鈴仙はシュシュッとパンチを瞬間的に目の前に繰り出す。
その後、首を勢いよく傾けると同時にウサ耳の片方が倒れていく。それを両手で掴もうとするのを何度か失敗した後、しっかりと耳を確保した。
「…………」
その様子を、ルナサはぼんやりと眺めていた。
二人は霧の湖のほとりで散歩の休憩中である。満月が青白い光で二人を照らしあげる。
「あのさ、何やってるの?」
「うん? 耳のお手入れよ」
簡潔に答えると、鈴仙は耳をゆっくりと舐め始める。目を細めながら丁寧に耳を舐める姿が妙に艶めかしい。ルナサは頬を染めつつも、目を逸らせないでいる。
「最初のシャドーボクシングは何?」
「ペロ……ペロ……知らないの? ウサギは顔の毛づくろいや耳の手入れをする前に必ずやるのよ」
「それは普通のウサギの話でしょ。人の姿をしている妖怪兎も必要なの?」
「ペロ……私、月のウサギだしー」
答えになっていない。
左耳の手入れを終えた鈴仙は、続いて右耳に取りかかろうとしている。今度は耳をうまくキャッチするのにかなり苦戦している様子だ。
「普通に手で耳をつかめばいいじゃない。なんで、そんな鞭打ち症になりそうな仕草でやるのよ」
「だって、これがウサギだし……っと、ようやく成功した……ペロ……ペロ……」
まあ、可愛いからよし、と思うルナサであった。
鈴仙と友達になってしばらくたつが、鈴仙のこのような仕草は初めて見るもので新鮮であった。
「よくその手入れはするの?」
「うん、ウサギは綺麗好きなの」
しばらく、鈴仙は黙々と耳の手入れを続けた。そんな鈴仙をルナサは温かい目で見守る。
やわらかい風がサーッと吹き抜ける。
耳の手入れを終えた鈴仙は、ルナサの傍にスッと近寄った。
「でも、同族の前以外なら、姫様と師匠以外では、ルナサが初めてよ」
耳元で囁く。
「そ、そうなんだ」
ルナサは嬉しかった。それが鈴仙の信頼の証のように感じられたからだ。
「ペロ……」
「ひゃんっ!」
突然耳たぶを舐められ、ルナサは座ったまま器用に飛びあがった。
「あ、可愛い声……チュ……」
「ちょ、ちょっと、鈴仙……?」
ルナサの耳や頬、手を舐め始める鈴仙に、ルナサは顔を赤くして目を白黒させる。
「ウサギはね、甘えたいときは、こうして舐めるの……ん……ペロ……」
「ん……今日の鈴仙、ちょっと獣っぽい……あん、そこくすぐったい……ん……もう……」
ルナサは困ったような表情で鈴仙を見る。
鈴仙の瞳は、いつぞやの月のように赤く妖しく光っている。
「今日はこんなにも満月が綺麗だから……」
そのままルナサに抱きついて、おなかのあたりに頬をすりよせる。
「こうして本能の赴くままにしたいことをするの……」
「もう……仕方のない子ね……」
ルナサは鈴仙の頭をなでる。おでこから耳の間にかけてをゆっくりと丁寧に。
鈴仙は気持ちよさそうに目を閉じると、口をモニュモニュと動かし軽く奥歯を鳴らす。
「ルナサ……気持ちいい……。ウサギはそこと背中を撫でられるのが大好きなのよ」
さりげなくアピールする。ルナサはやれやれといった表情になると、子供をあやすように背中も撫でる。
「本当に甘えん坊ね。メルランやリリカの小さい頃もここまでじゃなかったわよ?」
「ウサギは甘えん坊なのー」
「ウサギは最強ね」
「そう、最強ー」
そして、二人は見つめ合うと笑いだす。
ルナサが鈴仙を膝枕したまま、しばらく時は過ぎる。
そして、鈴仙は上体だけ起こしてルナサに抱きつくと、肩にあごをすりつける。
「それはどういう意味を持つの?」
鈴仙は赤い瞳を細めてニヤリと笑う。
「『これは私のモノ』って印よ」
それを聞いたルナサは、応えるかのようにニヤリと笑うと、鈴仙の背中に自分のあごをすりつける。
「あ……」
鈴仙はビックリしたような表情になると、耳をペタッと倒して頬を赤らめる。
「これで、鈴仙は私のモノ?」
「うん……」
満月が二人を優しく見守っていた。
その後、首を勢いよく傾けると同時にウサ耳の片方が倒れていく。それを両手で掴もうとするのを何度か失敗した後、しっかりと耳を確保した。
「…………」
その様子を、ルナサはぼんやりと眺めていた。
二人は霧の湖のほとりで散歩の休憩中である。満月が青白い光で二人を照らしあげる。
「あのさ、何やってるの?」
「うん? 耳のお手入れよ」
