『王様、王様、私どもの仕立てる服は、愚か者には見えないのでございます。』
アンデルセン童話「裸の王様より」
命蓮寺の一行の足取りは重かった。
満月は煌々と輝き、夜はまだこれからと告げているのだが、彼女たちの誰もが口を開かない。
紅魔館に招かれたパーティーからの帰路だったが、まだまだ幻想郷に馴染めていないことを痛感したからであった。
「あのさ、姐さんは悪くないって、あっちが偏屈なんだよ。そうだよ」
一輪はそう言ってから肩を竦め、また口を噤んだ。ぬえはわざと軽妙に口笛を吹き、ムラサからそれを窘められた。
星は腕を組みながら考えこみ、白蓮だけはいつも通り柔和な態度を崩さずにいるが、沈む一行を慰める言葉には詰まっている。
そもそもこのように彼女らが沈むことになったのは、紅魔館の当主であるレミリアによるものだった。
紅魔館は定期的に、幻想郷の淑女たちを集めてパーティーを開いている。
幻想郷の中でも新参者である紅魔館は、盛大なパーティーを開くことで、自分たちの権威を示しているのだ。
博麗の巫女などは、単に食事にありつく程度にしか考えてはいないのだが、その他の人妖にとっては、ある程度の効果を発揮していた。
そのパーティーに、今回は命蓮寺の面々も招かれた。正装とのこと、ということで、思い思いに着飾り出向いたのだが。
栗鼠のように口一杯に料理を頬張る博麗の巫女や、当主であるレミリアの周りには人妖が集まっていても、命蓮寺の面々はそこに加われずにいた。
結局、解散になるまで他の参加者とはロクに話すこともできず、それどころか白蓮は、あろうことかレミリアに一蹴されてしまった。
「貴女達を招くのはまだ少し早かったようね。よく考えなさいな」
それだけ言い残し、ワインを従者にサーブさせ、地霊殿の主と話すレミリア。
ショックを押し隠し、失敗しちゃったとおどける我らが主人を見て憤慨した命蓮寺の一同であったが、ここで騒ぎを起こすわけにもいかない。
皆が唇を噛み締め、その場で悔しさを押し殺したのだった。
「あれ、ナズーリンが居ません」
「あのネズミ。どこをチョロチョロしてるんだか……。雲山、ネズミ見なかった?」
不意に思い出したように顔を上げる星。言われてようやく、いつのまにか小さな賢将を見失っていたことに気づいた。
彼女も当然のことながら、レミリアの態度に憤慨しており、鬱屈としながら歩いているものだと全員が思い込んでいたのである。
「頭冷やしてるんじゃないの? 同じぐらいちっこいやつにさんざ言われてさ」
「ぬえ!」
「ふんっ」
憎まれ口を叩き、石を蹴飛ばしたぬえを、ムラサがまた窘める。へそ曲がりなぬえを窘めるのはもっぱらムラサの仕事である。
星はおろおろとナズーリンの姿を探したが、彼女の姿を見つけることはできなかった。そもそも探し物をするのは、ナズーリンの仕事であるから。
「星、ナズーリンも子供ではありませんし、今夜はもう引き上げましょう」
「聖、ですが……。」
「あなたは賢いのですが、少し柔軟性に欠けるところがあるのよ。思い込んだら一直線なところを直さないと、ダメよ」
めっ、と人差し指を星のおでこに当てる白蓮と、頬をみるみるうちに赤らめる星。
すすす、すみませんでしたとひたすら謝る姿で、ようやく一同に笑顔が戻った。
一方ナズーリンは、紅魔館を出てすぐに、命蓮寺の一同とは離れていた。
今日は至極綺麗な満月であるから、一人散歩したいと考えたのだ。無論言い訳ではあるが。
毎月、満月の日を選んで、紅魔館はパーティーを開いている。
今晩のパーティーは、新参者の自分たちにはかなり強烈な洗礼だったが、それには必ず意味があるはずだとナズーリンは考える。
レミリアは単なる意地悪をしていたわけではあるまい。彼女の着ていたドレスは、身体のラインがハッキリとわかる黒いドレスで、幼い体型を補って余りあるほどの存在感を示していた。けれども余計な装飾を省いたそれは、主張はしすぎずに場に溶け込んでいた。来賓客をもてなすホストの立ち回りをしっかりとこなしていた。
来賓客も、口一杯に肉類を頬張り、ワインで流し込んでいた普段着姿の巫女を除けば、例えば地霊殿の古明地さとりなどは、背中を大きく開いた赤いドレスを着て目を引きお供にはグレーの、これもまた身体のラインのハッキリと出たスーツの麗人を連れていた。
赤髪の麗人はあくまで主役は主人であるとして、彼女は常に傍に控えて会話を楽しんでいたように見える。
黒髪を腰まで伸ばした長身の女性は、星空を散らしたようなドレスで落ち着きなくしていたけれど、まぁ許容範囲内だろう。
その他の著名な女性たちにも、周りにはスーツの麗人が存在し、紅魔館のメイド長などはタキシードに身を包み、会場内を立ち回っていた。
