「おはよう小悪魔。今日もいいお尻ね」
「何ですかその挨拶!?」
「何って朝の挨拶じゃない。どこかおかしな所でも・・・」
「どこの世界にお尻をほめる挨拶があるんですか!」
セクハラですよ!と朝から脳内がピンク色の主を怒鳴りつける小悪魔。
それに得心した、というような顔で色ボケ魔女が口を開く。
「ああ、なるほど。お尻じゃなくて腰を褒めてほしかったのね」
「何その着眼点!?」
全く見当違いの答えを出した主──パチュリー・ノーレッジに小悪魔は『この人の頭の中はどうなっているのだろう』と、心の中で深いため息をついた。
「小悪魔。この幻想郷では常識に囚われてはいけないのよ」
なにやら聞き覚えのある台詞で小悪魔を諭すパチュリー。小悪魔は頭の中に『フルーツ(笑)』という単語が浮かんだが、気にしないことにした。
因みにその台詞を山の上にある神社の巫女さんの前で言うと『も、もう忘れてください!』と真っ赤な顔で☆を飛ばしてくる。可愛いなぁもう。
「大体、どうしてそんなエッチなことばかり言うんですか!他にあるでしょう!?『今日もお仕事頑張ってね』みたいな!」
「そんなことよりあなたのお尻を触らせてくれない?」
どうやらこの魔女は会話のキャッチボールをする気はないらしい。指をワキワキと動かしながら小悪魔に問う。
「触らせるわけないじゃないですか!もう行きますからね私!」
プンプン、といった感じで図書館の奥へ引っ込んでいく小悪魔。それを見送ってからパチュリーはぼそり、と呟いた。
「どうして怒ってるのかしら・・・?」
そんな愉快な一幕の後、小悪魔は本の整理、それと図書館の清掃に勤しんでいた。手に持ったはたきをバタバタと乱暴に振ってほこりを払っていく。どうやらまだご立腹のようである。
「まったくもう!どーしてああ、パチュリー様はエッチなんでしょう!」
えっちなのはいけないと思います、とどこかのメイドさんのような発言をする小悪魔。余談だが同じくメイドであるショーシャさん(プライバシー保護のため、偽名です)はエッチで何が悪い!という非常にダメな考えの持ち主であり、ミスズさん(プライバシー保護(ry)にしょっちゅうセクハラしている。大変だなミスズさん。でも一体誰なんだろうか?
ふと、小悪魔のはたきを振る腕が止まる。そして小悪魔は何か考えるようにうーん、と唸った。
パチュリーは何故あんな事を言ってくるのか?今でこそあんな風だが、少し前までは小悪魔とパチュリーは会話を交わす事がほとんど無かった。パチュリーは黙々と本を読み続け、小悪魔はパチュリーの読み終わった本をもとあった場所へ戻す。ただそれだけ。
しかし、小悪魔はそれでも満足していた。力の弱い、一生召喚される事のなさそうな低級悪魔の自分を呼び出してくれた。その後も自分を追い出す事もせず、しかも使い魔として契約までしてくれた。そんなパチュリーに、小悪魔はとても感謝していた。だから、ただパチュリーのために働いた。何の見返りが無くても構わなかった。ただ愛する主人のためにと、小悪魔はパチュリーに尽くしてきた。
それが変化したのは、紅霧異変の直後あたりだ。異変解決のために襲撃してきた巫女からパチュリーを守れなかった。それに気を病んだ小悪魔はパチュリーに契約解除を申し出た。やっぱり自分は役立たずなのだと。肝心な時に主人を守る事も出来ない能無しだから。貴女に迷惑をかけたくない、負担になりたくないから、と大粒の涙を流しながらパチュリーに告げた。
そんな小悪魔にパチュリーは、少し考えさせて頂戴とだけ告げ、図書館から出て行った。その時のパチュリーの表情はいつもと変わらないものだった。
その表情を見て小悪魔は思った。自分はパチュリーにとって取るに足らない存在だったのだな、と。きっと契約解除の申し出は受け入れられるだろう。そう確信していた小悪魔は、ただパチュリーが戻ってくるのを待っていた。
しかしその後、図書館に戻ってきたパチュリーの口から出たのは契約続行の旨だった。
その言葉を聞いた時、小悪魔は頭の中が真っ白になった。どうして、と震える声でパチュリーに問うた。どうして自分みたいな奴を傍に置いておくのか、と。
その問いにパチュリーは、理由が必要なの?と逆に問いかけてきた。
