「さぁ、今日もやって来ました。パチェフララジオの時間です。パーソナリティーは私、フランドールスカーレットと!」
「……またやるのね、これ。パチュリー・ノーレッジよ」
ふぅと溜息を吐いて、目の前に座るフランを見つめる。前回同様、楽しそうな笑顔で、カチャカチャと機材を弄っている。前も思ったんだけど、これどこから持って来て、いつの間に準備してるのかしら?
「そうみたいだねぇ~、私も驚いたよ」
「あら、貴女が決めたんじゃないの?」
フランは暫く何かを思い出すように、視線を空中に泳がせるとフルフルと首を振った。
「何かリクエストがあったんだって」
「……物好きも居たものね」
「あ、それと今日から生放送だってさ。編集できないから、発言には気をつけてね?前回みたいになったらフォローできないよ?」
「何か私が悪いみたいになってる!?問題発言してたのはフランの方でしょう!?」
ケラケラと声を立てて笑うフランに思わず頭を抱える。て言うか、本当に生放送で大丈夫なの?言っとくけど、私フォローとか無理よ?……何でかって?引きこもり舐めんな!そんな気が回せたら、宴会とかもっと楽しんでるわ!
「今日もそんなこんなで始まったわけだけど、実は今日はゲストを呼んでるんだよー」
その言葉にパチパチと瞬きをする。ゲスト?これも私聞いてないんだけど?どういう事?ラジオって、こんなにパーソナリティが知らない事があっていいものだっけ?
そんな私の考えを見透かしたように、にんまりとした笑みを浮かべた吸血鬼の顔が私を見ていた。どうしよう、凄いムカつく。今すぐ本の角であの頭叩きたい……こんな所に百科辞典があった。
「ねぇフラン、いい子だからちょっと私に近づいてくれる?」
「あはは、パチュリーのやりたいことが痛いほど解るから遠慮するよー……それよりもゲスト呼ばないとね。どうぞ、入って来てください」
むぅ、そんなに顔に出てたかしら?これでもポーカーフェイスが売りだったのだけれど。まぁ、確かにゲストをいつまでも待たすのも悪いわね、番組も進行しないし……言っておくけど、前回の放送が意外と楽しかったから、やる気になってるわけじゃないわよ?
「あははは、下界の愚民共!悦びなさい、この私が来てあげたわよ!さぁ、跪いてぇぇぇぇぇぇぇ!?」
台詞の途中でフランの見事なドロップキックを食らって、再び廊下に吹っ飛ばされる馬鹿天人がいた。アレが今日のゲストか、それにしても見事に吹っ飛んだなぁ、なんて考えているとフランが素早くマイクを切って、吹っ飛ばした相手に駆け寄る。
「ねぇ、アンタ何考えてるの?これ生放送なんだけど?」
「え?い、いや、だって……」
「だって?だって何?」
「ふ、フランさんがあの登場しろって言ったんじゃないですか!私の性格だと威厳が無いからって……」
廊下から聞こえて来る会話に眉を顰める。ん?どういう事?またフランが何かやったのかしら?にしてもあの天人、何か妙にしおらしい気がするんだけど……
話が終わったのか、不機嫌そうな表情のフランに続いて、天人も入って来る。若干涙目で。
フランは席に着くと、横目で天人を睨むとマイクのスイッチを入れ直す。その間ずっと天人は涙目で小さくなっている。
「はい、皆ゴメンね?ちょっとした手違いがあって……改めまして、ゲストさんでーす」
「あ……初めまして、比那名居天子と申します。えっと、パチュリーさんとは以前もお会いしましたね」
「ええ、そうね。尤も私の記憶の中の貴女は、そんなに大人しくなかったと思うけど?」
「ああああああああ!!あ、あれは違うんです!魔が差したというか何と言うか!あああああああ!穴があったら入りたい!そしてその上から土を被せられて埋もれ死ねばいいんだ、あの時の私なんて!あはははははは!」
いきなり笑い出すと、虚ろな目でガンガンと頭を机に叩きつけ始める。
ちょ!?何、私が悪いの?き、聞いちゃいけないことだったのかしら?兎に角止めないと!だけどどうすればいいの、これっ!?