(それに比べて自分たちはどうだっただろうか)
彼女らに比べて野暮ったい格好であることは否めない。
しかし、主催がそれをあげつらうような浅い器であるのなら、紅魔館のパーティーがここまで定期的に開催されることもないだろう。
ひんしゅくを買って、誰しもがそっぽを向くはずである。
他の参加者と違ったことと言えば、命蓮寺は和装が含まれていたり、セーラー服にゴシックロリータ服にと多国籍軍であったこと。
明らかに、浮いた集団だった。
(といっても、私はここまでの推測しか立てられないし、餅は餅屋に聞くのが一番さ)
パーティー会場からくすねたチーズを口に放り込んだナズーリンは、これまたくすねたワインを手土産にして魔法の森へと向かった。
当然、餅屋を訪ねるためである。
ナズーリンは賢い妖怪であるが、同時にどこか冷めた感性の持ち主でもあった。
力も弱く、妖獣の割りに体躯も優れてはいない。
しかし、コンプレックスを持ってはいても、彼女は誇り高かった。
物の違いはわかると自負していたし、現に、くすねてきたワインも、幻想郷では紅魔館以外ではお目にかかれない代物である。
(月の高いうちに辿り着けるといいんだが、さすがに夜遅くに魔法の森を歩くのは怖い)
魔法の森に住んでいる人形遣いが、仕立て屋もしているというのは、ナズーリンのように事情に明るい者であれば当然知っていることだった。
既製服店を閉めた彼女は、売った服の仕立て直しや、新たに服を仕立てることを手慰みにやっているのだとか。
ネズミたちに道を尋ねつつ、ナズーリンは魔法の森へと立ち入る。瘴気に溢れる森は気分が悪いものだが、木々の切れ間から入る月明かりは心地良いものだった。
「まぁ」
ナズーリンは一人確かめるように呟いた。
「私だって、悔しくないわけがあるものか」
あれを新参への洗礼だとするのなら、徹底して反抗してみせる。
表に強く出していないだけで――無意識に自分は冷静なのだと思い込んでいるだけで、一番腹に据えかねていたのはナズーリンだったのかもしれない。
でなければ、日付を跨ぎかけようとする夜中に、魔法の森の人形遣い、アリス・マーガトロイドを訪ねはしないだろう。
明かりがまだ灯っているのを確認して、ナズーリンはアリスの家の扉を叩いた。
「もしもし、すまないが開けてくれまいか」
「居ないわよ」
「返事があるじゃないか」
「……ったくなんなのよこんな時間に」
「謝罪はする。けれども私にはどうしても、貴女の力が必要なんだ」
うんざり顔で扉を開けたアリスへと、ワインを差し出すナズーリン。
それを見て、仏頂面を緩めるアリス。ワインは大の好物なのだ。
「で、用事って何かしら?」
「服を仕立ててもらいたいんだよ。幻想郷一番の仕立て屋に」
「へぇ」
ナズーリンの目を値踏みするように眺めてから、アリスは髪の毛を軽く手で流すと、踵を返した。
「ついて来なさい。丁度研究も煮詰まってたところなのよ」
「話がわかるね」
「流されやすいのよね私。面白そうなことに限るけど」
「私にとっては幸運なことだよ、それは」
「さあ、幸運になるかはこれからの貴女次第かも。紅茶でいいかしら」
「ミルクを多めにしてくれるとありがたいよ」
「ミルクティは香りを殺すのだけど。わかったわ。適当に腰掛けてて」
リビングへと案内されたナズーリンは、アリスに言われるがまま椅子に腰をかける。
さすがに人形遣いと言うだけあって、部屋の中には人形が溢れているが、その一体一体、細かな造形や服の一着までが違うようだった。
(人形だらけだと、敬遠したくなるところがあるけれど、ここまできたら立派な芸術じゃあないか)
ナズーリン自体、トレジャーハンターを気取っているだけあって、物を見る目には一角の自信がある。
一体一体並ぶ人形には製作者の、つまりアリスの魂が込められていて、単なる人形愛好家ではないことを感じさせるには十分な代物だった。
(これは私もうかうかしてられないな。気を引き締めないと。目の前に居るのは人形好きの女じゃない。職人、か)
これならば、紅魔館の主人の出した謎かけもすぐに答えを出してもらえるだろう。
問題は、私自身が飲まれてしまわないこと、か。
「人形が気に入ったの?」
「ああ、素敵な人形たちだね。主人に似るのかな」
「お世辞が得意なのね。でも嫌いじゃないわ、ありがとう」
「ふん。ありがとうとかいって、私が物の真贋を当てられるかどうかを確かめているじゃないか。貴女の腕には敬服しているよ。
マエストロと呼ばれても差し支えはないんじゃないかい?」
「サルト・フィニートと呼んでほしいわね。名人? いいえ、この道を私は究めし職人なのよ。といっても仕立てに関してはどうかしら? 貴女のお眼鏡に適いそう?」
