注:前回からの続きです。
________0:00 博麗神社敷地内
< Satori's scene >
古明地さとりの瞳には、数百年ぶりかの満月の光が映っていた。
月。久しぶりに見る、本物の満月。
地底には太陽はあるが、月は無い。その太陽も人工的なもので、結局は偽者だ。
真なる望月……その圧倒的な存在感。わたしの虚ろなまなこにも、はっきりと見て取れる。
淡い月光にさらされながら、さとりは思った。
結局……わたしは何も見えていなかったのかもしれない。
第三の眼は、他人の心すら見透かしてしまう。全てを見通すまなこ、全てが正しい知識。しかしその知識故に、ときにわたしは盲目であったのだろう。唯一つ、目の前の事実の前に、あらゆる固定観念は一掃される。わたしが敗北した結果が、何よりの証左であるに違いない。
大将戦が終了したことで、全ての大会のプログラムは幕を閉じた。勝ったのは地上チーム。勝者の栄光を誇り、敗者の健闘を称える名目で、今、場は宴が催されている。
デュエルが行われていた境内には、ゆうに会場にいた全員が落ち着ける風呂敷が敷かれた。そしてその中心では大鍋が設置され、魂魄妖夢らが寄せ鍋の調理に勤しんでいる。今では参加者、企画者、観戦者、誰もかれもが腰を下ろし、喧騒とともに酒を酌み交わしている。
地底チームは惜敗という結果に終わったが、さとりとしては、至極有意義なものだった。〝あの方〟はどうやら快くは思っていないようだが、仕方の無いことだろう。地上の者達の力が、こちらの思惑を全て上回っていた。ただそれだけのことに過ぎない。
霧雨魔理沙、そして魂魄妖夢。《七色のレアハンター》の計画を打ち破り、そしてわたしに敗北を与えてくれた二人。彼女達には、礼を言わなければならない。
今まで……心が視えていいことなど何一つなかった。知りたくもないことを知り、他人には忌み嫌われ、常に孤独だった。わたしは何より、自分の能力を憎んだ。こんな力なんて無ければ。何度もそう思った。
こいしのように瞳を閉じてしまおうと思ったことも、一度や二度ではない。しかし能力を封印してしまえば、自分はただの一人の小娘に成り下がる。こんな下賤な力に未練などはないが、力を封じればこいしを守っていくことができない。心の眼を閉じ、無意識に傾倒するしかないこいしは、一人では生きていくことはできないのだ。たった一人の家族である自分が、こいしを守らなければならない。その為にも、この忌まわしい能力を捨てることはできなかった。
この苦衷を察することは、心を読めない他人には決してできないだろう。しかし、今となってはそれでもいいと思う。わたしは今、こんなにも満たされているのだから。
「おねーちゃんっ。なにぼーっとしてるの?」
「……こいし?」
振り向くと、わたしの妹、古明地こいしは目を細めて微笑んでいた。
微笑んで……そう、いつもの通り、何も考えていないような……。そして、何一つ苦しみを忘れてしまったかのような、無垢な笑顔。
今までわたしはこの笑顔を、ときに微笑ましく、ときに羨ましく、そして何よりも憎らしく思った。
わたしの気苦労をまるで意に介さぬ笑顔。真っ先に辛い現実から逃げ出し、能力を放棄したこの笑顔。自分の責任と重石を全てわたしに投げ打った笑顔……。
その笑顔を、わたしはそっと右手で撫でた。
「……?」
しばらく、こいしはきょとんとしていたけれど、やがて「えへへ」と笑った。
「楽しいね。お姉ちゃん」
「そうね……。楽しいわ、こいし」
笑顔で向かい合う。
自然に微笑むことができた自分に、軽い驚きを感じる。思えば最後に笑った記憶など、ひどく遠い過去になっていた。笑い方など、当の昔に忘れた、そう思っていたのに……。
しかし、不自然な気はしなかった。むしろ、とても当たり前のことのように思える。
……デュエルとは不思議なものだ。戦いを通じて、心の交流が広がる。他人の心がわからなくなって初めて、その内面を知りたいと思った。妖夢の本質を、測りたいと思った。思えば彼女と対峙したあの瞬間こそが、真なる心の対話だったのだろう。第三の眼を持つ自分にとって、これ以上の皮肉があるだろうか……。
ふと、さとりは視線を移した。
「ちょっと、おかわり早くしてよ~」
「はいはい、ただいま~」
宴会に賑わう騒々しさのなか、魂魄妖夢は忙しなく立ち回っている。
あの時……先ほどの試合では視えなかった、彼女の心。もはやその現象は見受けられない。今彼女の心は、そこかしこからのぼる給仕を呼ぶ声に、なんとか答えようとすることでいっぱいだ。
どうしてあの時だけ、彼女の心が視えなかったのか。理由は今もってわからない。
しかし、さとりは満足していた。そう、あえて言うなら、あれは〝奇跡〟だった。それでいいではないか。
奇跡は起こる。その事実が、今のわたしに勇気をもたらしてくれた。暗い絶望とともに地底に逃げ込み、闇の淵に沈んでいたこの心にも、一条の光が差した気がする。底に篭り、他人の心に怯え続ける日々はもうやめよう。これからは、時々地上に顔を出してもいいかもしれない。
