注:前回からの続きです。
________19:50 大会当日・博麗神社境内
霊夢 「ああああああああああああああああ」
霊夢 「お腹減ったあああああああああああああああ……いたっ! ちょっと、何すんのよ」
魔理沙「のっけから何やってんだお前は。登場ぐらいしっかりしろよ」
霊夢 「だってお腹が減ったのよぅ~。
もう七時過ぎてるのよ? なんでご飯食べさせてくれないの」
魔理沙「もう少しの辛抱だって。せっかく人が鍋を驕ってやるって言ってんだから、黙って座って待ってろよ」
霊夢 「辛抱ったって、食べれるのはデュエル大会が終わった後なんでしょう?
深夜になっちゃうじゃない。餓死したらどう責任とってくれるのよ」
魔理沙「心配するなって。いざとなったら鼻からマロニーでも流し込んでやるさ」
妖夢 「(せめて口から入れてやればいいのに……)
それにしても、遅いですね。地底の方々は」
諏訪子「確かに。そろそろ来てもいい頃なのにねぇ」
幽香 「ふん、お決まりの武蔵戦法に決まってるわ。
地底の妖怪はどいつもこいつも底意地が悪いからね」
衣玖 「まあまあ。集合は七時半でしたが、大会開始は八時です。
決めてかかるのはよろしくないかと」
幽香 「集合時刻に集まらないと集合時刻の意味がないと思うんだけど。
ひょっとしたら、地上に一点に集まっている妖気を感じて恐れをなしたのかもね」
魔理沙「というか、お前ら普通に会話してるけど、いつ自己紹介済ませたんだ?」
幽香 「自己紹介?
そういえば……あなた誰?」
霊夢 「してなかったんじゃない」
衣玖 「永江衣玖と申します。
わたしの空気を読む程度の能力を使えば、初対面の方と会話をこなすぐらい造作もありません」
妖夢 「意外と便利な能力だったんですね」
幽香 「風見幽香よ。なにかと思ったら、能力だったのね。
てっきり十年来の親友と話している感覚だったわ」
魔理沙「しかし、どうする?
もしこのまま来なかったりしたら、運営としても形無しだろう」
文 「そうですが……当然、試合放棄なんてさせません。
定刻が過ぎたら、あなた方に直に迎えに行ってもらいます。
せっかく照明や音響設備まで設置したんですから、絶対に今日大会は行います」
魔理沙「また地の底まで出向けってのか? お前が自分で行ってこいよ」
文 「……あのねぇ。あなたわかってて言ってるでしょう。
わたし達妖怪は、勝手に地底には潜れない決まりになってんですよ。
まあ、そう言われると思って、すでににとりを使いに出しています。
それでも彼女達が来なかったら、その時は来なかったで構いません。
その時は、溜めに溜めた地底の妖怪達のスキャンダルを新聞にしてばら撒くだけですから。
二度と表に出れないようにしてやるわ。うふふふふ」
魔理沙「決まりなのに無理やり潜らされる河童もかわいそうだな。おおかた弱みでも握られたのか」
幽々子「あら、おもしろそうね。今度一部いただこうかしら」
文 「はいはいまいどありがとうです~♪
契約期間は、一年間から死ぬまでとなっておりますよ~」
パチェ「変わり身の早い天狗……。バイタリティに溢れてるのね」
霊夢 「パチュリー! あんたもいたの」
パチェ「いたのよ」
文 「彼女には、わたしが今回の大会での解説をお願いしました」
魔理沙「お前が呼んだのか。よく引っ張り出してこれたもんだな。デブのこいつを」
パチェ「出不精でしょう。適当に略さないでほしいわね」
幽々子「解説なんて、わたし一人で十分なのにねぇ。ベースボゥ~ルじゃあるまいし」
霊夢 「なんで横文字なのよ……」
妖夢 「(解説なんて言われて、幽々子様の方も心配だったけど……。
なんにせよ知識人も一緒なら、とりあえず安心かな)」
諏訪子「てかさぁー、なんで早苗もいんの?
