Coolier - 新生・東方創想話

魔女とジュースと葛藤と

2010/02/27 23:33:00
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バタン。
大きな音を立ててドアが開いたと思ったら、
「魔理沙遊んでー」
なんて馴れ馴れしくも可愛らしい少女の声が聞こえてくる訳だ。



チルノが遊びに来た。



「いつも遊んでるやつらはどうした」
私の家に来るなんて珍しい。喧嘩でもしたんだろうか。
「なんか用事があるんだって。明日遊ぶ約束したよ」
なるほど。夜雀は屋台の準備とかしてるんだろうな。
まぁ、いつも暇なやつって言ったら妖精ぐらいのもんだ。
何で私のところに来たのか若干気になるが、それでも遊び相手として選ばれたことが私には嬉しかった。
本当は霊夢のところにでも行こうと思ってたんだが、特にやることもないしチルノに付き合うことにした。
「で、一体何して遊ぶんだ?」
何となく予想はできるが、一応聞いてみる。
「決めてない!」
威張って言うことか。
腰に手を当てて仁王立ちしてるチルノに、私は予想通りの答えを聞けて何だか満足した。
「それじゃあ遊べないぜ」
私の家に来たのは良いが何も考えていないとは、やっぱりチルノはバカらしい。そこがチルノらしいんだがな。
「何しよっか」
私に聞いてくるか。いきなり言われてもすぐには思い付かないぜ。
そばにあった椅子に座って考えることにした。
ゆっくりと前後に揺れる、名前は忘れたが座り心地の良い木製の椅子。うっかり座ると眠くなってしまうといういわく付きの椅子だ。
あ、うっかり座っちゃったぜ。これはもう逃れる術はない。
身体が勝手に椅子を揺らす。丁度良い揺れ具合が心地良い。
「何してんのさー。ちゃんと考えてよぅ」
そう言って頬を痛くない程度に抓まれた。チルノの指がひんやりと冷たくてこれまた気持ち良い。
「ちゃんと考えてるぜ?この椅子に揺られるとそれはもう楽し過ぎて一日じゃ足りないぐらいの遊びが思い付くんだぜ」
もちろんそんなことはないがな。
でもチルノは
「椅子すげぇ!」
ほら信じた。純粋なのもここまでくると逆に心配だな。
そう思ってたら
「じゃああたいも座る。魔理沙退いて」
なんて言ってきた。私の服の端をぐいぐいと引っ張って要求してくる。
残念ながら退く気はさらさら無い。
「嫌だぜ。私が先に座ったんだし、この椅子の所有者も私なんだぜ」
そう言って椅子を揺らし続けた。ちょっと大人気ないが、この心地良さを手放す気にはなれないしな。
チルノは退いてとか代わってとか言いながら椅子をガタガタ揺すったり、私の手を持って立たせようとしたりと一生懸命だ。
もう遊びを考えることより椅子に座ることに目的が変わってきた気もするんだが、チルノは多分気付いてないだろう。
というかチルノしつこいな。全然諦める気配がない。私の周りを行ったり来たりしながら色々ちょっかい出してくる。
もしかしたらこれはすでに遊んでいるようなものなのか?何となくチルノも楽しそうに見える。
子どもって何でも遊びに変えるからすごいと思うぜ。とか感心してたら、いつの間にか目の前からチルノの姿が消えた。
…拗ねたか?
そう思った途端、私の耳に変な感触が。
「ぅひゃあッ!?」
冷たいものが私の耳を挟んでる。
揉まれるような動きとか、たまに耳に当たる硬いものと柔らかくて少しだけ冷たいようなぬるいようなものが気持ち悪い。
いやそれ以上にくすぐったい。身体が拒否反応を起こす中、私の視界に入ってきた青い髪はおそらくチルノのもの。
こいつ、耳噛んでやがる!!
「ち、チルノ!おま何してひゃッ!?」
意地悪な私への仕返しみたいなものか。
それにしても何てことしてんだこの氷精は。
我慢できなくて身をよじる。甘噛みしてきたり少し舐めたりしてきて背筋がゾクゾク、というかゾワゾワする。
「止めッ、ちょほんと止めてひっ…ひゃん!?」
本当に自分の声なのか信じられないほど高い声が出た。
こいつ以外とテクニシャン…じゃなくて!
