・注意。今回魔理沙の扱いが酷かったりするので許せない方はお戻りください。
その日、霊夢は紅魔館の地下図書館で編み物をしていた。
「小悪魔、ここは?」
「あ、そこはですね……」
膝の上に広げたのは白い毛糸で途中まで編まれたマフラー。途中でわからなくなり、同じソファーに座る小悪魔に訪ねる霊夢。その肩にはアリスの人形の上海と蓬莱が。
そしてそれを眺め、「編み物なら私が教えてあげるのにな……」と若干小悪魔を羨ましげに眺めるアリスと、そんな彼女を余所に床に描いた魔法陣の各所に特殊な材料で作った蝋燭を置いていくパチュリー。
「アリス、手伝いなさい」
「あ、ごめんなさい」
「まったく……これからする実験は失敗すればちょっと厄介な事になりかねないのよ?それが解からない貴女じゃないでしょう?」
「う、うん……」
「ま、貴女が霊夢の事を好きなのは知ってるけど」
「ちょっと!?ここここ!!声が大きい!!」
「むぐむっ!?」
突然のパチュリーの暴言に急いで彼女の口を塞ぐアリス。
「む~!!むぐ~!!」
「アリス?パチュリーも、どうしたの?」
「う、ううん!?なんでもないのよ本当よ!?霊夢は気にせず編み物続けて!ね!?」
「? そう?」
狼狽しまくるアリスに首を傾げながらも編み物を続ける霊夢と、そんな霊夢とアリスを見ながら、アリスに向けて「心中お察しします」といった具合で苦笑を向ける小悪魔。
そう、何を隠そうこの人形遣い、紅白の巫女に淡い恋心を抱いていたりするのだ。
しかし残念ながら人形遣いは若干ヘタレで巫女は鈍感な為、周りばかりがその事を知っていたりするのだった。
「む~!!むむ~~!!」
「あ、ごめん」
非力ながらも、窒息の危機から逃れようと必死にアリスの腕を叩くパチュリーに、ようやく気付き、離れるアリス。喘息持ちの口を塞ぐのはやめましょう。生死に関わる。
「ぜぇ、ぜぇ……まったく、死ぬかと思ったわ……」
「本当にごめん……」
「もういいわよ。そんなに何度も謝られても鬱陶しいだけだし。それより、始めるわよ」
「ええ」
パチュリーとアリスはそれぞれ魔法陣を挟んで対極の位置に立ち、手を翳す。
魔法陣の中心には鉢植に咲いた花が一輪。
「合図通りに魔力を注いで。上手くいけば花の時間を巻き戻して、種まで戻るわ」
「うん。じゃあ……」
「行くわよ……3……2……1……今!!」
「!!」
パチュリーの合図に、2人が同時に魔力を注ぎ込む。反応して淡く光り出す。
次第にその光は大きく、強くなっていく。
その反応から約10秒。鉢植の花が次第に花弁を閉じていく。
「おお~」
「すごいですね……」
実験が始まってからは見学に回っていた霊夢と小悪魔が感嘆の言葉を口にする。
「そう、アリス。そのまま魔力を安定させて放出を続けなさい」
「ええ、わかってる……」
次第に花弁は蕾となり、そのサイズを小さなものに変えていく。
そして、アクシデントが『やってきた。』
「邪魔するぜ!!」
「「!?」」
爆音とともに吹っ飛ぶ図書館の扉。そして飛び込んできた白黒の侵入者。
「お前らだけで面白そうな事するなんてずるいぜ!!」
叫ぶ侵入者―――魔理沙―――だが、アリスもパチュリーもそれどころではない。
魔理沙が吹き飛ばした扉が、天井近くまで飛び上がったと思ったら魔法陣の真上に落ちてきていたのだ。
今現在、2人は魔法陣へ魔力を注ぎ込んでいる。その為、2人は扉を破壊、または受け止める事ができない。仮にどちらか一方が対処を行った場合、注ぎ込んでいる魔力が対処している側に流れ込む。2人で一斉に魔力の注入を停止した場合、魔法陣内で急停止された魔力の循環は暴走。図書館内全域に魔力が荒れ狂い、どうなるかわからない。
