Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

喜んで庭を駆け回るのは?2

2011/03/04 16:11:43
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パート1 からの流れになります、読まなくても無問題。 妄想タップリ お子様百合カップル萌え



この日椛は、湖の側にある紅魔館に向かっていた。
前に振った雪は前日の雨によってだいぶ溶け、今では木の根元などに残すのみとなっている。

秋頃に知り合った、紅魔館の妖怪の子供と人間の子供。
椛と二人とはその後もちょくちょく交流を深めていた。
そして今日も、お土産を持って遊びに行くところだった。

午後の日差しが気持ちいい、
特に急いでいる訳では無いのでのんびりと歩いていると、奇妙なことに気がついた。
紅魔館に近づくにつれ空気がひんやりしてきたのだ。
湖の氷精の仕業かと思ったがどうも違うようで、紅魔館あたりが発生源のようだ。
館の前まで来るとやはり塀の向こうから冷気が来る。

「どうなってるの?」

急いで門の前に向かうと思わず目を疑った。


門の向こうは雪国だった…


「えー!?」


確かにこの前に雪は振った。しかし、その後の雨でだいぶ溶けたし、今日だって天気が良く雪なんて降っていない。
椛に住む妖怪の山ならかなりの雪が残っているが、此処は平地だし来るまでだって残っている雪なんて僅かだった。

「あっ、もみじさーん!」
「椛さん?」

暫し呆然としていた椛だが、名前を呼ばれて我に返った。
門の向こうに見えるのは、紅魔館の小さい門番さん美鈴と小さいメイドさん咲夜だ。
門までの雪かきされた小さな道を長靴を履いた足でトテトテと駆けて来る。

「いらしゃい、もみじさん、今開けますね?」
「いらしゃいませ、椛さん」
「美鈴ちゃん、咲夜ちゃん…これどうなってるの?」

美鈴に鉄製の大きな門扉を開けてもらいながら尋ねた。

「凄いでしょ?」
「紅魔館だけなのよ、こんなに雪あるのは」

ちょっと自慢げに話す二人に連れられ椛は門内に入った。

連れられる途中、羽やら帽子やらを付けた雪だるまが並んでいる。
美鈴と咲夜からそれはレミリア達の雪だるまなのだと説明された。

「最初のは雨で溶けちゃったんですー」
「すごくガッカリしていたら、パチュリー様がまた雪が積もるからって」
「でも雪はこの前降ったきりなのに?」

此処だけ局所的に降るなんて椛には想像がつかない。

「やっぱりそう思います?」
「だからパチュリー様が魔法で降らせてくれたのだと思うの」
「へー、魔法って凄いね」
「もみじさん違います」
「魔法が凄いんじゃ無くて、パチュリー様が凄いんですよ」
「そうか、凄いね」

空気を調節して溶けにくくしているのか気温は紅魔館を中心に下がっている。

「それにしても凄い雪の量だね。これなら大きなかまくらが作れそう」
「かまくら?」
「かまくらって何ですか?」
「かまくらっていうのは、雪で作った簡単なお家みたいなものかな? 中でお餅を焼いたり甘酒飲んだりするんだ」

本当は祭壇を作って神様を祭ったりするけれど、それはこのさい置いておく。

「雪でお家?」
「すごい、作ってみたい!」
「でもちょっと大きいのになると一日じゃ出来ないけど…」
「もみじさんは明日もこれますか?」
「時間があったらでいいですけど」

じー

「えーと」

じー

「じゃあ、明日も来るよ」
「わー、ありがとうですー」
「ありがとうございます」

上目遣いに負けました。





「あら、白狼天狗の子供が来ているのね」

レミリアが二階の窓から外を眺めているところにパチュリーが声を掛けた。

「パチェ」
「やっぱり、他の子供と遊ぶのもいい経験ね」
「うん」
「寂しい?」
「なっ、寂しわけないでしょ」
「自分のところに遊びに来てくれないものね」
「私は子供の成長を暖かく見守っているのよ、寂しいわけないでしょ」
「じゃあ、さっき何で羨ましそうな顔して羽をパタパタさせてたのかしら?」
「見てたの!?」
「見てないわ」
「……」
「行動分かりやすいのよねレミィは」
「あーもう…」