……わたしは、もう逃げない。この忌まわしい力と向き合い、永遠にともに生きてゆこう。
たおやかなるも凛々しき剣士、魂魄妖夢。彼女の強さと、彼女が見せてくれた奇跡の輝きを、この胸に刻みこみながら……そう強く誓った。
< ????? 's scene >
……いったいどういうことだ、これは。
《七色のレアハンター》は、周りの者に聞こえないように歯軋りの音量を抑えるのを、やっとのことで耐えていた。
大将戦で古明地さとりが魂魄妖夢に敗れたことで、大会は地上チームの勝利という形で幕を降ろした。天狗の口上による形ばかりの閉会式が行われた後、そのまま打ち上げという名の宴会へとシフトした。今、境内の中央には数十人分はあろうかという巨大な鍋が設置され、大会参加者達へ配膳が行われている。
大会中の殺伐とした雰囲気は打って変わり、敵対していた者同士が和気藹々と語り合っている。このような状況は、《七色のレアハンター》の望んだものではなかった。そもそも本来の計画に沿って事態が推移していたならば、〝こいつらはこのようなことをしている場合ではない〟はずだからだ。こうして愚昧な大衆どもが呑気に嬌声を上げている様を見せられるだけで、《七色のレアハンター》は計画が失敗したのだという認識を改めてさせられる気に囚われた。あまりに事態は馬鹿馬鹿しい様相を見せている。そう認めざるを得ない。
「よっしゃ、もういいだろー。完成だぜ」
「そうみたいですね。うーん、いい香り」
黄色い声が聞こえた。霧雨魔理沙、そして魂魄妖夢。奴らだ。《七色のレアハンター》の苛立ちをよそに、二人もまた、童心にかえってはしゃいでいる。《七色のレアハンター》は、しらけた視線でそれらを静観していた。
霊烏路空らを倒し、《七色のレアハンター》の計画を直接的に頓挫させたのはあの二人だという。あいつらは、大会中から《七色のレアハンター》についてこそこそ嗅ぎ回っていた。そこまでは、《七色のレアハンター》の思惑通りだった。しかし、あんな若輩どもに置手紙の暗号を理解するほどの脳味噌があるとは、よもや思わなかった。さすがに〝完全に解読したわけではない〟ようだが、たかだか人間と半人半霊風情にせっかくの計画を破綻させられたことは、《七色のレアハンター》にとって屈辱だった。奴らの力を甘く見ていた、そう認めざるを得ない。最後までそこに気づかなかったのは、《七色のレアハンター》のミスだった。
《七色のレアハンター》が悔しさに親指の爪を噛んでいると、ふいに立ちはだかる影があった。博麗霊夢が箸を乗せた椀を差し出していた。
「はい、あんたの分よ」
「ああ。悪いわね」
努めて平静を装い、椀を受け取った。博麗霊夢はそれきり《七色のレアハンター》には目もくれず、さっさと自分の持ち場に戻っていった。相変わらず無礼な人間だ。そのぶっきらぼうな渡し方は、さらに《七色のレアハンター》に苛立ちを募らせた。
鍋は確かにそこそこ美味だったが、これぐらいの料理ならば、《七色のレアハンター》はとうの昔に食べ飽きているのだ。この程度の味で騒ぎ立てるなど、やはりこいつらは高が知れていると言える。幻想郷の妖怪どものさもしさに、軽蔑を覚えずにはいられなかった。もっとも、今の《七色のレアハンター》にゆっくり味わう精神的余裕は無く、食欲は計画が失敗した歯がゆさでとうに霧散していたのだが。
もっとも、ここまで計画が露呈するのも、まったくの想定外というわけではなかった。《七色のレアハンター》は、もしカードを盗む実行犯に不測の事態―――すなわち今のような状況が発生しても、決して自分にまで手が回ってこないように保険をうっていた。古明地さとりに犯行を一任した点がそれである。無論、わざわざ他人に依頼しなくとも、《七色のレアハンター》も自分の意のままに動かせる手駒ぐらいは持っている。それでもあえて自分の駒を使わなかったのは、万が一にも自分に足がつくのを防ぐためだった。仮に計画の途中で実行犯が捕まったとしても、最終的に古明地さとりが自分は元凶だと言い張れば、追求の手はそこで止まる。なにせ〝盗んだカードをデッキに入れて使わせる〟という、もっともらしい演出までさせたのだ。裏で《七色のレアハンター》が糸を引いていたとまでは、誰も考えが及ぶはずがない。
現に、この場の誰もが《七色のレアハンター》が真の黒幕だとは気づいていない。そればかりか、何も知らず気さくに酒まで勧めてくる始末である。無知とはそれだけで罪深いと、《七色のレアハンター》は心中で嘲笑った。
それにしても……思い出すだけでも腹立たしい。計画は完璧なはずだったのに。
