「やっぱりこたつはいいわねぇ~♪」
炬燵に入りながら蜜柑を食べる。
寒いときといったらやっぱりこれだ。
「ね、妖夢?」
正面に座る妖夢に問いかけるが、返事は無かった。
「・・・妖夢?」
妖夢の目は虚ろで、ぼーっとしている。
これはまずい。
「ちょっと、大丈夫?」
「え・・・ああ、大丈夫・・・です」
声を大きくして聞いてみると、ようやく返事が返って来た。
これは明らかに大丈夫ではない。
「妖夢、おでこ触らせてみなさい」
「だいじょうぶですってば」
生真面目な彼女の事だから、絶対そういうと思った。
「いいから触らせなさい」
「・・・・・はい」
強く言い過ぎてしまった気がするが、これくらいでないと妖夢は触らせようとしないだろう。
「最初からそうすれば良かったのに~」
手のひらで妖夢の額を触ってみる。
「あっ・・・」
熱い。明らかにいつもの妖夢の体温を上回っている。
そしてこの時期だ。鼻水は出ていないが、恐らく風邪か何かだろう。
しかし午前中はこんな状態ではなかった。
妖夢のことだ、熱があったが、我慢していたのかもしれない。
それで悪化してしまったのだと考えられる。
「妖夢!すごい熱じゃない!なんで言わなかったの?」
「・・・・・」
妖夢は口を開こうとしない。
頬は赤く、呼吸は乱れている。
「・・・とりあえずあなたの部屋に行きましょう」
「しかし、まだ仕事が・・・」
「いいの、今のあなたは休まなきゃだめ」
ひとまず、妖夢をおぶって妖夢の部屋へ向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「え~っと、このあたりかしらね~」
妖夢を布団に入れ、寝付くのを確認してから、私は書庫へ向かった。
ある本を探しているのだが、なかなか見つからない。
「あ、これかしら?」
手に取った本には、「魂魄流料理本」と書かれていた。これが先ほどから探していた本だ。
字の書き方から、書したのは妖忌だと分かる。というより、本の裏に大きく名前が書いてあった。
取り敢えずページをめくり、目次を見てみる。
「魂魄流目次・・・なんでも魂魄流ってつければいいってもんじゃないわよ・・・」
上から、チーズケーキ、アップルパイ、タルトなど作り方の乗っているページが書いてある。
あとで読もうかしら。なんて思ったが、今は探している料理がある。
「あった」
それは、目次の一番下にあった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
そ~っと襖をあけ、布団で眠る妖夢に近づき、枕元に座る。
座る際、小声で「よっこいしょ」なんて言ってしまい、少し恥ずかしくなってしまった。
妖夢の寝顔を見てみると、安らかな顔で眠っていた。
呼吸も安定したものになっているので、おそらく明日にでも治るだろう。
「ん・・・あれ、ゆゆこさま・・・?」
「あら、起こしちゃった?ごめんなさいね」
「あの・・・すみません」
「なにが?」
「幽々子様に迷惑を・・・んむ!」
妖夢の口を唇で塞ぐ。
そのまま押し倒してしまおうと思ったがやめた。
「ゆゆこさまっいきなり何をっ!?」
「あなたは何も気にしないでいいの。今は体を休ませないと」
「・・・分かりました」
「っと、そういえば、はい妖夢」
体の影になって、妖夢からは見えないように隠しておいた、お椀を妖夢に渡す。
「ん・・・これは・・・お粥ですか?」
「そう、本を見て作ってみたんだけど・・・」
さっき探していた料理とは、お粥の事。
彼女の今くらいの体力があれば食べられるはず。
きゅるるるる
妖夢の腹の虫が鳴いた。
「あはは、お腹がなっちゃいました」
「ふふ、かわいい音。早く食べないと冷めちゃうわよ?」
「そうですね。では・・・頂きます」
「あ、ちょっと待って」
食べ始めようとする妖夢を静止する。
「何ですか?」
「私が食べさせてあげる」
私がそう言うと、妖夢は一瞬ぽかんとしたが、そのあと、顔を秋の楓の様に紅くしながら、
「・・・おねがいします」
「へ?」
正直「いやです」と断られるかと思っていたので素っ頓狂な声を出してしまった。
「本当に?」
「・・・はい」
こくり、と頷いた。
「じゃあ、お椀かして」
妖夢からお椀を渡してもらい、匙で掬う。
それをふうふうと息を吹きかけて冷まし、妖夢の口へ運ぶ。
お粥を少しづつ、口に入れてゆく。食欲もあるようだし、まずは一安心。
粥を取って口に入れるのを数回繰り返すと、お椀の中のお粥は無くなっていた。
「どうだった?」