「その前に一口頂くよ――うん、とても美味しい。私はネズミのくせに猫舌でね。ミルクがたっぷり入っていないと飲めないんだ」
「ふぅん。レミリアにでもけしかけられたの?」
ナズーリンは一度だけ耳をピクりと動かして、ティーカップをそっと置いた。
「ご明察。ワインの時点で気づいていたんじゃないかい?」
「もちろん。貴女のことは魔理沙から聞いているわ。命蓮寺のトレジャーハンター。ナズーリンさん」
「自己紹介もまだだったね。魔法の森の人形遣い、アリス・マーガトロイドさん。急に訪ねて申し訳なかった。この通りだ」
「頭を下げなくっても大丈夫よ。貴女みたいにプライドの高い人がこんな時間に来るだなんて――ああ、プライドが高いからこの時間に来るのね」
「耳が痛いよ」
「ごめんなさいね」
そう言ってアリスは、まるで悪びれた様子もなくティーカップから紅茶を啜る。
「それでナズーリンさん。レミリアはなんて?」
「命蓮寺は、まだ紅魔館のパーティーに招かれるには早かった、ってね」
「ふぅん。まるでレミリアらしい言い方ね。あいつらだって新参者なのに」
「でも影響力は強いんだろう? 吸血鬼姉妹っていったら、幻想郷でもかなりの著名人だ」
「幻想郷でも屈指の個性派集団だからねぇ。しかも己を曲げないのよ」
「ふん。だからって私たちが一方的になじられて良いものか。このままでは居られないよ」
「あなた、かなりクールなほうだって聞いてたけど、思ったよりも熱いのね」
「私はああやって、人を小馬鹿にするような連中が大嫌いなんだ。ほら、私は見た目がこんなちんちくりんだろう?
いまだに飴をあげるから、だなんて懐柔しようとしてくるんだ。あの尼公は」
「大変なのね」
「ああ、でも私は、千年ぶりに会えた仲間たちを悪いように言われて黙ってられるほどお人好しでもないんだ」
アリスはナズーリンの目をじっと見つめる。
しかし、この言葉は嘘偽りない真実なのだ。
自分は星の監視役として毘沙門天から遣わされた、いわば監視役であるが、命蓮寺の面々との友情は本物だと固く信じている。
千年越しに邂逅できた仲間たちの痛みは、即ち自分の痛みでもあるのだ。
「よござんす。この仕事引き受けましょう。上海、蓬莱」
アリスが指を鳴らすと、二体の人形がスーツを抱えて部屋へと入ってきた。
ナズーリンは舌を巻いた。それは自分の体型に合わせられたスーツだった。
「まさか、私が来てほんの十分足らずで作ったのかい?」
「こんなの、人形たちにやらせた手抜き仕事よ。実際に着て貰うのは人形任せじゃなくって、私自身が手で縫うわ」
「これでも十分な出来じゃないかい? 少なくとも私は、こんなにきっちりした格好は初めてで……。なんだか、ワクワクする」
「ふん。レミリアたちは半端な仕事じゃ満足しないわ。あいつらの言ってることは、いかに自分たちをアピールさせるかってことなのよ。
手抜きが見えたらそれだけでつけこむのがあいつらよ」
「そ、そうかい……」
グレーの繊細な生地。滑らかなそれは、カシミヤヤギというヤギから取れた糸で作られているのだという。
「ああ値段? びっくりするわよ。ひっくり返るかもしれないわね。混ぜ物だけど」
こともなげに言い放つアリスと、触ってはうっとりとするナズーリン。
「で、次のパーティーは一ヵ月後でしょう。人形を総動員して採寸を合わせていって、仕上げは全て私の手縫いで仕上げるわ……。
燃えるじゃないの。レミリアに目に物見せてやるわ」
「でもアリスさん。私はまだレミリア・スカーレットの出した謎かけの意味を測りかねているのだけど」
「あぁ、そんなの。簡単よ」
歯で糸を千切ったアリスは、ナズーリンの着ているジャケットを更に詰めていく。
「レミリアはね。あそこで各勢力ごとで、部下のお披露目パーティーをしているのよ。
咲夜の格好を見たかしら? あいつもやってくれるわよね。女のくせにタキシード着て、ショールカラーのカッターにプレーントゥ。
身長だってわりとあるほうだから、男装の麗人をそのままやってのけるのよ。メイド長じゃなくて執事長だわ」
「確かに。怖いぐらいに決まっていたけれど……。でもショールカラーにプレーントゥっていうのは?」
「カッターシャツの名前と、靴の名前よ。丸みを帯びた襟に、飾りっ気のない革靴のこと。
客をもてなす側は当然、客よりも目立っちゃいけないから、格好を大人しくするのよ。それでも咲夜は目立ってるけど」
「ふぅん……」
つまり私たちは、ちぐはぐな格好をして恥を晒していたわけかと、ナズーリンは得心した。
それぞれにコンセプトを持ち、各勢力は自分たちの立ち位置を見せている中で、命蓮寺はいまだに幻想郷に根を下ろし切れていない。
