どうして我々はこんなに陳腐な話題に興じているのだろう、と不思議に思いながら、クッキーをかじる。
不思議に思っているせいか不思議な味のクッキーだった……というのは気のせいか。
「魔理沙は、面白い方なんじゃないかしら。一緒にいて気が休まる暇がない、という意味では」
「レミィは、まぁ面白いのでしょうね。面白くなかったら親友なんてやっていないのだろうし」
「あのメイドは」
「咲夜は面白いわよ? 野草を煎じたお茶を主はおろかその友人にまで飲ませようとするだなんて、つまらない人間には思いつかないはずだもの」
「巫女は、面白いのでしょうね」
「じゃなきゃ誰も異変なんて起こさないでしょう。つまらないやつに退治されるなんて冗談じゃないもの」
ティーカップ片手に、世の中を『面白いやつ』と『つまらないやつ』に、好き勝手に仕分けする。
読書の息抜きがてら、くだらない二元論に花を咲かす私たちだったが、共通の知り合いなんてそう多くないことに気づくと、妙な空気になった。
他人のことは勝手放題に断じておいて、自分たちのことは知らんぷり。そんな横暴はないだろう、という道理が私たちを責めるのだ。
「パチュリーは」
こういうことは早めに済ませてしまうに限る、と先手を打ったのは私。
果たして先にこちらの所感を伝えてしまうことが先手にあたるのだろうか、という疑問が胸をよぎったけれども黙殺する。
「面白い、と思うわ。理由はわからないけど」
話していてそれほど不快ではない、ということは少なくとも、パチュリーはつまらないやつではないのだろう。
論拠を率直に伝えるのはなぜだか気恥ずかしかったので、はぐらかした。
「そう、ありがとう」
「お礼を言われるようなことではないと思うけど」
「そうね」
かちゃ、とティーカップがソーサーを踏んだっきり、沈黙が図書館に蓋をした。
居心地の悪さをかき消すようにクッキーへ手を伸ばして、紅茶を口に運ぶ。それを二人して三セットほど繰り返したところで、ためらいまじりの声が重なった。
「アリスは」
「私は」
どうかな? と訊くのをやめにして、私は彼女の言葉を持った。
いつもどおりに何一つ動くところがなく、色素の薄いパチュリーの頬と唇。それはつまり、彼女がこれからまったくの本心を伝えてくれることを意味していて。
私は前髪をくりくりと揉んで、あさってな方向を向き、べつにあなたに面白いと思われていようがそうでなかろうが気にしない、という意思をアピールし――。
「正直、つまらないと思う」
ごくごくごくごくごくごっくごくごくごくと紅茶を一気飲みした。
お代わりをもらってごくごくごくごっくごくごくとまた一気飲み、何の味もしなかった、ついでに舌をヤケドした。
何やってんだろ私、こんなに喉、渇いてたっけ。
「あなたって、あまり笑わないし」
それはあなたもでしょう、と突っこむ代わりに大量のクッキーをほおばり、頬をリスのように膨らませてもしゃもしゃと咀嚼した。
「冗談を言わないじゃない、理路整然と必要なことだけを話してる感じ。長々と話していると、論文を読み聞かされているみたいな気分になる」
「ひょれは」
ごくんと一息に飲みこむ。
余分を嫌い、論理を重んじる魔法使いなら当たり前のことなのでは、と反論したかったけれども、まだ続きがあるようだった。
「客観的に見て、なおかつどちらかといえば、なのだけど」
フォロー、なのだろうか。
「パチュリーは、私と一緒にいて、何か……不快なの?」
「そんなことないけど? ただ、言ったでしょう、あくまで客観的に見ればの話よ。つまり、千人いてその大多数がどう判断するのか、ということ」
世間一般にとっての私はつまらないそうだけれど、ならばあなたにとっての私はどうなの?
そう訊ねるのは女々しすぎるようで、こんなくだらないテーマに私が固執していることをわざわざ知らしめるようで気が引けたから、
「はぁ、無益な話題だったわね」
なんて、なんでもない風を装う。私は気持ちを切りかえようとして本棚へ行き、適当な本を手にとった。
それはおそらく心ここにあらず、だったからなのだろうが、
「あ」
絨毯に本を落としてしまった。拾おうとしてしゃがみこむ、手をのばす、と本の端に指が触れたとき、
ピコーン!
頭上で電球が光ったような錯覚を覚えた。
本棚の影に隠れて「くふっ、くふふっ……!」と笑いを押し殺す。奇跡的あるいは悪魔的ともいえるようなフレーズを私を閃いたのだ。
「ねえ、パチュリー」
「なに? それぐらいの粗相で怒ったりしないわ」
「そうじゃなくて、このベルベットで、真紅の絨毯。まるで赤い海みたいだと思わない?」
「急に、詩的なことを言うのね」
「そこに本が落ちているのよ」
「……何が言いたいの?」
怪訝そうに眉をひそめるパチュリーに私は半笑いで言ってやった。
とびっきりのジョーク、研ぎたてのナイフみたいな切れ味の、ジョーク。
「本が溺れているわ、ぶっくぶっく」
「…………」
あ、あれ……。
おでこをおさえて机をばんばん叩きながら爆笑してくれると思ってたのにこの反応はどうしたことだろう、陸で干からびたオタマジャクシを見るようなジト目は。
そうかそうかタイムラグか、と私は思い至った。考えてみればこのジョークは少々頭を使わなければ面白みがわからない仕組みになっている。
だけれども鋭敏なパチュリーなことだ、あと五秒いや三秒もすれば理解して大爆笑してくれるはず。
三秒経った、五秒経って気づけば三十秒、そして一分をすぎたが一向に爆笑どころか含み笑いすらも聞こえてこない、おっかしいなあ。
「その本、拾ってくれる? 汚れるといけないから」
「え、あ、うん……」
まさかとは思うがひょっとして今のがジョークとして伝わらなかったのだろうか。
解説が必要なジョークなんてジョークとしては欠陥品だろう、しかし万が一にでも伝わっていなかったとしたら私の発言はただの電波的なものとして解釈されていることになる、それはあんまりだ、それだけは避けたい。
拾った本をぎゅっと抱きしめると、カビの嫌な臭いが鼻についた。
「あ、あのね。今の言葉……、本の『ブック』と『ぶっくぶっく』っていう溺れてる声を、かけてたつもりなんだけど」
「わかってるけど」
「あ、そう、そうなんだ……」
ならどうしてパチュリーは笑ってくれないのだろう、謎だ不思議だ不可思議だミステリだ。
ヒュウウ、ふいに空気が動いた。
これは――冷気?