役立たずなのに?と言えば、本の整理をしてくれてるから、役に立ってないわけじゃないわ、と言った。
貴女を守ることも出来ない能無しですよ?と言えば、別にその為に呼んだわけじゃないわ、と言った。
それでもなお何か言おうとした小悪魔の口を、パチュリーは自らの唇で塞いだ。そして口を離してから、強いて言うなら、と前置きしてこう言葉を紡いだ。
「あなたと一緒にいたいから」
それじゃ駄目かしら?と言ってから、再度パチュリーは小悪魔にキスをした。それに顔を真っ赤にした小悪魔は最後にもう一度だけ問うた。本当に私は貴女の傍にいていいのか、と。
パチュリーはその問いに、三度目のキスで答えた。そして小悪魔は大声で泣いた。パチュリーの胸に顔を押し付けて、子供のようにわんわんと。
嬉しかった。こんな自分を必要としてくれた人がいた事が。この人に出会えてよかった、と心からそう思った。
そうして、小悪魔はパチュリーの使い魔として仕え続けることとなった。
唐突にリンリン、というベルの音が耳に入り、我に返る小悪魔。パチュリーが小悪魔を呼ぶ時の合図だ。小悪魔はパチュリーの元へ向かう。とても大切な、敬愛する主人の元へ──。
「小悪魔、この本を持ってきて欲しいのだけど」
と、やって来た小悪魔に小さなメモ紙を渡すパチュリー。どれどれ、と小悪魔がメモに目を通す。書かれた内容は、
1冊目、『(*´ω`*)の流行らせ方』。残念だが流行りませんし、流行らせません。
2冊目、『触手召喚の書』。一体何のために召喚するのか。
3冊目、『ぱちゅこあ合同誌』。誰が書いたのか?というか何故こんな本がここにあるのか?
4冊目、『正しい使い魔の襲い方。その四十八手』。小悪魔はキレた。
「パチュリー様!どーしてこんなエッチな本ばかり私に持ってこさせようとするんですか!」
メモ用紙をパチュリーにつき返しながら、小悪魔が怒鳴りつける。パチュリーは首を傾げながら、口を開いた。
「何言ってるの?1冊目は普通の本じゃない?」
「た、確かにそうですけど・・・他の本は全部いかがわしいじゃないですか!」
1冊目の本はよく分からないが残り3冊の本がどのようなものか想像がつく。そのことを小悪魔は問い詰めた。
「まず2冊目の本について聞きます!何のためにこの本を読むんですか!?」
「それは興味本位よ。ホントに召喚する訳ないじゃない。あなたに触れていいのは私だけだし」
「うっ・・・つ、次は3冊目です!何のために・・・っていうか何でこんな本があるんですか!?」
「何のためと言われると、私と貴女がちゅっちゅしてる話が読みたくなったからよ。因みにその本はこの前メ○ンブックスで買ったの」
「あるんですかメロ○ブックス!?」
「冗談よ。ホントは山の巫女に貰ったの」
「何でそんなもの持ってるんでしょう、あの子・・・」
「さぁね・・・あと、ついでに『めーさく合同誌』も貰ったわ」
「・・・・・・その本、咲夜さんや美鈴さんに見せてないですよね・・・?」
「残念、貰ったその日に咲夜が持って行っちゃったわ」
「何で咲夜さんが・・・いやいいです。聞きたくないです・・・で、4冊目は?」
「貴女を襲うためよ」
「そうですか」
「そうよ」
小悪魔は泣いた。どうしてこうなった。さっきまでの感動を返して欲しい。せっかく回想でイイハナシダナーという風に演出していたのにぶち壊しである。そんな小悪魔の思いも露知らず、パチュリーは
「ところで小悪魔。お尻触らせて頂戴。イヤなら太ももでもいいわ」
などとのたまった。空気を読めないのかこの魔女は。
「ふと気がついたのですけど・・・パチュリー様って下半身ばかり触ろうとしてますよね・・・?」
「だって貴女、胸が小さいじゃない?私は貴女が貧乳でも構わないんだけど、あなたが気にするんじゃないかと思って避けてたんだけど・・・何?触って欲しいの?」
「変に気を使わないでくださいよ!逆に惨めですよソレ!?」
「まぁ私は基本、お尻のほうが好きだし。例え胸が大きくなったとしても私はそっちを触るわね」
「いきなり性癖暴露されても・・・反応に困るのですが・・・」
「なら、とりあえず私にお尻を触らせなさい。」
「何故!?」
「触りたいからよ」
