それは上海人形が自意識に目覚めてまもない頃のお話。
1
「上海。おはよう」
アリスは上海人形に話しかけた。
上海は、木で作られたテーブルのうえに足を投げ出して座っている。
実に人形らしい姿勢。
しかしほんのわずかに動きが見られる。
振り子のように小さな背中が少し揺れた。
気づくと上海がこちらを見ている。
ほんの数秒ほどの視線の交差。
奇跡の瞬間である。
――それなのに。
上海はぼんやりとした眼差しでアリスのほうに視線を向け、たいした興味もなさそうにまた前を向いた。
アリスはちょっと溜息をついてしまう。
上海に幼いながらも自意識が目覚めたのは、はっきり言ってアリスにとっても驚くべきことだった。
ほんの少しの偶然と、多年にわたる努力の成果としか言いようが無い。
しかし、その本質的な原因はアリスにもよくわからなかった。
ある朝、起きてみると上海人形がなんの操作もなしに立ち上がっていたのだ。
もちろんアリスが無意識に操作をおこなっていたわけでもない。魔力による自動操縦でもない。
純然たる自立、そして自律であった。
だから――、上海の心がどこにあるのかアリスにもわからない。
アリスの操作を受け付けてきたときと違い、上海は人間の子どものように聞かん坊だ。アリスの言葉に反応はするものの、ほとんど無口。
いままで「シャンハーイ」と明るい笑顔で微笑んでくれていたのに。
いまの上海は昏いまなざしで世の中を見つめている。
まるで生みの親であるアリスに、どうして生んだのかと問いかけているようだ。
せめられている気がして、アリスは心苦しかった。
育て方をまちがったのかしらと思い、
そうじゃなくて、まだ育ててすらいないと思いなおす。
「上海。お話しましょう?」
アリスは上海の小さな身体をもちあげて、自分のほうへと向きなおさせる。
上海は感情を感じさせない眼差しでアリスを見上げた。
「おはなし」
「そうおはなししましょう」
「……」
上海は無言のままだ。
冬の薄い空の色をした瞳がアリスを観察するように見つめている。
その果ての無い色にひるみそうになりながらも、アリスは優しく声をかける。
「言葉のお勉強をしましょうね」
アリスは上海のいまの状態を考えていた。
おそらく、上海はいろいろな言葉を知らないわけではない。ただ、その言葉がどういう意味を有するのかわからないのだ。
アリスの言葉も、いまはただ音として認識されている。
だから意思疎通がうまくいかないのだろう。
ならば、一から教えてあげればよい。人間の赤ちゃんに言葉を教えるように、上海にも言葉を教えてあげればよいとアリスは考えていた。
今日も楽しく言葉のレッスン。
「上海。これはきのこっていうのよ」
かさの部分が大きくて、上海の腰ほどの丈はありそうな大きなきのこを手に取る。種別はベニテングダケ。赤い色をベースにぽつぽつと白い斑点がついていて、毒をもっている。べつに食用ではない。アリスも魔法使いとして時々はそういったアイテムを使うときがあるということだ。
説明はとりあえず簡易に。
「きのこ」
上海は反復する。
「そう、きのこっていうのよ。覚えた?」
「きのこ」
上海は人間の幼児よりも遥かに記憶力がいいので、固有名詞はすぐに覚える。そして一度覚えたことは忘れない。記憶が劣化しないためだろう。アリスも魔女として一般的な人間よりも記憶力が強い。したがって、上海の記憶力のよさはアリスゆずりともいえる。
一通り固有名詞を覚えさせたあと、復習がてらにアリスは自分のことを指差す。
「わたしは誰かわかる?」
「アリス」
「そう、じゃあ、あなたは?」
「アリス」
指示代名詞が伝わっていないのだろうか。
「違うでしょ。あなたは?」
アリスは上海の小さな指を手にとって自分に向けさせた。
「上海?」
そうやって少し自信なさげに上海は答えた。
「そうよ。えらいわ」
アリスは上海の頭を撫でる。
上海は操作を受けてたころのように嬉しそうにはしない。撫でるという行為の意味を理解していないのか、まったくの無反応である。
ちょっと、撫でがいがない。
けれど、上海がひとつずつ目標を達成するたびに、わがことのように嬉しくなってしまう。
いま、上海が自分の意志で動いていることは、紛れも無い奇跡であると感じているからかもしれない。
無愛想だけれども、可愛くてしかたがなかった。
2
違和感が生じたのは、ほんの少し後。
アリスは今日も上海人形に言葉を教えていた。そろそろ周りの物の名前はだいたい覚えている。
だから次は形容詞を覚えさせようと思った。
アリスは赤いものをテーブルのうえに並べる。ほおずき、りんご、トマト、マッチ棒。
アリスは一つずつ指差しながら言う。
「ほら、みんな同じ色をしているでしょう。赤っていうの。わかる?」
「ほおずき、りんご、トマト、マッチ棒」
「違うわ。それはものの名前でしょう。色のことを言っているのよ」