わからない、まるで意味がわからない。
「今日は、妙に冷えるわね、空調の調子が悪いのかしら」
「さぁ……」
「これじゃ紅茶が凍っちゃう」
「…………」
ヒュウウ、また……。
私は眉間に指をあてて目をきつく閉じた。ひどい……ひどい頭痛がする。
「今日は、もう帰るわ」
「そう、楽しかったわ。良かったらまたいらっしゃい」
いつものように本から目を離さぬままそう言うパチュリーはまったくもっていつも通りで、それがまた私を深く絶望させた。
ちらっと。去り際に一度だけ振り返った。
もしかして私の前で爆笑して痴態をさらすのを嫌ったのでは? という一縷の望みは、いつも通りにもくもくと本を読むパチュリーの姿によって叩き潰されたのである。
――
こんな大事件があったのですが、私ってつまらない子なのでしょうか、お母さん教えて下さい。
という内容の手紙を送り、待ち望んでいたお返事が届いたのがついさっきのことだ。
『前略 アリスちゃんへ。
そんなことはありません、お母さんは知っています、アリスちゃんはとってもかわいくって優しくって、そして面白い女の子だってこと。
ふとんがふっとんだ、というアリスちゃんの天才的な駄洒落で肋骨を折ってしまったお母さんですから、そのことは誰よりもよくわかっています。
おかあさん大丈夫!? 駄洒落を言ったのはだれじゃー! という容赦ない追撃で背骨まで折ってしまったのも今となっては良い思い出です。
そういえばあのあと、アリスちゃんは寝こんでしまった私のお世話を甲斐甲斐しくも買って出てくれて――』
幼き日の私とお母さんのエピソードがこのあとA4版用紙三十枚に渡って書き綴られていたので、懐かしみながら私は一文字一文字噛みしめるように読んだ。
『――アリスちゃん、笑いのツボというものは人それぞれです。
アリスちゃんの笑いのセンスが神にも通じる稀有のものであることはこのお母さんが証明済みですが、それでも万に一つ、奇跡的な確率をクリアした間違いが生じることもあるのです。
ですから、たった一回そのお友達のツボを外してしまったぐらいで落ちこむことはありません。
何度でも挑戦すればいいのです。
ここに魔界神特製のジョーク集と、アリスちゃんが好きな魔界オクトパスの缶詰を同封しておきました。
これが何かの助けになれば幸いです。
パンデモニウムからアリスちゃんのご健勝とご健闘のほどをお祈りしています。
かしこ。
P.S たまに帰ってきてくれるとお母さんは泣いて喜びます』
ぱらりと同封の冊子をめくった私は全身を稲妻に打たれてベッドの上をのたうち回った、枕に顔をうずめて小一時間ぶるぶると震えた。
仏はほっとけー、ですって。
どうやったらこんなに革命的なジョークを思いつくのだろう、やっぱりお母さんは私のお母さんだった……!
「見ててねお母さん、絶対にやり遂げてみせるから……!」
私はびっちびっちと活きの良い魔界オクトパスの足をかじりながら、握りしめた拳を高く高く突き上げた。
――
「なんだ、また来てるのか。パチェなら図書館だぞ」
相も変わらず偉そうな声を背中に聞いたとき、この子でもいいか、と思った。
私が欲しいのは私のユーモアのセンスに関わる証明だ。
だから私のジョークで笑ってくれるのなら誰でも良かったし、どちらかといえばパチュリーよりもこの子の方が常日頃からよく笑っている印象がある。
だけど焦るなよ私、と自分を戒めつつ振りかえった。
「そう、それはそれはご当主様自らご丁寧にありがとう」
「あまり感謝しているようには聞こえないな」
「社交辞令だもの、彼女が図書館にいることぐらい教えてもらわなくてもわかるわ」
「それはそうだが、大して親しくもないお前にわざわざ声をかけてやった私の労に感涙するぐらいのことはしてくれてもいいだろう」
「それは社交辞令のうちに含まれないの」
「ったく、相も変わらず、つまらないやつだ」
ちくん、と疼く胸をかばうように、私はグリモワールを抱きしめた。中にはお母さん特製のジョーク集が挟んである。
アリス行きます! お母さん力を貸して!
「ねぇ、突然だけどとっておきのジョークが――」
言いかけた口が凍りついた。半歩、後ずさりする。
彼女の違和感はいったい何だ、どうしたことだ。
これは、あまりにも強烈なカウンター――その正体を理解したとたん、私の身体に異変が起こった。
「あ、あなた、ぷすっ、今日は、珍しく、一人なのねっ、ぷすすぅ」
「……? 咲夜なら風邪で寝こんでいる。大変だよ、まったく。咲夜以外のメイドはまるで使い物にならないからな、着替えも食事も全部私一人でやってるんだ」
「そう……、だからっぷす」
だからナイトキャップ着けっぱなしなんだ。かわいいナイトキャップ――ピンク色のとんがり帽子の先に白いボンボンがついている。
「一つ訊くけど……今日のおやつは何だったのかしら」
「シュークリームだが? 言っておくがもうないぞ、全部私が食べちゃったからな」
「そう……、だからっぷす」
だからホッペタに生クリームがついてるんだ。涼しげなお顔にくっついた乳白色の粗相が私の丹田を刺激してやまない。
「なんだかさっきから様子がおかしいな……、もしや今更怯えているのか? まぁ無理もないか、弱者が強者を恐れるのは生き残るための摂理ってものだ」
私が恐れているのはあんたじゃなくて、あんたがちょっとでも動くたびに揺れる白いボンボンだ。
「だが怖がることはないぞ、パチェの知り合いは私のペットみたいなものだ、いくら妖怪だからってペットを取って食うほど飢えちゃいない。それにこう見えても食事にはうるさいんだ、お前みたいな痩せっぽちには食指が動かない」
いいからホッペタのそれを取って食えと。
「もっともお前の態度次第ではその限りじゃないがな、お行儀には気を使ったほうが良いぞ、ん? クックク、ククク……」
「お行儀、お行儀ね……」
ツッコみてえ。
手首にスナップをきかせてツッコみてえ……。だけれども目的を果たさなければ、と私はお腹をつねって衝動を殺した。
「ね、ねえ、とっておきの冗談があるんだけど」
「お前が冗談を? それは興味深い」
「こっ、こここコンニャクを今夜食――」
「んー?」
「ぐぅ……っ!」
「おい、どうした、そんな怖い顔で冗談を言われてもちっとも面白くないぞ。もしかしてそれが前フリなのか」
だからボンボンをフリフリさせんなっつってんだろ……!
……落ち着け私、笑ったら負けだ、私は笑いに来たのではない、笑わせに来たのだ!
ペースを、まずはペースを握らなくては……!
「シュークリーム、と言ったかしら」
「それが?」
「ずいぶん、お子様みたいな菓子がお好みなのね。人の上に立つ者がそんなにチープなお菓子でご満悦って、それで人がついてくるの? もう少し『格』ってものを考えてみてはいかが?」
挑発によって険悪な空気を作り、そこへ強烈なジョークをさりげなく――。
「――なっ! 貴様ァ許さんぞ! 私のことなら何と言おうがグーパン一発で済ませてやるがシュークリームを悪く言うことだけは許さんッ! 貴様っ、貴様もういっぺん言ってみろ……首筋と耳たぶを甘噛みしてやる! 私のよだれでベトベトになるまでだッ!」
「(ギブアップ)」
こうなってはもう冗談を言うどころではなかったから、私はできるだけ彼女を傷つけないように、さも今気づいたという風を装って指摘してあげた。
「頭と、ホッペタ……?」
きょとん、と目を丸くしたレミリアは右手でナイトキャップをとって、左手で頬を拭う。
なんだろコレ、と両手を見つめる。
えっ? と始球式のボールをスタンドまで運ばれてしまったソフトボール少女のような声を聞いた。
ややあって締めつけられる私の襟元。
「言うなよ! 絶対に誰にも言うなよ……ッ!」
息苦しさよりも何よりもその涙目と桜色なホッペタの追撃をなんとかして欲しかった。
「ぐすっ、くふっ、くふふぅ! ぐすっ……くふっ、くふふふ!」
かくして私は任務失敗の切なさと思い出し笑いでひどい顔になりながら撤退したのである。
――
あの吸血鬼の天然っぷりに勝てる気がしません、私はどうすればいいのでしょう、お母さん教えて下さい。
速達で送った手紙のお返事が速達で届いたのがついさっきのことだ。
『前略 アリスちゃんへ。
それは不幸な事故だったというほかありませんね、アリスちゃんの苦労を思うとお母さんはご飯も喉を……ごめんなさい、お母さんウソつきかけました、山盛り三杯おかわりしました。
ところでアリスちゃんはしっかり食べてますか?
