※続き物ですが、前作を読んでいただく必要はありません。
※早苗さんがドSでロ○コンである事が許せない方は戻るをお願いします。
「うーん、今日もいい天気ねー」
境内を掃除していた手を休めて、私は太陽を見上げる。
今はだいたい、春先の空飛ぶ船の異変から1ヶ月がたった頃。
ぽかぽか太陽から降り注ぐ光が温かいです。
さてはて、今言った通り、私は1ヶ月ほど前、幻想郷で暮らし始めて初めて『異変解決』という体験をしました。
ええ、もう、素晴らしかったです。幻想郷に来てから、一番充実していたひと時だったと言ってもいいのではないでしょうか。
ああ、本当に幻想郷は素晴らしい所です。
外の世界では決して体験出来なかったであろう、素敵な経験の数々。
幻想郷に来てから、いろんな人とと関わるようになってから、常識に囚われなくなってから、毎日が本当に楽しいです。
はい、楽しいです。常識に囚われなくなってから、色々と。
ああ、楽しいです、妖怪退治。
それはそれとして、今となっては妖怪のみなさんと仲良くしたり、そんな生活を楽しんでいます。
妖怪退治は楽しいのですが、例の異変の際に白蓮さんに説教されまして……。
説教自体はめんどくさかったですけど、その分『妖怪と仲良くする事』が楽しいと言う事を、私は再確認しました。
今までもずっと、妖怪の皆さんとは仲良くしてきているんですから。
郷に入っては郷に従え、幻想郷では全ての者と仲良くするのが一番なのでしょう。
……まあ、例外はありますけど。
例えば……おっと、そろそろ時間ですかね。
「おもてはそばやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「はいはい飯屋は潰れてパスタ屋さんになりましたよ」
カキーン! と澄んだ音が鳴り響いた……気がしました。
空から降ってきた
人間大の大きさを8メートル飛ばせれば充分って気はしますが。
「いたたたた……早苗は本当に乱暴だなぁ……」
涙目で起き上がる唐傘妖怪、多々良小傘さん。
最近、この時間になると何時も驚かしに来るんですよね。
そもそも定刻通りに来ていては驚きようがないと言う事に気付かないんでしょうか。
……まあ、そのおかげで小傘さんの涙目姿とかかっ飛ばした際に何かが見えたりするので充分に役得ですが。ロリ万歳。
「煩いです。此処最近ずっとそんな調子じゃないですか。それじゃわざとでも驚けませんよ」
私が乱暴するのはそっちの方が楽しいのと小傘さんの泣き顔が見たいからです。
でも、何だかんだで小傘さんを本気で泣かせた事って一度もないんですよねぇ……。
何故なら……。
「うーん、じゃあ次は時間とテンションをずらしてやってみればいいのね!」
何を言おうと全部プラスに解釈すると言う、とんでもなく前向き思考な人ですから。
一回はもう普通の傘に戻ろうかな、とか言ってたはずなんですけどね……。
「いやまあ、そもそも小傘さんの驚かせ方では、よっぽど音に驚きやすい人じゃないと驚かないと思いますが……」
それに小傘さんの容姿も、驚かせるには向いてないですからねぇ。
そんな茄子みたいな傘でロリっ子でオッドアイで学習能力があるのかないのか判らないって……。
……ただの萌えキャラですね判ります。
「ふふん! しかし今日のわちきは一味違うのよ!」
何故かやたら意気揚々としていますが、正直「ああそうですか」としか返せませんでした。
なにが違うのかさっぱり判らないので。今のところ今までと変わっているところは何一つありません。
「というわけで喰らえーッ!!」
あ やせいの こがさが おそいかかってきた ▼
そんな叫びと共にいきなり傘を振り回す小傘さん。
とは言っても予備動作が大きすぎて、予想外の行動ではありましたが全然驚きはしません。
「霊夢さんの針の方が早いですよ」
余裕を持って傘のベロビンタをかわす。
傘で殴って来ると思ったらベロビンタですか。まあ精神的なダメージはそっちの方が痛いですが。
「うっ! 流石早苗! わちきの最強のライバルね!」
「何処かの氷精を思わせる発言は止めた方が良いですよ」
その後も小傘さんの攻撃は続く。我武者羅に傘を振り回しているようにしか見えません。
それにしても、珍しいですね。
小傘さんがこうして攻撃してくるのは、まあ別にそんなに珍しい事ではありません。
だけどその場合、だいたいは弾幕か突進攻撃で、傘を物理的な攻撃に使ってくる事は今まで無かったのですが……。
うーん、さっきからずっとベロビンタを連発してきますし……。
「ひょっとして……」
ふと思い当って、私は避ける動作をやめる。
そして箒を剣のように構えて……。
「ふえっ!?」
ベロビンタを箒で受け止める。剣道の心得はないですが、動作が大きすぎるので止めるのは難しい事では無かったです。
「えっと……」
私は箒で受け止めたベロをじっと見てみる。
……うん? べロってこんなに光沢があると言うか、つるつるしているものでしたっけ……?
