「うわ、甘っ、甘すぎるだろこれ!」
人差し指をぺろりと舐めて、霧雨魔理沙は顔をしかめる。口の中にこれでもかと広がる甘さに眉を寄せた。
「ちょっと、砂糖入れすぎたか。いや、でも、分量は計ったしな……」
木べらを右手で振りながら、眺めるのは左手に持ったメモ。少しばかりよれて、茶色くなったそれは、今朝方まではきれいだったのだけれど。
口を尖らせて、ああでもない、こうでもない、とぶつぶつ呟く表情は真剣そのもの。
「慣れないことはするもんじゃないな、ったく」
はあ、とため息をひとつ。あたりを見回して、あまりのらしくなさに苦笑いをするほかない。
普段ならば、キノコだの火薬だので散らかった研究室の机の上、代わりに並んでいるのは、甘い甘いチョコレート、さらさらとした粉砂糖や何かが入った可愛らしい食器たち。フラスコやら、ビーカーがあるべき場所には、ぴかぴか銀色のボールと、木製の計量スプーン、計量カップ。
部屋中に漂う甘い、甘い香り。チョコレートに、バニラエッセンス。
散らかり具合としては、普段とそう大差はない。ほんの少しばかり、置いてあるものが違うだけ。けれど、その“ほんの少し”が、落ち着かない。よく見知ったどこよりも慣れた場所であるはずなのに、どこか夢の中のように感じられる。
普段ならば、絶対にあり得ない光景。けれど、今日は特別。
今日はバレンタインデー。
魔理沙もまた、どこにでもいる普通の乙女の如く、手作りのトリュフチョコに挑んでいる、というわけだ。
「ていうか、絶対からかわれるだろうな」
らしくなさは自覚している。意外そうに肩を竦める七色の魔法使いの姿も、じと目で鼻を鳴らすであろう七曜の魔女の姿も、容易に想像できる。
どんなに頑張って、上手なチョコレートを作ることができたとしても、だ。
そこで、歓声をあげて笑うような連中ではない。もっとも、魔理沙の知り合いの中に、チョコレートを素直に喜ぶような可愛らしい人物はいないのだけれど。
「やめとけばよかったかな」
恥ずかしさ半分、うまくいかないやけな気分半分で、少しばかりマイナス思考。実際、バレンタインデー自体、魔理沙にとっても、周りにとっても、なじみが深いものではない。ここまで苦労してまで作ろう、便乗しようと思う必要もないのかもしれない。
はあ、ともう一度だけ、ためいきをついて、そもそも、なぜチョコレートを作ろうと思ったのかについて、思いを巡らせてみる。
あれは一月ほど前の宴会の日のことだ。定期的に開催する人間の少女――霊夢、魔理沙、咲夜、早苗の四人で集まって、たわいないおしゃべりをしながらばか騒ぎをする宴会。
普段の妖怪人間、老いも若きも入り混じった宴会とはまた違った趣のある集まりだ。
いつもよりも少女らしい話をしたりもする。
そう、そこで、早苗が言い出したのだ。
「バレンタインに友チョコの交換をしましょう」
曰く、バレンタインデーとは外の世界の少女のお祭りであるとのこと。チョコレート味の手作りのお菓子交換する一大イベントなのだという。
そうすることによって、友情を深め、再確認する特別な日。
友逹と出会えたことへの感謝を伝える日なのだと。
「友情に感謝、ねえ? なんだか世知辛い話に聞こえるけど」
「お菓子で友達をつなぎとめるなんて、それは友達といえるのかしら」
「もう、霊夢も咲夜も夢のないこと言わないでください! そんなんじゃなくて、違くて!本当に楽しいんだってば」
「嘘くさいぜ」
「魔理沙!」
楽しくって、うれしくって、わくわくして。
酔っ払ってろれつの回らなくなった舌で、熱っぽく語る早苗に魔理沙も霊夢も咲夜も根負けして、バレンタインの開催と相成ったわけである。なんのことはない。口では憎まれ口を叩きながらも、それぞれ、 早苗の語る夢物語のようなバレンタインを迎えるのがまんざら悪くない、むしろ楽しそうだと思ってしまったというだけの話だ。
とはいえ、生憎、なにやら、バレンタインデー当日は、折悪く四人の予定が合わなかったため、来週に持ち越されることになったのだけれど。
「あいつらは関係ないんだけどな」
早苗が熱くバレンタインについて語ったその時に、霊夢たちの他に、魔理沙の頭に浮かんだのは二人の少女。ほんの瞬間よぎっただけなのだけれど。
チョコレートを贈りたいと、なぜだか、そう思ってしまったのだ。
ちょうど、前々からその日はアリスともども、パチュリーの魔術の儀式の補助をする約束をしていた日だったことも手伝って、チョコレートの制作を決めた、というわけだ。
「……やるか」
その時の気持ちを思い出して、ほんの少しだけ気持ちが前を向く。ネガティブな心の中で、わくわくが、もぞりもぞりと動きだす。