聖の封印が解かれて間もないというのは言い訳に過ぎず。聖に恥をかかせたのは私たちだったのだ。
ナズーリンはそのことにため息を吐いた。
「といってもま、レミリアのパーティーはかなり緩いわよ。日本の文化のほうが強いもの、ここ」
「確かに。巫女は普段の格好で食事を貪っていたね」
「あれはちょっと、その、ね、別物なのよ。ちょっと腕を上げてみてくれる?」
「ん」
驚いたことに、人形が持ってきたときよりもずっと腕周りが動かしやすくなっていた。
まるで身体に吸い付き一体化しているかのような仕上がりに、ナズーリンは素直に感嘆の息を漏らした。
「あいつのパーティーで重要なのは、エスコートする男性役が必要ってこと。私の見立てで申し訳ないけど、貴女は男役もできそうだから」
「私が男装をしろっていうのかい? こんな背丈で?」
「背丈は関係ないのよ。というかスーツは本来、大きすぎる男性は似合わないものなのよ」
「私は一応、女性なんだけどね」
「女性が引き立つには、影になる存在が必要なのよ。いくら輝いていても、そればっかりが集まっているんじゃ目立たないでしょ?」
「ふむ」
「その中でいかに自分たちをプロデュースできるか。個性の強い連中の集まる、幻想郷ならではの洗礼ね。レミリアらしいわねホント」
「つまり、私に周りを引き立てる役回りをしろってことだね。裏方は慣れてるよ」
「よしっ、とりあえず腕周りはこれで大丈夫みたいね。目測じゃわかりにくいところもあるから、一旦外すわ。というか、脱げ」
「え、ええ……?」
「朝まで付き合ってもらうわよ。レミリアに一泡吹かせるんでしょ?
一着仕立てて、あんたんたちのところの全員連れてきて仕立てるから。
もはや一刻の猶予もないのよ。さんはいっ!」
無茶苦茶だ、とナズーリンは心の中で呟いた。スカートの下に履いたスラックスを脱がせられて、メジャーで何度も何度も測られる。
肌のすれすれを針が抜けていくのを感じながらも、スラックスは段々とお尻にぴったりと合うように詰められていく。
「な、なぁ、恥ずかしいんだけども……」
「女同士! なんなら下着から全部オーダーメイドにしてあげましょうか!?」
「~~!」
アリスの目がマジだったから、ナズーリンはそれ以上の反抗を諦めた。
朝陽が昇る頃に、ようやくナズーリンのスーツは完成した。
カシミヤグレーの生地で作られたスーツに、白いドレスシャツにチェックのアスコットタイを合わせた、少年のような格好。
上品な灰色が、太陽を浴びれば銀色にも輝くナズーリンの髪を映えさせるだろう、が。
「お嫁にいけない……」
「パンツぐらい見せとけ! 減るものじゃなし!」
アリスに何度もひん剥かれ、スリーサイズどころか内股の黒子からちょっぴり敏感なところまで全て把握されたナズーリンは、羞恥に崩れ落ちた。
「純潔を失ったことに関して、もう少し嘆かせてもらえると嬉しいかもしれない」
「大丈夫大丈夫。女同士だったら回数に入らないから」
「鬼畜だぁ……」
力を失ったナズーリンは、アリスに差し出されたチョコレートケーキを目に涙を溜めながらむしゃむしゃと食べた。
もぐもぐごっくん。
「よし泣き止んだわね。今から貴女の格好について説明するわよ」
「私の今回のスーツはえーと、カジュアルに属するんだよね?」
「そうね。今回は体の線がハッキリ出るように仕立てたから。ボタンも、一番上は留めちゃダメよ。芯地も思い切って少なくしてあるわ」
「えーと? 芯地? あとボタンは留めるものじゃないのかい?」
「芯地はスーツの表地と裏地の間に入っているものよ。良いスーツと悪いスーツの見分け方はここね。襟の部分をこすってごらんなさい。
ボタンはわざと外して着るように作ってあるの。それでタメが生まれて余裕が出るように見えるのよ」
「そうなのか。ところで衿の部分はぴったり動かないけれど」
「安物はそこがずれるのよ。値段相応のスーツかを判断するときは、試着のときに気を抜いちゃダメよ」
「ふぅん。でもどうしてここを抜いたんだい? 入っているほうが良いものなんじゃ」
「咲夜のタキシードなんかは芯地をガッチリ入れて仕上げられているはずよ。でもそれだけスーツは重くなるし、窮屈になるの」
「じゃあ、それは粗悪なんじゃ? 」
「逆に言えば引き締まるし、簡単には形が崩れないの。威厳を出したいときやお堅い席では軽薄な印象はマイナスになるもの」
「ふむ。ところで、この服には肩パッドが入っていないようだね」
薄手で軽いジャケットではあるが、なんとなく物足りない気がすると、ナズーリンは一度ジャケットを脱ぎ、ひっくり返しては戻してみたりと忙しい。