「こぁ―――!!」
パチュリーは小悪魔へ対処を命じるが、運悪く小悪魔は扉が吹き飛んだ際に飛んできた破片が額に当たり、気絶している。
「くっ―――!!」
絶体絶命。代償は自分一人で甘んじて受けようとパチュリーが魔力を弱めた時、
「破っ!!」
亜空穴によって瞬時に魔法陣上に移動した霊夢はお札を四枚使って長方形の結界を作り、扉を弾き飛ばした。
それを見て安堵するパチュリーだが、
「―――っ!!霊夢、そこは駄目!!」
「え?」
パチュリーの言葉に呆気に取られる霊夢。
再度状況を整理しよう。
現在霊夢は魔法陣の真上。おまけに中心。
そしてパチュリーからの魔力が僅かに弱まり、魔力循環の均衡が微妙に崩れた状態。
そして簡易ながらも『モノの時間を巻き戻す』魔法の実験中。
そしてその結果は、
「きゃああああああ!!」
魔法陣から溢れた光が、霊夢を直撃。部屋全体が、目も眩む閃光に包まれた。
「う……」
閃光による一時的な視力の喪失も治りつつある状態で、パチュリーは周囲を見渡す。
ぼやけた視界の中に、紅白の人影が見えた。ほっとするのも束の間、ゆっくりとだがその人影に向って歩いていくパチュリー。
未だ戻りきっていない視力で歩くのは困難だったが、幸い彼女との間に物が散乱している事は無かった為、思っていたよりもすんなり行けた。
「霊夢、大丈……」
近付き、ようやくまともに見える位置まで近づいた彼女の目に映った姿を見て、パチュリーはただでさえ少ない血の気がどんどん失せていくのを感じた。
「あはははははははははははははははははははは!!なんだそれ!!あはははははははははははは!!」
その場の全員が閃光からの回復を終えて、図書館に魔理沙の笑い声が響いていた。
「ちょ、やめ―――!!」
「魔理沙!!やめなさいってば!!」
加えて霊夢の拒絶の声とアリスの怒声。
「魔理沙、今回の原因は貴女にもあるのよ?」
そしてパチュリーの冷たい、刺すような言葉。ちなみに小悪魔はおろおろしながら4人を見ている。
「くくく、まさかあの霊夢がこんな『ちびっこ』になるとはなぁ!!」
「だからそれはアンタのせいでしょうが!!」
そう、魔理沙の乱入のせいで魔法実験は失敗に終わり、しかも一番近くにいた霊夢の身体が7~9歳程度のものになってしまったのだった。
「おいおい、私はただいつも通り図書館に入っただけだぜ?大事な実験中なら立入禁止の立て札か張り紙でもしとけばいいだろ?」
「魔理沙、貴女ね……」
魔理沙の言い分に、少々頭に来るアリス。若干正しい事も言っているのが余計に腹立つ。そんなもんだから上海と蓬莱を魔力の糸で操り、武器を構えさせる。
「しかし天下の博麗の巫女様がこんな姿となっちゃあ、いよいよこの魔理沙さんの時代が来たってことか?あははははは!!」
霊夢の襟首を掴み、持ち上げる慢心王魔理沙。しかし、
「悪いけれど」
魔理沙の背後から声が発せられ、
「あははははは……ん?」
「貴女の時代はここで終わりよ?」
首筋にナイフが当てられた。
「咲夜!!」
肩越しに振り返った霊夢は、その銀色の従者の姿を見やると表情を明るくする。
「ああ、霊夢。随分と可愛い姿になって。ちょっと待っててね?この白黒の始末を終えたら今の身体にあった服に着替えましょうね」
「し、始末って……冗談きついぜ、咲夜。私が何したってんだよ?」
「私の可愛い霊夢を苛めてたわね……明日の朝日は拝めないと思いなさい、この泥棒鼠……!!」
さり気に『私の』と主張している辺り、抜け目の無いメイドである。
「アリス、霊夢を」
「え?あ、ええ……」