もう一度、木べらを握りしめて、ゆっくりとチョコレートをかき混ぜる。
「バレンタインのチョコのお礼は、一ヵ月後の三倍返し、ってことらしいし」
別に、特別な気持ちはない。友情に感謝とか、そんなくさいことを言うつもりはない。
魔理沙は、早苗だの霊夢だの咲夜に馬鹿にされないための練習をしているだけだ。失敗策をアリスとパチュリーに毒見させるちょっとしたいたずらの計画だ。
三ヶ月後に三倍のお返しをせしめるための、海老で鯛を釣る作戦だ。
ただ、それだけ。
「そんなチャンスを逃す手はないだろ、やっぱ」
とろりと溶けたチョコレートをくるくるとかき混ぜる手が早くなる。
わざわざ言い訳がましい独り言だ。ほんの少し、頬が熱くなる。
本当の気持ちを素直に認めるのは、癪だから。とりあえず、そういうことにしておくことにする。
「もうこんな時間かよ! あーもう!」
ポーン、ポーンと音を立てるのは十二時を告げる鐘の音。チョコレートが固まるまでにかかる時間と約束の時間を考えれば、そろそろ完成させなければ間に合わない。
「ま、ちょっと、甘ったるいぐらいでいいだろ」
そもそものコンセプトが友情だの、なんだのと甘ったるいのだ。
チョコレートが少しくらい甘いぐらい、どうということもない。
そんなことを考えて、頬を綻ばせて。せわしなく動き回る魔理沙のエプロンのリボンは、楽しげに揺れていたのだった。
「うん、かわいい」
お気に入りの人形がふたりがかりで、小さな包みにリボンを結わえる。ほんの少し力み過ぎたのかその場に尻もちをついた人形に微笑みかけて、アリスは満足げにうなずいた。
目の前のバスケットに、ひとつ、ふたつと包みを詰める人形たちも心なしか、楽しげだ。
「これで完璧ね」
色とりどりのリボン、ハートをモチーフにしたプレゼント。
今日はバレンタインデー。もちろん、その包みの中身はチョコレートだ。正しくは、ブラウニーだの、チョコチップクッキーだのといったようなチョコレート味のお菓子が沢山詰まっている。
一週間ほど前から、計画的に進めてきたバレンタインの準備は完璧だ。
とはいえ。バレンタインデー本来の意味であげたい人がいるわけではないのだけれど。
「この時期になると、つい作りたくなっちゃうのよね」
もともとチョコレートを贈りあうバレンタインデーはアリスが実家にいた頃の習慣だった。幼いころ は、恋人同士が贈り物をし合うだとか、愛の告白をする日だとか、そんなことは露知らず。
世界でいちばんやさしいお母さんに。
世界でいちばんたいせつなお姉ちゃんに。
世界でいちばんだいすきなアリスちゃんに。
そんな言葉を転がしながら、チョコレートを食べる日だと思っていた。
少しばかり、大きくなってからは、チョコレートを作って、チョコレートを食べる日。
クリスマスのプレゼント、誕生日のバースデーケーキ、ハロウィーンのかぼちゃ。幼いアリスにとっては、バレンタインのチョコレートはそれらと何も変わらないものだった。
特別な日の、特別なおやつ。
そのせいだろうか。大人になって、バレンタインの本当の意味を知っても、この時期になると、チョコが食べたくなる。誰かにチョコを贈りたくなる。もう、身体に刷り込まれているのだ。
とはいえ、変な邪推をされるのも面倒くさいし、勘違いされても困る、ということで、気軽に誰かに贈るということはできない。ゆえに、一人暮らしをするようになってからは、バレンタインに少しだけ自分用のチョコレートを作っていただけだったのだが。
「別にそういう意味じゃないし」
つい、今年はチョコレート菓子を作ってしまった。
いや、違うのだ。そんなつもりはなかった。ただ、いつものとおり、本を借りるお礼だとか、図書館でのお茶会のお菓子を作っていただけだ。たまたま偶然、パチュリーに魔術の手伝いをしてほしいと頼まれた日がバレンタインデーだったというだけだ。
どうせお菓子を持っていくのだ。たまたま、バレンタインデーに、チョコレートのお菓子を贈ったって何も不自然なところはない。
パチュリーに本を借りてるから、感謝の意をこめて、差し入れするのはいつものこと。同じ図書館でよく顔をあげる魔理沙にもあげないと拗ねるし、自分の分はないのかとうるさいから、魔理沙の分も用意するのもいつものことだ。
「……平気よね?」
そもそも幻想郷ではチョコレート自体そこまでメジャーな食べ物ではない。そういうものを好む妖怪連中だのなんだのは、各々の独自に持っているルートから手に入れ、一般にそういうものが流通することはほとんどないのだ。つまり、バレンタイン文化は根付いてないということではないだろうか。
