~チビこあ~
■レミリアと咲夜の場合■
「咲夜、見てみなさい」
紅魔館のテラスに座る幼き少女は、優雅な仕草で視線をとある場所に向ける。
それにつられ、咲夜と呼ばれたメイドは不思議に思いながらそちらに視線を向ければ、丁度手すりのところに珍しい生き物を目にして「あら」と言葉を零した。
その様子が満足だったのだろう。幼い少女―――レミリア・スカーレットは咲夜のその様子に満足そうにくつくつと笑う。
「カマキリ、ですわね」
「あぁ、まだ季節には早いだろうにねぇ。ほら、獲物を今か今かと待ち構えてるじゃないか。そういうところは、咲夜に似通ったところがあるかもね」
「私のナイフは獲物をはずしませんよ?」
「もちろんさ。その腕を見込んで傍においているし、私にとってもっとも信頼の置けるやつはお前において他はいないよ、咲夜」
「恐縮ですわ。なら、侵入者が来たならカマキリのごとく仕留めませんと」
「おお、怖い怖い」
彼女の言葉に満足そうに肯きながら、レミリアはいつものように紅茶に手を伸ばし。
ふと、そこで奇妙なものを見つけて思わず目を細めたのだった。
「……何してんの、小悪魔」
「小悪魔じゃありません! チビこあです!!」
ふんっと胸を張って答える手乗りサイズのデフォルメ小悪魔。
愛くるしい三頭身といい、くるくるな目といい、まるで何かのマスコットかぬいぐるみのような外見だが、特徴は間違いなくパチュリーの使い魔である小悪魔だった。
まぁ、本人がチビこあだと主張するならそうなんだろう。そんな風にレミリアが興味をなくした瞬間、チビこあはにっこりと微笑んだ。
「ねえ、ご存知ですか? カマキリって、ゴキブリから進化したって言われてるんですよ~」
直後、テラスから涙ながらに身投げしようとする咲夜を、こっちも涙ながら必死に止めるレミリアの姿が見られたという。
■アリスと魔理沙の場合■
「いいよな、クリオネってさ」
「何よ、藪からぼうに」
大きな本を開いてうっとりとした様子で語る魔理沙の言葉に、胡散臭そうなまなざしを向けたのは人形遣いの少女である。
ここは人形遣いの館。館といっても小さな家だが、そこら中に人形が配置され、さながら人形屋敷かそうでなければ呪いの館とでも呼ばれそうだ。
その人形の館の主こそが、この人形遣いの少女、アリス・マーガトロイドである。
彼女達はひとつのテーブルで向かい合うように座りながら、魔法の討論会とは名ばかりの紅茶会の真っ最中だった。
「ほら、見ろよ。幻想郷には海がないからお目にかかれないが、外の世界じゃこんなのがいるんだろ? 外の世界でだってレアモノらしいし、ぜひとも手に入れたいもんだ」
「ふーん。で、本当のところは?」
「だって、可愛いじゃないか。それに綺麗だしさ」
本当に、普段はガサツなくせにどうしてこう微妙なところで乙女になるのか、この魔女っ子は。
困ったことに、その滅多に見られない乙女な魔理沙と同意見なのだから、笑いたくても笑えない。
「ま、確かに綺麗だけどね」と余裕を持った風に装いながら、アリスは小さくため息をついて膝の上に座らせている上海人形の頭を撫でていた。
そんな時である。テーブルを登ってくる小さな人影を見つけたのは。
「こんにちわ!」
「へ? こ、こんにちわ。っていうか、小悪魔?」
何で? といった疑問が頭をめぐる。だって、彼女はパチュリーの使い魔であって、ここにいるはずがないのである。
それが、なぜか人形サイズになってマスコット人形のような姿になっていたのだから、疑問にも思うだろう。
無論、そんな疑問などこのチビこあには知ったことじゃないが。
「ねぇ、ご存知ですか? 流氷の天使クリオネの学名は『ナメクジの形をした海の女神』という意味なんですよ~」
