――魔理沙はだいぶ女らしくなった。
私達が出会ってからもう10年くらい経つだろうか。
彼女はもう昔の魔理沙とは違った。
肉体的にも精神的にも成長して、成熟した大人の女性らしさを感じさせる。
彼女の魔法の実力ならば、きっと捨食の魔法も捨虫の魔法もとっくに使えるはず。
だが魔理沙はそれを覚えようとはしない。
だんだん大人へと成長していく。
魔女を目指しているはずの魔理沙が真の魔女になるための儀式を行わない理由が、
なんとなく私には想像がついた。
つまり私は魔理沙に選ばれなかったのだろう……。
私の好きだった魔理沙はもうたぶん幻想郷のどこにもいない。
もう以前のように窓を突き破って図書館に入ってくることも、無断で本を持っていくことも彼女はしない。
それどころか、何年もの間借りたままだった本まで返しに来るようになった。
嘘つき……。
死んだら返すっていったくせに……。
魔理沙が本を返しに来るたびに、長い間あいていた書架の隙間がだんだんと埋まっていく。
だが、それとは逆に私の心の中に少しずつ孔があいて広がっていくような気がした。
私は以前よりさらに図書館に籠るようになった。
彼女と出会う以前のように……。
――魔理沙はだいぶ背が伸びた。
私達が出会ってからもう何年たっただろう。
彼女はもう昔の魔理沙とは違った。
私よりずっと背も胸も大きくなり、いかにも大人の女性といった感じだ。
紫や神奈子たちと並んでももう見劣りはしない。
見劣りがしてしまうのは私の方。
昔のように魔理沙の隣に並んでみても、まるで歳の離れた妹のよう。
いつまでもお人形みたいな可愛い服なんて着ちゃって馬鹿みたい。
だから私はいつの間にか魔理沙とは少し距離をとるようになった。
もう少し人間のままでいればよかった……。
いつまでも魔理沙の隣を歩いていたかった。
でも今は彼女の隣にいるだけで、見えない魔法の糸が私の心を絞めつける。
その痛みから私は逃げたかった。
私は魔法の森の自宅に居る時間が短くなった。
朝早くに家を出て、毎日紅魔館に向かう。
表向きは図書館で自立した人形を創る資料を探すため。
でも、そんなのはタダの言い訳。
他に行く場所が思いつかないだけ……。
そんな生活がもう長い事続いている。
結局いつまでたっても私はただの子供なのだ。
肉体と精神というのは密接に繋がっている。
だからどんなに年月を重ねても、私の心は大人になれない。
だって私は魔女だから。
「お邪魔するわ……」
図書館の重たい扉がわずかに軋む音をたて、ゆっくりと開く。
今日もアリスはやってきた。
「……いらっしゃい」
私は読んでいた本から少しだけ顔を上げ、挨拶を返す。
アリスはそのまま私のいる机の前を通り過ぎ、無数に置かれた書架の並ぶ奥へと消えていった。
いつものことだ。
アリスは毎朝この図書館にやってきて、夜遅くに帰っていく。
彼女が何の本を読んでいるのか、何を調べているのか、私は知らない。
興味が無いといえば嘘になるが、無理に知りたいとは思わない。
勝手に本を持ちだしたりしなければ、どこで何を読んでいようと彼女の勝手なのだから。
それがここでの唯一のルール。
私は私の読みたい本を読む。
ただそれだけ。
今日もパチュリーはいつもの場所で本を読んでいる。
いつものように簡単な挨拶だけを交わし、私は図書館の奥へと足を進めた。
途中チラリとパチュリーの方を見ると、一瞬だけ彼女と目が合う。
ここで気のきいた話題の一つもあればいいのだろうが、そういうのは私は苦手だった。
たぶん彼女の方も。
だから私は、いつも何かを伝えたいと思っているのに、何も言えずにその場から立ち去る。
いつものことだ。
パチュリーは私を正式な客として扱ってくれている。
私だけはいつでも通して構わないと彼女が直接指示したらしい。
口の軽い門番が教えてくれた。
だから屋敷にこっそり侵入する必要もなければ、見つかって戦いを挑まれるような事ももうない。
だが、そのことに対する礼さえ、私はまだしていなかった。