プランを渡し、以降を古明地さとりに任せるまではよかった。しかしさとりがカードを盗む実行部隊に霊烏路空らを選出した辺りから、《七色のレアハンター》は漠とした不安を覚えていた。霊烏路空の頭の程度は、《七色のレアハンター》もよく知るところだったからだ。たかだかペット、それもあのような単細胞に任せていいものか。盗むカードや対象を忘れる可能性もあるし、なによりやり口が派手なあいつに隠密的な仕事は無理ではないのか。当初《七色のレアハンター》は異議を唱えたが、さとりが言うには、火焔猫燐をともにつけるから問題は無いという。それに万一誰かに現場を目撃されたとしても、霊烏路空ほどの強さがあれば口封じは容易い。そうならばということで、《七色のレアハンター》は渋々納得してやったのだ。それが逆に霧雨魔理沙らに返り討ちにされたというのだから、呆れて鼻で笑う気にもなれなかった。
しかしそうなることすらも予測の範囲内だった《七色のレアハンター》は、保険として、古明地さとりに条件を出していた。もしなんらかのアクシデントにより霊烏路空らが拿捕され、計画が明るみになってしまった場合、古明地さとりが全ての元凶として全ての罪を被ること。そう約束させた。
古明地さとりが思いのほか演技派だったのは救いだった。彼女からすれば、さっきのように悪役然とした振る舞いは本意ではなかっただろう。しかしああなった以上、責任は負ってもらわねばならない。古明地さとりもそのことはよくわかっていたようだ。
ともかくこれで結果として、誰もが《七色のレアハンター》の正体まで辿り着くことはなかった。この磐石とも呼べる周到さが、凡百たる妖怪どもと自分との違いである。あらゆる状況において、《七色のレアハンター》の頭脳は常人の一歩先を行っているのだ。
とはいえ、さとりの人選ミスが無ければ、万事がうまくいっていたのは間違いない。正体こそばれなかったものの、目的が達成できなければ意味は無いのだ。やはり人選も自分の手で行うべきだったと、《七色のレアハンター》は忸怩たる想いを噛みしめた。
《七色のレアハンター》にとってさらに業腹だったのは、そのさとりが今、あまつさえ他の者達と馴れ合っていることだった。大会をあれだけ妨げた張本人と認識されながら、平気な顔で鍋をつつきあっている。これはいったいどういうことか。あいつは《七色のレアハンター》の計画の綻びを手伝っておきながら、自分だけ何事もなかったかのように涼しい顔をしている。まるで意味がわからなかった。
しかも古明地さとりは、心を読む能力によって、今のこちらが思っていることも承知のはずなのだ。しかしこれだけ《七色のレアハンター》が憤りの念を向けているにも関わらず、目も合わせようとすらしない。意図的にそうしているのは明白だった。すなわち、その態度は明確な裏切りと反逆を意味していた。古明地さとりは《七色のレアハンター》に大きな借りがあった故、これまで二人の関係は《七色のレアハンター》が常に一つ上の立場だったはずなのだ。飼い犬に手を噛まれるとはこういうことを言うのか。後で身の程をわからせてやらねばなるまいと、《七色のレアハンター》は心に誓った。
とにかく、プランが失敗に終わった今、もはやこんなくだらない場に留まる理由など無い。次の計画を練らなければ……。
早々に椀の中身をたいらげ、儀礼的な挨拶を済ませて帰ろうとした矢先だった。何気なく耳内に舞い込んできた会話に、《七色のレアハンター》は注意を奪われた。
< Youmu's scene >
魂魄妖夢は、次から次へと突き出されるお椀の対処に負われていた。
「ちょっと、おかわり早くしてよ~」
「はいはい、ただいま~」
「ねえ、こっちもさっきから随分待たされてるんだけど」
「はいはい、今すぐに~」
なぜかいつのまにか鍋の配膳係にさせられていた妖夢だったが、雑務を押し付けられるのは慣れているのでそれほど苦ではなかった―――それもなんだか悲しいが。
「これ、あちらの方達にお願いします」
椀を乗せたオボンごと、博麗霊夢に手渡す。霊夢も知らぬ間に手伝わされていたクチだったが、こちらは椀を受け取るたびにぶつくさ罵っていた。
「まったく、なんであたしがこんなことしなきゃいけないのよ。納得がいかないわ」
「まあまあ、そう言わずお願いしますよ。いいじゃないですか、対価として食事が得られると思えば」
「あたしは丸一日何も食べてないのよ? 餓死寸前なの。本来なら真っ先に食事をあてがわれて然るべき人間なのよ」
「そんな屁理屈垂れる余裕があるのなら、餓死なんて夢のまた夢ですよ。安心してください」
「別に死ぬのが夢じゃないんだけど……」
「これ食ったら逆に死ぬかもしれないぜ。うますぎて」
横から合いの手を入れてきたのは、霧雨魔理沙だった。魔理沙は椀をぐいっとあおると、気持ちよさげにぷはぁと息を吐いた。間髪いれずに、「おかわり」、こちらに差し出す。
「もう、行儀悪いですよ。立ちながら食べるなんて」
「固いこと言うなって。今日ぐらいは無礼講だ。それに、立って食べる方が消化にはいいんだぜ」