この後、二人は微妙な表情のまま苦々しくお互い肯き、無言のままに本を閉じたのだった。
■慧音と子供達の場合■
「先生ー!! 先生は桃太郎でどのお供が好きー?」
寺小屋の教室に、実に元気のいい声が響き渡った。
慧音がその声に気付いて答案用紙を作る手を休めれば、御伽噺の本を持って桃太郎と犬、サル、雉が描かれているページをあけている子供達がいる。
元気なものだと慧音は苦笑して、かけていた眼鏡をはずすと子供達に向き直った。
「そうだな。お供にはそれぞれいいところがあり、見せ場があり、それぞれの特徴を良く使って桃太郎を助けた。
どのお供も立派なものだが……そうだな、先生はあえて選ぶなら雉かな」
「やった、先生と一緒だった!!」
「あ、ずっりー!! じゃあ、オレも雉がいい!!」
「私も雉に掴まれて飛んでみたいなぁ」
慧音の意見に口々に言葉にしながら、子供達は思い思いの感想を口にする。
その様子を微笑ましく思いながら、慧音は何処か嬉しそうに笑みを零していた。
こうやって子供達の笑顔を眺めていると、教師をやっていて良かったと本当に思う。
何かを学び、覚え、そして様々な感性を持って自分のものとして吸収していく。そのことが、純粋に嬉しいのだ。
「嬉しいですか~?」
「あぁ、そうだな。こうして見ると、本当に嬉し……って、何?」
余り聞きなじまない声と会話していたことに気付いて、慧音は怪訝そうに声のほうに視線を向ける。
その場所は答案用紙を作っていたテーブルの上。そこにいたのは三頭身手乗りサイズのちっちゃな小悪魔、チビこあであった。
「ねぇ、ご存知ですか? 桃太郎でおなじみ雉の筋肉は、ティラノサウルスの筋肉のおよそ十倍の強さなんですよー」
重苦しい沈黙が辺りを支配する。その後、皆がそろって「すげー」と感慨深く言葉にしたのは、たっぷり5分ほどたった頃であった。
■早苗と小傘の場合■
今はもはや役立たずとなったテレビを河童に直してもらうことはや数ヶ月。
ようやく東風谷早苗は待ちに待った趣味を満喫しているところだった。
それすなわち、外の世界でしか楽しめなかったロボットアニメのビデオ鑑賞会である。
「ふふ、本当に久しぶりですねぇ。こちらじゃほとんど見れないですし、今のうちに楽しんでおかないと」
「わ、わ! なんかおっきな水溜りから大きなロボット出てきたよ!!?」
「どうですか、小傘さん。カッコいいでしょう?」
手に汗握って画面に釘付けになっている人物がもう一人。
彼女はからかさお化けの妖怪で、名を多々良小傘といって、ちょっと情けない早苗の知り合いである。
こうやって楽しんでいるところをみていると、誘ってよかったと心のそこから思える。
そこでふと、視界の隅に写った小傘のお化け傘に視線を向ければ、口の中から何かが這い出てくるところだった。
「よいっしょっとぉ」
「ほわっ!!?」
いきなり頭上から聞こえた声に、小傘が驚いて視線を上に向ける。
その位置から見えないだろうに、必死に探し回っている彼女を視界に納めて、早苗は苦笑しながら「傘の舌のところですよ」と助言をひとつ。
その助言に従って傘を少しずらして見ると、お化け傘の舌の先にちょこんとしがみつくチビこあの姿があった。
「ねえ、ご存知ですか? マジ○ガーZが発進する場所は、汚水処理場なんですよー」
「え、余裕で知ってますけど?」
……チビこあしょんぼり( ´・ω・)
■幽々子と妖忌の場合■
「よいですか、幽々子様。淑女たるもの、どんな時でも気品を忘れてはなりませぬ」
「もう、妖忌は口うるさいわねぇ。いわれなくてもわかっているのに」