ダメですよ、魔法使いだからって食事をおろそかにしていてはお肌の健康に良くない――』
このあとA4版用紙五十枚に渡って私のことを心配してくれる言葉がひたむきに綴られていたので、お母さんったら心配性だなあ、とくすぐったく思いつつ三回読んだ。
『――アリスちゃん、まずは相手を分析することから始めましょう。
おそらくアリスちゃんはそのお友達の居丈高な振る舞いと、お茶目なミステイクのギャップにやられてしまったのだと思います。
ならばこちらも同様の手段をとって、なおかつその上をいってみてはどうでしょうか。
おしとやかで礼儀正しいはずのアリスちゃんが、うっかりお着替えを忘れてパジャマ姿でお外を歩き回ってしまう、なんてシナリオはどうですか。
お母さんはその姿を想像しただけでお腹の筋肉と全身の血液がどうにかなってしまいそうです。
というわけでアリスちゃんが昔お気に入りだったクマさん柄のパジャマを送ります。
ついでにアリスちゃんの好きな魔界ショートケーキも同封しておきます、これを食べてがんばってください。
かしこ。
P.S クマさんパジャマ姿のアリスちゃんの写真を送ってもらえるとお母さん、とても嬉しいです』
手紙を読み終えた私はお母さんのあまりの頭のキレっぷりに息をするのも忘れていた。
芸をパクってなおかつその上を行けだなんて、まさに神様の悪魔的思考回路だといわざるを得ない。
「ありがとうお母さん、私、負けないから……!」
びっちびっちと跳ね回る魔界ショートケーキにフォークを突き刺して、私はビッ、ビッ! とパジャマに袖を通した。
――
ところがどっこい。
「こんなとこをうろうろしてちゃ危ないじゃない」
門番の詰所に連行された私は、椅子に座らされ肩をつかまれ真っすぐに見すえられ、大真面目に心配されてしまう。
「お嬢ちゃん、どこの子? いくつ? 一人なの? お父さんとかお母さんは?」
職務質問まで受けてしまう。
ギャップがポイント、とお母さんが言ったからクール&ビューティを気取りつつ「ごきげんよう」と門番に話しかけた結果がこれだ。
なぜ、どうしてこうなるんだろう。
「良いお日和ね」
「ずいぶんおしゃまな子なのね、それとも夢遊病?」
「毎日毎日門の前に突っ立って精が出るわね、飽きないの?」
「だめだよ、お嬢ちゃん。目上の人と話すときは『です』と『ます』をつけないと」
こいつ、本気で言ってるのだろうか……。
「何かひどい誤解があるようだけれど、この顔を見忘れたのかしら?」
「ハイハイかわいいかわいい。飴ちゃんあるけど食べる? 飴ちゃ――アリ、ス」
じっと。私の頭から足元へなめ回すように見つめる美鈴。
ちょっとタイミングを外された感はあるけれども、このあとには爆笑もしくは堪え笑いが待っているはずだと私は信じた。
私のお茶目なミステイクに震え、「やだもうアリスってばー」と背中を叩いてくる彼女を夢想した。
なのにどうした? 笑え、笑えよ美鈴。
「そういう日ってあるよね……」
「……何のこと」
「恥ずかしがらなくていいの、誰にでも間違いはあるものだし、アリスはちょっと寝ぼけてただけなんだよね」
「あなたが何を言ってるのかわからない」
「安心して、誰にも言わないから」
「だから、誰に何を言うっていうの?」
シラをきる。
「ひょっとして気づいてないの?」
と美鈴はスタンドミラーを私の前に持ってきた。ピンク色の生地の上で笑う懐かしのクマさんがどこか悲しげだ。
耳が熱い。
わかってやってても、こうもまじまじと見せつけられてしまっては自分のお馬鹿さんぶりを思い知らされる。
でも、こんな私ってけっこう面白いでしょう? お願いだから私の捨て身に値するだけの反応を見せて欲しい。
だけれども願いは届かず……、ぽんぽん、と私の背中をなれなれしく叩く美鈴。
「最初に見つけたのが私でよかった、お嬢様や妹様に見つかってたら今頃はとんでもない笑い者だったでしょう」
心の底からほっとしているような微笑。私のピンチを未然に救ったことによる純粋な安堵がそこにはある。
ヒーロー、まるでヒーロー。
(じゃねえだろ……!)
そうじゃなくって、笑いとばして欲しいのに、笑い者にして欲しい私なのにッ!
こうもガチで同情されてしまっては身の置きどころがないじゃないか……!
やりきれない私は鏡からも美鈴からも目をそらして俯く。
そんな、深刻げな反応をしてしまったのがいけなかったのだろう。思いっきり間違った方向に解釈したらしい美鈴は慌てて明るい声を出す。
「でも大丈夫、今すぐ忘れてあげるから、参、二、壱、ほら忘れたっ! さ、今日は飲もう、飲んであなたも忘れましょ! ね!」
「うん、そうね、そうする……しくしく……」
「ほらほら泣かないの、今日は腕によりをかけて美味しいお昼を作ってあげるから、ね?」
ナデナデされた私は脱力してがっくりとうなだれた。
ダメだこの門番、良いヤツ過ぎる……。
その後、どういうわけだか門番の詰所に長居してしまった。膝枕の感触がお母さんに似ていたせいだろう、きっと。
美鈴は、外套だけで十分、と断る私に押しつけるようにして代わりの服を貸してくれた。
チャイナドレスがあんまり、というかまったくぜんぜんこれっぽっちも似合ってない私は、夕暮れの湖畔に体操座りしてドナドナを口ずさむ。
まったくの善意でボケを殺されてしまったやるせなさを石ころにこめて投げる。
(ん?)
