「っくしゅんっ!!」
にとりが盛大なくしゃみをする。
「大丈夫か? 風邪?」
隣にいた魔理沙が顔をのぞきこむ。
いくらあったかくなってきたとは言え、朝晩はまだ冷える。
「うんにゃ、ちがうヨ。花粉症だヨ」
っくしゅんっ! ともう一発。
「そうか、もうそんな時期か………………大変だな」
いつにも増してポーッとした表情のにとり。
かゆいのかしきりに擦っていて、目が潤んで赤くなっている。
「家にいたほうがいいんじゃないか?」
「いいんだヨ、連れて行きたいところがあるんだヨ」
フっといやな感じに笑うにとり。心なしかうれしそうだ。
魔法の森から妖怪の山へ向かう道を二人はあるいていた。
道の両側には杉林が広がる。
久しぶりに家にいた魔理沙はにとりに拉致られてきたのだ。
「ここはかなりひどいヨ………………」
っくしゅんっ!
「じゃあ外に出るなよ………………水の中だろ?」
「ちがうヨ、家はちゃんと陸地にあるヨ」
「そうなのか?」
純粋に驚いた表情の魔理沙。
「そうヨ、流石に河童でもエラ呼吸はできないヨ」
なんとなく自慢げなにとり。
「ってそんな胸張って言うことでもないだろうが
………………で、どこに向かってるんだ?」
「ひ・み・つ、ヨ」
「なんだそりゃ。………………はぁ」
魔理沙はなんとなくいやな予感がしたが、とりあえずため息をつくにとどめた。
「春ですよー」
「っのわ!?」
突然、後から白い人影があらわれ、
「春ですよー」
追い抜かれ、あっという間に見えなくなる。
「………………なんなんだ? アイツ」
「リリーじゃないかヨ?
「いや、そうなんだけどさ………………」
リリーは山奥へ去っていった。
「ほんと、もうそんな季節なんだなぁ」
「あったかくなってきたのヨ」
周りを見渡すと若芽や早咲きのつぼみが開きだしている。
「なんでアイツはあんな早いんだ?」
「ん~? 寒いのに飽きたんじゃないかヨ?」
「またお前は適当なことを………………」
「寒いのは嫌いヨ~、河童だから」
「なんでだよ………………」
どうでもいい話をしながら道をあるく。
「でも今日はあったかくてよかったヨ」
「そうだな………………ほんっと、いい天気だぜ」
思わず欠伸が出るようなやわらかい陽光。
「で、どこにつれてくつもりなんだ?」
「ふっ、もう少し待つヨ」
っくしゅん!
「まさか守矢神社まで行くつもりじゃないだろうな
………………あそこまでは結構遠いぜ?」
妖怪の山は意外と広い。頂上までは半日はかかる。
「ちがうよ、いい加減静かにしてくれヨ………………」
魔理沙のしつこさに辟易したらしい。
「ついたヨ。ここだヨ」
目の前に広がるのは満開の花が咲く梅林。
「わぁ………………」
素直に感嘆の声を上げる魔理沙。
白色の花は桜ほどの派手ではないものの、
ふわふわとした春らしい雰囲気があった。
「コレが見せたかったんだヨ」
「あぁすごい………………きれいだな」
「おおーい、魔ぁ理沙ぁー」
梅林の奥を見ると、木の下で杯を傾ける巫女たちが見えた。
「お、お前らもきてたのかぁ!………………あいつらも誘ったのか?」
「………………違うヨ」
「? どうしたんだお前、急に暗くなって」
「なんでもないヨ………………」
「そうか? なんか変だぜ?」
「気にしなくていいヨ………………ほら、向こうに行くヨ」
っくしゅん!