アリスが魔理沙から霊夢を奪い返すのを確認すると、咲夜は同性ですら魅了するような(しかし瞳は絶対零度を湛えた)笑みを魔理沙に向けた。
「それではお客様。紅魔館メイド長、十六夜咲夜の最高威力の御持て成しをさせていただきます」
「い、いや、そんな、気にすんなって……」
「ご遠慮なく……この間思いついたの。スペルの複合技。幻葬『夜霧の幻影殺人鬼』×傷魂『ソウルスカルプチュア』フロム……」
満面の笑みの咲夜。しかしその瞳は蒼から紅へと変化しており、更に魔理沙の周囲には無数のナイフが出現している。
「ゼロレンジ♪」
「うぼああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「貴女の時間も私の……いいえ、それには及ばないわね。どちらかと言うと霊夢の時間の方が私は欲しいし」
((((つえぇ……)))
咲夜の前で霊夢にちょっかい出してはいけない。そう心に刻んだ三人だった。
「さ、お姉ちゃんと御着替えしましょうね、霊夢」
「え、いつの間に私咲夜の妹に!?」
ズタボロになった魔理沙は小悪魔によって「見せられないよ!!」的なモザイク処理と最低限の治療を受けて図書館の端っこに投げられている。
「そんなの、霊夢が小さくなった瞬間からじゃない」
「その瞬間って咲夜、図書館に居なかったわよね?」
「ええ。さすがにあの状況で咲夜が来てたら真っ先に霊夢の保護してただろうし、それは無いわね」
アリスとパチュリーの会話を余所に、ハンカチで霊夢の顔についた埃や汚れを拭っていく。
「まずはお風呂ね。行きましょうか、霊夢」
そう言うと霊夢の手を握る咲夜。それに対して反発する霊夢。
「ちょ、なんで手ぇ握っていかなきゃいけないのよ!!」
「だって霊夢、はぐれちゃうかもしれないし……」
「はぐれるわけないでしょ!!」
「でも万が一もあるし……」
「万が一って何よ……」
「霊夢は可愛いから、美鈴辺りに誘拐されないかお姉ちゃん心配で……」
「美鈴ってそんなキャラだっけ……」
「手を繋ぐのが嫌なら、だっこでもいいわよ?というかむしろ私的にはそっちの方が……」
そのシーンを想像してみる霊夢。
優しくて、暖かくて、いい匂いのする咲夜の、大きな胸に抱かれて一緒にお風呂場まで……あ、なんかいいかも?等と考えたところで首をブンブンと振る。2人っきりならそれでもいいかもしれないが、さすがに妖精メイドを含めて100人(?)以上いる紅魔館でそれは不味い。
「手!手ぇ繋ぎましょ!!私、お姉ちゃんと手ぇ繋ぎたいな!!」
「ふふふ、嬉しいわ。さ、一緒にお風呂入りましょうね、霊夢」
「うん!!」
手を繋ぎながら図書館を出ていく霊夢と咲夜。
そんな2人の背中を眺める魔女2人と小悪魔。
「アリス、私達もお風呂行きましょうか」
「それもそうね。片づけは妖精達や美鈴に頼めばやってくれるでしょうし」
「パチュリー様、アリスさん!!お風呂セット準備できました!!」
「小悪魔仕事速すぎじゃない!?」
「流石は私の使い魔。さ、行きましょうか」
「パチュリー様、私霊夢ちゃんの頭洗ってあげたいです!!」
「いつの間にかさんからちゃんに変わったわね……。あ、じゃあ私は霊夢の背中流してあげたい」
「それは咲夜に聞きなさいな」
三人もまた図書館から離れて、大浴場に向かう。
魔理沙は小悪魔が出発直前に亀甲縛りを追加したので動けなかったりする。
入浴も済ませ、パチュリーの見解で一週間もすれば自然と元に戻ると言われた霊夢は、小さい姿での一週間を紅魔館で過ごす事となる。
その間に咲夜と同じ布団で寝たり咲夜のお下がりの私服やメイド服を着たり美鈴に拉致られそうになったりといろいろあったりするのだが、それはまた別のお話。
