「皆さん、こんにちわ。パチェフララジオの時間です。パーソナリティーは私、フランドール・スカーレットと……」
「……パチュリー・ノーレッジよ」
私は一体何をしてるんだろう?目の前に置いてある卓上マイクに視線を向けると、小さく溜息を吐く。向かい側に座っているフランが、「暗いよ、パチュリー」なんて言ってるけど、スルーする。
うん、少し今の状況を整理してみましょう。ここは大図書館、いつも通り朝起きて入ったら見慣れない機械類と、満面の笑顔を浮かべてるフランが居て、意味の分からないまま椅子に座らされている、と……え?何も分からないって?それはそうでしょうね、だって当事者の私ですら理解できてないんだもの。
「もー、パチュリーったら。ゴメンね、皆。パチュリーはちょっと緊張してるみたいなんだ。まぁ、元々友達のいない子だからしょうがないんだけどね」
フランは先程の私のスルーも特に気にしていないように、マイクに向かって話しかけている。まぁ、変に癇癪起こされるよりはマシか……って言うか、今物凄い酷い事言われた!?私にだって友達くらいいるわよ!レミィとか、レミィとか、レミィとか……
「ほらほらパチュリー、もっと喋んないと。緊張するのも分かるけど、上手くすればリスナーさんから友達になってくれる人が出て来るかもよ?」
フランの言葉に、トリップしかけてた思考を引きずり戻す。もしかしてフラン、私のためにこんな事を始めてくれたのかしら……べ、別に友達なんて読書の邪魔になるだけだし、特に欲しいとも思わないけど、折角のフランの好意なんだから、素直に受け取った方が良いわよね。
マイクを一睨みする。大丈夫、私はパチュリー・ノーレッジ、七曜の魔女……いくら人付き合いが苦手だからって、姿の見えない不特定多数の相手に話しかけるのなんて簡単だ。
「えっと、皆悪かったわね。少し考え事をしていたわ、改めまして……パチュリー・ノーレッジよ」
「おお、パチュリーやる気になったねぇ。よーし、頑張って友達作ろう!まずは0人が目標だー!」
「どういうことよ!?」
ニヤリと口の端を吊り上げて、拳を上に突き上げたフランに思わず突っ込む。何で私の交友関係、マイナスになってるの!?いや、そもそもマイナスってどうすればなるの!?
そんな私の心情を知ってか知らずか、フランは小さく小首を傾げて私を見つめて来る。何その私が間違ってるみたいな表情!?
フランはそのままキョロキョロと辺りを見渡すと、ポリポリと頭を掻いて小さく苦笑いを浮かべると、ゆっくりと口を開いた。
「だってパチュリーの知り合いに、なんだかよく分からないうーうー言ってるのがいるじゃん。あれ、マイナス100は固いよ?」
今度は私がフランの言葉に小首を傾げる。なんだかよく分からないうーうー言ってるのって、何のことかしら?私の知り合いに、そんな変なのいなかったと思うけど……うん、無意識のうちに選択肢から外しちゃってたけど、よく思い返してみれば、心当たりが一人いたわ。
けどまさかね、フランが彼女のことを悪く言うはずないもの。何であの子の名前が浮かんだのかしら?後で謝らないといけないわね。
「自称パチュリーの親友だっけ?」
「ソレ、貴女のお姉さんでしょ!?」
しまった、思わずソレって言っちゃった。ゴメンねレミィ、今のは不可抗力なの。別に貴女のことを、なんかよく分からないうーうー言う物体だと思ってるわけじゃないから!本当にそんなこと思ってないから!
「え?私は一人っ子だよ?変なこと言わないでよ、パチュリー」
心の中でレミィに対して100回ほど土下座をしていると、本当に嫌そうな表情でフランが私を睨んで来た。
え?何、どういう事?レミィ、ここまでフランに嫌われてたの?いや、400年も監禁されてたんだから、そりゃ多少のしこりはあるだろうけど、でもそれはフランを守るために、レミィが考えた苦渋の策。その事はフランだって、気付いてるはず……それともそれは私の勝手な思い込みで、本当はずっとレミィのことを怨んでたって言うの?
