ある日ある時紅魔館。
「出張お母さんサービスぅ?」
この女はいったい何を言っているのかしら?お母さんサービスってなによ…?
「ええ、そうよ~。こちらのお館にはうちのアリスちゃんもお世話になっているみたいだし。サービスしちゃうわよ~」
ふむ、あの七色魔法使いの関係者ね。
「で、サービス内容は?」
「お母さん全般よ、もちろん夜も添い寝して本を読んだりお腹ポンポンも付いてるわよ~?」
うららかなある日の午後、憎たらしい太陽の光が燦々と降り注ぐ中、我が紅魔館は突然の来訪者を迎えた。
その女は神綺と名乗り美鈴にもちゃんと話を通してきたと言う事だから、暇つぶしに顔だけは見せてやったけどねぇ…。
「あいにくとうちには子守が必要な子はいないし、家事手伝いも必要ないわね」
「そうかしら~?わたしのお母さんセンサーには反応が来てるんだけどねぇ、バリ3よ~?」
なんかうねうねし始めたわよあのたくましいサイドテール…、うう…どうなってるのか触ってみたい。
「ふーん?それじゃぁ聞くけど誰にお母さんが必要なのかしら?」
「そうねぇ、集中するからちょっと待って頂戴…」
さて、うちの誰にお母さんが必要なのかしらね?
咲夜…ないわね、あの子に限ってそんなことは、むしろお世話する方だし。
パチェ…これもないわね、この間も小悪魔を幼女に変身させて「優しいお母さんと甘えん坊な娘ごっこ」してたし…でもなんで裸だったのかしら…?
美鈴…ない、絶対ない。っていうかあのおっぱいはお母さんそのものだわ。
フラン…これが一番可能性が高いかしら?あの子も最近は安定してきてるとはいえまだまだ幼いし情緒も不安定だしねぇ…。
「むむっ!来たわ!わたしのお母さんセンサーにビンビン来てるわぁっ!」
うわ…あのたくましいのなんか『ビクンビクンッ!ビビーンッ!ビクンッ!!』ってなってる、ほんとどうなってるのよ?
「発表するわ、この館で一番お母さんを必要としている子はっ!」
ごくり…
「レミリアちゃん!あなたよっ!」
「なっ!」
ずどーん!そんな衝撃が私を走り抜けた気がした、私にお母さんが必要?馬鹿な!ありえないわ、この幻想郷のスカーレットマイスタたる私がこの年になって
『お母さーん、抱っこぉ』とか『お母さん、一緒に寝てもいい?』だとか『お母さ~ん、一緒にお風呂入ろぉ?』とかしたい分けないじゃない、絶対…絶対!!
「ふ…何を言うかと思えば、言うにことかいて私にお母さんが必要ですって?ハハッ!出直してらっしゃい」
「レミリアちゃん、おいしい飴ちゃんよ~食べる?」
「食べるーっ!」
はむ、ぺろちゅぱ…ころころ…あ、いちご味だ~!
「…っは!」
「おいしいでしょう?」
しまった…思わず即答して飴ちゃんもらっちゃった…いや、でもまだ大丈夫私は飴ちゃんが大好きなだけの大人の女…。
「ふふん…飴で私を釣ろうなんて495年遅かったわね!私は大人よっ!コロコロ…ジュル…」
ふふ…言い切ってやったわ、これで貴女もぐうの音も出ないでしょう?ふはは、出直して…
「あらあら~、飴ちゃん大きすぎたかしら…よいしょっ」
さっふわっふきふき…。
「ほらほら、いい子にしててね~」
「う~…」
馬鹿な…身体能力と接近戦において幻想郷に右に出るもの無しと謳われた私の背後を取って膝に抱っこした上に口の涎を拭いた…だ…と?
「レミリアちゃんは、レディーなんだからお口に物が入っているときに喋っちゃ駄目でしょ?…めっ☆」
「…」
ぐぅのねも出ない、くそ…
「レミリアちゃん…、大丈夫よ?お金も要らないし口外もしないから、ちょっとだけ甘えてみない?」
「うっ…う~」
止めろ…そんな優しい目と優しい声音で私を惑わすなっ!もう…私は子供じゃない…子供じゃないのに…。
母様…
*************************************************************************
「神綺、私を抱っこすることを許可するわ」
「はいはい…ほーらしっかりつかまってるのよ~」
「きゃー!」
「神綺、私に食事を食べさせなさい」
「は~い、あーんして~?」
「あ~~ん」
「神綺、この本面白そうでしょう?読んでみたいわよね!」
「むかしむかし、あるところに手癖の悪い黒白おじいさんと腋丸出しな紅白おばあさんが…」
「zzz…」
どうしよう、抜け出せない!気が付いたら神綺が紅魔館でサービスを行うことを許可していて、更に事あるごとに神綺に甘えるのが当たり前になってしまっている。恐ろしい…恐ろしすぎるわお母さんぱぅわ!
