Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

東方で遊戯王Ⅱ19 『中堅戦』<前編>

2011/01/29 19:05:31
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注:前回からの続きです。



















  ________22:00 幻想郷某所



アリス「(…………)」

アリス「(ああ~、だる……)」

アリス「(身体が重い……。魔理沙の奴、こんな時に大会だなんて……)」

アリス「(何が生理痛には足ツボが一番なのよ。あいつ、適当なこといいよってからに。
    全然、ちっとも、これっぱかしも効かないじゃないの)」

アリス「(おかげで時間かかっちゃった。もうきっと、始まってるわよね。大会)」

アリス「(だいたい、魔理沙ってば。開催場所が博麗神社ですって?
    生理の時は神社に行っちゃいけないのに……デリカシーの無い奴)」

アリス「(そもそも…………なんでわたしが。
    わざわざ観戦なんて行かなくたって、後でテレビでするんだから別にいいじゃない)」

アリス「(そうよ。なんでわたしが、あんな奴のために……)」

アリス「(…………)」

アリス「(来てほしい……のかな。やっぱり)」

アリス「(…………)」

アリス「(……でもやっぱりだるいもんはだるいわね)」

アリス「(まあ、なんでもタダで鍋が食べられるっていうし、適当にコラーゲン摂って帰ろう……)」

アリス「(コラーゲンコラーゲンコラーゲン……)」

アリス「(コラーゲンコラゲンコラゲ……ん?)」

アリス「(………………あの人影、まさか……)」

アリス「あなたは…………〝どうしてあなたが〟、ここに……?」



    *




  ________同刻 博麗神社境内






魔理沙「…………おおっ。ようやく来たか。時間ぎりぎりじゃないか」

衣玖 「よかったです。心配しましたよ。いつになっても姿を見せないから」

妖夢 「すみません。ご心配おかけしました」

幽々子「ごめんね~。あんまりでっかくて、なかなか水に流れなかったのよ」

妖夢 「コラァ! 冗談も選んで言いなさいよ!」

魔理沙「…………ま、まあ、こうして二人で帰ってきたってことは何事もなかったって意味だよな。
    なによりだぜ。こっちの方も、特に怪しい奴は見られなかった」

衣玖 「もうかなり夜も更けてきましたので、一応境内の周りも周回してみました。
    わたしは夜目が利く方ですが、それでも異常らしい異常は見られませんでした」

妖夢 「そうですか……うーん、《七色のレアハンター》がなにか行動を起こすとしたら、
    この時間以外に無い……この考えは間違っていたんでしょうか」

魔理沙「プログラムによれば、この先中堅戦、副将戦、あともつれこめば
    大将戦が控えているが、その間の休憩は一切無いはずだ。
    またにとりの時と同じく、やはり試合中を狙ってくるのか……」

衣玖 「こちらの警戒を鑑みて、計画を断念したという可能性はありませんか?
    行動を起こさなかったのではなく、起こせなかったのでは?」

魔理沙「考えにくいな。
    予告やら置手紙やらで、あれだけわたし達を煽ってきた奴だ。
    つまりこれは計画的な犯行。これぐらい警戒されるのは承知の上のはずだ。
    ちょっとやりにくくなったからって、それだけで中止するとは思えないぜ」

妖夢 「いずれにせよ、今のままじゃやはり我々は後手ですね……。
    できることといえば、周囲の警戒を厳にすることだけ。
    なんとかして、こちらから先手を打てれば……なんですけど」

衣玖 「それはつまり、次に狙われる人がわかれば、ということですか? 難しそうですね……」

魔理沙「今わかっている限りでは《七色のレアハンター》が狙っているのは、
    それぞれの属性が明記されているカードってだけだ。
    すでに水と神属性が奪われたから、残りの五つの属性。
    そのいずれかのカードを持っている奴をこの場にいる中から特定するってのは……
    やっぱり現時点じゃ不可能だよな」

妖夢 「ですよね。うーん……」

幽々子「じゃあね、妖夢。わたしは解説席に戻るから。あとはよろしく」

妖夢 「あ、はい。わかりました……」

妖夢 「(……幽々子様がさっき言っていた言葉。
    犯人が幽々子様を狙わなかった、その事実にわけがあるとしたら、それは何だ……?)」

妖夢 「(単に、幽々子様が与し易い相手ではなかったから? いや、違う。
    今魔理沙さんが言ったとおり、《七色のレアハンター》は予告状なんてものまで送ってきたんだ。
    それなりの計画をもって行動に臨んでいるのは確かだろう)」

妖夢 「(ならば……予め狙うカードは決まっていたということか?
    そして狙いのカードは、幽々子様は持っていない……だから幽々子様は初めから犯人の対象外だった!?)」

妖夢 「(間違いない。幽々子様が、わたしに告げたかったことはそれだ。
    だが、だとしたら……犯人が予めターゲットとするカードを決めていたとしたら、
    そのカードでなくてはならないという、属性以外の更なる理由、法則があるはず……)」

妖夢 「(わたしはまだ、何かを見落としている……?)」

霊夢 「おーい、あんたらー。何すみっこに固まってんのよ。そろそろ続きはじまるわよー」

魔理沙「お呼びか……とりあえず、わたしは引き続き試合中も警戒を続ける。
    衣玖は……あれ? お前ひょっとして、次試合だっけ?」

衣玖 「いや、わたしは対戦カードは見てませんから、いつ試合かは……」

妖夢 「あ、永江さんは副将にしておきました。
    要の中堅は、おそらく向こうも実力のある方を選んでくるはずですので。
    あまりデュエルに慣れてないらしい永江さんは四番手に」

衣玖 「そうですか、お心遣い感謝します。でしたら急ぐ必要はありませんね」

霊夢 「いやいや、早く来てったらー」

魔理沙「中堅戦が終わったらすぐ副将戦が始まるから、今のうちにデッキの編集はしといた方がいいぜ?
    なんなら、わたし達も一緒に見てやるが」

衣玖 「ああ、それはありがたいですわ。一応昨日、改めて組んできたのですけれど……」

妖夢 「わざわざ組み直してきてくれたなんて。本当に、永江さんには頭が上がりませんね。
    今度からは、ばったり遭っても辻斬りは控えるようにします」

衣玖 「ああ、そうですね、控えてください。できれば他のひとにも。
    ええと、これがわたしのデッキなんですが…………あら?」

妖夢 「……? どうかされました?」

衣玖 「おかしいわね……ポケットに入れてきたはずなのに」

文  『あー、あー。
    大会運営委員より、迷子のお知らせを致しま~す。迷子のお知らせを致しま~す。
    本日解説を務めてくださっている、パチュリー・ノーレッジさ~ん? パチュリー・ノーレッジさ~ん?
    運営の射命丸が、あなたを探しています。
    至急、神社拝殿の賽銭箱前までお越しくださいませ~』

霊夢 「……あん? 何なの、この間の抜けた放送は」

衣玖 「迷子のお知らせって……解説ほっぽりだしてどこか行ってしまったのでしょうか」

妖夢 「いや……! これは迷子なんかじゃないです。
    このタイミングで失踪ということは……!」

魔理沙「出たか! 《七色のレアハンター》が!」

文  『あー、あー。もう一度繰り返し致しま~す。
    縞々のパジャマに、ふわふわの帽子~、年中眠たげな目をした、閉所恐怖症のパチュリー・ノーレッジさ~ん? 
    アナウンスが聞こえましたら、至急、拝殿賽銭箱前までいらしてくださ~い。
    あなたがいらっしゃらないと、大会が始められませ~ん。
    とっとと来やがってくださ~い』