「さてと、最初のコーナーです」
「スルーかよっ!?」
すると、フランは先程までの表情を更に歪めて、睨んで来る。
いや、だってこれはスルーしちゃ駄目でしょう?ほら、段々頭のスピードが上がってるせいで、ガガガガガガッてしか聞こえないし!本当に大丈夫かしらこの子……ふと目があう。何でかしら、嬉しそうな表情をしてる気がする……きのせいよね、うん。
「だって、番組進めないと時間が無くなっちゃうんだよ。ほら、もう半分くらい使ってるし」
「そうですよ、パチュリーさん!早く進めないと、リスナーさんに失礼です!」
「復活してる!?そしてお前が言うなっ!」
いつの間にか冷静になっていた天人を、百科事典で思い切り殴る。ゴンと鈍い音が響き、叩かれた相手は頭を抑えて呻いている。勿論、殴った場所は角だ。
「えーと、もういいかな?じゃ、最初のコーナー。教えて、パチュリー先生!このコーナーはね、リスナーさんの疑問にパチュリーが答えていくコーナーだよ。質問は日常の些細な疑問から哲学的問題でも何でもよし」
「成る程、確かにパチュリーさんにぴったりのコーナーですね!」
「まぁ、このラジオにしてはまともなコーナーね。で、最初の質問は?」
するとフランはどこにしまっていたのか、巨大な箱を出すとその中に手を入れ、ガサガサと中を探る。ああ、最初から決まってるんじゃなくて、番組中にランダムで決めるのか。まぁ、そっちの方が面白いって言えば面白い。
「よし、これ!フラパチェーム、KYのサタデーナイトフィーバーさんから頂きました。ありがとうございます。『私の知り合いの方が、数ヶ月前から人が変わったようになりました。それまではわがままで傍若無人だったのが、今ではオドオドして敬語で話されるようになりました。ぶっちゃけ気持ち悪……何かあったのかと心配です。どうすればよろしいでしょうか?』だって」
「フラパチェームって何っ!?……私の目の前にも、同じ現象の起こってる奴がいるわね。貴女はどうしてそうなったの?」
「ええ?い、言いたくないんですけど……昔の私って、客観的に見て物凄く痛かったじゃないですか。ある日突然、急に恥ずかしくなって」
ああ何だ、自覚はあったのか。いや、自覚したと言った方が良いのか。どちらにせよ、その反動で大人しい性格になったという所か。まぁ、それだけでこんなにすんなり変われるとは思わないから、元々無理してたのかも知れないわね。
「だ、そうよ?KYのサタデーナイトフィーバーさん。その子も今までの自分の行いを恥じているだけだと思うわ。だから、今まで通りに接してあげなさい」
「じゃ、二通目のお便り。て言っても、この二通しか来てないんだけどね。えーとフラパチェーム、伊吹萃香さんから頂きました。ありがとうございます。『そっちに天子が行ってるだろう?何か欲しい物がないか聞いといてくれ。短い付き合いでもないし、色々世話にもなってる……それに好きな奴にはプレゼントの一つでもしたいからね』」
「ふぇ!?べ、別にそんな気を使って貰わなくても、ほ、欲しいものなんてありませんし……わ、私は萃香が居てくれるだけで良いですよ?」
呟くようにそう言うと、顔を真っ赤に染めて俯く。何この子、可愛い……そんなことを考えていると、フランが手紙をぐしゃりと潰し天子に向かって、ポイと放り投げる。
「はいはい、ラブラブでよかったねぇ~。あっと、時間が来てしまいました。本日のフラパチェラジオはこれで終了となります。それでは皆さん、またお会いできる事を楽しみにしています。提供は小悪魔ステーションでした」
☆
「天子さんも天子さんだけど、相手の人も分かってるのかな?この放送が幻想郷の全域で放送されてるって事……ま、私には関係ないからいいか」
さて、次の放送の台本作らなきゃ。ああ、コーナーも増やさなきゃいけないし、ゲストも見つけてこなきゃな。
気まぐれだったけど、生放送にして良かったかも。これで、編集もだったら死んじゃうもん。
こうして小悪魔の夜は更けていく。
「……またやるのね、これ。パチュリー・ノーレッジよ」
ふぅと溜息を吐いて、目の前に座るフランを見つめる。前回同様、楽しそうな笑顔で、カチャカチャと機材を弄っている。前も思ったんだけど、これどこから持って来て、いつの間に準備してるのかしら?
