「はぁーっ・・・ どうすればいいのかしら・・・」
私、アリス・マーガトロイドはあることに悩み、ため息を吐いた。人形制作のことではない。恋のことだ。 私は紅魔館の図書館へ何度も通っているうちに、その図書館の主であるパチュリー・ノーレッジのことが好きになってしまった。どの辺が好きなのかというと、綺麗な紫色の髪、痩せすぎず、太りすぎてもいない理想的な体型、病的なほど白い肌、といっても本当に病人で体が弱いが。あとは、前にパチュリーが喘息の発作が出て、私が看病していた時に、彼女が私に甘えてきたことである。普段の不機嫌そうな顔からは想像できないほど幸せそうに笑っていて、可愛かった。もちろん、体調が元に戻ったら、またいつもの不機嫌そうな顔に戻ったが。少し頬を染めていた気がしたけど。
そして先月、私は勇気を振り絞って、「パ、パチュリー//、あ、あなたの、ここことが、す、す、好きなの!//」
と、パチュリーに言ってみたはいいが、結果は
「アリス、あなたにそう言われて嫌じゃないわ。ただ、・・・ごめんなさい。私、魔理沙のことが好きなの・・・」
と、散々だった。ホントはすぐに泣きたかったが、自分のプライドを守るために何とか我慢して
「ごめんねパチュリー、もう帰るわ。本はまた今度来た時に借りる」
「謝るのはこっちなのに・・・ いつでも来なさい。あなたが来るのは嬉しいわ、ただ・・・」
「分かったわ、また近いうちにここに来るわ」
私は急いで家に帰り、そしてベッドで号泣した。
そんなことを思い出して、またため息をついた。しばらくうなだれていると、
「アリスー!いたらドアを開けてくれー!」
また悩みの種がひとつ増えたな、と大きなため息をついた。
「はいはい、今開けるわよ。ちょっと待ってて」
と、言いながら玄関のドアを開けると、黒いとんがり帽子と白黒の衣装でお馴染みの、霧雨魔理沙が嬉しそうな顔で立っていた。
「やったー!人形じゃなくてアリスが出迎えてくれたぜ!」
「なんで私が出迎えただけでそんなに喜ぶのよ」
「だってアリスが好きだからだぜ!」
何でいきなりそういうことを言うのよ・・・魔理沙のことが嫌いじゃないから嫌ではないけど
「それって友人的な意味よね・・・まさか・・・」
「そのまさかだぜ!アリスが心を変えるまで私は告白し続けるぜ!」
「だから、私はパチュリーのほうが好きだって何度も言ってるでしょ?もちろん魔理沙のことが嫌いじゃないけど」
正直言って、振られても諦めずに何度も告白し続ける精神には感心する。人間である魔理沙が、妖怪である私やおパチュリーといった妖怪と比べて精神的に丈夫だからか、あるいは、魔理沙が努力家だからか、もしくはその両方か。
「ところでパチュリーに告白されたの?」
「あぁ、ただ、アリスの方が好きだ、と断ったが。あのパチュリーが顔を赤らめて、告白した時にはドキッとしたがな。」
あぁ、やっぱり。というか、そのときのパチュリーの顔が見たかったなぁ・・・ とはいえ、パチュリーも、私がいるときは流石に魔理沙に告白できないし、それは私や魔理沙でも同じだ。
「つまり、私はパチュリーが好きで、パチュリーは魔理沙が好きで、魔理沙は私が好きっていうことになるわね」
「あぁ、そういうことになるな。つまり、三角関係だな」
「私はこのままでいいけどパチュリーに気まずい思いをさせちゃったし、魔理沙にも毎回断って申し訳ないしな・・・」
「別に私はこのままでもいいぜ? ただ、アリスがデレると嬉しいがな」
「・・・・・・そうだ!いいことを思いついたわ!」
「お前のお尻の中にに私のおしっこを注入するのか?」
「何でそうなるのよー!!違うわよ、円満に三角関係を終わらせる方法を思いついたのよ!」
「どういう方法か教えてくれ」
「魔理沙、あなたのことも好きよ//」
「い、いきなりどうしたんだアリス!そそ、それは本気か!//」
「ええ、あなたの告白を受け入れるわ」
「やったぁー!あのアリスがデレたぜ!夕飯は私が赤飯をたいてやるぜ!」
「ちょっと、はしゃぎすぎよ、魔理沙、まだ話は終わっていないわ」
「わかったぜ、最後まで聞いてやる」
その後、私はパチュリーをどうやって私たちの間に組み込んで、仲良し三人組にするかを魔理沙に話した。