普通擽ったりとか脇腹突いたりとか、そういう可愛げのある悪戯するもんだろう妖精って!
驚かせたりとかもするだろうけど、これ違う意味で驚かされてるぞ私!!なんだよ妖精って意外とAとかBとかの段階も知ってるってのか有り得ないだろうが!!
心の中で叫んでも意味無いな。とりあえず止めてもらわないことには落ち着けない。
私は未だに続いている高度な悪戯に耐え、
「分かった!座らせてやるから止めッちょストップ!!ストップ!!」
いっぱいいっぱいになりながらチルノに交渉した。するとはむはむ動いていた口が止まり、耳が解放される。
初めてだぜ耳食われたの。
まだ違和感の残る耳を気にしていたら、チルノが私の前に来て嬉しそうに笑っていた。可愛いんだが少し憎たらしくも見える。
でも約束を破るほど私は人でなしでもないんだぜ。さっき自分で言った通り、椅子から退いてチルノを座らせてやった。
私が座ってもまだ余裕があった椅子はチルノにはやっぱり大きかった。だいぶ隙間が空いている。
それでも気にすることなくチルノは楽しそうに椅子を揺らし始めた。
…可愛いな。
そういえばチルノって舌も氷みたいに冷たい訳じゃないんだな意外だぜそれに少しだけ気持ち良かったようなって私は何考えてんだ!?
なんか今日は変だぜ変な感じになっちゃってるぜ!!
そうだ多分無邪気な子どもは可愛いとか耳を刺激されるのは嫌じゃなかったって意味で別に何もやましいことなんか考えている訳じゃなくてって弁解してる自分がおかしいぜ!!
チルノに噛まれてから何となく熱い。耳はもちろん顔も、手も、胸も熱くなってきた。
妖精はヤバい菌でも持ってるんじゃないのか?噛まれたら感染って狂犬病か、恐ろしいな。
いかんいかん、変なことばっかり考えてるぜ。
私らしくないじゃないか。深呼吸して落ち着くんだ、落ち着け私。すーはーすーはー。よし落ち着いた。
全く。私が必死に何かに耐えている時もチルノは自分のペースで椅子を揺らしている。少しは気にして欲しいもんだ。
何だかやられっぱなしってのも悔しいんだぜ。
私はチルノの後ろに回り込んで肩を捕まえた。
「うぇ?」
いきなり掴まれてちょっと驚いたらしい。後ろを振り向こうとしたから、私はすぐにチルノの耳に口を寄せた。
こう、はむっと。チルノと同じで挟むように。
そしたらさ、チルノのやつ。
「ひうッ!?」
って驚いたんだが、その後に
「あ…んぅっ!」
なんて妙に色っぽい声を出したから。逆に私の方が驚いた。ドキッとして一瞬フリーズしたくらいな。
まさか子どものチルノからこんな声が聞けるなんて思わなくて、すぐ離そうと思っていた唇が耳に触れたままで硬直してる。
チルノの耳は冷たくて、氷みたいに溶けるんじゃないかとも思ったがそんなこともなく。
私が少しだけ舌を動かすとチルノは
「ふっ…ぁ……んんッ!」
またも色っぽいというか艶っぽい声で私の鼓膜を刺激する。
…ヤバいぜ、もっとチルノの声が聞きたい。いつもの元気な声も好きだが、いつもとは違う大人っぽい声も堪らなく可愛く感じる。
もう駄目だ、今日の私は変態らしいぜ。でも止めようという気が起きない。まぁ良いか。
私はチルノの肩から手を離し、そのまま後ろから抱き締めた。羽根が邪魔だったがそんなのはお構いなしで。
「わっ!?」
と驚く声が聞こえたが、これは子どもっぽくてまた可愛かった。
そして私は耳を加減しながら優しく噛んだ。
たまに歯を立ててコリッとした耳独特の感触を楽しむ。耳たぶはぷにぷにして柔らかいから、そっと唇で挟むだけにした。
「ちょっ…や、止め…ぅぁ…」
小さく控え目な声が耳に入る。くすぐったいのか感じてるのか、身動ぎしながらチルノは私の腕を掴んできた。
とは言っても添えているだけのような、全然力の入らない手でだがな。最強とか言ってたのが嘘みたいだぜ。
横目で見たチルノの頬は赤くなってた。私が噛んでる耳も何だかさっきより熱くなったような気がする。
そんなチルノの耳の外周を、私は舌先でゆっくりと舐めた。下から上へと移動させるにつれ、チルノの背筋もつられて上に伸びていく。
