「秋だね」
「そうね」
「秋ね」
「秋よね」
「秋だわ」
「秋よ」
「静葉よ」
「穣子よ」
秋。
春夏秋冬、その三番目。
秋。
暑い夏終わりから始まり、冬へと向かう季節。
秋。
読書の秋。
秋。
実りの秋。
秋。
運動の秋。
秋。
秋姉妹の秋。
「っしゃあ、秋ぃ!!」
「テンション高いね、お姉ちゃん?」
静葉が大振りでガッツポーズをしてみせれば、すかさず穣子が一本指をたてた手を顔の横にあげて、体を傾けてそう言った。
静葉はぶんぶんと腕を振り回して、
「あったりまえよ! 秋よ、秋が来たのよ、我が世の秋がっがががぁああああああ!!!」
「やっと夏が終わったと思うとすっとするね!」
「夏の象徴のしょんぼりとした顔ときたら、ぷふぅー! もう、心が躍るわ!!」
「さあ、そんなことよりまずは収穫祭よ!」
「!? 待って、あなただけお呼ばれなんて卑怯よ!!!」
「これが神格の差よお姉ちゃん!」
「はふん! どうせ呼ばれたってなにもないくせに!!」
「ところがぎっちょん、私には甘味が待っている~!」
「なんだって!? そんな話、今まで一度たりとも聞いたことないわよ!?」
「言ってないもん」
「こっ、コロコロする!! 転がしてやるっ!!」
「あーら、私の相手がつとまりまして? お姉さま?」
「ぬぎぎ、姉の威光を浴びせてやるわ!!」
静葉の言葉に、穣子は地を蹴ってその場から離れ、数歩分の距離を開けてから、ゆっくりと親指を自分に向けた。
「私は……スーパー穣子だ」
ドギャウ! という派手な効果音が、遥か彼方で鳴り響いた……かもしれない。
一歩後じさって、しかしすぐに前のめりになる静葉。
両腕を振り上げて、うおー、と威嚇の声をあげてから、
「こここ、怖くないし!!」
「じゃあやるのよね? お姉ちゃん」
したり顔で、一歩踏み出す穣子。
静葉と穣子の戦闘力は、実は穣子の方が高い。
なぜならば静葉は中ボスで、穣子は1ボスだからだ。
信仰する人間の数も、穣子の方が倍以上に多い。
スペルカード戦をするにしても、殴り合いをするにしても、じゃんけんをするにしても、静葉には万に一つも勝ち目はなかった。
だが。
「っ!?」
穣子の動きが止まった。
踏み出した足の下には……ゴキブ○リホイホイ。
「にぎゃぁああああああっ!?」
「かかったわね!!」
バッ、バッバッバッと無意味に腕を動かしてポーズをとる静葉。
そう、戦う前に潰してしまえば、強さなど関係ないのだ!
「くらえ!!」
サッ、サッサッサッマイモッ! と、右へ左へ腕を振り回し、「静葉っ!!」の声と共に顔の横で二度拍手、最後に両足を開いて額に垂直にした手を当てる。
「ビームッ!!」
白い光が膨れ上がった。
それは一瞬で肥大し、あのマスタースパークに勝らずとも劣る太さで発射され、身動きのむっちゃとれる穣子を音もなく飲み込んだ。
勝った…!