別に小傘さんの傘のベロをじっくり眺めた事があるわけではないですが、それにしても違和感が……。
見れば小傘さんが子供のように(まあ子供ですけど)眼を輝かせています。物凄く何かを期待しています。
……仕方ないですね。ああいう眼にはちょっと弱いです。
あんまり素手で触りたくはないですが、まあこの際……。
そう諦めて、私はベロに手を触れて見て……。
「……えっ……?」
言葉を失った。
柔らかいですね。
ひんやりしてますね。
弾力がありますね。
どう考えてもこれってベロじゃないですよね。
「ふふふふっ!! これぞ白黒魔法使いの言葉で進化したニュー小傘よ!!」
魔理沙さん、なに教えてるんですか。私にも調教させてください。
「これって……」
舌を触りながら、自分の記憶を漁ってみる
何処かで見た事がある気がするし、こんな感触も私は知っている。
そう、確か台所や食卓で……。
「人を驚かせるにはこんにゃくを使えばいい!! ならベロをこんにゃくにすればいいのよ!!」
ブチィッ!!!!
「に゛ゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! ベロが!! ベロがああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
余りの発言に、思わず傘のベロを引っこ抜いてしまいました。
うん、これで今日の夕飯のおかずは確保できましたね。私は食べませんが。
「なんて事してくれるのー!! それ作るのにどれだけ時間がかかったと思ってるの!!」
知るか。
もっと傘全部こんにゃくで作るくらいしないと驚くわけないじゃないですか。そんな事はどうでもいいです。
「小傘さんってあれですか、ひょっとして『人を驚かす程度の能力』じゃなくて『人を馬鹿にする程度の能力』なんですか?」
「ええっ!? ば、馬鹿になんてしてないよ!!」
「そうですか、じゃあやっぱり虐められたいんですね判りました」
「さでずむ!?」
「イエス、早苗のSはさでずむのSです」
あはははは、流石小傘さん私に虐められたくてこんな事をしてくれるなんて……。
うん、やっぱり聖蓮船異変の時の掘り出し者No,1ですね。
こんな事をしなくても別にいくらでも虐めて差し上げますが。
「ちょ、暴力反対ーッ!!」
「最初出逢った時に暴力で物申してきた人が何を言ってるんですか」
「私は妖怪として人間を襲っただけ!!」
「この幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。妖怪は人間を襲うなんて常識はこの私がぶち壊します」
まあ私は小傘さんを虐められれば何でもいいんですけど。
理由さえあれば誰も止めはしないでしょう。というか止めさせません。
「諦めて下さい小傘さん。あなたは私がおいしくいただきます」
「いやーッ!! 助けて神様ーッ!!」
泣き叫ぶ小傘さん。いい、いいですよその表情……!!
それにしても、神様に助けを求める妖怪と言うのも珍しいですね。
ですが現実は厳しいのです。この世に神様なんていな……。
……って、しまった……。
「我を呼ぶのは何処の人ぞ?」
……此処、神社でした。そして私は風祝でした。
小傘さんの声に反応して、無駄にカッコ良く表れる我が守矢神社の神、八坂神奈子様。
ああもう、何時も何時もこの人は空気が読めないんですから。
折角小傘さんを公開処刑(いろんな意味で)にして差し上げようと思ったのに……。
「神奈子様、空気読んでください。もしくは死んでください」
「何で呼ばれて出てきただけなのに死ななくちゃいけないのか説明してもらってもいいかしら?」
「私も、何で毎度毎度冗談をスルー出来ないのかを聞いてもよろしいでしょうか?」
「最近の早苗の振る舞いを見てると、冗談に聞こえないんだよ」
いや、まあ、うん、そうですね。そうかもしれませんね。その理由はあえて伏せておきます。
助けを求める声に反応してしまうのは、神様の宿命と思って諦めましょう。
「ふえっ……? ……本当に神様……?」
未だ怯えた表情でそんな今更な事を訪ねてくる小傘さん。
……ひょっとして、守矢神社がどういう所かも知らないんですか? 今や山の妖怪達の信仰は殆ど守矢神社のものですよ?
