東方で遊戯王Ⅱ２９　『二人の為の戦い②』

注：前回からの続きです。




















幽々子　LP8000:手札５:伏せ１
諏訪子　LP5950:手札５:機皇帝ワイゼル∞（攻4950、蘇ハデス装備）、ワイゼルＴ、ワイゼルＡ、ワイゼルＧ、ワイゼルＣ、蘇ハデス（ワイゼル装備）



　　　　機皇帝ワイゼル∞　　　　攻撃力4950

　　　　ワイゼルＴ　　　　守備力0

　　　　ワイゼルＡ　　　　攻撃力1200

　　　　ワイゼルＧ　　　　守備力1200

　　　　ワイゼルＣ　　　　守備力600


幽々子「（機皇帝ワイゼル……。攻撃力、４９５０……）」

諏訪子「さあて。ハデスが消えたことで、もうモンスターはいなくなったわね。
　　　　この直接攻撃が通れば、リハビリするまでもなく病院に逆戻りよ」

諏訪子「バトルフェイズ。わたしの機皇帝は、それぞれのパーツが攻撃の意思を持つ。
　　　　まずはワイゼルＡ！　幽々子にダイレクトアタック！！」

幽々子「（うっ……）」LP8000→6800

諏訪子「きゃはははは！　他愛無い。少々西行寺幽々子という妖怪を過大評価してたかもね。
　　　　これならカエルデッキでも充分だったわ」

諏訪子「機皇帝ワイゼルの本体は、相手カードの対象にならない。並みのトラップなんか通用しないわよ。
　　　　大人しく、ミジャグジのはらわたに呑まれ溶けるがいいわ！」

諏訪子「やれ！　機皇帝ワイゼル∞！！　幽々子にダイレクト……」

幽々子「……させなくてよ。トラップ発動、死霊ゾーマ……！！」


《死霊(しりょう)ゾーマ/Zoma the Spirit》 †
永続罠
このカードは発動後モンスターカード
（アンデット族・闇・星４・攻１８００／守５００）となり、
自分のモンスターカードゾーンに守備表示で特殊召喚する。
このカードが戦闘によって破壊された時、
このカードを破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
（このカードは罠カードとしても扱う）


幽々子「トラップモンスター、ゾーマを守備表示で特殊召喚。攻撃できるものなら、どうぞ」

諏訪子「ふふふ、姑息姑息。いいよいいよ。その調子でどんどん浅ましく逃げ回ってちょうだいな」

諏訪子「そいつを攻撃すれば、相手に攻撃モンスターの攻撃力のバーンダメージを与えるはず。
　　　　攻撃はしないでおいてあげるわ。ターンエンド」



幽々子　LP6800:手札５:ゾーマ（罠モンスター）
諏訪子　LP5950:手札５:機皇帝ワイゼル∞（攻4950、蘇ハデス装備）、ワイゼルＴ、ワイゼルＡ、ワイゼルＧ、ワイゼルＣ、蘇ハデス（ワイゼル装備）



幽々子「あら、ありがたいわね。ドロー」

幽々子「（…………さて）」

幽々子「（機皇帝を倒すには、核である本体を破壊すること。
　　　　本体さえ倒せば、他のパーツも破壊される。でも……）」

幽々子「（機皇帝の本体……機皇帝ワイゼル∞は、カード効果の対象にできない。
　　　　炸裂装甲や次元幽閉はもちろん、月の書、強制脱出装置も通用しない。
　　　　おまけに本体そのもののステータスは低いから、地砕きを使ったとしてもパーツが身代わりになる。
　　　　やはり、四肢から順に破壊していくしかないわね）」

幽々子「（ゾーマの攻撃力はたった１８００。さほど持ちこたえられるとは思えない。
　　　　このカードだけでは、時間稼ぎにはならないわね。ならば……）」

諏訪子「ふふふ、考えてるねぇ」

幽々子「？」

諏訪子「嬉しいよ、幽々子。普段飄々としたアンタの、そんな余裕の無い表情を見れるなんてね。
　　　　過去に数えるぐらいしかいないんじゃない？　その顔を拝めた奴なんて。
　　　　神様冥利に尽きるって感じかしら」

幽々子「わたしは飄々となんか意識してたつもりはなくてよ。常にあるがまま、自然体でいるだけ」

諏訪子「きゃははっ。自然体、ねえ。
　　　　ところがどっこいこの状況、そうも言っていられないよね。
　　　　自然体っていうのは、あくまで精神が平常でなければできない芸当。
　　　　機皇帝という絶対的な恐怖の前に、いつまでその余裕を保っていられるのかな」

幽々子「（……自分のフィールドに連れ込んだ利か。随分と余裕ぶって……いや、本心ね。
　　　　彼女は本当に、このデュエルに勝つことなど造作も無いと思っている。
　　　　赤子の手を捻る、いや、呼吸をする程度のことと。
　　　　それも慢心などではなく、客観的、分析的事実を礎として……）」

幽々子「（うふふふふ……面白い。決闘は、こうでなくては。
　　　　殺気を向けられるなんて、何百年ぶりかしら。
　　　　亡霊となってからは決して味わえない感覚だわ）」

幽々子「わたしは手札から、この魔法カードを発動。生者の書、禁断の呪術！」


《生者(せいじゃ)の書(しょ)－禁断(きんだん)の呪術(じゅじゅつ)－/Book of Life》 †
通常魔法
自分の墓地に存在するアンデット族モンスター１体を特殊召喚し、
相手の墓地に存在するモンスター１体をゲームから除外する。


幽々子「墓地のアンデットを特殊召喚。同時に、あなたの墓地のモンスター一体を除外する。
　　　　わたしはピラミッド・タートルを攻撃表示で特殊召喚し、ワイズ・コアを除外するわ」


《ピラミッド・タートル/Pyramid Turtle》 †
効果モンスター
星４/地属性/アンデット族/攻1200/守1400
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキから守備力２０００以下のアンデット族モンスター１体を
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