静葉は勝利を確信した。
だが……
「なっ!?」
光が消えたそこには、無傷の穣子が額の汗を拭う仕草をしていた。
「ふいー……帽子がなければ防げなかったわ」
帽子なだけに防止。全米が笑った。
「くっ、卑怯よ……私にはそんなZUN帽、ないっていうのに!!」
「そいじゃお姉ちゃん」
まあ、実力行使で挑んだ時点で静葉の負けは決まっていたわけなんだけど。
「覚悟は、できたよね?」
秋家に、嬉しい悲鳴が響き渡った。
毎年恒例の、秋の始まりの日のことであった。
「そうね」
「秋ね」
「秋よね」
「秋だわ」
「秋よ」
「静葉よ」
「穣子よ」
秋。
春夏秋冬、その三番目。
秋。
暑い夏終わりから始まり、冬へと向かう季節。
秋。
読書の秋。
秋。
実りの秋。
秋。
運動の秋。
秋。
秋姉妹の秋。
「っしゃあ、秋ぃ!!」
「テンション高いね、お姉ちゃん?」
静葉が大振りでガッツポーズをしてみせれば、すかさず穣子が一本指をたてた手を顔の横にあげて、体を傾けてそう言った。
静葉はぶんぶんと腕を振り回して、
「あったりまえよ! 秋よ、秋が来たのよ、我が世の秋がっがががぁああああああ!!!」
「やっと夏が終わったと思うとすっとするね!」
「夏の象徴のしょんぼりとした顔ときたら、ぷふぅー! もう、心が躍るわ!!」
「さあ、そんなことよりまずは収穫祭よ!」
「!? 待って、あなただけお呼ばれなんて卑怯よ!!!」
「これが神格の差よお姉ちゃん!」
「はふん! どうせ呼ばれたってなにもないくせに!!」
「ところがぎっちょん、私には甘味が待っている~!」
「なんだって!? そんな話、今まで一度たりとも聞いたことないわよ!?」
「言ってないもん」
「こっ、コロコロする!! 転がしてやるっ!!」
「あーら、私の相手がつとまりまして? お姉さま?」
「ぬぎぎ、姉の威光を浴びせてやるわ!!」
静葉の言葉に、穣子は地を蹴ってその場から離れ、数歩分の距離を開けてから、ゆっくりと親指を自分に向けた。
「私は……スーパー穣子だ」
ドギャウ! という派手な効果音が、遥か彼方で鳴り響いた……かもしれない。
一歩後じさって、しかしすぐに前のめりになる静葉。
両腕を振り上げて、うおー、と威嚇の声をあげてから、
「こここ、怖くないし!!」
「じゃあやるのよね? お姉ちゃん」
したり顔で、一歩踏み出す穣子。
静葉と穣子の戦闘力は、実は穣子の方が高い。
なぜならば静葉は中ボスで、穣子は1ボスだからだ。
信仰する人間の数も、穣子の方が倍以上に多い。
スペルカード戦をするにしても、殴り合いをするにしても、じゃんけんをするにしても、静葉には万に一つも勝ち目はなかった。
だが。
「っ!?」
穣子の動きが止まった。
踏み出した足の下には……ゴキブ○リホイホイ。
「にぎゃぁああああああっ!?」
「かかったわね!!」
バッ、バッバッバッと無意味に腕を動かしてポーズをとる静葉。
そう、戦う前に潰してしまえば、強さなど関係ないのだ!
「くらえ!!」
サッ、サッサッサッマイモッ! と、右へ左へ腕を振り回し、「静葉っ!!」の声と共に顔の横で二度拍手、最後に両足を開いて額に垂直にした手を当てる。
「ビームッ!!」
白い光が膨れ上がった。
それは一瞬で肥大し、あのマスタースパークに勝らずとも劣る太さで発射され、身動きのむっちゃとれる穣子を音もなく飲み込んだ。
勝った…!
静葉は勝利を確信した。
だが……
「なっ!?」
光が消えたそこには、無傷の穣子が額の汗を拭う仕草をしていた。
「ふいー……帽子がなければ防げなかったわ」
帽子なだけに防止。全米が笑った。
「くっ、卑怯よ……私にはそんなZUN帽、ないっていうのに!!」
「そいじゃお姉ちゃん」
まあ、実力行使で挑んだ時点で静葉の負けは決まっていたわけなんだけど。
「覚悟は、できたよね?」
秋家に、嬉しい悲鳴が響き渡った。
毎年恒例の、秋の始まりの日のことであった。