つまり、それは、幻想郷生まれの幻想郷育ちで生粋の幻想郷っ子である魔理沙はバレンタインデーを知らない、ということだ。バレンタインを知らない少女にバレンタインにチョコレートを贈ったところで、何かを邪推されることもない。
また、パチュリーはバレンタイン自体を知っている可能性は十分にある。けれど、あまり日付を意識した生活を送っていないあの引きこもりがバレンタインを意識しているとは思えない。そもそも、普段からして、朝と夜の区別さえしてない節がある。もちろん、曜日だの月齢だのは気にしてるようだけど。
だから。二人にならばチョコレートを贈っても、大丈夫だ、とアリスはそう判断したのだ。
口には出さない。態度にも出さない。
けれど、こっそりと親愛の気持ちをこめて。大好きの気持ちをこめて。
「とはいえ、ちょっとやり過ぎたかしらね」
人形たちの手によって、バスケットにお行儀よく納まった二つのお菓子の包みは、いつもよりもずっとずっと凝ったラッピングがなされている。中身だっていつも以上に豪華だ。
作っている最中は、気にも留めなかったのだけれど、こうして改めてみるとちょっとどうしたの、と思われても不思議ではないぐらいには豪華である。
星の飾りがついたのは魔理沙。
三日月の飾りがついたのはパチュリー。
包みだけではない。それぞれの好みに合わせて、中身も違う。味付けだって、各々の好みに合わせて、少しずつ変えてある。
「まあ、いっか」
「バカジャネーノ」
ほんの少しの逡巡を経て、せっかく作ったのにもったいない、という意識も働いて頷いたアリスに上海人形が語りかける。
一体、誰の言葉を真似しているのか、最近の上海は妙に口が悪い。
ともあれ、くいくいと服の袖を引っ張る上海の指さす方にあるのは掛け時計。時刻は14時。もうそろそろ出発しなければ、約束の時間に間に合わない。
「ありがと、上海」
「シャンハーイ」
上海人形の頭をひと撫で。バスケットを腕にかけて、立ちあがる。
喜んでくれるだろうか、そんな思いが胸をよぎる。
もちろん、ひねくれ者の集まりだ。素直な言葉などは期待していないけれど。
「うん」
言葉じゃなくていい。ただ、おいしそうに食べてくれたらいい。
まあまあだな、なんてドヤ顔をする魔理沙や、甘いとかそんな感想しか言わないパチュリー。
そんな反応さえも、楽しみなんてどうかしていると自分でも思う。
「じゃあ、行きますか」
けれど、弾む心は抑えきれない。
「なんで、こんなことを」
そんなことを、苦々しげに呟いたパチュリー・ノーレッジは、不機嫌なじと目でテーブルを睨みつける。お気に入りの安楽椅子に腰かけた目の前に広がるのは、本の山でなければならないのだけれど。
今日に限っては、本は一冊たりとも置かれてはいない。代わりに目に入るのは、上品な詩集のなされた真っ白なテーブルクロスの上、陶磁器のポット。いつもやかましい迷惑な後輩どもが勝手に定位置と決め込んで陣どる席の前、それぞれ置かれたティーカップ。
それから、本の代わりにパチュリーの手元にあるのは、リボンで彩られたふたつの可愛らしい包み。
たったそれだけの違いだ。けれど、ただそれだけで、普段の重厚な静寂に満ちた地下図書館の空気さえも、どこかかろやかなものに感じられる。
不満げな様子を隠そうともしないパチュリーに、テーブルのセッティングをしていた小悪魔は苦笑いを浮かべる。
「なんでもなにも。そもそもの言い出しっぺはパチュリー様じゃないですか」
「あんたでしょうが」
「何をおっしゃいますか、パチュリー様。私は、バレンタインデーは悪魔にとって、力を蓄えるチャンスの日でもあるって、言っただけですよ」
「う」
しれっと肩を竦める小悪魔に、言葉を失うパチュリー。
きっかけは、クリスマスのこと。魔女にとっての宿敵の祭典に、何も考えず、誰も彼もが浮かれていることをパチュリーがぼやいていたのが始まりだ。パチュリー自身が魔女狩りに遭ったというわけではないけれど、その隔たりは魔女にとって重大なものであるわけで。
だというのに、それを体験してきたはずの親友の吸血鬼も、自分よりも幼い魔法使いたちも揃って、クリスマスだなんだとはしゃぎ回っていることに対して、小悪魔を捕まえて、延々愚痴を言い続けていたのである。
まあ、半分は魔女としてのプライドが邪魔をして、お祭り騒ぎに参加できない腹いせのようなものだったのだけれど。つくづく、面倒くさい性格のご主人だ、と小悪魔は心の中で苦笑い。
「まあまあ、外の世界の日本ではもうそんなこと関係ない、単なるお祭りみたいなものですからね、クリスマス」
「だけど……」