「そうみたいだねぇ~、私も驚いたよ」
「あら、貴女が決めたんじゃないの?」
フランは暫く何かを思い出すように、視線を空中に泳がせるとフルフルと首を振った。
「何かリクエストがあったんだって」
「……物好きも居たものね」
「あ、それと今日から生放送だってさ。編集できないから、発言には気をつけてね?前回みたいになったらフォローできないよ?」
「何か私が悪いみたいになってる!?問題発言してたのはフランの方でしょう!?」
ケラケラと声を立てて笑うフランに思わず頭を抱える。て言うか、本当に生放送で大丈夫なの?言っとくけど、私フォローとか無理よ?……何でかって?引きこもり舐めんな!そんな気が回せたら、宴会とかもっと楽しんでるわ!
「今日もそんなこんなで始まったわけだけど、実は今日はゲストを呼んでるんだよー」
その言葉にパチパチと瞬きをする。ゲスト?これも私聞いてないんだけど?どういう事?ラジオって、こんなにパーソナリティが知らない事があっていいものだっけ?
そんな私の考えを見透かしたように、にんまりとした笑みを浮かべた吸血鬼の顔が私を見ていた。どうしよう、凄いムカつく。今すぐ本の角であの頭叩きたい……こんな所に百科辞典があった。
「ねぇフラン、いい子だからちょっと私に近づいてくれる?」
「あはは、パチュリーのやりたいことが痛いほど解るから遠慮するよー……それよりもゲスト呼ばないとね。どうぞ、入って来てください」
むぅ、そんなに顔に出てたかしら?これでもポーカーフェイスが売りだったのだけれど。まぁ、確かにゲストをいつまでも待たすのも悪いわね、番組も進行しないし……言っておくけど、前回の放送が意外と楽しかったから、やる気になってるわけじゃないわよ?
「あははは、下界の愚民共!悦びなさい、この私が来てあげたわよ!さぁ、跪いてぇぇぇぇぇぇぇ!?」
台詞の途中でフランの見事なドロップキックを食らって、再び廊下に吹っ飛ばされる馬鹿天人がいた。アレが今日のゲストか、それにしても見事に吹っ飛んだなぁ、なんて考えているとフランが素早くマイクを切って、吹っ飛ばした相手に駆け寄る。
「ねぇ、アンタ何考えてるの?これ生放送なんだけど?」
「え?い、いや、だって……」
「だって?だって何?」
「ふ、フランさんがあの登場しろって言ったんじゃないですか!私の性格だと威厳が無いからって……」
廊下から聞こえて来る会話に眉を顰める。ん?どういう事?またフランが何かやったのかしら?にしてもあの天人、何か妙にしおらしい気がするんだけど……
話が終わったのか、不機嫌そうな表情のフランに続いて、天人も入って来る。若干涙目で。
フランは席に着くと、横目で天人を睨むとマイクのスイッチを入れ直す。その間ずっと天人は涙目で小さくなっている。
「はい、皆ゴメンね?ちょっとした手違いがあって……改めまして、ゲストさんでーす」
「あ……初めまして、比那名居天子と申します。えっと、パチュリーさんとは以前もお会いしましたね」
「ええ、そうね。尤も私の記憶の中の貴女は、そんなに大人しくなかったと思うけど?」
「ああああああああ!!あ、あれは違うんです!魔が差したというか何と言うか!あああああああ!穴があったら入りたい!そしてその上から土を被せられて埋もれ死ねばいいんだ、あの時の私なんて!あはははははは!」
いきなり笑い出すと、虚ろな目でガンガンと頭を机に叩きつけ始める。
ちょ!?何、私が悪いの?き、聞いちゃいけないことだったのかしら?兎に角止めないと!だけどどうすればいいの、これっ!?