気づいたのは、鏡の水面を夕日に赤く染まる群雲が横切ったときだ。
いつもと違うファッション、それが見事に大失敗――これはこれで笑えるのではないのか……? と。
思い立ったが吉日、超特急で紅魔館へ戻って、何食わぬ顔でチャイナドレスの裾をフリフリ、廊下を歩いてみる。
「あ、美鈴さん、お疲れ様でーす」
「あら美鈴、ご苦労様」
「美鈴、おはよー」
私は借り物の帽子を廊下に叩きつけ、半泣きになりながら家に帰った。
机に白紙を広げてペン先をインクに浸したときにはもう全泣きだった。
――
私ってキャラが薄いのではないでしょうか、キャラが薄いから服装がちょっと変わっただけでこんな勘違いをされてしまうのではないでしょうか、いまだかつてキャラが薄い芸人が売れたためしがあったでしょうか。
お母さん、キャラが薄い私はどうしたらいいのでしょう。
『アリスちゃんのキャラが薄いだなんて、そんなことは天地神明に誓ってありえません。
なぜならアリスちゃんには超かわいいという誰よりも強烈なキャラがあるからです。
どれぐらいかわいいかというと、それはアリスちゃんがふいに笑うたびにこの世から争いごとが一つずつ消えゆくほどで――』
このあと、ありとあらゆる美辞麗句を駆使してA4版用紙百枚近くに渡り私の容姿を褒めちぎってくれる文章が続いているのだけれど、あんまりにもこっ恥ずかしいので申し訳なく思いつつも読み飛ばした。
『――かわいい、美しいというのは笑いの道においては武器なのです。
ボッティチェリのビーナスがお鼻の穴へ小指をつっこんで恥ずかしげもなく阿波踊りを始めてしまったらどうでしょう。
そう、整ったものが崩れるからこそ面白みが際立つのです。
というわけでお母さん愛用のツケ髭を送ります。
ですが使いどころには気をつけてくださいね、ヨーロッパのとある国家では国民の大多数を誤った方向へ熱狂させたことがあるほど危険なアイテムですから……』
そんな大げさな、とツケ髭を装備して手鏡で自分の顔を確認。
悶絶した。
息苦しさのあまりにバンバンぶっ叩いたベッドの足が折れた。
これはまさに凶器……。スルーやカウンターやボケ殺しみたいなのを一切許さない一見必笑のリーサルウェポン。
「髭アリスの時代が幕を開けるのね……!」
響きは微妙だが、たった一文字付け加えるだけでこんなにもキャラが立つなんて。お母さんの敏腕プロデューサーぶりに鳥肌が立った。
待っていろよ紅魔館。真のトップ芸人が誰なのか、そのスカしたステンドグラスとバルコニーに刻みこんでやる。
――
セキュリティのなってない館で、誰にも見つからずにこの部屋に忍び込むのは、大した苦労ではなかった。
病床のメイド長、十六夜咲夜――それが私のターゲット。
体調が悪いときは笑う余裕なんてなくなるものだ。だからこそ彼女を選んだ。
隙のないポーカーフェイスに加えて病気、と……今の彼女を笑わせることができれば確固たる自信が私のなかに生まれるはず。
「はぁっ、はぁ……」
熱のこもった荒い息を吐く咲夜は、傍に立つ私に気づかないらしい。
レミリアには風邪だと聞いていたけれども、よっぽどタチが悪いのだろう、と察しがつく苦しみぶり。
「みず、お水……」
目を瞑ったまま言われたのでは、うわ言なのか本物の要望なのかどうかも判別できなかった。
だから、ちょっとだけ戸惑ったのだけれど。
汗で湿った寝巻きの背に手を差しいれて身体を起こしてやり、サイドテーブルにあった吸い飲みで水を飲ませてあげた。
赤ん坊みたいにこくこくと喉を鳴らして水を飲む咲夜。
「人間が妖怪に看病される気分はいかが?」
などとカッコつけて、髭アリスであるところの私は言った。
髭アリスであるところの私は言った。
「……ん」
開く、焦点の定まらない胡乱な瞳は寝起きの暢気さを思わせたが、長い睫毛にかかる雫は病の熱に犯され、ひどく不穏な色を照り返しているように見える。
だけれども苦しみよさようなら。
「まったく、良い様ね」
ニヒルを気取りつつ、ツケ髭をくりんくりんと撫ぜてアピってみた。
さあ笑え笑え笑え十六夜咲夜、今がそのときだ。
私の口元を捉えた咲夜の目の色が変わる。
雨露に濡れた野苺のような唇と唇が離れ、今にも途切れそうな呼吸で、言葉をつむいだ――
「ぱ、パパぁ……」
ピシィ! と五体が石化した気がした。
彼女は今何と言った? 私の口元をぼんやりと見つめ、何と――
「パパぁ、つらいよぅ」
「――――ッ!?」
得体の知れない斥力に弾き飛ばされた私は背中を壁に強く打ちつけた。ゴハァッ! と口から飛び出たのは白い粉塵――大量の粉ミルク。
吹き飛んだのは病気の虫ではなくて私の身体だっただと……?
「お水、もっと飲ませて……」
「や、やめて……」
「喉、渇いたの、いっぱい汗……かいたから……」
「やっ、やめてぇ! 持ってかないで! 私とお母さんの渾身のネタをこれ以上持ってかないでーッ!」
気を抜けば緩んでしまいそうになる頬と耳を同時に押さえつけて私はかぶりを振る。
おいおいおい冗談はよしてくれ、ここに来てその一発は反則だろうがよ!
やっこさん、ご主人様以上のカウンターを用意してやがった……!
「いじわる、しないで……」
くいと力なく引かれる袖、私を見上げて懇願するような瞳。
「うううッ!?」
ヒュウウオオオッ!
得体の知れない桃色の突風が私を襲う。両腕を交差させてガードするけれども凄まじい真空波に服を切り裂かれた。
当然ながら……、
ぽとり。
ツケ髭が落ちてしまった。
それを見た咲夜は腫れぼったい目をごしごしと寝巻きの袖で拭った。
「あ、れ、アリス……?」
「…………」
やばい、どうしよう。
お前は病人の部屋に忍び込んで一体何をわけのわからないことをやっているのか。
そう責められるものだと覚悟して言い訳をあれやこれやと考えていたのだけれど、
「――ッ!」
がばっ、と。咲夜は布団をかぶって顔を隠した。そして……沈黙。
「あ、あの……」
不穏な静寂に耐えきれずに声をかけると、咲夜は布団の端から顔を半分だけ覗かせた。
何と声をかけたらいいものかわからず、ただ見つめあう。
丸くて素朴な瞳だった、心清らかな少女の瞳だった。そう、それはまるで「パパ」の名残りをもとめるかのような……。
私が見とれていると、咲夜はハッとして、またがばっ、と勢いよく布団をかぶった。
『~~~~ッ!』
という声にならない声にはもはや戦慄するしかない。
(こっ、殺される……!)
トキメキに伴う激しい動悸と息切れを感じた私は一も二もなく退散しようとしたのだけれど、袖に引っかかりがあった。
白い手が布団の横から伸びている。
……あるいは、これがトドメだったのかもしれない。
「な、なにかご用?」
答えはない。
「風邪引いたって聞いたから、お見舞いに来ただけなんだけど……」
ウソである。
「…………て」
「て?」
――手、握ってて。厚い綿を通して伝わるか細い声は、たしかにそう聞こえた。
「い、いつまで」
「眠く、なるまで……」
「どどどどうして」
「苦しいときに……、寂しいの、嫌だから……」
「…………!」
そのあとには絶望が待っていることを知っていたはずなのに。
私は一晩中、最ッ高の笑顔をふりまきながら、この弱りに弱ったハムスターのようなメイド長の看病に励んだのである。
――
お母さん、私はもうダメです。もはやなにをやっても笑いをとれる気がしません。
私なんかが超一級のエンターテイナー揃いのあの館に挑もうだなんて、そもそもが愚かな思いつきだったのです。
散々協力してもらって心苦しいのですが、アリスはもう諦めます。
一生、つまらない魔法使いとして生きていくことに決めました。
大体、べつにいいじゃないですか、つまらないとか面白いとか、どっちだって。生きていく上では支障ないじゃないですか。
つまらない魔法使いにだって魔法は使えます、人形は操れます。だからもう、何もかもどうでもよくなってしまいました。
不甲斐ない娘でごめんなさいアハハウフフ……。
冷凍みかんよりもお寒いあなたの娘、アリスより
と散々ネガった手紙のお返事は、いつも丸っこい文字のお母さんらしからぬ荒々しい筆致で綴られていた。
『アリスちゃん、あなたが辛いのはよくわかります。
ウケ率99.99%――魔界芸能界のシモ・ヘイヘと呼ばれたお母さんだってそういうことがなかったわけじゃありませんから。
でも、正直言ってお母さんはアリスちゃんのことを見損ないました。
食って食われては芸の世界では日常茶飯事じゃないですか。
お母さんだって夢子ちゃんだって他のみんなだって何度も何度も滑って転んで、その度に歯を食いしばって立ち上がってきたのです。
なのにあなたはなんですか、一度や二度持ってかれたぐらいで何もかも諦めてしまうだなんて。
お母さんは、あなたをそんなに心の弱い芸人に育てた覚えはありません――』
お母さんならきっと優しく慰めてくれるはず、と子どもみたいに信じていた甘えに気づかされて、胸が痛む。
温かいベッドと物言わぬ枕に向かって逃げ出したくなる。
それでも紙をめくる手を止められなかったのは、ひどく崩れた文字と文字の間にうっすらと残っていた染みのせいだ。
懐かしい記憶、ちょっぴり痛いけど、でも暖かい記憶が蘇る。
泣きながら叱る、叱りながら泣く……それが私の、私たちのお母さんだった。
『いつだって本気を出さないのはアリスちゃんの良いところでもあり悪いところでもあると、お母さんは思っています。
だけど頑張らなきゃいけないときは頑張れる子だって、お母さんは信じています。
失敗を恐れていては何もできません。
全力でぶつかったのなら失敗したっていいじゃないですか。
世界中の誰もがシラけていても、お母さんだけはアリスちゃんのことを褒めてあげます、抱きしめて大笑いしてあげます。
だからどうかお願いです。勇気を出して、全力でぶつかってみてください。
後ろ向きなアリスちゃんなんて見たくないから、どうか……』
お手紙は中途半端なところで終わっている。
お母さんは……。
これ以上を手紙で伝えることはできないと思ったのか、思いがあふれてこれ以上筆をとることができなかったのか、それはわからない。
でも、私には確かに伝わった。
そう、私には覚悟が足りなかった。気取った芸人に本物の笑いなんて訪れないのだ。
捨て身に……なれるのだろうか私は、だけど、なる、なってみせる!
