。ほら」
「無視するなぁー!」
騒がしくなってきたなぁ。
そういえば人魂はどうなっただろう、半身を起こして見てみるとみょんが人魂を抱いておろおろしていた。あの親密さ、もしかしたらあの人魂は彼氏なのかもしれない。人魂と人間の恋なのか、それとも生前から関係があったのか、どちらにせよ恋人同士というのは見ていてなごやかな気持ちになる。
床下、というか地の底からからパルパルパルパルという奇妙な響きが聞こえてきた気がしたけれど、みんな無反応なので私の勘違いだろう。これが東方地霊殿の伏線だとは当時の私は夢にも思わなかったのでした。
ゆゆゆは、そんな仲睦まじいみょんを見てにこやかに微笑んでいる。
……今さらだけど、ゆゆゆとみょんの名前も間違えてる気がしてきた。レミリア・ウーの名前も間違えてたし。
正しい名前を確認すべきか……。
………………。
…………。
……。
いいや面倒くさい。
名前を呼ばなきゃいいだけだし、今度慧音に聞けばすむ。
「よかろう! ならば私が相手をしてやる! 表に出ろ吸血小娘ぇー!」
突然、狐の尻尾の妖怪が立ち上がり、レミリア・ウーに向かって吼えた。そういえばゆうかりんの従者かなにかだったな。流れ槍で主をやられた恨みを晴らすというのか。
実にいい。
やはり復讐とはこうあるべきだ。
怒りと憎しみをたぎらせて、怨敵に向かって己のすべてを叩き込む。
レミリア・ウーは面倒くさがりながらも、不完全燃焼を解消すべく表へと出て行き、狐の尻尾の奴と弾幕勝負を開始した。派手な弾幕を酒の肴とすべく、私は酒瓶に手を伸ばした。
「あら、またですかお嬢様は」
台所から新たな料理を持って出てくる霊夢と咲夜。さっそく私のタケノコを調理してくれたようだ。
「飽きないわねぇ」
霊夢は空いている適当な席に座ると、持ってきた料理を自分で食べ始める。するとすぐ隣にゆゆゆがすりよってきて、一緒につまみ出した。
「はい、あなたの分」
さすがはメイド、ちゃんと私の前にタケノコ料理を――って、これ、アップルパイじゃないか。
見れば、霊夢達が食べているのもアップルパイだ。
タケノコは? 私の持ってきたタケノコの出番は? 調理にかかる時間なんて咲夜がいれば些細なものでしょ?
「安心なさい。あなたの持ってきたタケノコは、粉末レベルまで切り刻んでパイに混ぜておいたわ」
解らない。
なぜそんな調理方法を取ったのかさっぱり解らない。
「隠し味に丁度いいかと思って」
よくねぇよ! と怒鳴る前に、とりあえず一口かじってみ――リザレクション!
「まあ、死ぬほどおいしかったのかしら」
死ぬほど不味かったんだよ!
「でも、あの二人はおいしそうに食べてるわよ?」
霊夢とゆゆゆって悪食なんじゃないか?
「ゆゆゆ?」
ああ、えっと、その。
あの亡霊の名前、違ったっけ?
「違う、というより足りないわね。ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ。それが正式名称よ」
ゆゆゆゆー・ゆゆーゆ?
「ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ」
ゆゆゆーゆゆ・ゆーゆ?
「ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ」
ゆゆゆーゆ・ゆーゆ?
「ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ」
ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ。
「正解。人の名前を間違えるのは失礼よ、ちゃんと覚えておきなさい」
いやー、人の名前を覚える機会がここ数百年、全然無かったもので……。
「仕方ないわねぇ……ここにいるメンバーの名前、ちゃんと言える?」
呆れた調子の咲夜は、私の隣へと座ってアップルパイに手を出さずその隣の煮物を食べた。
私は、ちょっと自信が無いと答える。
「じゃあ、試しに言ってみなさい」
えーと、霊夢、魔理沙、アリス・マーガトロイド。
お前は咲夜。
「苗字は?」
十五夜?