…面白い。耳は敏感なのか、覚えておこう。
そろそろ良いかと思って耳を解放してやった。肩で息をしているチルノを見ると、やはりいっぱいいっぱいだったらしい。
「魔理沙のばかぁー…」
なんて可愛い声で言って、後ろに居る私に凭れてきた。
甘えられてるみたいで悪い気はしない。
「お前に言われたくないぜ」
別に怒りなんか微塵も感じなかったが悪態をついてみる。まぁ言葉のあやってやつだな。
それにしても、最初にこの悪戯を実行したのは自分だってことを覚えてないのか。便利だな、こいつの頭。
さて、そろそろ抱き着いてるこの格好は腰が痛くなってきたぜ。私はチルノから身体を離す。
その時に
「あっ……」
って残念そうな声がチルノから漏れた、ような気がする。
「どうした?」
尋ねてみたが、顔を赤くしたチルノは手をひらひらさせて何でもないよという動作。空耳じゃなかったと思うけどな。
その後、何だか落ち着かない様子でチルノは椅子から立ち上がって奥にある棚のところへ歩いて行った。
チルノが移動して椅子は空席に。このチャンスを逃がす私じゃないんだぜ。私はすぐに椅子に座った。
よし、あとは耳に気を付ければ大丈夫だな。そう思って揺られていたら、棚の戸を開けているチルノが目に入った。
いつも物色する側だから物色されるのには慣れていない。
むず痒く感じて
「おいおい、あんまり探索しないで欲しいぜ」
と頼んでみる。聞かないだろうけど。
「これ何?」
早速何か発見したらしい。
チルノの手には青い液体が入った透明な容器が握られている。
香霖のところからもらってきた、確かブルーハワイとかいうシュワシュワする外の世界の飲み物だ。
後で飲もうと思ってたんだが、残念ながら見つかった。普段の私なら誤魔化して興味を逸らすだろうが、何故か今日の私は気紛れで。
チルノに分けてやっても良いだろうと考えた。
「外の世界の飲み物らしいぜ、美味いかどうかは知らないがな」
そう言うとチルノの目がキラリと光った。
多分次の言葉は
「飲みたい!」
やっぱりな、言うと思った。期待を全く裏切らないから面白い。
「半分なら飲んでも良いんだぜ」
って言ってやったら嬉しそうに蓋を外してゴクリと一口。
その瞬間すごい笑顔になって
「うめぇ!」
と一言。子どもにしか見えない容姿で子どもみたいな反応、可愛すぎるぜ…。
あれ、私って子ども好きだったか?
なんて思いながらチルノの姿に少し和みながら呆けていたら、チルノが私のところに駆けてきた。
「はい、魔理沙の分」
そう言って渡された容器の中身はいつの間にか半分に減っている。飲むの早いな。
私は飲み物を受け取って上へと持ち上げた。窓から差し込む光が中の液体に当たって一層青色を綺麗に見せた。
何だか飲むのが勿体無い気がしてきたが、ずっと残しておく訳にもいかないからまず一口。口に入った途端に内部を突かれるような刺激が伝わってきた。
このシュワシュワの正体が何なのか気になる、今度香霖にでも聞いてみるか。味の方は少し身体に悪そうな感じがしたが、まぁ悪くない。
チルノみたいに絶賛という訳でもないけれど、私はこの味は嫌いじゃない。物珍しさに惹かれてもう一口、ゆっくりと味わう。
「美味いなこれ」
ボソッと小さく言ったんだが、チルノは聞き逃さないで
「でしょ!あたいの言った通り!!」
威張った。何で威張れるのか理解できないが、そうだなと一応返しておく。
そして再び飲もうとした時、何かが私の頭に引っ掛かった。しかしその何かが分からない。
私は飲むのを中断して液体に目をやった。何かをスルーしている気がする。
容器を揺すって液体を観察しながら、少しずつ整理することにした。何か気になることがあったはず、それを思い出すためにひとつずつ振り返る。
この液体を飲んだ、これは特に気になるところはない。
光に当てて眺めた、これも特になし。
チルノから容器を受け取った、これも特に気にはならな…い……?
待て待て待て、ちょっと待てしばし待て。何か引っ掛かった。
チルノから受け取ったのは何も問題ないはずだ。じゃあ何が私の頭に引っ掛かってるんだ…?