和室の中で老人―――半人半霊の魂魄妖忌と、少女―――亡霊の西行寺幽々子が向かい合って正座している。
方や厳格そうな老人であり、方やほわほわとした印象の少女。
はたから見れば祖父とその孫ぐらいにまで年の離れている二人だが、方や従者で方や主人という間柄だ。
教え、作法。その他様々な令嬢としてのあり方を説く老人の言葉にも、少女は聞く耳持たずでただ柳のように受け流す。
「よいですか。せめて人前で屁などなされぬようにしてくだされよ」
「まぁ、女性に言うセリフではないわね。デリカシーが足りないんじゃない?」
「デリカシーです。デリカシー不足です!!」
ふと、会話にまったく知らない誰かの言葉が聞こえて思わず二人は怪訝そうに眉をひそめた。
声のしたほうをそろって振り向けば、三頭身の手乗りサイズの誰かさんが湯飲みを持ってずずーと飲み―――頭から引っかぶった挙句に湯飲みに閉じ込められた。
「こぁー! こぁー!!?」
がたがたと必死にもがいているのか、逆さまになった湯飲みが酷く暴れているが特に進展なし。
その様子が可笑しかったのか、幽々子はクスクスと苦笑して湯飲みを持ち上げ、びしょぬれになったチビこあを抱きかかえた。
係りつけの幽霊に指示を出し、速やかにタオルを持ってこさせると、ずぶぬれになったちっちゃな客人をふきふきする。
こぁー……とご満悦な表情を浮かべたチビこあは、ニコニコ笑顔で口を開く。
「ご存知ですか? 屁を我慢していると、そのうち尿となって排出されちゃうんですよー」
その直後、ドンッという爆発音と異臭を放ちながら、正座のまま魂魄妖忌は屁で月へと旅立った。
「と、いうのが妖忌との最後の思い出だったわ、妖夢」
「そんな話聞きたくなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
■霊夢と紫の場合■
「まったく、あんたはふらっと現れては意味のわかんないことするわね」
「ふふ、博麗の巫女が空腹で死亡したなんて笑い話にもならないでしょ? 素直に食べておきなさい」
クスクスと苦笑しながら、妖怪の賢者は何処か楽しそうに食事をテーブルに並べた。
紫の突拍子もない行動はいつものことだし、最近生活に余り余裕がなかった霊夢にとってはありがたい話なのだが、紫が相手だと素直に喜べない。
そんな何処か不機嫌そうな様子の彼女にも、紫は優しく笑うのみ。
サンドイッチとハンバーグに、体の温まるスープにサラダとバランスよくそろえられた料理は確かに美味しそうで、きゅるきゅるとなるお腹までは誤魔化せなかった。
「あらあら、大きな虫ですこと」
「うっさい。余計なお世話よ」
「こうしていると、おしどり夫婦みたいじゃない? 私達」
「寝言は寝てから言いなさいよ、馬鹿妖怪」
フンッとそっぽを向いてやっても、紫はただただ笑うだけ。
顔が赤くなっているのが誤魔化せなくて、それが恥ずかしくて、余計に顔が赤くなって。
嬉しい。嬉しくない。でもやっぱり、嬉しい。いやいや、嬉しいなんてあるはずがない。
ええい、しっかりしろ私の脳みそ!! とぐるぐる同じことを考える頭を叱咤しながら、半ば誤魔化すようにサンドイッチを鷲づかみにした。
「こあ~」
「へ?」
突然聞こえてきた声に、霊夢は目を丸くする。
ふと紫に視線を向けて見れば、彼女も驚いたように目を丸くしている。
恐る恐るといった様子で、声のしたほうに視線を向ければ、サンドイッチの中から手乗りサイズの小悪魔が這い出てくるところだった。
「ねぇ、ご存―――」
ガブッ!
こあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?