諏訪子「コアを除外、ね。ふふふ、やってくれるじゃん。
　　　　これで機皇帝の再召喚を防いだ、なぁんて事を思ってるのかな？」

幽々子「いいえ。そこまで驕るつもりはなくてよ。できればパーツを除外したかったもの。
　　　　あなたのデッキは構成上、キーカードであるコアのカードは間違いなく複数入っている。
　　　　１枚除外したところで、あなたはまたすぐ引いてこないとも限らない。
　　　　でも対して、機皇帝の各パーツは、投入は１枚のみでいい。
　　　　だから墓地にパーツが落ちていれば、今度は遠慮なくそっちを除外するわ」

諏訪子「ふ、ふふふふふ……。面白いわね。やるじゃない。
　　　　初めて戦うデッキの特性を、こうも早く見抜くなんて」

幽々子「あら、否定はしないの？　意外ね。
　　　　それとも、寸鉄蛙を刺しちゃった？」

諏訪子「きゃはっ、図星っていいたいわけ？　状況を飲み込めてないのはアンタでしょ。
　　　　召喚を防いだとしても、結局先の話だよね。
　　　　わたしの場にはすでに、攻撃力４９５０の機皇帝ワイゼルが出ている。時既に遅しってヤツ？　
　　　　そんな未来のことより、現実に今目の前に居る機皇帝をなんとかしなきゃならないんじゃないかなぁ？」

幽々子「いちいちお喋りな子供だこと。ゾーマを攻撃表示に変更。バトルフェイズよ。
　　　　死霊ゾーマで、機皇帝ワイゼル∞に攻撃！」

諏訪子「ハッ、浅知恵ねぇ！　自爆特攻で、無理やりゾーマの効果ダメージを与えようってわけ。
　　　　させるわけがないわ！」

諏訪子「ワイゼルガードの誘発効果発動！　
　　　　わたしの場のモンスターが攻撃対象にされた時、その攻撃をこのカードに変更する！
　　　　よってゾーマの攻撃は、ワイゼルガードが受ける！」

幽々子「残念だけど、それぐらいわかっていてよ。
　　　　ワイゼルガードを破壊したから、これでわたしのモンスターは好きに攻撃ができる。
　　　　わたしの狙いはこっちよ。ピラミッド・タートル、ワイゼルアタックに攻撃なさい！」

諏訪子「攻撃力は同じ。相打ちかな」

幽々子「でもわたしのピラミッド・タートルは、戦闘で破壊された時にデッキからアンデット族を特殊召喚する効果がある。
　　　　ふふふ、来なさい。ノーブル・ド・ノワール」


《ノーブル・ド・ノワール/Patrician of Darkness》 †
効果モンスター
星５/闇属性/アンデット族/攻2000/守1400
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手モンスターの攻撃対象はこのカードのコントローラーが選択する。


諏訪子「（これは……吸血鬼か）」

幽々子「機皇帝は、場のパーツカードが無くなればその分能力も下がっていく。
　　　　今度はその脚よ。ノーブル・ド・ノワールで、ワイゼルキャリアに攻撃！」

諏訪子「ふん。ワイゼルキャリアは破壊されるわ」

幽々子「これで両腕両足が欠損。五体不満足ね。くすくす。
　　　　裏守備とリバースカードをセット、ターンエンドよ」



幽々子　LP6800:手札３:ノワール、ゾーマ（罠モンスター）、裏守備、伏せ１
諏訪子　LP5950:手札５:機皇帝ワイゼル∞（攻2950、蘇ハデス装備）、ワイゼルＴ、蘇ハデス（ワイゼル装備）



諏訪子「……いい具合に調子に乗ってくれてるじゃん。ドローするわ」

諏訪子「ねぇ、カードに封印される前に、いっこだけ聞かせてよ。
　　　　《七色のレアハンター》がわたしだってことに気づいたのは、わたしがここに来て初めてじゃないんだよね？」

幽々子「まあね」

諏訪子「ふうん、じゃあいつから？」

幽々子「さっきも言ったけど、最初に不信を抱いたのは、あなたの帽子からカードが出てきた時。
　　　　だけど、確信に変わったのは、あの次鋒戦ね」

諏訪子「次鋒戦？　それって……」

幽々子「そう、あなたのデュエルの時よ。
　　　　いい勝負にしてみせてたかもしれないけど、あなた、あきらかに手を抜いてたわよね？
　　　　プレイングを改めて見れば、いろいろとおかしかった。
　　　　『粋カエル』の効果を最後まで使わなかったのも妙だし。あとは例えば、最後のあなたの手札は『裏ガエル』だったわね。
　　　　だったら、なぜ場に出さなかったの？
　　　　メインフェイズ２でセットしておけば、裏ガエルの効果で、後先ぬえのシンクロモンスターは除去できるはず。
　　　　なのに伏せなかった。そこでピンときたのよ。
　　　　こいつは、本当は勝つ気が無いんじゃないかってね」

諏訪子「…………」

幽々子「当たり前のことだけど、自分の計画を何より優先するべきであるあなたは、勝ち負けには興味が無かった。
　　　　いやむしろあなたからしたら、あの試合は負けておきたい場面だったのよ。勝ち星調整のためにね。
　　　　あそこであなたが勝ってしまえば、地上チームは二勝、早くもリーチがかかってしまう。
　　　　そうなれば次の試合の結果如何によっては、早々に大会が終了してしまうかもしれない。
　　　　裏で霊烏路空らが全ての事を終えるまでには、あなたは大会を終わらせることだけは避けなければならなかった。だからよ」

諏訪子「……なるほどね。じゃあ、わりと最初の方から怪しまれてたってことか」

幽々子「そういうこと。慣れないことはするものじゃないわね、諏訪子。
　　　　道化にも二流と三流がいるということかしら。くすくすくす……」

諏訪子「ふふふ……きゃはははは。
　　　　アンタさ、つくづく間違えてるよ。命乞いの仕方ってやつをさ」

諏訪子「でも、幸運ね。わたしの機皇帝はまだ実力の半分も出してない。
　　　　だからきっと、嫌でも勉強することになる。
　　　　なぁに、簡単よ。死ぬ前に一言、『命だけは』って泣き叫ぶだけでいいんだからね！」