まあ、時代遅れの妖怪ですから仕方ないという気もしますが。
「ええ、まあ、こんなのでも本物の神様ですよ」
「こんなのとはなんだい」
こんなので充分ですよ。普段のあなたの振る舞いを考えると。
フランクな神様の方が信仰を集めやすいのは判りますが、家の中までフランクでいるのは止めてください。
……まあ、小傘さん並みに今更な事を言っているのは判ってますけど……。
「それにしても、これまた可愛い参拝客だね。早苗の小さい頃にそっくりだよ」
「えっ? 私こんな顔してたんですか? と言うか外見年齢はそんなに変わらないと思いますが?」
「こういうのは取り敢えずそう言っておくものなんだよ。早苗の方が可愛かったから心配しないでおくれ」
小傘さんに聞こえないように耳打ちする神奈子様。
ああ、そうでしたね。相変わらず外面だけは良いんですから。
「……何でだろう……今凄く馬鹿にされた気がする……」
気のせいです。
「まあいいさ。私は八坂神奈子、今紹介された通り神様さ。
で、あなたは何故私を呼んだのかしら?」
「えっと、早苗に襲わ「そう言えば神奈子様なら、何か良い驚かせ方を知っているんじゃありませんか?」
余計な事は言わないでください。私の評判に関わりますので。
「驚かせ方……?」
「ほら、小傘さん。折角初めて出会った人達を(髪型的な意味で)驚かせている神様がいるんですから」
私がそう言うと、神奈子様は無駄に誇らしげにする。
どうせ神々しさで驚かせてるとか思っているんでしょう。全然違います。
主にその注連縄やオンバシラや髪型が原因です。
「ふえっ!? あ、あなたは伝説の『びっくり神』様ですか!?」
「そんな神様は知り合いにいないし、そもそも聞いた事すらないけど、まあ話してくれれば力にはなるよ」
何処で誰にそんな神様を聞いてきたのかが物凄く気になったのは秘密です。
大方、魔理沙さん辺りに吹き込まれたんでしょうが。
因みに小傘さんは……。
「こんな凄そうな神様でも知らないだなんて……びっくり神様はきっと簡単には逢えないのね……!!」
……何処まで前向きなんでしょうか、この人は……。
きっと本当の事は言わない方が良いんでしょう。神奈子様も珍しく空気を読んで、黙って小傘さんの話に耳を傾けました……。
* * * 少女説明中…… * * *
「ふぅん、何をやっても誰も驚いてくれないから腹が満たされないと……」
「一応物を食べれば何とかなるんですけど、それだけじゃどうしても足りなくて……」
意外と真面目に聞いてますね、神奈子様。
まあ問題が解決すれば、小傘さんからの信仰も得られるかもしれません。
神奈子様にとっては得な事ですね。
「まあ、原因はなんとなく判るよ」
「えっ!? ほ、本当ですか!? 神様って凄い!!」
目を輝かせる小傘さん。
今まで私を含めて、その理由を明確に話してくれた人はいないでしょうからね。
神奈子様のように、小傘さんに理由を教える事がメリットに繋がるという条件がないと……。
「まあ簡単な事さ。別にあなたの勉強してきた知識が間違ってるわけじゃない」
いや、間違ってると思いますが。
「だけど、そもそもあなたは根本的なところで間違っているのさ」
「えっ……?」
神奈子様の言葉を聞いて、小傘さんは首を傾げる。
……神奈子様が何を言いたいのかは判りますけど……それ言っちゃっていいんでしょうか。
下手したら小傘さんの存在そのものを否定する事になりますよ。
まあ、そうなった時は私が貰って行きますが。
「あなたの勉強してきた知識は、全て“見た目が恐ろしい”からこそ、力を発揮するものなんだよ」
「ふえっ……?」
あーあ、もう知りませんよ。リアルに小傘さん泣きますよこれは。
「要するに、子供っぽ過ぎる」
冷たい空気が周囲に流れる。おかしいな、春先の快晴で、とても温かいはずなんですが……。
「わ、わちきが子供っぽいと申すか!?」
「いや、うん、寧ろ自覚がなかったんですか……?」
思わず突っ込みを入れてしまいました。
まあ、自分の外見年齢って、必要以上に上に見てしまうものなのは判りますけど……。