■終■
■レミリアと咲夜の場合■
「咲夜、見てみなさい」
紅魔館のテラスに座る幼き少女は、優雅な仕草で視線をとある場所に向ける。
それにつられ、咲夜と呼ばれたメイドは不思議に思いながらそちらに視線を向ければ、丁度手すりのところに珍しい生き物を目にして「あら」と言葉を零した。
その様子が満足だったのだろう。幼い少女―――レミリア・スカーレットは咲夜のその様子に満足そうにくつくつと笑う。
「カマキリ、ですわね」
「あぁ、まだ季節には早いだろうにねぇ。ほら、獲物を今か今かと待ち構えてるじゃないか。そういうところは、咲夜に似通ったところがあるかもね」
「私のナイフは獲物をはずしませんよ?」
「もちろんさ。その腕を見込んで傍においているし、私にとってもっとも信頼の置けるやつはお前において他はいないよ、咲夜」
「恐縮ですわ。なら、侵入者が来たならカマキリのごとく仕留めませんと」
「おお、怖い怖い」
彼女の言葉に満足そうに肯きながら、レミリアはいつものように紅茶に手を伸ばし。
ふと、そこで奇妙なものを見つけて思わず目を細めたのだった。
「……何してんの、小悪魔」
「小悪魔じゃありません! チビこあです!!」
ふんっと胸を張って答える手乗りサイズのデフォルメ小悪魔。
愛くるしい三頭身といい、くるくるな目といい、まるで何かのマスコットかぬいぐるみのような外見だが、特徴は間違いなくパチュリーの使い魔である小悪魔だった。
まぁ、本人がチビこあだと主張するならそうなんだろう。そんな風にレミリアが興味をなくした瞬間、チビこあはにっこりと微笑んだ。
「ねえ、ご存知ですか? カマキリって、ゴキブリから進化したって言われてるんですよ~」
直後、テラスから涙ながらに身投げしようとする咲夜を、こっちも涙ながら必死に止めるレミリアの姿が見られたという。
■アリスと魔理沙の場合■
「いいよな、クリオネってさ」
「何よ、藪からぼうに」
大きな本を開いてうっとりとした様子で語る魔理沙の言葉に、胡散臭そうなまなざしを向けたのは人形遣いの少女である。
ここは人形遣いの館。館といっても小さな家だが、そこら中に人形が配置され、さながら人形屋敷かそうでなければ呪いの館とでも呼ばれそうだ。
その人形の館の主こそが、この人形遣いの少女、アリス・マーガトロイドである。
彼女達はひとつのテーブルで向かい合うように座りながら、魔法の討論会とは名ばかりの紅茶会の真っ最中だった。
「ほら、見ろよ。幻想郷には海がないからお目にかかれないが、外の世界じゃこんなのがいるんだろ? 外の世界でだってレアモノらしいし、ぜひとも手に入れたいもんだ」
「ふーん。で、本当のところは?」
「だって、可愛いじゃないか。それに綺麗だしさ」
本当に、普段はガサツなくせにどうしてこう微妙なところで乙女になるのか、この魔女っ子は。
困ったことに、その滅多に見られない乙女な魔理沙と同意見なのだから、笑いたくても笑えない。
「ま、確かに綺麗だけどね」と余裕を持った風に装いながら、アリスは小さくため息をついて膝の上に座らせている上海人形の頭を撫でていた。
そんな時である。テーブルを登ってくる小さな人影を見つけたのは。
「こんにちわ!」
「へ? こ、こんにちわ。っていうか、小悪魔?」
何で? といった疑問が頭をめぐる。だって、彼女はパチュリーの使い魔であって、ここにいるはずがないのである。
それが、なぜか人形サイズになってマスコット人形のような姿になっていたのだから、疑問にも思うだろう。
無論、そんな疑問などこのチビこあには知ったことじゃないが。
「ねぇ、ご存知ですか? 流氷の天使クリオネの学名は『ナメクジの形をした海の女神』という意味なんですよ~」
この後、二人は微妙な表情のまま苦々しくお互い肯き、無言のままに本を閉じたのだった。
■慧音と子供達の場合■
「先生ー!! 先生は桃太郎でどのお供が好きー?」
寺小屋の教室に、実に元気のいい声が響き渡った。
慧音がその声に気付いて答案用紙を作る手を休めれば、御伽噺の本を持って桃太郎と犬、サル、雉が描かれているページをあけている子供達がいる。
元気なものだと慧音は苦笑して、かけていた眼鏡をはずすと子供達に向き直った。
「そうだな。お供にはそれぞれいいところがあり、見せ場があり、それぞれの特徴を良く使って桃太郎を助けた。