諏訪子「わたしは場のワイゼルＴをリリースし……手札から、ワイゼルＴ３を守備表示で特殊召喚！！」


《ワイゼルＴ（トップ）３（スリー）》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星３/闇属性/機械族/攻 600/守 0
このカードは自分フィールド上に存在する「ワイゼルＴ」１体をリリースし、
手札から特殊召喚することができる。
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。
１ターンに１度、相手の魔法・罠カードの発動を無効にし破壊することができる。


幽々子「（パーツが……強化された！？）」

諏訪子「これぞ機皇帝の真骨頂。各パーツを追加することで、無限に機皇帝は強化されていくのよ！　
　　　　さらに手札から、ワン・フォー・ワンを発動！」


《ワン・フォー・ワン/One for One》 †
通常魔法（制限カード）
手札からモンスター１体を墓地へ送って発動する。
手札またはデッキからレベル１モンスター１体を
自分フィールド上に特殊召喚する。


諏訪子「手札の２枚目のワイズ・コアを墓地に送り、デッキのレベル１のモンスターを特殊召喚する。
　　　　さあ来なさい、機皇帝が新たな五肢！　グランエルトップ！！」


《グランエルＴ（トップ）》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星１/地属性/機械族/攻 500/守 0
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。
１ターンに１度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を選択し、
そのモンスターの効果をエンドフェイズまで無効にすることができる。


幽々子「（別の機皇帝のパーツまで……まずいかしらね、これは）」

諏訪子「守備表示。機皇帝のパーツカードは、それぞれに互換性を持つのよ。
　　　　優先権を行使、グランエルトップの起動効果発動。
　　　　ふふふ……こいつはねえ、１ターンに一度、相手の場のモンスター１体の効果を無効にできるんだよ」

諏訪子「その吸血鬼は、こちらの攻撃対象を自在に選択できる効果があるんだったわね。
　　　　ワイゼルの攻撃をゾーマに受けさせ、わたしに攻撃力分のダメージを与えようっていうんでしょ。
　　　　やれやれだわ。まったくもって、浅知恵にも程がある。グランエルＴの効果で無効にするよ」

諏訪子「ゾーマはトラップモンスターだから、効果を無効にはできないけど……。
　　　　でも、その吸血鬼の能力さえ封じれば充分。
　　　　そして新たなパーツが増えたことで、機皇帝ワイゼル∞の能力も上昇する！」


　　　　機皇帝ワイゼル∞　　　　攻撃力3550


幽々子「（せっかくパーツを破壊して攻撃力を下げたのに、また……。
　　　　やはり本体を倒す必要が……）」

幽々子「（なら……）」

諏訪子「ほんと、浅知恵すぎて見てられないんだよねぇ。
　　　　残り少ないアンタの人生を有意義に過ごすために、一つ、アドバイスしてあげようか？」
　　　　頭ってのはね……生きているうちに使っておくもんなのよ！　きゃははは！」

諏訪子「さあ、まずはその目障りな吸血鬼からだよ！
　　　　機皇帝ワイゼル∞で、ノーブル・ド・ノワールに攻撃！！」

諏訪子「古の戦火（いくさび）に包まれよ！！　諏・訪・大・戦！！！」

幽々子「く……」LP6800→5250　

諏訪子「ノワールを粉砕。カードを２枚セットするわ。
　　　　いち亡霊如きが、土着神の集合体であるワイゼルに敵うわけがない。
　　　　さあ、アンタのターンよ。試すといいわ、次なる無駄な抵抗をね」



幽々子　LP5250:手札３:ゾーマ（罠モンスター）、裏守備、伏せ１
諏訪子　LP5950:手札１:機皇帝ワイゼル∞（攻3550、蘇ハデス装備）、ワイゼルＴ、グランエルＴ、蘇ハデス（ワイゼル装備）、伏せ２




幽々子「ドロー……するわ」

幽々子「代わりといってはなんだけど、わたしからも聞きたいことがあるの。いいかしら？」

諏訪子「へえ、何かな何かな？　
　　　　死ぬ前ぐらい、せっかくなんだし何でも聞いてあげるよ。洩矢の神は懐が広いの」

幽々子「……じゃあ、三つ。
　　　　わたしの推理では、この大会の件、あなたはさとりの方から直接聞いた。
　　　　つまり、元々あなた達は面識があったということよね。
　　　　なぜあなたが、地底深くに住むさとりと知り合いだったの？」

諏訪子「なんだ、そんなことでいいの？　
　　　　もともと霊烏路空にヤタガラスの力を与えたのは、わたしと神奈子。恩を感じて当然よ。
　　　　だからさとりの奴は、わたしには逆らえなくてね。
　　　　そのおかげで以前は霊烏路空を借りて、核融合施設なんてのも作ったりしたけど。
　　　　あいつの妹だってよく神社に参拝に来るし、割と仲はいいのよ」

諏訪子「でも、ま、それも今夜限りなんだけどね。
　　　　信じられる？　あいつってばあろうことか、さっきの宴会の間わたしをずっと無視してたの。
　　　　こっちがどれだけ怒り心頭かわかってるはずなのに、平気な顔で鍋を食べてたのよ。
　　　　許せないよね。祟りたくて祟りたくてしょうがなかったわ」

諏訪子「ま、あいつらの調教はいつでもできるからね。
　　　　まずは八雲紫、そして幽々子、アンタよ。
　　　　勘違いしないでほしいんだけど、わたしがこうしてアンタの話を聞いてあげているのは、
　　　　アンタが今話している言葉が遺言に等しい価値だからよ。
　　　　それぐらいの温情はかけてあげないとね」

