※この作品は、緑の瞳の続編です。
前作を見ていない方は、ぜひ前作を見てからご覧ください。
前作を読んでくださった方は、ぜひ楽しんでください。
…吐き気がする、頭が痛い。
完全に二日酔い、あのめんどくさい奴1号2号を恨むとしよう。
あの後、地底の奴も上に住む奴も皆集まって宴会を始めた。
宴会の時は無礼講らしく、主従も関係なく普通に喋っていた。
宴会ってこんなもんなんだなぁと思いながらも、皆の仲の良さが妬ましかった。
まぁ、私は宴会なんて参加したことがなかったし、遠目で見ながらお酒を少しずつ呑んでいるだけだった。
それなのに、そんな私を見てあの二人は酒瓶を持って一言。
「「もっと呑めよ」」
二人してこういって勝手に盃になみなみ注いでいくからたまったものじゃない。
勇儀が私の肩を組んで、大きく笑いながら酒を飲み干し、魔理沙は無理やり私の口に酒を流し込む。
拷問といっても過言ではない状況だった。
そして、気が付けば今に至るわけで…。
「にゃぁん」
「うるさい」
頭がズキズキと痛むのに、この馬鹿猫はにゃあにゃあとうるさい。
さっき餌やったのにずっとこの調子なのは、私をいじめたいの?
この猫はドSらしい、多分。
そういえば、名前は決めず、名無しで突き通すことにした。
私にはネーミングセンスがないみたいだから、それでいいかなぁって。
スペルカードのネーミングとかかっこいい名前を聞くとちょっと嫉妬しちゃう。
だって、そんな名前つけられないもん。
「にゃぁん」
とりあえずこの猫はうるさい。
座り込む私の右足の辺りをぐるぐる回っては頭を擦りつけて鳴く。
毛だらけになってしまう、これはクリーニングが必要かもしれない。
「にゃーん」
甲高い声で鳴くと、私の左足を行ったり来たり…って
「あれ?」
右足にも左足にも猫がいるんだけど。
あぁ、酔ってしまったせいで色々と幻覚が見えているのかもしれない。
目を擦り、もう一度見てみるが…
「にゃぁん」
「にゃーん」
変わることなく、猫が二匹。
二匹の猫をよく見てみると…
「ちょっと、何で尻尾が二本生えてんのよ。紛れ込んでんじゃないわよ」
「にゃーん」
地霊殿から抜け出して、わざわざこんな場所まで来るとは何と暇人だろうか。
いや、猫なんだけどね。
「ばれちゃ仕方ないね。上手く紛れ込んだと思ったんだけど」
どこをどう考えたら上手く紛れ込めたと判断できるのだろうか。
猫の姿から人の形へとなった燐は笑顔だった。
やはり小動物の脳みそって言うのは単純なものなのか…
でも、人の形に変身するし…脳みそってどうなってるの?
大きくなったり小さくなったりするの?
…まぁ、いまはどうでもいいや。
とりあえず、邪魔なのでご退席願いたい。
「用がないなら帰ってくれないかしら?頭が痛いの」
「お姉さん、ひどいねぇ。はるばる遠方から来たって言うのに」
「そんなに遠くもないし、別に来てほしいなんて言った覚えないわよ」
「まぁ、そうなんだけどさ」
なんとめんどくさい。
早く寝てしまいたいというのに…。
「まぁ、その猫はさとり様が飼ってたペットで、引き取ろうと思ったんだけど…。あたいが見るに、すっごい懐いてるから世話してあげて」
「猫だけに懐いてるのがよくわかるの」
「その通り、伊達に猫として生きてないさ!」
胸を張って誇るような事でもなかろうに。 あと声が大きい。
「まぁ、私が責任を持って飼うから早くどっか行きなさい。寝てたいのよ」
「そりゃ失礼。それじゃまたね!可愛がってあげてね!」
そう言うと、走って地霊殿の方へと行ってしまった。
最後の最後までうるさいとはなんと迷惑な奴だろうか…。
こんどさとりの奴に躾がなってないってクレームを言いに行かなくては。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
宴会が終わってからというもの、時々誰かがここに来るようになった。
何故だろうなんて考えなくても分かる、こいつがいるからだ。
黒猫の方を見ると、あちらもこちらを向いている。
見つめあう緑の瞳、私と黒猫とのにらめっこ。
じーっと、ただじーっと…。
すると、黒猫はぷいっとそっぽを向き、橋の上に丸くなった。
「勝った…」
小さく呟くと、小さくガッツポーズ。
「なにやってんのあんた」
「ッ!?」
振り返れば、そこには紅白がいた。
恥ずかしいところを見られて、頬が熱くなっていく。
頭の中も真っ白になっていく気がする。
「あんたは何しに来たのよ!用もなくこんな場所に来ないでしょ!?」
「別に。ただの散歩よ散歩」
そう言うと、紅白は黒猫の前に座ると、おもむろに袋詰めされた鰹節を取りだした。
あんた今何処から出した!?
