注意
この作品には百合要素&微妙なストーリーが含まれています
それでも大丈夫という勇者のみお進みください
「えっと、姫。もう一回聞かせて?」
どうか私の聞き間違いであって欲しい。
「だから、好きな人が出来たの」
え!?
「え~好きな人が出来たから相談に乗って欲しい、こういうことかしら?」
相談に乗る前にそいつを八つ裂きにしたい。
「そ、そうなの。最近好きな人が出来てイナバに相談したらえーりんに相談した方がって……」
よし、ウドンゲは月に発射しよう。最近作った対弾幕用兵器の威力の実験をしたかったし、ちょうどいいわね。
「ふむ。で、好きな人は誰なの?」
動揺や苛立ちをすべて隠して笑顔で輝夜に問いかける。
輝夜には私のこの醜い独占欲で汚れて欲しくないから。
私のこの醜い感情を知られたくないから。
「それは……ひ、秘密よ!」
輝夜は頬を紅潮させながら俯く。
正直、私以外にこんな表情をされたらって思っただけでウドンゲに八つ当たりスペシャルお仕置きをしたくなる。
「ふぅ。秘密にされたら相談にならないじゃない。それとも姫様の好きな人を推理しなくちゃ
いけないのかしら?」
誰だろうか?輝夜の隣はずっと私だったのに他の誰かが立つなんて想像するだけで吐き気がするけど、とりあえず考えてみる。
ひとまず輝夜と付き合う可能性がなければスルーしよう。別に輝夜がいくら好きでも相手も同じじゃなきゃ意味ないものね。
ウドンゲ?違うわね、悪戯ずきのイナバと付き合ってるって姫が面白がってたもの。
藤原の娘?これも多分違う。あの半獣と一緒に住んでるし。
博麗の巫女?分からない。でも博麗の巫女だったら心配ないだろう。彼女は白黒の魔法使いにベタ惚れしてた筈だ。輝夜になびく可能性は無い。
隙間妖怪?ありえないわ。彼女も式とできちゃってるし。
こうやって考えたら幻想郷ってカップルだらけじゃない。
なのに私と輝夜はウン千年も進展なし……。……はぁ。
まさかとは思うけど白黒のあの魔法使い?輝夜は面白いものが好きだし、彼女みたいに純粋な者に興味をもちやすい。しかも彼女には特定の恋人や好きな相手がいない。
「……まさか、魔理沙かしら?」
これで肯定されたら私はこれからどうやって生きていこう。
タキシードを着たあの魔法使いに
「輝夜は私が攫っていくのぜ!!」
とかなったら……。あ”~~~~。
「違うわよ。私が好きな人はもっと大人で頼りがいがあって、」
後半の輝夜の言葉はほとんど耳に入ってこなかった。
なぜなら貴女の目を見てしまったから。
私以外の誰かをその瞳いっぱいに映して。
なんで。
なんで私じゃない?
どうして。
どうして私以外の他の誰かをそんな風に語るの?
なぜ。
なぜ貴女はそんな風に私以外を見ているの?
いつも隣で貴女を支えて、励まして、一緒に泣いて、一緒に笑ってきたのは私なのに。
こんなに、こんなにも貴女が好きなのに……っ。
「えーりん?えーりん聞いてる?」
輝夜がいぶかしそうに私の目を覗き込んでくる。
今は輝夜と一緒にいたくなかった。
「ごめんなさい。ちょっと用事を思い出したから行くわね」
「え、ちょ……」
輝夜を見てると気持ちが溢れそうだった。
彼女を私が汚してしまう。なんとしても避けたい筈なのに、なんとしても行いたい矛盾した衝動。
……少し頭を冷やそう。
目が開いたら、もう外は暗かった。
「えーりん、起きたのね!」
え!?
「ど、どどどどど、どうしてここに輝夜が」
驚きで声が詰まる。
だって、ここは私の個人的な実験室だ。不老不死だからこそ出来る危ない実験を中心にやっている。一人になりたいときはよくここに来る。
たまーに、ウドンゲお仕置き用の飛秘薬を作ってるのは内緒。
なんにせよ、ここの鍵は私と非常時用にウドンゲしか持っていない筈。
「えへへ。イナバに借りちゃった」
えへへと笑う輝夜に癒されつつ、ウドンゲのごうも……もとい、お仕置きプログラムを本気だして考える。
「……まったく。姫様は私が起きるまで起こさないでいてくれたの?」
「そうよ。えーりんの寝顔なんて中々見られないもの。それと姫様はなしよ、えーりん」
悪戯っ子のような笑みを浮かべ輝夜はちっちっと指を振る。
その仕草一つ一つがすごく愛おしい。
「わかりました、輝夜。にしても、どうしてここにきたの?」
別に話したいことがあるなら何時でもいいと思う。そのくらいは一緒にいる。
「だって、昼間の話の続きをしたかったんだもの」
輝夜の声に胸がズキリと痛む。
「……そうなの。輝夜は甘えんぼさんね」
いつもと同じ口調で輝夜に語りかけるのがこんなにも辛いなんて知らなかった。知りたくも無かったけど。
「な!?また、そうやって子供扱いしてー!私だっていつまでも子供じゃないわよっ」
ぶー、と頬を膨らませる様子も可愛らしい。胸の痛みが少しだけ引いた気がする。
「はいはい。で、続きってなにかしら?」
聞きたくないけど輝夜がそれを望むならきかなくちゃ。
「あのね、昼間なんだけど私が好きなのはえーりんなのっ!!それでイナバに相談したら、えーりんに相談してちょっと焦らせてやればいいんです!!とか言い出して……」
へ?