「いやまあ、鍋なんだからどっちにせよ消化はいいんでしょうけど……」
霊夢が尋ねた。「てかおかわりって、あんたそれ何杯目?」
「知らん。いちいち数えてられるか。うまうま」
「はぁ? 数えられないほど食べたっていうの?」
魔理沙の椀に新たに盛りつけ、手渡す。ついでに妖夢は代わりに答えてやった。
「たぶん七、八杯目です……」
「まるでわんこそばじゃないの……」霊夢は軽く絶句していた。「わたしなんてまだ一口も口に入れてないのに。こっちに寄越しなさいよ」
ひょい、と魔理沙は霊夢の腕をかわす。
「ま、お前は仕方ないんじゃないか。一応ホストなんだし。ゲストをもてなすのは当然だろ」
「勝手に押しかけてきた連中をゲストって言わないでしょ。いいから寄越しなさいったら」
「神社は公共の場だ。誰が押しかけようが、鍋を作ろうが勝手だろ。んで、その鍋をお前に食べさせるかどうかもわたし達の勝手なわけだ」
「あんたの屁理屈の方がよっぽど勝手じゃないの」
「何もしないでタダ飯ありつこうって根性も、相当ひんまがってると思うぜ」
「なによ。やるっての?」
「あー? そっちこそ、やるってのか?」
まったく……何をやってるんだか。二人は額をこすりつけてにらみ合いをしている。傍から見ていた妖夢からすれば、ただ呆れるしかなかった。
「もうそれで最後ですから、さっさと配ってきてください。そしたら、あなたも食べていいですから」
霊夢はぶっすり膨れていたが、やはり食欲には敵わないのか、ふんとそっぽを向くとそのまま踵を返していった。
まあ、彼女がああもご立腹なのには、ちょっとした理由がある。今そこらで振舞われている酒、これらは全て、霊夢の酒小屋にあったものだった。この神社はどういうわけか、食料の備蓄は無いのに酒だけはきっちり離れに保管していた。この離れの酒小屋は、普段は鎖と南京錠の二重の錠で閉ざされているのだが、なぜか鍵のありかを知っていた射命丸文の手によって、このたび晴れて公の場に発禁された。鍋が煮え終わる頃には、すでに小屋の酒は三分の一、お手洗いから帰って来た霊夢がアゴを抜かすような事態になっていたのだった。
「お前もいい加減食べたらどうだ? 苦労した甲斐あって、なかなかうまァいぜ? やっぱさとりんちの野菜、噂になるだけあるな」
「え? ええ。そうですね……」
大会の全プログラムが終了後、妖夢はさとりから鍋の具材を引き渡された。そしてそのまま霊夢の家にあった大なべを借りて、境内の真ん中で調理に取り掛かった。
本来ならばこの鍋を食べられるのは勝利した地上チームのメンバーだけなのだが、幽々子の「鍋は大勢であればあるほどおいしくなる食べ物だから」というよくわからない一声のおかげで、結局全員で食べることになった。材料は十二分な量だったので、異存を示す者も現れなかった。どうやらさとりの方もさとりの方で、もともと自分達が勝った場合も、全員に満遍なく分け与えるつもりだったらしい。今では地上の妖怪も、地底の妖怪も、みんなが和気藹々と盃を交し合っている。
妖夢は、ちらりと宴の席に目をやった。
さとりは輪の中心にいた。彼女は初めて会った時の不気味な印象など微塵も感じさせない、柔和な微笑みで談笑していた。
……結局、全て建前だったのだ。
さとりは今回の大会を提案した時、目的は地底と地上の妖怪との格付けだと言った。しかし妖夢は、言葉の中に嘘を感じ取っていた。さとりは最初から、格付けなどに興味は無かったのだ。彼女の目的は、ただ一つ。楽しくデュエルがしたかった。それだけだった。
しかし簡単に聞こえることも、それはさとりにとって、この上なく困難なことだった。心を読める彼女は、デュエルをすれば勝って当たり前だ。しかし彼女にとって、勝利は何一つ喜びをもたらさない。むしろさとりの求めたのは敗北であり、自分の忌まわしい能力に打ち勝つ誰かだったのかもしれない。さとりが格付けなどという言葉まで使ってこちらを煽ったのは、そういった理由からなのではないか……。
全てはわたしの想像だ。だが、改めて真意をさとりに問う必要は無いだろう。それに心の読める彼女なら、すでにわたしの問いも届いている。あの笑顔が、その答えに違いない。そう思いたい。
「ん? どうかしたか?」
ふと気づくと、魔理沙が覗き込んでいた。怪訝そうだったので、慌てて妖夢はかぶりを振る。
「いいえ、なんでもないです。あ、それより、幽々子様知りませんか? さっきからお姿が見られないんですけど」
「いるわよ、ここに」
その声があまりにも近くから聞こえたので、妖夢はぎくりを身を震わせた。振り向くと、幽々子は背後で鍋をかき混ぜていた。
「いつのまに……。てか、カレーじゃないんですから、かき混ぜるのはやめてください」
「あら、いけなかったかしら」
「豆腐が崩れるでしょう」
「これを持つと、なんだか混ぜずにはいられないのよねぇ」
コレ、と掲げる右手には、大鍋用のお玉があった。なんだか手つきが危なっかしかったので、ひょいとそれをひったくる。