「シャンハーイ?」
なにが間違っているのかよくわからないといった声色である。
もちろん、本当のところはこのころの上海はまだ声に抑揚をつけるほど心が発達していない。それでもなんとなくニュアンスがわかったのは、アリスがずっと上海につきっきりだったためだ。
アリスは赤色の折り紙を取り出してきて、テーブルの上に置く。
「ほら、この色と同じでしょう」
「折り紙」
「うーん」アリスは腕を組む。「難しいわね」
擬似生命体であるがゆえの、なんらかの不具合というものがあるのかもしれない。
上海の心は上海だけのものであるが、創られた過程がアリスとは違うから、アリスにも知りえない心の構造をしている可能性もある。
そうだとすれば、どうやって言葉を教えることができるのだろう。
数ヶ月にわたり上海を観察していてわかったことがある。
例えば、魔理沙が来た時。
魔理沙はきのこを大量に袋にいれて、おすそわけという形でアリスの家にやってきた。料理はアリスにやらせるつもりらしく、そこらへんは魔理沙らしい抜け目のなさだった。
そこで、上海が自律しはじめたことも伝えた。
魔理沙は興味をもったらしく、いろいろと試そうとした。アリスとしては大事な上海に変なことを吹き込まれないか心配でもあったが、自分だけではどうにもならないこともあるから、魔理沙との交流を止めるよりはむしろそのまま自然にまかせてみることにしたのだった。
「じゃあ、これはなにかわかるか?」
魔理沙は採取してきたきのこを見せる。
きのこという言葉なら先日教えたはずだ。アリスはすぐに答えるだろうと思っていた。
しかし、上海は答えなかった。
沈黙していた。
「おいおいこんなのもわかんないのかよ」
「おかしいわね。きのこって言葉は教えたはずなんだけど」
「忘れてるんだろ」
「いいえ。上海はそんなに頭悪くないわよ。人間なんかと違ってね」
「ふん。人間様を馬鹿にするなよな」
「人間を馬鹿にする妖怪がいやなら、夕食食べないで帰ってもいいのよ」
「ちゃんと利益は回収してから帰るからな。アリスの料理が食べられないんじゃ、なんのためにきのこ狩りしてきたかわからん」
魔理沙は帽子をソファへと放る。
絶対に帰らないという意思表示だ。
そのほうが魔理沙らしいかと思いなおして、アリスは上海に向きなおる。
「上海教えたでしょう。あれはきのこよ」
上海は無反応だった。
「あ、もしかしてベニテングダケのことをきのこって思いこんじゃったのかしら……」
「んー?」
「上海に言葉を覚えさせたときに、ベニテングダケを使ったのよ。だから、ベニテングダケのことをきのこって思ったんじゃないかしら。食用のきのこと違って、ちょっと色が毒々しいでしょう」
「そうか? そういえば毒キノコなら……ここにひとつあるぜ」
魔理沙はポケットから紫色をした毒キノコをとりだした。
「これはまた魔理沙が食べたら、すぐに冥界に逝ってしまいそうな毒々しい色ね」
「まぁな」
魔理沙は上海の目の前にそのきのこを置いた。
しかし、やはり上海は無反応だった。
「無愛想なやつだなぁ」
「まだ生まれたばかりの赤ちゃんと同じなのよ。周りのものがなんなのかよくわかってないの」
「夕飯までまだ時間があるんだろ。じゃあ、とりあえずそのベニテングダケを採ってくるぜ」
魔理沙はアリスの応答も聞かず、すぐに外へと飛び出していった。
人間の元気のよさは本当に時々うらやましくなる。
上海は茫洋とした表情で森のほうを見つめていた。
さすがに森の生活が長いだけのことはあって、数十分もしないうちに魔理沙は帰ってきた。
「三つぐらいしか見つからなかったぜ」
手には赤い色をしたベニテングダケ。
「そこまでしてくれなくてもいいのに」
「したいようにしているだけだぜ。上海には結構世話になってるからな」
永い夜のときのことや、地底にいったときのことを思い出しているのかもしれない。
魔理沙はテーブルのうえに先ほどと同じようにベニテングダケを置いた。それで、上海の言葉を待った。
数分経過。
上海は微動だにしない。べつに魔理沙が目の前にいるから恥ずかしがっているとか、そういったわけではなく――。
これはどうやら上海流の対処の仕方らしいことはアリスも気づいていた。
どうすればよいかわからないときは、沈黙し、命令を待つ。
自律化する前の在り方が、上海のなかに残留しているのかもしれない。
「おかしいわね。どうも目の前にあるのがきのこだってわかってないみたい」
「あぁ。じゃあおまえが見せたのが実は、ベニテングダケモドキだったとか」
「そんなんじゃないわよ。考えられるのは――、どうやら……」
アリスは顎に手をあてて、深刻な顔になった。
「おいおい。どうしたんだ。そんな顔して。アリスらしくないぜ。もっと余裕ぶってるほうがおまえらしいのに」
「あらそうね」
アリスは精神に軽さを取り戻す。