「十六夜」
十六夜咲夜ね。
で、お前のご主人様がレミリア・ウー。
「あら、結構覚えてるじゃない。お嬢様の名前を間違えたりしたら、全身ナイフまみれにするところでしたわ」
ああ、やっぱりレミリア・ウーでよかったのか。
さっきドレミちゃんと間違えてた件を伝えると、咲夜は楽しそうに笑った。
「それはそれで、可愛らしくて素敵ですわね。でもお嬢様の名前は、レミリア・ウーですから。間違いなく、ええ、間違いなく確実に絶対」
なぜそんなに念を押すのか。
まあ、従者なら主の名前をしっかり覚えさせようという忠誠心があって然りか。
レミリア・ウーはいいメイドを持ってるな。
なんかアリスが口元を手で覆って笑いをこらえてるように見えるけど、なにかあったのかな。
「気にしない。じゃ、ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆの従者の彼女の名前は?」
みょん。
人魂の方の名前は全然覚えてない、っていうか私とは初対面だよな?
「そうねぇ…………………………彼女の名前はみょんで合ってるわ!」
ビシッと親指を立てて肯定する咲夜。
私の記憶力も案外捨てたもんじゃないな。よかったよかった。
で、あの人魂は? みょんの彼氏か?
「ええ、婚約者の妖夢さんよ」
妖夢? どこかで聞いたような……。
「そりゃ、みょんの婚約者なんだから、名前を聞く機会くらいあったでしょうよ。みょんと妖夢はいつも一緒にいて、私達は一心同体とかのろけてるのよ」
幸せカップルさんなんだな。
「じゃあ、あそこでミンチになってるスキマ妖怪と、レミリア・ウーお嬢様と戦ってる狐の名前は?」
狐は知らん。
でもスキマはゆうかりんだろ?
「惜しいわ、ゆかりんよ。ゆうかりんは太陽の畑にいる残虐妖怪のあだ名で、風見幽香と言うわ。これを間違えたら本気で危ないから注意しなさい」
そうなのか、忠告ありがとう。
「で、ゆかりんの式の狐の名前はランランルー。縮めてランよ。覚えた?」
大丈夫、百年くらい関係を断たないと忘れないくらいばっちり脳に刻み込んだから。
「あなた、なかなか見所があるわね。どう? うちでメイドやらない?」
紅魔館メイド妹紅さん……か。いやー、私にメイド服は似合わないと思うよ。
「そう? あなたには、ある意味、凄く適任だと思うのだけれど……」
どの辺が?
「寿命の差」
ふいに、咲夜の声色が変わった。
物悲しくありながら、どこか優しい声。
「私は一生死ぬ人間。だからいつか、お嬢様を置いて逝ってしまう。あなたは一生死なぬ人。だからいつか、慧音を置いて逝ってしまうでしょう? 殺し合う相手はあなたと同じ不死、けれど友は? 家族は? お嬢様なら、蓬莱人ほどではないにしろ不老長寿の存在……もし、私や慧音の死後、あなたとお嬢様が……」
咲夜。
十六夜咲夜。
ここは宴の席、しみったれた話はよそう。
そうね、と呟いた咲夜の手元に真紅で満たされたワイングラスが現れる。同時に私の手にも、同じワイングラスが握られていた。いつの間に、って、時間を止めてる間に決まってるか。
「でも、あなたに見所があると言ったのは本心。きっと第二の『みすず』ポジションになれると思うわ」
みすず?