もうヤダ、何この人。小悪魔は思った。何故こうも急に変わってしまったのか。あの頃のような関係に戻りたいわけじゃないけれど、ここまで態度が変わってしまうというのも困る。
「パチュリー様・・・何かあったんですか?どうしてここまで肉食系になってしまったんですか・・・?」
一体何が原因なのか。とりあえず聞いてみる小悪魔。
「何言ってるの?私は最初からこんな風だったわよ?」
はい?と間の抜けた声を出す小悪魔。それに構わずさらに言葉を続けるパチュリー。
「確かにあの頃はまだまだ私もウブだったから、貴女が本を直しに行く際にお尻を見るぐらいしかできなかったわ」
過去の過ちでも語るかのように、パチュリーが言葉を紡ぐ。一方、小悪魔はピシリ、と固まっている。
「でもあの出来事の後こう思ったの。もっと積極的に攻めないと、欲求不満になって、また契約を解除したいと言い出すのではないかって。だから私は、貴女に対する愛を行動で示そうと考えついたの」
「またぶっ飛んだ考え方ですね!?」
「よって、私は前となんら変わりないわ。強いて言うなら、ちょっと積極的になった恋する女の子よ」
「そういうの、自分で言っちゃったら駄目なような気がするんですが・・・」
「だって事実だもの」
げんなりしながら小悪魔はふと気づいた。パチュリーが言った事が全て本当ならば、今までの行動は全て自分を引きとめようとするものだ。方法はアレとしても。
そう思うと悪い気はしない。この人は今も変わらずに、自分の事を想ってくれているということだから。
「ま、というわけだから。小悪魔、観念してお尻を──」
「・・・いいですよ・・・パチュリー様」
だから、ほんの少しぐらい。その想いに答えてあげよう。
「触っても・・・いいですよ・・・」
顔を真っ赤にして小悪魔はそう告げると、それきり口をつぐんでしまった。緊張のためからか尻尾がピーン、と固まっている。
「そう・・・いいのね、小悪魔?」
パチュリーのその問いかけに、小悪魔は小さく首を上下させた。それを見たパチュリーは、小悪魔へと近づいていく。
そして小悪魔の目の前まで来ると、腰に手を回し──
「それじゃあ、ベッドに行きましょうか・・・」
などとこれまたぶっ飛んだ事を言うパチュリーさんであった。当然小悪魔は慌てふためく。そりゃそうだろう。小悪魔は尻を触らせるくらい、と思っていたのが突然ベッド発言。そりゃ驚かないほうがおかしい。
「ちょちょちょちょちょっと待ってください!どどどどうしてベッドに・・・!?」
「服を脱がなきゃ触れないじゃない?だから寝室に行った方が・・・何?もしかして誰か来るかもしれないスリルを味わいたいとか?」
「え!?何で脱ぐ事になってるんですか私!?服の上からでいいじゃないですか!?」
「イヤよ、私は貴女に直接触れたいの。ほらさっさと行くわよ」
あわてて小悪魔はパチュリーを突き飛ばそうとしたが、何故か体が動かなかった。いやほんの少しならば動くのだが、力があまり入らない。どうした事かとパチュリーを問い詰める。
「パ、パチュリー様・・・体に力が入らないのですが・・・!?」
「パラ○ズ使ったからね、少しの間は動けないでしょうね」
しれっ、と言い放つパチュリー。この魔女っ娘、どうやら白魔法が使えるらしい。イメージ的には黒魔法の方が得意そうな感じだが。
動揺する小悪魔をよそによいしょ、と小悪魔を抱き上げるパチュリー。このもやしっ子のどこにこんな力があるのか。きっとまた何か妙な魔法を使っているのだろう。
「いや、ちょっ、まだ午前中ですよ!?そんな明るい内からこんな事・・・!」
「悪魔のくせして何言ってるの。それじゃ寝室へゴー。」
そう言って、えっちらおっちらと寝室へ向かうパチュリー。ヘルプミー!と小悪魔は叫んだが、不運な事にその声を聞いた者は誰もいなかった。ご愁傷様、である。
その後、小悪魔とパチュリーが部屋から出たのは、翌日の夕方になってからだった。一体どんな行為をしたのか、知るのは当人達のみである。
「何ですかその挨拶!?」
「何って朝の挨拶じゃない。どこかおかしな所でも・・・」
「どこの世界にお尻をほめる挨拶があるんですか!」