魔理沙が思いのほか焦っているのが、少しおかしかったからだ。
「でも、結構難しいわね。上海は人間の子どもよりもずっと分解能が優秀なのよね。だから【あのときに見せたベニテングダケ】のことをきのこだと思ってしまったみたい」
「じゃあ、ベニテングダケっていう種のことをきのこって勘違いしているどころか、固有のベニテングダケをきのこだと思いこんでるわけか」
「そういうことね」
「そういうことっていわれてもよくわからないな。それってどういうことなんだ?」
「つまり、上海は思ってるよりもずっと【類推】が苦手だってこと。例えば人間の子どもが猫って言葉を覚えたとするでしょう。家のなかで飼ってる猫を見て、猫とは四本足で走り回って、ふわふわしてて、尻尾がふりふりしていて、にゃーと鳴く動物だって覚えるでしょう。そして彼は大胆に類推していくわ。隣の家で飼ってる動く小さな動物のことも猫っていうの。けれどあるときお向かいさんが飼ってる犬を見るの。彼はまた猫っていうでしょうけれど、そのときは誰かに犬という言葉を新しく教えてもらうことになるわ」
「じゃあ、上海にも覚えさせればいいんじゃないか?」
「どうもそれがうまくいかないみたいなの。上海は分解能が強い。というのはつまり、人間よりもずっと精確な認識能力を有しているということ。実をいうと成分分析もしているし、視覚は言うに及ばず、においにも敏感、微弱な波動に対する反応音とかも聞き取ってる。そういうもろもろの認識から、固有性に対する感受性が強いと推測できる」
「んー。そーなのかー?」
「馬鹿になってるわよ。魔理沙」
「いや、私はべつにな、アリスが教育ママみたいになってるなって思っただけだぜ。上海はのびのびと育てろよ。私みたいにな」
「品性に欠ける振る舞いだけはさせたくないわね」
「夕食。早く作れー」
「やれやれ、だわ」
夕飯。
アリスと魔理沙は対面に座る。
上海は人間の食事は必要ないので、アリスの傍らに座ったままだ。
「んー。うまいぜ」
魔理沙がアリスが作ったきのこ入りシチューに舌鼓を打った。
「ほら、口元汚れてるわよ」
「人間にとって最高の食べ方ってどんなか知ってるか。むさぼるだぜ」
「私はそんな食べ方はいやよ。魔理沙も私の家で食べるときはもう少しおとなしくしてちょうだい。上海が真似したらどうするのよ」
「食べないだろ。普通の料理は」
「言葉とか行動とかは観察しているわよ」
「いいじゃんか。上海が私みたいになれば、アリスもうれしいんじゃないか」
「そんなわけないわ」
アリスは顔を赤くした。
魔理沙はそんなアリスの様子を気にすることもなく、もくもくと口と手を動かしている。
「ふぅ。食った食った。満腹満腹」
「飛行中に重さで落ちるわよ」
「こう見えても代謝と運動神経はいいほうだと自負しているんだがな」
「一度太ったら元に戻すの大変よ」
「アリスの料理がおいしすぎたのがいけないんだ。私がぷくぷく太ったら介護してくれ」
「私に責任転嫁しない。あと一応、お褒めの言葉ありがとう」
アリスは平坦に返す。
「わりと本気で言ってるんだがな。アリスはお嫁さんになれる才能があるぜ」
「お、怒るわよ」
「嫌いか? お嫁さん」
「そ、そういうんじゃなくて」
「んー。どうしたアリスさん」
魔理沙はにやにやと笑っている。普段冷静なアリスが薄皮一枚剥けば、簡単に慌てるところが楽しいらしい。
いよいよアリスは赤くなる。
身をすぼめて、小さくしている。
魔理沙はさらに追撃の言葉を投げつけようとした。
と、そのとき。
「ンマイ!」
上海が突然声をあげた。
あっけにとられる魔理沙。
「おー、おまえ、私の言葉を覚えたのか。でも、うまいが正しいぜ」
「ンマイ!」
「まあいいか」
「よくない」アリスは目をいからせている。「上海が変な言葉覚えちゃったじゃない」
「はは。人間の子どもだって変な言葉しゃべってるぜ。猫のことをぬこって言ったりするしな」
「もう」
「そう怒るなって。上海にだって育つ時間とタイミングが必要だろう。親のおまえが慌ててもいいことないぜ」
「そりゃそうかもしれないけれど」
けれど、歯がゆいのだ。
それに不安なのである。身体的な同一性が担保されている人間の子どもと違って、上海は言わば新生物である。どのように育てればよいのか判断が困難なのである。
アリスの胸中には、常にこれでよいのかという疑念の声がうずまいている。
「なんだよ。そんなふうに泣きそうにならなくても……」
「泣いてなんかいないわよ!」
「泣き顔だった気がしたけどな」
「ともかく」アリスが大きな声をあげる。「上海の前では淑女然とした振る舞いを心がけること。そうじゃないと料理つくってあげない」
「へいへい。アリスママは本当に教育熱心だな。そのうちPTAでも作りそうな雰囲気だぜ」
3
家の中にあるもので、覚えさせたものは完璧に反復することができる。
では、見せていないものを類推させることはできるのか。
