アリスは散歩が好きである。
そのため彼女は、よく散歩に出かけるのだ。
あるときは紅魔館まで、あるときは妖怪の山まで行ったりした。
「さて、気分転換に外に出かけようかな」
今日もアリスは家を出て、外へ散歩に出かける。
「今日はどこに行こうかしら?」
腕組みをしてうーん、と考えるアリス。
こうやってどこへ行くのか考える時間も彼女の楽しみの一つだ。
「今日は…いつもとは違う方に行ってみよう」
そう言って、妖怪の山とは反対方向へと歩いていく。
しばらく歩くと視界が開けて広い鈴蘭畑へと出た。
「あれ? 確かここは…」
ここは幻想郷では『無名の丘』と呼ばれている場所である。
ここには妖怪ですらめったに寄り付かない。
なぜか?
遠い昔のことだ。
ここでは子供の間引きが行われていた。
子供が多くて育てられない、育てたくとも経済的に厳しい。
そんな人たちがここに子供を捨てていったのだ。
そして子供たちはここで眠るように死んでいった…
そんな過去があったお陰か、近づくものは滅多にいない土地になってしまったのだ。
「恐ろしい場所だって聞いていたけど…綺麗な場所じゃない」
アリスはのんきにそんなことを呟いた。
と、その時アリスは何かが近くにいることに気づいた。
「…!?」
アリスは辺りを見回す。
すると、小さな人影を発見した。
「里の子供かしら?」
そう思って近づいてから気づく。
「これは…妖怪…!」
アリスは後ろへと下がって何が起きてもいいように準備した。
幻想郷の妖怪は基本的にいきなり襲ってくることは無いのだが、
始めて見る妖怪なのでアリスは警戒してこのような行動を取ったのだ。
「あら? お客さんかしら…?」
妖怪はアリスに向かってニヤリと笑いかける。
「私はメディスン・メランコリー。あなたは人間なの?」
「さあ、どうかしらね?」
アリスはそうとぼけて見せる。
「まあ、あなたが何者でもいいわ。私の毒にかかってここで死ぬのだから!」
アリスに向かって霧のような物が飛んでいく。
「くっ…毒か!」
横に飛んで毒霧をよける。
アリスが立っていた場所に生えていた草がしおれていく。
「かなり強い毒のようね…」
「ふふふ、やるわね。だけど私は許さない…!」
(許さない…?何のこと?)
そう思ったが、すぐにその考えを打ち消す。
「まずはあいつをおとなしくさせないとね…」
しかし、メディスンにはなかなか近づけない。
彼女が回りに毒霧を発生させているからだ。
「くっ…隙が無い!」
「逃げるだけしかしないね? そんなので私に勝てるの?」
いつの間にか森のほうへと追い詰められているアリス。
「あはは! 死んじゃえ!」
メディスンはまた毒霧をばらまく。
アリスは後ろの草むらに飛び込んだ。
飛び込んだお陰で霧に当たらずに済んだ。
アリスに当たるはずだった霧は木の根元に当たる。
すると、霧が当たった木がメディスンの方向へとゆっくりと倒れる。
根元が毒で腐って倒れてきたのだ。
「え…!?」
メディスンはいきなりの出来事に身動きができなくなってしまった。
「まずい!」
アリスはとっさに草むらから飛び出して、メディスンに飛び掛った。
「きゃっ…!」
小さな叫びとともにメディスンはアリスと一緒に倒れる。
その声とほぼ同時に木が完全に倒れた。
「な、何とか間に合ったわね・・・」
はぁ、はぁ、と息を切らしながら安堵するアリス。
「な、なんで私を…?」
「…誰かが死ぬところなんて見たくはないしね」
笑いながらアリスは答えた。
「そういえば自己紹介が遅れたわね。私はアリス・マーガトロイド」
笑いかけながら手を差し出す。
「え?」
メディスンは戸惑う。
「握手よ」
「あ、うん…」
メディスンも手を差し出して、握手をする。
「そういえばさっき許さない、とか言っていたけど何があったのかしら?」
「…それは」
メディスンは話し始めた。
自らの過去を。
メディスンは元々人形だった。
人形だった頃のメディスンは持ち主にとても大事にされてきた。
持ち主とは長い付き合いで、出かけるときも眠る時も持ち主と一緒であった。
メディスンは幸せだった。
