東方で遊戯王Ⅱ３０　『二人の為の戦い③』

注：前回からの続きです。
　　前回を投稿日当日の午前中に読んだ方は、差分を追加してあるのでお手数ですがこちらを読む前に、
　もういちど前回をお読みくださいm(_ _)m
























　　＿＿＿＿＿＿＿＿四ヶ月前　守矢神社宿舎






諏訪子「…………」

諏訪子「…………」

諏訪子「（…………おっそいなー、神奈子達）」

諏訪子「（もうとっくにイナゴの佃煮できてんのに……。
　　　　まあ、どうせ一人で全部食べるつもりだけど）」

諏訪子「（でも一人で食べるのもなー。
　　　　どうせなら、神奈子達の目の前で、思いっきりおいしそうに食べてやりたいなー……）」

諏訪子「（早苗の奴、デュエル大会……とか言ってたっけ？
　　　　佃煮作るのに集中してて、あんまり聞いてなかったけど）」

諏訪子「（うーん、失敗したかなー。やっぱり、わたしもついていけばよかったかも。
　　　　つい熱中しちゃうのよね、イナゴの足をもぐのって。
　　　　なんかこう、やってるうちに変な笑みが浮かんじゃうっていうか……）」

早苗　「…………ほら、もう。ちゃんと歩いてくださいよ！」

諏訪子「（…………お？　玄関の方だ。帰って来たかな？）」

諏訪子「（たまには出迎えでもしてやるか。あいつら二人で出かけるなんて珍しいし……）」

諏訪子「おかえり～、早苗。遅かったじゃん」

早苗　「あ、諏訪子様。ただいまです」

諏訪子「大会だっけ？　ずいぶん時間かかったのね。
　　　　わたしを差し置いて、さぞかし楽しかったんだろうねえ～」

早苗　「いや……差し置いてもなにも、諏訪子様が行かないって言ったんじゃないですか」

諏訪子「言ったねぇ、確かに。まあそれはいいとして、神奈子は？　
　　　　あいつの大好きなイナゴの佃煮、たっくさん作っといたよ～。
　　　　一匹たりともあげるつもりはないけどね～」