文  「…………はぁ~、もう~。何やってんのよあのデブは~。
    やっぱり閉所恐怖症なんかに解説なんて大役任すんじゃなかったかしら。
    ちょっとにとり、ひとっぱしり探してきてよ」

にとり「え~。わたしですかぁ?」

文  「あなた以外ににとりはいないでしょ?」

にとり「そりゃいないでしょうけど……そういう意味じゃなくて」

幽々子「ああ、そういえば。あの魔女はさっき休憩の時に見たわね」

妖夢 「……幽々子様!
    それは本当ですか!?」

文  「なんですかぁ、あなたたちそんな慌てて。
    あなたたちがひとっぱしりしてきてどうするんです。
    わたしが呼んだのは、迷子のパチュリー・ノーレッジさんだけですよ?」

魔理沙「そいつを探してやるってんだよ。幽々子、あいつをどこで見たんだ?」

幽々子「そうねぇ。わたしとは反対方向に行くのが見えたから……多分、宝物殿の方じゃないかしら」

文  「ああ~。そういえば物置に行ってくるって言ってましたもんね。
    すっかり忘れてましたよ。ハハハ」

魔理沙「本殿の裏か! 
    衣玖、ここを頼む。わたしたちは、そこに行ってみるから……」

白蓮 「もう行ってきましたよ。必要はありません」

妖夢 「……聖さん!?
    その、背中に負ぶっている人は……」

パチェ「む、むきゅ~……」

魔理沙「パチュリー……やはり遅かったか」

にとり「ありゃりゃ、これはまた滅茶苦茶にやられてますね。服に足跡ついてるじゃない」

文  「うっはぁ~! できたてほやほやの死体!
    衝撃映像ですねぇ~。激写、激写~♪」

霊夢 「ええい、鬱陶しいフラッシュ焚かないでよ。だいたい、まだ死体じゃないでしょ」

妖夢 「パチュリーさん! 大丈夫ですか?」

白蓮 「衣服は至る所すり切れてますが、大きな怪我はありません。
    頭をうったらしく今は気絶しています。でも、じきに目を覚ますはずですわ」

ぬえ 「見つけたのはわたしなんだけどね。
    後から来た聖が手当てやらなんやら、一人で全部やっちゃったわ。
    あとはその辺に寝せといてやるだけでいいんじゃない?」

幽々子「この賽銭箱の中なんてどうかしら?」

にとり「棺桶にでもするつもりですかあんたは……」

パチェ「う……あいたたた……」

魔理沙「気がついたか。頭を悪くしたらしいが、大丈夫か?」

パチェ「誰の頭が悪いのよ、失礼な。……あいたたた」

白蓮 「怪我は無いですが鈍痛は残っているはずです。少しの間、そこでお休みになって」

パチェ「かたじけないわ。
    うう、あのローブの奴……。わたしの金曜日デッキが負けるなんて……」

妖夢 「ローブ……? 
    まさか、《七色のレアハンター》ですか!?」

パチェ「おそらくね。やられ際、わたしもカードを盗られたから」

ぬえ 「それに、現場にこの紙切れも落ちてたよ」



≪ 虹にかかる七つの光。赤の光は失われた。これで残りは四色となる。

                        ~七色のレアハンター~≫



魔理沙「朱色の便箋……間違いないようだな。今回は……赤の光か。盗られたのは何だ?」

パチェ「〝インフェルノ〟よ」


《インフェルノ/Inferno》 †
効果モンスター
星4/炎属性/炎族/攻1100/守1900
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の炎属性モンスター1体をゲームから除外して特殊召喚する。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
相手ライフに1500ポイントダメージを与える。


霊夢 「じゃあ……やっぱり炎属性だわ! 赤の光!」

魔理沙「だが……インフェルノ? 
    お前は確か、最近は曜日ごとに違う属性のデッキを使うって言ってたよな。
    炎属性ってことは、今日は火曜日だっけか……?」

パチェ「金曜よ。さっき使ったのは、金曜日用の光属性デッキ。火属性のデッキじゃないわ。
    だから盗られたのは火曜日用のデッキからなの」

にとり「わざわざ別のデッキから抜き取ったってことですか? なんでそんな面倒なことを……」

霊夢 「しかし《七色のレアハンター》ってムチャクチャな奴ね。
    こうまでボコボコにする必要があるのかしら」

ぬえ 「この服についた足跡から、割り出しはできないかなぁ?」

白蓮 「さすがにこの程度の汚れだけじゃ無理そうね。はっきり靴跡がうつっているわけでもないし。
    こうして見た限りでは、革靴なのは間違い無さそうだけど……それだけわかってもしょうがないですしね」

妖夢 「(しかし、やはり……こうなると、属性ごとに盗まれているという推理は、ほぼ確定と見ていいだろう。
    でも……)」

妖夢 「(わざわざ違うデッキから奪うなんて面倒な事をしたということは、
    このカードでなければいけない理由があったはず。
    どうして盗まれたのがインフェルノだったのだろう……?
    その理由さえ明らかになれっば、この次に標的にされるカードがわかるんだけど……)」

衣玖 「……あのう、魂魄さん」

妖夢 「永江さん。どうかしましたか? 何か気づかれました?」

衣玖 「いえ、そういうことではないのですが…………そのう、ちょっと耳をよろしいですか?
    実は……」

妖夢 「…………」

妖夢 「……ええっ!? デッキを無くした??」

衣玖 「しっ! 
    ……あまり大きな声は出さない方が。他の方には知られたくありませんし」

妖夢 「でも、どうしてです?
    ……まさか! 永江さんも《七色のレアハンター》に……」

衣玖 「それはまだわかりませんが……でも、心当たりはあるんです。
    さっき境内回りの林を調べてた時に……そのう、ちょっと、転んじゃいまして」

妖夢 「こ、転んだんですか……」

衣玖 「はずかしながら……。
    羽衣が木の枝に引っかかって、後ろに引っ張られるように背中から……」

妖夢 「危ない倒れ方ですね。怪我が無かったのは何よりですが……。
    心当たりとは、その時に落としたかもってことですか?」

衣玖 「ええ、おそらく……。
    ですので申し訳ないのですが、探すのを手伝っていただけませんか?」

妖夢 「承知しました。今すぐ探しましょう。
    副将戦が始まるまでに、なんとしても見つけなければ!」

魔理沙「……あっ、おい! 
    お前ら、すぐ試合だってのにどこ行くんだよ!」

妖夢 「すぐ戻ります! 一時、ここはお願いします!」

魔理沙「……ったく、なんだあいつら。あんなに慌てて、嫁が産気づきでもしたのか?」

魔理沙「(いやいや、くだらんこと言ってる場合じゃないな。
    これでもう三件目……。悔しいが、今のところは《七色のレアハンター》の為すがままだ。
    だがこれだけやると、そろそろしっぽを見せてもいいはず……)」

魔理沙「(大会も大事だが、妖夢たちはどっかいっちまったし、ここはわたしが目を光らせとくしかないぜ。
    それに、この中堅戦は何か大きな波乱が起きても不思議じゃない…………。
    なんてったって、次に出る奴は……)」

幽香 「ねぇ運営、いつまでこのわたしを待たせる気?
    いい加減にしないと、あなたの脳味噌から花咲かすわよ」

文  「ハッ、ついシャッター切ってたら時間を忘れて……。
    はい~、今すぐに~」

文  『ああもう、解説がいないけどしょうがないわ。
    どっかのグロい漫画みたいなことにさせられたくはないです』

文  『お待たせしました! これより中堅戦を開始します! 
    地上チーム、地底チームの中堅を務める方は、境内の中央にお集まりくださ~い!』



    *



幽香 「(……ったく、ようやく出番ね。待ちくたびれたったらありゃしない)」

幽香 「(デュエルモンスターズの大会……。
    わたしは闘うのは好きだけど、あんまり目立つのは好きじゃないのよね。
    だから初めはこんな浮き足だった企画自体どうかと思ったけど…………
    こうして場に立ってみると、意外と悪くないわ。
    先の戦いを見て感化されたのかしら。身体も昂揚している。
    一切の手加減無しに、敵を蹴散らすことを肉体が望んでいる。
    ふふふ、たまには悪くないものね)」