幽々子「……二つ目。あなたが勝ったら、わたしはどうしなきゃならないんだったかしら？」

諏訪子「はあ？　なによ、まさか、忘れたから許してくれだなんて、そんな虫のいいことを口走るつもりなの？
　　　　はははっ、何それ」

諏訪子「でも、無駄よ。いくら哀願しようとも、お前の運命は決まっている。
　　　　カードに封印され、お前の魂は永遠に幽獄の狭間で凍結される。
　　　　神様が簡単に手の平返しちゃ、信仰も集まらないしねぇ。有言したからには実行しなきゃいけないわけよ。
　　　　だから、どんなおもしろおかしい頼み方をしても無駄。お生憎様ってやつだよ」

幽々子「…………」

諏訪子「三つ目は何？　
　　　　ああ！　ひょっとしてあれかなあ。
　　　　アンタの残りの寿命が知りたいんでしょ？　きゃはははは」

幽々子「……つくづくお喋りな神様ね。楽観的、と言ったほうがいいかしら」

幽々子「三つ目。わたしが負けたらカードに封印、だったわね。
　　　　なら、逆の場合は？」

諏訪子「えっ？　逆？」

幽々子「そう。わたしが勝ったら、あなたはどうしてくれるの？」

諏訪子「…………ああ～～。そうねそうね。
　　　　ごめんねぇ、自分が負けるパターンなんて考えたこともなかったから、すっかり忘れてたわ。
　　　　そうよねそうよね。いや、申し訳ない。きゃはははは」

諏訪子「アンタの好きにするといいよ。殺すなり、幻想郷を追放するなり、ご自由にどうぞ。
　　　　わたしも神様だからね。どんな約束も違えることはないわ」

幽々子「気前がいいのね。
　　　　だったら、そうねぇ……しばらく、わたしの庭の剪定でもやってもらおうかしら」

諏訪子「剪定～……？　
　　　　ハハッ、すでにガキの庭師がいるじゃん」

幽々子「そう。だから、あなたはそのガキの手伝いということになるわね。
　　　　ああ、仕事を教えてもらう立場だから、手伝いじゃなくて小間使いかしら」

諏訪子「……ったく。つくづくわからないわね。
　　　　呆れるわ。どこまで虚勢を張れば気が済むのやら。
　　　　ひょっとして死ぬまで？」

幽々子「くすくす。虚勢なんて、張ったもの勝ちじゃなくて？
　　　　まあ、そういう意味じゃ、今はあなたに分があるみたいだけど」

諏訪子「…………どうやら本格的にイカれてるみたいね。
　　　　わかったよ。狂人の相手なんていつまでもしてられない。
　　　　次のターンで沈めてやるわ。アンタの命ごとね」

幽々子「ふふふ……。命、ね」

諏訪子「？」

幽々子「さっきはあなたにありがたいアドバイスをいただいたからね。
　　　　命を司る身として、わたしからも一つ、忠告をお送りするわ」

幽々子「覚えておきなさい。
　　　　命というものはね……他人の命を軽く見た時から、自分のそれも軽くなるものなの。
　　　　わたしは、裏守備を反転召喚。これはライコウよ」


《ライトロード・ハンター ライコウ/Ryko, Lightsworn Hunter》 †
効果モンスター
星２/光属性/獣族/攻 200/守 100
リバース：フィールド上に存在するカード１枚を選択して破壊する事ができる。
自分のデッキの上からカードを３枚墓地へ送る。


幽々子「リバース効果発動。フィールド上のカードを何でも１枚、破壊することができる。
　　　　機皇帝の本体は効果の対象にはできないけど……わたしは機皇帝ワイゼルに装備した、ハデスを破壊するわ」

諏訪子「……！」


　　　　機皇帝ワイゼル∞　　　　攻撃力1100


幽々子「虚仮おどしね。吸収したシンクロモンスターさえ破壊すれば、パーツが頭二つしかないつぎはぎに過ぎない。
　　　　噂の機皇帝も、思ったほどではないといったところかしら。
　　　　ライコウの効果で、さらにデッキから三枚墓地に送るわ」


　　つ　ダブルコストン
　　　　ゾンビ・マスター
　　　　真紅眼の不死竜


幽々子「もはやこうなれば、あなた自慢のモンスターも下級モンスターにすら劣る攻撃力しかない。
　　　　なら、こいつらだけで充分ね」

幽々子「死霊ゾーマで、機皇帝ワイゼル∞を攻撃。悉皆彷徨……！」

諏訪子「っ……！　
　　　　……ハッ！　ならこいつをくらうといいよ！
　　　　トラップ発動、インフィニティ・フォース！！」LP5950→5250


《インフィニティ・フォース》 †
通常罠 (TF5オリジナル)
自分フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合に
自分がダメージを受けた時に発動する事ができる。
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。


諏訪子「相手フィールドのモンスターを全て破壊する！
　　　　死霊ゾーマ、ライコウを破壊！」

幽々子「（くっ、こんなトラップが……。でも……）」

幽々子「機皇帝の本体が破壊された時、あなたの機皇帝のパーツも全て破壊される。
　　　　ワイゼルＴ３、グランエルＴを破壊。
　　　　裏守備と伏せカードを２枚セットして、ターン終了よ」



幽々子　LP5250:手札１:裏守備、伏せ３
諏訪子　LP5250:手札１:伏せ１



諏訪子「ハハハッ！　ワイゼルを破壊したぐらいで調子に乗んなっての！　ドロー！！」

諏訪子「貪欲な壷よ。墓地のワイゼルＴ、ワイゼルＡ、ワイゼルＣ、グランエルＴ、
　　　　そしてワイゼルＴ３をデッキに戻し、さらに２枚ドロー！」


《貪欲(どんよく)な壺(つぼ)/Pot of Avarice》 †
通常魔法
自分の墓地に存在するモンスター５体を選択し、
デッキに加えてシャッフルする。
その後、自分のデッキからカードを２枚ドローする。


諏訪子「くくく……きたきた。
　　　　手札から……スカイ・コアを召喚！！」


《スカイ・コア》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星１/風属性/機械族/攻 0/守 0
このカードは１ターンに１度だけ、戦闘では破壊されない。
このカードがカードの効果によって破壊された時、
自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
その後、自分のデッキ・手札・墓地から
「機皇帝スキエル∞」「スキエルＴ」「スキエルＡ」「スキエルＧ」「スキエルＣ」をそれぞれ１体特殊召喚する。