「軽く滑らかな仕立てのジャケットは、カジュアルシーンではそれなりに用いられるのよ。既製服のジャケットならむしろこれが主流になっているし。
柔らかな印象を与えるから、お堅い席でもなければ積極的に取り入れたい格好ね。
今回はそうね。咲夜はここの下衿をショールカラーと言って、装飾の欠片もないもの。シンプルだけど、優雅な雰囲気を出すには十分。
ウェイターなんかはカフリンクスも派手なものを付けず、もてなしに徹するのが基本ね。
貴女のジャケットは今回はピークドラペルを選んで、ドレッシーな感じを損ないすぎないように。
ゴージラインは少し低めに取ったわ。ラペルも細め。威厳を出すよりは、若々しさを強調したほうが貴女には似合うと思うの。
それでスタイリッシュな雰囲気を出すために、腕は細くしてみたの。胸元とくびれを表現したいならそうするといいのよ。
よく勘違いされがちだけど、サイズの大きい服は着心地はむしろ、悪いわ。腕を上げたときにそこに顕著に違いが出るから」
「専門用語が多すぎてわからないな」
「咲夜はへちま衿の質素だけど、上品な格好。貴女のは崩して着てる不良の格好」
「そっちのほうがよっぽどわかりやすい言い方だよ」
「んーまぁ、私の好きなように作るから。靴を選びましょうか」
アリスはそう言って、戸棚に並んでいる靴を一つずつ並べ始める。
「靴は足型を取れるほどの時間がないから、革を買って人形たちに作らせるわ。
少し雑な出来になると思うけど、一回のパーティー用になると思って我慢して。
例えばこれがローファーね。鈴仙なんかがよく履いてるわ。脱ぎ履きがしやすいけど、カジュアルなイメージが強すぎるわ。
プレーントウも、お客の立場として行くのならそぐわないわね。足元からお洒落をしなきゃ」
「スーツだけじゃ不十分ってことだね?」
「夜のパーティーでは靴を大人しく揃える人も多いんだけど。
今回おすすめするのはウイングチップよ。鳥が翼を広げたような飾りがつま先にあるものね。
色はグレーのスーツに合わせるのなら、黒か濃茶。今回は濃茶を選びましょう」
「明るい茶色のほうが合うんじゃないかい?」
「それじゃあ印象が軽薄すぎるのよ。取り繕いのように思われたらいやでしょ? 同じように先の尖っているものも、スーツで履くのは避けたいわね。
それと、手入れはするのは当然として、ピッカピカに磨き上げるのはダメよ」
「ふむ」
「なるべく先端だけを拭いておくのが得策ね。もちろん、座ってるときに素足が見えるのはいただけないわ。長い靴下を履くのは当然よ」
そう言ってアリスはスカートを捲る。白いふくらはぎは色っぽいと思うのだけど、見えてはいけないらしい。
「だって男だったらすね毛が見えるじゃない。何も嬉しくないわ」
ああ、ごもっとも。
「それで、他の靴は?」
「モンクストラップだとか、オックスフォードだとかホールカットだとか。もちろん混ざっているのもあるけど。見る?」
「いい、名前を聞くだけで頭が痛くなってきた」
「ま、革靴はそれぞれ目的に合わせて、何足か用意しておきたいものね。靴は一度履いたら三日は休ませるのが常識よ。
できれば、履いていないときには木のシューキーパーを入れておきましょ。
それと、履いたらブラシをかけて、定期的にクリームを塗って、しっかりと革に呼吸をさせてあげることね。
上等な靴を買っても手入れもしなかったら意味がないし、それだけを毎日履いて履き潰したら論外だわ」
「……考えたこともなかったよ」
「さ、靴はこれでいいとして、そこにこれでも被っていきなさい」
そう言ってアリスは、緑のタータンチェックのハンチング帽をナズーリンへ被せた。
「なぁ、ちょっと子供っぽすぎやしないかい?」
「鏡見る? 可愛いわよ」
アリスが気だるげに指を動かすと、ふよふよと人形が手鏡を持って現れ、それをナズーリンへと手渡した。
「ふむ……。私よりも僕のほうが似合いそうだよ、これは」
「とりあえず、それで一回あんたんとこに帰って連れてきなさい。私は寝る。疲れた」
「あ、ああ、お疲れ様。ところで代金は?」
「知らないの? 私大金持ちなのよ? 気に入った客なら無料でやってあげるわよ。さ、行った行った」
そのままソファにひっくり返ったアリスに、ナズーリンは心の中で感謝した。
初めて会ったにも関わらず、一着スーツを仕立ててくれた。
これは考えすぎかもしれないけれど、私の悔しいという気持ちを汲んでくれたのではないかと、そう思う。
紅魔館での出来事は、本来ならば枕に顔を突っ伏してじたばたと暴れたいぐらいに、悔しかった。
しかし、反撃の糸口が見つかった今は、一ヵ月後のパーティーが待ち遠しくて堪らなくなっていた。
「よしよし、まずはご主人からだ」
朝陽が眩しい。ナズーリンは徹夜明けにも関わらず、足取り軽く命蓮寺へと急いだ。