早苗　「前から思ってたんですが、よくあんなグロテスクなもん食べれますよね……。
　　　　いくら諏訪子様でも、そこだけは尊敬できません」

諏訪子「早苗も現神人なんだから、イナゴぐらい食べれないと駄目だよ。
　　　　って、んなことはいいから、神奈子はどこよ？」

早苗　「一応、さっきからここにいらっしゃいますが」

諏訪子「……？　ひょっとして……そこに転がってる腐った寝袋みたいなのがそうなの？」

神奈子「……ふぇ～ん。諏訪子ぉ～」

諏訪子「わ、動いた」

早苗　「帰りに里でお酒を飲んで来たんですが、悪酔いしたみたいで、もうずっとこうなんです……
　　　　……だーもう、足引っ張らないでくださいってばっ」

諏訪子「はぁ～？　悪酔いって、なにそれ？　
　　　　てか神奈子、あんたしめ縄はどうしたのよ？
　　　　あれ無いから、ただの寝袋の化け物かと思ったじゃん」

早苗　「いや～、まあいろいろありまして……。
　　　　後でちゃんと話しますけど、しめ縄は燃やされちゃって」

諏訪子「（燃やされた……？）」

諏訪子「…………」

諏訪子「……ぷぷぷぷぷ」

神奈子「わ、笑わないでよぅ～。ふぇぇ～ん」

諏訪子「きゃははははは。今度はまたえらいドジ踏んだね～。
　　　　あんた、しめ縄が無いと、ただのパーマかけた年増じゃん」

神奈子「あ、あんただって、その帽子が無きゃただの五歳児じゃないの～」

諏訪子「さすがにそんなに幼いつもりはないけどね。とりあえず中に入んなよ」

早苗　「ですって。ほら、とっとと自分の足で立ちやがってください」

諏訪子「神奈子ってば昔っから、しめ縄が無いと性格変わっちゃうからね～。
　　　　こりゃ、新しくしめ縄作るまではずっとこのままっぽいかも」

諏訪子「（…………にしても、この落ち込みようはちょっとアレかな。
　　　　酒のせいってだけでもないような……）」

諏訪子「早苗。とりあえずこの酔っ払いは寝室に放り込んどいて」

早苗　「放り込んで、ですね。わかりました」

諏訪子「……ほんとに放っちゃだめだよ？」

早苗　「え？　いけませんか？」

諏訪子「……あんた、もちっと神奈子に優しくしなよ。
　　　　そんな鬼畜な早苗は、きっとこのＳＳだけだよ？」

早苗　「いや、別に構いませんけど。需要なんて知ったこっちゃないです」

諏訪子「まあいいや。布団ぐらいはかけてあげてね」

早苗　「わかりました」

諏訪子「それと、雑務が済んだらわたしの部屋に来て」

早苗　「えっ？　あ、はい。じゃあ特にすることはないので、すぐに伺います。何か用ですか？」

諏訪子「用ってほどのものじゃないよ。せっかくイベントに参加してきたんでしょ？
　　　　話ぐらい聞かせてよ」

早苗　「ああ……そうですね。今回は事件が事件でしたし、ちゃんとご報告しないと」

諏訪子「ん？　事件？　大会じゃないの？」

早苗　「まあどっちもですね。強いて言えば」

諏訪子「（……ふぅん、大会中に何かあったってわけか。
　　　　神奈子がああなったのも、きっと……）」

諏訪子「じゃあ待ってるから。もう夜も遅いしね。早く来なよ」



　　　　＊



早苗　「かくかくしかじか…………と、いうことで、主催は永遠亭の方々だったんですが、
　　　　その実は、全て八雲紫さんが計画したことだったんです」

諏訪子「（八雲紫…………あいつか）」

諏訪子「（いっつも何考えてるかわかんないような態度してるくせに、こっちにすることにはなにかと口を出してくる。
　　　　薄気味悪い妖怪。核施設を作った時もそうだった。
　　　　あの時は小言を言われただけだったけど……。
　　　　どうして何をするにも、あいつに許可を求めないといけないのか……）」

諏訪子「……なるほど、だいたいの事情はわかったよ。幻想郷をまるごと消そうとしたって？
　　　　ったく、とんでもないやつだね。ま、わたしはみすみすやられるつもりはないけど～」

早苗　「でも……あの時の紫さんの妖気は、わたしでも恐怖を覚えました。
　　　　諏訪子様のお力を疑うわけじゃありませんが、きっと普通に襲い掛かられていたら、
　　　　あの場にいた全員をもってしても敵わなかったかもしれません」

諏訪子「…………ふーん。でも、結局デュエルで負けたんでしょ？
　　　　そいつはそれからどうしたのよ？」

早苗　「気を失ったようだったので、使い魔の方が介抱して連れ帰りました。
　　　　あの様子じゃ、しばらくは表に出れないんじゃないかなぁ……」

諏訪子「あーらら、そりゃご愁傷様ね。
　　　　まあ、そんだけ大それたことをしでかしたんだから、報いは受けないとだよねー」

早苗　「そんなわけで……結局は骨折り損だったわけです。
　　　　まあわたしと神奈子様は強引に押し入った立場ですから、文句言える立場じゃないんですけど……。
　　　　でも今考えたら、それすら紫さんの筋書きだったんですよね」

諏訪子「……それ、どういうこと？」

早苗　「又聞きした話なんですが、わたし達が大会に乱入してくるのは、あの人は知ってたみたいです。
　　　　というより、そうするように仕向けられたみたい」

諏訪子「…………」

早苗　「しめ縄を燃やされたのは、神奈子様もまあ仕方ないと思っているみたいです。
　　　　乱入までした以上、悪いのはわたし達ですし。
　　　　あとは……まあ、悔しかったんじゃないでしょうか。やっぱり、デュエルに負けて……」