「返してください。子供の遊び道具じゃないんですから。おかわりが欲しいのなら、わたしがお盛りいたしますので」
「そういうわけじゃないわ。ただやりたかっただけだから」
なんだか気の無い返事だった。さっきからうすうす感じていたけれど……なんだか、いつもの幽々子らしくない。
先ほどから内心でくすぶっていた不安が、妖夢の中にたちこめてくる。
「あの、幽々子様」
意を決し、正面から話しかける。幽々子はきょとんと首を傾げた。
「ん?」
「そのう……やっぱり、お口に合わなかったでしょうか」
妖夢から見るに、幽々子はさほど鍋を食べていなかった。あれだけ楽しみにしていたのに、椀に一杯平らげただけで、おかわりもしようとしない。小食な女性ならともかく、普段の幽々子ならあり得なかった。
やはり、幽々子様の舌を満足させることはできなかったのだろうか……。
先ほど味見した限りでは、出来は悪くない。むしろ材料がいいものばかりということもあり、個人的には会心の味といってもいいぐらいだ。しかし主が望んだのは、最高の、つまり唯一無二といっても過言ではない究極の鍋。そこまでの料理かと問われれば、自信を持って頷くことはできないかもしれない。
しかし、幽々子の返答は思いもかけないものだった。
「そんなことないわよ。おいしいわ、十分」
「そ、そうですか……?」
「ええ。他の奴らにもえらい好評みたい。勇儀なんて、こんなにおいしい鍋は食べたことないって。よかったわね、妖夢」
幽々子は微笑を浮かべていたが、それでもどこかおかしかった。どこかこちらを気づかっているような、ぎこちない笑顔に見えた。
でも……どうせならば、きっぱり言ってもらいたい。この味ではまだまだだと。わたしは幽々子様の望みを叶えられなかったと……。
結局、わたしはまだまだ未熟だったのだ。妖怪としても、従者としても。こうして主に気にかけてもらうのは、情けをかけられているようで、従者として辛い。
「その、でしたら、もっと召し上がってください。せっかくたくさん作ったのに、残ったらもったいないですし……。それとも……」
「ん?」
「それとも……やはり、幽々子様が夢で食べたというような味には届かなかったんでしょうか? わたしでは役者不足でしたでしょうか……?」
ああ、言ってしまった。訊かなくてもいいのに、我慢ができなかった。
弱音なんて、吐きたくないのに……。
幽々子はしばらくきょとんとしていたが、やがてまた柔和な表情を浮かべた。
「そんなことないって言ってるじゃない。こんなにまろやかで口当たりのいい鍋は、数百年ぶりよ。ひょっとしたら、夢の中で食べた鍋よりもおいしいかもしれないわ。でも……」
「……でも?」
「でも……そうね。妖夢の言うとおりかもしれない。その夢で食べた鍋は、この世ならざる美味しさと、不思議と幸せに溢れるような感動があった。妖夢の作ってくれたこれは、確かにおいしいわ。でも、やっぱり何かが足りない気がする……」
「そう……ですか」
「そんなに気を落とさないで。正直、これだけの味は予想以上だったもの。よくやってくれたわ。あなたは十二分に成長した。わたしの予想を上回るくらいにね。だから……強いて言うなら、悪かったのはわたしの方ね。わたしがちゃんと夢の内容を覚えていたなら、少しぐらい的確な助言もできたはず。足りないものが何かも、教えてあげれたのにね……」
少しだけ、残念そうに目を伏せる。
まさかとは思うが、責任を感じておられるのだろうか。慌てて妖夢は首を振った。
「そ、そんなこと! 全ては自分が未熟なせいです。間違っても、幽々子様のせいなんかじゃありません」
「妖夢のせいでもないわ。もともと、無理難題だってことはわかってたもの。我侭につきあってくれただけでも、感謝しないとね」
幽々子は本来、こんなことを言う性格ではない。それにその微笑には、明らかに陰りがあった。病弱な少女が無理に笑ってみせるような、そんな気配を孕んでいた。
締め付けられるように、胸が痛む。そんな表情にした原因はやっぱり自分にあるような気がして、妖夢は声を荒げた。
「わたしは幽々子様の従者です! 生まれてずっと、貴方に忠誠を誓った身です。幽々子様が極上の鍋を用意しろと言うなら用意しますし、幽々子様が死ねと言われれば喜んで死んでみせます。ですから……」
「……やめましょ。せっかくこれだけおいしい料理なのに、気分が滅入ればきちんと味わうこともできないわ。それに、妖夢ったら大袈裟よ。宴の席なんだもの、もっと楽しみましょう」
「…………はい」
ポン、と肩を叩かれる。もう気にするなということらしい。
いくら剣を磨いても、感情の機微はわからない。幽々子は笑みを浮かべていたが、その表情は微妙だった。ただ望みの鍋でなかったことに失望している、それだけではない気もする。