簡潔に答えると、鈴仙は耳をゆっくりと舐め始める。目を細めながら丁寧に耳を舐める姿が妙に艶めかしい。ルナサは頬を染めつつも、目を逸らせないでいる。
「最初のシャドーボクシングは何?」
「ペロ……ペロ……知らないの? ウサギは顔の毛づくろいや耳の手入れをする前に必ずやるのよ」
「それは普通のウサギの話でしょ。人の姿をしている妖怪兎も必要なの?」
「ペロ……私、月のウサギだしー」
答えになっていない。
左耳の手入れを終えた鈴仙は、続いて右耳に取りかかろうとしている。今度は耳をうまくキャッチするのにかなり苦戦している様子だ。
「普通に手で耳をつかめばいいじゃない。なんで、そんな鞭打ち症になりそうな仕草でやるのよ」
「だって、これがウサギだし……っと、ようやく成功した……ペロ……ペロ……」
まあ、可愛いからよし、と思うルナサであった。
鈴仙と友達になってしばらくたつが、鈴仙のこのような仕草は初めて見るもので新鮮であった。
「よくその手入れはするの?」
「うん、ウサギは綺麗好きなの」
しばらく、鈴仙は黙々と耳の手入れを続けた。そんな鈴仙をルナサは温かい目で見守る。
やわらかい風がサーッと吹き抜ける。
耳の手入れを終えた鈴仙は、ルナサの傍にスッと近寄った。
「でも、同族の前以外なら、姫様と師匠以外では、ルナサが初めてよ」
耳元で囁く。
「そ、そうなんだ」
ルナサは嬉しかった。それが鈴仙の信頼の証のように感じられたからだ。
「ペロ……」
「ひゃんっ!」
突然耳たぶを舐められ、ルナサは座ったまま器用に飛びあがった。
「あ、可愛い声……チュ……」
「ちょ、ちょっと、鈴仙……?」
ルナサの耳や頬、手を舐め始める鈴仙に、ルナサは顔を赤くして目を白黒させる。
「ウサギはね、甘えたいときは、こうして舐めるの……ん……ペロ……」
「ん……今日の鈴仙、ちょっと獣っぽい……あん、そこくすぐったい……ん……もう……」
ルナサは困ったような表情で鈴仙を見る。
鈴仙の瞳は、いつぞやの月のように赤く妖しく光っている。
「今日はこんなにも満月が綺麗だから……」
そのままルナサに抱きついて、おなかのあたりに頬をすりよせる。
「こうして本能の赴くままにしたいことをするの……」
「もう……仕方のない子ね……」
ルナサは鈴仙の頭をなでる。おでこから耳の間にかけてをゆっくりと丁寧に。
鈴仙は気持ちよさそうに目を閉じると、口をモニュモニュと動かし軽く奥歯を鳴らす。
「ルナサ……気持ちいい……。ウサギはそこと背中を撫でられるのが大好きなのよ」
さりげなくアピールする。ルナサはやれやれといった表情になると、子供をあやすように背中も撫でる。
「本当に甘えん坊ね。メルランやリリカの小さい頃もここまでじゃなかったわよ?」
「ウサギは甘えん坊なのー」
「ウサギは最強ね」
「そう、最強ー」
そして、二人は見つめ合うと笑いだす。
ルナサが鈴仙を膝枕したまま、しばらく時は過ぎる。
そして、鈴仙は上体だけ起こしてルナサに抱きつくと、肩にあごをすりつける。
「それはどういう意味を持つの?」
鈴仙は赤い瞳を細めてニヤリと笑う。
「『これは私のモノ』って印よ」
それを聞いたルナサは、応えるかのようにニヤリと笑うと、鈴仙の背中に自分のあごをすりつける。
「あ……」
鈴仙はビックリしたような表情になると、耳をペタッと倒して頬を赤らめる。
「これで、鈴仙は私のモノ?」
「うん……」
満月が二人を優しく見守っていた。
ほんとなんですねシャドーボクシング、無駄知識をありがとうw
それはそれとして口から砂が
うさぎ可愛い。よく足をバンってされるけど可愛い。
続けろ
たまらん!!!!続きをもっとプリーズ!!!!
そしてもっとやれ!
>「そう、最強ー」
名言誕生。確かに最強。
しかし、珍しいカップリングのはずなのに以外と違和感が無い。
ウサギはよく学校で飼われていますが、意外と知られていないんですよね、この習性。
>>2
手の汚れですか、なるほど。ウサギは可愛いです。興奮してスタンピングするのがうるさいけど、可愛いです。
>>3-5
これ以上続けたらこっちには載せられませんです。時間があったらあちらにも書きたいのですが……。
>>6
確かに珍しいカップリングかもしれません。でも、私的にはジャスティス。