どのお供も立派なものだが……そうだな、先生はあえて選ぶなら雉かな」
「やった、先生と一緒だった!!」
「あ、ずっりー!! じゃあ、オレも雉がいい!!」
「私も雉に掴まれて飛んでみたいなぁ」
慧音の意見に口々に言葉にしながら、子供達は思い思いの感想を口にする。
その様子を微笑ましく思いながら、慧音は何処か嬉しそうに笑みを零していた。
こうやって子供達の笑顔を眺めていると、教師をやっていて良かったと本当に思う。
何かを学び、覚え、そして様々な感性を持って自分のものとして吸収していく。そのことが、純粋に嬉しいのだ。
「嬉しいですか~?」
「あぁ、そうだな。こうして見ると、本当に嬉し……って、何?」
余り聞きなじまない声と会話していたことに気付いて、慧音は怪訝そうに声のほうに視線を向ける。
その場所は答案用紙を作っていたテーブルの上。そこにいたのは三頭身手乗りサイズのちっちゃな小悪魔、チビこあであった。
「ねぇ、ご存知ですか? 桃太郎でおなじみ雉の筋肉は、ティラノサウルスの筋肉のおよそ十倍の強さなんですよー」
重苦しい沈黙が辺りを支配する。その後、皆がそろって「すげー」と感慨深く言葉にしたのは、たっぷり5分ほどたった頃であった。
■早苗と小傘の場合■
今はもはや役立たずとなったテレビを河童に直してもらうことはや数ヶ月。
ようやく東風谷早苗は待ちに待った趣味を満喫しているところだった。
それすなわち、外の世界でしか楽しめなかったロボットアニメのビデオ鑑賞会である。
「ふふ、本当に久しぶりですねぇ。こちらじゃほとんど見れないですし、今のうちに楽しんでおかないと」
「わ、わ! なんかおっきな水溜りから大きなロボット出てきたよ!!?」
「どうですか、小傘さん。カッコいいでしょう?」
手に汗握って画面に釘付けになっている人物がもう一人。
彼女はからかさお化けの妖怪で、名を多々良小傘といって、ちょっと情けない早苗の知り合いである。
こうやって楽しんでいるところをみていると、誘ってよかったと心のそこから思える。
そこでふと、視界の隅に写った小傘のお化け傘に視線を向ければ、口の中から何かが這い出てくるところだった。
「よいっしょっとぉ」
「ほわっ!!?」
いきなり頭上から聞こえた声に、小傘が驚いて視線を上に向ける。
その位置から見えないだろうに、必死に探し回っている彼女を視界に納めて、早苗は苦笑しながら「傘の舌のところですよ」と助言をひとつ。
その助言に従って傘を少しずらして見ると、お化け傘の舌の先にちょこんとしがみつくチビこあの姿があった。
「ねえ、ご存知ですか? マジ○ガーZが発進する場所は、汚水処理場なんですよー」
「え、余裕で知ってますけど?」
……チビこあしょんぼり( ´・ω・)
■幽々子と妖忌の場合■
「よいですか、幽々子様。淑女たるもの、どんな時でも気品を忘れてはなりませぬ」
「もう、妖忌は口うるさいわねぇ。いわれなくてもわかっているのに」
和室の中で老人―――半人半霊の魂魄妖忌と、少女―――亡霊の西行寺幽々子が向かい合って正座している。
方や厳格そうな老人であり、方やほわほわとした印象の少女。
はたから見れば祖父とその孫ぐらいにまで年の離れている二人だが、方や従者で方や主人という間柄だ。
教え、作法。その他様々な令嬢としてのあり方を説く老人の言葉にも、少女は聞く耳持たずでただ柳のように受け流す。
「よいですか。せめて人前で屁などなされぬようにしてくだされよ」
「まぁ、女性に言うセリフではないわね。デリカシーが足りないんじゃない?」
「デリカシーです。デリカシー不足です!!」
ふと、会話にまったく知らない誰かの言葉が聞こえて思わず二人は怪訝そうに眉をひそめた。
声のしたほうをそろって振り向けば、三頭身の手乗りサイズの誰かさんが湯飲みを持ってずずーと飲み―――頭から引っかぶった挙句に湯飲みに閉じ込められた。
「こぁー! こぁー!!?」
がたがたと必死にもがいているのか、逆さまになった湯飲みが酷く暴れているが特に進展なし。
その様子が可笑しかったのか、幽々子はクスクスと苦笑して湯飲みを持ち上げ、びしょぬれになったチビこあを抱きかかえた。
