Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

姉として

2010/11/29 01:53:29
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 ある日、レミリアは思った。

「フランと私、どっちが胸大きいんだろう」

 普通の者からすれば、何をくだらないことを言っているのかと思うだろう。しかし、レミリアにとってこれは、重要なことなのだ。
 姉として、妹よりはスタイルが良くありたい。そう思うのは、プライドの高いレミリアにとって当たり前の思考だった。
 もちろんレミリアは、自分がスタイルがよろしくないことは分かっている。幼き容姿であることくらい、自覚はある。
 だがそれでも、妹より良いスタイルでありたいのだ。妹よりも、少しで良いから大人でありたいと思うものなのだ。

「よし、確認しに行こう」

 そうと決まれば、即行動。
 目指すはもちろん、フランドールの胸。幼きその胸に向かって、ただただ全速力。
 高速で、紅魔館の長い長い廊下を駆け抜ける。途中、何度か妖精メイドにすれ違う。

「あ、レミリア様おはようございます」
「あんまりサボるなよ? 咲夜の負担になるからな」
「は、はいっ!」

 軽く挨拶程度のことを交わしつつ、あっという間にフランドールの部屋の前だ。
 部屋をノック。どうぞ、と声が返ってくる。
 重い扉を開けて、ただ一言。

「フラン! ちょっとおっぱい揉ませて!」
「あはっ、そこを動かないでね、お姉様」





 ~GAME OVER~





「ねぇ、パチェ……一体何がいけなかったのかしら」
「そうね、レミィの思考じゃないかしら」
「えっと、とりあえず紅茶をどうぞ」

 ボロボロになりつつも、見事生還を果たしたレミリアは、頼れる友人の元へと相談に来ていた。
 パチュリーはレミリアの話をまったく興味無さそうだ。そして、本を捲る手を止めない。
 苦笑いを浮かべつつ、小悪魔は二人の紅茶を淹れた。

「パチェ、私は真面目に相談しているんだ。どうすれば、揉めると思う?」
「なんでそこまで真剣なのよ……」
「大切な、愛する妹の為だからだ」

 無駄に格好良い台詞だが、明らかに使いどころを間違えていた。
 だが、その言葉にパチュリーは大きく目を見開いた。そして、何か諦めたように小さく息を吐く。

「負けたわ、レミィ。あなたの妹様を想う愛に。私の知識で良ければ、貸してあげる」
「ありがとう、パチェ。恩に着る」
「今の何処で負ける要素があったんですか!? 純な愛っていうよりも、少し歪んでる気がするのですけど……」

 二人の良く分からない熱い友情に、ただ一人小悪魔のツッコミが虚しく響く。

「まず、レミィは一つ勘違いしている。妹様が怒ったのは、何故か分かる?」
「……分からない」
「いや、そこは分かりましょうよ、レミリア様」
「揉ませて、と言ったのがいけないのよ。もし妹様が、揉めるほどもなかったら、怒るに決まっているじゃない。揉めないものを、揉ませてなんて言われたら、そりゃあ本来怒るか泣くかの二択に決まっているのよ」
「そうか! つまり私は、無いのに揉ませてくれと言ったから、怒られたのね!」
「いやいやいや!? そこじゃないですよね!?」
「つまり、揉ませてではなく、見せてか撫でさせてが正解なのよ」
「さすがパチェ! よし、早速行ってくる!」
「健闘を祈るわ!」
「絶対ダメですって!?」

 レミリアとパチュリーは、熱いハイタッチを交わす。あまりに勢いが強いハイタッチに、二人の周辺に衝撃波が生まれるほどだった。そして良い笑顔で、レミリアは図書館を飛び出した。小悪魔の制止を無視して。
 静かになった図書館で、パチュリーは一息。

「ふぅ……まったくレミィったら、あんなに急いで」
「あ、あはは。私は絶対にやばいと思うんですけど」
「割と冗談で言ったのに」
「冗談だったんですか!?」





 その頃、再びフランドールの部屋。

「フラン、私だ! おっぱいを見せてちょうだい!」
「1秒間に16回襲ってくるレーヴァテイン~♪」





 コンテニューする?

 →はい。
  いいえ。
  ふひひ。





「パチェ、私は気付いた。フランは照れ屋なのかもしれない」
「レミィ、私は気付いたわ、レミィは少し鈍感なのかもしれない」
「明らかに鈍感のレベル超えてますけどね」

 再び、図書館。

「パチェの知識でもダメだったとなると、もうどうすればいいのか分からない」
「諦めればいいんじゃない?」
「ここで諦めたら、吸血鬼としての誇りを失うような気がする」
「レミリア様、吸血鬼としての誇り云々よりも、他にもっと大切な何かを失ってる気がします」

