Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

春巫女と亀

2007/03/30 05:49:43
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1

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[読む前に注意書き]

旧作キャラが出てきます。

以下が本編です↓


―幻想郷に春の気配が迫る頃。

博麗神社の桜も今か今かと開花を待つこの時期にあっても・・・

「あーいい天気ねぇ。」

楽園の素敵な巫女さん・博麗霊夢の頭の中だけは既に春爛漫だった。

「あら、里の人から妖怪退治の依頼が来てる。どうせならお賽銭の方が良かったなぁー」
賽銭箱に突き刺さっていた神社宛に送られた手紙を読みながら、霊夢が呟いた。しばらく考えた後は即断即決、悩まないのが霊夢クオリティ。
「あーもう、掃除がはかどらないわ。さっさと終わらしましょう。」
かったるそうにお祓い棒を右手で掴む。左手で御札と針、スペルカードの存在を再確認。そして、大地を蹴って、大空を舞う。重力から解き放たれた霊夢には、もうかったるそうな表情は無い。彼女を縛る物も無く、春風のように軽やかで爽やかな表情が全てを代弁してくれる。

「さっさと終わらせて、ご飯にしようっと。」

里から少し離れた獣道、手紙に記されていた地点はここである。
「確かこの辺だと聞いたけど・・・」
可愛い目を見開いて、サーチ&デストロイ!物騒だけど、お仕事だからそんなもの。その辺にいた雑魚妖精なども蹴散らしつつ、目標を探します。
「出たなっ、博麗の巫女!今日こそ決着を・・・」
「うるさいなぁ、夢想封印っ!」
「ぎゃああ!」
サーチ完了、問答無用で夢想封印、妖怪退治もこれにて解決!満足そうな霊夢であったが、倒した妖怪もまた得意気であった。
「安心するのはまだ早いわ・・・・・」
「なに、まだ抵抗しちゃったりする?」
「いや、もう私は抵抗しないけど・・・ね。実は私の仲間が今頃神社を狙って行動しているころよ・・・」
「ふーん・・・って、ええっ?」
パタッと倒れた妖怪、クルッと振り向く霊夢。ちょっと悩んでから、答えを出す。
「ま、大丈夫かな。とりあえず里に報告にいこっと。」
のんきなのが霊夢クオリティ、細かい事は気にしない気にしない。

―だってねぇ。

「しめしめ、狙い通り博麗神社はお留守!容赦なくやっちゃいますか!」
意気揚々と接近する妖怪さん。しかし、そうは問屋が下ろさない。
「そこまでぢゃあ!」
「誰!?」
「貴様のような無礼者に名乗る名前などない!」
そこに現れたのは、やたらと大きな年老いた亀。万年級の年季が入った渋い声で不届き者を威嚇する。
「主の留守時に、神社を荒らそうとする不届き者めっ!!覚悟するのぢゃ!」
大きな亀は、手足を引っ込めて高速回転し、体当たり攻撃を敢行する!亀の甲羅は固いので、勢いさえあれば破壊力満点。
「ほぶっ!」
激しい体当たり攻撃を受けた妖怪は、怯みたじろぐ。それを見た亀はさらに追い討ちをかけるように宣言した。
「とくと見よ!ご主人様の借りてきた本をヒントに編み出したスペルカードと言うものをっ!」
頭を出し、口を開く亀、そしてー
「亀符・究極陽電子火球っ!!」
「ちょ、それはガ・・・うわぁあああああっ」

玄爺の妖術(超高温の火球)をまともに食らった妖怪は切りもみ回転で吹っ飛び、玄爺の寝床となる池に見事着水・・・一打罰はありません。

「あー疲れた。やっぱり妖怪退治は後始末がしんどいわね・・・」
「お帰りなさいませ。」
年期の入った渋い声を出した亀が霊夢の前に降り立った。
「お疲れ様、玄爺。なんか変わった事は無かった?」
「不届き者を成敗しましたが。どうなさいますか?」
先程の妖怪が言っていた仲間だろう。玄爺の攻撃によって完全に気を失った妖怪が境内に転がっていた。
「それは私に任せて。」
結界を展開して、妖怪を閉じ込める霊夢。ついでに先ほど自身が成敗した妖怪も、その隣に座らせる。
「後でお灸をすえておくわ、それでいい?」
「仰せのままに。」
「はい、これでよしっと。留守番ありがとね。」
玄爺をナデナデ、勿論そのまま飛んでったりはしない。
「玄爺のお陰で安心して出かけられるわ。」
「ありがたき幸せです。」
主人思いの玄爺は、深々と頭を下げる。そんな態度に霊夢の目尻も下がっちゃう。
「さあ、ご飯にしましょ、玄爺。」
霊夢が微笑みながら、玄爺を呼ぶ。もさもさした黒いウェーブ髪をたなびかせる、美しさに溢れた主の姿を見た玄爺はのっそりと。
「はい、ご主人様。」
とだけ答える。

「今日はお礼として、里の人から川魚をもらってきたのよー」
「それはそれは、ありがたいことで。」

飛べるようになった霊夢の後ろをふよふよ飛んでついて来る玄爺、かつて上に乗って必死(?)に戦っていた霊夢の成長っぷりを喜ぶ彼の表情は、とっても明るかった。

「ご主人様、お料理の腕前も上がりましたね。」
「ありがと、玄爺♪おかわりあるわよ。」

春っぽい雰囲気が、博麗神社をゆっくりと包んだ時のなんでもない日常。

―幻想郷は今日も平和である。
多分お久しぶりです。タナバン=ダルサラームです。ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。

何でもない博麗神社の日常を書いてたら、何故か玄爺の今(旧作の後の話)まで想像してちょっと書いてしまいました。まだまだ文章が未熟ですが、楽しんでくれればこれまた幸いです。

池の中でひっそりと暮らしているより、こうやって影ながら霊夢を支えていると言う玄爺のあり方の方がなんとなく(個人的には)しっくりきます。スペカの元ネタは、勿論、某巨大亀が放つアレです。

最後に、誤字脱字等の指摘などしてくれると感謝感激です。
タナバン=ダルサラーム
コメント



1.グランドトライン削除
玄爺さん、強すぎ…
そして周りがめちゃくちゃでもいつもどおり。それが博麗クオリティ
2.天狐削除
どう見てもガメラです。亀符・究極陽電子火球が。