留守番って言ったじゃん」
早苗 「いやぁ、そのですね。やっぱり我慢できなくて、来ちゃいました」
諏訪子「留守番って言ったじゃん」
早苗 「(二回言われた……)
い、いいじゃないですか。別に大会に出してもらおうなんて思っちゃいませんよ。
そういう約束でしたし、諦めてます。
今日は応援と観戦に来たんですよ」
諏訪子「ふーん。まあいいや。
一応訊くけど、このこと神奈子には言ってないだろうね?」
早苗 「ええ。それは、もちろん」
諏訪子「じゃあ、神社出る時あいつに何て言ってきたのよ」
早苗 「えーと。とりあえず、郷里の母が脳溢血で倒れたってことにしときました」
霊夢 「仮にも神様相手に、なんちゅう罰当たりな嘘を……」
パチェ「(……あの娘も咲夜と同レベルね)」
早苗 「それより諏訪子様、頑張ってくださいねっ。
もうわたし、めいっぱい応援しちゃいますから!」
諏訪子「そりゃ頑張るけどさ~」
魔理沙「どうせお前のはカエルデッキなんだろ? あんまり頑張りようもないよな」
諏訪子「あ~、今馬鹿にしたね?
わたしのケロちゃんデッキには、オベリスクの巨神兵、すなわち神のカードが入ってるんだよ?
神様だけに。ね、すごいでしょ~」
妖夢 「絶対事故ると思うんで、後で抜いといてくださいね……」
文 「……あーもう、仕方ないわね。
このまま何もしないのも時間がもったいないですので、選手の方々にインタビューでもしておこうと思います。
えー、まずは風見幽香さん。
あなたは公式的な大会への参加は今回が初ということですが、今のお気持ちは?」
幽香 「あん? 天狗の指図なんか受けないわよ」
文 「いや、指図ではなくインタビューなんですが……。
えーと、相手は地底の妖怪達ですが、打ち破る自信はございますか?」
幽香 「打ち破るどころか、叩きつけて、捻り潰して、すりおろして花達の肥料にしてやるわ」
文 「おお~。いやはや、恐いぐらいの自信ですねぇ~!
最後に、意気込みをどうぞ」
幽香 「最近肌が荒れやすいから、帰ったら光合成しようかしら」
文 「ってアッー! にとりがいないから誰も撮影してないじゃないの。
も~、何やってんのよ~」
妖夢 「(始まる前なのに、すでに会話が混沌としている……。
こんな調子で、本当に大丈夫なんだろうか……)」
妖夢 「(……いけないいけない。不安は覚悟の上だったはず。
それより、こちらはこちらで、問題を解決しないと……)」
妖夢 「……あのう、魔理沙さん。
ちょっとこっちに来てもらっていいですか?」
魔理沙「何だ? こんな今さらになって、大事な話でもあるってのか?」
妖夢 「実はそうなんです。他の方にはなるべく聞かれたくなくて」
魔理沙「ほう。で?」
妖夢 「これを見てください」
魔理沙「待った。どうせ見せるなら、読者のためにも一回コピペしといてやれ」
妖夢 「(面倒くさいな……)
……わかりましたよ。これです」
≪ 明日繰り広げられし、大いなる遊戯
死者も、生者も、陰陽も。夢集う聖餐の場で
放たれし札の剣、響き合いし矜持の声
色達よ、百花繚乱に咲き乱れし時
我、汝らの剣を侵奪に参上す
~七色のレアハンター~≫
魔理沙「ずいぶん可愛い封筒だな。
なになに………………汝らの剣を侵奪に参上す……《七色のレアハンター》!?
なんだこりゃ……」
妖夢 「この手紙が、昨日白玉楼に置いてあったんです。
幽々子様は、犯行予告だって決めてかかってますけど……」
魔理沙「大いなる遊戯……放たれし札の剣、か……ふむふむ」
妖夢 「……あの、聞いてます?」
魔理沙「……なんと!