「くっそー、せっかく誘ったのにヨ………………」
「残念でしたね、河城さん」
「うっひゃあ!!」
気付かないうちに一人、傍に立っていた。
「びびびびっくりしたヨ………………雛かヨ」
「先日はどうも………………くすっ」
「笑うなヨ!! この間は悪かったよ!!」
泣き顔で叫ぶにとり。
宴会の面子には遠くて聞こえない距離だ。
「ええ。まぁ、いいでしょう。許してあげますよ」
「当然だヨ!? あれだけやっといて許さないとかひど過ぎるヨ!?」
雛が微笑む。
「魔理沙さんを誘うとは………………なかなかやりますね」
「なななななんのことかヨ!?」
素っ頓狂な声を上げるにとり。
「隠したって駄目ですよ、バレバレです」
「………………はぁ、雛には隠せないヨ」
「ここは結構穴場なんですが、よく見つけましたね」
「見つけたのは結構前ヨ………………あいつらこそ、ほんっとよく知ってるよ」
にとりにつられて、雛も巫女たちの方を見る。
「はぁ、無駄だったみたいヨ………………」
雛のとなりに腰を下ろし、うつむいて地面に”の”の字を書き始めるにとり。
魔理沙は向こうで楽しそうにしている。
「そんなことないですよ」
「でも………………」
「気にしなくていいんですよ、コレくらい。
もう一度、二人で来ればいいじゃないですか、桜の盛りにでも。
いい場所、教えますよ?」
さっと顔を上げ、雛を見上げる。
「ありがとう………………よし、ちょっと参加してくるヨ」
「いってらっしゃい、がんばってくださいね」
魔理沙に向かってかけだすにとりに小さく手をふる。
「あ、そうそう」
にとりはちょっと立ち止まって、意地悪そうに笑う。
「今日も雛は白なのヨ」
「もう! にとりちゃんのエッチ!!」
にとりが盛大なくしゃみをする。
「大丈夫か? 風邪?」
隣にいた魔理沙が顔をのぞきこむ。
いくらあったかくなってきたとは言え、朝晩はまだ冷える。
「うんにゃ、ちがうヨ。花粉症だヨ」
っくしゅんっ! ともう一発。
「そうか、もうそんな時期か………………大変だな」
いつにも増してポーッとした表情のにとり。
かゆいのかしきりに擦っていて、目が潤んで赤くなっている。
「家にいたほうがいいんじゃないか?」
「いいんだヨ、連れて行きたいところがあるんだヨ」
フっといやな感じに笑うにとり。心なしかうれしそうだ。
魔法の森から妖怪の山へ向かう道を二人はあるいていた。
道の両側には杉林が広がる。
久しぶりに家にいた魔理沙はにとりに拉致られてきたのだ。
「ここはかなりひどいヨ………………」
っくしゅんっ!
「じゃあ外に出るなよ………………水の中だろ?」
「ちがうヨ、家はちゃんと陸地にあるヨ」
「そうなのか?」
純粋に驚いた表情の魔理沙。
「そうヨ、流石に河童でもエラ呼吸はできないヨ」
なんとなく自慢げなにとり。
「ってそんな胸張って言うことでもないだろうが
………………で、どこに向かってるんだ?」
「ひ・み・つ、ヨ」
「なんだそりゃ。………………はぁ」
魔理沙はなんとなくいやな予感がしたが、とりあえずため息をつくにとどめた。
「春ですよー」
「っのわ!?」
突然、後から白い人影があらわれ、
「春ですよー」
追い抜かれ、あっという間に見えなくなる。
「………………なんなんだ? アイツ」
「リリーじゃないかヨ?
「いや、そうなんだけどさ………………」
リリーは山奥へ去っていった。
「ほんと、もうそんな季節なんだなぁ」
「あったかくなってきたのヨ」
周りを見渡すと若芽や早咲きのつぼみが開きだしている。
「なんでアイツはあんな早いんだ?」
「ん~? 寒いのに飽きたんじゃないかヨ?」
「またお前は適当なことを………………」
「寒いのは嫌いヨ~、河童だから」
「なんでだよ………………」
どうでもいい話をしながら道をあるく。
「でも今日はあったかくてよかったヨ」
「そうだな………………ほんっと、いい天気だぜ」
思わず欠伸が出るようなやわらかい陽光。
「で、どこにつれてくつもりなんだ?」
「ふっ、もう少し待つヨ」
っくしゅん!