どうするどうする、紅魔館の誰かに協力を要請して神綺を追い出すか!?
パチェー!
「ん?私はあの人がいる事に賛成よ、魔界神なんて滅多に会えるものじゃないし、あの人私と趣味が合うのよ。ま、レミィが私の趣味に付き合ってくれるって言うなら話は別だけれどね?」
パチェの裏切り者!引きこもり!もやし!触手対吸血鬼なんて付き合える訳ないじゃない!ばーかばーかもういいもん!
めいりーん!
「え?追い出すなんてとんでもない!あの人がいるからお嬢様の添い寝役から解放されたんですし、それかお嬢さま抱き付き癖直してくださいよ、吸血鬼の力でベアハッグされて寝不足になるこっちの身にもなってください」
めいりんの根性無し!甲斐性なし!巨乳!あんたのおっぱい枕最高なんだから仕方ないじゃない!も~っ!
咲夜~!
「ご安心くださいお嬢様、私めもあの泥棒猫には見かねるものを感じていたところです。必ずや亡き者にして…お嬢様とのはにぃむーんらいふを…う・ふ・ふ」
やめて!笑顔でナイフ研ぎながら青筋浮かべるのやめて!こわいこわいこわい!あと、殺しちゃ駄目だから!魔界との全面戦争になっちゃうから!うわーん!
神綺~!
「あらあら、レミリアちゃんは甘えん坊ね、泣いちゃ駄目よ~。ほらほらにっこり笑って!」
にぱー☆
「きゃー!可愛いわ!可愛いわレミリアちゃん!」
えへへ~…ってちっがーう!何でまた甘えに行っちゃうのよ馬鹿!馬鹿私!
「レミリアちゃん、ほら!ママとおそろいのサイドテールですよ~」
「う~…か、可愛い?」
「ええ、すっごく可愛いわよー!」
きゃっきゃっ!うふふ…ああ、抜け出せない…
*************************************************************************
「神綺…、聞きたいことがあるの」
「ん、何かしら?レミリアちゃん」
神綺が来てからちょうど一週間になる今日、私の甘えん坊も板についてきて諦めという甘美な誘惑が顔を覗かせ始めた今日少し気になることを神綺に聞いてみることにした。
「何で、私だったの?何で、お金も取らずにこんなによくしてくれるのかしら。主従でもない、血縁でも友達でもない私にどうしてこんなに優しくしてくれるの?」
そう、私はそれが知りたい。何か狙いがあるというのなら分かり易くていい、でも何の目的も無しにこんなことをしてくれるなんて私には理解しがたい。
こんな風に見返りを要求しない愛情を注いでくれる年上の人なんて、それこそ母様くらいしか私は知らない。
吸血鬼でありながら病弱だった母様、それでも笑顔を絶やさずとても優しかった母様、その母様が病気で亡くなった晩、私は誰にも頼らず一人で紅魔館を背負って立つと決めた。
母様…もう会うことも甘えることもできないけれど大好きだった母様、こんな風に優しくされてしまうと母様と神綺を重ねてしまう。
戻れない一線を越えてしまいそうになる、だからここで「実は○○の為だったの」という理由が欲しい。神綺と母様は同じじゃないという証明が欲しい。
じゃないと、私は…。
「そうねぇ、アリスちゃんがお世話になってるって言うのがそもそもの切欠ではあるんだけどね」
それだけじゃないんでしょう?さぁ大人しく本当のことを教えて。
「レミリアちゃん、あなた無理しているでしょう?」
「私が無理している?はっ!それこそ馬鹿なお話だわ。夜を支配し、気ままに空を飛び、欲しいものがあれば力づくで手に入れることに定評のある私に無理も負担もない!」
本当に、馬鹿な話だわ…
「そうかしら?私は神様よ?その人がどんな事に苦しみ、どんな事を求めているかなんて手にとるようにわかるわ」
「なら、わかるでしょう?私は何も苦しんでなどいない、求めることは自分で実現できる」