これは犯行予告じゃないか!」
妖夢 「今言いましたよっ。やっぱり聞いてなかったんじゃないですか」
魔理沙「聞いてるなんて言った覚えは無いぜ。
それより、この手紙……レアハンターを名乗るってことは、間違いなくカードを奪いに来るってことだろ。
ここに集まった、誰かのカードをな。
一枚なのか、それとも数十枚なのかはわからんが」
妖夢 「やはりそう思いますか。
この最後の文に〝汝らの剣〟とあるからには、やはり複数のカードを狙っているのではないでしょうか?」
魔理沙「いや、断定はできないな。
あくまで〝汝らの剣〟であって、〝汝らの剣達〟じゃない。
汝ら、つまりわたし達の中の一本の剣、というニュアンスは捨てきれない」
妖夢 「(ふーん……この人、普段はああだけど、その気になれば結構頭が回りそうだな。
案外こういうことには向いてるのかも……)
で、どうします?」
魔理沙「はあ? どうするも何も、決まってるじゃないか。
わざわざご丁寧にこんな紙束を送ってきたってことは、どうぞ捕まえてくださいっていってるようなもんだ。
お縄にして神社の天井に吊り下げてやるぜ」
妖夢 「まあ、捕まえた後の処遇は任せますけど……。
というか、この件についてはもう任せちゃってもいいですかね?」
魔理沙「おうとも! 今日のわたしは名探偵魔理沙だ。
シャーロキアンもホームジストもびっくりの逮捕劇を見せてやるぜ!」
妖夢 「どっちも同じじゃないですか……。
なんだか心配だなぁ」
魔理沙「そいつはいらん心配だな。
こう見えても得意なんだぜ? 創造的思考はさ」
妖夢 「はあ。創造的? なんですか?」
魔理沙「まあ聞けよ。わたしは少々昔に、とある数学の難問に注意を向けたことがある。
だがその問題はあまりにうまくいかなかったし、わたしの以前の研究との関連性にも気づかなかった。
わたしはがっかりして湖に出かけ、数日間ぼんやりと他のことを考えながら過ごした。
だが、ある朝、断崖の上を散歩していたとき、
不定3元2次方程式の算術的変換が非ユークリッド幾何学のそれと同じであるというアイデアが、
まさに簡潔な形で、かつ強い確信を持って、突然に現れたんだ」
妖夢 「なんか外人の日記を無理やり和訳したような文章ですね。てか長いですから」
魔理沙「つまりだな、創造的発想を生み出すためには型にはまった思考様式がから解放される必要がある。
そのためには散歩や休息などによって気分転換を図ることが有効ってことだ」
妖夢 「(主旨違うじゃないか……。
でも、この人がその気になってくれてよかった。おかげで、わたしはわたしの試合に集中できる)
まあ、ともかくこの件についてはお願いします。
あ、もちろんデュエル自体は手を抜いちゃ駄目ですからね」
魔理沙「わかってるって。だが、お前も油断するなよ。
ひょっとしたらこの《七色のレアハンター》って奴は、お前のデッキのカードを狙っているのかもしれない。
警戒だけはしといてくれ。
ひょっとしたら、この中にいる誰かが送り主かって可能性もあるわけだからな」
妖夢 「(そうか……もう堂々と紛れ込んでる可能性も)
わかりました。善処します」
魔理沙「地底の奴らの到着が遅いが、それもこの件と関係があるのか……。
とすると、手紙の送り主は奴らの誰かか?
……いや、まだ現時点じゃ疑ってもきりが無いな。
だが、今回ばかりは事が起きてからでも遅くはない。
殺人事件と違って強盗事件は、最終的に犯人さえ捕まえれば被害は回収できる可能性が高いからな。
見たとこ、この予告文も暗号くさいし……くくく、たまらないな。こんなにワクワクくるのは久々だぜ」
妖夢 「なんだか本当にこういうことに詳しいんですね……。
あなたがミステリーファンだとは知りませんでした」
魔理沙「おいおい、よしてくれよ。当然の事さ。な、ワトソン君♪」
妖夢 「(♪じゃないっていうのに…………まあいいか。ここは好きなだけ調子に乗らせておこう)
ちなみにですが、こんなことする奴に心当たりってあります?」
魔理沙「まあ、ここは幻想郷だからなぁ。候補になりそうな変人はそこらじゅうに湧いてるが。
ああ、一応言っとくが、七色だからってアリスは違うぞ。今日も行きがけに誘ってきたんだけどな」
妖夢 「おお、そうだったんですか。で、来られるんですか?」
魔理沙「体調がよくなったら後で行ってやる、だとさ。まあそれも難しそうだがな。
生理不順後期でゾンビみたいになってたし」
妖夢 「ふむ、まだ続いてるんですか。大変ですね。
