魔法の森で、彼女は目覚める。窓の外を見ると、眩いばかりの朝日。
そしてベッドから起き上がろうとしたとき、彼女は異変に気づく。
まず、部屋が妙に埃っぽい。普段から埃っぽいのを差し引いても、だ。
そして次に、生き物の気配がしないのだ。
自分はかなり長い間寝ていたのか、とも思ったが、それにしたってここまで埃が積もるのはおかしいし、
生き物の気配がしないことについては説明がつかない。
これはひょっとして異変か、と彼女は思い至る。
どんな理由にせよ、ここにいては埒があかないし、とりあえず外に出よう、と彼女は思った。
身支度を整え、外へ出る。いつもの魔女服と、箒。そして武器のミニ八卦炉。その他細々としたもの。
改めて彼女はあたりを見回す。細かく見ると、いくつもおかしい点が見えた。
まず前述の通り、生き物がいない。そしてこの森に満ちていたはずの瘴気がない。木がほとんど枯れている、などといった点である。この時点で、彼女はこれがただの異変ではないと悟る。前述の理由に加え、異変特有のお祭りみたいな雰囲気がないからだ。
とりあえず上空から見れば全容が見えるだろう、と思い、彼女は箒へまたがる。
そして飛ぼうとして、失敗した。
彼女は今なぜ失敗したか、そしてどうすればいいかを考える。
その原因はおそらく、何らかの理由で魔力抵抗が急激に強くなり、魔力の放出に失敗したのだろう、と彼女は推測する。
とりあえず飛べるよう、箒へ魔力を流すための補助回路を書き、最後に魔力を流し込むための端子を書く。
魔法とは、思いによって意思を現実化する力だ。魔力は精神力や思いの力と言い換えてもいい。
なので、今度は失敗しないよう、空を飛ぶ、というイメージを明確に頭の中へ描き、強い意志で持って箒へ魔力を流し、
そして再び、離陸する。
お世辞にも力強いとは言い難いが、今度は離陸へと成功する。
今にも墜落しそうな箒の上で、彼女は地上を見る。
そこには、廃墟となった赤い館。多くの人が住む、いや住んでいた、同じく廃墟と化した人里。
後ろを見ると、枯れた木々の中に、同業者の朽ちた館が見えた。
それと、馴染みの古道具屋の、崩れかけた店。
そして次に彼女は上を見る。そこにはただただ青い空。それしか見えなかった。
そして彼女は改めて、地上を見る。
山には唯枯れ木があるばかり、赤い館の近くにあった湖は干上がっていた。
どこを見ても、廃墟と枯れ木、荒れた土地しか見えなかった。
その中に、半分朽ちかけた神社が見える。彼女の親友が住んでいるあそこなら、何か手がかりがあるだろうと思い、
彼女はそこへと向かう。
その神社は自分の家と同様に埃っぽく、そして誰もいなかった。
とりあえず彼女の親友が普段よくいた縁側へ向かうと、そこには一通の手紙が落ちていた。
彼女はそれを拾い、そして読む。
・・・そこに書いてあったのは、世界に何が起きたか、そしてこれからはどこへ向かい、どうすればいいのか、なぜ彼女だけが
残ったのか、ということが書いてあった。
そして結びに、こんな言葉が書いてあった。
「さよならは言わないわ、また会いましょう。たとえそれが輪廻の果てであったとしても。」
突然の出来事に凍りついたようになっていた心が再び動き、感情が込み上げてくる。
彼女は泣いた。消滅し、もう泣くことすらできない者達の分も。
とりあえず一旦家へと戻り、改めて準備をする。この旅は長丁場になる。
そう思い、必要と思われるものをかき集める。
その途中で彼女はあることを思いつく。
そしてそれを実行するために、彼女は準備を急いだ。
手紙に書かれていたとおり、神社のすぐ近くに道を見つけた。おそらくこれが、外へと通じる道であろう。
結界がない以上、どこから出ても同じなのだが、手紙に書かれていた地図がここから始まっていいるため、彼女は
ここから行くことにした。
持ち物は、今まで彼女が親しくしていた者達が大切にしていたもの。
彼らはやはり、いなくなっていた。まるで突然消滅したかのように。
服や装飾品だけが落ちていた。彼女はその中から彼らの大切にしていたものを持ってきていた。
流石に此処で朽ちさせるのはかわいそうだと思い、いなくなった彼らの代わりに旅へと持っていくことにしたのだ。