お母さんをこれ以上悲しませないためにも、保身を、プライドを捨てなければならないのだ!
生まれて初めて経験する「熱」のようなものに背中を押されながら、私はくいだおれ人形のコスプレをして家を飛び出した。
――
「イイヤッホオオオォォッ! 呼ばれて飛び出てアリスちゃんでーす、儲かりまっかァぼちぼちでんなァ!? ねえねえ小悪魔、アリスがと~~~~っても面白いお話を聞かせてあげ――」
「ハァ?」
――
可及的速やかに死にたいです。
そんな手紙を送ろうか送るまいか散々悩んで、結局送ったわけなのだが、お返事はまだ来ない。
ですよねー、たかが中ボスの一言と氷のような一瞥だけで心折られちゃうダメな娘なんてもう、知ったこっちゃないですよねー。
「人形なんてラララララ……」
心はもう、象が踏みつけたポッキーよりもボッキボキに折れてしまったのに、どうして私はまたこの館の廊下を歩いているのだろう。
お母さんへの義理立て? 意地? 未練? おそらくはどれも間違っていてどれも正解。
ただ、そこにわずかでも可能性が残っているのなら、追い求めずにはいられなかった。
捨てられた子猫が命の続くかぎり鳴き声をあげて自分の存在を主張するように……。
「たっ、助けてえッ!!」
「可能性」の姉が走ってきて私の背後に隠れた。
「お姉様知ってるぅ? おイタをした子は罰を受けなきゃいけないんだよ?」
煌々と燃え盛る物騒な得物を持った「可能性」が迫ってくる。
刺すような殺気が伝播したのか、私のスカートを掴む手がガタガタと震えた。
「……ちょっとあなた、何をやらかしたのよ」
「食べ物の恨み」
私を盾にしてすっかり防御姿勢な姉の代わりに妹が答えてくれた。
そう、この物騒な妹を笑わせるつもりで私は今ここに立っている。もはやこの館の「可能性」はこの子にしか残っていないのだ。
「恨みって……つまり?」
「シュークリーム」
わかり易くって助かるぅー……。何でよりによって今に限って喧嘩なんかしてるんだろこの子たち。
怒りで火照った頭を笑いで冷ますだなんて赤ん坊相手でも難しいってのに。笑いの神様はよっぽど私のことがお嫌いらしい。
「ケガしたくなかったらそこをどいてよ」
「どうでもいいけど、どうするつもりなの」
「このレーヴァテインでお姉様が食べちゃったシュークリームの数だけお尻ペンペンしてやる、四十回」
食いすぎだろ。
ってツッコんでる場合じゃない、ボケなきゃダメだボケなきゃダメだボケなきゃ……!
「さ、その不届きなお姉様をこっちに渡して」
「はいどうぞ」
メロンを渡してみた。
「わぁ、お姉様ったらビビってこんなにヒビ割れちゃってるぅ~」
どぐしゃあ。
「笑えない冗談を聞いてる余裕はないんだけど」
ノリツッコミする余裕はあるのに。けっこうハードル高いなこの子。
「……余裕があろうがなかろうが聞いてもらわなくちゃ困るのよ」
「あれぇ? 邪魔するつもりなんだ?」
「ええ、今日の私の観客――お客様はあなた、あなただけよ! フランドール・スカーレット!」
「へえ、面白いこと言ってくれるじゃん。そういう余計なことするタイプじゃないと思ってたんだけど……まぁいいや。つまり、あなたがお姉様の代わりにお仕置きされてくれるってことなんだよね? いいよ、べつにそれでも、私はぜんぜん構わない」
「そんなつもりは毛頭ないわ」
次第に強まる殺気を弾き飛ばすように私はキッとフランドールを見すえた。あんまり殺伐とした空気を出されてしまうと笑い云々どころじゃなくなるじゃないか、と。
私は右手をピンと挙げて元気良く!
「一番アリス! モノマネやりますッ! 『つまみ食いを夢子姉さんに見つかって必死で誤魔化そうとする魔界神』!」
「はっ?」
勢いを殺さぬままにガッ、と自分の髪を掴んでサイドテールを作った。
「ち、違うのよ夢子ちゃん、これはホラ、小腹が空いたからとかそういうお話じゃなくってね? お味の具合がどうかなって……そう、味見、味見してるのよ! 大事な子どもたちに美味しくないものは食べさせたくないじゃない! ……えっ!? いやいや夢子ちゃんのお料理が下手だとかそういう話じゃなくって……。……。……えへっ?」
大げさにまばたきしながら言い訳しつつ、最後は満面の笑みで首を傾げるのがポイント。
さてさてフランドールの反応はといえば。
…………。
「ごめん、細かすぎて伝わらないし……身内ネタってこの場面ではどうなのって思う。なんていうかさあ、タイミングが悪いっていうか、必然性がないんだよね、唐突。会話の流れと何の関係もないネタをやられてもお客さんは戸惑っちゃうでしょ。普段地味な子がイベントでテンションあがってはしゃいじゃってるのを見てるときみたいな痛々しさが先に立っちゃった、もっと勉強したほうがいいよ」
どちくしょおおおおおおなんでダメ出しだけは冷静でなおかつごもっともなんだ妹おおお。
実家じゃ滑り知らずのネタなのに! 天下獲れるって家族から太鼓判まで貰ってるのに!
ってか地味って言った! 地味って言ったなッ!?