幽香 「(さて……。今宵生け贄となる、可哀想なわたしの対戦相手は……)」

幽香 「(…………ふふふふふ、やはり。来たわね)」

白蓮 「あなたは先ほどの……。
    そうですか。あなたが地上チームの中堅」

幽香 「風見幽香よ。さっきは自己紹介しそびれたわね」

白蓮 「わたくしは聖白蓮。命蓮寺に身を置く僧侶です。
    風見さんと仰るのですね。お手柔らかにお願いしますわ」

幽香 「話は聞いたわ。あなた、幻想郷でも稀に見る聖人君子なんですってね。
    元人間のくせに、妖怪どもの世話をして信望を集めているとか。
    ただの物好き? 自己満足? それとも……偽善、かしら?」

白蓮 「わたしの妖怪達を救いたいという願いは、偽りし心からくるものではありません。
    妖怪のためにつくられた幻想郷といえど、限られた社会の中では少なからず軋轢が存在します。
    本来解放されるべき心の安寧を取り戻すために、わたくしは皆さんとともに手を取り合っていきたい。
    その本懐こそが全てなのです」

幽香 「正直なのは結構なことだわ。ただ、一つだけ忠告してあげる。
    偽善は世を腐らす。
    人間であれ妖怪であれ、その影姿は生と死の二種類でできていることにかわりは無い。
    生物の本質に、あなたのすばらしい理想が差し挟む余地なんて微塵も無いのよ」

白蓮 「あなたはずいぶん長く生きており、その分力を持っているようですね。
    しかしその力も、使い方次第で肯定か否定か分岐する。
    あなたの強大な力は、その岐路に立たされているといえるでしょう。
    今一度、胸に手を当てお考えになって。
    その力は暴力を肯定すべきものでも、自分の思想を押し付けるためのものでもないはずです」

幽香 「ふふふ、確かに。わたしがあなたにどうこう言う権利は無いかもね。
    でも、権利は無くとも権力がある。
    これ以上、低次元で青臭い議論を交わすつもりはないわ。
    わたしの権力で地にひれ伏し、そのまま屍となって草花の養分となりなさい」

文  『なんとなんと~! 
    すでに境内の中央では、今大会始まって以来かつてない険悪な空気が発生しています!
    これはついに、待ちに待った鮮血を見れるかもしれませんねぇ~!
    あ、心臓の悪いお子様は、とっとと歯磨いて寝ちゃってくださいね~!
    一生もののトラウマになっても、お姉さんは知りませんよ~!』

早苗 「あの人、言ってることとは裏腹に満面の笑みですね……」

諏訪子「血が出ればなんでも数字とれるとでも思ってんじゃん? 単純よね~」

勇儀 「え~と、これで勝った方が二勝だっけ? てことは、リーチじゃん。
    だんだん腹すいてきたし、そろそろ鍋にありつきたいな~」

こいし「そうよね~。月の下で鍋なんて最高だわ~。ね、お姉ちゃん?」

さとり「最高……そうなのかしらね。わたしにはわからない。
    地底には太陽はあるけど月は無い。月見なんて、何百年ぶりだもの」

こいし「ああ、そっか。わたしはしょっちゅう地上に出歩いてるけど、お姉ちゃんは久しぶりだもんね。
    ほんと、楽しみだわ。月見鍋~」

さとり「楽しみにするのは勝手だけど、まだその期待が叶うとはわからないわよ」

こいし「へ? なにそれ、どういう意味?」

さとり「今はまだ途中……。笑みを見せるのは早すぎるということ。
    勝利が確定する瞬間まではね。それに……」

こいし「……それに?」

さとり「(…………あの相手チームの中堅、風見幽香といったかしら。
    なんという妖気の質量……底が見えない。
    力み一つ入っていない自然体ながら、これほどの力を持った妖怪は、地底でも鬼ぐらいしか……)」

さとり「(いいえ、それよりも……あの妖怪の心の情景。
    自らの力を疑わない、圧倒的な自信で満たされ、一片の曇りも無い。
    まるで、己だけが神に認められた存在だとでもいうような……)」

さとり「(これは難しいかもしれないわね。この試合も、そして……)」

白蓮 「あくまで改心する気は無いと、そう仰るのですね。
    已む無きことに、力を制する上で力が必要なのも、また事実……。
    その不遜、わたくしの両の腕の中で、善なる心へ浄化してしんぜましょう!
    いざ、南無三―――!!」









 幽香【躍動のバーガディー】LP8000

                 VS
 
                   白蓮【マジックマスターの三千世界】LP8000









幽香 「先攻は…………まあ、あげてもいいんだけど、わたしは相手に塩を送るのは得意じゃないのよね。
    よって先攻はわたしのもの。ドローいくわよ」

霊夢 「譲る気なんてさらさら無いくせに……よくもしゃあしゃあとあんなことが言えるわね」

早苗 「そういえば、あの見慣れない緑髪の方は誰なんです?
    わたし初めてお会いしましたけど」

諏訪子「あんたもかなり緑だけどね」

魔理沙「あいつは風見幽香。見ての通り、妖怪。花咲じじいみたいな能力を持ってる。
    一言で言えば、幻想郷一の外道だ」

早苗 「花咲じじいって外道だったんですか……。なんだかイメージが崩れました」

霊夢 「どういうイメージを持ってたのよ……」

幽香 「(~♪ 
    わたしの手札は、大好きな花たちでいっぱい。胸躍るわ)」

幽香 「セット、セット。エンドよ」



幽香  LP8000:手札4:裏守備、伏せ1
白蓮  LP8000:手札5:無し



白蓮 「……ああ、今法の世界を越え、わたくしの五体全てに光が満ちていく。
    デュエルをできるということは、なんと素晴らしいことでしょう。
    顕界から身を追われ幾星霜……暗く深い法界の淵で、
    わたくしは永久に続くかのような年月を祈りと共に過ごしてきました。
    わたくしが理想とするは、人間と妖怪の完全な平等。
    このデュエルを通じて、わたくしは世間へ訴えましょう。
    願わくば、わたくしのこの心の声が、人間と妖怪、全ての人々に届きますように……」

白蓮 「ドローします。クルセイダー・オブ・エンディミオンを通常召喚です」


《クルセイダー・オブ・エンディミオン/Crusader of Endymion》 †
デュアルモンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1900/守1200
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在する 
魔力カウンターを置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く事ができる。
この効果で魔力カウンターを置いたターンのエンドフェイズ時まで、
このカードの攻撃力は600ポイントアップする。


文  『視聴者のみなさん、改めましてこんばんは~。実況の射命丸です~。
    さて、大会も折り返しに差し掛かっちゃいましたねぇ。
    現在中堅戦、青コーナー風見幽香さんと、赤コーナー聖白蓮さんとの対決の模様をお送りしています』

文  『え~尚、ふいのアクシデントにより解説のパチュリーさんが使い物にならなくなってしまいました。
    幽々子さんだけでは限りなく不安ですので、急遽ゲストの方に席に上ってもらいました~。
    先ほども次鋒戦で素晴らしい闘いを見せていただきました、封獣ぬえさんで~す!』