「ああ、ほら、バレンタインなんかもそうですし」
「バレンタイン?」
「あれは悪魔的にもおいしいイベントなんですよねぇ」
ワイン片手にくだを巻くパチュリーをいさめるように小悪魔が語ったところによると。
愛の告白の日であるところのバレンタインデー。近年になって、そのような文化が世界中に広がりつつあるということである。特に幻想郷の位置する日本では、少女たちがこぞってチョコレートを買い求め、好きだのなんだのと、恋人を手に入れようとする、そんなイベントになっている、と小悪魔は語る。
「煩悩がうずまいてますからねー」
「ああ、そういう」
誰かを手に入れようとする強い気持ち。決死の告白が通じず悲しむ気持ち。
そんな心の隙間に付け入るのが悪魔のお仕事だ。
科学がいくら発展したとて、好いた惚れただのにまつわるエゴは変わらず、そんなことにうつつを抜かす年頃の少女たちの都合のいい妄想も変わらない。
普段は騙されないだろう、けれど、バレンタインならば。
「意外ところっと契約とかしてくれちゃうんですよねー。単純でかわいいったら」
「どこぞの鼠にもその素直さを見習わせたいものだわ」
「またまた、あれで魔理沙さんも乙女ですからね。もう少し大人になったら、どう転ぶか分かりませんよ?」
「あれにそんな可愛げはないわよ。でも……」
いつの間に気を取り直したのか、ふむ、と一つ頷いたパチュリーは小さく笑う。
「バレンタイン。もともとは聖人に由来する記念日に悪魔が喜ぶなんて、皮肉がきいてていいじゃない」
「はい?」
「私たちも盛大に祝おうじゃない、バレンタインデーを」
不敵に微笑んだパチュリーは、2月14日、後輩魔法使いを集めて、チョコレートパーティーを開くことを決めたのだった。決して、クリスマスに参加できなかったのが寂しかったから、とかそういうことではない。
そこまでは、よかったのだけれど。
「バレンタインが友情を示す儀式も兼ねているなんて聞いていないわ」
「だって、私もパチュリー様の使い魔になってからは外の世界に出張なんてそうそうしませんし。友チョコ文化が主流になってるなんて知らなかったんですってば」
「信用できないわね」
「ひどっ。ひどいです、パチュリー様!」
ということなのだ。クリスマスから二か月以上かけて準備していく最中、風のうわさで外の世界でのバレンタインデーのありようがまた、変わりつつあることを知り。
それが、いわゆる友チョコだったのだけれど。
友達同士、チョコを贈りあう、パチュリー曰く“甘ったるいイベント”。もしも、アリスと魔理沙が友チョコについて知っているならば、わざわざバレンタインデーに二人を呼び出した理由について、変な勘違いをされても不思議ではないわけで。
「これじゃ、わざわざ私が二人に親愛の情を示したがっているみたいじゃない」
「いいじゃないですか、ふつうに仲良し三人組」
「いいわけないでしょう」
先輩としての威厳が、上下の示しがつかない、なんて頭を抱えるパチュリー。
そんなパチュリーを眺めながら、内心、“素直じゃないなあ”なんて、小悪魔は、くすくす笑ってしまう。
口では何のかんの言いながら、決して中止しようとは言わないのだ。
いやよいやよも好きのうち。動かない大図書館なんて揶揄されるほどの本の虫が、本を片づけることを厭わず。それどころか、あれこれ準備にもあれやこれや細かい注文をつけてくる。
その上、実験の一環などと称して、珍しく手作りチョコレートの製作にも口を出してきたわけで。
なんだかんだ、満更でもないのだ、パチュリーも。
もっともそれを指摘したら、拗ねるのは火を見るより明らかだ。決して、口にするつもりはないのだけれど。
「楽しみですね、パチュリー様!」
本心がどこにあるかを示すかのように、手元に大事そうに抱えている二つのチョコレート。
そわそわとリボンの位置を整えたりしているのが、何よりの証拠なのだけれど。
きっとそれを自覚さえしていないんだろうなあ、と想像して、それがおかしくてしかたない。
「なに笑ってるのよ」
「いえ、別に」
「いいから、早く準備しなさい。もう二人が来る」
「はーい」
つくづく面倒くさい性格のご主人さまに背を向けて。かけ出した小悪魔はこらえきれずに笑ってしまった。
人差し指をぺろりと舐めて、霧雨魔理沙は顔をしかめる。口の中にこれでもかと広がる甘さに眉を寄せた。
「ちょっと、砂糖入れすぎたか。いや、でも、分量は計ったしな……」
木べらを右手で振りながら、眺めるのは左手に持ったメモ。少しばかりよれて、茶色くなったそれは、今朝方まではきれいだったのだけれど。