どうも、パチュリーの前だと思ったことが素直に言えない。
いざ声をかけようとすると柄にもなく緊張してしまい、何も言葉が出てこない。
器用さだけには誰よりも自信があったはずなのに。
不器用な自分が恨めしい。
机の上に積まれた本はもう全部読んでしまった。
だから新たに読む本を探しに行かなければならない。
私は数時間ぶりに椅子から腰を上げた。
一応まわりを見渡してみるが、司書の小悪魔は見当たらない。
このごろいつもそうだ。
アリスが来る頃になると姿をくらましてしまう。
彼女なりに私達に何か気を使っているのかもしれない。
余計なお世話だけどね。
この広い図書館内の何処かにはいるのでしょうけど……。
そういえばアリスも大分長い時間がたつというのに戻ってきた様子がない。
いつの間にか帰ったわけではないとは思う。
あの娘はいつも帰るときにはちゃんと一声かけてから出ていくのに……。
まさかいくらこの大図書館が広いとはいっても、いい年して迷子というわけでもないでしょう。
(……なにかあったのかしら……)
別に気になったわけじゃないけど、本を探しに行くついでに少し奥の方まで行ってみることにしよう。
いつの間にか私は眠っていたらしい。
ここは本棚の影の作り出す薄暗さと古書独特のにおいがとても落ち着く。
床に座って適当に選んだ本を読んでいたら、ついつい睡魔に襲われてしまったようだ。
「……お目覚めかしら?」
いつの間にか私のすぐ隣に同じように誰かが座っていた。
といっても、この図書館内にいる者など当然限られている。
「…………悪趣味ね、パチュリー。人の寝顔を見ているなんて」
「あら、なかなか可愛い寝顔だったわ。それほど悪い趣味だとは思えないけど」
可愛いなんて突然言われて私は内心あせったが、それをなんとか表情に出さないことに成功した。
パチュリーが軽口を叩くなんて珍しい事もあるものだ。
毎日のように図書館に来ているが、こういう会話をしたのはあまり記憶にない。
それから私達二人はしばらく無言になる。
パチュリーがなぜかこの場を去らないので、私も立ち上がる切っ掛けをつかめずにいた。
こんなにも広い図書館にいるというのに、いま私達は寄り添うように肩を並べている。
肩越しに触れ合うパチュリーの体温が少しだけ気持ちよかった。
「……ねえ」
しばらくの沈黙の後。
ポツリとパチュリーが声を出した。
「なぁに?」
「アリスは私の事好き?」
突然の質問。
ふざけているのかとも思ったが、そういう感じは不思議としなかった。
「…………わからないわ」
これが今の私の正直な答え。
パチュリーの事は嫌いではない。
でも、好きなのかと聞かれると正直自分でもよくわからない。
「私もよ…………ねえ……キスしてもいいかしら?」
「好きかわからない相手にキスするの?」
「……キスしたらわかるようになるかもしれないじゃない」
変な理屈。
でもなんとなくパチュリーらしい気がする。
「そういうものかしら?」
「そういうものよ」
そして私達は、初めて唇を重ねた。
ただ唇を合わせるだけの幼稚なキスだったが、私の心を縛る魔法の糸が少しだけ緩んだ気がした。
「…………んっ……ふぁっ」
長いような短いような不思議な時間。
私はようやくアリスから唇を離すことが出来た。
なんだか頭が少しぼーっとする。
ふと隣を見ると、アリスが少し呆けた顔をしていた。
「……ふふっ」
思わす笑ってしまった私の声で、アリスもようやく我に返り少しばつの悪そうな顔をした。
「そろそろ行きましょ」
「そうね……」
私とアリスは立ち上がりその場を後にする。
途中、アリスがまだ呆けていたのか間違った道に行きそうになったので、私達は手をつないで歩いた。
ようやく図書館の入り口付近まで戻ってきた私とアリス。
私の机のそばに置いてある小さなダイニングテーブルの上に、いつ用意されたのか紅茶のカップが二つ乗っていた。
まだ温かな湯気がたっている。
私達の戻ってくるタイミングを見計らって、咲夜が用意したのだろう。
(あの出歯亀メイド……どうせどっかで見てたんだわ……)