そういえば、一番初め、大会が行われる前までの―――あるいは、鍋が食べたいと発言する前の―――幽々子も元気が無かった。他にも何か気にかけていることがあるのだろうか。
だったら……話を聞かせてほしい。従者として、今度こそ主の力になりたい。しかし、自分ではこのお方を満足させられなかったのも事実だ。主がどこか憂鬱なのに、何もできない自分がもどかしかった。
でも……。
今回の一件で、わたしは自分の秘めたる力に気づいた。誰かを、そして自分の力を信じることで強くなれる。知られざる一面に触れることができた。
しかし、自信を持てても、やはり自分は未熟だということを心の片隅においておかなければならない。謙虚でも、卑下するでもなく、そういった心持ちこそ、自分を更なる高みへと向上させる一助になる。それは未だに信じている。そして、今は力足りなくても、いずれこの方の心から信頼に足る存在になりたい。
いや、きっとなれる。なってみせる。今は無理でも、いつか、きっと。
そう。わたしはこの世でもあの世でもただ一人の、西行寺家専属の庭師なのだから……。
決意を新たに、妖夢は遠くにきらめく星たちを見据えた。
オリオン座の中心、三つある星の下に、ともし火のようにぼんやり輝く空がある。オリオン座の大星雲。あそこでは常に、ガスの中で新しい星が生まれて続けている。
わたしも、今日から生まれ変わる。あの遥か彼方に光る雲海のように。そしていつまでも、幽々子様のために輝き続けたい。これからも、ずっと……。
気づくと、幽々子がこちらに視線を向けていた。
幽々子は微笑んでいた。成長過程の我が子を見守るような、柔らかで達観した笑み……。
向けられる妖夢の口許からも、自然な微笑みが漏れた。
「そういえば、妖夢。これ、まだたくさんあるわよね。少しでいいんだけど、残しておいてもらっていいかしら?」
「わかりました。後でまた食べたいということですね」
「だからもう食べないってば。わたしじゃなくて、後から来る奴のために残してって言ってるの」
「後から? 誰か来られるんですか?」
「ええ。紫がね、来るらしいの」
「えっ……!? 本当ですか!?」
軽く耳を疑った。それは妖夢にとって、まったくの初耳だったからだ。
「あなたは知らないでしょうけど、実は今朝、白玉楼に例の狐の使い魔が来ててね。主が息災だって、それだけ伝言に来たの。その時今日の大会の事話したんだけど、もう知ってたみたい。終わり際に来られるでしょうって言ってたわ。だから、もうそろそろだと思ってね」
「そう……なんですか」
前回の大会以降、紫が公の場に顔を出すのは実に五ヶ月ぶりだ。それだけの期間、異次元に伏せっぱなしだというのだから、余程その時のダメージがひどかったのだろう。あまりにいつまでたっても現れないので、実はもしかしたらとっくにどこかでピンピンしてるのではないか、そんなふうにすら思っていた。その予感が、当初紫が《七色のレアハンター》ではないかという誤った疑団に至らせていたのだが……真犯人がさとりとわかった今では、返す返すも恥ずかしい限りだった。先入観だけで悪者にするなんて、紫に申し訳ない。後でここに姿を見せるというのであれば、その時きちんと侘びを入れておかなければ。
でも、なにはともあれ、元気になったのなら何よりだ。それに、紫がまた白玉楼に遊びに来てくれるようになれば、きっと我が主も喜ぶ。なにせ、大会が始まる前までの幽々子はずっと元気が無かった。今もってその原因は不明で、大会が行われると知って一時的に陽気になっていたが、今夜の催しが終われば、また先の倦怠期に戻ってしまいそうな気がする。だが、友人である紫の健脚ぶりを見れば、また元通りになるかもしれない。
「それは……本当によかったですね。幽々子様っ」
「ふふふ。そうね」
「うへぇ、あいつが戻ってくるのか。しばらく静かな平穏が続くと思ってたのに。短い平和だったな~」
渋い顔で、横から魔理沙が野次を入れる。その隣では、霊夢が手元の椀にがっついていた。
「まったくねぇ。あいつが生きているとなると、うちの茶箪笥のマロニーも危ないわね。そろそろ違う場所に隠しとかないと。ムシャムシャ」
「さすがのあいつもマロニーなんか盗まんだろ。てかお前、食いながら喋るなよ」
「ああごめんごめん。でもおいしいわ、マロニー。ちゅるちゅる」
「吸うのも駄目だろ……」
二人の紫に対する物言いは散々なものだったが、どちらも心から毛嫌いしているわけではなさそうだった。そして、それはこの二人に限ったことではない。紫はなにかと騒動の渦中にいることが多いが、だからといって彼女を心から疎み、疎外しようなどという者などいない。前大会の件だって、もう誰もが許している。口にこそ出さないものの、みんな紫が元気になるのを望んでいるのだ。
しかしその一方で、妖夢は幽々子の口ぶりから、微妙な違和感を感じ取っていた。紫が快復したというわりには、主の口調には弾みがない。そう思ってしまうのは……気のせいだろうか?