セクハラですよ!と朝から脳内がピンク色の主を怒鳴りつける小悪魔。
それに得心した、というような顔で色ボケ魔女が口を開く。
「ああ、なるほど。お尻じゃなくて腰を褒めてほしかったのね」
「何その着眼点!?」
全く見当違いの答えを出した主──パチュリー・ノーレッジに小悪魔は『この人の頭の中はどうなっているのだろう』と、心の中で深いため息をついた。
「小悪魔。この幻想郷では常識に囚われてはいけないのよ」
なにやら聞き覚えのある台詞で小悪魔を諭すパチュリー。小悪魔は頭の中に『フルーツ(笑)』という単語が浮かんだが、気にしないことにした。
因みにその台詞を山の上にある神社の巫女さんの前で言うと『も、もう忘れてください!』と真っ赤な顔で☆を飛ばしてくる。可愛いなぁもう。
「大体、どうしてそんなエッチなことばかり言うんですか!他にあるでしょう!?『今日もお仕事頑張ってね』みたいな!」
「そんなことよりあなたのお尻を触らせてくれない?」
どうやらこの魔女は会話のキャッチボールをする気はないらしい。指をワキワキと動かしながら小悪魔に問う。
「触らせるわけないじゃないですか!もう行きますからね私!」
プンプン、といった感じで図書館の奥へ引っ込んでいく小悪魔。それを見送ってからパチュリーはぼそり、と呟いた。
「どうして怒ってるのかしら・・・?」
そんな愉快な一幕の後、小悪魔は本の整理、それと図書館の清掃に勤しんでいた。手に持ったはたきをバタバタと乱暴に振ってほこりを払っていく。どうやらまだご立腹のようである。
「まったくもう!どーしてああ、パチュリー様はエッチなんでしょう!」
えっちなのはいけないと思います、とどこかのメイドさんのような発言をする小悪魔。余談だが同じくメイドであるショーシャさん(プライバシー保護のため、偽名です)はエッチで何が悪い!という非常にダメな考えの持ち主であり、ミスズさん(プライバシー保護(ry)にしょっちゅうセクハラしている。大変だなミスズさん。でも一体誰なんだろうか?
ふと、小悪魔のはたきを振る腕が止まる。そして小悪魔は何か考えるようにうーん、と唸った。
パチュリーは何故あんな事を言ってくるのか?今でこそあんな風だが、少し前までは小悪魔とパチュリーは会話を交わす事がほとんど無かった。パチュリーは黙々と本を読み続け、小悪魔はパチュリーの読み終わった本をもとあった場所へ戻す。ただそれだけ。
しかし、小悪魔はそれでも満足していた。力の弱い、一生召喚される事のなさそうな低級悪魔の自分を呼び出してくれた。その後も自分を追い出す事もせず、しかも使い魔として契約までしてくれた。そんなパチュリーに、小悪魔はとても感謝していた。だから、ただパチュリーのために働いた。何の見返りが無くても構わなかった。ただ愛する主人のためにと、小悪魔はパチュリーに尽くしてきた。
それが変化したのは、紅霧異変の直後あたりだ。異変解決のために襲撃してきた巫女からパチュリーを守れなかった。それに気を病んだ小悪魔はパチュリーに契約解除を申し出た。やっぱり自分は役立たずなのだと。肝心な時に主人を守る事も出来ない能無しだから。貴女に迷惑をかけたくない、負担になりたくないから、と大粒の涙を流しながらパチュリーに告げた。
そんな小悪魔にパチュリーは、少し考えさせて頂戴とだけ告げ、図書館から出て行った。その時のパチュリーの表情はいつもと変わらないものだった。
その表情を見て小悪魔は思った。自分はパチュリーにとって取るに足らない存在だったのだな、と。きっと契約解除の申し出は受け入れられるだろう。そう確信していた小悪魔は、ただパチュリーが戻ってくるのを待っていた。
しかしその後、図書館に戻ってきたパチュリーの口から出たのは契約続行の旨だった。
その言葉を聞いた時、小悪魔は頭の中が真っ白になった。どうして、と震える声でパチュリーに問うた。どうして自分みたいな奴を傍に置いておくのか、と。
その問いにパチュリーは、理由が必要なの?と逆に問いかけてきた。
役立たずなのに?と言えば、本の整理をしてくれてるから、役に立ってないわけじゃないわ、と言った。
貴女を守ることも出来ない能無しですよ?と言えば、別にその為に呼んだわけじゃないわ、と言った。