こんなときにまで完璧な仕事をされるとむしろ腹が立つ。
あとでお仕置きしておかないと……。
私はテーブルの横に置かれた小さなソファに腰かけた。
続いてアリスも隣に座る。
ピタリと私に寄り添うように。
あまり大きくはないソファだが、それほど詰めなくても二人くらいは余裕で座れるはずなのに。
「あっ……」
次の瞬間、アリスは私の身体に腕を回し強引に引き寄せた。
私はソファの上で仰向けに倒れこみ、アリスに膝枕される格好になった。
「………………紅茶が冷めちゃうわ」
「今は冷たいお茶が飲みたい気分なのよ」
アリスからのキスは強引だったが悪い気分はしなかった。
唇からアリスの体温が伝わってくる。
魔理沙にあけられてしまった私の心の孔は二度と塞ぐ事が出来ないと思っていた。
でも今、アリスという新たな形がその孔を徐々に塞いでいく。
不思議とそんな気分がした。
いつの間にか外では雨が降っているようだった。
「こんな天気だし、もう遅い時間だから今日は泊まって行ったら?」
気がつけばもうかなりの時間がたっていた。
窓の外はすっかり暗闇につつまれている。
「私はどうせ一晩じゅう本を読んでいるから、ベッドはアリスが使うといいわ」
そういってパチュリーがソファーから立ち上がりかける。
でも私はパチュリーのローブをつかまえて彼女を引きとめた。
「一晩くらい読まなくても本は逃げないわ。ねぇ、せっかくだから一緒に寝ましょ……。
私、あなたに話したかった事が沢山あるの」
「………………そうね……私も負けないくらい沢山あるわ、たぶんね……」
このお話はこれでおしまい。
ここから先は立ち入り禁止。
大人になれない魔女たちの、
ふたりっきりの秘密の図書館。
私達が出会ってからもう10年くらい経つだろうか。
彼女はもう昔の魔理沙とは違った。
肉体的にも精神的にも成長して、成熟した大人の女性らしさを感じさせる。
彼女の魔法の実力ならば、きっと捨食の魔法も捨虫の魔法もとっくに使えるはず。
だが魔理沙はそれを覚えようとはしない。
だんだん大人へと成長していく。
魔女を目指しているはずの魔理沙が真の魔女になるための儀式を行わない理由が、
なんとなく私には想像がついた。
つまり私は魔理沙に選ばれなかったのだろう……。
私の好きだった魔理沙はもうたぶん幻想郷のどこにもいない。
もう以前のように窓を突き破って図書館に入ってくることも、無断で本を持っていくことも彼女はしない。
それどころか、何年もの間借りたままだった本まで返しに来るようになった。
嘘つき……。
死んだら返すっていったくせに……。
魔理沙が本を返しに来るたびに、長い間あいていた書架の隙間がだんだんと埋まっていく。
だが、それとは逆に私の心の中に少しずつ孔があいて広がっていくような気がした。
私は以前よりさらに図書館に籠るようになった。
彼女と出会う以前のように……。
――魔理沙はだいぶ背が伸びた。
私達が出会ってからもう何年たっただろう。
彼女はもう昔の魔理沙とは違った。
私よりずっと背も胸も大きくなり、いかにも大人の女性といった感じだ。
紫や神奈子たちと並んでももう見劣りはしない。
見劣りがしてしまうのは私の方。
昔のように魔理沙の隣に並んでみても、まるで歳の離れた妹のよう。
いつまでもお人形みたいな可愛い服なんて着ちゃって馬鹿みたい。
だから私はいつの間にか魔理沙とは少し距離をとるようになった。
もう少し人間のままでいればよかった……。
いつまでも魔理沙の隣を歩いていたかった。
でも今は彼女の隣にいるだけで、見えない魔法の糸が私の心を絞めつける。
その痛みから私は逃げたかった。
私は魔法の森の自宅に居る時間が短くなった。
朝早くに家を出て、毎日紅魔館に向かう。
表向きは図書館で自立した人形を創る資料を探すため。
でも、そんなのはタダの言い訳。
他に行く場所が思いつかないだけ……。
そんな生活がもう長い事続いている。
結局いつまでたっても私はただの子供なのだ。
肉体と精神というのは密接に繋がっている。