容器とチルノを交互に見て答えを出そうとするが、なかなか出てこない。
チルノも変にジロジロ見られて落ち着かないらしい。
「どうしたの?」
って聞いてくるが、私もどう言って良いのか分からないし。んー…と唸りながら私は首を傾げた。
チルノも合わせて首を傾けてきたのは可愛かったな、じゃなくて。
駄目だ、全然分からん。考えるのを諦めかけてふと、目の前のチルノが物欲しそうに指をくわえているのが目に入った。
チルノの視線は私の持っている青い液体の入った容器に向いている。また飲みたくなったみたいだな。
「やるよ、これ」
差し出したら嬉しそうに受け取った。そして飲み口に口を近付ける。
……飲み口?
「うおあァァァッ!?」
分かった、変な声が出たけど分かった。チルノが驚いてるけど分かった。何が引っ掛かってたのかやっと理解できた。
チルノから容器を受け取る前、チルノは半分飲み物を飲んでたんだ。
つまり飲み口に口を付けてて、その後私が飲んで……ってことはか…かかか……間接キ…ス…!?
「うわああああああああッ!?」
ヤバい、気付いた途端に恥ずかしさが込み上げてきたぜ!何で引っ掛かった何でスルーしなかった何で気合い避けしなかった自分!!
いや普通は女同士だから気にはならないんだろうけど一度気になるとどうにもならないというか寧ろ間接でもキスしたってことが強調されて冷静になれないというかああもう何言ってるのか分かんなくなってきたぜ!!
チルノはいきなり絶叫した私に驚いて飲み口に口を付けたままこっちを見ている。
やめてくれまるで間接的にディープキスしているように見えるって今日の私は何だ乙女か欲求不満か気持ち悪いわ!!
「…魔理沙?」
百面相しているだろう私に声をかけてくれるのは嬉しいが近付いてくれるな顔を寄せてくれるな吐息をかけてくれるなアァァァァ!!
堪らなくなってそばにあった帽子を掴んで深く被った。
こういう時は帽子が大きくて助かるぜ。まずは一安心。
なんて思ってたら
「何で家の中で帽子被ってるの?」
帽子の端をつまんで上に持ち上げるチルノ。
目の前というかド真ん前というか…ちょッ、近い近い近い!!顔が滅茶苦茶近い!!少しでも動いたら唇当たりそうだろうが!!
私はすぐに持ち上げられた帽子を引っ掴んで思いっきり下げた。一気にチルノの顔が見えなくなる。
うおお、心臓がバクバク言ってるぜ…。
「魔理沙どうしたのさ?どっか痛いの?」
何も分かってなさそうな、でも心配そうな声が耳に届く。
「い、いや、何でもないんだぜ。気にするな」
そう言ってみたが未だに顔を見れないんだぜ…。
霊夢とかアリスのところに行くといつも別々のカップで渡されるからなぁ、何も気にしてなかったのに何でこういう時に限って間接的でも唇が触れ合ったとか気にしちゃうのか自分でも分かんないぜ……。
こんなキャラだったか私!?
自分に違和感を覚えつつ、その……私と間接キ…キスをしたチルノの様子が気になってほんの少しだけ帽子を上にずらしてみた。
チルノは残り少ない液体を飲み干そうと容器を傾けているところで、もちろん飲み口に口を付けている。
「ぅあッ!?」
不味い、不味すぎる。
なんてタイミングで見ちゃってんだ自分はっきり口付けて間接キスしてるところ確かめてどうするんだ私ああでも嫌がってないのは嬉しいってバカか私イィィィ!!
熱暴走して思考がぶっ飛びそうだったがどうにか落ち着かせようと努力した。
しかし落ち着けない。その理由はさっき私が発したちょっとした叫び声だ。
反射的にチルノの目がこちらを向いてお互いの目が合った。その所為で身体は硬直し、目を背けることができない。
な、なんでこんなに見てくるんだよチルノのやつ。
そう思ってたらチルノが容器から口を離して、急いで私の方へ近付いてきた。
その素早さと行動の意図が分からないから私は固まったままだったんだが、すぐにチルノは私の頬に両手を添えてグイッと引っ張った。
そしてそのまま顔が近付いてきて私の口にふにゃんとした柔らかいものが押し当てられる。
目の前にはチルノの顔。
……え?これは…その……ぅえ?間接とかそういうのじゃなくて……え?