あ、でももう下ネタは無しでお願いしますよ」
魔理沙「他を言えば……誰だろうな。
犯人からしたら、大会参加者を語って堂々と会場にいられる方が都合はいいはずだが。
やはり手口を見ない限りはどうとも言えないな。
他に参加者以外で怪しいのと言えば……紫あたりだろうか」
妖夢 「(やっぱりこの人もそう思うか……)
わたしも同感です。紫様はここしばらく姿を見せていませんし、何より前科がある。
真っ先に思いつくとしたら、あの方かと……」
魔理沙「あいつはまだ冬眠してるのか?」
妖夢 「おそらく。藍さんに聞いてみないと詳しくはわかりませんが、彼女は探してもそうそう捕まりませんし……」
魔理沙「相手が紫だとしたら、事件を防ぐのは難しいぞ。
境界を使えば、腕だけでも違う場所から出せる。現場を取り押さえるのは至難だ。
証拠を見つけて捕まえるしかない」
妖夢 「ですね……。しかし、まだ紫様が犯人だと決まったわけじゃありません。
あくまで、我々の勘がそう告げているだけですので」
魔理沙「地底の奴らにも怪しいのはいるかもしれないしな。
しばらくは事の成り行きを静観するしかない。
まあ、わたしに任せとけよ。こういうのには自信があるんだ。
というか、いっぺんやってみたかった」
妖夢 「あんまり浮かれすぎないようにお願いしますね」
魔理沙「ああそれと……当然この件のことは、まだ誰にも言ってないだろうな?」
妖夢 「はい。この手紙について知ってるのは、わたし達を除けば幽々子様だけです」
魔理沙「今後もまだ誰にも言わないでいてくれ。
公表するのは、早くても事件が発生してからにしよう」
妖夢 「わかりました」
魔理沙「いや~俄然楽しくなってきたぜ。まさかこんなもん送りつける輩がいるとは。
前から言いたかったんだ、『謎は全て解けた!』」
妖夢 「(やはりというか、この人も幽々子様と同じ人種だったか……)
まあ、まださっぱり解けてませんけどね…………ん?」
魔理沙「向こうが騒がしいな。それにこの妖気の質……」
妖夢 「……ええ。おいでなされたようですね」
*
さとり「……おまたせしました。地底の精鋭五名、ただ今到着しました」
こいし「はろろーん♪ 霊夢~、元気してたぁ?」
霊夢 「げっ、さとりにこいしじゃない。それに……」
勇儀 「ん~、何百年ぶりの地上かねぇ。相変わらずシケた空気してるわ」
白蓮 「あら、魔界のすす汚れた大気よりはマシですわ。
師走が近いおかげで、ほどよく空気が張っていますし。胸が透く想いがします」
ぬえ 「わたしは地上の方が好きだな~。地底には人間がいないからつまんないもん。
妖怪なんか驚かしたって意味無いしー」
魔理沙「……お前らっ!? 誰をつれてくるかと思ったら……」
早苗 「白蓮さんに……ぬえさん!? どうして、あなた方が……」
勇儀 「よお、また会ったね! 元気そうで何よりだ、我が盟友!」
妖夢 「この前の鬼さん……と、後ろに居られる方々は?」
白蓮 「はじめまして。あなたが魂魄妖夢さんね? 一輪やさとりさんから伺っていますよ。
お話の通り、小さくてかわいらしいのね」
妖夢 「や、やだ。かわいいだなんて……そんな」
幽々子「ちょっとちょっとー。勝手に人のペット相手にフラグ立てないでくれる?」
白蓮 「いえいえ、本心から思っただけですわ。決して他意などございません」
幽々子「まったくやめてほしいのよね~、そういうの。
だいたい、見ない顔だけどあなた誰かしら?」
白蓮 「あら、わたくしとしたことが。申し遅れましたわ。
わたくし命蓮寺の住職をしております、聖と申します」
妖夢 「おお、なんと物腰の柔らかい……。
あなたが聖白蓮さんでしたか。わたしもお話は聞き及んでおります。
本当に、聖人君子のようなお方なのですね。うちの姫とは大違いです」
幽々子「あらぁ妖夢、久々にソウルスティールかまされたいみたいね。いいのよ、わたしは別に」
白蓮 「わたくしは聖人君子などではありません。
わたくしは世に迷える妖怪達のために、自分の為すべき事を為しているに過ぎません。
結果として皆に敬われていますが、それは皆が本来持ち得る清い精神に支えられてのことです。
もし今のあなたの心に澱みがくすんでいたとしたら、それを拭い去る一助になるかもしれません。
わたくし達の命蓮寺は妖怪であるなら、どなたに対しても広く門戸を開いていますのよ」
諏訪子「相変わらずやってるわね、白蓮てば。ああいうのを新興宗教っていうんでしょ?