「見た目が恐ろしくなければ、どんなに驚かせたって驚くわけがない。寧ろ喜ばれるかもしれないね」
俗な発言は止めてください。仮にも神様なんですから。
「あなたに足りてないもの、それは見た目の恐ろしさなのさ。
逆に言えば、もっと恐ろしい容姿になる事が出来れば、誰でも驚かせる事が出来るだろう、けど……」
と、此処まで調子よく喋っていた神奈子様の言葉が、急に止まる。
……なんとなく判りますけど。神奈子様が小傘さんの身体全体を見回しているのを見れば。
「……これじゃそれもちょっと無理そうなんだよねぇ……」
ですよねー。
小傘さんは見た目が全く恐ろしくありませんからね。
しかも事前情報として、人間を食べない“実質無害”な妖怪だと判っていれば、驚く理由もないでしょう。
「神奈子様も見た目が見た目ですから威厳があるんですもんね。
見た目と態度、二つが合さってこその存在感ですからね」
「そういうことさ」
おや、皮肉を言ったつもりだったんですが、やはりダメ神様には難しかったですか。
「そ、そんな……」
だいぶショックを受けた様子の小傘さん。
まさか自分の見た目を否定されるとは思わなかったんでしょうね。
いや、私は別に否定はしませんけどね。寧ろその姿でOKです。ロリ万歳。
「まあ、そう悲観する事でもないさ。原因さえ判れば解決するのは簡単だろう?」
……ちょっと待ってください。神奈子様なにを言うつもりですか?
「えっ……。ど、どうすれば……」
「あなたは妖怪になる前は傘だったんだろう? だけど、今は人の形として動いている。
ちょっと頑張って修行すれば、自分の姿をちょっとくらい変え「神奈子様少々お黙りいただけますかっつーか黙れ!!」
バキッ!! と鈍い音が境内に響く。
神奈子様がとんでもない発言をしようとしているのを全力で阻止。主に箒で顔面を引っ叩く事によって。そして固まる小傘さん。
全くどこまで空気読めないんですかこの人は。
小傘さんにそんな事を吹きこんだら、意地でも実践しようとするに決まってるじゃないですか。
それで万一小傘さんが今の姿を捨てたらどうするんですか。そうなった場合は神奈子様を本気で抹殺してしまうかもしれません。
小傘さんはロリで傘の妖怪だから小さな傘で小傘なんです。ロリじゃない小傘さんなど小傘さんであってたまるか。
「小傘さん? あなたは今何も聞いていませんよね?
こんな神様の言う事なんて聞く必要はありませんからね? 小傘さんは小傘さんのままでいてくださいね?」
えっ? そもそも神奈子様に相談したのはお前だろって?
そんな事は知りません。空気を読まない神奈子様が悪いんです。
「ちょ、早苗、凄く目が怖い……!!」
小傘さんの怯える表情が溜まりません。そう、これですよ。これでこそ小傘さんなんです。
「小傘さんは神奈子様のようになってはいけませんよ。神奈子様は神奈子様だから大人の姿でいていいんです。
あなたは子供の姿だからこそ小傘さんなんです。子供の姿を捨てようだなんて断じて思わないでくださいね?」
「えっと……?」
「 わ か り ま し た か ? 」
「は、はいっ!!」
よろしい。
世界の少女を守るためならば、私は信仰する神様さえ倒す覚悟で行きます。
私が守矢神社に帰依する理由の9割は諏訪子様目当てです。神奈子様を倒す事くらいで心を痛めてはいられません。
あ、大丈夫ですよ神奈子様。それでも、ちゃんとあなたの事も信仰していますから。
但し信仰心と少女愛のどちらに重きがあるかは……まあ、自分で考えてくださいね。
「さて、話が終わったところで、折角ですからお茶でも飲んで行きませんか?
私はお茶を淹れて来ますので、先に居間の方に行っていてください。
神奈子様、何時までも倒れてないで小傘さんをお願いします」
答えは聞かずに、私はさっさと台所へ向かう。
小傘さんに私の誘いを断る理由があるとも思えませんしね。
……別に疾しい心があってお茶に誘ったわけじゃないですからね?
私はただ純粋に、午後の一時を小傘さんと過ごすのも悪くないな、と思っての事ですからね?