ため息をついて肩を落とすしかなかった。





庭では、着々とかまくら作りを進めていた。

「雪は積んだら踏み固めていかないとしっかりしたのが出来ないからね」
「「はーい」」






「何やってんの、あれ?」
「雪を踏み固めるているようね」
「パチェ、ベヒモスでも召還して踏んであげて」
「召還の対価はレミィの魂でいいならね」




椛と美鈴は持ち前の身体能力を駆使して盛っては固めるを繰り返している。
流石は妖怪といったところ、並みの大人以上のスピードで巨大な竈型の雪の山を完成させていった。

「めーりん、椛さん」

「あ、さくやさん」
「ん?」

咲夜が館の方から呼びかけた。

「お茶入れたから中に入って」

美鈴達のペースが早くなり、体力的に咲夜はついていくのがきつくなった。
それならばと、二人の為にお茶とお菓子を用意していた。

椛は自分の姿を見て少し躊躇した。

「雪まみれだから入っていいものか…」
「大丈夫です、だって私も同じですよー」

美鈴に引かれる形で中に入っていった。

玄関で雪を出来るだけ払い落とし、二階の部屋に通された。

「ここは?」
「ここは私とさくやさんのへやですよー」

確かに、部屋にはヌイグルミや子供向けの本が入った本棚。
二人が寝ているセミダブルのベッドが一つある。


ドアをノックする音が響き、咲夜がお茶のセットを持って入って来た。

「椛さん、座ってくださいな」
「うん、座ってー」

美鈴が床のラグにクッションをセットして座るよう促す。

「あっ、うん」

美鈴もお茶を用意している咲夜もやけにニコニコしている。

「何か凄く嬉しそうだけど?」
「えへへー、だって部屋に初めてお友達が来たんです」
「お部屋に友達を呼んでお茶をするお話とかあったの、だからそれが出来て嬉しいの」
「そう」

紅魔館にお茶をしに来る子供などはいないだろう。
此処は悪魔の館なのだから。 

「初めてなんて光栄だな、じゃあお礼にこれをどうぞ」

持っていた袋を差し出した。

「お土産?」
「見てもいいですか?」
「どうぞ」

袋を覗いた二人の頭には沢山の疑問符が浮かんだ。

「…?」
「これ何ですか? 椛さん」
「あれ、見たこと無い? これは干し柿っていうんだよ、柿を干したもの」
「柿、しってます。甘くて美味しいです」
「でも、美味しくないのもあったけれど」

「うん、その美味しくない柿を干して美味しくしたのが干し柿」
「黒くてシワシワなのに柿なんですかー?」
「美味しいの?」
「美味しいよ」

美鈴がふんふんと匂いを嗅いでパクリと頬張った。
次いで咲夜も口に入れた。

二人で暫しモニモニと咀嚼すると、パッと顔が輝いた。

「美味しいですー」
「凄く甘い」
「良かった」

美味しいそうに食べるのを見て椛も嬉しくなり、尻尾をパタパタと振った。


その後は椛から、山の動物や妖怪仲間の話、冬の過ごしかたなど色々聞かせてもらった。
めったに館から出ない二人にはどれも興味深い話ばかりだ。
次の話、次の話と、強請っているうちに外は日が傾いてきていた。

「そろそろ、帰らないと」
「えー!!」
「帰るの?」

左右から服を掴まれた。

「えーっと」
「もうちょっといて欲しいです」
「夕飯一緒に食べませんか?」
「もみじさん明日も来るんですよね?」
「じゃあ、泊まっていったら早くから作業できますよ?」

「でも、ここのご主人に悪いし…」
「私、おじょう様に聞いてくる、めーりん、椛さん捕まえておいて!」
「はーい」
「えー!?」



結果、宿泊許可はあっさり下りた。

椛は近くの鴉に山までの伝言を頼み、一泊していくことにした。
まあ、洋館に泊まることへの興味もあった。
決して、レミリアの『うちの子供達がお願いしているのに断ることはしないだろうね?』と、
言わんばかりの視線に屈したわけではない。



夕食は美鈴、咲夜と三人で取ることになり、椛は少しホッとした。
レミリアと一緒だと緊張で食べられない。
前にグングニルされそうになったことが少しトラウマだった。

食事は洋風でどうやって食べるか不安になっていたが、ちゃんと箸が用意されてた。

「子供達だけなので気にせず食べてくださいね」

そう小悪魔に言われ、椛も安心した。
実際、咲夜も美鈴もあまり上手に食べれている訳ではないようで、
特に美鈴は口の回りを汚しがちで、度々咲夜に拭いてもらっていた。

「何だか咲夜ちゃんって美鈴ちゃんの奥さんみたいだね」

美鈴の世話を甲斐甲斐しいく焼く咲夜を見て、思っていることを口にした。

「///」
「えへへ」

咲夜が真っ赤になって俯いてしまった。
美鈴は赤くなりながらも嬉しそうに笑っている。

「あれ、へんな事聞いた?」
「そうですよー、さくやさんは私のお嫁さんなるんです。ね、さくやさん?」
「う、うん」
「大きくなったらさくやさんは立派なメイドさんになって私は門番になるんです。
そうしたら結婚しても良いっておじょうさまが言ってくれたんです」
「あー、そうなんだ…」