「そう、私にお姉ちゃんなんていない。私の楽しみにしてたプリンを勝手に食べちゃった奴なんかお姉ちゃんじゃない!」
物凄くどうでもいい理由だ!子供じゃないんだから、プリンの一つや二つ別に良いじゃない。確かに咲夜の作ったプリンは美味しいし、勝手に食べられたら私だってイラつくけど、流石に絶交しようとまではしないわよ。
大体そのプリンのお詫びとして、次の日のおやつのケーキはフランが二個食べたんじゃなかったっけ?私も食べたかったなぁ……
私の考えに気付いたのか、フランは更に顔を歪めると机の下で足をバタつかせる。その次の瞬間、物凄い衝撃が私の足を襲う。痛い!?何?何があったの!?
「確かにパチュリーの思ってる通り、それだけじゃこんなに怒らないよ。ケーキも貰ったしね。でも問題はその後……お姉さま、いやアイツはおやつを食べ終わった後、私たちが出て行くのをジッと待って……」
そこまで言うと、フランが急に泣き出しそうな表情を浮かべる。ど、どうしたのかしら?だけどそう言われてみれば確かに、あの時一番遅くまで部屋に残ってたのって、レミィだったっけ。何をしたのかしら、あの子……
「私の使ったフォークを、何回も何回も数え切れないくらい……嘗め回してたんだよ!」
「変態だ!!」
レミィ、多少のことだったらフォローもできたけど、流石にそれは無理よ!そもそも何でそんな事したのよ?散々格好つけてフランを頼むとか言っといて、やる事がそれかよ!私も付き合いを考え直すレベルよ!?
てか、そんなにフランのことが好きなら、せめて部屋に持って帰ってからやれよ。まだ見つかる可能性、低かったはずでしょ?いや、部屋でやるならいいとは言わないけど!
一通りの突込みを終えてフランに視線を移すと、グスグスと大泣きしながら目を擦っている。当然ショックよね、実の姉のそんな行動見たら……だが、ここでふと違和感に気付く。いや、違和感というかフランが何か言ってるみたいね。
「……アイツじゃなくて、パチュリーだったらよかったのに……」
「ちょっと待て!!」
何を爆弾発言をしてるのかしら、この子は!?そりゃ、フランは可愛いし好きか嫌いかで言ったら、好きだけど……って違う!そう、可愛いっていうのは、妹みたいな可愛さで、好きって言うのも友達として好きって意味よ。私はノーマル、ノーマルのはずよ。
その瞬間、けたたましい機械音が、机の上に置かれた機械から発せられる。何この音?あまりの五月蝿さに耳を塞いで、フランに視線を向けるとさっきまでの涙はどこに行ったのか、始めと同じような笑顔を浮かべながら、機械を止めてマイクを口元に寄せている。
「楽しい時間はあっという間に過ぎていくものです。今日の放送はこれで終了となります。もしこのラジオを気に入ってくださったら、お手紙をくださると嬉しいです。ではでは、お身体にお気をつけ下さい。フラパチェラジオ、提供は小悪魔ステーションでした」
☆
カチャリとインカムを外して、ふぅと溜息を吐く。いやいや、あんなに大声を上げるパチュリー様、久しぶりに見ましたよ。今日はお体の具合が良さそうでしたけど、当たってって良かったです。私の目もまだまだ捨てたものじゃありませんね。
「尤も、何十年と使えているご主人様の体調が分からなければ、使い魔失格ですけどね」
今頃パチュリー様はカンカンだろうなぁ……お説教の後で、お仕置き確定かなぁ。ま、私Mだから別に平気ですけどね。それよりも、編集の方が大変だな。何しろカットしなきゃいけない部分が多い。最後のお嬢様の変態エピソードは削んなきゃダメだよね。個人的には使いたいんだけどな。
こうして小悪魔の夜は更けていく。
「……パチュリー・ノーレッジよ」