隠してるのに…
「お母さんに会えない寂しさ…でしょう?」
「っ!!」
全部ばれちゃってるじゃない…
「紅魔館を背負ってたたないといけない、皆の頼りになる主人でなければならない、妹を親友を従者を守らなくてはならない、確かにお母さんに会いたい、甘えたいなんて言えないかもしれないわね…でも、そんなことないのよ?年齢がいくつになってもどんな立場になってもお母さんと子供はいつまでたっても強い心の繋がりがあるの」
「うぅ…」
私は…
「一目見ただけでわかったわ、レミリアちゃんはお母さんの愛情に飢えている。でもそれを表現する方法も知らなければ表立ってそういうことも言えない立場だってことも。だから、私が何とかしてあげられたらなって…」
それでも私は…
「母様はもういない…、私は強くあるって決めたんだ…」
「そう…」
神綺を受け入れることができなかった…
*************************************************************************
次の日、神綺が魔界の従者に発見され強制的に連れ戻されることとなった。
「まったく、いつの間にか消えたと思ったらよそ様の家に入り浸って…」
「いたいいたいいたい!夢子ちゃん、髪の毛ひっぱらないで~」
金髪のメイドにあのたくましいのを引っつかまれしょっ引かれる神綺
「このたびはうちの神綺様がとんだご迷惑をおかけしました、ほら神綺様も謝ってください!」
「ご、ごめんなさい~」
たくましいのを引っ張られて強制的に頭を下げさせられる神綺
「まったく、従者なら主の動向は厳しくチェックして欲しいものね…」
「面目しだいもありませんわ、なにぶん神な物ですから文字通り神出鬼没でして」
銀の従者がつっかかり金の従者がぼやいているがそんなことはどうでもいい。
「れ、レミリアちゃ~ん…」
「あ…」
神綺が…神綺が行ってしまう…
「それでは皆様、ご迷惑をおかけしました。ほら神綺様、行きますよ!」
「いたたた!ひ、ひっぱらないで~!」
神綺!
「!?」
「わっ」
気が付くと金髪の従者の手を叩き落とし神綺に抱きついていた。
「神綺様っ…っ!?」
「させませんわ」
とっさに神綺を守ろうと金髪の従者が短剣を抜き放つが、そのときにはすでに咲夜が後ろを取り首筋にナイフを当てていた。
「……な…で…ぁ…ま…」
「え、レミリアちゃん?」
もう、構うものか言ってしまえばいい。
「…いかないで、母様」
そう神綺に訴えかける。もう二度と私は誰かを失いたくない…。
「行かないでよ、母様。ずっとレミィと一緒にいて!お願いだから…」
「レミリアちゃん…」
そっと頭を撫でられる、とたんに胸が熱くなって視界が歪む。
「大丈夫よ、母様はいつでも一緒よ…会いたくなったら呼んでくれればすぐに来…」
ギロッ!と金髪従者の視線がきつくなる。
「そうだ!レミリアちゃんが魔界の私のおうちに遊びに来て!母様はずっとそこにいるわ」
優しく抱き上げて頬にキスをしてくれる。
「あ゛ー!お嬢様にききき、キスをっ!」
「咲夜さん落ち着いて、今そういう場面じゃないですから…」
「とりあえず首にナイフ当てながら暴れるのやめてもらえないかしら…」
そっと私を地面に降ろすと神綺母様はにっこりと笑い
「それじゃあね…レミリアちゃん」
「うん、遊びに行くから…約束だから…」
そして金髪従者を伴い歩き始める、その背中を私は見えなくなるまでずっとずっと見つめ続けた。
そして、その背中が景色にかすんで見えなくなったとき自分の胸に大きな空洞ができてしまったような気がして、私の目から熱いものが流れ落ちた。
母様…
「出張お母さんサービスぅ?」
この女はいったい何を言っているのかしら?お母さんサービスってなによ…?