裾の辺りから出してきたんだけど…え?ポケットでもあるの?
そんな小さな驚きと突っ込みを入れながら、私はただただ紅白の方を見る。
「ほれ、鰹節はいらんかね」
眠っていた黒猫の鼻先に鰹節をやると、黒猫はにゃぁんと鳴いてそれを求めた。
まぁ、餌なんて誰があげようと、黒猫としては食えればいいんだから気楽なもんだ。
「どっからそんなもん取ってきたのよ」
「紫がくれた」
なんとも解りやすい答えなことで。
幻想郷に海と呼ばれるものはないが、その海でとれるらしい作物などは幻想郷に少ないが存在する。
まぁ、外と幻想郷とを行き来できるらしいスキマ妖怪の八雲紫とやらが手をまわしているらしい。
「そんな珍しい物黒猫なんかにあげてもいいの?」
「可愛いから別にいいのよ」
「あら、女の子っぽい思考も持っているのね」
「退治されたい?」
「遠慮しとくわ」
なんと物騒な巫女だろうか。
とりあえず退治されたくはないので、遠慮させてもらった。
とりあえず、私は紅白と黒猫がじゃれあうのを遠目で見ていることにした。
…なによ、相手が誰だろうと懐いているような態度してるじゃない、妬ましい。
気持ち良さそうにしている黒猫を見て
「薄情な奴め」
「何か言った?」
「何にも」
ご飯抜いてやろうかと考えたけど、寝る時にうるさくなるだろうからやめた。
しばらくして、じゃあ散歩の続きにいくわ、と少しばかり名残惜しそうに消えていった
最後に、また来るわねと残して。
もう来るな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ある日の事だった。
私が座りながら、伸びてきた爪を爪切りでパチンパチンと切っている時の事。
「んにゃん」
何か曇ったような鳴き声が足元から聞こえたのでそちらの方へと目を向ける。
そして私は戦慄した。
緑の目をより一層輝かせ、こちらを見つめる瞳は可愛い。
そして、これを見てくれと言わんばかりに前に突き出してくるものがあった。
そう、口にはこの黒猫が仕留めた鼠が銜えられていた。
まだ少しだけ動いている、なんということなの…。
血の気が引く思いをした。
ふと我に返ると、猫は段々こちらに近づいてくるではないか。
「ちょっと!こっちに持ってこないでよ!」
…あ。
そういえば、宴会の時にパチュリーとかいう魔法使いが言ってた気がする。
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「注意しなさいよ、猫は仕留めた獲物は飼主に見せにくるから。」
「え、困るわよそんなの」
「困るって言ってもどうしようもないわよ。まぁ、理由としては、猫の母性本能からくる行動で、危険のない落ちつける場所で、ゆっくりともて遊んだり味わいたかったり、仲間の猫や飼い主へのみせびらかせたいかららしいわ。可愛いものね」
「可愛くないわよ」
「まぁ、本来、親猫は子猫に食事を与えるために獲物を持って帰るものなの。で、猫は、狩りができない飼い主に捕ってきてくれているのよ。優しいわね」
「そんな優しさいらないわよ」
「とりあえず、飼い主にとっては、ありがた迷惑なことだろうけど、猫が獲物を捕って帰ったら叱らないで「よくやったね」とほめてあげることね」
「えぇ…」
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…まさかそんな日が本当に訪れようとは思ってもいなかった。
しかし…褒めろと?欲しくもない物持って帰ってきて褒めろと?
そりゃ、私が鼠とか鳥なんて仕留めることできないからって、私の為にわざわざ持って帰ってこなくても良かったのよ?