私は一体何をしてるんだろう?目の前に置いてある卓上マイクに視線を向けると、小さく溜息を吐く。向かい側に座っているフランが、「暗いよ、パチュリー」なんて言ってるけど、スルーする。
うん、少し今の状況を整理してみましょう。ここは大図書館、いつも通り朝起きて入ったら見慣れない機械類と、満面の笑顔を浮かべてるフランが居て、意味の分からないまま椅子に座らされている、と……え?何も分からないって?それはそうでしょうね、だって当事者の私ですら理解できてないんだもの。
「もー、パチュリーったら。ゴメンね、皆。パチュリーはちょっと緊張してるみたいなんだ。まぁ、元々友達のいない子だからしょうがないんだけどね」
フランは先程の私のスルーも特に気にしていないように、マイクに向かって話しかけている。まぁ、変に癇癪起こされるよりはマシか……って言うか、今物凄い酷い事言われた!?私にだって友達くらいいるわよ!レミィとか、レミィとか、レミィとか……
「ほらほらパチュリー、もっと喋んないと。緊張するのも分かるけど、上手くすればリスナーさんから友達になってくれる人が出て来るかもよ?」
フランの言葉に、トリップしかけてた思考を引きずり戻す。もしかしてフラン、私のためにこんな事を始めてくれたのかしら……べ、別に友達なんて読書の邪魔になるだけだし、特に欲しいとも思わないけど、折角のフランの好意なんだから、素直に受け取った方が良いわよね。
マイクを一睨みする。大丈夫、私はパチュリー・ノーレッジ、七曜の魔女……いくら人付き合いが苦手だからって、姿の見えない不特定多数の相手に話しかけるのなんて簡単だ。
「えっと、皆悪かったわね。少し考え事をしていたわ、改めまして……パチュリー・ノーレッジよ」
「おお、パチュリーやる気になったねぇ。よーし、頑張って友達作ろう!まずは0人が目標だー!」
「どういうことよ!?」
ニヤリと口の端を吊り上げて、拳を上に突き上げたフランに思わず突っ込む。何で私の交友関係、マイナスになってるの!?いや、そもそもマイナスってどうすればなるの!?
そんな私の心情を知ってか知らずか、フランは小さく小首を傾げて私を見つめて来る。何その私が間違ってるみたいな表情!?
フランはそのままキョロキョロと辺りを見渡すと、ポリポリと頭を掻いて小さく苦笑いを浮かべると、ゆっくりと口を開いた。
「だってパチュリーの知り合いに、なんだかよく分からないうーうー言ってるのがいるじゃん。あれ、マイナス100は固いよ?」
今度は私がフランの言葉に小首を傾げる。なんだかよく分からないうーうー言ってるのって、何のことかしら?私の知り合いに、そんな変なのいなかったと思うけど……うん、無意識のうちに選択肢から外しちゃってたけど、よく思い返してみれば、心当たりが一人いたわ。
けどまさかね、フランが彼女のことを悪く言うはずないもの。何であの子の名前が浮かんだのかしら?後で謝らないといけないわね。
「自称パチュリーの親友だっけ?」
「ソレ、貴女のお姉さんでしょ!?」
しまった、思わずソレって言っちゃった。ゴメンねレミィ、今のは不可抗力なの。別に貴女のことを、なんかよく分からないうーうー言う物体だと思ってるわけじゃないから!本当にそんなこと思ってないから!
「え?私は一人っ子だよ?変なこと言わないでよ、パチュリー」
心の中でレミィに対して100回ほど土下座をしていると、本当に嫌そうな表情でフランが私を睨んで来た。
え?何、どういう事?レミィ、ここまでフランに嫌われてたの?いや、400年も監禁されてたんだから、そりゃ多少のしこりはあるだろうけど、でもそれはフランを守るために、レミィが考えた苦渋の策。その事はフランだって、気付いてるはず……それともそれは私の勝手な思い込みで、本当はずっとレミィのことを怨んでたって言うの?