「さてと、最初のコーナーです」
「スルーかよっ!?」
すると、フランは先程までの表情を更に歪めて、睨んで来る。
いや、だってこれはスルーしちゃ駄目でしょう?ほら、段々頭のスピードが上がってるせいで、ガガガガガガッてしか聞こえないし!本当に大丈夫かしらこの子……ふと目があう。何でかしら、嬉しそうな表情をしてる気がする……きのせいよね、うん。
「だって、番組進めないと時間が無くなっちゃうんだよ。ほら、もう半分くらい使ってるし」
「そうですよ、パチュリーさん!早く進めないと、リスナーさんに失礼です!」
「復活してる!?そしてお前が言うなっ!」
いつの間にか冷静になっていた天人を、百科事典で思い切り殴る。ゴンと鈍い音が響き、叩かれた相手は頭を抑えて呻いている。勿論、殴った場所は角だ。
「えーと、もういいかな?じゃ、最初のコーナー。教えて、パチュリー先生!このコーナーはね、リスナーさんの疑問にパチュリーが答えていくコーナーだよ。質問は日常の些細な疑問から哲学的問題でも何でもよし」
「成る程、確かにパチュリーさんにぴったりのコーナーですね!」
「まぁ、このラジオにしてはまともなコーナーね。で、最初の質問は?」
するとフランはどこにしまっていたのか、巨大な箱を出すとその中に手を入れ、ガサガサと中を探る。ああ、最初から決まってるんじゃなくて、番組中にランダムで決めるのか。まぁ、そっちの方が面白いって言えば面白い。
「よし、これ!フラパチェーム、KYのサタデーナイトフィーバーさんから頂きました。ありがとうございます。『私の知り合いの方が、数ヶ月前から人が変わったようになりました。それまではわがままで傍若無人だったのが、今ではオドオドして敬語で話されるようになりました。ぶっちゃけ気持ち悪……何かあったのかと心配です。どうすればよろしいでしょうか?』だって」
「フラパチェームって何っ!?……私の目の前にも、同じ現象の起こってる奴がいるわね。貴女はどうしてそうなったの?」
「ええ?い、言いたくないんですけど……昔の私って、客観的に見て物凄く痛かったじゃないですか。ある日突然、急に恥ずかしくなって」
ああ何だ、自覚はあったのか。いや、自覚したと言った方が良いのか。どちらにせよ、その反動で大人しい性格になったという所か。まぁ、それだけでこんなにすんなり変われるとは思わないから、元々無理してたのかも知れないわね。
「だ、そうよ?KYのサタデーナイトフィーバーさん。その子も今までの自分の行いを恥じているだけだと思うわ。だから、今まで通りに接してあげなさい」
「じゃ、二通目のお便り。て言っても、この二通しか来てないんだけどね。えーとフラパチェーム、伊吹萃香さんから頂きました。ありがとうございます。『そっちに天子が行ってるだろう?何か欲しい物がないか聞いといてくれ。短い付き合いでもないし、色々世話にもなってる……それに好きな奴にはプレゼントの一つでもしたいからね』」
「ふぇ!?べ、別にそんな気を使って貰わなくても、ほ、欲しいものなんてありませんし……わ、私は萃香が居てくれるだけで良いですよ?」
呟くようにそう言うと、顔を真っ赤に染めて俯く。何この子、可愛い……そんなことを考えていると、フランが手紙をぐしゃりと潰し天子に向かって、ポイと放り投げる。
「はいはい、ラブラブでよかったねぇ~。あっと、時間が来てしまいました。本日のフラパチェラジオはこれで終了となります。それでは皆さん、またお会いできる事を楽しみにしています。提供は小悪魔ステーションでした」
☆
「天子さんも天子さんだけど、相手の人も分かってるのかな?この放送が幻想郷の全域で放送されてるって事……ま、私には関係ないからいいか」
さて、次の放送の台本作らなきゃ。ああ、コーナーも増やさなきゃいけないし、ゲストも見つけてこなきゃな。
気まぐれだったけど、生放送にして良かったかも。これで、編集もだったら死んじゃうもん。
こうして小悪魔の夜は更けていく。
魔女繋がりで、魔理沙、アリス、白蓮辺りの誰かがゲストにきたら何か魔法トークするのか気になりますw
ゲストには紅魔館繋がりで咲夜さん、美鈴。あと魔法使い繋がりで魔理沙、アリス、白蓮。
会話が巧みそうな文、面白い発言してくれそうな早苗さんなどゲスト希望。
まぁ嫌いじゃない、嫌いじゃないんだけど……とりあえず過去2年分くらい見たほうがいいんじゃないでしょうかね
ネタ被りほどつまらないものはないし