注意書き
お子様カップル・自己設定・美鈴に関しては前作「天の灯火」繋がりです、見なくても平気ですが。
紅に染められた悪魔の住まう館紅魔館、吸血鬼や魔女が住まう人間の立ち入ることの出来ない場所である。
その地下、魔女パチュリー・ノーレッジの愛する書物が収まる大図書館では
「ずるい!さくやさん!それ私が読もうとしていたのにー!」
「早い者勝ちだもん、めーりんはそっちの読めばいいの!」
子ども読書コーナーが出来上がりつつあった…
「どうしてこうなった」
紅魔館の主にして、私の友である吸血鬼レミリア・スカーレットが最初に拾ってきたのは東洋系と思われる赤毛の妖怪の子供だった。
どうやら人間にずっと捕われていたのを見つけてきたらしい。
そして、
「この子の勉強よろしくね」
と、寄越してきた。丸投げにも程がある、拾った者が面倒を見るのが普通だろう?
そう思ったが友人が勉強など教えられるはずもないのでこの子の将来の為にしぶしぶ引き受けた。
その妖怪に名前は無かった、友人は嬉々として名前を考えていたが友人にまかせると可哀想な事になるのでかなり口を出した、
その結果“紅美鈴”と決まった。
一般教養が皆無だった為教え初めはかなり手こずった、なんせ普通生まれてから物心つくまでに自然に憶える事を理解していない。
まあ、もともとの性格なのか素直に教えられた事を吸収してくれるので教える側としてはありがたかったが、あまりに素直なので、
騙されやすいお人好しになりそうな気がする。
次に友人は銀色の髪を持の人間の子供を拾ってきた。
人間にしては面白い能力を持っているし母親に死なれ途方にくれていたので丁度いいから連れて帰ってきた。
美鈴の遊び相手にも丁度いいと思ったようだ。
そして
「この子の勉強よろしくね」
ロイヤルフレアで焼きたくなった…
まあ友人が勉強など(以下略)
十六夜咲夜となったこの子は美鈴の次に図書館の生徒になった。
ようやく一般教養を身につけた美鈴と咲夜はいい感じに同レベルに感じたが…
「パチュリーさまー!さくやさんが本取りましたー!」
美鈴が泣きながら走り寄ってきた。
妖怪が人間に泣かされるってどういう事なの?妖怪の矜持ってどこ?
そう思ったけれど、真っ当な妖怪として育っていなかったのだからしょうがない、今後の成長に期待しよう。
「取ってない!めーりんがぐずぐずしているのが悪いんじゃない!」
騒がしい…飼い主は何しているの?責任を持って世話しなさいよ、まったく。
「はーい!美鈴、咲夜ー、オヤツよー」
ワゴンに山盛りクッキーと紅茶を乗せてバカ飼い主レミィがやってきた。
人に勉強などを押し付けておいて、お菓子や人形など好かれるアイテムで懐かせようとしているのだ。
だが、こちらも負けずに昼寝の時に小悪魔が子守唄を歌ってあげたり本の読み聞かせをしたりしてポイントを稼いでいるのよ。
だから小悪魔には懐いているわよ、小悪魔には…
べ、別に気にしてなんかいないわよ?子供の時は美味しいものや楽しいものを与えてくれる人に懐くけど
大人になったら人生に役立つ事を教えてくれた人に感謝するんだから!寂しくなんか無いのよ!
オヤツの登場に美鈴と咲夜は喧嘩していたのも忘れてレミィの元にダッシュしていった。
…だから寂しくなんて無いってば!
そして、図書館の一角でティータイムとなった。
美鈴はクッキーを次々に口に入れていく、おかげで両頬は膨らんで餌集めに夢中のリスのようだ。
この子はとにかくよく食べる。大人の標準量を軽く超える、それでも太らないのが謎。
まあ、手足などは程よくぷにぷにしていて触り心地がいい。
そういえばレミィはしつこいくらい手をぷにぷにしたり触りまくるので逃げられてたわね、あの後のレミィの落ち込みは笑えたわ。
咲夜はといえば、美鈴みたいに一度に食べれないので食べきれない分はポケットにしまっている。
前にその事を忘れてスカートにアリが群がった事があったのに、懲りないのね…
この子は美鈴とは逆に小食なせいか体も華奢でお人形のような印象がある。
だからかなのか、レミィは色々な服を用意したのだけれど着せ替え人形にされたくなくて咲夜はいつも逃げていたわね、そして落ち込むレミィ。
オヤツを食べながら最近の出来事を一生懸命レミィに話している子供達は微笑ましいものね。
「おじょうさまー、今日ですねお庭でお花を見ていたら、緑の髪の傘を持った女の人が来て『花が好きなの?』
って聞いてきたから『好き』って答えたら『いい子ね、お姉さんの花畑に来ない?』って聞かれたんです。でも
お勉強の時間だから断ったら、『また今度ね』って言っていちゃったんですよ、今度あったら行ってもいいですか?」
「「ダメよ」」
「おじょう様、わたしはキッチンでおじょう様に良く似た女の子に会いました。
『お菓子持ってる?』って聞かれたのでポケットのクッキーあげたら笑って
『ありがと、今度遊びましょうね』って言われたんですけど、遊んでいいですか?」
「「ダメ!」」
微笑ましいかと思ったら、何やら危険なフラグが立っていない?
