姉妹の中で、私は末っ子。
私には、五人のお姉ちゃんがいる。
そして、当然と言えば当然だが、お母さんもいる。
お姉ちゃん達以上に個性的なお母さん。
そんなだから、たまに会いたくなる。
そんな時も里帰り。
あの笑顔を思い浮かべながら。
神綺様は、私達のママ。
優しくて、お茶目で、サイドテールが特徴的。
ママと言っても、魔界を統べる魔界神で、凄く偉い。
けど、そんな事を感じさせないのは本人の優しさからか、はたまたノンカリスマなのか。
そんな事、娘の私にはどうでもいいんだけど。
それで今、私はそのママの部屋に来ていた。
「で、ルイズ姉さんに私の恋物語30分くらい聞かされて……」
「それは私も聞きたかったわ~」
私の向かいに座るママはにっこり笑った。
最近の姉さん達との話をママに話していた。
「その前は夢子姉さんにメイド服着せられて……」
「あれは可愛かったわね。あ、あの時の写真あるけど見る?」
「ちょっ!いつの間に写真なんか!?」
「新しく買ったから、練習にいいかな~と思って。うまく撮れたわよ」
そう言って懐から一枚の写真を取り出す。
もちろんメイド服姿の私が写っている。
「ママ、その写真譲って……」
「え~……せっかく撮ったのに~」
「言い値で買おう」
「それじゃ、アリスちゃんのパンツと」
何でこの人は娘のパンツを欲しがるんだ……。
「脱ぎたてだと尚良し」
「やめてやめて、渡さないから。むしろママはそれを手に入れてどうするつもりなのよ?」
「……聞きたい?」
「…………やっぱいいや」
これ絶対親子のやり取りじゃないよ……。
「大丈夫よ。写真はアリスちゃん成長日記と共に大事に保管しておくから」
「成長日記なんてあるの!?」
「もちろんよ~。見る?」
「……見せてもらおうかな?」
その言葉を聞くと、ママは嬉しそうに立ち上がって部屋の端っこの方から分厚い一冊の本を持ってきた。
「これよ~」
本の表紙には、綺麗な字で『アリスちゃん成長日記』と書いてある。
「開いて良い?」
「いいわよ。あ~懐かしいわね~」
ひとまず最初のページを開く。
今日からアリスちゃんの成長を日記に書き記す事にします。
我が子の成長と言うものは早いもので、夢子ちゃん達は日記なんて書く隙も無く、あっという間に大きくなってしまいました。
今度はきっちり書き記したいわね~。
ぱらぱらとめくってみる。
アリスちゃんのほっぺたはぷにぷに。気持ちいいわ。
まだ小さくて、無垢だから、色んな事を吸収していってほしいわね~
アリスちゃんが立ったの!立ったのよ!
今日はお赤飯!私作っちゃう!
お祝いとかも!何しましょ!?
あぁ、どうしましょどうしましょ!
可愛いわ、アリスちゃん可愛い!
アリスちゃんが!アリスちゃんが!
ついに私をママって!
ママよ!私ママ!
うん、魔界全体で盛大なパーティーよ!
生きてて良かった!
アリスちゃんが魔法のお勉強を始めたの。
ママみたいになりたいからだって。
ほんと素直で可愛い子よ
アリスちゃんが外に住む とになりま た……
い かは来ると ってた ど、 際にこう と辛 わ …
も成長な だけ やっ ぱり傍 いて い
ここは長々と書いてあるが、濡れて文字がぼやけてしまって読めない。
今日は久しぶりにアリスちゃんと会えるの
反抗期になってたらどうしましょ?
アリスちゃんは優しいから大丈夫かしら?