色々突っ込みを入れたいが、幸せそうなのでよしとした。



「もみじさーん、一緒におふろー!」
「浴場はこっちです」
「はいはい」



「わあ、椛さんのしっぽ、本物だったんです」
「えっ、何だと思ってたの?」
「触ってもいいですか?」
「いいけど」
「あー、さくやさん私もー」

モフモフモフモフ

美鈴と咲夜はちょっと幸せになった。



「もみじさんは真ん中でどうぞ」

二人のお願いで一緒に寝る事になった。
大きいベッドを用意してもらい、咲夜が右、美鈴が左、椛が真ん中。
今日はずっと二人はハイテンションだ。
椛が遊びに来てくれてさらに泊まってくれるのが嬉しくて気持ちを抑えきれない。
いつまでもベッドの中ではしゃぐものだから、様子を見に来た小悪魔が注意をしたくらいだ。


「お休みなさい」
「「おやすみなさい」」

椛は普段は和風の布団なのでベッドで眠れるか心配だったが、
いろいろあったせいか、程なくして眠気がやってきた。
左右の二人はもう穏やかな寝息を立てている。子供の高めの体温を心地よく感じながら眠りに落ちていった。



「ふぐっ?」

夜中、腹部に圧迫を感じ椛は目が覚めた。
何かが自分の上を乗り越えるように動く影がある。
白狼天狗の椛には当然夜目は利く。それは自分の右側で眠っていた咲夜だった。

「咲夜ちゃん?」

返事は無い、どうも寝ぼけているようだ。
四つんばいで椛の上を通り、左側に着くと、そのまま椛の左にいた美鈴の横に収まり、
抱きつくように再び眠ってしまった。

「やっぱり隣がいいんだね」

思わず笑みがこぼれる。
気づくと、抱きつかれた美鈴も同じように咲夜を抱き返して寝息を立てていた。

『山の子狼がこんな感じにくっ付いて寝ているな』などと思いながら、椛も再び眠りについた。


翌朝、いつの間にかくっ付いて眠っていた美鈴と咲夜は目が覚めてからしきりに首をかしげていた。


三人はすばやく朝食を食べ終わると、作業を開始した。
先日に作った大きな竈型の雪山は、一晩冷気に晒されたおかげで雪がしまり、強度が増した。
後は中をくり貫き、形を整えればいい。
しかし、これが中々難しい。掘る体勢が地味にキツイし、うっかり掘りすぎると壁や天井の強度が弱くなる。
そこは、椛に上手く指示してもらいながら進めるしかない。
三人はそれぞれ、スコップやシャベルを手に一心不乱に掘り続けた。
掘る、雪を掻き出すの繰り返し作業。しかも、固めた雪はかなり硬い。
美鈴と椛が黙々と掘り続け、咲夜はかまくらの全体の形を整えていく。

途中、咲夜はかまくらが完成後の準備のため館へ入り、美鈴と椛は黙々と作業を続けた。
ひたすら掘り続け、昼もだいぶ過ぎた頃、漸く納得行く広さを掘ることができた。
高さは、椛が立っても十分すぎるぐらいで、三人が入ってもまだ余裕があるくらいだ。

「出来たー」
「うん、そうだね」
「さくやさん呼んでくるー」

美鈴は館へ走っていった。



「さくやさん、さくやさーん、かまくら出来たよー」
「本当、めーりん?」

厨房の窓から声を掛けると、中から咲夜が顔を出した。
それと同時に中から甘い匂いが漂ってくる。

「あっ、いい匂いします」
「こっちも出来たから、準備しておいて」
「はーい」

美鈴は椛に言われていた物の準備をする為に再び駆け出した。

用意するのはかまくらの中で過ごす為の物だ。
簀子をかまくらの中に置き、その上に茣蓙を敷くと、古株の使用人が昔使っていた火鉢を借りてきた。
椛が火を起こしている間に美鈴は椅子の準備。
そうしていると、咲夜と小悪魔が鍋や食器などを携えてやって来た。

「あら、立派なかまくらですね」

小悪魔は持っていた鍋を火鉢に乗せた。

「あれ、餡の匂い」
「はい、お汁粉ですよ、椛さんお好きですか?」
「はい! 大好きです!」

自然と尻尾が大きく揺れる。

「ほら、めーりん、お餅沢山よ」
「わあ、楽しみです」


切り餅を見せると、美鈴にも見えない尻尾が揺れているように感じる。

「では皆さん、火傷には気をつけてくださいね、足りなくなったら厨房にまだありますから」

そう言って小悪魔は館に戻っていった。


後は子供達のかまくらパーティーだ。
三人でお汁粉を食べ、餅や蜜柑を食べてはおしゃべりをして、ちょっと飽きたら外で雪遊びをする。
しかし、楽しい時間は過ぎるのが早い。
夢中になっていると、どんどん時間は過ぎて、薄暗くなってきた。