ぬえ 『ぬえで~す。
    あ、これちゃんとモザイクかかってるのよね? ならオッケーだわ~』

文  『声の方もちゃんと加工しておきますから、存分に喋くり倒していただいて構いませんよ~。
    ぬえさんは、最近になって命蓮寺に住み始めたそうですね。新しい生活はどうですか?』

ぬえ 『変わった妖怪ばかりで楽しいわ。火星に住んでいるような気さえします』

文  『なるほど~! 命蓮寺はエイリアンの巣窟ってわけですね~!
    では無駄話はさておき、早速デュエルの模様をお伝えしていきたいと思います。
    赤コーナー、聖白蓮さんがまず召喚したのは、クルセイダー・オブ・エンディミオン。
    ぬえさんは聖さんと同じ命蓮寺に住んでいるそうですね。
    彼女はどれほどの実力をお持ちなのですか?』

ぬえ 『聖は妖怪達の妖力を一身に受けた、絶世の魔法使い。
    魔法を使わせれば右に出るものはいないわ。
    あれ? 右でいいんだっけ?』

幽々子『いいんじゃない、右でも左でも』

文  『なるほど~! これはデュエルも期待できそうですねぇ。
    デッキの方は何を使われるのでしょう?』

ぬえ 『言ったでしょ、魔法を使わせれば上下左右出るものはいないって。
    聖は魔法を使うのも、魔法使いを使うのもエキスパート。
    なにせわたしだって、あいつにはほとんど勝ったことないんだから。
    特に、あの法界のフィールド魔法が出たら、相手には万に一つも勝機は無いでしょうね。かわいそうに』

文  『おやおや~? そんな魔法カードがあるとは、先が気になりますねぇ~!
    お互いのデュエリストの一挙手一投足に、目が離せません!
    視聴者の皆さんも、遠慮なくテレビの前で金縛りにあっちゃってくださ~い!
    番組が終わるまで動いちゃ駄目ですよ~!』

こいし「あんなこと言っちゃって。
    テレビマンって、押しの強さが無きゃ生きていけないって本当なのね、お姉ちゃん」

さとり「あるいは面皮の厚さとかね」

勇儀 「それはいいけどさぁ、大将。
    うちのチームの中堅、地底の奴じゃないわよね?
    あたしあいつ知らないんだけど、どうなの?」

さとり「わたしも先ほど挨拶して初対面ですので、経歴など詳しい事はわかりません。
    わたしが聞いているのは、最高に腕の立つデュエリストだということだけ。
    それと確かなのは、彼女が口にしているのは本心ということです」

勇儀 「理想がどうたらっていうくだりのことかな? ま、興味ないけどね。
    てか、なんでそんな素性も知らない奴がメンバーなわけ?」

さとり「それは…………確実に我々が勝利するために、より強力な人材が必要だったからです」

勇儀 「ふ~ん、そうなんだ。
    あんた、見かけによらず食い意地張ってるのね。よっぽど鍋が食べたいんだね~」

さとり「(……変な誤解はされたけど、疑ってはいないようね。
    まったく、疲れる……。こういうのは苦手だわ。
    わたしは嘘をつかれてもすぐわかるけど、嘘をつくのは心が痛むし、得意じゃない。
    何を訊かれるかは心を視て前もってわかるのに、それらしく答えられない。
    そうも言ってられないのはわかってるんだけど……)」

さとり「(まあ……現時点では本当のことに気づいているのは誰一人いないわね。
    とりあえず今のところは、わたしは黙って見守りましょう……)」

白蓮 「戦闘しましょう。クルセイダー・オブ・エンディミオンで、裏守備にアタックです」

幽香 「伏せは使わない。破壊されたのはボタニティ・ガールよ」


《ボタニティ・ガール/Botanical Girl》 †
効果モンスター
星3/水属性/植物族/攻1300/守1100
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
自分のデッキから守備力1000以下の植物族モンスター1体を
手札に加える事ができる。


幽香 「イービル・ソーンをサーチするわ」

白蓮 「花……植物のデッキ。きらびやかで美しいですね。
    わたしはメインフェイズ2で、魔法族の結界を発動させます。そちらのターン、どうぞ」


《魔法族(まほうぞく)の結界(けっかい)/Arcane Barrier》 †
永続魔法
フィールド上に存在する魔法使い族モンスターが破壊される度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大4つまで)。
自分フィールド上に表側表示で存在する魔法使い族モンスター1体と
このカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っている
魔力カウンターの数だけ自分のデッキからカードをドローする。



幽香  LP8000:手札5:伏せ1
白蓮  LP8000:手札4:クルセイダー、魔法族の結界



幽香 「あら、伏せカードは無し? 舐められたものね。
    ドロー。イービル・ソーンを召喚」


《イービル・ソーン/Evil Thorn》 †
効果モンスター
星1/闇属性/植物族/攻 100/守 300
このカードをリリースして発動する。
相手ライフに300ポイントダメージを与え、
自分のデッキから「イービル・ソーン」を
2体まで表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚した「イービル・ソーン」は効果を発動する事ができない。


幽香 「起動効果発動。このカードをリリースし、デッキから同名カードを2体特殊召喚。
    さらに効果ダメージよ」

白蓮 「300ですね」LP8000→7700

幽香 「植物の真価はその成長力と繁殖力にある。
    すぐにこの会場も花たちで埋め尽くしてあげるわ。
    場のイービル・ソーン一体をリリース。超栄養太陽を発動。
    その効果により、デッキからローンファイア・ブロッサムを守備表示で特殊召喚」


《超栄養太陽(ちょうえいようたいよう)/Super Solar Nutrient》 †
永続魔法
自分フィールド上に存在するレベル2以下の
植物族モンスター1体をリリースして発動する。
リリースしたモンスターのレベル+3以下の
植物族モンスター1体を、手札またはデッキから特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、
そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。


《ローンファイア・ブロッサム/Lonefire Blossom》 †
効果モンスター(準制限カード)
星3/炎属性/植物族/攻 500/守1400
自分フィールド上に表側表示で存在する
植物族モンスター1体をリリースして発動する。
自分のデッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。


霊夢 「太陽の光で、植物が成長したわ!」

魔理沙「植物だけに、あの展開力はなかなかのものだからな。
    特にあのロンファさえあれば、思うままにデッキから植物を持ってこれる」

幽香 「植物族に疎くても、ローンファイア・ブロッサムの効果を知らない者はいないでしょう。
    このモンスターは場の植物族をリリースして、デッキから新たな植物族を特殊召喚できる。
    イービル・ソーンをリリースし、場に種を撒くとしましょうか。
    現れなさい、フェニキシアン・シード」


《フェニキシアン・シード/Phoenixian Seed》 †
効果モンスター
星2/炎属性/植物族/攻 800/守 0
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送って発動する。
自分の手札から「フェニキシアン・クラスター・アマリリス」1体を特殊召喚する。


幽香 「そしてフェニキシアン・シードの起動効果発動。種よ、死の毒を糧に開花するがいい。
    特殊召喚。さあ花開きなさい、フェニキシアン・クラスター・アマリリス!」


《フェニキシアン・クラスター・アマリリス/Phoenixian Cluster Amaryllis》 †
効果モンスター
星8/炎属性/植物族/攻2200/守 0
このカードは「フェニキシアン・シード」または
このカードの効果でしか特殊召喚できない。
このカードは攻撃した場合、ダメージ計算後に破壊される。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され
墓地へ送られた時、800ポイントダメージを相手ライフに与える。
自分のエンドフェイズ時にこのカードが墓地に存在する場合、
自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する事ができる。