その他も……
アリスちゃんと……
アリスちゃんが……
アリスちゃんを……
アリスちゃんに……
たまらず本を閉じる。
何だか顔が赤くなってしまった。
私の事だけでこんなに書かれてしまうと恥ずかしい。
「どうだった?」
ママは笑顔を向ける。
恥ずかしい、けど……。
「……ありがとう」
「へ?」
「私を……愛してくれてありがとう」
それ以上に、嬉しい。
「ママとして当然です」
ママは私の頭にそっと手を置く。
「もうこんなに大きくなったのよね……。あんなに小さな、お人形さんみたいなアリスちゃんが」
「ママのおかげで」
「ううん、私だけじゃない。……貴方にはお姉さん達がいたでしょう?」
「姉さん達……」
目を閉じて姉さん達の顔を思い浮かべる。
厳しくて真面目で、でも恐くない夢子姉さん
ロマンチストでほわほわしてて、笑顔が素敵なルイズ姉さん
元気でたくましくて、運動神経が良いサラ姉さん
悪戯好きでやんちゃで、不器用な優しさを持っているユキ姉さん
ちょっぴり毒舌でぼそぼそ話すけど、可愛い一面もあるマイ姉さん
みんなみんな素敵な姉さん。
私の自慢の姉さん達。
「そうだった。みんながいてくれたおかげで私はここまで来れた」
「うん。みんなで協力するのが大切よ。姉妹仲良く育ってくれて、私はとっても幸せよ」
「姉さん達にもありがとうって言わないと」
その時、扉の向こう側から小さな音が聞こえた。
ママの顔を見ると人差し指を立て、そっと扉に近付いていった。
「どーん!」
そして勢いよく扉を開けた。
「わっ!」
まず夢子姉さんが倒れ込んできて、
その上にルイズ姉さん。
サラ姉さんはその横に無事着地。
ユキ姉さん、マイ姉さんも夢子姉さんの上へ。
「夢子姉さんまで……」
「ちっ違うの!私はお部屋の掃除に……」
下敷きになりながらも夢子姉さんが言う。
「旅行から帰ってきたから……」
「今日は門番休みだから」
「悪戯に……」
「……右に同じ」
サラ姉さん以外は苦笑い。何故サラ姉さんはな自信満々なのかは分からない。
あとユキマイ両姉さんのは言い訳にすらなっていない気がする。
「私はやめましょって言ったのよ。だけど……」
「またまた~、夢子姉が一番ノリノリだった癖に」
サラ姉さんが笑いながら言う。
「一番前で聞き耳立ててね」
ルイズ姉さんの言葉に夢子姉さんは顔を赤くして突っ伏してしまう。
「まあまあ、姉妹仲良くて良いじゃない」
ママはいつものようにやんわり微笑んだ。
「でも久しぶりだよね。姉妹全員集まったのも」
「……そういえば」
一人一人とは最近会ったけど、全員というのはしばらくぶりだ。
「なら久しぶりの集合を記念してお茶会でもしましょ?」
一番嬉しそうなのはママ。
私達の顔を見回して、不満そうな顔が無いのを確認すると満足そうに頷く。
そして自ら椅子を引いて私を手招きする。
「なら私はお茶の用意をしてきます」
夢子姉さんもどことなく嬉しそう。
「あ、お土産のお菓子があったからとってきますね」
ルイズ姉さんも軽やかに歩く。
「私は…………あ!お煎餅があったはず!」
サラ姉さんも慌ただしく走っていく。
「マイ、何かある?」
「……飴ちゃんくらいなら」
そう言ってマイ姉さんはポケットから無数の飴を取り出す。
「え?じゃ、じゃあ私は……」
ユキ姉さんはおどおど辺りを見回す。
一人ずつ何か出す暗黙のルールが出来上がっているらしい。
そんなユキ姉さんの肩をマイ姉さんはそっと叩く。
「……私と、ユキで、飴ちゃん」
「あ、ありがとう!マイ大好き!」
ぎゅっとマイ姉さんに抱き着くユキ姉さん。
何だか久しぶりで、楽しくて、思わず笑ってしまう。
隣を見るとママも同じように笑っていた。
「神綺様、アリス。お茶をお持ちしました」
夢子姉さんが静かに入ってくる。
「お土産も」
「さらにお煎餅」
それに続いてルイズ姉さんとサラ姉さんも。
「ねぇ、ママ」
「なあに?」
「賑やかだと楽しいね」
「そうでしょ?私の自慢の家庭なの」
姉さんみんなとのお茶会。
楽しい時間はあっという間に過ぎていって、みんなはそれぞれ部屋に戻っていった。
夢子姉さんは片付けをしようとしていたけど、無理を言って私が引き受けた。
「アリスちゃん、ありがとね」
