「相談?」
「ああ、忙しい所申し訳ないのだが」
何でもない、とある日曜日の午後。
突然、パチュリー・ノーレッジの元へと訪ねてきた上白沢慧音は、そう言って頭を下げた。
ちなみに、パチュリーは最近外から入ってきたお気に入りの漫画を読んでいる最中であった。
タイトルを『がんばれ酢めし疑獄!!』という、非常にハイセンスな一冊である。
「貴女には、私が忙しいように見えるのね」
「社会人の常套句だ」
真顔で言う慧音。パチュリーは呆れたようにその言葉を受け止めると
「まあ、たしかに『どうせ暇なんでしょ』と言われるよりはマシかもしれないけど。それはともかく、何かしら。貴女ほどの人が、私に相談だなんて」
「そのことなんだが。実は、相性占いと言うのだろうか。そういうものを、やってほしいと思ってな」
「相性占い?」
今度こそ、パチュリーは驚いた声を上げた。
無理もない話だろう。
堅物で有名なこの先生が、相性占いをして欲しいだなんて、どれほど一途に思っている相手がいてのことだろうか。
「ああいや、そういうのじゃなくてだな」
「だってそうでしょう。普通、相性占いっていったら片思いの相手にするもので」
「違うんだよ。片思いも何も、私には妹紅という世界一可愛い大事な恋人がいるし、普通に友人の話なんだがな」
さらりと惚気つつそう前置きをすると、慧音は本題へと入る。
「最近、新しい寺ができたことは知っているだろう?」
「ええ。命蓮寺のことね」
「そうだ。そこに住んでいる、寅丸殿と知り合う機会があってな。今日もこの後、会いに行く事になっているんだが」
そこまで語ると、慧音は「ふう」と息を一つ吐く。
「いや、『人間と妖怪の共存』を望むだけのことはあってか、彼女は実に好人物なんだ。だが、何故か彼女と一緒にいると不運ばかり起こってな。例えば、一緒に歩いていると鳥の糞を二人して落とされたり。私行きつけの食事処に入ろうとしたら満員だったり。そんなことばかり起こるんだ。他の人と一緒に居るときは、まったくそんなことは起こらないのに」
「なるほど。それで、その原因が二人の相性にあるんじゃないかと」
「そうなんだ。魔女である貴女になら、それが占えるんじゃないかと思ってな」
「ふうむ」とパチュリーは一つ呟き、手元の本を眺めながら、何やら考え始める。
そして、それから五分ほど過ぎた後、パチュリーはゆっくりと顔を起こして言った。
「はっきり言うわ。貴女と彼女との相性は最悪ね」
「……やっぱり、そうなのか」
パチュリーの言葉に、がくりと肩を落とす慧音。
しかし、そんな慧音に向かい、パチュリーはノートに何かを書きつけながら声をかける。
「だけど、ちょっとした事を行えば、逆に貴女と彼女の相性は最高のものへと変わるわ」
「本当か?それはどんな方法だ?」
パチュリーの言葉に、ずい、と身を乗り出す慧音。
そんな彼女に、パチュリーもあくまで真剣な表情で告げる。
「毛玉や妖精を倒すと出てくる、『点』があるでしょう?」
「ああ」
「今度彼女に会うときは、それを頭の上に載せていくといいわ」
「……貴女を信用していないわけじゃないが、本当にそんなことで、大丈夫なのか?」
「ええ。困っている人に向かって嘘っぱちを言うほど、魔女はひどい生き物ではないもの」
自信ありげに言うパチュリーの言葉に、「分かった」と慧音も頷く。
こうして、慧音は髪飾り代わりに『点』を頭につけると、寅丸星の元へと向かうのだった。
「ああ、忙しい所申し訳ないのだが」
何でもない、とある日曜日の午後。
突然、パチュリー・ノーレッジの元へと訪ねてきた上白沢慧音は、そう言って頭を下げた。
ちなみに、パチュリーは最近外から入ってきたお気に入りの漫画を読んでいる最中であった。
タイトルを『がんばれ酢めし疑獄!!』という、非常にハイセンスな一冊である。
「貴女には、私が忙しいように見えるのね」
「社会人の常套句だ」
真顔で言う慧音。パチュリーは呆れたようにその言葉を受け止めると
「まあ、たしかに『どうせ暇なんでしょ』と言われるよりはマシかもしれないけど。それはともかく、何かしら。貴女ほどの人が、私に相談だなんて」
「そのことなんだが。実は、相性占いと言うのだろうか。そういうものを、やってほしいと思ってな」
「相性占い?」
今度こそ、パチュリーは驚いた声を上げた。
無理もない話だろう。
堅物で有名なこの先生が、相性占いをして欲しいだなんて、どれほど一途に思っている相手がいてのことだろうか。
「ああいや、そういうのじゃなくてだな」
「だってそうでしょう。普通、相性占いっていったら片思いの相手にするもので」
「違うんだよ。片思いも何も、私には妹紅という世界一可愛い大事な恋人がいるし、普通に友人の話なんだがな」
さらりと惚気つつそう前置きをすると、慧音は本題へと入る。
「最近、新しい寺ができたことは知っているだろう?」
「ええ。命蓮寺のことね」
「そうだ。そこに住んでいる、寅丸殿と知り合う機会があってな。今日もこの後、会いに行く事になっているんだが」
そこまで語ると、慧音は「ふう」と息を一つ吐く。
「いや、『人間と妖怪の共存』を望むだけのことはあってか、彼女は実に好人物なんだ。だが、何故か彼女と一緒にいると不運ばかり起こってな。例えば、一緒に歩いていると鳥の糞を二人して落とされたり。私行きつけの食事処に入ろうとしたら満員だったり。そんなことばかり起こるんだ。他の人と一緒に居るときは、まったくそんなことは起こらないのに」
「なるほど。それで、その原因が二人の相性にあるんじゃないかと」
「そうなんだ。魔女である貴女になら、それが占えるんじゃないかと思ってな」
「ふうむ」とパチュリーは一つ呟き、手元の本を眺めながら、何やら考え始める。
そして、それから五分ほど過ぎた後、パチュリーはゆっくりと顔を起こして言った。
「はっきり言うわ。貴女と彼女との相性は最悪ね」
「……やっぱり、そうなのか」
パチュリーの言葉に、がくりと肩を落とす慧音。
しかし、そんな慧音に向かい、パチュリーはノートに何かを書きつけながら声をかける。
「だけど、ちょっとした事を行えば、逆に貴女と彼女の相性は最高のものへと変わるわ」
「本当か?それはどんな方法だ?」
パチュリーの言葉に、ずい、と身を乗り出す慧音。
そんな彼女に、パチュリーもあくまで真剣な表情で告げる。
「毛玉や妖精を倒すと出てくる、『点』があるでしょう?」
「ああ」
「今度彼女に会うときは、それを頭の上に載せていくといいわ」
「……貴女を信用していないわけじゃないが、本当にそんなことで、大丈夫なのか?」
「ええ。困っている人に向かって嘘っぱちを言うほど、魔女はひどい生き物ではないもの」
自信ありげに言うパチュリーの言葉に、「分かった」と慧音も頷く。
こうして、慧音は髪飾り代わりに『点』を頭につけると、寅丸星の元へと向かうのだった。