霧雨魔理沙の体調は最悪だった。身体は芯から燃えていて、視界が歪んで見えるほどの重症だった。
「熱い……だれ……か…………」
その声は誰にも届くことはなく、部屋からの残響のみだった。
外からは雨の音が聞こえた。ただでさえ、魔法の森に踏み入れる者は少ないと言うのに雨が降っては尚のことである。
身体の底が熱いため、汗がジワリと衣服を侵食していく。さらに熱も奪っていき、時間が経てば経つほどにに寒くなってくるという始末だ。
水分だけは取っているが、これでは徐々に体力は尽き、風邪も長引いてしまう。風邪が初期段階ならば、永遠亭まで行き診察をしてもらうと言うのも手なのだが、今ではそれも望めない。
本格的にやばいと魔理沙は感じ始めていた。身体を起こすことすら重労働に感じる。衣服から伝った汗はシーツを濡らしていく。着替えるにも寒いし、身体は動かない。何より火が使えない。布団にくるまっても布団が濡れてしまい、さらなる負のスパイラル。
雨は魔理沙の家のドアを叩きつけていた。規則正しいリズムで二回ずつドンドン、ドンドン……と。非常に耳に残る音だ。これじゃあ眠れもしない。悪態をつく魔理沙。ただ、動けないので、どうにもならない。音はまだ止まらない。
うるさいリズムが止まった。これで寒いけど眠れると思った魔理沙。だが、次の瞬間ドアが鈍い音と共に壊れて行った。これには病気の魔理沙も驚き、両手をついて身体を起こし、眼を見開いた。
「風邪をひくなんて、あんた未熟すぎるわ」
続いてシャンハーイと聞こえてくる。声の主は同じく魔法の森に住む、違う魔法使いアリス・マーガトロイドだった。会った瞬間から悪態をつくアリス。裏を返せばそれだけ心配なのだろう。人形と見間違うほどの綺麗な金髪は雨に濡れていて、ランプにともった灯が反射し目を眩ませる。魔理沙の家に入った彼女は、膝に手をつき、息を切らしていた。
「上海。すぐに魔理沙を着替えさせて。シーツの取り換えも急いで」
「おい、馬鹿、やめろ!」
抗う魔理沙もなんのその、上海人形たちは魔理沙を取り囲み次々と衣服をはいでいく。あーれーと部屋に絶叫が響いているが、アリスは全く気にしている素振りを見せない。数分後、着せ替えの終わった魔理沙と綺麗なベッド、そして部屋の隅で泣いている魔理沙が一人。
「うう……もうお嫁にいけないぜ……」
「はいはい、そんな馬鹿なこと言ってないでとっとと布団に入る」
渋々と布団に入る魔理沙。それを見てため息のつくアリス。外はまだ、雲から降りそそぐ冷たい液体の数々。これではアリスも家に帰ることはできないだろう。何よりも、この状態で魔理沙を放っておけないと彼女は思ってしまったのだから。
ひんやりとした手を魔理沙のおでこに密着させる。
「わひゃあ!」
「そんな変な声出さないの。まだ熱はあるわね」
当てた手はまだ熱気を残していた。変な声を出したお仕置きとして、魔理沙の体温の残った手を握り締めて、でこぴんをした。
うぐぐ。と何か言いたそうな顔を魔理沙はしていたが、アリスは無視をしてキッチンに向かった。
あぁ、素晴らしきかな上海人形。準備はすでに整っており、後は温めるだけだった。
出来た料理はシンプルなおかゆ。温かいこの料理は食べた者の体温を上げてくれるという素晴らしいものだ。
「はい、ほら魔理沙。口を開けなさい」
「辛いぜ……」
飲み込むのが見ているアリスでもわかるくらい、辛そうだった。喉を通すのも一苦労と言ったところか。
「じゃあ口移しでどうかしら」
「ばっ、馬鹿を言うな!」
顔を急激に紅に染めていく魔理沙。それを見て笑うアリス。冷たい雨が降る中、部屋の中は暖かく温かかった。
「熱い……だれ……か…………」