そしてさっき見つけた手紙。
後はなんとかかき集めた食料。
そして彼女は、外へと向かう。
向かう先は、手紙に書かれていた外界の協力者。とりあえずそこへ行け、と書かれていた。
ふと彼女は振り返り、先程まで自分がいた場所を見る。
そして彼女は一礼し、こう言った。
「行ってきます」
そして再び前を向く。
今度は振り返らずに彼女は進んで行った。
それは、ある晴れた日のことだった。
何故魔理沙だけが最後まで残っていたのかもわかりませんし。
霊夢が残した手紙の内容が本文中にあれば、また違った印象だったのかもしれません
文章自体は悪くない印象を受けましたので、得点は70点とさせて頂きます。続きを心待ちにしたいです。では。
理由は他の方が書いているとおりです。
恐らく作者さんの中では、大きなテーマがあったはず。、細かいとまではいかず、プロット的なものを想像していたはず(紙面に書かずとも脳内で)
そうでなければ、本文も後書きもかけるはずがない。
きっと、まだ書いていないところ、書きたいところ、伝えたいところがあると思う。
ただ、この話だけでそれを知ることは難しい、だからこそ、それを是非知りたい。
つまりは、続き書いてみないかい?ということで。
既に書かれているゲームのプロローグのようで、それだけでは評価のしようが無いです。
ただ、次の展開が気になるって思ったのも確かなので、頑張って続きを書いて欲しいなと。
話の内容自体は嫌いではないから、余計に残念に感じてしまいます。
次に期待
現在での世界が終わる事は、新しい世界の幕開けを象徴している。しかし、新たな世界もあるべき道筋をたどって終焉へ向かう。これが繰り返す事で世界は続いてゆく。ただし、同じ世界が生まれ、同じ軌跡を辿るわけではない。そして、魔理沙は何らかの理由で選ばれた使者である。彼女は新古の境界を越える伝達者として荒廃した世界にとり残された。
こんな感じなのだろうと、私は受け取りました。もちろん、この考え方は若干矛盾がある。そして、あなたの考えた世界とは異なるでしょう。また、他にも幾つかの解釈が可能だと思います。あえて謎を残すという手法は悪い物ではありません。それは読者の想像力を刺激し十人十色の味覚を提供する事ができるからです。しかし、謎しか残っていなければ作品としては不完全と思われてしまいます。たとえば、僕がここでいきなり「それを失う事は次善である。」といっても訳が分からない。このコメントは謎そのものですし、規約違反になってしまうでしょう。このセリフが作品の内容を踏まえていたとしても、全く伝わらなければ意味がないからです。しかし、次のように書いてあったらどうでしょう?
この作品で、世界の滅亡や幻想と現実の関係などを深く考えさせられました。八雲紫の期待の通りに、霧雨魔理沙が世界に光を見いだす事は出来るのか、気になります。サッカレに「愛してそれを得る事は至上なり。それを失う事は次善である。」という詩がありますが、この作品を良く表現していると思います。
これでもまだ、何を言いたいのかはっきりしないコメントですね。でも、さっきのよりははっきりしたでしょう。「謎」というのは悪魔の調味料です。先に述べたように、上手く利用できれば素敵な仕上がりが期待できるでしょう。ですが、これが多すぎると作者の意図が伝わらなくなり、少なすぎると作品の面白みが薄れてしまいます。処女作とあっては難しいでしょうが、もう少し薄味にしても良いのではないでしょうか。
長々とすみません。申し訳ありませんが、規則によりフリーレスで失礼します。では。
なんかちょっと涙腺にキました。
なるほど物語の終わりであり、序章という感じはします。
欲を言えば、もっと読みたかった。
ただ、前のコメントでも言われているとおり短い。というか謎が多い。
ここまでの才能を持っているのですから、是非続きを。
まぁですが、続きを書くのは大変ですよね。話の流れを考えないといけませんし。
自分のペースであせらずにがんばってください。
あつかましいですが、次回作を期待しつつ、この話の続きも期待しています