白蓮 「これは……曼珠沙華ですか」

幽香 「そう。まあ、彼岸花ぐらいは誰でも見たことはあるわよね。
    あなた、花に対する造詣はあるかしら?」

白蓮 「わたくしですか? 人間である頃は、よく盛り花を活けていたものです。
    華道は淑女の嗜みですから」

幽香 「なるほど。なら説明は不要としていいかしらね。
    彼岸花の別名は死人花、葉から根、花びらにいたるまで致死毒を巡らせる死の花よ。
    フェニキシアン・クラスター・アマリリスで、クルセイダー・オブ・エンディミオンを攻撃。
    死の香気に毒されなさい」

白蓮 「場の魔法使い族が破壊されたことで、魔法族の結界に魔力カウンターが一つ乗ります」LP7700→7400

幽香 「フェニキシアン・クラスター・アマリリスも破壊される。
    このカードは、破壊され墓地に送られることで毒素を撒き散らす。800のダメージを与えるわ」

白蓮  LP7400→6600

幽香 「そして、エンドフェイズに墓地のイービル・ソーンを除外することで
    フェニキシアン・クラスター・アマリリスは再生する。
    そうこれは不死の死人花。墓地に植物がいる限り、この植物は何度でも花開かせる。
    あなたの生命を糧として、すべて吸い尽くすまでね。ふふふふふ」



幽香  LP8000:手札3:アマリリス、ロンファ、伏せ1
白蓮  LP6600:手札4:魔法族の結界(魔1)



文  『なんと青コーナー風見幽香選手!
    開始間もないターンで、いきなりキラーカードを出してまいりました~!
    わかるひとにはわかる、アマリリスバーンのトラウマ!
    青コーナー、やる気満々、もとい、殺る気満々といった感じですねぇ~!』

ぬえ 『あ~ら、聖だって負けちゃいないわよ。ああ見えて、怒ると怖いんだから~』

文  『さて、その風見幽香さんですが、ただでさえ強いうえにとても好戦的で、
    かの求聞史記でも危険度は極高と表記されております。
    我々天狗の間でもブラックリスト筆頭の危険人物ですねぇ~!
    特に、寝起きなんかに相対した日には、見ただけで人を石にしそうな目つきを繰り出してくるそうです!
    いや~、一度見てみたいものですね~。どうですか、ぬえさん?』

ぬえ 『そうね~。怖い者見たさってのは大事よね。人生にハリと彩りを与えるわ』

幽々子『うふふ。目の鋭さに貴賎無し、ね』

にとり「(わけわからん……)」 

霊夢 「破壊してもターン終了時には復活するモンスター……幽香のやつ、いきなりきっついカードを出してきたわね。
    それにこのおぞましい妖気、久々に間近で感じたわ」

魔理沙「霊夢。あいつの本当の強さについて、考えたことあるか?」

霊夢 「え? 強さって、幽香の?」

魔理沙「ああ。あいつの本当の強さは、その妖力の高さでも能力でもない。
    遠慮に呵責が無いことだ。
    あいつは相手が自分より弱かろうが強かろうが、攻撃に一切ためらいが無いんだ」

早苗 「ためらいが無い? どういうことですか?」

魔理沙「そのままの意味さ。
    例えばわたし達人間は、戦争にしろ真剣勝負にしろ、互いを傷つける行為に及ぶ時に、何も考えずにはいられない。
    人間に危害を加えるのは、物に八つ当たりするのとはわけが違うからな。
    誰であろうとも、無機物を破壊するのと一緒くたにはできない。
    覚悟の差。この違いは、戦いでは思いの他大きいもんだ。
    そういう意味でも、あいつは妖怪の中の妖怪と言えるな」

諏訪子「へ~、あんた若いのに悟ってんじゃん。
    そんなに間違ってないよ、その見解は」

魔理沙「これでもそこそこ修羅場は潜ってきたからな。
    そんな中でも、やはりあいつは別格だった。この前デュエルして、改めて認識したぜ」

早苗 「どんな相手でも容赦しないってことですか……。
    味方ながら、とんでもない悪人さんですね」

魔理沙「大雑把だが間違いじゃないな。
    いずれにせよ、この勝負は見ものってことだ。
    言うなれば、この戦いの構図は……」

さとり「(……『善対悪、そのもの』、ですか。
    ふふふ、確かに。あながち過言ではありませんね)」

さとり「(しかし魔理沙さん。あなたは勘違いをしている。
    本質的な意味で善と悪がぶつかった場合、あなたはどれだけの拮抗の末だろうと、
    最終的には悪が勝つと思っている。
    現実主義者ですね。
    あなた自身は善の属性に依る人間であることを自覚しながら、現実において勧善懲悪は
    ただの理想でしかないと、心のどこかで見做している)」

さとり「(一見、その見解はリアリズムを踏襲した懸命な判断であると見えるでしょう。
    でも、それは違うのです。幾千、幾万の心を視てきたわたしにはわかる。
    同質の善と悪が真っ向から相対したとき、勝つのは間違い無く、善の側に他ならないのです……)」

白蓮 「わたくしのターンですね」

白蓮 「あなたの心はあらぬ邪心に満ちています。わたくしが解き放ってさしあげましょう。
    カードを一枚伏せ、モンスターをセット。ターンエンドです」



幽香  LP8000:手札3:アマリリス、ロンファ、伏せ1
白蓮  LP6600:手札3:裏守備、魔法族の結界(魔1)、伏せ1



幽香 「うそ臭い奴ね。
    わたし、何が嫌いって、そういう奴ほど嫌いなものは無いの。
    カカトを潰して歩く人間と同じ臭いがするわ」

幽香 「ドロー。ローンファイア・ブロッサムの起動効果発動。
    このカードをリリースし、デッキからギガプラントを攻撃表示で特殊召喚」


《ギガプラント/Gigaplant》 †
デュアルモンスター
星6/地属性/植物族/攻2400/守1200
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、
通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●自分の手札または墓地に存在する昆虫族または植物族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。


白蓮 「上級モンスター……。結構なお手前ですわね」

幽香 「ふふふ。どんな啖呵を切っても結構だけど、場合によっては火に油、
    いえ、ウランにプルトニウムを注ぐ結果になるかもしれないわよ」

幽香 「ギガプラントを再召喚。効果モンスターとなることで、優先権を使って起動効果を使うわ。
    墓地のローンファイア・ブロッサムを特殊召喚。
    ローンファイア・ブロッサムをリリースし、2体目のギガプラントを攻撃表示で特殊召喚」


    フェニキシアン・クラスター・アマリリス   攻撃力2200

    ギガプラント   攻撃力2400

    ギガプラント   攻撃力2400


霊夢 「わっ!? 一気に上級が3体に……」

幽香 「綺麗な花にはトゲがある。わたしほどの薔薇ならば当然ね。
    アマリリスを攻撃表示に変更。
    再召喚していないギガプラントで、裏守備を攻撃!」

白蓮 「見習い魔術師ですわ。戦闘で破壊されたことで誘発効果が発動します。
    デッキから見習い魔術師を裏守備でセット。
    同時に、魔法族の結界に魔力カウンターが乗ります」


《見習(みなら)い魔術師(まじゅつし)/Apprentice Magician》 †
効果モンスター
星2/闇属性/魔法使い族/攻 400/守 800
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
フィールド上に表側表示で存在する魔力カウンターを
置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く。
このカードが戦闘によって破壊された場合、
自分のデッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を
自分フィールド上にセットする事ができる。