あわよくば小傘さんを押し倒して既成事実を作ろうだなて思っていませんからね?
さー、余計な事を考えてないで、早くお茶を淹れますか。
* * * * * *
……えっと、早苗……?
いや、うん、お茶は飲んでいくけど、あまりに目の前で起きた事が意味不明すぎて頭が追い付かないよ。
急に早苗が怒り始めたとか神様が引っ叩かれたりとか……。
えっと、さっきから神様が倒れっぱなしなんだけど、大丈夫なのかな……。
「……うふ、うふふふふ……!!」
えっ? なんか神様が急に不気味な声で笑い始めたよ?
「いいじゃない早苗……私は嬉しいよ、こんなに逞しく育ってくれて……!!」
いや、どう聞いてもその声は喜んでいるようには聞こえないんだけど……。
明らかに怒っていると言うか復讐に取り憑かれているような……神様でもこんな事あるんだね。
「小傘、だったね……」
「えっ? あ、はい、そうですけど……」
えっ? わちき何か悪い事しちゃった……?
「これも早苗の為だ……私はちょっと本気を出す事にするよ……」
ううっ……なんだか怖いよぅ……。
私が何かしちゃったなら謝るから許して下さい……。
「小傘……私の下で修行して、早苗を見返してやる気はないかい……?」
ふえっ……?
* * * * * *
「~♪~♪」
鼻歌交じりにお茶を運ぶ。
小傘さんは毎度毎度、驚かせるだけ驚かせたら(成功例はありませんが)すぐ帰っちゃいますからね。
こうしてゆっくりお茶が出来るいい機会です。色々おしゃべりしたいです。
年頃の少女は友達と話す事が大好きなんです。そう言うものなんです。
「早苗ー」
おや、私を呼ぶ声が……。
……あれ? 小傘さん?
「どうしたんですか? 居間で待っているようにって言ったじゃないですか」
それとも神奈子様が職務放棄でもしたんでしょうか。
だとしたら後でジャッジメントしますか。
「いや、その……その前に早苗に話したい事があって……」
おおっと! 何ですかこの急なフラグは!! いきなり告白イベントですか!?
あ、で、でも小傘さん……駄目ですよ何だかんだで私とあなたはまだ知り合ったばかりですし……。
ほら、もっとお互いに知り合って(主に虐め虐められの関係によって)からでも遅くはないじゃないですか!
い、いや、落ち着きなさい私……。
幾らなんでもそんなわけないって。
「そ、そうですか。何でしょうか?」
「あの、あのね……」
俯いて、妙にもじもじする小傘さん。
やっぱりフラグですか!? イベント発生ですか!?
大丈夫ですよ小傘さん私は博愛主義ですからみんな大好きなんです。
諏訪子様も私のものですが、あなたも私のものです。ゆくゆくは幻想郷の少女はみんな私のものにします。
さあ小傘さん、私に愛の言葉を聞かせてください。
「私、しばらくこの神社に住む事にしたから、宜しくね!」
……はいっ……?
「あの神様が私に、人を驚かせるための修行をしてくれるんだって!
どうせ私は決まった家もないから、折角だしこの神社に泊めて貰う事にしたの」
か、神奈子様……?
あなたはいったい何を考えておられるのですか……?
「修行が終わったら第一に早苗を驚かせてあげるから! 首を洗って待っててね!
じゃあ、早速神様のところに行ってくるから!!」
そう言って、小傘さんは手を振りつつ、走って神社の奥へと消えていった。
えっと、その、小傘さんが、神社に……?
いやまあ、それはそれで嬉しい展開なんですが……。
本当に、本気で、小傘さんが、守矢神社に、居候するって、こと、です、か……?
小傘さんと、一つ屋根の下で……?
「えっ……」
ああ、小傘さんに出逢ってから1ヶ月、初めて……。
「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」
初めて、小傘さんに驚かされました……。
神奈子様もっと大切にしようよ!?
ロリは正義だぁぁぁ
成長した小傘なんてお父さんは認めませんwwwwwww
祝二年目おめでとぉ
これからもドS早苗(それ以外の小説も)期待してますよ~
連投すいませんでした
でも暴力では何も解決しないよ早苗さん
あまりにも言動が自分本位過ぎて本来早苗が持っている魅力が損なわれてしまっている。
一瞬、なんのことかとwww
台詞以外の部分もそれぞれのキャラが引き立っていてよかったです