……………よーし落ち着け私、落ち着いてもう一回深呼吸だ…ってできるかこの状況で!!唇同士くっついてんだぞどうやって息しろってんだそして私は誰に文句言ってんだアァァァァア!?
あー、これが口に出せたらどれだけ楽か。
現実の私は微動だにできないほど硬直しまくっている。嫌がっている訳じゃないが、早く終われと切実に願った。
でもその願いも聞き入れてもらえなかったみたいだ、早苗のばか。
チルノは私の口を開けさせるように舌をねじ込んできた。舌同士が僅かに触れて尋常じゃないくらい鼓動が速くなった気がする。
そのまま中を弄られるかと思ったら、私の口の中に何かが移動してきた。
甘ったるくて温い液体、多分さっきの飲み物だろう。コクリ、と喉を通っていった。
するとチルノがゆっくりと私から離れる。荒く息をしながら見たチルノの顔は、何だかほっとしたような感じだった。
うおおおお何だこの状況何が起こったんだ一体私は誰ここはチルノ!?
もう駄目だ、頭から湯気が出そうなくらい恥ずかしい。いっそ脳みそが沸騰して使い物にならなくなれば良いのになんて思ったほどに。
「ななななな、なん、何でここ、こんなこと……」
噛みまくりだぜ。でも落ち着いていられるほどの余裕もない。できる限り頑張って聞いてみた。
そしたら予想外。
「さっき最後の一口飲まれたと思って叫んだんでしょ?だからあげたの」
…叫ばなきゃ良かったのかアァァァァ!!
そうか、そうだよな…チルノがキスと分かってするはずないしな。
「…ぁ、そういえば今のってちゅーだっけ?」
うわああああ何でこんな時ばっかり理解するの早いんだよこいつは!!
顔を隠したくても帽子はいつの間にか手元になく、椅子に座っている私には到底手の届かないところに転がっている。
恥ずかし過ぎる。穴があったら埋まりたい。
しかし隠れるところなんかあるはずもなく、恥ずかしさで何も言えずに私は固まったままだった。
そんな私を見つめてくるチルノの顔は特に気にしていないと言っているようでそれがまた悔しい。
むーっと不機嫌を顔に表すと、若干身体の緊張が和らいだみたいだった。顔も身体も熱いままチルノから視線を逸らす。
するとチルノは私の頬を指で突いて
「魔理沙なんか可愛いね」
なんて笑顔で言ってきた。
…反則だろその顔………。
私は片手で顔を覆えるだけ覆って椅子に凭れた、照れ隠しも兼ねて。
ギィギィと椅子の揺れる音が耳に届く。その後ギシッと木の軋む音と一緒に太ももの上に重みを感じた。
何事かと見下げてみればそこには青い髪。
つまり私の上にチルノは乗っていた。
「…何してるんだ?」
「座ってる」
それは見れば分かる。
「そこは椅子じゃないぜ?」
「分かってるよ」
少し意味が分からなくなってきたんだぜ。
「じゃあ何で座ってるんだ?」
「魔理沙の方が柔らかくて好き」
…はい?今何て言った?
「もう一回言ってくれ」
「魔理沙の方が好き」
ちょ、一部省略したぞチルノのやつ。受け取り方によっちゃ違う意味に取れるから危険だ。まぁ利用するんだけど。
一度深呼吸して覚悟を決める。
「チルノ、こっち向け」
そう言うと素直に振り向いてくれる。
チルノが振り向いたその瞬間、私はチルノの顎を掴んで固定し唇を合わせた。そしてチルノにやられたのと同じように舌を入れてみた。
そっと入れたつもりだったがチルノの身体はビクッと小さく跳ねて、目もギュッと閉じていて可愛かった。
やる方とやられる方ではほんとに状況が違うってことが分かったぜ。余裕があるのといっぱいいっぱい、良い勉強になった。
しばらくして離れると、チルノは目を点にして私を見ていた。
「…ふぇ?」
無意識に声が出たっぽいな。
そんなチルノに
「仕返しなんだぜ」
そう言って笑ってやった。
その後チルノは私の方に身体ごと向き直ってしがみ付いてきた。照れて赤くなった顔を隠すためだろうが、本当に子どもみたいで可愛いんだぜ。
私はチルノを軽く抱き締めて椅子をゆっくりと揺らした。
しばらくしたらすぐにチルノのやつは寝始めた。
私も寝ようかと思っていたら、
「むぅ……」
なんて声が聞こえてきて。
この時気にせずすぐに寝れば良かったと思う。でも私は選択を間違えてチルノの顔を覗き込んだ。
チルノはあどけない顔で嬉しそうに笑って
「魔理沙ぁ……」
なんて甘えるように言うんだぜ。もうすっごく可愛かった、いやマジで。
それで、もう一度あの柔らかい唇に触れたくなった。
待て自分、耐えるんだ自分。これじゃあ本当に変態になっちゃうぜ。
でもマシュマロみたいだったよな…。ああもうどうすりゃ良いんだよ!!