 次の策を練っている中――

「私に考えがあります」

 一つの、希望を抱かせる声が響いた。
 いつの間にか、咲夜が居た。
 しかし、別に突然現れるのはいつものことなので、誰も疑問に感じない。

「咲夜、その考えとやらを聞かせて貰えるかしら?」

 パチュリーも興味を持ち、読んでいた本を閉じて、咲夜をジッと見据える。
 レミリアはただ静かに、咲夜の言葉を待つ。小悪魔は、ただただため息を吐いている。

「押してダメなら引いてみろとは、よく言ったものです。つまり、妹様が見せてくれないのなら、触らせてくれないのなら、まずはお嬢様自身が妹様にご自身の胸を見せて、そして触らせて差し上げればよろしいのです!」

 咲夜の自信満々の意見に、パチュリーはレミリアは、ただ一言。

「それはないわー……」
「咲夜、魔女と言われた私でも、それは引くわ。ただの痴女にしか思えない」

 レミリアもパチュリーも、全力で引いていた。

「無駄にまともな意見だー!? まさかのここで突き放し……むしろ咲夜さん、空気読んだ方だと思ったんですけど」
「……いいのよ小悪魔。私が悪かったの」
「咲夜、疲れているのか? なんなら休暇を出すわよ?」
「ええ、人間なんだから無茶しちゃだめよ。レミィのお言葉に甘えたら?」
「……はい、ちょっと眠って来ます」

 咲夜はぺこりと一礼した後、ふらりふらりとした足取りで、図書館から去った。
 小悪魔にはなんとなくその背中が、哀愁漂って見えた。今度クッキーでも作って労ってあげよう。そんなことを思った。

「さて、咲夜の案は完全に無いとして、次はどうするか」
「小悪魔、あなた何かある?」
「うぇぇっ!? ここで私に振りますか!? うーん、普通に紅魔館身体測定とか言って、みんなで全部測っちゃえば良いと思いますけど……」

 小悪魔の発言に、二人は目を丸くする。
 その発想は無かった、といったような表情だ。

「ま、まぁ私も今それを言おうと思ってたところよ」
「そ、そうね。私なんかそれに賢者の石24色セットを付けようと思っていたところだわ」
「レミリア様はともかく、パチュリー様は言ってる意味が分かりません」

 しかし、割とまともに思えた小悪魔の案だが、その実不安要素がいくつかあった。妖精メイドが多いため、全員やるとなると時間がかかりすぎてしまうことや、突然の身体測定ということで不自然すぎる。
 おやつの鳩サブレを齧りながら、三人はどうしようかと考え込む。
 悩みに悩み、散々悩んだ結果――

「フランなら、空気読んでくれると思う」
「まさかの妹様任せですか!?」

 全力でフランドール頼りになった。

「そうね、妹様だって生きてきて長いのだから、空気を読んで身体測定を受けてくれるはず」
「なんかもう、危ない未来しか想像できないのですが……」

 小悪魔は止めるべきかと悩んだが、元は自分の案なので、今さら止めるわけにもいかなかった。

「それじゃあ、行ってくる」
「健闘を祈るわ。レミィ、私レミィが無事帰ってきたら、言いたいことがあるの。絶対に生きて帰って来てね。約束よ」
「パチュリー様、その発言はむしろ危険な結果を招きそうな気がします」

 レミリアはとても良い笑顔で、そう、眩しいくらいに笑顔で、フランドールの元へと向かった。

「さて、どうなると思う、小悪魔?」
「アウトかと」
「うん、まぁそうよね」





 その頃、本日三度目のフランドールの部屋。


「フラン、身体測定だ」
「え? 何突然?」
「理由は訊かないで。空気を読んで」
「え? え?」
「さぁ、脱ぎ脱ぎしましょうねー」

 フランドールの服に手をかけた瞬間、高速で手刀が飛んできた。レミリアはギリギリでかわしたが、頬を掠めた。つぅっと、血が流れる。

「姉に手をかけるなんて……フラン、教育が必要のようね」
「妹に性的な意味で手をかける姉よりは、数倍マシだと思うんだけど」
「身体測定だって言ってるじゃない。ほら、早く脱ぎなさい」
「嫌だよ。お姉様、目が本気だもん。とても身の危険を感じるよ」
「妹の成長を知りたいのよ。姉として当然の行動だと思わない?」
「一般家庭の姉は、妹の服を脱がそうとしたりしないと思うよ」
「まぁなんていうかさ、ほら、もうごちゃごちゃ言ってないで全裸になってよ」
「わーお、潔いくらいに直球ストレートだね。身体測定ですらないよ」

 脱げ脱げ。
 やめろーやめろー。
 じたばた。
 げしげし。痛い痛い蹴るなフラン! 仕返しだ。
 ふにふに。何どさくさに紛れて変なところ触ってるのさ!
 そんな、傍から見たらどういう状況なのかが、よく分からないやりとりをしている二人。

「この大きさは……っ! やはり、私より小さいっ! 僅かにだが、微かにではあるが、私の方がある!」
「何の確認してるのさ!?」
「胸よ! 悪い!?」
「なんでお姉様が怒ってるのよ! 私が怒る場面だよね、これ」
「うん、私は満足した。もう、充分よ」

 とても満足した笑みで、フランドールから離れるレミリア。その笑顔は、無駄に優しさに満ち溢れていて、どこか格好良ささえ感じられるものだった。
 フランドールからすれば、どうしてくれようかこの姉、といったような心境だ。胸を押さえ、ジッと睨んでいる。