係りつけの幽霊に指示を出し、速やかにタオルを持ってこさせると、ずぶぬれになったちっちゃな客人をふきふきする。
こぁー……とご満悦な表情を浮かべたチビこあは、ニコニコ笑顔で口を開く。
「ご存知ですか? 屁を我慢していると、そのうち尿となって排出されちゃうんですよー」
その直後、ドンッという爆発音と異臭を放ちながら、正座のまま魂魄妖忌は屁で月へと旅立った。
「と、いうのが妖忌との最後の思い出だったわ、妖夢」
「そんな話聞きたくなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
■霊夢と紫の場合■
「まったく、あんたはふらっと現れては意味のわかんないことするわね」
「ふふ、博麗の巫女が空腹で死亡したなんて笑い話にもならないでしょ? 素直に食べておきなさい」
クスクスと苦笑しながら、妖怪の賢者は何処か楽しそうに食事をテーブルに並べた。
紫の突拍子もない行動はいつものことだし、最近生活に余り余裕がなかった霊夢にとってはありがたい話なのだが、紫が相手だと素直に喜べない。
そんな何処か不機嫌そうな様子の彼女にも、紫は優しく笑うのみ。
サンドイッチとハンバーグに、体の温まるスープにサラダとバランスよくそろえられた料理は確かに美味しそうで、きゅるきゅるとなるお腹までは誤魔化せなかった。
「あらあら、大きな虫ですこと」
「うっさい。余計なお世話よ」
「こうしていると、おしどり夫婦みたいじゃない? 私達」
「寝言は寝てから言いなさいよ、馬鹿妖怪」
フンッとそっぽを向いてやっても、紫はただただ笑うだけ。
顔が赤くなっているのが誤魔化せなくて、それが恥ずかしくて、余計に顔が赤くなって。
嬉しい。嬉しくない。でもやっぱり、嬉しい。いやいや、嬉しいなんてあるはずがない。
ええい、しっかりしろ私の脳みそ!! とぐるぐる同じことを考える頭を叱咤しながら、半ば誤魔化すようにサンドイッチを鷲づかみにした。
「こあ~」
「へ?」
突然聞こえてきた声に、霊夢は目を丸くする。
ふと紫に視線を向けて見れば、彼女も驚いたように目を丸くしている。
恐る恐るといった様子で、声のしたほうに視線を向ければ、サンドイッチの中から手乗りサイズの小悪魔が這い出てくるところだった。
「ねぇ、ご存―――」
ガブッ!
こあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?
■終■
素敵w
なんか見覚えのあるスタイルだと思ったら、『まめ○ば』ですねw
あと、クリオネは食事方法、桃太郎は原典版を調べてると、さらに『………』ってなりますよ( ´・ω・)
霊夢と早苗さんは流石だな。
この発想はなかった
幽々子と妖忌の場合の会話や、霊夢がサンドイッチを食べてチビこあの絶叫とかに笑いました。
(この作品とその作者以外に対するコメにもなっちゃっててすまん)
>こんにちわ
こんにちは
クリオネの外見には騙されて、色々後にショックを受けたのでマリアリの気持ちがわかります。
桃太郎は原典だと桃食べて若返ったお爺さん、お婆さんがつくった子供なんだって。
霊夢鬼畜過ぎる
気まずくなったあと次の話をどう振るか、まで考えてると更に笑えるな。
で、そんあ発端になったチビこあちゃんはお茶ふきふきだけで済んだのかな?かな?
「こんにちわ」はなんか幼い(or抜けてるor舌足らずなorバカな)感じが可愛いから場合によってはアリじゃね?場合によってはだけど。
サンドイッチの中から小さくて黒いアレが這い出てきた……俺の……トラウマが……忘れてたのに……
さすが霊夢強いww
≫26
45の方も触れていますが、「こんにちわ」はわざとそう表記してる場合も多いので、指摘はTPOに合わせた方がいいでしょうね
白々燈氏が意図されているかは分かりませんが…
このチビこあは、こぁの髪の毛を土に植えて…(ry なのかな?
すると、101匹こぁ~とか…
「「「「「こぁ~こぁっこぁっこぁっこぁっこぁっこぁっこぁ」」」」」
かわいいが五月蝿そうだ^^;
「ご存知ですか? おしどりは毎年相手が違うんですよー」
なのでしょうか^^;
どんどんショボーンになっていくチビこあが可愛かったv
慧音「『てぃらのさうるす』?何だそれは?」
……チビこあしょんぼり( ´・ω・)