幽香 「(……魔力カウンター。
    わたしのデッキには魔法・罠破壊は少ない。小賢しいわね。でも……)」

幽香 「それぐらいでわたしに攻撃を躊躇させれると思って? 
    もう一体のギガプラントでアタックよ!」

白蓮 「同じことですね。破壊され、効果でナイトエンド・ソーサラーをセットします。
    これにも攻撃するのでしょう?」

幽香 「当然。墓地に直行させてあげる。
    攻撃したアマリリスは破壊されるわ。あなたのモンスターもね」


《ナイトエンド・ソーサラー/Night's End Sorcerer》 †
チューナー(効果モンスター)
星2/闇属性/魔法使い族/攻1300/守 400
このカードが特殊召喚に成功した時、
相手の墓地に存在するカードを2枚までゲームから除外する事ができる。


白蓮  LP6600→5800

幽香 「とりあえずこのぐらいでいいかしら。
    エンドフェイズに墓地のイービル・ソーンを除外、アマリリス再生よ」



幽香  LP8000:手札4:アマリリス、ギガプラ2、伏せ1
白蓮  LP5800:手札3:魔法族の結界(魔4)、伏せ1



白蓮 「ドローします。マジカル・コンダクターを召喚」


《マジカル・コンダクター/Magical Exemplar》 †
効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1700/守1400
自分または相手が魔法カードを発動する度に、
このカードに魔力カウンターを2つ置く。
このカードに乗っている魔力カウンターを任意の個数取り除く事で、
取り除いた数と同じレベルの魔法使い族モンスター1体を、
手札または自分の墓地から特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。


幽香 「ようやく攻める気になったみたいね。待ちくたびれて顎が外れそうだったわ」

白蓮 「あら、失礼しました。ならば嵌め直してさしあげますわ。
    手札から、トゥーンのもくじを発動」


《トゥーンのもくじ/Toon Table of Contents》 †
通常魔法
「トゥーン」という名のついたカードをデッキから1枚手札に加える。


霊夢 「トゥーンですって?」

魔理沙「いや、デッキ自体にトゥーンは関係ないな。あれはカウンター稼ぎのためカードだ」

白蓮 「デッキからトゥーンのもくじを手札に加えます。魔法カードが増加したことで、マジカル・コンダクターに魔力カウンターが二つ乗りますね」

白蓮 「わたくしはもう一度、トゥーンのもくじの効果で、三枚目のもくじを加えます。
    そして三枚目のこのカードを使用し、デッキからトゥーン・ブラックマジシャン・ガールを手札に加えます。
    さらに闇の誘惑を発動」


《闇(やみ)の誘惑(ゆうわく)/Allure of Darkness》 †
通常魔法(制限カード)
自分のデッキからカードを2枚ドローし、
その後手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。
手札に闇属性モンスターがない場合、手札を全て墓地へ送る。


白蓮 「2枚ドローし、トゥーン・ブラックマジシャン・ガールを除外。
    さらにコンダクターにカウンターが乗ります」

文  『青コーナー聖白蓮さん、器用に場にカウンターを貯めていきます!
    元人間のくせに、なかなか小癪ですねぇ~。
    果たして、これが反撃の狼煙となるのでしょうか?』

ぬえ 『反撃も何も、まだ聖は何もされたと思ってはいないわ。
    この程度、危機のうちにも入ってないってね』

白蓮 「マジカル・コンダクターの起動効果を使用します。
    乗っている魔力カウンターを取り除き、その数と等しいレベルの墓地の魔法使い族を特殊召喚します。
    ナイトエンド・ソーサラーを攻撃表示で特殊召喚」

白蓮 「あなたのデッキは墓地のモンスターを糧に根を張り、フィールドを一気に制圧する戦術と推察しました。
    よって原動力となる墓地を封じ込める手が最善と考えます。
    ナイトエンド・ソーサラーが特殊召喚した時、相手の墓地のカードを二枚まで除外することが可能。
    イービル・ソーンとローンファイア・ブロッサムを除外します」

早苗 「除外……! これは植物デッキにはきついですね。
    墓地の植物がいなくなれば、不死身のアマリリスも再生できなくなる……」

白蓮 「ナイトエンド・ソーサラーはチューナーです。
    よってマジカル・コンダクターとチューニングすることで、
    レベル6のモンスターをシンクロ召喚できますが……うふふ、何もそう急くことはありません。
    わたくしはゆっくりと、しかし確実に、あなたを振り向かせるよう信頼を得ていきましょう」

白蓮 「バトルフェイズに移ります。
    ナイトエンド・ソーサラーで、守備表示のフェニキシアン・クラスター・アマリリスにアタックしますよ」

幽香 「ふっ、破壊されても、わたしの墓地にはまだ植物族が残っている。まだ復活は可能よ。
    アマリリスの毒を受けなさい」

白蓮 「その前に。わたくしは攻撃宣言にチェーンして、場のトラップを発動します。
    これはマジシャンズ・サークル」


《マジシャンズ・サークル/Magician's Circle》 †
通常罠
魔法使い族モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のデッキから
攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。


白蓮 「デッキから攻撃力2000以下の魔法使い族を特殊召喚できます。
    わたしは霊滅術師カイクウを選択。
    この効果はお互いのプレイヤーに及ぶため、あなたのデッキにももし魔法使い族がいれば、
    それを特殊召喚できますが……どうかしら? 
    もしいなければ、確認のためにデッキを拝見させていただきますよ」

幽香 「白々しい物言いね。
    わたしのデッキが植物族しかいないと踏んで、自分だけ特殊召喚するつもりだったんでしょうに」

幽香 「でもね。残念ながら、当ては外れよ。
    わたしはバイオレット・ウィッチを特殊召喚」


《霊滅術師(れいめつじゅつし) カイクウ/Kycoo the Ghost Destroyer》 †
効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守 700
このカードが相手に戦闘ダメージを与える度に、
相手墓地から2枚までモンスターを除外する事ができる。
またこのカードがフィールド上に存在する限り、
相手は墓地のカードをゲームから除外する事はできない。


《バイオレット・ウィッチ/Violet Witch》 †
効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1200
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキから守備力1500以下の植物族モンスター1体を手札に加える。


白蓮 「あら、魔法使いがいたなんて。少々想定外でしたわ。
    でもこれぐらいささいな誤算であれば、いくらでも修正はできそう。
    手札から速攻魔法です。エネミーコントローラー」


《エネミーコントローラー/Enemy Controller》 †
速攻魔法
次の効果から1つを選択して発動する。
●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の表示形式を変更する。
●自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。
このターンのエンドフェイズ時まで、相手フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体のコントロールを得る。


幽々子「(ふうん……エネコンか。うまいわね)」

白蓮 「ナイトエンドソーサラーをリリースし、デュアル状態の方のギガプラントのコントロールを得ます」

幽香 「(……チッ、奪われたか。
    ギガプラは相打ちされるわね。2体とも落ちる。
    ギガプラじゃなくてティタニアルを呼んでくるべきだったかしら)」

白蓮 「改めて戦闘に移りましょう。
    わたしのギガプラントであなたのギガプラントを、
    マジカル・コンダクターでフェニキシアン・クラスター・アマリリスを、
    そして霊滅術師カイクウで、バイオレット・ウィッチをそれぞれ攻撃」

幽香 「アマリリスの毒を受けてもらうわ。
    バイオレット・ウィッチの誘発効果で、デッキからダンディライオンを手札に加える」LP8000→7300

白蓮 「くすくす。ではこちらも誘発効果です。
    霊滅術師カイクウは相手に戦闘ダメージを与えた時、相手の墓地のモンスターを二枚まで除外することができます。
    この効果で、ギガプラントとフェニキシアン・クラスター・アマリリスを除外。
    うふふ、これで復活はできませんね」LP5800→5000