口を尖らせて、ああでもない、こうでもない、とぶつぶつ呟く表情は真剣そのもの。
「慣れないことはするもんじゃないな、ったく」
はあ、とため息をひとつ。あたりを見回して、あまりのらしくなさに苦笑いをするほかない。
普段ならば、キノコだの火薬だので散らかった研究室の机の上、代わりに並んでいるのは、甘い甘いチョコレート、さらさらとした粉砂糖や何かが入った可愛らしい食器たち。フラスコやら、ビーカーがあるべき場所には、ぴかぴか銀色のボールと、木製の計量スプーン、計量カップ。
部屋中に漂う甘い、甘い香り。チョコレートに、バニラエッセンス。
散らかり具合としては、普段とそう大差はない。ほんの少しばかり、置いてあるものが違うだけ。けれど、その“ほんの少し”が、落ち着かない。よく見知ったどこよりも慣れた場所であるはずなのに、どこか夢の中のように感じられる。
普段ならば、絶対にあり得ない光景。けれど、今日は特別。
今日はバレンタインデー。
魔理沙もまた、どこにでもいる普通の乙女の如く、手作りのトリュフチョコに挑んでいる、というわけだ。
「ていうか、絶対からかわれるだろうな」
らしくなさは自覚している。意外そうに肩を竦める七色の魔法使いの姿も、じと目で鼻を鳴らすであろう七曜の魔女の姿も、容易に想像できる。
どんなに頑張って、上手なチョコレートを作ることができたとしても、だ。
そこで、歓声をあげて笑うような連中ではない。もっとも、魔理沙の知り合いの中に、チョコレートを素直に喜ぶような可愛らしい人物はいないのだけれど。
「やめとけばよかったかな」
恥ずかしさ半分、うまくいかないやけな気分半分で、少しばかりマイナス思考。実際、バレンタインデー自体、魔理沙にとっても、周りにとっても、なじみが深いものではない。ここまで苦労してまで作ろう、便乗しようと思う必要もないのかもしれない。
はあ、ともう一度だけ、ためいきをついて、そもそも、なぜチョコレートを作ろうと思ったのかについて、思いを巡らせてみる。
あれは一月ほど前の宴会の日のことだ。定期的に開催する人間の少女――霊夢、魔理沙、咲夜、早苗の四人で集まって、たわいないおしゃべりをしながらばか騒ぎをする宴会。
普段の妖怪人間、老いも若きも入り混じった宴会とはまた違った趣のある集まりだ。
いつもよりも少女らしい話をしたりもする。
そう、そこで、早苗が言い出したのだ。
「バレンタインに友チョコの交換をしましょう」
曰く、バレンタインデーとは外の世界の少女のお祭りであるとのこと。チョコレート味の手作りのお菓子交換する一大イベントなのだという。
そうすることによって、友情を深め、再確認する特別な日。
友逹と出会えたことへの感謝を伝える日なのだと。
「友情に感謝、ねえ? なんだか世知辛い話に聞こえるけど」
「お菓子で友達をつなぎとめるなんて、それは友達といえるのかしら」
「もう、霊夢も咲夜も夢のないこと言わないでください! そんなんじゃなくて、違くて!本当に楽しいんだってば」
「嘘くさいぜ」
「魔理沙!」
楽しくって、うれしくって、わくわくして。
酔っ払ってろれつの回らなくなった舌で、熱っぽく語る早苗に魔理沙も霊夢も咲夜も根負けして、バレンタインの開催と相成ったわけである。なんのことはない。口では憎まれ口を叩きながらも、それぞれ、 早苗の語る夢物語のようなバレンタインを迎えるのがまんざら悪くない、むしろ楽しそうだと思ってしまったというだけの話だ。
とはいえ、生憎、なにやら、バレンタインデー当日は、折悪く四人の予定が合わなかったため、来週に持ち越されることになったのだけれど。
「あいつらは関係ないんだけどな」
早苗が熱くバレンタインについて語ったその時に、霊夢たちの他に、魔理沙の頭に浮かんだのは二人の少女。ほんの瞬間よぎっただけなのだけれど。
チョコレートを贈りたいと、なぜだか、そう思ってしまったのだ。
ちょうど、前々からその日はアリスともども、パチュリーの魔術の儀式の補助をする約束をしていた日だったことも手伝って、チョコレートの制作を決めた、というわけだ。
「……やるか」
その時の気持ちを思い出して、ほんの少しだけ気持ちが前を向く。ネガティブな心の中で、わくわくが、もぞりもぞりと動きだす。
もう一度、木べらを握りしめて、ゆっくりとチョコレートをかき混ぜる。
「バレンタインのチョコのお礼は、一ヵ月後の三倍返し、ってことらしいし」
別に、特別な気持ちはない。友情に感謝とか、そんなくさいことを言うつもりはない。
魔理沙は、早苗だの霊夢だの咲夜に馬鹿にされないための練習をしているだけだ。失敗策をアリスとパチュリーに毒見させるちょっとしたいたずらの計画だ。