だからどんなに年月を重ねても、私の心は大人になれない。
だって私は魔女だから。
「お邪魔するわ……」
図書館の重たい扉がわずかに軋む音をたて、ゆっくりと開く。
今日もアリスはやってきた。
「……いらっしゃい」
私は読んでいた本から少しだけ顔を上げ、挨拶を返す。
アリスはそのまま私のいる机の前を通り過ぎ、無数に置かれた書架の並ぶ奥へと消えていった。
いつものことだ。
アリスは毎朝この図書館にやってきて、夜遅くに帰っていく。
彼女が何の本を読んでいるのか、何を調べているのか、私は知らない。
興味が無いといえば嘘になるが、無理に知りたいとは思わない。
勝手に本を持ちだしたりしなければ、どこで何を読んでいようと彼女の勝手なのだから。
それがここでの唯一のルール。
私は私の読みたい本を読む。
ただそれだけ。
今日もパチュリーはいつもの場所で本を読んでいる。
いつものように簡単な挨拶だけを交わし、私は図書館の奥へと足を進めた。
途中チラリとパチュリーの方を見ると、一瞬だけ彼女と目が合う。
ここで気のきいた話題の一つもあればいいのだろうが、そういうのは私は苦手だった。
たぶん彼女の方も。
だから私は、いつも何かを伝えたいと思っているのに、何も言えずにその場から立ち去る。
いつものことだ。
パチュリーは私を正式な客として扱ってくれている。
私だけはいつでも通して構わないと彼女が直接指示したらしい。
口の軽い門番が教えてくれた。
だから屋敷にこっそり侵入する必要もなければ、見つかって戦いを挑まれるような事ももうない。
だが、そのことに対する礼さえ、私はまだしていなかった。
どうも、パチュリーの前だと思ったことが素直に言えない。
いざ声をかけようとすると柄にもなく緊張してしまい、何も言葉が出てこない。
器用さだけには誰よりも自信があったはずなのに。
不器用な自分が恨めしい。
机の上に積まれた本はもう全部読んでしまった。
だから新たに読む本を探しに行かなければならない。
私は数時間ぶりに椅子から腰を上げた。
一応まわりを見渡してみるが、司書の小悪魔は見当たらない。
このごろいつもそうだ。
アリスが来る頃になると姿をくらましてしまう。
彼女なりに私達に何か気を使っているのかもしれない。
余計なお世話だけどね。
この広い図書館内の何処かにはいるのでしょうけど……。
そういえばアリスも大分長い時間がたつというのに戻ってきた様子がない。
いつの間にか帰ったわけではないとは思う。
あの娘はいつも帰るときにはちゃんと一声かけてから出ていくのに……。
まさかいくらこの大図書館が広いとはいっても、いい年して迷子というわけでもないでしょう。
(……なにかあったのかしら……)
別に気になったわけじゃないけど、本を探しに行くついでに少し奥の方まで行ってみることにしよう。
いつの間にか私は眠っていたらしい。
ここは本棚の影の作り出す薄暗さと古書独特のにおいがとても落ち着く。
床に座って適当に選んだ本を読んでいたら、ついつい睡魔に襲われてしまったようだ。
「……お目覚めかしら?」
いつの間にか私のすぐ隣に同じように誰かが座っていた。
といっても、この図書館内にいる者など当然限られている。
「…………悪趣味ね、パチュリー。人の寝顔を見ているなんて」
「あら、なかなか可愛い寝顔だったわ。それほど悪い趣味だとは思えないけど」
可愛いなんて突然言われて私は内心あせったが、それをなんとか表情に出さないことに成功した。
パチュリーが軽口を叩くなんて珍しい事もあるものだ。
毎日のように図書館に来ているが、こういう会話をしたのはあまり記憶にない。
それから私達二人はしばらく無言になる。
パチュリーがなぜかこの場を去らないので、私も立ち上がる切っ掛けをつかめずにいた。
こんなにも広い図書館にいるというのに、いま私達は寄り添うように肩を並べている。
肩越しに触れ合うパチュリーの体温が少しだけ気持ちよかった。
「……ねえ」
しばらくの沈黙の後。
ポツリとパチュリーが声を出した。