「……はぁ、ただでさえイラついてるってのに、これ以上お寒いネタでイライラさせないでくれないかな。当たると痛いよ? 私のレーヴァテイン」
突きつけられた剣先に私はたじろいだ。いっそのことそれでツッコんでくれたらお笑いにもなるだろうに、とも思う。
そんな私の肩をぐいと引いて、レミリアが一歩前に出た。
「……下がっていろ人形遣い、庇ってくれるのは嬉しいが、お前には荷が重いだろう。……さぁて鬼ごっこにも飽きたし、逃げ回るのはここらでやめにするかな」
「へぇ、あれって鬼ごっこだったんだ」
冷やかさがフランドールの口元に浮かんでいる。
「そうよ、せめてもの罪滅ぼしにお姉様が遊んであげていたのよ」
「相変わらず口だけは達者だよね、お姉様は」
「何のことかしら」
「じゃあさ、今度はもっと楽しいお遊びをしようよ。チャンバラごっことかどう?」
「――いいわ、か、かかかかってききなさいい」
レミリアは震える手でポケットから神槍グングニルを取り出――パラソルチョコじゃねえか、どんだけテンパってんだ。
「制裁! 甘味に恋する乙女心を踏みにじったお姉様、制裁! 泣かすッ! 転ばせて泣かす!」
「こっ、転んだぐらいで泣かないわよ!」
「砂利道で転ばすッ! 膝小僧擦りむかす! ブランコで大回転させてやる! ジャングルジムから突き落とす! 一つしかないパンダの乗り物をずーっと私が使ってやる! 二時間かけて作った砂のお城を無残にも踏み潰してやるッ!」
「いやああッ!」
ツッコミを入れる間もなく空中でギィンギィンと交錯しはじめる吸血鬼姉妹。
神代の聖剣と不二家のお菓子が互角の闘いを繰りひろげていることにまず驚き、そしてさっきからツッコんでばかりな自分に気づいて絶望。
「あなたたち……あんたたちぃ……!」
あーもうヤダヤダコイツラネタバッカリ! 持ってってバッカリ!
「私のギャグを聞けぇ――――ッ!!」
私はもうやけくそになってターゲット――フランドールの前に飛び出した。
そのタイミングが最悪だった。最悪に格付けなんてものがあるのなら最高に最悪だ。
気づけば私の視界にはレーヴァテインの紅い刀身しかない。
危ない、と判断するのと同時に無理だ、と思った。
避けられない。
やられる。
ひどい。
ケガを。
(やばっ)
瞬間、視界で強烈な閃光が瞬き、景色が切り替わった――。
何がどうなったのかまるでわからない。思考はぐるぐると渦を巻いているようでいて四方八方へ散らばっていくようでもあった。
何も見えない、何も聞こえない、何も感じない、何も……。
「っ痛ぅ……」
衝撃の余韻が私の身体に残っている。瞑っていた目を何度か瞬かせると、五感が次第に戻ってきた。虚空をにらむようにゆっくりと目を開く。
黒さを纏ってくすんだ煙。鼻を塞ぎたくなる臭い。――うめき声。
うぃんうぃん、と地面で揺れるあの懐かしいギミックは……。
「おか……さん……」
お母さんがなぜ、フランドールの足元に倒れているのだろう、始めはただ不思議に思った、見慣れたお洋服にぼんやりと懐かしさまで覚えた。
もしかしたら私の頭が覚醒することを拒んでいたのかもしれない、だけど狼狽が押し寄せてくるまでそう時間はかからなかった。
「……アリスちゃん、無事で良かっ――ゴフッ!」
「あ、わ、わたし……こんなつもりじゃ……。急に飛び出してくるから……」
私はフランドールの言葉よりも目の前の光景を理解するのに必死だった。
なぜ、どうして!
駆けよってお母さんを抱き起こすと、そのあまりにも無残な姿に心臓が跳ねた。
ひどい、ひどすぎる……!
「お母さん、アホ毛のキューティクルが!」
「アリス……ちゃ……ん。聞かせて……アリスちゃんのギャグ……」
震える手が私の頬に伸びる、私は空いた手でその手を捕まえた。
いつも暖かかったお母さんの手がひどく熱を失っていることに私は震えた。
そんな……、久しぶりに会ったっていうのに、こんなのってないよ……!
「喋らないでッ! そんなことより誰か早くリンスを、コンディショナーを!」
「いいから聞かせて、お願い……もう時間が、時間がないから……」
今にも消え入りそうな声が私の焦燥をあおる。
嫌だ、こんなの嫌だ……ウソだ……。
万が一、お母さんがこのままいなくなってしまったら深い後悔が残るのだろう、恥知らずな私の理性はそんな、利己的なことを考える。
違う、そうじゃない、そうじゃないんだ。
私はただとっておきの冗談をお母さんに聞かせたくって、苦しげな顔を笑顔に変えたくって、ただその一心で……。
「あら上海、間接のグリスが切れていたのね。どーるで動かないわけだわ」
「ふふっ……おもしろ――ガクッ」
そしてお母さんはモノクロになった……。
「お母さん、お母さ――――んッ!」
糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる身体、萎びたナスのように力を失うアホ毛。
私は次第に冷たくなっていくお母さんの身体を抱きしめて慟哭した。分別もなにもない子どものように泣き喚いた。
私はただ「アリスって面白い」と誰かに言ってもらいたかっただけなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
私みたいなのがウケを狙うのは罪だったのだろうか、これはその罰なのだろうか。
だとしたらなぜお母さんが私の罪を背負わなければならなかったのだろう。
その問いを誰に向ければいいのかわからず、私はすすり泣いていることしかできなかった……。
ぽん、と肩に重みを感じた。私は服の袖で涙を拭って振り向く。
「パチュリー……。ほら見て、ウソみたいでしょう? お母さんったら死んでるのよ、コレで……。ああ、ホッペタはこんなにも柔らかいままなのに……ううっ!」
懐かしさと悲しみのあまりにお母さんのホッペタをぐにぐにとつねってみたら「むぎぎぎ、むぎぎッ!」と何か聞こえた気がしたのだけれども、おそらく幻聴だろう。
もう二度と聞くことのできないお母さんの優しい声を私の耳がリフレインさせているのだ……。
「まだよ、今ならまだ何とかできる。救えるわ」
「え」
パチュリーはいつもの帽子を脱いで、結った髪をほどき、――サイドテールに結びなおした。
「あなた、何を」
「わからない? その人……あなたのお母様だったかしら、その人のアホ毛を模しているの」
「いや意味が」
「私のアホ毛のキューティクルを分け与えるのよ!」
ぴかぁドゴォン! と晴れた真昼間だというのに雷鳴がとどろいた。
まさかそんなことが可能なのだろうか、いや、でも……。
「そんなことをしたらあなたが、あなたがとんでもないことに……!」
「ええ、二、三日はシャンプーの度にキシキシいうでしょうね」
「どうしてっ、どうしてあなたがそこまでして……。赤の他人のあなたにそんな犠牲を強いることなんて私には……」
「何言ってるの?」
いつになくフランクなパチュリーの笑みに私は少しドキッとした。
「友達の、お母様のことじゃない。見て見ぬふりはできない」
当たり前でしょう? とでもいうように彼女の瞳は涼しげだった。
「パチュリー、あなた……」
胸に湧き上がってくる熱い思いを伝えたくなる。ありがとう、と抱きしめたくなる。だけどその気持ちを抑えて、私は「でも」と俯いた。
「無理よ、お母さんのアホ毛力は並大抵じゃないもの。その力なんと五十三万よ、だけど今はたったの三万に下降してしまっている、とてもあなたと私だけじゃ……」
「一人一人の力は微々たるものでも、みんなの力が集えば助けられるはずよ! そうでしょう、みんな!」
ザンッ!