三ヶ月後に三倍のお返しをせしめるための、海老で鯛を釣る作戦だ。
ただ、それだけ。
「そんなチャンスを逃す手はないだろ、やっぱ」
とろりと溶けたチョコレートをくるくるとかき混ぜる手が早くなる。
わざわざ言い訳がましい独り言だ。ほんの少し、頬が熱くなる。
本当の気持ちを素直に認めるのは、癪だから。とりあえず、そういうことにしておくことにする。
「もうこんな時間かよ! あーもう!」
ポーン、ポーンと音を立てるのは十二時を告げる鐘の音。チョコレートが固まるまでにかかる時間と約束の時間を考えれば、そろそろ完成させなければ間に合わない。
「ま、ちょっと、甘ったるいぐらいでいいだろ」
そもそものコンセプトが友情だの、なんだのと甘ったるいのだ。
チョコレートが少しくらい甘いぐらい、どうということもない。
そんなことを考えて、頬を綻ばせて。せわしなく動き回る魔理沙のエプロンのリボンは、楽しげに揺れていたのだった。
「うん、かわいい」
お気に入りの人形がふたりがかりで、小さな包みにリボンを結わえる。ほんの少し力み過ぎたのかその場に尻もちをついた人形に微笑みかけて、アリスは満足げにうなずいた。
目の前のバスケットに、ひとつ、ふたつと包みを詰める人形たちも心なしか、楽しげだ。
「これで完璧ね」
色とりどりのリボン、ハートをモチーフにしたプレゼント。
今日はバレンタインデー。もちろん、その包みの中身はチョコレートだ。正しくは、ブラウニーだの、チョコチップクッキーだのといったようなチョコレート味のお菓子が沢山詰まっている。
一週間ほど前から、計画的に進めてきたバレンタインの準備は完璧だ。
とはいえ。バレンタインデー本来の意味であげたい人がいるわけではないのだけれど。
「この時期になると、つい作りたくなっちゃうのよね」
もともとチョコレートを贈りあうバレンタインデーはアリスが実家にいた頃の習慣だった。幼いころ は、恋人同士が贈り物をし合うだとか、愛の告白をする日だとか、そんなことは露知らず。
世界でいちばんやさしいお母さんに。
世界でいちばんたいせつなお姉ちゃんに。
世界でいちばんだいすきなアリスちゃんに。
そんな言葉を転がしながら、チョコレートを食べる日だと思っていた。
少しばかり、大きくなってからは、チョコレートを作って、チョコレートを食べる日。
クリスマスのプレゼント、誕生日のバースデーケーキ、ハロウィーンのかぼちゃ。幼いアリスにとっては、バレンタインのチョコレートはそれらと何も変わらないものだった。
特別な日の、特別なおやつ。
そのせいだろうか。大人になって、バレンタインの本当の意味を知っても、この時期になると、チョコが食べたくなる。誰かにチョコを贈りたくなる。もう、身体に刷り込まれているのだ。
とはいえ、変な邪推をされるのも面倒くさいし、勘違いされても困る、ということで、気軽に誰かに贈るということはできない。ゆえに、一人暮らしをするようになってからは、バレンタインに少しだけ自分用のチョコレートを作っていただけだったのだが。
「別にそういう意味じゃないし」
つい、今年はチョコレート菓子を作ってしまった。
いや、違うのだ。そんなつもりはなかった。ただ、いつものとおり、本を借りるお礼だとか、図書館でのお茶会のお菓子を作っていただけだ。たまたま偶然、パチュリーに魔術の手伝いをしてほしいと頼まれた日がバレンタインデーだったというだけだ。
どうせお菓子を持っていくのだ。たまたま、バレンタインデーに、チョコレートのお菓子を贈ったって何も不自然なところはない。
パチュリーに本を借りてるから、感謝の意をこめて、差し入れするのはいつものこと。同じ図書館でよく顔をあげる魔理沙にもあげないと拗ねるし、自分の分はないのかとうるさいから、魔理沙の分も用意するのもいつものことだ。
「……平気よね?」
そもそも幻想郷ではチョコレート自体そこまでメジャーな食べ物ではない。そういうものを好む妖怪連中だのなんだのは、各々の独自に持っているルートから手に入れ、一般にそういうものが流通することはほとんどないのだ。つまり、バレンタイン文化は根付いてないということではないだろうか。
つまり、それは、幻想郷生まれの幻想郷育ちで生粋の幻想郷っ子である魔理沙はバレンタインデーを知らない、ということだ。バレンタインを知らない少女にバレンタインにチョコレートを贈ったところで、何かを邪推されることもない。