「あっ、もう帰らないと」
「もうですか?」
「帰るの?」
「さすがにもう帰らないと」

「うー残念です」
「また来てくださいね」
「うん、また来るね」

椛は館の方に行き挨拶を済ませると山へと帰っていった。



かまくらは二人だけになった。
明かりを反射した雪が周りを薄っすらと青くして、それが妙に寂しく感じられた。

椅子に腰をかけ消えかけた火鉢の炭をつついていると、外から雪を踏む音が近づいくる。
何かと思い外を覗くとそこにはレミリア達の姿があった。

「おじょうさま、パチュリーさま」
「小悪魔も…どうしたんです?」
「あら、こんな素敵な家を作ったのに招待してくれないの?」
「寒いのでとりあえず入れてくれる?」
「美味しいもの沢山持ってきましたよ」

二人の顔にパァと笑顔が戻った。

「おじょさま、どうぞ入ってください」
「パチュリー様、火鉢の側にどうぞ」

小悪魔が持っていたランプを置くとかまくらの中は暖かいあかりに包まれた。
火鉢にまた新たに火を熾し、また、餅やソーセージなどを炙る。

「うん、こういうのも悪くないわね? ちょっとお酒が欲しいけど」
「レミィ、今日は止めなさい」
「その代わり甘酒を造ったのでどうぞ」

「めーりん、お餅焼けたわよ、食べる?」
「はい、食べます! ねえ、さくやさん」
「何?」
「楽しいですねー」
「うん!」



紅魔館のかまくらでのパーティーは遅くまで続いた。
「フラーン、かまくらでお汁粉食べない?」
「ベッドが聖域、私のかまくら、お汁粉だけ持ってきて」
「……」

今日も引きこもっていた。



かまくらなんて昔に小さいの作ったきりです。今じゃ作るにも雪がない。


奇声を発する程度の能力さん>幸せが一番、一番

投げ槍さん>投げ槍さんの言うところの冬山は自分には厳しいです。
文をどんなタイプの保護者にするか、悩みますなー

3さん>椛と紅魔館とは普段はあまり絡まない設定なので、駄目だし食らうのがとても怖いのですが、満足していただいてうれしいです。
美鈴と椛は体術とか剣術とか切磋琢磨してほしいです。あと、みょんとか。

唯さん>ああっ! 過去最大の誤字の数! いつもご指摘助かります。
何故自分では気がつかないのかorz
バカルテットとゆうかりん、絡ませたいですねー。
お嬢様と幽香の親ばか合戦が怖いですけどw

こーろぎさん>ちっさい二人を抱き枕にしたら暖かいかなー? 
雪が降ってなくてもいつもかまくら状態です、私はw

6さん>ありがとうございます! でも秘密になってませんよw
ちっさい子とどんどん絡ませたいですね! 設定完全無視ですがw
虎姫
http://
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
うん、もう幸せ
2.投げ槍削除
それなら冬山においでなさい、雪なんて見飽きるくらいありますよ。
ちいさいめーさく、良いですねぇ。
小さい椛も可愛いです。
さて一つだけお聞きします、ここまで来たら椛の保護者として文が出るんですよね?
3.名前が無い程度の能力削除
椛再登場でひゃっほい!
それ以上に小さい二人がとても可愛くて満足。
今回も楽しい話をありがとうございます。

美鈴と椛はお互い良い修行相手になりそうな気がするぜ。
4.削除
感想の前に誤字報告を。

>いらしゃい、もみじさん
>いやっしゃい
いらっしゃい、だと思います。

>紅魔館だけなのよ、こんなに雪あるのわ
あるのは、かと。

>連れられる途中、羽やら帽子やらを付けた雪だるま並んでいる。
雪だるま「が」が抜けていると思います。

>雪まみれだから入っていいいものか…
いが一つ多いのでは。

>その上茣蓙を敷くと
その上「に」だと思います。

>咲夜と小悪魔が鍋や食器などを携ええてやってた
携えてやって来た、だと思います。


これくらい……かな?
じゃあ、感想を。

ちっさい子は本当に可愛いですねっ!
椛が出てきたし、バカルテットが保護者の幽香と遊びに来る日も近い……のかな?
5.こーろぎ削除
ちっさいシリーズだ、可愛いし和むな~
自分もフランと同じで雪が降り積もってても布団がかまくら状態ですよw
6.名前が無い程度の能力削除
今回も大変素晴らしかったです。
見つけた瞬間「よっしゃあああああ」と叫んだのはここだけの秘密で。

他の小さい子達の登場と活躍を願います。というか是非見たい!