「いいの。いつもなら夢子姉さんがやってるんでしょ?私もたまにはお手伝いしなくちゃ」
使った食器やティーカップを洗った後、棚に戻す。
そしてママの部屋に戻る。
「おつかれさま~」
ママはベッドに腰掛けて、私を手招きする。
私は素直にママの隣に腰掛けた。
「今日は楽しかった?」
「うん。とっても」
みんなで話して、笑った。
昔を思い出して、懐かしさが込み上げる。
「……いつも、ここは変わらないのね」
そっと肩に手を回され、軽く抱き寄せられた。
私はママと密着した状態になる。
「そうよ。アリスちゃんの家は、変わらずにここにあるわよ」
「うん」
「みんなアリスちゃんを待ってるから」
「うん」
「だから、定期的に帰ってきてね。ママ寂しくて寂しくて……」
「結局それなのね」
ママは苦笑いを浮かべている。
私も笑い返した。
「だって本当に寂しいのよ。アリスちゃんは代わりのいない、たった一人のアリスちゃんなんだから」
「……うん、ありがと」
ママはそういう人だ。
代わりを求めるのではなく、唯一のそれを大切にする優しい人なんだ。
沢山の子供達を、一人一人愛している。
凄く優しいママなんだ。
ここで私は、間の抜けた欠伸をしてしまう。別にママしかいないし、恥ずかしくは無いのだが。
「……なんだか眠くなってきちゃった」
最近久しぶりな事だらけで、疲れが抜け切らないせいか。
「私もだわ~。……お夕飯までちょっと寝ましょうか?」
頷くと、ママは私をさらに抱き寄せ、寝転がる。
心地好い温もりを感じ、私は早くもうつらうつらとしてしまう。
「おやすみ、アリスちゃん」
「ん……おやすみ」
これはとっても誇らしくて、嬉しくて、素晴らしいこと
私も、このママの娘なんだ
私には、五人のお姉ちゃんがいる。
そして、当然と言えば当然だが、お母さんもいる。
お姉ちゃん達以上に個性的なお母さん。
そんなだから、たまに会いたくなる。
そんな時も里帰り。
あの笑顔を思い浮かべながら。
神綺様は、私達のママ。
優しくて、お茶目で、サイドテールが特徴的。
ママと言っても、魔界を統べる魔界神で、凄く偉い。
けど、そんな事を感じさせないのは本人の優しさからか、はたまたノンカリスマなのか。
そんな事、娘の私にはどうでもいいんだけど。
それで今、私はそのママの部屋に来ていた。
「で、ルイズ姉さんに私の恋物語30分くらい聞かされて……」
「それは私も聞きたかったわ~」
私の向かいに座るママはにっこり笑った。
最近の姉さん達との話をママに話していた。
「その前は夢子姉さんにメイド服着せられて……」
「あれは可愛かったわね。あ、あの時の写真あるけど見る?」
「ちょっ!いつの間に写真なんか!?」
「新しく買ったから、練習にいいかな~と思って。うまく撮れたわよ」
そう言って懐から一枚の写真を取り出す。
もちろんメイド服姿の私が写っている。
「ママ、その写真譲って……」
「え~……せっかく撮ったのに~」
「言い値で買おう」
「それじゃ、アリスちゃんのパンツと」
何でこの人は娘のパンツを欲しがるんだ……。
「脱ぎたてだと尚良し」
「やめてやめて、渡さないから。むしろママはそれを手に入れてどうするつもりなのよ?」
「……聞きたい?」
「…………やっぱいいや」
これ絶対親子のやり取りじゃないよ……。
「大丈夫よ。写真はアリスちゃん成長日記と共に大事に保管しておくから」
「成長日記なんてあるの!?」
「もちろんよ~。見る?」
「……見せてもらおうかな?」
その言葉を聞くと、ママは嬉しそうに立ち上がって部屋の端っこの方から分厚い一冊の本を持ってきた。
「これよ~」
本の表紙には、綺麗な字で『アリスちゃん成長日記』と書いてある。
「開いて良い?」
「いいわよ。あ~懐かしいわね~」
ひとまず最初のページを開く。
今日からアリスちゃんの成長を日記に書き記す事にします。
我が子の成長と言うものは早いもので、夢子ちゃん達は日記なんて書く隙も無く、あっという間に大きくなってしまいました。
今度はきっちり書き記したいわね~。
ぱらぱらとめくってみる。
アリスちゃんのほっぺたはぷにぷに。気持ちいいわ。
まだ小さくて、無垢だから、色んな事を吸収していってほしいわね~
アリスちゃんが立ったの!立ったのよ!