ダメだしされて少し不満げに頬をぷーと膨らませていた二人だがすぐに機嫌は直って隣同士でじゃれ始めた。
そういえば…
「ところであなた達、さっき喧嘩していたのにもういいの?」
「「あっ」」
どうやらオヤツに気をとられて本当に忘れていたようだ、言わないほうが良かったかしら?
「何、喧嘩?何が原因なの?」
「本の取り合いになったのよ、お互いが譲らないだけなんだけどね」
本当に些細な事よね。
「そうなの、まあ欲しいものは力ずくで手に入れるのが常識だものいい経験ね」
「ちょっと待ちなさい、違うでしょ!」
何を言い出すのかこの短絡思考吸血鬼は、教育に悪い。
「そうですよ、友達同士は仲良くしないといけませんよ」
ああ、小悪魔いたのね、ずっと子供達の世話をしていたのを忘れていたわ。
「美鈴さん、咲夜さん、自分だけ楽しくても友達が楽しくないと嫌でしょう?やっぱり自分も友達楽しいのが一番ですよ」
良い事いうわねさすが私の使い魔、でもそろそろ“悪魔”の名前を返上したほうが良いわね、すっかり保母さんだし。
「はい、わかったです。さくやさんこの後一緒にご本読みましょう?」
にっぱりと咲夜に笑いかける。美鈴の笑顔はひまわりのようだ。
「めーりんがそうしたいなら別にいいよ」
ひまわり笑顔に負けて承諾したようだ。
「えへ、ありがとうーさくやさん」
言いながら美鈴がきゅーと咲夜を抱きしめた、対して咲夜は顔を赤くしてわたわたした後に同じようにきゅーと抱きしめ返した。
無事に仲直りのようだ、喧嘩もするけれど実際は凄く仲がいいのだから。
食事も隣同士、お風呂も一緒、部屋とベッドも一緒でいつも仔犬の兄弟のようにくっ付いている。
いつの間にかレミィは写真を撮りまくっている。どこぞの文屋顔負けの素早さだ。
まあ、私はマジックアイテムの水晶に動く姿を記録しているんだけどね、もちろん音声付よ!
オヤツの時間が終わると二人は使った食器をワゴンに乗せてキッチンに向かって二人で一緒に押して行った。
何かあったら困るので小悪魔は付き添い。
「家の子達は本当に良い子よねー」
「そうね、吸血鬼の館で育っているとは思えない素直さね」
「美鈴なんてうっかり誰かについて行きかねないわね」
そういえば声を掛けられたと言っていたわね。
「外には出さないようにしたほうが良いかしら?」
何で思考が極端なんだろう
それにあの子は外や花が大好きだからそれは出来ない
「じゃあこうしたら、外にいる間この館を悪い侵入者から守るという役割をあげるの、
そうしたら館の外にいても誰かに付いていくこともないでしょう?」
「さすがパチェ!いい考えね。じゃあ咲夜はどうしようかしら?美鈴だけだと拗ねるわよ」
「小悪魔の話によると最近紅茶やお菓子の作り方に興味を持っているらしいわね、キッチンにちょくちょく顔を出しているらしいし。」
「そうなの?じゃあメイド長に話をつけておくわ」
「仕事をしているという認識があれば誰かに誘われて危険な遊びをすることも無いだろうし」
「咲夜がしっかり力を使いこなせるまではあの子と遊ばせられないしね」
何かしら仕事を任せられるのは子供の精神的な成長には良いらしいし丁度いいわね。
「「片付けてきましたー!」」
戻ってきた二人は真っ先にレミィに駆け寄った。
「よくやったわね、偉いわ」
レミィに頭を撫でられて二人とも嬉しそうにしている。
結局二人とも一番好きなのはレミィなのだ。刷り込みなのか助けてもらった恩なのかは分らないけれど、
小悪魔に一番懐いても、知識を与えた私に感謝しても一番はレミィ。
まあ、しょうがないわね、私はあの子達が道を間違えないよう助力しましょう。
「ところで二人にお仕事をしてもらいたいのよ」
悪魔の住まう館、紅魔館に小さなメイド見習いと小さな門番見習いが出来ました。
子供カップルって、見てると何か微笑ましくなりますよね。
ちっさめーさく可愛すぎる
保護者組みとちっさいめーさくの日常的絡みがもっと見て見たいですね。
誤字報告。
オヤツの時間が終わる~の部分で、小悪魔が「子悪魔」になってます。
おっと失礼、面白かったですよ。
何か鼻から出てきたぞ
まさかのゆうかりんw
ちびっこ好きなんですね、分かります。
とりあえず、続編希望しますw
だが、それが良い。
しかし咲夜さんは数年後は…?
癒された。
ちっこいめーさくもいいものだ。
でも・・・やっぱり美鈴保護者じゃないとな。それが自分のジャスティスですっ!