Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

パチュリー様と世間話してみた

2011/12/03 11:11:56
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どうも、またまたお久しぶりです
相変わらずの小悪魔です


現在、大量の本の整理に追われています

「まさか本当に全部戻ってくるとは思いませんでしたよ」

「約束は大体守る子だったから」

どの本棚にもほぼ必ず存在した空きがすべて埋まります
なんだか不思議な気分
まぁ、本来はこうあるべきなんですけど

「そういえば、行かなくてもいいんですか?」

「え? あぁ、いいわよ。たいした身内でもないんだし・・・」

ほんの少しの時が過ぎるだけで随分と空気が変わるものです
なんの前触れもなく突入してくるお客さんももういません

「魔法使いってのはほぼ不老不死のようなもんだから、基本的に死のうと思わない限り死にはしないわ
 いちいち人間の人生なんかに付き合ってたらキリがないわ」

「はぁ、そうですか」

「失礼します。紅茶をお持ちしました」

あ、咲夜さん

「あら、ありがとう」

「あっ、えっ、私の分まで?」

「失礼します」

ほえー、紅茶貰っちゃいました
初めてかも
咲夜さんってなんだかんだいってやさしい・・・

「冷たくなったわよね、咲夜」

「えっ、そ、そうですか?」

「雰囲気が、よ。体温もだけど。レミィも無茶させるわよね」

そうでした
咲夜さんはもう人間じゃないんだった

「医学的にはもう死体なのにね。ゾンビとでも言うべきかしら
 前みたいに冗談の一つも言わなくなっちゃったし」

「ちょっと寂しいですね・・・」

「そんなものよ。人間なんてあっという間に入れ替わるわ」

「そういえば、霊夢さんも顔を見せなくなりましたね」

「まだ死んじゃいないでしょうけど、もういいかげん歳なんじゃない?
 そろそろ跡継ぎが紅魔館に押しかけてくるかもね」

うーん、悪魔という種族と契約の立場上、あまり人間との関わりはありませんでしたからね・・・
いざこうやって変わる瞬間に立ち会うと色々と思うものがあります

「パチェ、パチェ、咲夜見なかった?」

「あらレミィ、メイド長ならさっきこれ置いて戻ったわよ」

「あ、そう。むー、前と違って気配が一切しないもんだから探すのが大変だわ」

「無茶させないで新しく雇えばよかったじゃない」

「特に無茶でもないし、あんな有能な人材他にないわよ
 いるかもしれないけど探すの面倒」

「ホントに探すの苦手ね、レミィ」

「パチェは探さなくてもここにいるしね・・・ってオイ」

「ふふ、早く探しに行かないとまた見失うわよ」

やはりなんでしょうか、こう、慣れてるだけなんでしょうけど、
周りの皆さんが若干薄情に見えてしまうんですよね
・・・お嬢様やパチュリー様はきっとたくさんのお別れをしてきているんでしょう

「そういえば小悪魔」

「はい、なんでしょう」

「あなたと契約してこき使い始めてからもう結構経つけど、大丈夫?」

「なにがですか?」

「契約が、よ。このまま縛られてもいいのかって話」

うーん、確かに契約が有効な間は私はただの使いっぱしりです

「でも契約がないとこっちにいられないじゃないですか」

「こっちにいたいってこと?」

「えぇ、まぁ、だって・・・居場所、作っちゃいましたし」

あらやだ、なんか恥ずかしい

「顔が赤いわよ」

「ひゅっ!?」

「あなた、向こう側に友達とかいなかったの?」

「あ、悪魔同士では基本的にそういう概念がないんです
 ただ一緒にいるだけなんで・・・」

「ふーん、面白くないわね」

知り合いくらいならいないこともないけど、
名前を知り合ってるくらいで関わりはほぼ皆無だったからなぁ・・・

「て、それもそうだけどさ、使いっぱしりのままでいいのかってことも」

「あ、え? いや、それは・・・」

「・・・前にも似たような質問したことあったかしらね
 あのときは若干誤魔化された気もしたけど」

あぅうん、どう答えればいいんでしょう
思考がぐるぐるして定まらない
確かにこき使われるのはいいことばかりじゃない

・・・まぁ大体自分のミスだけど

でもだからといって嫌がるほどのことでもない
別にこのままだっていやだとは思わない
それでもよく考えてみると私にも自分のやりたいこととかないわけでもない
大げさに言っちゃうと私は自由ではないってこと
でも自由が欲しいかって言われるとそれまた微妙
特に欲しいとも思わないけどそれは私が「自由」を知らないからで・・・