今度ちゃんと話し合う必要がありそうね…。
とにかく、今はこの現状をどうにか打破しないといけないわけで…。
恐る恐る口に獲物を咥えて瞳を輝かせる黒猫の頭に手を伸ばす。
その間もじっとこちらを見ていて、時折顔を動かして鼠がぷら~んと揺れる様に、私は
「ひぃ」
と思わず情けない悲鳴をあげてしまう。
なるべく鼠を見ないように、頭に手を伸ばし、やっとの思いで撫でてやる。
「よ、良く出来たわね。えらかったわ」
するとどうだろうか。
咥えていた獲物を地において、
「にゃぁん」
と満足げに鳴いて見せたではないか。
いや、可愛いんだけど、可愛いんだけどね?
これ私いらないんだけど、どうしよう。
「別に私はいらないわよ?」
そう言うと、その鼠を前足で弄び始めたではないか。
なんかここまで鼠が惨めに思えたのは初めてだった。
私は見るに堪えないので、しばらく散歩をすることにした。
帰ってきたとき、遊ぶことにも飽きたのか、ピクリとも動かない鼠が橋の上に横たわっていた。
もういや、泣きたい。
とりあえず、近くに穴を掘って埋めてやった。
恨むなら私じゃなくて黒猫を恨んでやって下さいと、手を合わせた。
…あ、巫女が今度来た時に成仏してもらおう、そうしよう。
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「あ~、疲れた」
今日は無駄に疲れた、黒猫のせいで。
なんで黒猫一匹にこんなに振り回されなきゃいけないのだろうか。
全く、私もまだまだだなぁ…。
そう思いつつも、私は眠ることにした。
今日は何だか良い夢を見られる気がする。
気がするだけだから、もしかしたら変な夢を見るかもしれないけど。
とりあえず、眠ることにした。
「んにゃん」
私は黒猫の鳴き声で目を覚ます。
目を覚まして、一番最初に飛び込んできた風景。
それは、昨日とは別に、また鼠を咥えた黒猫の姿だった。
「うん、えらい子だね。それどっかに捨てておいで」
もういや、何なのこの子、狩り上手すぎるでしょ…
すると、猫は私の隣にちょこんと鼠を置いて去って行った。
「あぁ、もうどうでもいいや」
そして私は、また夢の中へと落ちていった。
いっぺんくらい持ってきて欲しいもの
それを見たときは色々驚きました・・・
てか、続きを……w
うん、猫に振り回されるパルスィがぼのぼの可愛くて……
ツンがデレる時程可愛いのは何故でしょうかねw
続き有難うございます。
このお話し大好きです、さらに続きが欲しくなります!!貴方のおかげでパルスィ中毒にされてしまったみたいですw
評価ありがとうございます!
うちの猫は良く狩ってきます、勘弁してほしいものです。
時々その獲物の頭だけ置いてある時があるんですが、もう悶絶しますねw
>5
評価ありがとうございます!
驚きますよね!
散歩から帰ってきて、あけていた窓から帰ってきたときに燕咥えていたときは驚きました…
>6
評価ありがとうございます!
続きを書いたかいがあったというものです。
ツンがデレるときはたまりませんよねw
>11
評価ありがとうござます!
ナズーリンよ、永遠に…←
>12
評価ありがとうございます!
もっと続きを…ですか。
これで終わりの予定でしたが、書けたら書かせていただきます。
>19
評価ありがとうございます!
パルスィは可愛い子なんですよね!
頑張って続き書くかもしれません。
パルスィ中毒とは…申し訳ないww
このパルスィなんかいいわ
評価ありがとうございます!
またもや続編希望の声がちらほら見られますね。
これは書かざるを得ない。
評価ありがとうございます。
自分がパルスィの立場だったら多分川に流してますねぇ。
俺の中でだんだんパルスィ株が上昇してきた。
いや、もうパルスィ可愛すぎだろ。
評価ありがとうございます。
パルスィの可愛さに気付きましたか、作戦成功です。
大丈夫!パルパルはすごく可愛いネーミングセンスを持ってるよ!
ジェラシーボンバーww
評価ありがとうございます。
パルスィ中毒、いいじゃないですか!
ジェラシーボンバーってなんか語呂がいいですねえ