アリスは上海をテストする。
再びリンゴ。かつて覚えさせたリンゴは食べてしまったので、また覚えさせた。
リンゴという言葉が上書き処理されているのか、それとも白紙に近い記憶容量をフルに活用して、それもまたリンゴであるというふうに定義したのかは定かではない。しかし、類推という方式を覚えなければ、今はともかくとして、いつかはパンクしてしまう。
アリスはふたつのリンゴをテーブルに置く。
できるかぎり形も質量も同じようなやつを選んだ。片方は覚えさせて、もう片方は見せていない。
それで、上海に問いかける。
「上海、これはなにかしら?」
アリスは名前を覚えさせたほうのリンゴを指差した。
指を差すという行為が、名称の復唱要求であることは、既に覚えているらしい。
「りんご」
と、上海は澱みなく答える。
これは予測済みのことだ。
「じゃあ、これは?」
もう片方の見せていないほうのリンゴを指差した。
上海は動かない。
やはり、類推ができない。
類推する能力が、欠如しているのだろうか――。
それは恐ろしいコミュニケーション能力の不全である。このままなんの成長も見られなければ、上海とはまともに言葉を交わすことはできないだろう。せいぜいが河童のにとりののびーるアーム程度の役割しかこなせない。
アリスの推測では、強い認識能力が原因であると思った。
類推とは現実に対する一種の鈍感さが要求される。鋭すぎる認識は逆に生存率を下げてしまう。
――生きすぎると死ぬ。
という矛盾にも似たところがある。
その矛盾をどうやって一般的な生命は解消しているのだろう。
アリスは自分の胸に手をあてる。
できることなら、知りたかった。
そして、できることなら、教えたかった。
「それは、もしかするとどうしようもないことかもしれないわ」
降って湧いたような声というのはこういうことを言うのかもしれない。
あらゆる警戒魔法が反応を示さないことに、いささかアリスは驚いたものの、そういった能力がある者に心当たりがあったため混乱するほどではなかった。
こいしである。
窓ガラスをコツコツと拳で叩いて、彼女は優しげに微笑んでいた。
「盗み見なんて感心しないわね。あなたのお姉さんはきちんと教育しているのかしら」
「私はお姉ちゃんとは違って、根無し草。誰にも縛られないことを矜持としているのよ」
「あら、矜持だなんて難しい言葉が言えるのね」
「無意識が教えてくれるわ」
とりあえずなんらかの助けになるかもしれない。
上海の言語的な不具合は、もしかすると心の問題に帰着するかもしれないとも思えた。
そうであるとするならば、心の専門家である覚り一族から教えを請うというのも悪くない選択だ。
それに――
頭の片隅では、魔理沙が悪戯を思いついたときの、快活な笑顔が思い浮かんでいた。
おそらくこいしの来訪は魔理沙の差し金だろう。
アリスの悩みを知り、どうにかしてくれそうなやつで、比較的自由なこいしを選んだに違いない。心といえば、地霊殿の主、さとりのことが一番に思い浮かぶが、さとりを呼ぶのは少々手間がかかるから却下したのだろう。地霊殿の主がおいそれと地底を離れるわけにもいかない。
だが――。
こいしは確かに覚りではあるものの、第三の目を閉じてしまっている。
そんなこいしに心の成り立ちについて教えを請えるものなのだろうかとも思える。
いや、いずれにしろ、いまのままではどうしようもないのだ。
アリスはこいしを椅子に招いた。そして対面に自分も座った。
「とりあえず、状況説明しましょうか」
「いえ。必要ないわ。だいたいは魔理沙に聞いてるし、それに私にはわかるもの」
わかる――。
こいしは、はっきりとした声でそう言った。
「原因がわかるの?」
アリスは内心の驚きを隠しきれない。
「ええ、簡単よ。私には直接的に視えるもの」
「なにが?」
「無意識が――、正確には集合的無意識が」
「あなたが無意識を操るのはわかったけれど、それが上海とどういう関係があるのかしら」
「んー。そうね。簡単なことよ。そのお人形さんには集合的無意識にあたる部分が無いわ。それがすべての原因」
こいしは人差し指を立てて、そもそも、と続ける。
「そもそも――、私たちの【歴史】に相当するものが集合的無意識なの。人間に限らず妖怪も神様も、無意識的な部分が必ずあるわ。つまり意識と無意識は絡み合ってるの。絡み合ってることで、ささえあってるイメージなのよね。だから意識のみでは、心として成立しえないわけよ」
「つまり器質的に上海は心を持ち得ないというわけ?」
「持ち得ないとまで言い切っていいかはわからない。ただ、無意識の発生過程はほとんどの場合、身体の記憶を元にしているわ。身体といっても脳みそだけじゃない。要するには生命の記憶とでもいうべきもの。対してあなたのお人形さんの場合はどうかというと、その【歴史】が浅い。だから彼女の心はとても脆弱といえるわ」