幽々子「（なっ……！　まさか、また！？）」

諏訪子「きゃははははは！　機皇帝が一体だけだと思った？
　　　　だから浅薄だって言ってんのよ。
　　　　アンタがワイゼルに四苦八苦している間に、こっちはとっくに次の機皇帝を召喚する体勢ができていたの。
　　　　リバースカードオープン、スパーク・ブレイカー！！」


《スパーク・ブレイカー》 †
永続罠 (TF5オリジナル)
１ターンに１度、自分フィールド上に存在するモンスター１体を選択して破壊する事ができる。


諏訪子「このカードの効果で、わたしの場のモンスター、スカイ・コアを破壊。
　　　　墓地に送られたスカイ・コアの誘発効果が発動するわ！」

諏訪子「さあ、来るがいいわたしの下に！　特殊召喚！
　　　　スキエルＴ！　スキエルＡ！　スキエルＧ！　スキエルＣ！」


《スキエルＴ（トップ）》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星１/風属性/機械族/攻 600/守 0
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。


《スキエルＡ（アタック）》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星１/風属性/機械族/攻1000/守 0
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。


《スキエルＧ（ガード）》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星１/風属性/機械族/攻 200/守 300
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。
１ターンに１度、自分フィールド上に存在するモンスターが攻撃対象に選択された時、その攻撃を無効にすることができる。


《スキエルＣ（キャリア）》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星１/風属性/機械族/攻 400/守 0
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。


諏訪子「合体！！　降臨せよ、機皇帝スキエル∞！！！」


《機皇帝（きこうてい）スキエル∞（インフィニティ）》 †
効果モンスター (TF5準拠)
星１/風属性/機械族/攻 0/守 0
このカードの攻撃力・守備力は、このカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
「ワイゼル」・「グランエル」・「スキエル」と名のついたモンスターの攻撃力分アップする。
このカードは相手のカードの効果の対象にならない。
１ターンに１度、相手フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスターを
装備カード扱いとしてこのカードに１体のみ装備することができる。
このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。
「∞」と名のついたモンスターは自分フィールド上に１体しか表側表示で存在できない。


　　　　機皇帝スキエル∞　　　　攻撃力2200

　　　　スキエルＴ　　　　守備力0

　　　　スキエルＡ　　　　守備力0

　　　　スキエルＧ　　　　守備力300

　　　　スキエルＣ　　　　守備力0


幽々子「（二体目の機皇帝……。
　　　　まさか、こうも容易く召喚できるとは……）」

諏訪子「まだだよ！　手札から、永続魔法発動！　一族の結束！！」


《一族(いちぞく)の結束(けっそく)/Solidarity》 †
永続魔法
自分の墓地に存在するモンスターの元々の種族が
１種類のみの場合、自分フィールド上に表側表示で存在する
その種族のモンスターの攻撃力は８００ポイントアップする。


諏訪子「わたしの墓地には機械族しかいない。
　　　　このカードの効果でわたしの場の機械族は全て、攻撃力が８００ポイントアップする。
　　　　ふふふ、この意味がわかるかなぁ？」

幽々子「（……〝全て〟？　ということは、まさか……！？）」

諏訪子「きゃははは！！　気づいたようね！　
　　　　機皇帝の攻撃力は、場のパーツの攻撃力の合計になる！！
　　　　これにより、機皇帝スキエルの攻撃力は……」


　　　　機皇帝スキエル∞　　　　攻撃力6200


幽々子「（六千……二百！？）」

諏訪子「それよ、それ！　その驚いた顔。そういうのが見たかったんだよね」

諏訪子「でも……まだだよ。さらにスキエルＡをリリース！
　　　　スキエルＡ３を攻撃表示で特殊召喚！！」


《スキエルＡ（アタック）３》 †
効果モンスター (TF5オリジナル)
星３/風属性/機械族/攻1200/守 0
このカードは自分フィールド上に存在する「スキエルＡ」１体をリリースし、
手札から特殊召喚することができる。
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。
１ターンに１度、自分のメインフェイズ時に自分フィールド上に
表側表示で存在するモンスター１体を選択して発動することができる。
選択したモンスターはエンドフェイズ時まで攻撃力が半分になり、このターン相手プレイヤーに直接攻撃することができる。


諏訪子「スキエルＡ３の起動効果発動！　
　　　　スキエルＡ３はわたしの場のモンスターの攻撃力を半分にすることで、そのモンスターが直接攻撃できるようにするの。
　　　　わたしが選択するのは当然、機皇帝スキエル∞。
　　　　これでわたしの機皇帝はこのターンダイレクトアタックができるわ！」

幽々子「（なっ……！？）」

諏訪子「半分にしても、機皇帝スキエルの攻撃力は３２００。
　　　　愚鈍な亡霊の魂魄一つ吹き飛ばすには充分すぎる。
　　　　バトルフェイズよ！　機皇帝スキエル∞で、幽々子にダイレクトアタック！！」

諏訪子「命無き亡霊め！　死にまみれ、死とまぐわうがいい！！
　　　　土着神、御射軍神さま！！！」

幽々子「（……クッ―――！　うぅっ！？）」LP5250→2050

幽々子「（…………意識が、身体の妖気が抜けていく？）」

幽々子「（やはり、ね……。この空間、現世と幽界の狭間の世界とみて間違いない。
　　　　霊体の消耗は、生命力の枯渇。おそらくライフがゼロになる頃には、根こそぎ妖気が持っていかれているはず……）」

幽々子「（このままでは……）」

諏訪子「さっきの言葉、そのまま返そうかな。もう疲労困憊、五体不満足ってところでしょ。
　　　　幽体であるアンタは、精神力がそのまま命の多寡に繋がる。
　　　　死に物狂いで意識を繋ぎとめることを勧めるよ。
　　　　もっとも今となっちゃ、わたしを楽しませるためだけに存在する命だけどね。きゃはははは！」