「ええ、そうよ~。こちらのお館にはうちのアリスちゃんもお世話になっているみたいだし。サービスしちゃうわよ~」
ふむ、あの七色魔法使いの関係者ね。
「で、サービス内容は?」
「お母さん全般よ、もちろん夜も添い寝して本を読んだりお腹ポンポンも付いてるわよ~?」
うららかなある日の午後、憎たらしい太陽の光が燦々と降り注ぐ中、我が紅魔館は突然の来訪者を迎えた。
その女は神綺と名乗り美鈴にもちゃんと話を通してきたと言う事だから、暇つぶしに顔だけは見せてやったけどねぇ…。
「あいにくとうちには子守が必要な子はいないし、家事手伝いも必要ないわね」
「そうかしら~?わたしのお母さんセンサーには反応が来てるんだけどねぇ、バリ3よ~?」
なんかうねうねし始めたわよあのたくましいサイドテール…、うう…どうなってるのか触ってみたい。
「ふーん?それじゃぁ聞くけど誰にお母さんが必要なのかしら?」
「そうねぇ、集中するからちょっと待って頂戴…」
さて、うちの誰にお母さんが必要なのかしらね?
咲夜…ないわね、あの子に限ってそんなことは、むしろお世話する方だし。
パチェ…これもないわね、この間も小悪魔を幼女に変身させて「優しいお母さんと甘えん坊な娘ごっこ」してたし…でもなんで裸だったのかしら…?
美鈴…ない、絶対ない。っていうかあのおっぱいはお母さんそのものだわ。
フラン…これが一番可能性が高いかしら?あの子も最近は安定してきてるとはいえまだまだ幼いし情緒も不安定だしねぇ…。
「むむっ!来たわ!わたしのお母さんセンサーにビンビン来てるわぁっ!」
うわ…あのたくましいのなんか『ビクンビクンッ!ビビーンッ!ビクンッ!!』ってなってる、ほんとどうなってるのよ?
「発表するわ、この館で一番お母さんを必要としている子はっ!」
ごくり…
「レミリアちゃん!あなたよっ!」
「なっ!」
ずどーん!そんな衝撃が私を走り抜けた気がした、私にお母さんが必要?馬鹿な!ありえないわ、この幻想郷のスカーレットマイスタたる私がこの年になって
『お母さーん、抱っこぉ』とか『お母さん、一緒に寝てもいい?』だとか『お母さ~ん、一緒にお風呂入ろぉ?』とかしたい分けないじゃない、絶対…絶対!!
「ふ…何を言うかと思えば、言うにことかいて私にお母さんが必要ですって?ハハッ!出直してらっしゃい」
「レミリアちゃん、おいしい飴ちゃんよ~食べる?」
「食べるーっ!」
はむ、ぺろちゅぱ…ころころ…あ、いちご味だ~!
「…っは!」
「おいしいでしょう?」
しまった…思わず即答して飴ちゃんもらっちゃった…いや、でもまだ大丈夫私は飴ちゃんが大好きなだけの大人の女…。
「ふふん…飴で私を釣ろうなんて495年遅かったわね!私は大人よっ!コロコロ…ジュル…」
ふふ…言い切ってやったわ、これで貴女もぐうの音も出ないでしょう?ふはは、出直して…
「あらあら~、飴ちゃん大きすぎたかしら…よいしょっ」
さっふわっふきふき…。
「ほらほら、いい子にしててね~」
「う~…」
馬鹿な…身体能力と接近戦において幻想郷に右に出るもの無しと謳われた私の背後を取って膝に抱っこした上に口の涎を拭いた…だ…と?
「レミリアちゃんは、レディーなんだからお口に物が入っているときに喋っちゃ駄目でしょ?…めっ☆」
「…」
ぐぅのねも出ない、くそ…
「レミリアちゃん…、大丈夫よ?お金も要らないし口外もしないから、ちょっとだけ甘えてみない?」
「うっ…う~」
止めろ…そんな優しい目と優しい声音で私を惑わすなっ!もう…私は子供じゃない…子供じゃないのに…。
母様…
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「神綺、私を抱っこすることを許可するわ」
「はいはい…ほーらしっかりつかまってるのよ~」
「きゃー!」
「神綺、私に食事を食べさせなさい」
「は~い、あーんして~?」
「あ~~ん」
「神綺、この本面白そうでしょう?読んでみたいわよね!」
「むかしむかし、あるところに手癖の悪い黒白おじいさんと腋丸出しな紅白おばあさんが…」
「zzz…」
どうしよう、抜け出せない!気が付いたら神綺が紅魔館でサービスを行うことを許可していて、更に事あるごとに神綺に甘えるのが当たり前になってしまっている。恐ろしい…恐ろしすぎるわお母さんぱぅわ!