「まさか守矢神社まで行くつもりじゃないだろうな
………………あそこまでは結構遠いぜ?」
妖怪の山は意外と広い。頂上までは半日はかかる。
「ちがうよ、いい加減静かにしてくれヨ………………」
魔理沙のしつこさに辟易したらしい。
「ついたヨ。ここだヨ」
目の前に広がるのは満開の花が咲く梅林。
「わぁ………………」
素直に感嘆の声を上げる魔理沙。
白色の花は桜ほどの派手ではないものの、
ふわふわとした春らしい雰囲気があった。
「コレが見せたかったんだヨ」
「あぁすごい………………きれいだな」
「おおーい、魔ぁ理沙ぁー」
梅林の奥を見ると、木の下で杯を傾ける巫女たちが見えた。
「お、お前らもきてたのかぁ!………………あいつらも誘ったのか?」
「………………違うヨ」
「? どうしたんだお前、急に暗くなって」
「なんでもないヨ………………」
「そうか? なんか変だぜ?」
「気にしなくていいヨ………………ほら、向こうに行くヨ」
っくしゅん!
「くっそー、せっかく誘ったのにヨ………………」
「残念でしたね、河城さん」
「うっひゃあ!!」
気付かないうちに一人、傍に立っていた。
「びびびびっくりしたヨ………………雛かヨ」
「先日はどうも………………くすっ」
「笑うなヨ!! この間は悪かったよ!!」
泣き顔で叫ぶにとり。
宴会の面子には遠くて聞こえない距離だ。
「ええ。まぁ、いいでしょう。許してあげますよ」
「当然だヨ!? あれだけやっといて許さないとかひど過ぎるヨ!?」
雛が微笑む。
「魔理沙さんを誘うとは………………なかなかやりますね」
「なななななんのことかヨ!?」
素っ頓狂な声を上げるにとり。
「隠したって駄目ですよ、バレバレです」
「………………はぁ、雛には隠せないヨ」
「ここは結構穴場なんですが、よく見つけましたね」
「見つけたのは結構前ヨ………………あいつらこそ、ほんっとよく知ってるよ」
にとりにつられて、雛も巫女たちの方を見る。
「はぁ、無駄だったみたいヨ………………」
雛のとなりに腰を下ろし、うつむいて地面に”の”の字を書き始めるにとり。
魔理沙は向こうで楽しそうにしている。
「そんなことないですよ」
「でも………………」
「気にしなくていいんですよ、コレくらい。
もう一度、二人で来ればいいじゃないですか、桜の盛りにでも。
いい場所、教えますよ?」
さっと顔を上げ、雛を見上げる。
「ありがとう………………よし、ちょっと参加してくるヨ」
「いってらっしゃい、がんばってくださいね」
魔理沙に向かってかけだすにとりに小さく手をふる。
「あ、そうそう」
にとりはちょっと立ち止まって、意地悪そうに笑う。
「今日も雛は白なのヨ」
「もう! にとりちゃんのエッチ!!」
オチまでの流れが少し弱いせいかオチも弱くなってしまったように思います。次は各シーンをもっと丁寧に描いてみるといいかもしれませんよ。
それにしてもにとりは顔を上げただけでよくスカートの中が見えたな・・・w
次も楽しみにしてるヨwww
過去作でもこの口調で通していることから、この点は作者さんのこだわりなのでしょうか?
もしそうなら、私からは何も言うことはありません。
ただ地の文が少なくて若干読みづらいのと、一発ギャグものでもないのにオチが流れを無視した唐突なものだった点が気になりました。