今なんて?
あ、聞き間違いよね。都合よく聞こえすぎだわ。
「ごめん、輝夜聞こえなかったの。もう一回言って?」
「だから、えーりんが好きなの!愛してるの方の!もう何年も前から!ううん、出会ったときから!!」
いやいやいや。
どんだけ都合よくできてるの私の耳。
輝夜が私に告白するなんてきっとまだ夢の中なんだわ。
けどグッジョブよ、私の夢!
こんな展開、夢でも嬉しいわ。
「聞いてる!?えーりんの返事も聞きたいんだけど」
輝夜が怒ったような、それでいてちょっと焦ったような表情で詰め寄ってくる。
怒った表情もなかなか……コホンっ。
「私の返事なんて決まってるじゃない」
輝夜と出会ったときから一択だ。
「もちろん、私からお願いしたいくらいに大好きよ。出会ったときから私の目は貴女以外を映すことを放棄してるわ」
貴女以外は考える価値すらないほどにね。
「ほ、ホントっ!?夢じゃないわよね?えーりん、ほっぺた抓るわよ!!」
問答無用で抓られた。地味に痛い。抓るなら自分のほっぺたを……って痛い?
痛いってことは……………。
「これってげんじ、つ……?」
「何言ってるのえーりん?ちょっと今日は変よ?」
たらーっと嫌な汗が流れる。
私夢だと思ってイタいこと口走ってなかったかしら……?
「ちょっと輝夜、確認したいんだけど…」
「なぁに、えーりん」
うきうきと輝夜が語尾にハートでもつけそうな感じ浮かれている。
そんな輝夜もかわいい……じゃなくて!
「私さっきなんて言ってたかしら……?」
「えーりんって意外と大胆ていうか、ロマンチストよね!
出会ったときから私の目は貴女以外を映すことを放棄してるわ
なーんて言っちゃうんだもん!」
ぎゃ、ぎゃああああああああああああああ。
……穴があったらそこにウドンゲを埋めたい。じゃない、入りたい。
「でも、えーりんが素直に伝えてくれて嬉しかったよ」
訂正、こんなに可愛い輝夜を置いてけるはずが無いわ。
「私もです」
ふふっと二人で笑いあう。
「あ、一つ言い忘れてたわ」
輝夜が思い出したというように手を叩く。
「私すんごーい独占するから、えーりんのこと」
はい?
「私以外に触られたりするのは勿論NGだし、できれば話すのだって避けて欲しいし、私以外に頼って欲しくないし、それからね、」
輝夜の声が耳をすり抜ける。
一緒、だったんだ。
輝夜も私と一緒だったんだ。
二人して独占欲強くて、二人して中々素直になれなくて。
今は二人一緒なことが多いのは嬉しい。
「私もよ」
「へ?」
演説の途中で遮られちょっと間抜けな顔してる輝夜に宣言する。
「私もだから」
「へ?えーりんも…?」
「そう、二人一緒よ」
にっこりと微笑む。
今度は心からの笑みで。
「じゃあ、ずっと、ずーーーーーーっと一緒?」
「ええ。ずっと、死が二人をわかつまで一緒です」
ちょっとクサイ台詞をはいてみる。さっきあれだけ恥ずかしい台詞を言ったので、ちょっぴり
耳が染まるくらいで言えた。……ヘタレって言ったヤツ誰だ。
「うん!死が二人をわかつまで!」
たとえ世界が色を失って私達が死ぬとしても最後の瞬間まで貴女を愛し続けるわ、輝夜。
この永琳こわいよ~。
内容はとても面白かったです。
ただ、変な所て行間を空けてるから読みヅライのと、三点リーダーを使い過ぎなので若干テンポが悪くなってるのが残念。
因みに三点リーダーは、『…』を2つくっつけて『……』と使うよう徹底した方が良いです。
基本的に多用するのは好ましくないので、気を付けてください。
えーてるは好きだけど、ちょっと鈴仙の扱いが酷すぎるかなあ。
いいんですけど、やや読みにくいのと、展開がちょっとあっさりし過ぎかなと思いました。
何が言いたいかというと、濃密なえーてるを要求する!
と念じ続けるわすの願いが届いたようじゃの。死がふたりを分かつまで、ていうか死さえもふたりを分かつことなど出来ないのね!
死が二人を分かつまで、なんてこの二人に似合ってるんだ