「そう、私にお姉ちゃんなんていない。私の楽しみにしてたプリンを勝手に食べちゃった奴なんかお姉ちゃんじゃない!」
物凄くどうでもいい理由だ!子供じゃないんだから、プリンの一つや二つ別に良いじゃない。確かに咲夜の作ったプリンは美味しいし、勝手に食べられたら私だってイラつくけど、流石に絶交しようとまではしないわよ。
大体そのプリンのお詫びとして、次の日のおやつのケーキはフランが二個食べたんじゃなかったっけ?私も食べたかったなぁ……
私の考えに気付いたのか、フランは更に顔を歪めると机の下で足をバタつかせる。その次の瞬間、物凄い衝撃が私の足を襲う。痛い!?何?何があったの!?
「確かにパチュリーの思ってる通り、それだけじゃこんなに怒らないよ。ケーキも貰ったしね。でも問題はその後……お姉さま、いやアイツはおやつを食べ終わった後、私たちが出て行くのをジッと待って……」
そこまで言うと、フランが急に泣き出しそうな表情を浮かべる。ど、どうしたのかしら?だけどそう言われてみれば確かに、あの時一番遅くまで部屋に残ってたのって、レミィだったっけ。何をしたのかしら、あの子……
「私の使ったフォークを、何回も何回も数え切れないくらい……嘗め回してたんだよ!」
「変態だ!!」
レミィ、多少のことだったらフォローもできたけど、流石にそれは無理よ!そもそも何でそんな事したのよ?散々格好つけてフランを頼むとか言っといて、やる事がそれかよ!私も付き合いを考え直すレベルよ!?
てか、そんなにフランのことが好きなら、せめて部屋に持って帰ってからやれよ。まだ見つかる可能性、低かったはずでしょ?いや、部屋でやるならいいとは言わないけど!
一通りの突込みを終えてフランに視線を移すと、グスグスと大泣きしながら目を擦っている。当然ショックよね、実の姉のそんな行動見たら……だが、ここでふと違和感に気付く。いや、違和感というかフランが何か言ってるみたいね。
「……アイツじゃなくて、パチュリーだったらよかったのに……」
「ちょっと待て!!」
何を爆弾発言をしてるのかしら、この子は!?そりゃ、フランは可愛いし好きか嫌いかで言ったら、好きだけど……って違う!そう、可愛いっていうのは、妹みたいな可愛さで、好きって言うのも友達として好きって意味よ。私はノーマル、ノーマルのはずよ。
その瞬間、けたたましい機械音が、机の上に置かれた機械から発せられる。何この音?あまりの五月蝿さに耳を塞いで、フランに視線を向けるとさっきまでの涙はどこに行ったのか、始めと同じような笑顔を浮かべながら、機械を止めてマイクを口元に寄せている。
「楽しい時間はあっという間に過ぎていくものです。今日の放送はこれで終了となります。もしこのラジオを気に入ってくださったら、お手紙をくださると嬉しいです。ではでは、お身体にお気をつけ下さい。フラパチェラジオ、提供は小悪魔ステーションでした」
☆
カチャリとインカムを外して、ふぅと溜息を吐く。いやいや、あんなに大声を上げるパチュリー様、久しぶりに見ましたよ。今日はお体の具合が良さそうでしたけど、当たってって良かったです。私の目もまだまだ捨てたものじゃありませんね。
「尤も、何十年と使えているご主人様の体調が分からなければ、使い魔失格ですけどね」
今頃パチュリー様はカンカンだろうなぁ……お説教の後で、お仕置き確定かなぁ。ま、私Mだから別に平気ですけどね。それよりも、編集の方が大変だな。何しろカットしなきゃいけない部分が多い。最後のお嬢様の変態エピソードは削んなきゃダメだよね。個人的には使いたいんだけどな。
こうして小悪魔の夜は更けていく。
ただ特定キャラの扱いが悪いと顰蹙を買いやすいんじゃないかと思う。
お嬢様がフォーク舐めまわしてたのはケーキに対する未練とちゃうのw
フランとパチェの組み合わせでパチェ突っ込みとは珍しいw
シリーズ化してくれると嬉しい