数多の靴が緋毛氈を刻む音が重なった。
「まぁ、お前のおかげで恥をかかずに済んだしなっ」
ふふんっ、と小さな鼻の先を親指で掠めたレミリアが勢いよく帽子を投げ捨てる。
「私なんかでよければいくらでも力を貸すよ!」
腕まくりする美鈴の瞳は血潮で滾っているように見える。
「先日は、お世話になったみたいだし……」
咲夜は自分の片腕を抱いてもじもじしながら、なぜか艶っぽい視線で私を見つめていた。
「……チッ」
小悪魔はポケットに両手を突っこんでそっぽを向いているけれども既にその髪型はお母さんそっくりに変わっていて……。
「みんな、みんなが……!」
ああ、次々と立派なアホ毛を……!
「いやいやいやいや何なのこの状況ッ!? アホ毛力って何!?」
フランドールは状況がいまいち飲みこめていないようだった。無理もない、不幸なアクシデントとはいえ人を傷つけてしまったのだ。
戸惑うのはきっと罪の意識に苛まれているからだろう、この子には何の罪もないというのに、なんて健気で、なんて優しい子なんだろう。
「っていうか髪に傷がついたぐらいでなんで死にかけ――」
「ほらほら、妹様も意地張ってないで」
美鈴が優しく微笑みながらフランドールの髪に指を通す。
「いやちょっ、触んな! 引っ張るなあッ!」
「なでなで」
「ふにゃー」
こうして私たちの心は一つになった……!
「目を覚まして、お母さん……!」
うぃんうぃんうぃんうぃんうぃん、とアホ毛を揺らし、びびびびびびとアホ毛力をお母さんに注入する!
アホ毛力って藻が生えた毒沼みたいな緑色なんだ……汚っ。
「レミィ、気をつけて、油断したら毛根まで持っていかれてしまうわ……!」
「くっ……! みんな手を離すんじゃないぞ! こいつは予想以上のパワーだッ!」
「咲夜さん! 私を置いて先に行って下さい!」
「どうしてあなたはそうやって露骨な死亡フラグを立てたがるの」
「くだらねー」
「もう帰っていいかなあ……」
「みんな頑張って、もう少しだから!」
それからは筆舌に尽くしがたい壮絶な救出劇が続いた。
パチュリーがハイパーゴールドラグジュアリーフルオートマチック真ファイナルヴァーチャルロマンシングときめきドラゴントリートメントを開発してレミリアは光の速さで大量のモンブランとクリームソーダをたいらげ美鈴は自分よりも強いやつに会うために旅立ち咲夜は妙に私に密着して甘えっぱなしで小悪魔は散弾銃の分解掃除を始めフランドールは飽きて途中で帰った。
やがてにょきにょきと芽吹く若芽のように、アホ毛に生命力が戻る。
震えるまぶた、微かだけれども確かに娘の……私の名を呼ぶ口元。
みんなの力が奇跡を生んだのだ……!
「う……ん、アリスちゃ――わぶっ」
私は身体ごと飛びこむようにお母さんの胸にすがりついた。温かい……、胸は確かに鼓動を打っている。
「お母さん、良かった、お母さん……っ!」
「ア、アリスちゃん……」
始めはうろたえていたお母さんだったけれども、ややあって「……ふぅ」と息を吐き、微笑み、小さい頃と同じように私の頭を撫ぜてくれた。
「アリスちゃん、いったい何がどうなって……?」
「……えぐっ、ひっく……」
伝えたい思いは嗚咽に遮られてしまう、だから代わりに強く強くお母さんの身体を抱きしめた。
そうすればお母さんの懐かしい匂いが強まるような気がしたのだ。
「っちょ、アリスちゃん、苦し……」
「あ、ご、ごめんなさい……」
その温もりが少しだけ名残惜しかったのだけれども、私はお母さんから離れた。
お母さんは自分の服の袖で私の目元を優しく拭ってくれた。そこでようやく、私は冷静さと、それにともなう気恥ずかしさみたいなものを取り戻し始める。
「いったい、何が起こったの? 物陰からアリスちゃんを見守ってたら、危ない、って思って……えっと、無我夢中で飛び出した……ところまでは覚えてるんだけど……」
「……お母さん、それで私の代わりにひどいケガをして……。それをみんなが、みんながお母さんを助けてくれたの」
なんとかそれだけ答えたところで、私とお母さんだけになっていた世界に、少しだけ髪の色つやが悪くなった紅魔館の面々が戻ってきた。
みんな、ボロボロなのに……柔らかな笑みを浮かべている。
ここは悪魔が棲む館であるはずなのに、優しさの雨が私たち母娘の身に降り注ぐようだった。
ああ、暖かい。木漏れ日のそそぐ春の森のように、何て暖かい空気なのだろう。
「そう……。みなさん、私のために……私とアリスちゃんのために、ありがとうございました」
よろめきながら立ち上がるお母さんに肩を貸して支える。しっかりと、お母さんは自分の足で立つことができた。
それを見たパチュリーが、レミリアが、みんなが、うんうん、と頷いてくれる。
暖かい、ああ本当に暖かい。
汗ばむほどの温もりを全身に感じた私はすべての問題が解決したことを知った。
大団円なのだ、これで。
何か忘れてる気もするけど……。
そうだ、物語の幕を下ろす前に、私もみんなにお礼を、お礼を言わないと――。
「みんな、ありがとう……! みんなのおかげでお母さんのアホ毛……髪……。……。神……?」
そのとき私は全身を雷に打たれた。
「――神の髪の毛ッ! 神の髪の毛が無事にすんだわプークスクスッ!!」
「あははっ、やだ! アリスちゃんったらもう神がかって……神がかってるんだからッ! プスップスススッ――」
◇
『前略 お母さんへ。その後、お変わりはないでしょうか。
私は色々ありました。色々ありましたがその前に。
なぜ、あの場面で紅魔館が粉々に砕け散らなければならなかったのか、私には理解できません。
……いえ、理屈は理解できるのです。
大団円でほっこりと暖まった空気の館に突如、身も凍るような冷気が流れこんできたから……、熱疲労と呼ばれる現象ですよね、それはわかります。
でもなぜ冷気が発生したのか、そこのところの原因がわからないのです。
近ごろ流行りの異常気象ってやつだろう、と私のなかでは一応結論づけましたが……。
地球もずいぶんひどいことをしますね。冷気を発生させるまえに空気を読めばいいのに』
まったくです、まったくけしからんことです。いつか龍神様と会う機会があったらクレームをつけておきましょう。
『おかげで、私の家に居候が増えました、六人。六人て。
改築が終わるまでのホームステイ、だそうですが、何で皆して私の家に来るのかって話だと思いませんか』
ぺらりと、神である私は紙をめくる。
くすっ。お返事の隅っこにでも書いておくことにしよう。
『大変です、本当に。コイツらほど迷惑な居候は他にいないでしょう。
同居しているせいかパチュリーがただの友人から親友にレベルアップしてしまったので、一日最低二時間はお喋りをしなければなりません。
私の作るお菓子が美味しい美味しいとレミリアがうるさいからお菓子作りにも時間をとられます。
そこへ美鈴の膝枕という追撃、ただでさえ忙しいのに、ついつい時間を無為に費やしてしまいます。
咲夜はどうも甘え癖がついてしまったようで、夜中に私のベッドへ潜りこんでくるものだから非常に困ります。
小悪魔なんて隙を見せたらふくらはぎの一番やわらかいところを執拗に蹴ってきます、なのに時折、頼んでもいない洗濯物を勝手に干していたり……と、こっそりデレてくるのが非情に鬱陶しいです。
鬱陶しいといえばフランドール、一人でつまらなさそうにしているところを手が空いたときに遊んであげてたらいつの間にかお姉ちゃん呼ばわりされるようになってしまいました。
なにより、私の渾身のネタが相変わらずコイツらの天然っぷりに食われてばかりなのが我慢なりません。
でも……忙しない日々に追われるうちに近ごろでは、まぁそれでもいいか、などと考えるようになってしまいました。
だめですよね、こんなことでは、お母さんみたいに可愛くって優しくって面白い人にはなれません。
だけど見ててください、お母さん。
諦めなければいつか道は開けるとお母さんは教えてくれました。
身体を張ってまでお母さんは私のことを護ってくれました。
その思いにこたえるためなら、たとえその道は険しくとも私はいつか絶対に笑いの天下をとってみせます!