「上海にも心はあるわよ。私は操作してないんだから」
「視えてるわけじゃないでしょう。お姉ちゃんにでも視てもらう?」
うふふ、とこいしは笑う。
アリスはむっとした。こいしは笑いを少し収めて微笑にシフトチェンジする。無意識的な表情変化なのかもしれない。
「たぶんだけど、お人形さんにも心らしきものはあると思うわ。無意識がなくても意識は存在しうる。自分の足で現実界に立つというのはとても疲れることだけど、強靭な認識能力があれば、一定程度は可能ね」
「どうしてそんなことがわかるの?」
「とても嫌そうな顔してるじゃない」
こいしは上海の頬をツンとつついた。上海はされるがまま。しかしあいかわらずの仏頂面だ。
「嫌そうな顔しているからなんなんのよ」
「この子は覚醒の不快さを知っている。眠りから無理やり起こされるとき、思わず舌打ちしそうなほど憎悪の念が湧くでしょう。それこそが心の萌芽。呪いにも似た螺旋の刻印よ。すべての生命は必ず死にたいという想いを心の数パーセントは抱いている」
「ずいぶんと難しい言葉を使うのね」
アリスは怒りを抑えた声をだす。
要するに上海は目覚めたことに対して不快の念を抱いていると断じたのだ。
それは、アリスにとっては上海人形に憎悪されているといわれているに等しかった。
こいしはアリスの怒りを意に介することなく続けた。
「わたしのせいじゃないわ。それに憎悪を必要以上に敵視する必要もない。自分を現実から切り離すには憎悪が必要なわけだし……、あなただって自分を殺して今のあなたになったのでしょう?」
こいしはあいかわらず微笑のままだったが、得体の知れない不気味さがあった。
これが無意識の正体なのかもしれない。
無意識は必ずしも意識にとって味方になるとは限らない。
「それで?」アリスは冷静さを装った。「無意識が無いとして、どうして言葉がうまく発せられないの?」
「類推するという能力は、いわば無意識からデータを引っ張ってきているわけ。生命の【歴史】から参照することで、物の種類や性質を自らの生存に適した形で滞りなくとりこめるわけよ。もちろん自我のほうの参照しようとする意志が弱ければ、それもうまくいかないことが多いけれどね」
子どもはよく怪我するでしょと、こいしは補足説明した。
「参照するべきデータベースがないから類推能力に欠けると?」
「そういうことね」
「上海は類推する能力が著しく欠けたまま成長することはないと?」
こいしは頬のあたりに指をあてて、うーんとかわいく唸る。
「自前のデータベースを構築していけばある程度の補足は可能かもしれないわね。でもウン億年かけるところを数ヶ月とか数年とかでできるようになるのはちょっと考えにくいわ」
「問題点が多いのはたいしたことじゃないわ。自我を芽生えさせるというのが当初の目標だったわけだし、いまの状況を悲観するには早すぎる」
「まるで悩みなんて無いと言いたげね。ただこのままでは、お人形さんはただの音を順列的に組み合わせてるに過ぎないし、厳密な意味で発語しているとはいえないということになるわね。まるで私と同じ。言葉を交わしているように見えて、本当は独り言を述べてるに過ぎないのかもしれないよ」
こいしは花咲くような笑顔をアリスに向けた。
だがアリスには、こいしの笑顔がどこか作りめいたものにしか見えなかった。そして少し寂しそうにも思えた。
「私がそうはさせないわよ」アリスははっきりと言った。「必ず上海と言葉を交わしてみせるわ」
「へぇ。ずいぶんと、その子にいれこんでるのね。やっぱり被造物だから?」
「そうね。ある一面ではあなたの言うことはあたってるかもしれない。私が生んだ子だから、私はこの子に対して責任があるの」
「生み落とされたほうは、必ずしもそうは思っていないかもしれない」
「上海がどう思うかなんて関係ないわ。これは私の内心の問題。私がどうしたいかというだけのこと」
「考えてみれば、興味深い話だわ。知性が言葉を持つ瞬間。始まりの言葉の生成過程を観察できるなんて、長いときを生きる妖怪でもとても珍しいことよ。あなたは宇宙の始まりと同じような奇跡の瞬間の目撃者となれるかもしれない。わかるかしら。これは既存の言葉とはまったく違う言語が生まれる可能性を示唆しているのよ。チョムスキー臨界を越えて、新しい言語が発生する。きっとそのとき、あなたは神様に等しい存在になれるわ」
こいしは楽しそうに言葉をつむいだ。
言語的なアプローチも少しはかじったことがあるが、さすがに門外漢であってよくわからない言葉も多い。
けれど、想像してみる。
上海におはようと話しかけて、そしておはようと、上海の自我と意志と尊厳をもって応え返してくれるのなら、こんなに素晴らしいことはない。
自分は泣いてしまうかもしれない、とアリスは思った。
「もしもそうありたいと望むなら、二つのアプローチが存在するわね」