その声は誰にも届くことはなく、部屋からの残響のみだった。
外からは雨の音が聞こえた。ただでさえ、魔法の森に踏み入れる者は少ないと言うのに雨が降っては尚のことである。
身体の底が熱いため、汗がジワリと衣服を侵食していく。さらに熱も奪っていき、時間が経てば経つほどにに寒くなってくるという始末だ。
水分だけは取っているが、これでは徐々に体力は尽き、風邪も長引いてしまう。風邪が初期段階ならば、永遠亭まで行き診察をしてもらうと言うのも手なのだが、今ではそれも望めない。
本格的にやばいと魔理沙は感じ始めていた。身体を起こすことすら重労働に感じる。衣服から伝った汗はシーツを濡らしていく。着替えるにも寒いし、身体は動かない。何より火が使えない。布団にくるまっても布団が濡れてしまい、さらなる負のスパイラル。
雨は魔理沙の家のドアを叩きつけていた。規則正しいリズムで二回ずつドンドン、ドンドン……と。非常に耳に残る音だ。これじゃあ眠れもしない。悪態をつく魔理沙。ただ、動けないので、どうにもならない。音はまだ止まらない。
うるさいリズムが止まった。これで寒いけど眠れると思った魔理沙。だが、次の瞬間ドアが鈍い音と共に壊れて行った。これには病気の魔理沙も驚き、両手をついて身体を起こし、眼を見開いた。
「風邪をひくなんて、あんた未熟すぎるわ」
続いてシャンハーイと聞こえてくる。声の主は同じく魔法の森に住む、違う魔法使いアリス・マーガトロイドだった。会った瞬間から悪態をつくアリス。裏を返せばそれだけ心配なのだろう。人形と見間違うほどの綺麗な金髪は雨に濡れていて、ランプにともった灯が反射し目を眩ませる。魔理沙の家に入った彼女は、膝に手をつき、息を切らしていた。
「上海。すぐに魔理沙を着替えさせて。シーツの取り換えも急いで」
「おい、馬鹿、やめろ!」
抗う魔理沙もなんのその、上海人形たちは魔理沙を取り囲み次々と衣服をはいでいく。あーれーと部屋に絶叫が響いているが、アリスは全く気にしている素振りを見せない。数分後、着せ替えの終わった魔理沙と綺麗なベッド、そして部屋の隅で泣いている魔理沙が一人。
「うう……もうお嫁にいけないぜ……」
「はいはい、そんな馬鹿なこと言ってないでとっとと布団に入る」
渋々と布団に入る魔理沙。それを見てため息のつくアリス。外はまだ、雲から降りそそぐ冷たい液体の数々。これではアリスも家に帰ることはできないだろう。何よりも、この状態で魔理沙を放っておけないと彼女は思ってしまったのだから。
ひんやりとした手を魔理沙のおでこに密着させる。
「わひゃあ!」
「そんな変な声出さないの。まだ熱はあるわね」
当てた手はまだ熱気を残していた。変な声を出したお仕置きとして、魔理沙の体温の残った手を握り締めて、でこぴんをした。
うぐぐ。と何か言いたそうな顔を魔理沙はしていたが、アリスは無視をしてキッチンに向かった。
あぁ、素晴らしきかな上海人形。準備はすでに整っており、後は温めるだけだった。
出来た料理はシンプルなおかゆ。温かいこの料理は食べた者の体温を上げてくれるという素晴らしいものだ。
「はい、ほら魔理沙。口を開けなさい」
「辛いぜ……」
飲み込むのが見ているアリスでもわかるくらい、辛そうだった。喉を通すのも一苦労と言ったところか。
「じゃあ口移しでどうかしら」
「ばっ、馬鹿を言うな!」
顔を急激に紅に染めていく魔理沙。それを見て笑うアリス。冷たい雨が降る中、部屋の中は暖かく温かかった。
個人的にもう少しボリューム(この後の想像にお任せします)部分を追加して欲しかった。
まあ、そんなことはどうでもいいや。
看病→口移し→風邪移る→看病→口移し→そして永遠に……