また、パチュリーはバレンタイン自体を知っている可能性は十分にある。けれど、あまり日付を意識した生活を送っていないあの引きこもりがバレンタインを意識しているとは思えない。そもそも、普段からして、朝と夜の区別さえしてない節がある。もちろん、曜日だの月齢だのは気にしてるようだけど。
だから。二人にならばチョコレートを贈っても、大丈夫だ、とアリスはそう判断したのだ。
口には出さない。態度にも出さない。
けれど、こっそりと親愛の気持ちをこめて。大好きの気持ちをこめて。
「とはいえ、ちょっとやり過ぎたかしらね」
人形たちの手によって、バスケットにお行儀よく納まった二つのお菓子の包みは、いつもよりもずっとずっと凝ったラッピングがなされている。中身だっていつも以上に豪華だ。
作っている最中は、気にも留めなかったのだけれど、こうして改めてみるとちょっとどうしたの、と思われても不思議ではないぐらいには豪華である。
星の飾りがついたのは魔理沙。
三日月の飾りがついたのはパチュリー。
包みだけではない。それぞれの好みに合わせて、中身も違う。味付けだって、各々の好みに合わせて、少しずつ変えてある。
「まあ、いっか」
「バカジャネーノ」
ほんの少しの逡巡を経て、せっかく作ったのにもったいない、という意識も働いて頷いたアリスに上海人形が語りかける。
一体、誰の言葉を真似しているのか、最近の上海は妙に口が悪い。
ともあれ、くいくいと服の袖を引っ張る上海の指さす方にあるのは掛け時計。時刻は14時。もうそろそろ出発しなければ、約束の時間に間に合わない。
「ありがと、上海」
「シャンハーイ」
上海人形の頭をひと撫で。バスケットを腕にかけて、立ちあがる。
喜んでくれるだろうか、そんな思いが胸をよぎる。
もちろん、ひねくれ者の集まりだ。素直な言葉などは期待していないけれど。
「うん」
言葉じゃなくていい。ただ、おいしそうに食べてくれたらいい。
まあまあだな、なんてドヤ顔をする魔理沙や、甘いとかそんな感想しか言わないパチュリー。
そんな反応さえも、楽しみなんてどうかしていると自分でも思う。
「じゃあ、行きますか」
けれど、弾む心は抑えきれない。
「なんで、こんなことを」
そんなことを、苦々しげに呟いたパチュリー・ノーレッジは、不機嫌なじと目でテーブルを睨みつける。お気に入りの安楽椅子に腰かけた目の前に広がるのは、本の山でなければならないのだけれど。
今日に限っては、本は一冊たりとも置かれてはいない。代わりに目に入るのは、上品な詩集のなされた真っ白なテーブルクロスの上、陶磁器のポット。いつもやかましい迷惑な後輩どもが勝手に定位置と決め込んで陣どる席の前、それぞれ置かれたティーカップ。
それから、本の代わりにパチュリーの手元にあるのは、リボンで彩られたふたつの可愛らしい包み。
たったそれだけの違いだ。けれど、ただそれだけで、普段の重厚な静寂に満ちた地下図書館の空気さえも、どこかかろやかなものに感じられる。
不満げな様子を隠そうともしないパチュリーに、テーブルのセッティングをしていた小悪魔は苦笑いを浮かべる。
「なんでもなにも。そもそもの言い出しっぺはパチュリー様じゃないですか」
「あんたでしょうが」
「何をおっしゃいますか、パチュリー様。私は、バレンタインデーは悪魔にとって、力を蓄えるチャンスの日でもあるって、言っただけですよ」
「う」
しれっと肩を竦める小悪魔に、言葉を失うパチュリー。
きっかけは、クリスマスのこと。魔女にとっての宿敵の祭典に、何も考えず、誰も彼もが浮かれていることをパチュリーがぼやいていたのが始まりだ。パチュリー自身が魔女狩りに遭ったというわけではないけれど、その隔たりは魔女にとって重大なものであるわけで。
だというのに、それを体験してきたはずの親友の吸血鬼も、自分よりも幼い魔法使いたちも揃って、クリスマスだなんだとはしゃぎ回っていることに対して、小悪魔を捕まえて、延々愚痴を言い続けていたのである。
まあ、半分は魔女としてのプライドが邪魔をして、お祭り騒ぎに参加できない腹いせのようなものだったのだけれど。つくづく、面倒くさい性格のご主人だ、と小悪魔は心の中で苦笑い。
「まあまあ、外の世界の日本ではもうそんなこと関係ない、単なるお祭りみたいなものですからね、クリスマス」
「だけど……」
「ああ、ほら、バレンタインなんかもそうですし」
「バレンタイン?」
「あれは悪魔的にもおいしいイベントなんですよねぇ」
ワイン片手にくだを巻くパチュリーをいさめるように小悪魔が語ったところによると。
愛の告白の日であるところのバレンタインデー。近年になって、そのような文化が世界中に広がりつつあるということである。特に幻想郷の位置する日本では、少女たちがこぞってチョコレートを買い求め、好きだのなんだのと、恋人を手に入れようとする、そんなイベントになっている、と小悪魔は語る。