「そんなに警戒しなくて良いわよ。もうしないから」
「とりあえず殴っていい?」
「あぁ、確認出来て良かった。それじゃあ、私は部屋に戻るとするわ」
「露骨に無視しないでよ」

 くるりと踵を翻して去ろうとしたレミリアの腕を、フランドールがガシッと掴んだ。
 そして、ぐいっと引っ張る。体勢を崩したレミリアは、そのままベッドの上にぽすり。ふわっとしたベッドの心地良さが、レミリアの背中に伝わった。
 目をぱちくりさせて、驚いた様子のレミリア。

「何? 仕返しに私の体を弄ぶ気?」
「いやいやいや、引っ張ったらたまたまこうなっちゃっただけで、別にそんな気は一切ないから」
「そう、やっぱりフランは弄ばれたい方なのね」
「そういう話はしてないから!」
「さぁ、今度はフランがベッドに身を預けなさい。一緒にベッドで最もポピュラーな気持ち良い汗を流すスポーツをしましょう。私のスカーレットテクニックで、楽しませてあげるわ」
「何する気さ!?」
「え? ベッドでするスポーツって言ったら、普通に枕投げしかないじゃない」
「あ、あーあーそうだよね、うん。分かってたよ、もちろん」

 わざとなのか素なのか、きょとんとしているレミリアを見て、もはや殴る気も失せてしまった。
 はぁ、と大きなため息一つ。

「お姉様と一緒だと、なんか疲れる」
「けど、暇はしないでしょう?」
「……早く部屋戻りなよ。もう用はないんでしょ?」

 ふいっと顔を逸らすフランドールを見て、笑みを零す。
 それが嫌だったのか、フランドールは頬を膨らませて枕で叩く。

「あーもう、出てってよー!」
「はいはい、じゃあスカーレットテクニックはまた今度ね」
「別にいいよ、やんなくて!」

 部屋から出ようとした瞬間、顔に枕がぼすっと直撃。
 それでもレミリアは、あははと笑いながら上機嫌に戻って行った。一人になった部屋で、フランドールはまた大きく、ため息を吐いた。





「ただいまーパチェ、小悪魔」
「なっ!?」
「い、生きていたんですね……」

 ほぼ無傷で、図書館に上機嫌で戻った来たレミリアを見た二人は、それはそれはとても驚いたそうな。
 
久し振りに軽く一本、ドタバタを。
最近寒いですね。手袋が欲しいです。そして、インフルエンザが怖い季節。去年はかかって40度以上熱出したので、今年はかかりたくないものです。みなさんも、体調を崩さないよう、気を付けてください。
さて、久し振りな気がする紅魔館メンバーでした。ドタバタした感じのちょっぴり懐かしいノリでお送りしましたが、少しでも楽しんでもらえたら、嬉しいです。
喉飴でしたっ。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.ケトゥアン削除
いや、懐かしいですね、この紅魔館!
このほのぼの館!
癒されますね!
あと僕はフラン≧レミリア派で(スカーレットシュート
さて…今書いてるほのぼのしてない紅魔館の続きにとりかかりますか(何
2.名前が無い程度の能力削除
スカーレットテクニックについてkwsk!
3.名前が無い程度の能力削除
レミフラ! レミフラ! 喉飴さんのレミフラ!
4.削除
ヒャッホウ!喉飴様のレミフラだぁ!
ぱっちぇさんも暴走してて最高でした!
5.奇声を発する程度の能力削除
朝っぱらから大笑いww
6.名前が無い程度の能力削除
ボケとツッコミのバランスが絶妙なのが紅魔館である!
7.名前が無い程度の能力削除
安心と安定の喉飴紅魔館か
  レミフラレミフラ!!
8.名前が無い程度の能力削除
お嬢様の無事のご帰還、お慶び申し上げます。
9.幻蒼削除
安心のレミフラ!
1秒間に16回襲ってくるレーヴァテインは恐怖www
10.所詮チルノ以下の脳味噌削除
安心と信頼の喉飴さんのレミフラ作品wwww
あなたが神でしたかwwwww
11.高純 透削除
久し振りに変態シスコンレミリアが出てくる話を読めました。
愉快痛快満腹満足。
12.名前が無い程度の能力削除
オープンな変態だなwwwお嬢様www
13.名前が無い程度の能力削除
誤字報告を。「あはっ、そこを動くないでね、お姉様」→動かない

この直後で腹筋がぁ……


~GAME OVER~
14.特攻削除
相変わらずテンション高いなあ
賢者の石も良いけど、喉飴さんの書いた、さとられいむが又見たいなあ(チラッ
15.名前が無い程度の能力削除
結果的に咲夜さんが一番可哀想wwww
16.所詮チルノ以下の脳味噌削除
あ、咲夜さんの存在忘れてたwwwww
17.名前が無い程度の能力削除
咲夜さん……
相変わらずの紅魔館で安心しました
18.カンデラ削除
シスコンなのに、他の場面では無駄にまともなレミリア…有りですね!