「方法があるの?」
「うまくいくかはわからないけれど……。一つは人形さんの心に無理やりバックドアをつくって、そこから無意識の侵入を待つという方法。水が方円の器に従うように無意識は意識を満たそうとする性質があるから、集合的無意識は意識を汚染する」
「ずいぶんと突飛な表現ね」
「簡単なことよ。無理やり夢を見せればいいの。夢は意識の壁をゆるくして無意識を侵入させやすくするわ。あなただって知ってるでしょう?」
「そうね」
アリスは不眠でも問題がない魔女にも関わらず睡眠をとっている。その理由の多くは、夢ううつの時間における発想に、思いがけないものが見出されることがあるからだ。
しかし、上海もアリスと同じく睡眠は必要がなく、眠っているところを見たことがなかった。
無理やり睡眠をとらせるといったところで、どうすればよいのかわからない。
「ん。気づかないの。ほら、悪夢を見せるクスリがあるでしょう?」
「あれは……」
アリスはすぐに気づいたが、すぐに渋い顔になった。
胡蝶夢丸ナイトメア。
永琳の手によって作られた悪夢を見せる丸薬である。後学のためとりあえず何個か購入し、服薬してみたが、悪夢を見るというのが生理的に嫌でそれ以上飲むことはなかった代物である。
できることなら上海にも飲ませたくはない。
そもそも消化器官が未発達な上海に飲ませると何が起こるかわからない。
アリスは上海の頭をぽんぽんと撫でつける。
こんなにも小さな身体なのだ。服用量もよくわからないし、危険なことはさせられない。
「不服?」
「もう一つのアプローチは?」
「こっちは時間がかかるけれど、物語を読み聞かせることかな。絵本とか、できるだけシンプルでチープなお話がいいわね」
「そんなので大丈夫なの」
「さぁわからない。けれど擬似的な経験則で彼女の記憶容量を超えさせてしまえば、意識できない層が積み重なっていく。擬似的な無意識が構築されていく。そうすればいつかは集合的無意識と遜色しない程度の無意識ができあがっていくかもしれない」
「記憶をパンクさせてオーバーフロウさせろっていうの」
「揺籃のなかで朽ち果てさせたくなければね――、一息にやってしまうか、真綿でしめつけるようにゆっくりやるかの違いにすぎないわ。いずれにしろやらなければ、人形は人形のまま」
「そう、わかったわ」
決断しなければならないらしい。
どちらにしろ、傷跡を残さない成長などありえないのだ。
なら――、どちらを選ぶべきか。
「人形さんが言葉を話し始めたら、また呼んでね」
「ええ。今日はありがとう」
こいしは来た時と同じように、風のように去っていった。
それにしても、こいしと会話を交わすと、どこかかみ合っていない感じがするのはなぜだろうか。
閃光にも似た類推思考。アリスは無意識下に生じたイメージを瞬間的にフィードバックさせる。心を持つ存在だけが許される思考の飛躍だ。
――上海に話しかけているときと似ている?
アリスには判別がつかないことだった。おそらくはこいし自身にとってもそうなのだろう。
4
子どもに読み聞かせるように、アリスは絵本を読んだ。
パチュリーの図書館から本を借り、できるだけ簡単な物語をたくさん読み聞かせることが日課になっていった。
シンデレラ。三匹の子豚。赤頭巾ちゃん。もちもちの木。
優しげな物語だけじゃなく、できるだけ人生の縮図となるような規範的意識を内包した物語を選んだつもりだ。
夜、眠る直前に上海を膝に抱っこして、優しく読み聞かせる。
あいもかわらず上海は無反応に聞いているだけだったが、それでも信じて読み続けるしかない。
この頃になると、上海も少しは物事に対応する行動原理ができあがってきたのか、一応の妥当な振る舞いができるようになっていた。
例えばコップをとってきてとアリスが命ずるとする。
その場合、上海の認識では特定のコップこそがコップとして認識されているから、いつも持ってくるコップは同じだ。覚えさせ方を複数のコップとすればいいとも思ったが、その場合コップを持ってきてと命じた場合、すべてのコップを持ってこようとしていた。これでは小さな上海の身体がつぶれてしまう。
いまだのびーるアームの用途すらこなせない有様ではあったが、それでもその意志はまぎれもない本物であったし、上海が言うことを聞いてくれることが嬉しくもあった。
特定のコップしか持ってこれないが、それでも上海は上海の意志で持ってきてくれるのだ。
持ってきてくれる。そこが嬉しいところなのかもしれない。
あるいは上海が自分とは異なる意志を有して行動すること自体がたまらなくいとおしいと感じているのかもしれない。
どうしてだろう。
会話の無い静けさ。変わりない日常。アリスはその静けさを心地よいと感じる。
もともと、沈黙を恐れることはないのだ。会話が途切れることを怖がる必要なんてどこにもない。