どうするどうする、紅魔館の誰かに協力を要請して神綺を追い出すか!?
パチェー!
「ん?私はあの人がいる事に賛成よ、魔界神なんて滅多に会えるものじゃないし、あの人私と趣味が合うのよ。ま、レミィが私の趣味に付き合ってくれるって言うなら話は別だけれどね?」
パチェの裏切り者!引きこもり!もやし!触手対吸血鬼なんて付き合える訳ないじゃない!ばーかばーかもういいもん!
めいりーん!
「え?追い出すなんてとんでもない!あの人がいるからお嬢様の添い寝役から解放されたんですし、それかお嬢さま抱き付き癖直してくださいよ、吸血鬼の力でベアハッグされて寝不足になるこっちの身にもなってください」
めいりんの根性無し!甲斐性なし!巨乳!あんたのおっぱい枕最高なんだから仕方ないじゃない!も~っ!
咲夜~!
「ご安心くださいお嬢様、私めもあの泥棒猫には見かねるものを感じていたところです。必ずや亡き者にして…お嬢様とのはにぃむーんらいふを…う・ふ・ふ」
やめて!笑顔でナイフ研ぎながら青筋浮かべるのやめて!こわいこわいこわい!あと、殺しちゃ駄目だから!魔界との全面戦争になっちゃうから!うわーん!
神綺~!
「あらあら、レミリアちゃんは甘えん坊ね、泣いちゃ駄目よ~。ほらほらにっこり笑って!」
にぱー☆
「きゃー!可愛いわ!可愛いわレミリアちゃん!」
えへへ~…ってちっがーう!何でまた甘えに行っちゃうのよ馬鹿!馬鹿私!
「レミリアちゃん、ほら!ママとおそろいのサイドテールですよ~」
「う~…か、可愛い?」
「ええ、すっごく可愛いわよー!」
きゃっきゃっ!うふふ…ああ、抜け出せない…
*************************************************************************
「神綺…、聞きたいことがあるの」
「ん、何かしら?レミリアちゃん」
神綺が来てからちょうど一週間になる今日、私の甘えん坊も板についてきて諦めという甘美な誘惑が顔を覗かせ始めた今日少し気になることを神綺に聞いてみることにした。
「何で、私だったの?何で、お金も取らずにこんなによくしてくれるのかしら。主従でもない、血縁でも友達でもない私にどうしてこんなに優しくしてくれるの?」
そう、私はそれが知りたい。何か狙いがあるというのなら分かり易くていい、でも何の目的も無しにこんなことをしてくれるなんて私には理解しがたい。
こんな風に見返りを要求しない愛情を注いでくれる年上の人なんて、それこそ母様くらいしか私は知らない。
吸血鬼でありながら病弱だった母様、それでも笑顔を絶やさずとても優しかった母様、その母様が病気で亡くなった晩、私は誰にも頼らず一人で紅魔館を背負って立つと決めた。
母様…もう会うことも甘えることもできないけれど大好きだった母様、こんな風に優しくされてしまうと母様と神綺を重ねてしまう。
戻れない一線を越えてしまいそうになる、だからここで「実は○○の為だったの」という理由が欲しい。神綺と母様は同じじゃないという証明が欲しい。
じゃないと、私は…。
「そうねぇ、アリスちゃんがお世話になってるって言うのがそもそもの切欠ではあるんだけどね」
それだけじゃないんでしょう?さぁ大人しく本当のことを教えて。
「レミリアちゃん、あなた無理しているでしょう?」
「私が無理している?はっ!それこそ馬鹿なお話だわ。夜を支配し、気ままに空を飛び、欲しいものがあれば力づくで手に入れることに定評のある私に無理も負担もない!」
本当に、馬鹿な話だわ…
「そうかしら?私は神様よ?その人がどんな事に苦しみ、どんな事を求めているかなんて手にとるようにわかるわ」
「なら、わかるでしょう?私は何も苦しんでなどいない、求めることは自分で実現できる」
隠してるのに…
「お母さんに会えない寂しさ…でしょう?」
「っ!!」
全部ばれちゃってるじゃない…
「紅魔館を背負ってたたないといけない、皆の頼りになる主人でなければならない、妹を親友を従者を守らなくてはならない、確かにお母さんに会いたい、甘えたいなんて言えないかもしれないわね…でも、そんなことないのよ?年齢がいくつになってもどんな立場になってもお母さんと子供はいつまでたっても強い心の繋がりがあるの」