持ち主に愛されて、大事にされていたから。
しかし、持ち主が年を取るにしたがってメディスンは大事にされなくなっていった。
そして最終的にはゴミ捨て場へと捨てられてしまったのだ。
そうしてゴミ捨て場で時を過ごしているうちに、いつの間にかこの鈴蘭畑へと捨てられていた。
さらに時が経ち、メディスンは妖怪として蘇った。
そして妖怪となったメディスンはこう誓ったのだ。
「自分を捨てた人間たちを絶対に許さない」…と。
「なるほどね…」
アリスはゆっくりと頷いた。
「だけどね? 世の中には悪い人もいるけど、いい人たちもたくさんいるのよ?」
メディスンは驚いた。
この世の人間たちは悪い人ばかりだと信じてきたからだ。
「…嘘よ!」
そんなこと、認めたくなかった。
「この世には悪い人たちしかいないのよ!」
メディスンは叫ぶ。
そんな彼女にアリスは優しく問いかけた。
「…だったら私はどうなのかしら?」
「どういう…こと…?」
「私が悪い人だったらあそこであなたを見捨てて逃げていたはず…でしょ?」
「…」
「私は悪い人かしら?」
「アリスはいい人だけれど…」
「…メディスン。たまには相手を信じてみることも大事よ?」
アリスはしっかりとメディスンの眼を見て言った。
「相手を…信じる…」
「そう。相手のことを信じてみないといい人かどうかはわからないわ。
…まあ、信じる人は選ばないとひどい目にあっちゃうけどね?」
「…わかった、私、信じてみる」
メディスンは笑う。
「うん。…さて、お話しはこれくらいにして私の家に来ない? おいしいお菓子があるわよ」
「行きたい!」
アリスの提案に無邪気に笑いながらメディスンは答えた。
二人は早速アリスの家のほうへと向かう。
その時小さくメディスンが呟いた。
「…んって…でもいい…?」
「え?」
「お、お姉ちゃんって…呼んでもいい…?」
クスッとアリスは笑う。
「ええ、いいわよ」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
こうして二人は無名の丘を後にした。
このあと、メディスンは数多くの友だちを作った。
同時に彼女は幻想郷の一員として、皆から認められたのである。
それからもメディスンはアリスのことを姉と慕い続け、アリスもメディスンを本物の妹のようにかわいがったという…
あと表現も乏しいかと・・
でも話のアイデアは悪くないと思いますよ
ただの読み専が偉そうに批評してすいません
最後の三行で済まされた、メディスンが幻想郷へ馴染んでいく過程などが描写されてたら
もっと良かったかな、と。
地の分のくどさは自分も感じておりました。
表現とともに、これから見直していきたいです。
>>11
最後の部分についてもうちょっと描写しておけばよかったかな、と今になって少し後悔しています^^;
次回からはこういう部分はしっかりと描写できるように気をつけていきたいと思います
正確にいうと表現したいことに対する意識の甘さ、といったところですかね。
ほのぼのでもいい、バトルでもいい、ギャグでも過去話でも、おっぱいでもいい
あなたが想い描いている幻想を表現するために一挙一動過不足なく描ききり、
それを表現するために言葉を一字一句、厳選する。
それこそ、背景の描写から、心の空白まで。無駄な描写、くどい表現を省いて。
……もちろんこだわりすぎるのもよくありませんが、
この推敲が足りていないのだと感じました。
ーその言葉は本当に必要ですか?
ーその表現で伝え切れてますか?
構成がいいだけにもったいない気がします。
構成がいい、ということはつまりあなたの想い描く幻想が色鮮やかで豊かだということ。
その鮮やかさを、全力で私たちに伝えてください。
続編、期待してます。
確かに推敲の時間が足りなかったのかもしれません。
これからは自分の伝えたいことをしっかりと伝えられるようにしていきたいです!
話は好きというお言葉ありがとうございます^^
自分も感想等をもらってからもっと長くしたほうがよかったかな、と後悔しています。
これからはしっかりと書いていこうと思います!