人形を創ったのは孤独を忘れるためではなく、むしろ日常の雑事を人形たちに任せることで、日常に必ず付随する騒乱を切り離したかったからだ。
つまり孤独になりたいがために、自分以外の存在を生むという矛盾したシステムだったのである。今もまだその思想が完全に消え去っているわけではない。アリスにとっての人形とは、孤独を埋めるためのツールではない。むしろ孤独になるためのメソッドだった。
なぜ上海の言葉を欲しているのだろう。
理想が崩れるように理念も変化をまぬがれないということなのだろうか。
変革は突然訪れた。
アリスにとっては、その変革は強いられたに等しかった。
上海が自由な意思をもっていることは信じてもいたし、そのことが嬉しくもあったのだが――、
上海はタンスの奥深くに仕舞われていた胡蝶夢丸ナイトメアを服用したのである。
アリスが寝ているときにこっそりとベッドから抜け出して、そして自らの意志でのみくだしたのだ。
それで、上海はもともとの青白い肌をさらに雪のように白くさせて、悪夢を見ているに違いなかった。
5
ひよこ。ひよこ。黄色くて、小さい。親指サイズのひよこ。
とてもかわいい。
でも、そのひよこはビニールで作られている。
中身はたぶん空気。
作りものめいた造形。
けれどまぎれもなく生きている。
私はそのひよこがアパートの軒下に放置されているのを発見する。
なぜか虫かごのような透明な箱のなかに入っている。
蓋の部分はグリーンで、ひよこのサイズに比してかなり巨大なものだ。底の部分には藁みたいな草が敷き詰められていて、ひよこはそこに身を潜めている。
大きな箱に不釣合いな小さな身体。
箱――、アパートの玄関に入るかしら?
箱の表面には、紙切れが張ってあって、お母さんが送ってくれたものだとわかった。
どうしてこんなものを送りつけてくるんだろう。
でも、ひよこがかわいくて、なんだかラッキーな気分。
私は箱をひょいと持ちあげて、アパートの自室に持って帰る。
ひよこはじっと私を見ている。
かわいらしくて、たまらなくて、私はひよこを箱から取り出す。
ひよこは鳴かない。
ぴよぴよと鳴いてもいいはずなのに、私を見ているだけだ。いや、もしかすると私のことも大きな山か何かだと思っているのかもしれない。
それで、ひよこはよちよち歩きで、地面を歩きはじめた。
小さくて見失う。
グチャ。
あ、と思う暇もなかった。
故意ではなかったし、もちろんヤバイと思った次の瞬間の出来事だから、よく覚えているわけでもない。なぜか潰すような感覚もなかった。
それほど空虚な存在だったのだろう。
親指サイズの小さなひよこはあえなく私に潰されることとあいなったのである。
そのときの私の心境は、生命を殺したことに対する罪悪感もあったけど、もちろんひよこが所詮はひよこに過ぎないことを知っていて、私はひよこの所有者で、だから、私がひよこを殺してもべつに誰かに非難されるようなこともないのだという計算がどこかにあった。
いや、それどころか。
なんといえばいいか……。
そう……。
私の心をできる限りシンプルに表現するなら、
――もったいないことをしたなぁ
という気持ちだったのである。
ひよこ、かわいかったのにね。つぶれちゃってるんだもん。
つぶれたひよこはかわいくない。もうかわいがることはできない。
グロいというほどの質量がないのが御の字。
所詮、ビニール。生々しさとは無縁だ。でもあれくらいで死ぬなんてなぁ。値段はいくらだったのかわからないけど、たいそうな箱に入ってたし、それなりにしたんじゃないかな。
ああ、本当なんか嫌な感じ。罪に汚れちゃったわ私。そんなとても空虚な感情を私は抱く。ひよこを送ってくれたお母さんには申し訳ない気持ち。
しばらく脱力して、床にぐったり寝転がる。
すると――
ぽこんぽこ、と、ひよこが元に戻った。空気が入りこんで内側から膨らんだというかそんな感じ。
なんとも規格外な生命力に私は少し笑った。
いや、単純に嬉しかった。
殺したと思った相手が生きていたときの安堵感みたいな気持ち。
殺していない嬉しさ。ひよこをかわいがれるという予期に対する嬉しさ。
けれど逆に抱えきれないほどの不安が押し寄せてくる。
このひよこは私に一度潰されている。だとすれば、いつ死んでもおかしくない。そう遠くない日に死ぬのかもしれない。
もしそうなれば、ひよこの死は結局私の責任だ。
私はひよこが死ぬまでずっと生命に対する咎を負う。
苦しい。
ここでひよこの可愛さと私の苦しさが相互に入れ替わりたちかわり襲う。
不安定な気持ち悪さ。
吐きそうな気持ち。
いっそ、安定してしまいたい。
甘い誘惑。
私はひよこを手にとって眺めすがめつする。ひよこは鳴かない。ひよこは私を見ていない。
内蔵された行動原理にしたがって、ひよこは地面を駆ける。つまり私の指を這い登ってきた。
思わぬ速さ。