「うちの門番よ。『紅美鈴』と書いて『くれない みすず』と読むの。からかいがいがあるけれど、紅魔館の最前線を護る頼もしい妖怪よ」
ほう、立派そうな妖怪だ。
まあ、私ほどの者なら見所があって当然か。伊達に長生きしてないしな。はっはっはっ。
ところで、あっちでアリスが腹を抱えて震えてるんだけど、どうかしたのかな。
「さあ、変な物でも食べたんじゃないの? 博麗神社での宴会だし」
そうなのか。
「そうなのよ」
こうして夜は更けていき、私は咲夜と楽しく飲み交わしたのだった。
――数日後。
街道にて、みょんと妖夢に出会った。とりあえず挨拶。
よう、みょん。いい天気だな。
「おや、妹紅じゃないですか。人里で会うなんて珍しいですね、どちらにお出かけで?」
紅魔館に、ちょっとね。それはそうと今日もラブラブなようで、熱い熱い。
「ラブラブ?」
なあ妖夢さん、ハニーとはヨロシク仲良くやってるか?
「ははは、ハニーとヨロシク!? いったいなんの話ですかー!!」
照れるなよみょん。咲夜から聞いて、ちゃんと解ってるから。
じゃあな妖夢さん、結婚式には呼んでくれよ。
「結婚!? ちょ、本当になんの話ー!?」
その、ほんの数十分後。
『文々。新聞』とかいうのの号外で、幻想郷全土に妖夢さんの結婚話が大々的に報じられた。みょんの写真も載っていた。読んでてよく解らない点もあったが、みょんと妖夢は必死に誤魔化してろくに取材に答えなかったようだ。
紅魔館に到着すると、門番のみすずが居眠りをしていた。
勝手に通るのも悪いと思い、肩をゆすって起こそうとする。
さらに『みすずさん』と何度か呼びかけたが、目覚める気配はまったく無かった。
おかしいなぁ。咲夜の話では、居眠りをしていても不審者が来ればすぐ起きて対処する達人と聞いていたのだけれど。そりゃ、私は不審者ではないけれど、みすずにとっては初対面なのだから、警戒すべきだよね?
起きないものは仕方ない。私は勝手に門を通る事にした。
「止まりなさい」
すると、どんなに呼びかけても起きなかったみすずが、いつの間にか背後に仁王立ちしていた。
「許可も無く門をくぐろうとする不埒な輩は、この私が成敗します。ふぉお~!」
こういう展開になったら、どんな釈明も通じないのがお約束。
仕方ないから私は拳によって応える事にした。
軽やかに宙を舞い、交差させた腕を左右に広げて放つ斬撃拳!
朱雀展翔!
「あ、あ、あにめほくとのけんごじゅーごわのおりじなるわざーあべし!」
意味不明の悲鳴を上げて倒れたみすずを放って、私は紅魔館にお邪魔した。
しばらく歩いていると、咲夜を連れた吸血鬼の少女が現れた。
「あら、死なない人間じゃない。勝手に入ってくるなんて、躾がなってないわねぇ」
よう、咲夜に誘われて紅魔館メイド一日体験コースに参加させてもらうよ。
「え、うちってそんなのやってたの?」
「やってますよ」
いけしゃあしゃあと答える咲夜。これ、絶対内緒でやってるだろ。
まあいいや。
今日一日よろしくな、レミリア・ウーお嬢!
「だから違うって言ってるだろぉぉぉッ!!」
===完==≫
面白かったです
パッチュさんでなくてもこの様子を見ていたら呼吸困難で死ねるだろうww
スキマババァの『ゆうかりん』惜しいッ!!でも後半は合ってr(残虐描写につきお見せできません
今回は妹紅の水浴びなくてちょっと残念ww
しかし、もこたんにとって名前はどうやら鬼門のようですな。
メイドもことか、みこもことか普通に似合うと思ふ
楽しい話でした。
ところで、ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ様はやっぱり鼻毛真拳を使うのですかね?
もこたんかわいいおw
素直に信じちゃうのね
咲夜さん、GJ!
妹紅がなんかかわいいんですけど!?
>ゆゆゆーゆ・ゆーゆゆ
これボーボボだろ!?
宴会メンバーがもっと多いと名前はどんなカオスになっているのやら
もう少し量を読みたかった
ウーにバレたらどうなることやら
素敵です
おもしろすぎるww
誰も思っていなかっただろう・・・