今日はお赤飯!私作っちゃう!
お祝いとかも!何しましょ!?
あぁ、どうしましょどうしましょ!
可愛いわ、アリスちゃん可愛い!
アリスちゃんが!アリスちゃんが!
ついに私をママって!
ママよ!私ママ!
うん、魔界全体で盛大なパーティーよ!
生きてて良かった!
アリスちゃんが魔法のお勉強を始めたの。
ママみたいになりたいからだって。
ほんと素直で可愛い子よ
アリスちゃんが外に住む とになりま た……
い かは来ると ってた ど、 際にこう と辛 わ …
も成長な だけ やっ ぱり傍 いて い
ここは長々と書いてあるが、濡れて文字がぼやけてしまって読めない。
今日は久しぶりにアリスちゃんと会えるの
反抗期になってたらどうしましょ?
アリスちゃんは優しいから大丈夫かしら?
その他も……
アリスちゃんと……
アリスちゃんが……
アリスちゃんを……
アリスちゃんに……
たまらず本を閉じる。
何だか顔が赤くなってしまった。
私の事だけでこんなに書かれてしまうと恥ずかしい。
「どうだった?」
ママは笑顔を向ける。
恥ずかしい、けど……。
「……ありがとう」
「へ?」
「私を……愛してくれてありがとう」
それ以上に、嬉しい。
「ママとして当然です」
ママは私の頭にそっと手を置く。
「もうこんなに大きくなったのよね……。あんなに小さな、お人形さんみたいなアリスちゃんが」
「ママのおかげで」
「ううん、私だけじゃない。……貴方にはお姉さん達がいたでしょう?」
「姉さん達……」
目を閉じて姉さん達の顔を思い浮かべる。
厳しくて真面目で、でも恐くない夢子姉さん
ロマンチストでほわほわしてて、笑顔が素敵なルイズ姉さん
元気でたくましくて、運動神経が良いサラ姉さん
悪戯好きでやんちゃで、不器用な優しさを持っているユキ姉さん
ちょっぴり毒舌でぼそぼそ話すけど、可愛い一面もあるマイ姉さん
みんなみんな素敵な姉さん。
私の自慢の姉さん達。
「そうだった。みんながいてくれたおかげで私はここまで来れた」
「うん。みんなで協力するのが大切よ。姉妹仲良く育ってくれて、私はとっても幸せよ」
「姉さん達にもありがとうって言わないと」
その時、扉の向こう側から小さな音が聞こえた。
ママの顔を見ると人差し指を立て、そっと扉に近付いていった。
「どーん!」
そして勢いよく扉を開けた。
「わっ!」
まず夢子姉さんが倒れ込んできて、
その上にルイズ姉さん。
サラ姉さんはその横に無事着地。
ユキ姉さん、マイ姉さんも夢子姉さんの上へ。
「夢子姉さんまで……」
「ちっ違うの!私はお部屋の掃除に……」
下敷きになりながらも夢子姉さんが言う。
「旅行から帰ってきたから……」
「今日は門番休みだから」
「悪戯に……」
「……右に同じ」
サラ姉さん以外は苦笑い。何故サラ姉さんはな自信満々なのかは分からない。
あとユキマイ両姉さんのは言い訳にすらなっていない気がする。
「私はやめましょって言ったのよ。だけど……」
「またまた~、夢子姉が一番ノリノリだった癖に」
サラ姉さんが笑いながら言う。
「一番前で聞き耳立ててね」
ルイズ姉さんの言葉に夢子姉さんは顔を赤くして突っ伏してしまう。
「まあまあ、姉妹仲良くて良いじゃない」
ママはいつものようにやんわり微笑んだ。
「でも久しぶりだよね。姉妹全員集まったのも」
「……そういえば」
一人一人とは最近会ったけど、全員というのはしばらくぶりだ。