ところでお母さんは相変わらずお腹を出して寝ているのですか? だめですよ、ちゃんと腹巻きを着けて寝ないと――』
このあといつものようにA4版用紙五十枚に渡って私のことをあれやこれやと気づかってくれる言葉がひたむきに綴られていたので、アリスちゃんったらもう! アリスちゃんったらもーう! とヘンなテンションになりつつ十回読んだ。
「……ふぅ、ごちそうさま」
アリスちゃんのシャープな筆跡をひとしきり堪能したところで。
さて、どんなお返事を送ったものか。白紙とインクを前にした私は悩んだ。
いつもみたいに思いの丈をそのまま、ありったけ書きつらねてもいいのだけれど、
『どこへ行ってらしたのですか』
『……! ちょ、ちょっとそこまでおトイレに』
『それにしてはずいぶん時間がかかりましたね、何百年モノでしょうか』
『おっ、お下品ですよ夢子ちゃんッ!』
『(じぃっ)』
『黙って出ていってマジすいませんでした』
『……はぁ。いい加減、子離れしてください』
夢子ちゃんにお小言を言われたことが引っかかった。
……嫉妬してくれてるのかしらん? ここでまた分厚い便箋なんか渡したらどうなることやら。
それはそれで可愛いな、とは思うのだけれど、夢子ちゃんの気持ちを酌んであげる必要もあるだろう。
娘のメンタル面に満遍なく気を使うのはお母さんたる者としての務めなのである。
「うーん……」
うぃんうぃん、と私の分身を振り回す。落ち着きなく、足をぷらぷら揺らす。
伝えたい気持ちは沢山あるのだけれど、手紙で伝わる気持ちっていうのは限られている。
想起されるのは並々と水を注いだコップ。
溢れてしまってこぼれ落ちる思いの雫をいつだって、もどかしく思う。
これだけの言葉で伝わるのだろうか、といつだって不安になる。
でも、だからこそ。
考えて考えて考えぬいて選んだ言葉には、価値があるのかもしれなかった。
大切に大切に磨きあげた、アクアマリンのような価値が。
『アリスちゃんの今が楽しいのなら、お母さんはそれでいいと思います』
これが、晩御飯にお呼ばれするまで考えぬいた私の結論。
アリスちゃんがいつまでもお友達と仲良しでいられますように、と。
一文字一文字、羽根ペンに願いをこめて、じっくり書くことにした。
<了>
親馬鹿神綺に子馬鹿アリスでお腹いっぱいです。
>首筋と耳たぶを甘噛みしてやる! 私のよだれでベトベトになるまでだッ!
「シュークリーム?随分と子供っぽいんですねお嬢様。吸血鬼が聞いてあきれますよ(よしこれで首筋と耳たぶ甘噛してもらえる……!)」
なんかもうどこに噴いたとか判らないくらい噴きました。
どのキャラも魅力的。
でもやっぱりふらんちゃんが一番可愛かったです!
始めはシュールだったのに、どんどん破壊力をましていく内容でした。
個人的には、レミリアの天然部分が一番好きだけど、小悪魔の「ハァ?」とフランの真面目な突っ込みのところで何かが崩壊してしまったwww
後細かいところだけど、びっちびっちなオクトパスはともかく、びっちびっちなショートケーキってどんなんですか、見て見たいwwwwww
こんなアリス、大好きだよ!!
この紅魔館は間違いなく素敵なのです。
いや本当に面白かった。素晴らしい!
いやはや、咲アリってのもアリですね。
あの的確なノリツッコミと冷静な指摘は、正直魔界神より全然…
まぁそんなことより咲夜さんがかわいすぎるんですけど!
最後の手紙で悶え転がった。
しかし魔界親子の感性があんまりすぎるぜ
びっちびっちショートケーキとか冷静な指摘をする妹様とかふくらはぎ蹴ってくる小悪魔とかそして何よりアリスのギャグセンスとかもう全てが調和して最高の作品といわざるを得ません
こんなん書きたい
腹筋が行方不明です!
魔界人の感性ズレ過ぎwww
とりあえず温かい親子愛に感動しました。
アリスはきっと立派な芸人になってくれるでしょう。
何か俺に恨みでもあるのかwww
全体が面白い。部分を挙げきれない。
そして小悪魔さん相変わらずですね。
咲夜さんがかわいすぎるんですが!!
毎晩甘えてるのを想像したら鼻血もんですよ!
爆発オチを心得ている辺り将来が有望ですね
そしてなぜいい話で終わったww
そのボタボタ溢れ出てる才能を分けて下さい
いやぁ、何処からツッコんでいいかわからないw
とりあえず、小悪魔さんぱねぇっす
腹は痛いのに胸は暖かい、ヘンな感覚を覚えた
なんぞこれw
いざ、助けて夢子ちゃぁぁん!
もっかい読み直すとしようか。
どうしてくれるwwwww
何というかギャグなのにここまでキャラが立っているのは凄い。
そして咲夜さんは俺の中でクールなキャラだったのに、なんか変な趣味が芽生えそうだ……。
……なんだこれw
とりあえず小悪魔さんの舌打ちの威力がすごいw
ここまで爆笑させてくれた作品は生まれて初めてだ
Ninjaさん、あなたホンマすごい
妹様の冷静な突っ込みまでの綺麗な流れ
またその後のまとめ方。素晴らしかったです
この三文字を送りたい
つ「ドリフ」
そして親子愛。神綺様の手紙を嬉々として読むアリスが良すぎる。
御馳走様でした
アリスがハッピーエンドならそれでいいのだ!
言葉の表現センスがキレてます!
乳白色の粗相とかあもりにも業が深すぎるでしょう?
捨てられた猫が命のつづく限り~とか切なすぐるのですが?
片腕を抱いた咲夜さんとか脳裏から全然消えてくれないのですが、どうしてくれるのですか?
それにしても、アリスちゃんとってもかわいかったです!
素晴らしい芸人親子である。
ロマサガネタは反則だwww唐突すぎるww
腹筋、砕かれました。お見事!
どうでもいいけど「はじめの一歩」の板垣ファミリー思い出したw
しかしコメント170越えって…
相変わらず忍べてませんねww
笑うところは笑わせ、真面目なシーンはしっかり書く、完成度の高い作品でした。
ずーっと読んでいたい気持ちにさせられました。
次の作品があることを祈っています。
シュークリーム・ショートケーキ・パラソルチョコ……
笑いすぎてなんだか腹減っちゃった
あれ?
前半はテンポ良かったので後半がちょっと…
こんなハチャメチャなお話なのに、最後にはイイハナシダナーと思わせてしまうあなたの文才が妬ましいw
某オールスターズの歌手がツケ髭の使いどころを誤りました。
ツケ髭の使いどころを誤るとどうなるか
その恐ろしさはまさに神綺さまの仰る通りのものでした…。
ツケ髭とは恐ろしいものですね。