その日、霊夢は紅魔館の地下図書館で編み物をしていた。
「小悪魔、ここは?」
「あ、そこはですね……」
膝の上に広げたのは白い毛糸で途中まで編まれたマフラー。途中でわからなくなり、同じソファーに座る小悪魔に訪ねる霊夢。その肩にはアリスの人形の上海と蓬莱が。
そしてそれを眺め、「編み物なら私が教えてあげるのにな……」と若干小悪魔を羨ましげに眺めるアリスと、そんな彼女を余所に床に描いた魔法陣の各所に特殊な材料で作った蝋燭を置いていくパチュリー。
「アリス、手伝いなさい」
「あ、ごめんなさい」
「まったく……これからする実験は失敗すればちょっと厄介な事になりかねないのよ?それが解からない貴女じゃないでしょう?」
「う、うん……」
「ま、貴女が霊夢の事を好きなのは知ってるけど」
「ちょっと!?ここここ!!声が大きい!!」
「むぐむっ!?」
突然のパチュリーの暴言に急いで彼女の口を塞ぐアリス。
「む~!!むぐ~!!」
「アリス?パチュリーも、どうしたの?」
「う、ううん!?なんでもないのよ本当よ!?霊夢は気にせず編み物続けて!ね!?」
「? そう?」
狼狽しまくるアリスに首を傾げながらも編み物を続ける霊夢と、そんな霊夢とアリスを見ながら、アリスに向けて「心中お察しします」といった具合で苦笑を向ける小悪魔。
そう、何を隠そうこの人形遣い、紅白の巫女に淡い恋心を抱いていたりするのだ。
しかし残念ながら人形遣いは若干ヘタレで巫女は鈍感な為、周りばかりがその事を知っていたりするのだった。
「む~!!むむ~~!!」
「あ、ごめん」
非力ながらも、窒息の危機から逃れようと必死にアリスの腕を叩くパチュリーに、ようやく気付き、離れるアリス。喘息持ちの口を塞ぐのはやめましょう。生死に関わる。
「ぜぇ、ぜぇ……まったく、死ぬかと思ったわ……」
「本当にごめん……」
「もういいわよ。そんなに何度も謝られても鬱陶しいだけだし。それより、始めるわよ」
「ええ」
パチュリーとアリスはそれぞれ魔法陣を挟んで対極の位置に立ち、手を翳す。
魔法陣の中心には鉢植に咲いた花が一輪。
「合図通りに魔力を注いで。上手くいけば花の時間を巻き戻して、種まで戻るわ」
「うん。じゃあ……」
「行くわよ……3……2……1……今!!」
「!!」
パチュリーの合図に、2人が同時に魔力を注ぎ込む。反応して淡く光り出す。
次第にその光は大きく、強くなっていく。
その反応から約10秒。鉢植の花が次第に花弁を閉じていく。
「おお~」
「すごいですね……」
実験が始まってからは見学に回っていた霊夢と小悪魔が感嘆の言葉を口にする。
「そう、アリス。そのまま魔力を安定させて放出を続けなさい」
「ええ、わかってる……」
次第に花弁は蕾となり、そのサイズを小さなものに変えていく。
そして、アクシデントが『やってきた。』
「邪魔するぜ!!」
「「!?」」
爆音とともに吹っ飛ぶ図書館の扉。そして飛び込んできた白黒の侵入者。
「お前らだけで面白そうな事するなんてずるいぜ!!」
叫ぶ侵入者―――魔理沙―――だが、アリスもパチュリーもそれどころではない。
魔理沙が吹き飛ばした扉が、天井近くまで飛び上がったと思ったら魔法陣の真上に落ちてきていたのだ。
今現在、2人は魔法陣へ魔力を注ぎ込んでいる。その為、2人は扉を破壊、または受け止める事ができない。仮にどちらか一方が対処を行った場合、注ぎ込んでいる魔力が対処している側に流れ込む。2人で一斉に魔力の注入を停止した場合、魔法陣内で急停止された魔力の循環は暴走。図書館内全域に魔力が荒れ狂い、どうなるかわからない。
「こぁ―――!!」