「あなた今にも頭から煙が出そうよ」

「んぅぅ・・・」

と、とりあえず答えなきゃだけど・・・
質問なんだったっけ?
あぅあぅ

「えど、えっと、ぉぅん」

「ちょっと、言葉になってないわよ」

そ、そう、このままでもいいのかって話よ話
そうね、えっと、だから・・・

「あ、うんと、えっと、私は、その・・・」

「ん?」

「えー、うー、パ、パチュリー様と一緒なら、それでいいれす

「あの、よく聞こえないんだけど」

「パッ、パチュリー様と一緒なrグェホフゲホッゲホッ」

「ちょっとちょっと、だいじょうぶ?」

「だっだいじょうぶれせっホッグッ」

あぁあぁあぁあぁぐるぐるー

「あぁもう落ち着きなさい。何でそんな動揺するのよ」

「すっすみまひゃん」

うぬぬ、かなり取り乱してしまった

「・・・あなた何回かそういう反応してるわよね」

「そ、そそそうですか?」

「同じことの繰り返しのように、何回も」

「えー」

「そのたびにあなたって、こう・・・私のことをどうこう言うわよね・・・」

パッパパパチュリー様が赤面しておられる!
こ、これはもうなんかレアですよ!
逆鱗とか比じゃないですよ!

「・・・結局、あなたって私のことなんだと思ってるわけ?」

「そっ、そそれそれは・・・」

なんで動揺するんだ私はぁぁ

「そっ、それよりっっ! パチュリー様はわたしのことをどう思ってるんですかっ!?」

「えっ!? そっ、それは・・・えーとね・・・」

あっ、もじもじ、してる
か、かわゆい

「そ、それはあなたはよく仕事してくれるし言う事聞いてくれるし、とっても助かってるわ
 そ、そうね・・・家族・・・みたいな?」

「家族・・・」

親とか、姉妹とか、子供とか、夫婦・・・とか?

「だからね・・・うん、私はこのままここにいて欲しいわね」

「・・・そうですか」

「でもこれは私のわがままだから、あなたを束縛する言い訳にはならないわ」

「私は・・・」

出会いもたくさんあったし、別れもあった
お知り合いとか、友達みたいな方も少しはできた
・・・それに、家族までできたみたいで

「私は、いつまでもパチュリー様とご一緒したいです」

「そ、そう・・・」

「いつまでも、パチュリー様とお別れするのは、ずっと、ずっとずっと先です」

「・・・」

「いや、ダメです、お別れなんて・・・しちゃ・・・」

あっ、なんか、泣きそう

「だ、だから・・・ずっと・・・傍に・・・いさせてくださぃ・・・」

「な、泣かないでよ」

「だって、だって・・・家族なんて・・・」

「えぇぃもうそんなことで泣かないの!」

家族かぁ、いいなぁ


いいなぁ、ホントに・・・


「はいはい、もう、変なこと訊いて悪かったわね
 わかったわよ、ちゃんと望みどおりにしてあげるから」

「ありがとうごぁいます・・・」

「いいのよ、こちらこそありがとうね。いつも気を遣ってくれて」




結局、その日は酷く泣き疲れてしまって自室で休ませていただきました

家族・・・今まで少しも意識したことのなかった言葉

これほど、ちかくて、やさしくて、あったかい言葉は、今まで触れたことがありませんでした

どうにも分からない熱い涙が、夜まで止まりませんでした




「おはようございます、パチュリー様」

「あら、おはよう。よく眠れたかしら?」

「はい、すみません、あんなに取り乱すなんて思わなくて・・・」

「かまわないわよ、普段散々働かせてるんだし」

「もはや働くのは生きがいのようなものですから」

「ふふ、そう? あとね、こあ、もう“様”って、つけなくていいわよ」

「え?」

「なんかね、本音聞いたら堅苦しいのがいやになったわ
 私も家族なんて言っちゃったし」

「いや、でも、そんな・・・」

「気を遣ってくれるのは結構だけどね、あんまり謙られても逆に接し辛いわ
 もう少し肩の力を抜いて、親しく思ってくれていいのよ」

「・・・はい、パチュリー様がそういうなら・・・」

「完全に癖になってるわね」

「あっ! え、えっと・・・パチュリー・・・さん」

「パチェでいいわよ」

「パ、パッ・・・っっダメです! 私はやっぱりパチュリー様でいいです!」

「そう? じゃぁいいわ、無理しなくても」

「す、すみません・・・」

「あぁあとね、そうやって何かと謝る癖も直したほうがいいかもね」

「あ、はい、すみません」

「・・・無理そうね」

「す、すみません!」
『私は小悪魔です
 それ以上でも、それ以下でもないです
 ただ、一つ、私だけの宝物をいただきました
 
 誰もが持ってるけど、みんな違うもの
 私は初めて、その温かさを感じることができました



 この感謝の気持ちは、また、ゆっくり、少しづつ、伝えていきたいと思います
                                                 小悪魔』
OBO
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
ニヤけが止まらない…
2.名前が無い程度の能力削除
ぱちゅこあはいいよね~
でも主従の関係はあった方がいいかな
3.名前が無い程度の能力削除
心が暖まりますね。