それでもなお何か言おうとした小悪魔の口を、パチュリーは自らの唇で塞いだ。そして口を離してから、強いて言うなら、と前置きしてこう言葉を紡いだ。
「あなたと一緒にいたいから」
それじゃ駄目かしら?と言ってから、再度パチュリーは小悪魔にキスをした。それに顔を真っ赤にした小悪魔は最後にもう一度だけ問うた。本当に私は貴女の傍にいていいのか、と。
パチュリーはその問いに、三度目のキスで答えた。そして小悪魔は大声で泣いた。パチュリーの胸に顔を押し付けて、子供のようにわんわんと。
嬉しかった。こんな自分を必要としてくれた人がいた事が。この人に出会えてよかった、と心からそう思った。
そうして、小悪魔はパチュリーの使い魔として仕え続けることとなった。
唐突にリンリン、というベルの音が耳に入り、我に返る小悪魔。パチュリーが小悪魔を呼ぶ時の合図だ。小悪魔はパチュリーの元へ向かう。とても大切な、敬愛する主人の元へ──。
「小悪魔、この本を持ってきて欲しいのだけど」
と、やって来た小悪魔に小さなメモ紙を渡すパチュリー。どれどれ、と小悪魔がメモに目を通す。書かれた内容は、
1冊目、『(*´ω`*)の流行らせ方』。残念だが流行りませんし、流行らせません。
2冊目、『触手召喚の書』。一体何のために召喚するのか。
3冊目、『ぱちゅこあ合同誌』。誰が書いたのか?というか何故こんな本がここにあるのか?
4冊目、『正しい使い魔の襲い方。その四十八手』。小悪魔はキレた。
「パチュリー様!どーしてこんなエッチな本ばかり私に持ってこさせようとするんですか!」
メモ用紙をパチュリーにつき返しながら、小悪魔が怒鳴りつける。パチュリーは首を傾げながら、口を開いた。
「何言ってるの?1冊目は普通の本じゃない?」
「た、確かにそうですけど・・・他の本は全部いかがわしいじゃないですか!」
1冊目の本はよく分からないが残り3冊の本がどのようなものか想像がつく。そのことを小悪魔は問い詰めた。
「まず2冊目の本について聞きます!何のためにこの本を読むんですか!?」
「それは興味本位よ。ホントに召喚する訳ないじゃない。あなたに触れていいのは私だけだし」
「うっ・・・つ、次は3冊目です!何のために・・・っていうか何でこんな本があるんですか!?」
「何のためと言われると、私と貴女がちゅっちゅしてる話が読みたくなったからよ。因みにその本はこの前メ○ンブックスで買ったの」
「あるんですかメロ○ブックス!?」
「冗談よ。ホントは山の巫女に貰ったの」
「何でそんなもの持ってるんでしょう、あの子・・・」
「さぁね・・・あと、ついでに『めーさく合同誌』も貰ったわ」
「・・・・・・その本、咲夜さんや美鈴さんに見せてないですよね・・・?」
「残念、貰ったその日に咲夜が持って行っちゃったわ」
「何で咲夜さんが・・・いやいいです。聞きたくないです・・・で、4冊目は?」
「貴女を襲うためよ」
「そうですか」
「そうよ」
小悪魔は泣いた。どうしてこうなった。さっきまでの感動を返して欲しい。せっかく回想でイイハナシダナーという風に演出していたのにぶち壊しである。そんな小悪魔の思いも露知らず、パチュリーは
「ところで小悪魔。お尻触らせて頂戴。イヤなら太ももでもいいわ」
などとのたまった。空気を読めないのかこの魔女は。
「ふと気がついたのですけど・・・パチュリー様って下半身ばかり触ろうとしてますよね・・・?」
「だって貴女、胸が小さいじゃない?私は貴女が貧乳でも構わないんだけど、あなたが気にするんじゃないかと思って避けてたんだけど・・・何?触って欲しいの?」
「変に気を使わないでくださいよ!逆に惨めですよソレ!?」
「まぁ私は基本、お尻のほうが好きだし。例え胸が大きくなったとしても私はそっちを触るわね」
「いきなり性癖暴露されても・・・反応に困るのですが・・・」
「なら、とりあえず私にお尻を触らせなさい。」
「何故!?」
「触りたいからよ」
もうヤダ、何この人。小悪魔は思った。何故こうも急に変わってしまったのか。あの頃のような関係に戻りたいわけじゃないけれど、ここまで態度が変わってしまうというのも困る。