「なら久しぶりの集合を記念してお茶会でもしましょ?」
一番嬉しそうなのはママ。
私達の顔を見回して、不満そうな顔が無いのを確認すると満足そうに頷く。
そして自ら椅子を引いて私を手招きする。
「なら私はお茶の用意をしてきます」
夢子姉さんもどことなく嬉しそう。
「あ、お土産のお菓子があったからとってきますね」
ルイズ姉さんも軽やかに歩く。
「私は…………あ!お煎餅があったはず!」
サラ姉さんも慌ただしく走っていく。
「マイ、何かある?」
「……飴ちゃんくらいなら」
そう言ってマイ姉さんはポケットから無数の飴を取り出す。
「え?じゃ、じゃあ私は……」
ユキ姉さんはおどおど辺りを見回す。
一人ずつ何か出す暗黙のルールが出来上がっているらしい。
そんなユキ姉さんの肩をマイ姉さんはそっと叩く。
「……私と、ユキで、飴ちゃん」
「あ、ありがとう!マイ大好き!」
ぎゅっとマイ姉さんに抱き着くユキ姉さん。
何だか久しぶりで、楽しくて、思わず笑ってしまう。
隣を見るとママも同じように笑っていた。
「神綺様、アリス。お茶をお持ちしました」
夢子姉さんが静かに入ってくる。
「お土産も」
「さらにお煎餅」
それに続いてルイズ姉さんとサラ姉さんも。
「ねぇ、ママ」
「なあに?」
「賑やかだと楽しいね」
「そうでしょ?私の自慢の家庭なの」
姉さんみんなとのお茶会。
楽しい時間はあっという間に過ぎていって、みんなはそれぞれ部屋に戻っていった。
夢子姉さんは片付けをしようとしていたけど、無理を言って私が引き受けた。
「アリスちゃん、ありがとね」
「いいの。いつもなら夢子姉さんがやってるんでしょ?私もたまにはお手伝いしなくちゃ」
使った食器やティーカップを洗った後、棚に戻す。
そしてママの部屋に戻る。
「おつかれさま~」
ママはベッドに腰掛けて、私を手招きする。
私は素直にママの隣に腰掛けた。
「今日は楽しかった?」
「うん。とっても」
みんなで話して、笑った。
昔を思い出して、懐かしさが込み上げる。
「……いつも、ここは変わらないのね」
そっと肩に手を回され、軽く抱き寄せられた。
私はママと密着した状態になる。
「そうよ。アリスちゃんの家は、変わらずにここにあるわよ」
「うん」
「みんなアリスちゃんを待ってるから」
「うん」
「だから、定期的に帰ってきてね。ママ寂しくて寂しくて……」
「結局それなのね」
ママは苦笑いを浮かべている。
私も笑い返した。
「だって本当に寂しいのよ。アリスちゃんは代わりのいない、たった一人のアリスちゃんなんだから」
「……うん、ありがと」
ママはそういう人だ。
代わりを求めるのではなく、唯一のそれを大切にする優しい人なんだ。
沢山の子供達を、一人一人愛している。
凄く優しいママなんだ。
ここで私は、間の抜けた欠伸をしてしまう。別にママしかいないし、恥ずかしくは無いのだが。
「……なんだか眠くなってきちゃった」
最近久しぶりな事だらけで、疲れが抜け切らないせいか。
「私もだわ~。……お夕飯までちょっと寝ましょうか?」
頷くと、ママは私をさらに抱き寄せ、寝転がる。
心地好い温もりを感じ、私は早くもうつらうつらとしてしまう。
「おやすみ、アリスちゃん」
「ん……おやすみ」
これはとっても誇らしくて、嬉しくて、素晴らしいこと
私も、このママの娘なんだ
この家族最高でしたよ!
あたたかいお話ありがとうございました
ほんわか家族をありがとう!
ありがとう御座いました!!
真理だ