驚きのあまり手を離そうとする。しかしひよこは重力をものともせず、私の腕を駆け上る。
腕へ、首筋へ、そして胸元に入る。
私はかわいいひよこだとはいえ、異物がいきなり身体のなかに飛びこんできたことに驚いて、身体をじたばたとさせる。
殺してはいけないという意識はまだ少し残留していた。
けれど、私は胸元をかきむしるという行動を抑えることができなかった。
ひよこは私の身体を内側から破砕した。
6
アリスは泣いていた。
普段は決して見せない涙を上海の身体に降り浴びせていた。
「シャンハーイ……」
上海も泣いていた。
悪夢に対する恐れ、いままで感じたことのない罪悪感、寂しさ、愛情、そういった感情から自然と涙を流す機構が刺激されたのだろう。物理的には組みこんでいた機構であったが、作動したのは今回が初めてである。
上海は憔悴しきった顔でアリスのことを眺めていた。
アリスは上海の細い腕をぐっと抱え込んだ。
上海の身体がわずかに震えていたからだ。
「怖かったでしょう。もう勝手にあんな怖いの飲んじゃだめよ」
上海は応えない。
結局、心に穴をうがつような苦行を敢行したところで、あまり意味はなかったということだろうか。
上海の反応は鉄球を両足につけたかのように重い。
けれど、アリスは諦めない。
わがままで頑固で独りよがりで孤独好きなところは自分にそっくりだから、だからこんなにも歯がゆいのだろう。
「どうして?」
アリスは理由を聞いた。
その言葉はあまりにも不親切で曖昧で無数の意味がありえる。
しかし、上海はアリスの目を見た。
「アリス」一瞬の逡巡、発声。「アリス、ンマイ!」
「え、どういう……」
疑問の言葉が自然と口をついて出そうになるが、すぐにアリスはその意味を了解した。
跳躍だ、とアリスは感じた。
固有名詞と通常繋がりそうもない形容詞が一息に結びつけられている。適当な言語の代補的な位置として【ンマイ】という言語が用いられたに違いない。
それはまぎれもなく上海が言語を獲得したことを意味していた。
とくとく。とくとく。
心臓が早鐘を打つ。驚嘆すべき事柄は何一つなかった。けれど、臨界を越えた瞬間をアリスは決して忘れないだろう。
残る問題は、その意味するところ。
ンマイという言葉が投げかけられたときの状況を思い出す。
魔理沙の笑顔が思い出された。
なんとなくわかった。
わかった気がした。アリスの中にもある生命の記憶が、そう感じさせてくれる。
「私もよ。上海」
アリスは上海と言葉を交わした――
哲学の授業を思い出したわ
とにかく凄かった。
キャラクターではなく、ストーリーで読ませられたのは久々でした。
SFテイスト部分がよく練られていて、一読するだけで
理解できるようになっていたのが素晴らしいです。
それでいて最後はほのぼのと、綺麗な終わり方。
これはいいSFだ。
久しぶりに思い出しました。
知性ってすごいね。
不特定多数に大意を伝えるなら凡庸な言葉を選ぶのが吉
あえて難しい単語を使ってまで伝えたいものが感じられない。まとまりもない。
ただの雰囲気作りにすらなっていない
アリスも大変だ。
人は同じ物をみても、違うようにとらえます。
たとえば、おなじリンゴをみたとき。
おいしそう、あかい、まるい、嫌い、産地はどこだろう、重力を感じる、etc
これは無意識による物
この物語もまた、人によってとらえ方が変わりますがその差が激しいように見えます。
伝えたい言葉をより正確に適切に選んであるのに。
言葉を理解するプロセスの中にも無意識があるんですね。
そんなことを考えてしまう、このお話は、やはり特殊ですよ。
無意識の内にストーリーに魅せられていました。
すごくふしぎ。
キャラにあってて良かった
平易な文章にしてしまっては魅力は半減だろうね
こういう雰囲気も作者が伝えたいことの一つなんだろう
自分的には凄いよかった
そういえばアリスの目標って新生命創造なんだよね。そう考えるとアリスってとんでもない事を目指してるんだな。
物理学より哲学。現象論よりも超理論。現実よりもオカルトだ!
それがSF。まさにSF。それこそがサイエンスフィクション──“科学的な嘘っぱち”。
タグを裏切らぬ見事なSFに御座いました。
「うまい」が「ンマイ」でそれをアリスに対して使ってタイトルが「アリスンマイ」ってそのセンスに脱帽です。
アリスは本当に、良いお母さんになれるよ。いや、目指す、かな。今はまだ。
上海が可愛すぎて死ねる!
理論とかについてはわかるようなわかんないような。
でも、考えてみれば言葉ってすごく難しいですよね。
今の自分もどうやって今使っている言語を身につけたのやら。
東方とSFって、やっぱ相性いいなあ。
古典SF好きな東方厨な私ですが、美味しく読ませていただきました♪
上海はこれからも色々なことを学んでいくのでしょうね。
ほっこりとした気持ちになりました。
ありがとうございました。