幽々子「（く……）」

諏訪子「ほらほらぁっ！　スキエルＡ３は攻撃表示よ！　裏守備を攻撃！」

幽々子「……メタモルポットよ。リバース効果発動」


《メタモルポット/Morphing Jar》 †
効果モンスター（制限カード）
星２/地属性/岩石族/攻 700/守 600
リバース：お互いの手札を全て捨てる。
その後、お互いはそれぞれ自分のデッキからカードを５枚ドローする。


幽々子「お互い手札を捨てて、５枚ドローするわ」

諏訪子「ふふっ、ここで手札補給とはファインプレーだったね……
　　　　と、言いたいとこだけど、メタポの可能性ぐらい考えていたわよ。
　　　　わたしに捨てる手札は無い。５枚ドローさせてもらうからね」

幽々子「……あら。わかってて効果を発動させたの？　意外ね」

諏訪子「意外……？　きゃははは！　
　　　　言ったでしょ。アンタには義務があるのよ。わたしを精一杯楽しませるっていう義務がね。
　　　　そのためなら、塩ぐらいいくらでも送ってやるわ。
　　　　わたしの徹夜の計画を台無しにしてくれたんだもの。タダじゃ殺さないわ。
　　　　この怒りに見合うぐらいのエンターテイメントを提供してもらわないと、割りにあわないのよ！」

諏訪子「だいたいさあ、アンタはまだいまいち主旨を理解してないのよね。
　　　　もうとっくに、勝敗がどうとかいうレベルじゃないのよ。
　　　　この空間に引き込んだ以上、わたしの勝ちはとっくに確定しているんだからね。それを……」

幽々子「ふ……そういう意味じゃなくてよ。わたしが意外と言ったのは、慢心が過ぎるということ。
　　　　ましてや、土着神の頂点に君臨するくせに、ね」

諏訪子「……ハッ。なによなによ。手札が増えて態度もでかくなっちゃったって話？」

諏訪子「愚図め。だから貴様ら妖怪は低脳なのよ。
　　　　ドローしたのはわたしも同じってこと、忘れてんじゃないの？」

幽々子「親切からの忠告よ。
　　　　一応確認しておくけど……あなた、今回の件について悔い改める気はあるのかしら？」

諏訪子「……はあ～？　なんだろ、よく聞こえなかったわね。悔い改めるとかどうとか」

諏訪子「２枚伏せて、ターン終了。エンドフェイズに、スキエルの攻撃力は元に戻るわ」



幽々子　LP2050:手札５:伏せ３
諏訪子　LP5250:手札３:機皇帝スキエル∞（攻6400）、スキエルＴ（攻1400）、スキエルＡ３（攻2000）、スキエルＧ（攻1000）、スキエルＣ（攻1200）、結束、スパークブレイカー、伏せ２



諏訪子「ねえ、アンタもさ。いい加減、おもねりって言葉、覚えたほうがいいんじゃない？
　　　　こうも傲岸不遜だと、他人を接して生きるのも大変だと思うんだよね」

幽々子「…………」

諏訪子「ああ、そうだ。あんまりわからないアンタに、一つ、謎かけでもしてあげようかな」

幽々子「……謎かけ？」

諏訪子「そう、謎かけ。じゃあ、いくね？
　　　　〝人を死に至らしめるのを防ぐのが最も簡単な方法と、最も難しい方法。それぞれ何だと思う？〟」

幽々子「…………簡単すぎる問いね。死を司るわたしに対して」

諏訪子「へえ。じゃあ、答えてごらんよ」

幽々子「答えは、どちらも同じ。
　　　　〝自殺〟よ。違う？」

諏訪子「……ふふふふふ。正解。
　　　　自殺は本人にその気が無ければ、絶対に起こらない。でも逆だったら、周りの者に止める術は無い。
　　　　ま、ここはさすがと言っておこうかな。
　　　　昔早苗に聞いたら……何だったかなぁ。時間かけた上に、確か服毒死なんて見当違いな答えが返ってきたからね」

諏訪子「そう、自殺。わたしもこんな神様だから、自ら死に行く人間どもを腐るほど見てきたわ。
　　　　でも、こちらから自殺に追い込んだことは、あんまり無いの。
　　　　だから、アンタがおもねりを理解して死んでいけるように、慈悲を与えてあげる」

幽々子「……自殺、もとい、サレンダーしろと、そういうことかしら？」

諏訪子「ふふふふふ、こういうときだけ勘が働くってのも考え物だよね。
　　　　そうよ。これはアンタにしてあげられる最後の情け、神仏の御心よ。
　　　　選ばせてあげる。今ここでサレンダーして負けを認めるか……それとも、八雲紫を差し出すか、ね」

幽々子「…………」

諏訪子「あいつを異次元から引きずり出して、守矢神社に跪かせなさい。
　　　　そして以後の幻想郷では、わたし達に口出しはしないと、そしてこの先ずっと従属を誓うと、そう約束させなさい。
　　　　百歩譲って、ここまでしたらアンタらの命は見逃してやらないでも……」

幽々子「……悪いけど、無理な相談ね」

諏訪子「…………」

幽々子「だって、あなたに見逃してもらう前に、わたしがあなたを見逃さなきゃならないじゃない？　
　　　　だからそれだけはどうしても、無理な相談だわ」

諏訪子「……チッ、ここまで馬鹿だったとは。まさに、神も羨む愚かさよね」

諏訪子「ま、いずれにせよ。アンタを封印すれば邪魔立てする奴はもういない。
　　　　アンタのご友人も、戻ってきた時にアンタが消えてたと知ったら、さぞ悲しむだろうね」

幽々子「悲しむ？　ふっ、それは無いわ」

諏訪子「……？
　　　　ああ、そっか。紫みたいな奴が、そんなまともな感覚持ち合わせてるわけないもんね！
　　　　果たして、泣いてくれるといいね、あいつ。きゃははははは！」