「あのう、幽々子様……」
「そういうわけだから、お願いね」
言い残すと、突然幽々子は身を翻した。慌てて妖夢は呼び止める。
「あっ。どこへ行かれるのですか?」
「ちょっとね、待たせてる奴がいるの。ああ、紫じゃなくて、別の奴ね」
またもや初耳……。この期に及んで、次から次へと聞いてもいないことを告げてくる。
でもまあ、この方が突然なのは、いつものことといえばいつものことだ。そう考えると、なんだか返って安心するような気がする。
「わかりました。お供はよろしいですか?」
平気。そう笑顔で、幽々子は体半分振り返る。
「すぐ戻ってくるから。よろしくね」
よろしくとは、紫が来たら、ということだろう。別れ際のその笑顔は、やっぱりどことなく寂しそうだったけれど……妖夢は今はそれでもいいと思った。
いつかきっと、あの笑顔を本物にしてみせる。それこそが……わたしの使命なのだから。
< ????? 's scene 2 >
宴の喧騒に紛れ、《七色のレアハンター》は音も無く立ち上がった。
「あれ、どこいくんだい?」
怪訝そうにこちらを見上げていたのは、星熊勇儀だった。
《七色のレアハンター》は、内心で舌打ちをした。気配を殺して立ったつもりだったのに。勘の鋭い奴め。
「ああ、ちょっとね。だいぶ酒がまわっちゃったから、風に当たってこようかなって」
「だらしないねぇ。まだまだ夜は長いってのにさぁ。ま、せいぜい酒気を抜いてきな」
傍若無人な言い方に《七色のレアハンター》はまたしても怒りを覚えたが、すんでのところで言葉を飲み込んだ。たかだか鬼の分際で、あたかも《七色のレアハンター》と同列の存在であるかのような、勝手な価値観の前提を押し付けた上での物言い。許しがたい我田引水ぶりだった。鬼たちを含め、地底の妖怪どもも一度然るべき時に矯正させる必要があるだろう。だが、今は酔っ払いの戯言に付き合っている暇など無い。
境内から離れ、人の気配が無いことを確認する。闇に閉ざされた本殿の方に向かい、《七色のレアハンター》は、大木の裏へ身を潜めた。今度こそ完璧に気配を消したので、誰かから見咎められた可能性など万に一つも無い。《七色のレアハンター》ほどの手操れならば、この程度は造作も無いことだ。
じきに、あの八雲紫がやってくる。
あのにっくき妖怪……。〝わたしの大切な友人を辱めた外道〟が。
前回の大会の後遺症で、奴はまだ寝たきりだったはずだ。それが先ほど耳にした話では、今日ようやく公衆の面前に姿を現すらしい。つまりは病み上がりの病人に等しい。妖力も戻りたてで、本来の力など出せるはずが無い。ならば、赤子の手を捻るようなもの。今なら容易く倒せる。千載一遇とはまさにこのことではないか。
そう、計画が失敗した以上は仕方がない。ならば《七色のレアハンター》自身の手で、奴をぶちのめしてくれる。
さあ……早く来い。八雲紫。今にお前のその細首をねじ切って……。
「紫なら来ないわよ」
ドクン、心臓が跳ね上がった。
馬鹿な。いったいどこから声が……。
慌てて周囲を見回す。次の瞬間、《七色のレアハンター》はギクリと身を固くした。
「お前は……西行寺の」
先ほどの声の主……西行寺幽々子は、どうして今まで気づかなかったのかおかしいぐらい、恐ろしいほど近くに立っていた。あまりに唐突、かつ不意を突かれた出現に、さすがの《七色のレアハンター》も一瞬の動揺を露にしてしまった。
「紫は来ないわよ」
幽々子は同じ台詞を繰り返す。こちらの動揺を見て取っての発言に違いなかった。こいつは、それがこちらにどれほどの恥辱を与えるか、わかったうえで言っているのだ。まるで他人を嘲笑うかのような、心の歪んだ者特有の行為だった。
しかし今の《七色のレアハンター》に、その台詞に憤慨するほどの余裕は無かった。それ以前に、《七色のレアハンター》の脳内は、湧き上がる焦燥と疑問を抑えるので精一杯だった。
こいつ……どうやってわたしに気づかずに現れた。
いやそもそも、なぜこいつがここにいる。紫が来ないとは、どういうことだ。あいつの話をしていたのは、他でもないお前ではないか……。
そこまで思考が及んだところで、《七色のレアハンター》は思い当たる可能性に行き着いた。しかしその一瞬後、先に幽々子の口が開く。
「まんまと誘いに乗ってくれたわね。紫の話を持ち出せば、必ずあいつを待ち伏せると思っていたわ。お生憎様。さっきの話は全部嘘。だから、何度も言うけど、〝紫は来ないわよ〟」
幽々子は格下の者を値踏みするような、冷たい視線をくれている。ぎりり、と《七色のレアハンター》は歯噛みした。
この薄汚い亡霊風情が……。わたしをハメたというのか。
罵声が飛び出しそうになったが、克己心でかろうじてこらえる。挑発に乗っては、相手の思う壺だ。今は怒るより先に、確かめねばならないことがある。
こいつはどこまで知っているのか。挑戦的な台詞を吐いてきた以上、幽々子には少なからず、こちらが《七色のレアハンター》だという心当たりがあるのは間違いない。
幽々子がどこまで掴んでいるのか、探らねばならない。場合によっては、まだしらを切りとおせる。