白蓮 「メインフェイズ2で、魔法族の結界の効果発動。
    このカードとカイクウを墓地に送ることで、このカードに乗っていたカウンターの数だけドローします。
    わたしは4枚ドロー。リバースカードを1枚伏せて、ターンエンドです」



幽香  LP7300:手札5:伏せ1
白蓮  LP5000:手札5:コンダクター(魔8)、伏せ1



パチェ「……相手の場を空にしたうえ、墓地リソースも除去。そして大量ドローまで……。
    あの僧侶、プレイング技術も相当なもの……」

霊夢 「パチュリー……! 
    あんた、もう起きて大丈夫なの?」

パチェ「もともとたいした怪我をしていたわけじゃないわ。もう平気よ。
    服は汚れちゃったけど……」

早苗 「帽子にも思いっきり踏んづけられた跡がありますね。まったく、ここまでする必要があるんでしょうか。
    改めて、犯人に対して憤りを禁じ得ません!」

諏訪子「あんたって変なとこでアツくなるよね」

魔理沙「(まあ、確かに乱暴な奴であることは確かなようだが……。
    とはいっても、自分の姿を見られた口封じのためというならば、この程度の怪我で済むはずがない。
    犯人の狙いは、やはりカードを奪うこと……)」

魔理沙「(……いやいや、いかんな。とりあえず今は考えに没頭するのはよそう。
    妖夢達はいないから、何かあったとしたらわたししか気づける者はいない。
    隅々にまで目を光らせつつ、試合にも集中しなきゃ……)」

幽香 「やってくれるわね。でも、まだわたしのライフはかすり傷ほどしか減ってないわよ?
    対してそっちはもう5000。肉体のダメージで言えば、すでに右腕骨折ってとこ? 
    かわいそうに、片手じゃ洗濯も出来ないわね」

白蓮 「ずいぶんはっきりとした煽り方をされるのですね」

幽香 「そりゃ、どれだけ煽ったところでわたしが損をするわけでもないからねぇ。
    それに楽しいじゃない。わたしの言葉に翻弄されて、右往左往している奴らを眺めるのは」

白蓮 「なるほど……歪んだパーソナリティの持ち主のようですね。
    ぜひとも矯正したいですわ。
    どうでしょう? 
    この勝負でわたくしが勝ったら、明日から日に二回、命蓮寺に必ず通い詰めるというのは?」

幽香 「……命蓮寺?」

幽香 「あははははは、何それ!
    聞いた、魔理沙? こいつ、わたしを出家させたいらしいわよ。
    剃髪染衣っていうんだっけ、こういうの。
    丸坊主ね。はははは」

魔理沙「まあ、そういう意味じゃないんだろうけどな」

白蓮 「受けていただけるという意味で、よろしいでしょうか?」

幽香 「ああ~、もちろんオーケーよ。
    いやぁ、こんなに笑わせてもらったのだもの。それぐらいのお礼はしなきゃね。
    ああ、一応言っとくけど、じゃあわたしが勝ったら何をしてくれる、なんて訊くつもりはないわ。
    何でもかんでもいちいち物事に交換条件を持ち込むほど、器が小さいつもりはないから」

白蓮 「くすくす、左様ですか。
    結構です。その豪気、厚意ととらせていただきましょう」

幽香 「ひと笑いしたら、身体が高揚してきたわ。ドロー!
    墓地のフェニキシアン・シードを除外。薔薇の刻印を発動」


《薔薇(ばら)の刻印(こくいん)/Mark of the Rose》 †
装備魔法
自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外して発動する。
このカードを装備した相手モンスター1体のコントロールを得る。
自分のエンドフェイズ時に装備モンスターのコントロールを相手に移す。
自分のスタンバイフェイズ時に装備モンスターのコントロールを得る。


幽香 「薔薇の刻印を受けたモンスターは、わたしのしもべになる。
    さっきはよくもわたしのかわいい草花を奪ってくれたわね。
    お返しよ。マジカル・コンダクターに装備、こいつをいただくわ」

幽香 「こいつは乗っているカウンターの数のレベルの魔法使い族を蘇生できるんだったわね。
    なかなか便利そうだから、使わせてもらおうかしら。
    魔力カウンターを四つ取り除き、バイオレット・ウィッチを攻撃表示で特殊召喚」

霊夢 「……今度は、幽香が相手のカードを利用した!?」

魔理沙「やられたらやり返す、か。
    あいつらしいが、普通なら言って簡単に実践できるようなことじゃないぜ。さすがだな」

幽香 「とりあえずバトルいっておきましょうか。
    バイオレット・ウィッチで、白蓮にダイレクトアタック!」

白蓮 「勝負を請け負った以上、わたしは万に一つも負けるつもりはありません。
    そう、他ならないあなたを正すために。今宵、わたしはあえて、鬼神となりましょう。
    二枚目のマジシャンズ・サークルを発動します。
    デッキより、マジカル・マリオネットを特殊召喚」


《魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)/Magical Marionette》 †
効果モンスター
星5/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1000
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分または相手が魔法カードを発動する度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く。
このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、
このカードの攻撃力は200ポイントアップする。
また、このカードに乗っている魔力カウンターを2つ取り除く事で、
フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。


幽香 「(ふん、鬱陶しい。二枚目があったか……)
    わたしのデッキにはもう魔法使い族はいないわ。確認すれば?」

白蓮 「……ふむふむ。なるほど、このようなデッキ構成ですか。
    わかりました。確かに魔法使い族はもうありませんね」

幽香 「(む。まさか……今のは、デッキの中身を見るのが目的だった?
    こいつ、澄ました顔でしたたかなことを……)」

幽香 「ふふふ、まあいいわ。
    デッキの内容を知って有利になった、そんな浅はかな見立てで得意気になった、
    その鼻をあかす楽しみが増えたということにしておきましょう。
    攻撃は中止。メインフェイズ2で、リバースカードオープン。DNA改造手術」


《DNA(ディーエヌエー)改造手術(かいぞうしゅじゅつ)/DNA Surgery》 †
永続罠
発動時に1種類の種族を宣言する。
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上の全ての表側表示モンスターは自分が宣言した種族になる。


白蓮 「(これは……種族操作ですか)」

幽香 「このトラップにより、全ての場のモンスターは遺伝情報を組み替えられ、全て植物族となる。
    この意味がわかるかしら? わたしの能力は、植物を意のままに操ることのできる能力。
    これで、このフィールドはわたしの思うがままということよ。
    手札から、フレグランス・ストームを発動」


《フレグランス・ストーム/Fragrance Storm》 †
通常魔法
フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体を破壊し、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
さらに、この効果でドローしたカードが植物族モンスターだった場合、
そのカードをお互いに確認し自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。


幽香 「マジカル・マリオネットにカウンターを溜められたら、少し面倒だからね。
    植物族と化したそいつを破壊するわ。
    そして1枚ドロー。ドローしたカードはウィードだったから、さらにもう1枚ドローするわよ」

早苗 「凄い……どんどんアドバンテージを稼いでいきますね」

諏訪子「いいねいいね。植物を操るって話もまんざらじゃないね」

幽香 「せっかくドローしたんだしねえ。じゃあ、こいつをだしてやろうかしら。
    手札からウィードを召喚」


《ウィード/Nettles》 †
チューナー(効果モンスター)
星2/地属性/植物族/攻1200/守 400
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、
代わりに自分フィールド上に表側表示で存在する
このカード以外の植物族モンスター1体を破壊する事ができる。