パチュリーは小悪魔へ対処を命じるが、運悪く小悪魔は扉が吹き飛んだ際に飛んできた破片が額に当たり、気絶している。
「くっ―――!!」
絶体絶命。代償は自分一人で甘んじて受けようとパチュリーが魔力を弱めた時、
「破っ!!」
亜空穴によって瞬時に魔法陣上に移動した霊夢はお札を四枚使って長方形の結界を作り、扉を弾き飛ばした。
それを見て安堵するパチュリーだが、
「―――っ!!霊夢、そこは駄目!!」
「え?」
パチュリーの言葉に呆気に取られる霊夢。
再度状況を整理しよう。
現在霊夢は魔法陣の真上。おまけに中心。
そしてパチュリーからの魔力が僅かに弱まり、魔力循環の均衡が微妙に崩れた状態。
そして簡易ながらも『モノの時間を巻き戻す』魔法の実験中。
そしてその結果は、
「きゃああああああ!!」
魔法陣から溢れた光が、霊夢を直撃。部屋全体が、目も眩む閃光に包まれた。
「う……」
閃光による一時的な視力の喪失も治りつつある状態で、パチュリーは周囲を見渡す。
ぼやけた視界の中に、紅白の人影が見えた。ほっとするのも束の間、ゆっくりとだがその人影に向って歩いていくパチュリー。
未だ戻りきっていない視力で歩くのは困難だったが、幸い彼女との間に物が散乱している事は無かった為、思っていたよりもすんなり行けた。
「霊夢、大丈……」
近付き、ようやくまともに見える位置まで近づいた彼女の目に映った姿を見て、パチュリーはただでさえ少ない血の気がどんどん失せていくのを感じた。
「あはははははははははははははははははははは!!なんだそれ!!あはははははははははははは!!」
その場の全員が閃光からの回復を終えて、図書館に魔理沙の笑い声が響いていた。
「ちょ、やめ―――!!」
「魔理沙!!やめなさいってば!!」
加えて霊夢の拒絶の声とアリスの怒声。
「魔理沙、今回の原因は貴女にもあるのよ?」
そしてパチュリーの冷たい、刺すような言葉。ちなみに小悪魔はおろおろしながら4人を見ている。
「くくく、まさかあの霊夢がこんな『ちびっこ』になるとはなぁ!!」
「だからそれはアンタのせいでしょうが!!」
そう、魔理沙の乱入のせいで魔法実験は失敗に終わり、しかも一番近くにいた霊夢の身体が7~9歳程度のものになってしまったのだった。
「おいおい、私はただいつも通り図書館に入っただけだぜ?大事な実験中なら立入禁止の立て札か張り紙でもしとけばいいだろ?」
「魔理沙、貴女ね……」
魔理沙の言い分に、少々頭に来るアリス。若干正しい事も言っているのが余計に腹立つ。そんなもんだから上海と蓬莱を魔力の糸で操り、武器を構えさせる。
「しかし天下の博麗の巫女様がこんな姿となっちゃあ、いよいよこの魔理沙さんの時代が来たってことか?あははははは!!」
霊夢の襟首を掴み、持ち上げる慢心王魔理沙。しかし、
「悪いけれど」
魔理沙の背後から声が発せられ、
「あははははは……ん?」
「貴女の時代はここで終わりよ?」
首筋にナイフが当てられた。
「咲夜!!」
肩越しに振り返った霊夢は、その銀色の従者の姿を見やると表情を明るくする。
「ああ、霊夢。随分と可愛い姿になって。ちょっと待っててね?この白黒の始末を終えたら今の身体にあった服に着替えましょうね」
「し、始末って……冗談きついぜ、咲夜。私が何したってんだよ?」
「私の可愛い霊夢を苛めてたわね……明日の朝日は拝めないと思いなさい、この泥棒鼠……!!」
さり気に『私の』と主張している辺り、抜け目の無いメイドである。
「アリス、霊夢を」
「え?あ、ええ……」
アリスが魔理沙から霊夢を奪い返すのを確認すると、咲夜は同性ですら魅了するような(しかし瞳は絶対零度を湛えた)笑みを魔理沙に向けた。
