「ヒャッハーーーーー!! 秋だアアアァアァァァ!」
「命が惜しくば、道を開けィ!!」
ガラガラと音をたてながら、芋をこんもりと乗せた台車がゆく。
それを押すは、紅葉の神、秋 静葉。
その上に威風堂々と鎮座するは、豊穣を司る神、秋 穣子。
台車の後部の両端には、アルミホイルで巻かれた芋が大量にくくりつけられている。
結婚式のアレっぽい雰囲気を醸し出しながら、摩擦熱で芋がホックリ焼けてしまうという効率的極まりないシステムだ。
ただ一つの欠点は、ヂリヂリヂリヂリすごくうるさい事。
「秋でございますゥーーーー! 秋でございますゥーーーー!!」
閃光と見紛う速さで台車を押しながらも、静葉が紅葉をばら撒く。
妖怪も獣も、慄いて道を譲った。
そんな中。秋姉妹の前に力強く立ちはだかる影があった。
白狼天狗、犬走 椛である。
「神々よ、落ち着け! こよm」
「うるせェ! 秋っぽい名前しやがってよ!」
「もみもみすんぞ!!」
聞く耳を持たない。
「ちぃッ……止むを得んか。実力こうしいいいいいいやあああああああああ!?」
かっこいい口上を述べようとしている隙を突かれて、椛は捕まってしまった。
「やーーーだーーーー! 放してーーーーー!!」
「うるさいわね! 穣子!! これで口を塞ぎなさい!」
「OK、忍! オルルルルルラァ! 芋食えやぁ!!」
穣子は、ホクホクの焼き芋を椛の口に突っ込んだ。
「むぐッ!? お、おいひぃ……」
「秋の味覚はお気に召したかしら!? でも秋の恐ろしさはこんなもんじゃないわ!」
「あの技を使いなさい、穣子!」
静葉に向かってコクリと頷き、面妖な構えをとる穣子。
「ふぁ、ふぁにふぉ……」
「ほあああああああ! もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ」
目にも映らぬ速さでもみもみした。
「ふやああああああああああああああああああああああ!!」
「もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ
もみもみもみ……もみじまつり(11月中旬開催)ィィィィィイ!!!」
説明しよう。もみじまつり(11月中旬開催)とは。
飽きるまでもみもみした後、お土産に焼き芋とお芋の香水を持たせて、お見送りをする技である。
「あ、ありがとうございます。お芋、すっごくおいしかったです!」
「秋だろ!?」
「はい! 文さんとはたてちゃんと一緒に食べ……。ふ、ふん。あの馬鹿な鴉天狗共にも食わせてやるか」
ぱたぱたと尻尾を振りながら、椛は帰っていった。
それから程なくして、二柱は人里に辿り着いた。
「……ようやく着いたわね」
「ええ、長い道のりだったわ。さぁ、みんな! あk――――」
二柱が秋の到来を告げようとした瞬間。
ポン、と穣子の肩が叩かれた。
「あァん?」
メンチを切る穣子が目にしたものは。
満面の笑みのリリーホワイト。
そして、暦を持ったリリーの指は。
四月五日を、指していた。
「「……春じゃねえかアアアアアアアァァァァァァ!!」」
◆ ◆ ◆
「いや、ホント……自分らが悪かったッス。道理で桜とか咲いてるなぁって。え? いや、全然なめてないッス!!」
「でも、自分らにも言い分があるって言うか……。なんか、春って秋に気候が似てるじゃないッスか。そうッスよねー似てないッスよねー」
「あの、リリーさん。最初に秋とか言い出したの、姉さんなんで。私だけは勘弁して下さい」
「ちょ!! イヤアアアアアアアァァァァァァ!!」
「へへ。……え? 両成敗? ぬわーーーーーーーーーっ!!」
こうして、二足程早い秋は、終わりを告げた。
とりあえず、もみじまつりに参加したいです。
やっぱアンタ最高だwwwwwww
難しいと思うですよー
俺ももみじまつりに参加する! ツンデレ椛が可愛いぞ!
満面の笑顔で暦を持つリリーがシュールすぎるww
作者コレ書いてて今までで一番楽しかっただろwwwwwwwwww
俺も楽しかったww
あ、俺はもちろん揉まれる側で
こういうのも悪くないw面白かったですw
秋姉妹が輝いてるじゃないですか・・・
素敵だ・・・
ここまでぶっ飛んでるテンションはいっそすがすがしいですね。
ツンデレ椛だと……ちゃんとDS仕様じゃないですかー! 可愛い!