幽々子「……そうね。
　　　　仮にわたしがどれだけ無残な息絶え方をしても、あいつは涙どころか、眉一つ動かさないでしょう。でも……」

幽々子「それはあくまで、わたしが負けた時の話。
　　　　その前提を介さない限り、おきようもない現実なの。
　　　　現にその機皇帝を倒す算段も、もうついていてよ」

諏訪子「（何……？）」

幽々子「予言してあげるわ。今にあなたの機皇帝は、〝自らの炎に焼かれ五体を砕き散らす〟。
　　　　そう、地獄の炎にね」

幽々子「…………わたしのターンよ。ドロー！！」

諏訪子「（自らの、炎だって……？　こいつ……）」

幽々子「念のため、最後にもう一度だけ訊こうかしら。
　　　　あなた、自らの行いを悔い改める気は無いの？」

諏訪子「……なんなの？　今度は禅問答？　
　　　　わたしはさっきから言ってるじゃん。むしろ、アンタが後悔しろってさ」

幽々子「やれやれね……。反省だけなら猿でもできるというのに。
　　　　ああ。ということは、あなたは猿以下ということかしら？　くすくす」

諏訪子「…………。
　　　　アンタさ……ほんっとにムカつくね。
　　　　何度言わせれば気が済むのかなあ？
　　　　あのさ、認めたくないのもわかるけど、いい加減主旨を理解したら？」

幽々子「主旨？」

諏訪子「そう。主旨よ。
　　　　幽々子。アンタの魂は今、地獄の門のたもとでしゃがみこんでいるの。審判を待つだけの身なんだよ。
　　　　断罪するのはこのわたし。敗北という刑からは、どうあっても逃れられない。
　　　　今のアンタにできることといったら、審判を下すわたしに対して、泣いて減刑を哀願するぐらいしかないのよ」

諏訪子「なのに……何？　さっきから聞いてれば。
　　　　延々馬鹿みたいに、勝つのは自分みたいな台詞ばっかり吐いてさ。
　　　　アンタが足掻いてデュエルが長引くのはこちらとしちゃ楽しいんだけど、その態度は正直冷めるのよね。
　　　　ウザイよ、いい加減」

諏訪子「こっちは手心加えてやるって言ってんのよ？　なのに、なんで従わないの。
　　　　このままじゃ、本当に一生カードの中なのよ！　わかってんの！？」

幽々子「あら。これがカードゲームである以上、最後までなにが起こるかわからない。
　　　　それは当然じゃなくて？　どんなアクシデントが起こるかもね」

諏訪子「アクシデント……ですって？」

幽々子「ほうら、例えば……わたしがこんなカードを引いてしまった場合は、どうするのかしら。
　　　　リバースカードオープン、ブラック・ホール」


《ブラック・ホール/Dark Hole》 †
通常魔法（制限カード）
フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。


諏訪子「（なっ！　ブラック・ホール……！？）」

幽々子「効果は説明するまでもないわね。
　　　　機皇帝は対象にならなくとも、対象をとらないこのカードならなんの問題無い。これで……」

諏訪子「……ハハハッ！　これで、なに？　これで機皇帝を倒したなんて言いたかった？
　　　　つくづくおめでたいよね、アンタってさぁ！」

諏訪子「チェーンして、リバースカードオープン！　ゴースト・コンバート！！」


《ゴースト・コンバート》 †
通常罠 (TF5オリジナル)
自分フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、
自分の墓地に存在する機械族モンスター１体をゲームから除外して発動する。
相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。


諏訪子「きゃはははは！　墓地のスキエルＡを除外するわ。
　　　　このカードは、相手の魔法・罠・モンスター効果を全て無効にできる。
　　　　よってブラック・ホールは不発。そして発動後、このカードを再度セットする。
　　　　これぞ古より民に疎まれ敬われた祟り神の力！　わたしの機皇帝に隙なんて無いのよ！」

幽々子「（なんてカード……あらゆる効果を無効にするうえに、再利用も可能。
　　　　発動するだけでアドバンテージを得られるなんて）」

幽々子「（でも……）」

幽々子「ひどいことするわ。
　　　　でもセットということは、少なくともこのターンはもうそのカードは使えないということ。
　　　　なら、なんの問題も無いわね」

諏訪子「（こいつ……。どこまで減らず口を……）」

諏訪子「……いちいち省みない奴だね。この状況わかってんの？　
　　　　わたしの場には攻撃力６０００を超える機皇帝。アンタが負けたら、カードに封印される。
　　　　それはもう厳然たる決定事項。何度も言うけど、一生、いや、永遠にそのままなのよ」

幽々子「らしいわね。わたしが負けたら、だけど。万が一」

諏訪子「（万が一……ですって……？　このっ……！）」

諏訪子「なによ……それ！　その余裕がムカつくって言ってんのよ！」

幽々子「……！」

諏訪子「そうよ……お前も、あの紫も！
　　　　八百万の頂点にいるわたし達に対して、あたかも自分達が同列以上みたいな顔をして！」

諏訪子「驕るな！　神々の視座では、貴様らも、虫けらも、ただの等しい命に過ぎない！
　　　　せめてその身尽きすことで、己の矮小さを知れ！！」

幽々子「…………」

幽々子「どうでもいいけど……あなた」

諏訪子「……？」

幽々子「あなた、神様といっても、案外と怒りっぽいわよね。
　　　　それとも悲観主義？　いずれにせよ、セロトニン欠乏気味かしら。
　　　　くすくす、くすくすくす」

諏訪子「ッ……！！　このぉッ……！！」

幽々子「……リバースカード、オープンよ。生者の書、２枚目ね」

幽々子「あなたの墓地のワイゼルＧを除外し、わたしの墓地のアンデットを特殊召喚する。
　　　　さあ。お呼びよ、ゾンビ・マスター……！」


《ゾンビ・マスター/Zombie Master》 †
効果モンスター
星４/闇属性/アンデット族/攻1800/守 0
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
手札のモンスターカード１枚を墓地に送る事で、
自分または相手の墓地に存在するレベル４以下のアンデット族モンスター１体を特殊召喚する。
この効果は１ターンに１度しか使用できない。