「なぁに?」
「アリスは私の事好き?」
突然の質問。
ふざけているのかとも思ったが、そういう感じは不思議としなかった。
「…………わからないわ」
これが今の私の正直な答え。
パチュリーの事は嫌いではない。
でも、好きなのかと聞かれると正直自分でもよくわからない。
「私もよ…………ねえ……キスしてもいいかしら?」
「好きかわからない相手にキスするの?」
「……キスしたらわかるようになるかもしれないじゃない」
変な理屈。
でもなんとなくパチュリーらしい気がする。
「そういうものかしら?」
「そういうものよ」
そして私達は、初めて唇を重ねた。
ただ唇を合わせるだけの幼稚なキスだったが、私の心を縛る魔法の糸が少しだけ緩んだ気がした。
「…………んっ……ふぁっ」
長いような短いような不思議な時間。
私はようやくアリスから唇を離すことが出来た。
なんだか頭が少しぼーっとする。
ふと隣を見ると、アリスが少し呆けた顔をしていた。
「……ふふっ」
思わす笑ってしまった私の声で、アリスもようやく我に返り少しばつの悪そうな顔をした。
「そろそろ行きましょ」
「そうね……」
私とアリスは立ち上がりその場を後にする。
途中、アリスがまだ呆けていたのか間違った道に行きそうになったので、私達は手をつないで歩いた。
ようやく図書館の入り口付近まで戻ってきた私とアリス。
私の机のそばに置いてある小さなダイニングテーブルの上に、いつ用意されたのか紅茶のカップが二つ乗っていた。
まだ温かな湯気がたっている。
私達の戻ってくるタイミングを見計らって、咲夜が用意したのだろう。
(あの出歯亀メイド……どうせどっかで見てたんだわ……)
こんなときにまで完璧な仕事をされるとむしろ腹が立つ。
あとでお仕置きしておかないと……。
私はテーブルの横に置かれた小さなソファに腰かけた。
続いてアリスも隣に座る。
ピタリと私に寄り添うように。
あまり大きくはないソファだが、それほど詰めなくても二人くらいは余裕で座れるはずなのに。
「あっ……」
次の瞬間、アリスは私の身体に腕を回し強引に引き寄せた。
私はソファの上で仰向けに倒れこみ、アリスに膝枕される格好になった。
「………………紅茶が冷めちゃうわ」
「今は冷たいお茶が飲みたい気分なのよ」
アリスからのキスは強引だったが悪い気分はしなかった。
唇からアリスの体温が伝わってくる。
魔理沙にあけられてしまった私の心の孔は二度と塞ぐ事が出来ないと思っていた。
でも今、アリスという新たな形がその孔を徐々に塞いでいく。
不思議とそんな気分がした。
いつの間にか外では雨が降っているようだった。
「こんな天気だし、もう遅い時間だから今日は泊まって行ったら?」
気がつけばもうかなりの時間がたっていた。
窓の外はすっかり暗闇につつまれている。
「私はどうせ一晩じゅう本を読んでいるから、ベッドはアリスが使うといいわ」
そういってパチュリーがソファーから立ち上がりかける。
でも私はパチュリーのローブをつかまえて彼女を引きとめた。
「一晩くらい読まなくても本は逃げないわ。ねぇ、せっかくだから一緒に寝ましょ……。
私、あなたに話したかった事が沢山あるの」
「………………そうね……私も負けないくらい沢山あるわ、たぶんね……」
このお話はこれでおしまい。
ここから先は立ち入り禁止。
大人になれない魔女たちの、
ふたりっきりの秘密の図書館。
本文を読んで、もう一度タイトルを見たら切なさが倍増した。
貴方の書く文章はどのキャラも魅力に溢れていて大好きです。
可愛くて、切ないお話をありがとうございます。
パチュアリもっとはやれ
恋ってこんな感じで始まったりするよなきっと!
パチュアリは真理!
百合物の中で俺的NO1だww
パチュアリ好きな人が結構多そうで安心しましたw
『百合』でタグ検索したらパチュアリが一件もないんだもの……。
うん、この二人ならこういう展開もありか。ごちそうさまでした
最後の4行が印象的でした。
作品全体から漂う倦怠感もたまりませんね