諏訪子「違うね」

早苗　「えっ？」

諏訪子「デュエルに負けたから悔しかったんじゃないよ、神奈子は」

諏訪子「（紫にいいように利用されて……。
　　　　神様なのに、ただの妖怪に手の平で踊らされた、神奈子……）」

諏訪子「（きっと、デュエルの大会って聞いて、あいつも浮き足立ってたんだろうけど……。
　　　　悪い目でみれば、きっとそこにつけこまれた、か。
　　　　普段の神奈子だったら、そんな手にかかるわけないし……）」

諏訪子「（いずれにせよ…………八雲紫。やってくれたね）」

諏訪子「（今までは幻想郷の古株ってことで我慢してやってたけど…………
　　　　あいつ、出しちゃならないところに手をだした。神奈子を泣かせるなんて……よくもふざけた真似を）」

諏訪子「（五体不満足ぐらいじゃ生温い。神に仇なす者には神罰を……。
　　　　その時までせいぜい傷を癒しているがいいさ……）」









　　　　＊＊＊










　　＿＿＿＿＿＿＿＿1:45　ミジャグジの体内





諏訪子「…………」

幽々子「（……効いたようね、どうやら。ライフ的にも、精神的にも……）」

幽々子「（でも……）」

諏訪子「…………」

幽々子「ターンを終了するわ」



幽々子　LP2050:手札４:邪神イレイザー（攻守4000）
諏訪子　LP2650:手札４:結束、スパークブレイカー、伏せ２



諏訪子「…………なよ」

幽々子「？」

諏訪子「図に乗るなよ、亡霊風情が……！！　ドロー！！」

諏訪子「手札から、ハリケーンを発動！！」


《ハリケーン/Giant Trunade》 †
通常魔法（制限カード）
フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。


諏訪子「全ての魔法・罠カードを手札に戻す！　２枚伏せ、エンド！！」

幽々子「（……伏せカードだけで、モンスターは無し？）」

幽々子「（いや、それよりも諏訪子の様子が……）」

幽々子「わたしのターン、ドロ……」

諏訪子「リバースカードよ！！　無限牢を発動！！」


《無限牢（むげんろう）》 †
永続罠 （アニメオリカ）
自分の手札を１枚捨てることで、自分の墓地に存在するモンスター一体を
自分の魔法＆罠ゾーンに魔法カード扱いとしてセットすることができる。
このカードを墓地に送ることで、
このカードの効果で魔法＆と罠ゾーンにセットしたモンスターを自分の手札に戻すことができる。


諏訪子「手札を捨て、墓地のモンスターを魔法・罠ゾーンにセットする！
　　　　わたしは効果を３回発動！」

諏訪子「手札のスパーク・ブレイカーとスキエルＧ、一族の結束を墓地に送り……
　　　　ワイズ・コア、スカイ・コア、スキエルＡ３をセット！！」

幽々子「（モンスターを…………魔法・罠ゾーンに？
　　　　　いったい、何を……）」

諏訪子「さらに……無限牢のもう一つの効果を発動！
　　　　無限牢を墓地に送り、このカードの効果でセットしたモンスターカードを手札に加える！！」

諏訪子「くそっ、くそっ……！　まさかこのカードを出すことになるとは。
　　　　少々痛い目にあわせて終わるつもりだったけど、そっちがその気なら、それも已む無しってとこだよねぇ！！」

幽々子「（……っ！？）」

幽々子「（な、に……？　諏訪子の気配が……！？）」

闇諏訪子「トラップ発動……機皇創世！！！」


《機皇創世（きこうそうせい）》 †
通常罠（アニメオリカ）
手札から「スカイ・コア」「ワイズ・コア」「グランド・コア」を１枚ずつ墓地に送り、
自分の手札・デッキ・墓地から「機皇神マシニクル∞³」１体を特殊召喚する。
このカードによって特殊召喚したモンスターは、相手のカードの効果の対象にならない。