「煩悩がうずまいてますからねー」
「ああ、そういう」
誰かを手に入れようとする強い気持ち。決死の告白が通じず悲しむ気持ち。
そんな心の隙間に付け入るのが悪魔のお仕事だ。
科学がいくら発展したとて、好いた惚れただのにまつわるエゴは変わらず、そんなことにうつつを抜かす年頃の少女たちの都合のいい妄想も変わらない。
普段は騙されないだろう、けれど、バレンタインならば。
「意外ところっと契約とかしてくれちゃうんですよねー。単純でかわいいったら」
「どこぞの鼠にもその素直さを見習わせたいものだわ」
「またまた、あれで魔理沙さんも乙女ですからね。もう少し大人になったら、どう転ぶか分かりませんよ?」
「あれにそんな可愛げはないわよ。でも……」
いつの間に気を取り直したのか、ふむ、と一つ頷いたパチュリーは小さく笑う。
「バレンタイン。もともとは聖人に由来する記念日に悪魔が喜ぶなんて、皮肉がきいてていいじゃない」
「はい?」
「私たちも盛大に祝おうじゃない、バレンタインデーを」
不敵に微笑んだパチュリーは、2月14日、後輩魔法使いを集めて、チョコレートパーティーを開くことを決めたのだった。決して、クリスマスに参加できなかったのが寂しかったから、とかそういうことではない。
そこまでは、よかったのだけれど。
「バレンタインが友情を示す儀式も兼ねているなんて聞いていないわ」
「だって、私もパチュリー様の使い魔になってからは外の世界に出張なんてそうそうしませんし。友チョコ文化が主流になってるなんて知らなかったんですってば」
「信用できないわね」
「ひどっ。ひどいです、パチュリー様!」
ということなのだ。クリスマスから二か月以上かけて準備していく最中、風のうわさで外の世界でのバレンタインデーのありようがまた、変わりつつあることを知り。
それが、いわゆる友チョコだったのだけれど。
友達同士、チョコを贈りあう、パチュリー曰く“甘ったるいイベント”。もしも、アリスと魔理沙が友チョコについて知っているならば、わざわざバレンタインデーに二人を呼び出した理由について、変な勘違いをされても不思議ではないわけで。
「これじゃ、わざわざ私が二人に親愛の情を示したがっているみたいじゃない」
「いいじゃないですか、ふつうに仲良し三人組」
「いいわけないでしょう」
先輩としての威厳が、上下の示しがつかない、なんて頭を抱えるパチュリー。
そんなパチュリーを眺めながら、内心、“素直じゃないなあ”なんて、小悪魔は、くすくす笑ってしまう。
口では何のかんの言いながら、決して中止しようとは言わないのだ。
いやよいやよも好きのうち。動かない大図書館なんて揶揄されるほどの本の虫が、本を片づけることを厭わず。それどころか、あれこれ準備にもあれやこれや細かい注文をつけてくる。
その上、実験の一環などと称して、珍しく手作りチョコレートの製作にも口を出してきたわけで。
なんだかんだ、満更でもないのだ、パチュリーも。
もっともそれを指摘したら、拗ねるのは火を見るより明らかだ。決して、口にするつもりはないのだけれど。
「楽しみですね、パチュリー様!」
本心がどこにあるかを示すかのように、手元に大事そうに抱えている二つのチョコレート。
そわそわとリボンの位置を整えたりしているのが、何よりの証拠なのだけれど。
きっとそれを自覚さえしていないんだろうなあ、と想像して、それがおかしくてしかたない。
「なに笑ってるのよ」
「いえ、別に」
「いいから、早く準備しなさい。もう二人が来る」
「はーい」
つくづく面倒くさい性格のご主人さまに背を向けて。かけ出した小悪魔はこらえきれずに笑ってしまった。
読んでて穏やかな気持ちになれました
人間組の一週間遅れのバレンタインにも興味あり!です。
Pekoさんの三魔女の雰囲気はいつ読んでも良いですねえ。
私も人間組が気になります。
Pekoさんの三魔女がもう一度見られるとは、思いませんでした。執筆、お疲れ様です。
彼女たちの友チョコバレンタイン。それぞれのキャラクタの味にマッチした、チョコレートの用意法。
誰も彼もが可愛らしく、イキイキとしていて魅力的で、とても面白かったです。
和やかで素敵な時間を、ありがとうございました!
投稿してくれて嬉しいです
三魔女の仲の良さに2828
似たもの同士ってやっぱいい
やっぱりこの三人可愛い
やはり三魔女はいいですね!
新作、ご馳走様でした。
面白かったです
面白かったです。ありがとうございました。