「うぅ…」
私は…
「一目見ただけでわかったわ、レミリアちゃんはお母さんの愛情に飢えている。でもそれを表現する方法も知らなければ表立ってそういうことも言えない立場だってことも。だから、私が何とかしてあげられたらなって…」
それでも私は…
「母様はもういない…、私は強くあるって決めたんだ…」
「そう…」
神綺を受け入れることができなかった…
*************************************************************************
次の日、神綺が魔界の従者に発見され強制的に連れ戻されることとなった。
「まったく、いつの間にか消えたと思ったらよそ様の家に入り浸って…」
「いたいいたいいたい!夢子ちゃん、髪の毛ひっぱらないで~」
金髪のメイドにあのたくましいのを引っつかまれしょっ引かれる神綺
「このたびはうちの神綺様がとんだご迷惑をおかけしました、ほら神綺様も謝ってください!」
「ご、ごめんなさい~」
たくましいのを引っ張られて強制的に頭を下げさせられる神綺
「まったく、従者なら主の動向は厳しくチェックして欲しいものね…」
「面目しだいもありませんわ、なにぶん神な物ですから文字通り神出鬼没でして」
銀の従者がつっかかり金の従者がぼやいているがそんなことはどうでもいい。
「れ、レミリアちゃ~ん…」
「あ…」
神綺が…神綺が行ってしまう…
「それでは皆様、ご迷惑をおかけしました。ほら神綺様、行きますよ!」
「いたたた!ひ、ひっぱらないで~!」
神綺!
「!?」
「わっ」
気が付くと金髪の従者の手を叩き落とし神綺に抱きついていた。
「神綺様っ…っ!?」
「させませんわ」
とっさに神綺を守ろうと金髪の従者が短剣を抜き放つが、そのときにはすでに咲夜が後ろを取り首筋にナイフを当てていた。
「……な…で…ぁ…ま…」
「え、レミリアちゃん?」
もう、構うものか言ってしまえばいい。
「…いかないで、母様」
そう神綺に訴えかける。もう二度と私は誰かを失いたくない…。
「行かないでよ、母様。ずっとレミィと一緒にいて!お願いだから…」
「レミリアちゃん…」
そっと頭を撫でられる、とたんに胸が熱くなって視界が歪む。
「大丈夫よ、母様はいつでも一緒よ…会いたくなったら呼んでくれればすぐに来…」
ギロッ!と金髪従者の視線がきつくなる。
「そうだ!レミリアちゃんが魔界の私のおうちに遊びに来て!母様はずっとそこにいるわ」
優しく抱き上げて頬にキスをしてくれる。
「あ゛ー!お嬢様にききき、キスをっ!」
「咲夜さん落ち着いて、今そういう場面じゃないですから…」
「とりあえず首にナイフ当てながら暴れるのやめてもらえないかしら…」
そっと私を地面に降ろすと神綺母様はにっこりと笑い
「それじゃあね…レミリアちゃん」
「うん、遊びに行くから…約束だから…」
そして金髪従者を伴い歩き始める、その背中を私は見えなくなるまでずっとずっと見つめ続けた。
そして、その背中が景色にかすんで見えなくなったとき自分の胸に大きな空洞ができてしまったような気がして、私の目から熱いものが流れ落ちた。
母様…
「食べるーっ!」
この辺から終始笑みが浮かびっぱなしでしたw
こういう甘々なレミリアも良いものですね。
しかしこの組み合わせは意外すぎるw
とりあえずあのアホ毛は妖怪レーダーと同種の物なんですね。
神綺~~おれだぁ~~レミリアと変わってくれェェ
お母さんしてる神綺様が本当に愛してるw
お母さんセンサーにびびっと来るものがありましたw
続きに期待!
謎の説得力がある
後半でしっかりいい話にもってってるのがいいですねぇ
もう母さまとしての神綺には頼らないと決めたはずなのに別れの場では衝動的に抱きついてしまう
そんなこどもらしさが残ってるレミリアがとても愛しくてもうね
いえ、まだでしょうか(全裸正座中
ほんわかした
ああ、次はイ〇ロだ…