幽々子「優先権は使わず、ゾンビ・マスターの起動効果発動。
　　　　手札のグローアップ・バルブを捨てることで、墓地のダブルコストンを特殊召喚するわ」


《ダブルコストン/Double Coston》 †
効果モンスター
星４/闇属性/アンデット族/攻1700/守1650
闇属性モンスターを生け贄召喚する場合、
このモンスター１体で２体分の生け贄とする事ができる。


諏訪子「（ダブルコストン……？？　いったい、何を……）」

幽々子「誤算、だったわね」

諏訪子「……なに？」

幽々子「あなたが連れて来た、このフィールド。
　　　　あなた自身が本当の力を発揮できる場所、そう言っていたけれど。実は、わたしにとってもそうなのよ。
　　　　わたしの能力を本気で顕界で解放したなら、生物だけじゃなく、その辺の草花までたちまち枯れ落ちてしまうからね。
　　　　実世界に影響を及ぼさないおかげで、遠慮なくわたしも本気を出すことができる。それに、なにより……」

諏訪子「なにより……？」

幽々子「なによりおまけに、わたしが力を解放しても、強い強いあなたは簡単なことじゃ死んでくれそうにない。
　　　　感謝しているわ。うふふふふ……」

諏訪子「（……！？）」

諏訪子「（な……に？　この悪寒は……！？）」

幽々子「ダブルコストンのルール効果。
　　　　このモンスターは闇属性モンスターをアドバンス召喚する時、二体分の生け贄にすることができる。
　　　　わたしは、場のゾンビ・マスターとダブルコストンをリリースし……」

幽々子「現れなさい。冥界を統べし邪神、その一柱……。
　　　　邪神イレイザー！！！」


《邪神(じゃしん)イレイザー/The Wicked Eraser》 †
効果モンスター
星１０/闇属性/悪魔族/攻 ?/守 ?
このカードは特殊召喚できない。
自分フィールド上に存在するモンスター３体を
生け贄に捧げた場合のみ通常召喚する事ができる。
このカードの攻撃力・守備力は、相手フィールド上に存在する
カードの枚数×１０００ポイントの数値になる。
このカードが破壊され墓地へ送られた時、フィールド上のカードを全て破壊する。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを破壊する事ができる。


諏訪子「（なっ、邪神……！？）」

幽々子「ふうぅ～……。暫くだわ。この解放感、カタルシス。
　　　　紫じゃないけど、やはりたまらないわね。思う存分に力を振るえるというのは」

諏訪子「く……馬鹿な！　お前にも、神を操る力があると……」

幽々子「わたしはこの能力を得た時から、悪魔に魂を売っているの。
　　　　もっとも、安売りしたつもりも無いけどね」

幽々子「さあて、邪神イレイザーの永続効果よ。
　　　　イレイザーの攻守は、相手フィールドのカードの枚数によって決定する。あなたの場のカードは９枚。
　　　　よって、イレイザーの攻撃力は……」


　　　　邪神イレイザー　　　　攻撃力9000


諏訪子「（きゅっ……９０００だと！？）」

幽々子「イレイザーの放つ獄炎は、相手の場にあるカードが多いほどその猛威を増す。
　　　　機皇帝は、五体で一体という特殊なモンスター。この地獄の炎は、あなた自身が生み出したのよ。
　　　　くすくす。因果は巡る糸車、自業自得ね」

諏訪子「（くっ……！）」

幽々子「わたしの邪神は嫉妬深いの。
　　　　神やらなんやら、清廉で高潔なものは同じ地獄に落としたくて仕方ないらしいわ」

幽々子「あなたも少しは味わいなさい。紫の受けた苦しみの、一万分の一でいいから、ね。
　　　　バトルフェイズ……！！」

諏訪子「…………ハハッ、間抜けめ！　
　　　　スキエルＧは、味方が受ける相手モンスターの攻撃を一度無効にできる。
　　　　いかに攻撃力が高かろうが、貴様のモンスターは邪神一体のみ。わたしの機皇帝に触れることは……」

幽々子「わめかないでほしいわ。トラップカード発動、強制脱出装置」


《強制脱出装置(きょうせいだっしゅつそうち)/Compulsory Evacuation Device》 †
通常罠
フィールド上に存在するモンスター１体を持ち主の手札に戻す。


諏訪子「（なっ……！？）」

幽々子「スキエルＧを手札に戻す。黙ったようだし、続けるわよ」

幽々子「我が僕、邪神イレイザーよ。機皇帝スキエル∞を、冥府へ堕落せしめよ！！」

幽々子「ダイジェスティブ・ギャストリドリーム……！！！」

諏訪子「……きゃああああぁっ！！？」

幽々子「通ったわね。本体が破壊されたことで、あなたのフィールドのモンスターはすべて破壊される。
　　　　散りなさい、機皇帝スキエル。その命とともに……」

諏訪子　LP5250→2650

諏訪子「（うう……。神奈……子……）」





















　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・・・To be continued

　最終戦その２でした。ひとまずお疲れ様でしたm(_ _)m
　ここまでくるとデュエルもそうだけど、煽りあいも激しいですねｗ
　口プレイ書くの楽しいｗ


　前回やりそびれたデッキ解説です。
　が、まだ途中なので、幽々子様の方だけで。

　で、その幽々子様のデッキなんですが……実はほとんど変わっていません。
　というのも、ここのところアンデット族の新しいカードがちっとも出てないせいです。
　特に、ゾンキャリが強すぎるせいなのか、シンクロモンスターの乏しさは異常。なんたってレベル６しかいないんだもの＞＜

　すでに充分強い部類のデッキなのでこれ以上強くしろとは言いませんが、そろそろもっと出してくれてもいい気がします。
　とりあえず、エクシーズなんたらに期待ということで。



　完結に向けて一気にラッシュかけます。
　次回は明後日、土曜日の予定です。





＜追記＞
　読み返してやっぱり幽々子様の活躍まで入れたほうがいいと思ったので、差分加えて修正しました。
　タグにも書きましたが、もう読んでしまわれた方は、お手数かけて申し訳ありませんm(_ _)m