心のスキマ、お埋めしますってヤツ」
早苗 「ええ。外の世界じゃ一番ボロい商売と言われています。
なにせ運営の一切に税金がかかりませんから」
幽香 「ねえ。というか、ここにわたしでも見たこと無い花がいるんだけど、誰か知らない?」
衣玖 「花ですか? わたしにはただの木片に見えるんですけど……」
パチェ「このポケモンUMAの一体じゃなかったかしら」
霊夢 「……てかこれって、ただのUFOじゃないの?」
こいし「あれれ?
ぬえちゃん、肩に何かついてるよ。とってあげるね~」
ぬえ 「えっ? ああ、正体不明の種がついたままだったわ」
幽香 「あら。花がガキになったわ。どういうことかしら」
衣玖 「確かにさっきまで宙に浮いた木片だったのに……不思議だわ」
パチェ「UMAって進化するのね……」
魔理沙「するわけないだろ」
霊夢 「というか、何であんたらが地底組なのよ? 命蓮寺があるのは地上じゃないの」
ぬえ 「こう見えて、わたしはずっと地底に住んでたのよ。上に出てきたのは最近。
だから、気持ち地底寄りなの」
霊夢 「気持ちって……」
白蓮 「わたしも本来ならば地上に与されるべきなのでしょうが、同胞であるぬえが参加するということで、
地底チームの方に力添えさせていただくことになりました。
お手柔らかに、よろしくお願いしますね」
諏訪子「ふーん、そいつが出るからあんたもってこと?
それだけでわざわざ大会に参加するっての?」
白蓮 「あら、さすが諏訪子さん。鋭いですね。
もちろん、ただ慈善だけというわけではありません。
わたくしにはわたくしなりの目的があります。
なんでも此度の大会は、幻想郷中に放送されるとか。
ですのでこの大会で我々が活躍し、これを機により広く命蓮寺の名が知れ渡れば。そう思った次第です」
早苗 「(要は布教活動……ますます宗教してるわ)」
にとり「ふぃ~。ただいま戻りましたぁ~」
文 「遅すぎよ! 時間ぎりぎりじゃない。
迎えも満足に出来ないの? この河童は」
さとり「遅れて申し訳ありません。地上に戻るなんて何百年ぶりですから、道がわからなくて。
迷ったおかげで時間がかかってしまいました」
文 「いやいや~、なんてことないですよう。無事にここまで辿り着けただけで何よりです~♪
おら、にとり。わざわざ地底から来ていただいたのに、お茶も出せないのあんたは。
さっさと五人分淹れてきたらどうなの」
にとり「(うう、あからさまに態度が違う……)」
勇儀 「おお、天狗じゃん。地上ではよくやってるかい?」
文 「(……げっ!? お、鬼……!)」
文 「……へえへえ。ご挨拶が遅れましてすいやせんでした。
勇儀さんら鬼の方々がいない後も、何事も万事変わり無くさせていただいてます」
勇儀 「あれ? わたしお前と会ったことあるっけ?」
文 「へえ。以前この人間達に調査をさせていた際に。
本日はごゆるりとなさってくだせぇまし」
勇儀 「相変わらず調子のいいこった。今日は大会の進行らしいけど、せいぜい恙無くやってくれよ」
文 「へえへえ。そりゃもちろんでして。へへへへ」
妖夢 「(キャラ変わってるなぁ……。天狗も大変なんだな)」
幽々子「妖夢、よく見ておきなさい。あれが格差社会よ」
妖夢 「いや……まあ、間違ってはいないんでしょうが」
幽々子「音無し河の水は深い、なんていうものね。ふふふ……」
妖夢 「(意味がわからん……)」
文 「…………ちょっとにとりっ、なんで鬼なんか連れてくるのよ。
おかげで東方地霊殿で封印したかったわたしのキャラが思わず出ちゃったじゃないのっ」
にとり「し、仕方ないじゃないですかぁ。あの人も大会参加者だっていうんですから。