なんて心の中で葛藤が繰り返される。よく悪魔と天使が言い合いしてるあれだ。
私の中で小悪魔が
「キスしちゃえば良いんですよー」
って言ってくるし、天使側の白蓮は
「寝てる間なら大丈夫ですよ」
って言ってくるしってこれ両方ともキス勧めてるじゃねぇかアァァァァ!!
駄目だ、私の中の葛藤なんか当てにならないんだぜ。というか頼った私がバカだった。
こんなにも私が苦しんでるのにチルノは腕の中で気持ち良さそうに寝てる。何か悔しいからほっぺた触ってやる。
……うお、むにむにして柔らかい。くすぐったいのかチルノはモゾモゾと動いて私の腹に触った方の頬をぐいぐい擦り付けてきた。
面白いから私はもう片方の頬も触ってやった。
また擦り付いてくるのを期待したんだが、今度は違った。チルノの顔が動いたまでは良かったんだ。
でもその後、私の指ははむはむとチルノに喰われた。
といっても甘噛み程度なんだけどってうおおおお!!余裕ぶっこいてる場合じゃないぞ私!!今日は一体何なんだ何のプレイだ焦らすプレイだなこれは天子のやつも喜ぶなってアホか!!
指に舌が纏わりついてくるのが違和感ありまくりで叫びたくなる。
でもチルノを起こすのは忍びないし、ここは我慢。できる私を誰か褒めてくれ。
ゆっくり指を引き抜くとチルノは口をもぐもぐさせてまた安眠し始めた。
くぅ…この舐められた指どうすれば良いんだよ。
透明な粘液が私の指に付いている。それを見て私の喉がゴクリと鳴った。
そんな時に聞こえた心の声。
「ぱくりといっちゃいましょー」
「そーしましょー」
だーーーーッ!?お前ら何てことぬかしてんだてか協力するなアァァァァッ!!
そしてこの後色々と葛藤した所為でチルノが起きるまで私は一睡もできなかった。
もうみんなチルノに翻弄されれば良いと思うよ?

みなさんが楽しめると良いなーと思ってます。
青いペプシまた出ないかな。
にあ
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コメント



0.1840簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
タグで久保さんを思い出したのは俺だけでいい。
しかしチルノは可愛いなぁ。でも魔理沙が一番可愛い。
4.100名前が無い程度の能力削除
えちぃですw魔理沙の反応が思春期真っ盛りな感じで可愛い。
6.90名前が無い程度の能力削除
次はアイスキューカンバーでおながいします
8.100名前が無い程度の能力削除
白蓮w
10.100名前が無い程度の能力削除
うおおこれはっこれはっ…!
続きがもっと読みたいですw
11.100名前が無い程度の能力削除
なにこれ、可愛い。
16.100名前が無い程度の能力削除
チルノかわいい
魔理沙かわいい
面白かったです
20.100名前が無い程度の能力削除
魔  理  沙 !!
も っ と や れ www
22.100名前が無い程度の能力削除
ふう……


…………はっ!
27.100名前が無い程度の能力削除
俺の口から吐き出された大量の砂糖が重さのあまり核融合を始めましたが問題無いのでもっとちゅっちゅすればいいと思うのです
28.100名前が無い程度の能力削除
キュウリ味のペプシを飲めばいいと思うよ
30.100名前が無い程度の能力削除
チル魔理が流行ればいいと思うよ!
38.80ずわいがに削除
気をつけろ!このチルノはもはや生体兵器だ……ッ!
42.100名前が無い程度の能力削除
チルノ、俺の膝に来(ry
47.100名前が無い程度の能力削除
このチルノいい!