幽々子「（これは……諏訪子の様子が、変わった！？）」

闇諏訪子「このカードの効果……。
　　　　　それは、手札の三種類の機皇帝の核を墓地に送ることで、デッキより……
　　　　　究極の機皇帝、機皇神マシニクルを特殊召喚する！　そう、我が最強のしもべを……！！」

幽々子「（く……。諏訪子の妖気が、明らかに猛威を増している！
　　　　これから召喚されるモンスターは、それほどの……）」

闇諏訪子「手札の機皇帝のコア三枚を墓地に送り…………今こそ見るがいい！！
　　　　　そして絶望にひざまずくがいい！！　これぞ森羅万象を集約せし、絶望の魔神の姿！！」

闇諏訪子「機皇神マシニクル……∞³！！！！」


《機皇神（きこうしん）マシニクル∞³（インフィニティキュービック）》 †
効果モンスター（アニメオリカ）
星１２/光属性/機械族/攻4000/守4000
１ターンに１度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター１体を選択し、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
この時、このカードの攻撃力は装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。
手札の「Ｔ（トップ）」「Ａ（アタック）」「Ｇ（ガード）」「Ｃ（キャリアー）」
と名のついたモンスター１体を墓地へ送る事で、そのモンスター効果を得る。
自分の墓地に存在する「Ｔ（トップ）」「Ａ（アタック）」「Ｇ（ガード）」
「Ｃ（キャリアー）」と名のついたモンスター１体をゲームから除外する事で、
このカードの破壊を無効にする事ができる。
エンドフェイズ時に、このカードに装備されたシンクロモンスター１体を墓地へ送る事ができる。
そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。


幽々子「（っ……！？　この溢れ出る、負の引力は……！？）」

闇諏訪子「これぞメタ・レベルの力……！！
　　　　　絶望の魔神、機皇神マシニクルの姿だッ！！」

闇諏訪子「我はこのカードで幽々子……貴様を葬り、八雲紫をも滅ぼす！
　　　　　我が守矢のために、そして神奈子のために！　
　　　　　地獄の最下層など生温い、贖っても贖いきれない後悔の虚無園に叩き落してくれる！！！」




























　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・・・To be continued

　そんなわけで、とうとう諏訪子様がブチ切れました。ダーク化完了！
　シャレオツに回想なんぞ混ぜたりして、今回は最終パートへの助走です。なんで短くしました。
　デュエル自体はマシニクルが出ただけでしたが、その強さはテキスト見れば一目瞭然、それだけ演出する価値もあるというものです。まさにラスボス。


　テキストはアニメの忠実な再現なんですが（ＯＣＧだともはや別物だし）、専用カードである機皇創世にちょい手を加えて、カードの対象にならない効果を付け加えてます。
　これはＴＦ５での機皇帝に標準で備わっている効果であり、それなら親玉である機皇神にも受け継いでないといかんだろうという勝手な決め付けですｗ

　召喚条件が非常に厳しいこともあり、また耐性のおかげで有効なカードは少ないです。普通のデッキなら場に出た時点で白旗でしょう。
　ましてや、今の諏訪子の手札には、極悪専用カードのゴースト・コンバートがあり……まさに、これが絶望だと言わんばかり＼(^o^)／



　次回、この戦いもついにラスト！
　ひいては、長かったこのシリーズのデュエルもラストです。
　もう明日の午前中にでも投稿します。

　盛大な締めくくりにすることを約束します！















　＜以下限りなくどうでもいい補足＞

　実家の郷土料理である、イナゴの佃煮……。
　イナゴは後ろ足だけ食べれないので、調理する前に一体一体足をもがなきゃなりません。
　家族は自分以外みんなこの佃煮が大好きだったので、毎度のようにこれを手伝わされました……。そして無理やり食べさせられました……。
　グーグルで画像検索すればどんなのか一発でわかりますが、食前食後には見ないほうがいいです（´∀、）