「パチュリー様・・・何かあったんですか?どうしてここまで肉食系になってしまったんですか・・・?」
一体何が原因なのか。とりあえず聞いてみる小悪魔。
「何言ってるの?私は最初からこんな風だったわよ?」
はい?と間の抜けた声を出す小悪魔。それに構わずさらに言葉を続けるパチュリー。
「確かにあの頃はまだまだ私もウブだったから、貴女が本を直しに行く際にお尻を見るぐらいしかできなかったわ」
過去の過ちでも語るかのように、パチュリーが言葉を紡ぐ。一方、小悪魔はピシリ、と固まっている。
「でもあの出来事の後こう思ったの。もっと積極的に攻めないと、欲求不満になって、また契約を解除したいと言い出すのではないかって。だから私は、貴女に対する愛を行動で示そうと考えついたの」
「またぶっ飛んだ考え方ですね!?」
「よって、私は前となんら変わりないわ。強いて言うなら、ちょっと積極的になった恋する女の子よ」
「そういうの、自分で言っちゃったら駄目なような気がするんですが・・・」
「だって事実だもの」
げんなりしながら小悪魔はふと気づいた。パチュリーが言った事が全て本当ならば、今までの行動は全て自分を引きとめようとするものだ。方法はアレとしても。
そう思うと悪い気はしない。この人は今も変わらずに、自分の事を想ってくれているということだから。
「ま、というわけだから。小悪魔、観念してお尻を──」
「・・・いいですよ・・・パチュリー様」
だから、ほんの少しぐらい。その想いに答えてあげよう。
「触っても・・・いいですよ・・・」
顔を真っ赤にして小悪魔はそう告げると、それきり口をつぐんでしまった。緊張のためからか尻尾がピーン、と固まっている。
「そう・・・いいのね、小悪魔?」
パチュリーのその問いかけに、小悪魔は小さく首を上下させた。それを見たパチュリーは、小悪魔へと近づいていく。
そして小悪魔の目の前まで来ると、腰に手を回し──
「それじゃあ、ベッドに行きましょうか・・・」
などとこれまたぶっ飛んだ事を言うパチュリーさんであった。当然小悪魔は慌てふためく。そりゃそうだろう。小悪魔は尻を触らせるくらい、と思っていたのが突然ベッド発言。そりゃ驚かないほうがおかしい。
「ちょちょちょちょちょっと待ってください!どどどどうしてベッドに・・・!?」
「服を脱がなきゃ触れないじゃない?だから寝室に行った方が・・・何?もしかして誰か来るかもしれないスリルを味わいたいとか?」
「え!?何で脱ぐ事になってるんですか私!?服の上からでいいじゃないですか!?」
「イヤよ、私は貴女に直接触れたいの。ほらさっさと行くわよ」
あわてて小悪魔はパチュリーを突き飛ばそうとしたが、何故か体が動かなかった。いやほんの少しならば動くのだが、力があまり入らない。どうした事かとパチュリーを問い詰める。
「パ、パチュリー様・・・体に力が入らないのですが・・・!?」
「パラ○ズ使ったからね、少しの間は動けないでしょうね」
しれっ、と言い放つパチュリー。この魔女っ娘、どうやら白魔法が使えるらしい。イメージ的には黒魔法の方が得意そうな感じだが。
動揺する小悪魔をよそによいしょ、と小悪魔を抱き上げるパチュリー。このもやしっ子のどこにこんな力があるのか。きっとまた何か妙な魔法を使っているのだろう。
「いや、ちょっ、まだ午前中ですよ!?そんな明るい内からこんな事・・・!」
「悪魔のくせして何言ってるの。それじゃ寝室へゴー。」
そう言って、えっちらおっちらと寝室へ向かうパチュリー。ヘルプミー!と小悪魔は叫んだが、不運な事にその声を聞いた者は誰もいなかった。ご愁傷様、である。
その後、小悪魔とパチュリーが部屋から出たのは、翌日の夕方になってからだった。一体どんな行為をしたのか、知るのは当人達のみである。
相変わらず最後の壱行がツボにくるぜww
取り敢えず、流行らせるには肋骨全部が粉砕骨折するぐらいの覚悟で望んでください。
イニシャルがHでえっちいんですか?じゃあ天子もえっちという事に……
┌┤´д`├┐ソノカオモジハハヤランゾ
(*M*)ドウアガコウトキサマハハヤランワー!
( KдI)ドーナツードーナツー
次回作のミスズさんルートに備えてメ〇ン行ってきます。