朝餉の準備を済ました面々は、様変わりしたナズーリンの格好に箸を落とした。
ぬえは手に持った味噌汁をムラサの頭へとかけてひんしゅくを買い、白蓮はナズーリンの兄弟だと思い込み、男の子の処遇に頭を悩ませた。
一輪はナズーリン×雲山に頬を染め、星は涙をナイアガラにしながら抱きついた。
「ナズーリン! そんな格好して帰ってくるだなんて……。心配してたのにっ」
「ああもう抱きつかないでって暑苦しいっ! 用事があったんだよ、私には。あのいけ好かないレミリア・スカーレットを一泡吹かせようと思って」
「一泡って、何かいい方法でも? ああナズー、ナズ!」
「頬をすりよせないでくれよ! こんな近くじゃなくたって話はできるだろう!」
「ちゅっちゅ!」
「だからキスしなくたっていいだろう! もううざったいなぁ! その挨拶はここじゃあ一般的じゃぁないよ!」
スーツ姿に興奮した星を落ち着かせるには、その後も数分の時間を要した。
なんでも、キュートなお尻や華奢な肩周りに興奮してしまった、らしい。
「ご主人は本当にダメ虎だね。本当に。躾がなっていないんじゃないか? うん? っとと、こんなことをして遊んでる場合じゃない」
「ナズ? 私はもっと遊んでもいいんだよ? うん?」
「やめてくれ気色悪い。そんなに私のスーツ姿がいいのかご主人は」
「うん」
「即答しないでくれないか。嫌になる」
なおも引っ付こうとする星を引き剥がし、ナズーリンは白蓮の前へと立った。
白蓮は上の空であった。ショタも捨てたものではないな、自分も若かりし頃は弟に対して――――
「――ということなんだ。アリスに指南を仰ごう」
「え、ああはい、ええ、ええ。貴方の部屋は私と一緒でいいかしら」
「はいはいわかったわかった行こう行こう」
「ええっ!? まだ朝なのに……ッ」
ぬえは納豆をおもむろに、ムラサへとかけた。
命蓮寺は、昨日のことを引きずりながらも、それなりに平和だった。
「ようこそ紅魔館へ。ええ、今晩は素敵なお召し物をなさっていると思いますよ。どうぞ、ごゆっくり」
咲夜は目を細めて、三組のペアを見送った。たった一月で、傍若無人で我侭の代名詞である、レミリアに認められる材料を揃えてきた。
正直なところ、気分を悪くして紅魔館の誘いには今後一切乗らないか、数ヶ月かけてようやく辿り着くかだと思っていた。
予想以上に、命蓮寺の面々は幻想郷に馴染んでいくだろうし、紅魔館とも良い関係を築けるかもしれない、と。
「うちのお嬢様をよろしくお願い致しますねっ、と」
彼女らの後姿を見送りつつ、誰にも聞こえないように呟くと、咲夜はパーティーの支度へと戻った。
今夜は、とっておきのワインを出さなければならない。
思えば、こうなる運命が、紅の両目は捉えていたのではないだろうかと考えて、それ以上考えるのは止めた。
たとえ答えが出たとしても、面白いことでもない。ただ結果がなんとなくついてきたら、それで良いのだし。
いずれにしても自分は、主人の後をついていくだけなのだから。
命蓮寺の一行が、会場についてすぐのことだった。
一月前には一蹴した命蓮寺の面々に対して、今夜はレミリアは恭しく頭を下げた。
曰く。
「我々は幻想郷でも新参者。この土地に根付くことを決めても、されど流儀の全てを捨てるわけにはいかず。
郷に入れば郷に従えとは言いますが、多少は意地を張らねば、慕う者にも申し訳が立たない。
命蓮寺で宴会などをする機会があれば、今度は我々がそちらの流儀に従いましょう。
それこそが本来、対等に付き合う友人だと紅魔館は考えます」とのこと。
その気持ちの表れか、今夜振舞われているワインは紅魔館の誇るワインセラーでも屈指のヴィンテージ物で、よほど大事なときにしか振るわれない赤ワイン、だそうだ。
(ま、私にとっちゃ美味いチーズがあればそれで十分なんだけどね)
ナズーリンはチーズを頬張りながら、命蓮寺の一行の動向を眺めていた。
ムラサはベージュを基調としたスーツを仕立て、黒のドレスのぬえをエスコートして歩いていた。
二人はじゃんけんから始まり、くじ引きから弾幕ごっこまで発展して、ドレスを着るほうを争っていた。
やはり女たるもの、主役で居たい気持ちがあったのだろうと、ナズーリンはワイングラスを傾けた。
思えば、白蓮を柱に寄り合い所帯の自分たちであったが、自分たちが主役に立つことなどついぞ忘れていた。
比較的長身の一輪は、普段着ている服の色に合わせたスーツへと身を包みながら、白いドレスの白蓮に付き添っている。
今は紅魔館の魔女とその使い魔と会話しているようだった。
そこから目線を外すと、巫女は以前と変わらずの格好で、口一杯にサラダを頬張っていた。