勇儀 「おおっ、きたねチューナーが!」

こいし「シンクロ召喚ねっ!」

幽香 「レベル4のマジカル・コンダクターにレベル2のウィードをチューニング。
    シンクロ召喚よ。出でよ、スプレンディッド・ローズ」


《スプレンディッド・ローズ》 †
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/植物族/攻2200/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分の墓地に存在する
植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力を
このターンのエンドフェイズまで半分にする。
また、このカードが攻撃したそのバトルフェイズ中に、
自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードの攻撃力をエンドフェイズまで半分にし、
もう一度だけ攻撃する事ができる。


文  『きましたきました、シンクロ召喚~!
    青コーナー風見幽香さん、切り札で先制です!
    このまま一気呵成に決めてしまうのか~!?』

幽香 「切り札ですって? まったく、勝手言ってくれるわ。
    この程度のモンスターが切り札だなんて。邪推って嫌よね」

幽香 「切り札というのはね、せめてこれぐらいのカードのことを言うのよ!
    フィールド魔法発動、ブラック・ガーデン!」


《ブラック・ガーデン/Black Garden》 †
フィールド魔法
「ブラック・ガーデン」の効果以外の方法で
モンスターが召喚・特殊召喚に成功した時、そのモンスターの攻撃力を半分にし、
そのモンスターのコントローラーから見て相手のフィールド上に「ローズ・トークン」
(植物族・闇・星2・攻/守800)1体を攻撃表示で特殊召喚する。
自分はこのカードとフィールド上に表側表示で存在する
全ての植物族モンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力の
合計と同じ攻撃力のモンスター1体を自分の墓地から選択して特殊召喚する事ができる。


白蓮 「!?」

霊夢 「な、なに!?
    このフィールド……」

早苗 「どこもかしこもイバラだらけ……。
    うかつに動いたら怪我をしそうです」

幽香 「ようこそ、我が夢幻館の庭へ。
    このイバラの庭園は、魔と瘴気の胎海。言うなら、わたしの子宮も同然。
    存分に悶え狂わせてちょうだい。うふふふふ……」



    *



  ________22:20 林(境内周辺)



妖夢 「(…………この歓声。始まったな、中堅戦が)」

妖夢 「(もし勝利すれば、二勝目。
    あと一勝でチームの勝ちが確定する状況に立てる。
    この大会の分岐となる大事な試合……。
    風見さんなら、そうそうやられることはないとは思うけど……)」

妖夢 「(……それにしても、デッキ、見つからないなぁ。
    こう暗いと、足元すらよく見えないし)」

妖夢 「永江さんが転んだっていうのは、どの辺ですか?」

衣玖 「ええと、そろそろだと思うのですが……たぶんですけれど」

妖夢 「羽衣を枝に引っ掛けたと言ってましたよね。
    やっぱりふわふわしてるから、こう背の低い林の中だとそういうことも多いんでしょうね」

衣玖 「いえ、この緋色の羽衣はただ空中にたゆたっているように見えますが、
    基本はわたしの意のままに操ることができます。
    だから普通は気をつけていれば、生い茂る藪の中を突き進んだとしてもぶつかることはないのです」

妖夢 「へぇ~、まるでそれ自身が生きてるみたいですね。
    でも、それじゃあさっきはどうして引っ掛けちゃったんですか?」

衣玖 「まあ、たいしたことではないのですが……
    ―――というより、少し恥ずかしいのであまり言いたくはないのですが―――
    林の隙間から、猫が飛び出すのが見えたんです。
    それがちょっとかわいらしかったので、そのう……」

妖夢 「はあ。それに気をとられて、ということですね」

衣玖 「つい手を伸ばして屈もうとしたら、その時に…………ああ、こんなことを話すなんて、お恥ずかしい。
    顔から火が出る思いですわ」

妖夢 「(……そんなに恥ずかしいものかしら。やっぱりこの人、どこかズレてるよなぁ)」

妖夢 「(にしても……猫ねぇ。この辺に猫なんて出たっけ? 捨て猫かなぁ……)」

衣玖 「ええと、この辺だったかしら。
    どこかで落としたとしたら、あの時以外に無いとは思うのですが」

妖夢 「無くしたデッキは、どんなケースに入れてたんですか?」

衣玖 「アリスさんの肖像画が描いてあるやつです。雨宮結鬼さんがイラストした」

妖夢 「それVisionのデッキケースじゃないですか……。
    どっから手に入れたんです?」

衣玖 「デッキもそうだけど、ケースもお気に入りだったから失くしたくないんですよね……。
    いったいどこで落としたのやら」

妖夢 「(こ、答えになってない………………ん?)」

妖夢 「永江さん、あれは違いますか?
    そこの岩の上に置いてある物体は」

衣玖 「えっ? 
    ……あ、そうです! ありました、このデッキケースです!
    このツンと澄ました感じのアリスさんの絵で間違いありません。
    よかったわ、見つかって」

妖夢 「わたしも安心しました。
    足元ばかり探してたから、腰の高さの岩の上にあるなんて、逆に気づきませんでしたね」

妖夢 「(…………ん? 腰の高さ?)」

妖夢 「……永江さん、おかしくありませんか?」

衣玖 「えっ? 何がでしょう」

妖夢 「だって、永江さんはそれを〝落とした〟のでしょう?
    その落としたデッキが、なぜこんな目立つ岩の上に置いてあるんです?」

衣玖 「……確かに。わたし達も落としたと思っていたからこそ、今まで地面ばかり探していたのに。
    どういうことかしら?」

妖夢 「(可能性としては…………風に飛ばされた? 
    いや、違う。誰かが〝置いた〟んだ。
    おそらく、落ちているデッキを見つけて……)」

妖夢 「(まてよ……だとしたら、ここに置いたその人物は……!)」

妖夢 「永江さん! そのケースの中のデッキ、今すぐ確認してください!」

衣玖 「確認って…………はっ! まさか……!?」

妖夢 「そのまさかです。
    ここに置いたのは、《七色のレアハンター》かもしれません。
    もしそうだったとしたら、すでにデッキからカードが抜かれている可能性があります!」

衣玖 「……わかりました! 今すぐに………。
    ………!?」

衣玖 「魂魄さん……これを。
    ケースの底に入っていました」

妖夢 「(これは……黄色の便箋。ということは、中身は……)」



≪ 虹にかかる七つの光。黄の光は失われた。これで残りは三色となる。

                        ~七色のレアハンター~≫




妖夢 「(くっ……! 《七色のレアハンター》め!)」


















                                             ・・・・・・Leading to the second half
~おまけ・その頃のレミリアさん~



レミ 「ねえ、咲夜」

咲夜 「……はい?」

レミ 「話があるの。そこ、座って」

咲夜 「はあ。随分あらたまって、どうかされました?」

レミ 「前々から思ってたことがあるの。聞いてくれる?」

咲夜 「ええ。わたしでよければ」

レミ 「デッキにレモンをもう1枚入れたいんだけど……2500円で足りるかしら」

咲夜 「(……ジャンプ買ってきてください)」
クラミ痔あ
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コメント



1.藍色狐削除
聖は魔力カウンターですか。アリスが使用済みなので第一候補からは外れてましたよ。
対する幽香は……ああ、アマリリスバーンのトラウマ抉らないで~。

今回は目立ったミスも無かったかと。ただ、一ヶ所だけ。
「南無散」ではなく「南無三」ですね。
2.クラミ痔あ削除
>>1
うわあ、決め台詞を間違えるとは……。
ある意味ひどい間違いw
ご指摘ありがとうございます~。修正しました。
3.名前が無い程度の能力削除
真っ先に椿姫がとんでくると思ったwギガプラントはレアリティがノーマルなのが不思議なくらいの性能だなぁ(ゲイルとかは除く)

気になったところは、レモンはVJじゃなくてWJだった気がする
4.クラミ痔あ削除
>>4
ありがとうございます。週間の方でしたね。
修正させていただきました。