「それではお客様。紅魔館メイド長、十六夜咲夜の最高威力の御持て成しをさせていただきます」
「い、いや、そんな、気にすんなって……」
「ご遠慮なく……この間思いついたの。スペルの複合技。幻葬『夜霧の幻影殺人鬼』×傷魂『ソウルスカルプチュア』フロム……」
満面の笑みの咲夜。しかしその瞳は蒼から紅へと変化しており、更に魔理沙の周囲には無数のナイフが出現している。
「ゼロレンジ♪」
「うぼああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「貴女の時間も私の……いいえ、それには及ばないわね。どちらかと言うと霊夢の時間の方が私は欲しいし」
((((つえぇ……)))
咲夜の前で霊夢にちょっかい出してはいけない。そう心に刻んだ三人だった。
「さ、お姉ちゃんと御着替えしましょうね、霊夢」
「え、いつの間に私咲夜の妹に!?」
ズタボロになった魔理沙は小悪魔によって「見せられないよ!!」的なモザイク処理と最低限の治療を受けて図書館の端っこに投げられている。
「そんなの、霊夢が小さくなった瞬間からじゃない」
「その瞬間って咲夜、図書館に居なかったわよね?」
「ええ。さすがにあの状況で咲夜が来てたら真っ先に霊夢の保護してただろうし、それは無いわね」
アリスとパチュリーの会話を余所に、ハンカチで霊夢の顔についた埃や汚れを拭っていく。
「まずはお風呂ね。行きましょうか、霊夢」
そう言うと霊夢の手を握る咲夜。それに対して反発する霊夢。
「ちょ、なんで手ぇ握っていかなきゃいけないのよ!!」
「だって霊夢、はぐれちゃうかもしれないし……」
「はぐれるわけないでしょ!!」
「でも万が一もあるし……」
「万が一って何よ……」
「霊夢は可愛いから、美鈴辺りに誘拐されないかお姉ちゃん心配で……」
「美鈴ってそんなキャラだっけ……」
「手を繋ぐのが嫌なら、だっこでもいいわよ?というかむしろ私的にはそっちの方が……」
そのシーンを想像してみる霊夢。
優しくて、暖かくて、いい匂いのする咲夜の、大きな胸に抱かれて一緒にお風呂場まで……あ、なんかいいかも?等と考えたところで首をブンブンと振る。2人っきりならそれでもいいかもしれないが、さすがに妖精メイドを含めて100人(?)以上いる紅魔館でそれは不味い。
「手!手ぇ繋ぎましょ!!私、お姉ちゃんと手ぇ繋ぎたいな!!」
「ふふふ、嬉しいわ。さ、一緒にお風呂入りましょうね、霊夢」
「うん!!」
手を繋ぎながら図書館を出ていく霊夢と咲夜。
そんな2人の背中を眺める魔女2人と小悪魔。
「アリス、私達もお風呂行きましょうか」
「それもそうね。片づけは妖精達や美鈴に頼めばやってくれるでしょうし」
「パチュリー様、アリスさん!!お風呂セット準備できました!!」
「小悪魔仕事速すぎじゃない!?」
「流石は私の使い魔。さ、行きましょうか」
「パチュリー様、私霊夢ちゃんの頭洗ってあげたいです!!」
「いつの間にかさんからちゃんに変わったわね……。あ、じゃあ私は霊夢の背中流してあげたい」
「それは咲夜に聞きなさいな」
三人もまた図書館から離れて、大浴場に向かう。
魔理沙は小悪魔が出発直前に亀甲縛りを追加したので動けなかったりする。
入浴も済ませ、パチュリーの見解で一週間もすれば自然と元に戻ると言われた霊夢は、小さい姿での一週間を紅魔館で過ごす事となる。
その間に咲夜と同じ布団で寝たり咲夜のお下がりの私服やメイド服を着たり美鈴に拉致られそうになったりといろいろあったりするのだが、それはまた別のお話。
ちびっ子霊夢も良いですね
アリレイと咲霊が同時に見れて凄い俺得です!
続きを是非!!
速攻で続きを所望致しますですw