「あら、なんのこと? わたしはただ、身体が火照るから涼みに歩いていただけだけど。ひょっとして、あんたも酒気を抜きに来たのかしら? だったら奇遇……」
「あなたが今回の騒動の全ての元凶だということは、もうわかっているわ。さとりをけしかけ、あんな真似までやらせたのもね」
……あり得ない、と《七色のレアハンター》は思った。
しかし幽々子の言い様は、もはや疑いではなく断定だ。こいつは何らかの確信があるから、こうまで強弁な態度がとれるのだ。あってはならない異常事態だった。
だが……認めたくはないが、こうなった以上、疑うことはできない。
「……さとりね」
《七色のレアハンター》は、低く唸るような自分の声を聞いた。あそこまで断定的な台詞を吐いた以上、もう疑いの余地は無い。しらを切る必要もなくなった今、言葉に怒気をこめずにはいられなかった。
「さとり?」
「あいつが全部喋ったんでしょ。それ以外、考えられない」
「考えられないって、何が? ああ、もしかして、あなたのチャチでしょうもない姦計が、わたしに全部気づかれちゃったことがかしら?」
「この期に及んで持って回った言い方をしないで。どうなのよ。あいつが喋ったの? そうなんでしょ。じゃなきゃ、アンタなんかにさとられるわけが……」
「今言ったはずよ。あなたの考えた計画なんて、チャチでしょうもないものだって。看破するぐらいわけはないわ。〝あなたの目的が紫だってこと〟も、全てお見通しよ」
後頭部を殴られたような衝撃が襲った。八雲紫のことについては、古明地さとりにすら話していない。他の者なら、尚更知る余地など無いはずなのに。
ということは……考えられる可能性は一つしかない。よもや信じたくはないが、問いたださずにはいられない。
「まさかアンタ、あの暗号を……」
「暗号? ああ、あの置手紙のこと?」
幽々子はさらっと言い放った。
「当然、全て解析済みよ。あの手紙に隠された、真の意味もね。そうでなければ、わたしがこの場にいるわけがないじゃない」
なんだと……?
《七色のレアハンター》は愕然とした。あまりにくだらない事態に、眩暈さえ覚えた。
解析済み。あろうことか、こいつは今そう言ってのけた。
あの置手紙の暗号文は、《七色のレアハンター》が自ら手がけて考案したものだ。それがよりによって、こんな愚鈍で低脳な亡霊に看破されるとは……。
そして来るべき瞬間がやってきた。立ち眩みのあまり、《七色のレアハンター》が思わずふらりと体勢を崩し、一歩後ずさった、その時だった。追い討ちをかけるように、幽々子の言葉が飛んだ。
「あなたは随分自分に自信があったみたいだけど、今回ばかりは相手が悪かったわね。《七色のレアハンター》。いいえ、〝洩矢諏訪子〟」
・・・・・・To be continued
確かに、地上チームで諏訪子さまだけ妙に冷めていたような気はしてましたが、まさか黒幕だったとは……
果たして、過去に何があったのか気になるところですね。
あと、「役不足」はこの場合誤用になります。
自分にとって役が不足しているという意味なので、「役者不足」が正しいです。
ご指摘ありがとうございます。修正させていただきました。
調べてみたんですが、代表的な誤用みたいですね。勉強になりました。
それはそうと、名前変えられたんですね~。
自分もいい加減本気でどうにかしたいと思ってます(´∀、)
連載なんてやってるせいで、改名するタイミングがわからないorz
いや、私は地元山形県……さらには山形市なもんで。
気がつかなかっただと……読み直してきますorz
なぜか真っ先に浮かんだのが諏訪子だったけど本当に諏訪子だったとは
うはww正解です。
なんと。同郷の方だったとは(*´ω`*)
自分は海側の方なので、芋煮は味噌ベースですが。
>>4
無くも無かったり……という程度なので、改めて読み返してもそれっぽい部分はわかりにくいかもです。
ただ、なぜ紫が狙いだったのかは、暗号を解けば推理できます。
>>5
勘がよろしいということですね。
前回の段階で諏訪子が犯人だと推理するのはかなり難しいです。
>>6
いやあ鋭い。仰るとおりです。
そういう客観的事実を見直すと、諏訪子がかなり怪しいことが改めてわかりますね~。
次回その辺もきっちりやっていきます。
あまり感心してなかった自分をぶっとばしたい
まだ、物語は完結していない。執筆がんばってください!
最終話までに気付けて良かったです、夕方から日付が変わるまで読みふけってしまいました
Ⅰの最終決闘で感動させられてからもう一年以上経つとは早いものですね
前以上に巧みなデュエル展開で始終楽しかったです、これからも頑張ってください応援しています
ありがとうございます。
前々からずっと思ってたんですが、創想話は縦書きにできないのがもの凄い嫌なんですよね。
普通に文章書くと読みにくくてしょうがない。
>>9
実はやってました(*´ω`*)
また見ていただいてとても嬉しいです!
もう話もクライマックスで終わりも近いですが、お付き合いいただくと幸いです。