(ふん。私も色気よりも食い気さ。なんせ私の身長じゃあ、スーツを着ていても少年にしか見えないじゃないか)
このグレーのスーツも、命蓮寺の一行をその気にさせるために仕立てたようなものだと、ナズーリンは不貞腐れた。
パーティーが始まってからも、一人隅で全体を眺めるようにしている。それがお似合いなのだと自覚もしているし。
華やかな場所に憧れがないとは言い切るのは難しいけれど、ドレスもスーツも似合う体型ではない。そうナズーリンは考えている。
壁にもたれかかって、上等のワインを楽しむぐらいが丁度いいのだと、華やかな光景が入らぬように目線を下げた。
「ねぇそこの人。私と一緒に踊りませんか?」
下げていた目線を上げると、そこには星が立っていた。
胸を強調した、薄い黄色のドレスを着ている。ドレスは先日の古明地さとりのように、背中が大きく開かれていて、そこからは白い肌が覗いている。
同性でなければ、心臓が飛び出しそうになるぐらいになっていたんだろうなと思いつつ、ナズーリンは平静を保とうとワインを傾けた。
「私はチーズを食べるのに忙しいのさ。そも、ダンスの誘いは私のほうからするもんじゃない?」
「待ちきれなくて。今夜は私がレディをさせてもらえるんだから」
「まったく。呆れるよご主人には。私なんかをパートナーにしたら、滑稽だとは思わないのかい?」
「こんないい女を一人にさせておくほうが、よっぽど滑稽かと」
「それには同意するよ。にしても今日のご主人はいつにもまして綺麗だね」
その言葉はお世辞でもなんでもなかった。事実、何度も星の姿を目で追っていたのだから。
照れて頬を染めた星は、目を伏せる。まつげが揺れるのが、普段見ているはずなのにやけに心をかき乱す。
「女に似合う服は無限にある、って仕立て屋さんが。初めて会ったときは、ちょっと怖い人って思ったけど」
「あの人は、エンジンがかかると凄かったね。自分のことをサルト・フィニート(究めし職人)と自称してたけど、敵わないよ」
「私は、ナズが一番凄かったと思うよ」
「うん?」
「男に似合う服は、そう何着もないんだって。私は今日の誰よりも、ナズのスーツ姿が格好いいと思うよ」
「よしてくれ。ちんちくりんで格好悪いことぐらいわかってるさ」
「男性は、背景に徹する。女性を自由にする。そして、女性を守らなきゃいけないんだって。仕立て屋さんも言ってた。
間違いなく、ナズは私たちを守ってくれた立派なナイトさ」
ナズーリンは、星の言葉に耳まで真っ赤になった。
「だから私は、単にこの館の主人が気に入らなかっただけで、ご主人も聖のこともついでだったんだよ」
「ナズは、嘘が下手だな」
「な、嘘だなんて!」
ナズーリンが口を開こうとした瞬間に、唇に熱いものが触れた。
「ほら行こうナズ。ダンスが始まってしまうよ」
「がんばってる者が報われなきゃ、ストーリーは落ちないからねぇ」
レミリアはグラスに注がれた赤ワインを傾けながら、背の低いグレースーツの少女と、黄色いドレスの女を眺めながら、チーズを摘む。
霊夢は喉に肉を詰まらせてしまい、そのまま担架で運ばれていった。
スカートをたくし上げてじっと羞恥に耐えるナズーリンの前に屈みこんで色々触るアリス。想像すると素敵な光景です。
「ちょっぴり敏感なところ」正確な股下測るのにパンツを脱がして厳密にゼロ位置を当てたのですね。キュッとメジャーを押し当てて。そうか内股にホクロがあるのか……
全キャライラストで見てみたいですね。あと、クールで熱いナズーリンはやはり魅力的だ。
次はジラソーレさんの出番ですね?www
素敵なパーティの情景が見えるようでした。
咲夜さんかっけぇ
ナズーリンはかわいい
けれど、影では誰しも、そのために努力しているものですよね。
仕立ての話はあまりうまく想像できなかったが、読んでるだけで楽しかった。
是非ともイラストで見てみたいですな。
ところでさとりんの丸出しになった肩甲骨を舐め回したいのですがどこに行けば宜しいのでしょうか?
そこはかとなく漂うナズ星の気配にナムサーン
良いお話でした。
けれど流れるようなストーリで読みやすい文体で飽きない掛け合いで、すらすらと読めました。
これはイラストで見てみたいss。絵の才がない自分が恨めしい……!
素晴らしいお話をありがとうございました。
幾つか気になった部分を。
>誰もそっぽを向かなくなる
そっぽを向く が 無視する。転じて、協調しない態度をとる。 という意味なので、そっぽを向かなくなる、だと協調するとなり文脈に合わないのではないでしょうか。
>「よこざんす。この仕事引き受けましょう。
良うございます、が訛って「よござんす」、だと思っていたのですが……。どっちだろう?