ここまで来るのだって、絡まれたり弄られたりで大変でしたよ……」
勇儀 「なあ天狗さぁ。遅れたのはそいつのせいだから、後でちゃんと言っておきなよ。
迎えに来た案内役が、帰り道わかりませんとか言うもんだからさぁ」
文 「へえへえ。ご忠告に預かりやす」
にとり「まったくありがたいことで。へへえ」
霊夢 「……気色悪い真似してないで、とっとと進行始めたら? もう全員揃ったんでしょ」
パチェ「そうね。やるなら早くしてほしいわ。とっとと麻雀したいし」
魔理沙「お前、何でこんな面倒な事引き受けたのかと思ってたが、やっぱりそれが目当てだったのか」
パチェ「今日はここにいる奴全員の身ぐるみ剥いでやるわ」
文 「確かに、これで地上チーム地底チームどちらも五名、全員揃ったようですね。
よーしでは始めますよ。にとり、カメラの用意を!」
にとり「は、はい~」
文 「そして解説のお二方は、先にあちらの実況席に座ってお待ちください」
パチェ「……ねえ、この椅子なんかお尻が痛いんだけど」
幽々子「痛いんじゃない? パッと見賽銭箱だもの。この実況席」
霊夢 「うちの神社で罰当たりなことするな!」
文 『……エヘン、エヘン。あー……テステス。
どうやら、機器の具合は良好のようですね』
文 『参加者のみなさーん! 聞こえてますでしょうかー。聞こえてますよねー?
聞こえているものとして始めまーす。
これより開会式をさせていただきますので、参加者の皆さんは境内の中央にお集まりくださーい!』
幽香 「マイク入れたら大声出さなくてもいいのよ。早くも舞い上がってるわね、あの天狗」
衣玖 「まあまあ、いいではありませんか。大会といえば、宴も同じですし」
こいし「お姉ちゃん、わたし達も行こう~」
さとり「そうね」
白蓮 「この大会でわたし達が勝利すれば、命蓮寺の名声もより幻想郷に広がることでしょう。
ぬえ、頑張りましょうね」
ぬえ 「わたしは有名にはなりたくないんだけどなー。
正体不明じゃなくなるじゃん」
早苗 「諏訪子様ー、応援してますからね。がんばってくださ~い!
ファイトー! いっぱーい!」
諏訪子「一発ね。んじゃまあ行ってくるよ」
勇儀 「ん~。腕が鳴るよ。
久々に本気ってやつを出してやろうかな」
妖夢 「(…………)」
妖夢 「(……今、ここに大会の参加者が集った)」
妖夢 「(この中に、あの手紙を置いた犯人がいるのか、あるいは……)」
魔理沙「さあ、いよいよだな。
悲願の鍋は目前だ。勝ちに行こうぜ」
妖夢 「ええ、もちろんです。わたし達も参じましょう」
妖夢 「(そうだ……全ては、この時のための一週間。
今こそ、持てる力を出し切し、幽々子様の恩意に報いる時……)」
妖夢 「(不安なんか……覚えてる場合じゃない!)」
・・・・・・To be continued
……おっと失礼。
いよいよ次から大会ですか。
今回も純粋に楽しませていただきます!
長ければ長いほど白熱してるわけですからカマイマセンヨ。さっさとワンキルするのもインパクト大ですが、以前に自重するーみたいなことを書いてた気がしますね。
しかし、聖白蓮と鵺が出るとは……。
まさか、星メンバーとは…
誤字報告です。>>あら、さすが諏訪湖さん。鋭いですね。
諏訪湖 → 諏訪子
なんとなく、進化する人類とマスクドチョッパーなどを併用した一撃インパクトデッキなど超人っぽいような……
地霊殿に出てくる妖怪だけではこの地上チームのメンツには対抗できそうにないので、
星の二人を呼んできましたw
ぬえは設定上最近まで地底に暮らしてたのでアリかな~と。
白蓮は一応一輪の時のフラグもあったので、なんとかして出すつもりでした。
誤字も直させていただきました。ありがとうございます。