夕飯の赤飯、美味しかったなぁ・・・
翌日の朝、私たちは紅魔館の図書館へと向かうべく、準備をしていた。
「アリス~!準備できたか?」
「えぇ、じゃあ行きましょうか」
私は上海と蓬莱を連れて、ブラウニー(袋にヴァンホーテンと書かれたココアを使用)を入れたバスケットを左手に持ち、魔理沙はいつもどおり箒に乗って、私たちは図書館へ向かった。
そして魔理沙と手を繋ぎながら図書館のドアを開いたら、いつもより不機嫌そうに本を読んでいるパチュリーがいた。原因は魔理沙と私がパチュリーの目の前で手を繋いでいることは誰だって分かるが。
そんなパチュリーを気にせず私は魔理沙に後ろから抱かれながら
「パ、パチュリー!ああああなたの好きな魔理沙はわ、私が頂いたわ!パチュリーも魔理沙にう、後ろからきゃっ!耳かまないでぇ//だ、抱きつかれたいなら、私に、ここ告白しなさい!// 魔理沙にお腹撫でられるのきもちぃよ・・・//もっとぉ・・・//」
と、パチュリーに言ってみたら、羨ましそうだった。多分私の言葉ではなく、私が魔理沙に抱かれていることに対してだろうが。そんなパチュリーを見て、魔理沙は
「パチュリー、お前の告白を受け入れるぜ。アリスだって私の告白を受け入れてくれたしな・・・// だからパチュリー、アリスの告白を受け入れてくれ!」
と、昨日話した通りのことを言ってくれてホッとしたとともに嬉しかった。あとはパチュリーの反応が気になるが・・・
「まま、魔理沙が言うなら、あ、アリス、あなたとも付き合ってあげるわ!勘違いしないでよ!別に魔理沙に抱きしめられているあなたが羨ましく思ったわけじゃないんだから・・・//」
と、本で顔を隠していた。照れているパチュリーも可愛いから顔を隠さなくてもいいのに。
そんなわけで、何とかうまく収まったため、私と魔理沙はハイタッチをした。
「これで私たちは恋人となったし、ためらいなく本を借りれるな!これからもよろしくな、パチュリー!」
と、魔理沙が持参してきた袋にこれでもか、というくらい本を詰め込んで、帰ろうとした。普段はあれでも魔理沙なりに自重していたのだ。昔、魔理沙が魔界に侵攻してきた時に、私を椅子に縛り付け、魔界にあった魔道書を全部奪い去ったくらい(ただし、私の持っていた「the Grimoire of Alice」は除く)魔理沙は強欲だし。
「もってかないでー」
パチュリーは弱々しく嘆いた。流石に同情せざるを得ないと思ったが、魔理沙に、パチュリーと恋人になれば本が借り放題とそそのかしたのも私だから許せ、パチュリーとしか言えなかった。魔理沙が急いで帰ろうとしたため、上海と蓬莱に魔理沙を止めさせたが。あのまま帰らせたらまた図書館に戻ってさらに「借りて」いくだろう。
「ありがとアリス。魔理沙が借りた本をあなたが返して来てくれるから助かるわ」
「どういたしまして。ところでパチュリー、魔理沙、お菓子好きかしら?」
「ええ、大好きよ!」
「私もだーい好きだぜ!」
「ふふっ、じゃあ一緒に食べましょうか」
私自身、左手に持っていたお菓子を忘れていた。正直言って、魔理沙に抱きしめられてよく落とさなかったな、と自分自身に感心した。
「やったぜ。」
「アリスのお菓子、甘くて好きよ」
そしてバスケットの中を開くと早速ブラウニーが三個なくなった。魔理沙が両手で一個ずつ取ったからだ。私も一個とって食べたら、三人で一緒に食べているからか、味見の時よりよっぽど美味しく感じた。
「やっぱりアリスの作ったブラウニーはうまいな」
「相変わらず甘いわね。甘すぎるわけではないわ」
「ふふっ、ありがと。実は甘ったるくしすぎないようにビターチョコを使ったわ。次はどういうお菓子を持ってくればいいかしら?何か食べたいものはある?」
「カラフルなクッキーが食べたいぜ!七色なだけに」
「私はアメで作った不沈艦が食べたいわ。ここに戦艦に関する本とかあった気がするわ」
「不沈艦のほうは難しいけど何とか頑張って作ってみるわ。あとパチュリー、本借りるわよ」
「楽しみに待っているぜ!」
「楽しみに待っているわよ」
こうして、パチュリー、魔理沙と幸せな日常を送れて、私はとっても幸せだわ。
あとがきの咲夜さんが地味に可愛かった(小学生並みの感想)