>誰もそっぽを向かなくなる
なんじゃこりゃ……。修正させていただきます。orz
>よこざんす? よござんす?
正しいのは良うございますが鈍ってのよござんす、でした。
修正してきますー。ありがとうございます。
>誰もそっぽを向かなくなる
なんじゃこりゃ……。修正させていただきます。orz
>よこざんす? よござんす?
正しいのは良うございますがなまってのよござんす、でした。
修正してきますー。ありがとうございます。
ナズーリンの可愛さとか会話など面白かったです。
この職人アリスが実に良い、専門用語が理解出来た俺って…
ところでナズの採寸中の映像記録は何処で売ってますかー
お嫁に行けなくなったナズは俺のとこに来いwww
ベージュのダブルスーツで黒靴は靴が悪目立ちしそうです。
黒いスーツは確かに一見、地味に見えます。ですが他の色が映える色でもあります。
男装をして女性を引き立てるつもりなら、エスコートする女性の髪の色のチーフを胸にさすとか、眼の色の宝石やカフスを身に付けるとか、そういう方向で行ってほしかったです。
それなりの夜会なのか、スポンサーがついている芸能人のパーティーなのかという、どっちつかずの印象で終わりました。
あと>ブリティッシュスタイルの伝統的なスリーピース。その中にウエストコートを着込む。
とありますが、あの、これは間違いでしょうか?何枚着させるつもりでしょう。
10点をつけたいくらいですが好みの違いを考えて20点を入れさせていただきます。
とお嬢様に言わしめる程に、ナズーリンが生き生きとしてて満足満足。
専門用語がじぇーんじぇんよく分かんなかったけどね!!!
文章だけでナズーリンのスーツ姿が大体イメージできるところが、スーツの奥深さと言うべきか作者の技量と判断すべきか迷う。
玉の位置を触って確認する職人さん ネタが出てくるとは思わなかったw
パクリとまでは言わないが、元ネタの作品の薀蓄を詰め込みすぎて、
あの「白鳥さん」状態になってしまっている様な。
あと、一さんと霊夢、自重しろwww
パーティの参加者のドレスは全部アリス製なんですね,きっと。
Oh!嫉妬!
人間臭さをあえてナズリンから描くなんて最高だ!
あんまし出番がなくて存在感が薄かった星組メンバーも、少ない機会で適確に個性が現れてて空気が活き活きと感じた!
そしてもうダメ猫の星
ここまで種族逆転がしっくり来る関係も他にないちゅっちゅ!
ぃやっほーい!
着飾る命蓮寺の面々はぜひイラストで見てみたいものです。誰か描いてくれない物ですかね?
着飾るなんて下らねえぜ!お肉食べろっ!!
>>スーツ姿に興奮した星を落ち着かせるには、その後も数分の時間を要した。
>>なんでも、キュートなお尻や華奢な肩周りに興奮してしまった、らしい。
ああ、コレ、分かります。体にぴっちりした女性のスーツ姿は肉感が逆に強調されて色っぽいですよね。
というか、ドレスとかよりも「脱がせたい」と思って興奮するんですね?わかります。
しかしオチが相変わらず霊夢wwwwwww
前作アリス洋裁店からの続きという事は霊夢はどうやら胡瓜依存症を完治させたのか?とにかく嬉しい限り。
お肉食べろっ!!
アリスがとても魅力的。ナズも良いなぁ。命蓮寺連中はひどいw
そして霊夢、お前呼ばれてなかったんかい。アリスの言わんとしたことが理解できた。
作品に関してですが、確かに専門用語が多い。理解できる用語のほうが少ないときた。
でもそれをマイナスには思いません。なぜなら理解できない用語を並べるということが作品の一部になっているから。
主人公はナズーリン。物語の主人公に感情移入することが、作品を愉しめる秘訣だと私は思っています。
即ち、ナズーリンも判ってないんだから、読者も判らなくていいんです。そういうものです。同志ナズーリンと一緒です。
作者の書きたいものを、素直に文章にした、そんな作品に凄く好感を抱きました。
惜しむらくはナズーリン以外のキャラの仕立てシーンも読みたかった。
流石に全員分も書けば冗長になりかねませんが。(私がそういった冗長が大好きなもので)
長々と書きましたが、素直に愉しく、面白いと感じた作品でした。どうもありがとうございました。
今回の主役はナズーリン、でもアリスは最高の名脇役を演じましたね。
話の流れとして悪くはないと思いますが、自分には合いませんでした。
ごめんなさい。
元がスーツネタなので、ナズにスーツを仕立てる方向にもってたのが
ちょっと強引だったかも…でも俺得で高評価。
幻想郷のジラソーレことベジタブルマスターは農家業に忙しいので
綿の生産までですねわかります
「よござんす。」のセリフでようやく理解できた俺。
鈍すぎる・・・
余談ですが、スーツをちゃんと着こなせる人って格好いいですよね。私は大抵、ヤクザと間違われるのであんまり着たくないですが。
そして一輪が雲山とナズで何妄想してんのかとww
霊夢のオチもよかったですw