「すごくおいしかったです。ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさま」
「いや~、ゆゆこさまって料理できたんですね~」
「ちょっと、それじゃあ私が全く料理できないみたいじゃないの~」
指で妖夢のほっぺたをつまんでむに~っとやさしく伸ばしてみる。
妖夢が「やめてくでゃひゃいよ~」と言いながら笑っているを見て、心の中でほっと胸を撫で下ろした。
~~~~~~~~~~~~~~~
「妖夢、服脱いで」
「え・・・・?」
「体を拭いてあげるのよ」
じゃばじゃばとたらいに入れたお湯で手ぬぐいを濡らす。
お風呂に入れない妖夢を拭いてあげようとしているのだが・・・・・
「じ、自分で拭きますよ」
「だ~め、あなたは病人なのよ?」
「でも・・・」
「嫌なら無理やりにでもやっちゃうわよ~?」
「わ、分かりましたよ~」
+ + + + +
「ん~ん~♪」
「・・・・」
体をタオルで拭きながら鼻歌なんて歌ってみる。
妖夢は顔を真っ赤にして何もしゃべらない。恥ずかしいのだろう。
「ん・・・」
拭くところが背中から腋の下あたりになったころ、妖夢が声を漏らした。
「どうしたの?」
「あの・・・・くすぐったいです・・・ひゃっ!」
なるほど、くすぐったかったのか。
よしもっとくすぐってやろう・・・と思ったが、止めておいた。
妖夢の体調を忘れてはいけない。
「・・・上半身は終わったわね・・・次は下半しn」「自分でやります」
あら残念。
~~~~~~~~~~~~~~~
ご飯も食べた。体も拭いた。寝巻きも着せた。
あとはもう妖夢を寝かせるだけだ。
「妖夢、調子は?」
「おかげさまで、昼間よりは良くなりましたね。明日にはきっと治りますよ」
そう言って妖夢は胸をぽん、と叩く。
「まぁ頼もしい。でも無理はダメよ?」
「気をつけます」
「じゃあもう寝ましょうか」
「え、ここでですか?」
「そう、添い寝してあげる」
体調が悪い時の夜は何故か孤独感が強くなる。
子供が風邪を引いたときは添い寝してあげると良い、と何かの本に書いてあった。
「私は子供じゃないです」
「私からしたらまだまだ子供よ~」
「ほらほら、もう寝ましょう」
「もう布団に中に入ってるし・・・」
+ + + + + +
「・・・・あの~幽々子様?」
「なぁに」
「抱きつかないでいただきたいのですが・・・」
「い~や~よ、妖夢は体を暖めないとだめだもの」
「でも、もしうつしてしまったら・・・・」
「だいじょうぶよ~」
~~~~~~~~~~~~~~~
すうすうと寝息が聞こえる。妖夢はもう寝付いたのだろう。
呼吸は荒くは無い。熱はまだ少しあるものの、苦しそうな表情もしていない。
飲んだ薬が効いたのだろう。
「妖夢」
小さな声で声を掛けてみる。
返事が返ってくることは期待していない。ただ声に出したかっただけ。
ふと妖夢の顔に手のひらを当ててみる。熱は平熱の少し上あたりのまま。
私の手が冷えた手が気持ちがいいのか、目を細めている。
次に、髪に触れてみる。妖夢の銀色の髪は、さらさらして手触りが良い。
こうして頭を撫でていると妖夢の母親になったような気分だ。いつもそのつもりだが。
妖夢の胸に手をそっとあててみる。
トクン、トクン、と規則正しいリズムで動いている。
「あら?」
暫く胸に手をあてていると、なにかに手を握られた。
妖夢の手だった。
おそらく寝ぼけて握ったのだろう。
なぜか、動かないはずの私の心臓がどきん、と動いた気がした。
「・・・ん・・・はぁ」
誰も見ていないことを良いことに大きな欠伸をしてしまった。
いま何時だろう。そろそろ眠くなってきた。
「さて、もうそろそろ私も寝ようかしら」
妖夢の顔に顔を近づけて耳元で囁いてみる。
「早く良くなってね」
妖夢の頬にそっとくちづけをしてみる。
良くなるようにおまじない。
明日になったら妖夢の元気な顔が見られるだろう。
「おやすみなさい、妖夢」
炬燵に入りながら蜜柑を食べる。
寒いときといったらやっぱりこれだ。
「ね、妖夢?」
正面に座る妖夢に問いかけるが、返事は無かった。
「・・・妖夢?」
妖夢の目は虚ろで、ぼーっとしている。
これはまずい。
「ちょっと、大丈夫?」
「え・・・ああ、大丈夫・・・です」
声を大きくして聞いてみると、ようやく返事が返って来た。
これは明らかに大丈夫ではない。
「妖夢、おでこ触らせてみなさい」
「だいじょうぶですってば」
生真面目な彼女の事だから、絶対そういうと思った。
「いいから触らせなさい」
「・・・・・はい」
強く言い過ぎてしまった気がするが、これくらいでないと妖夢は触らせようとしないだろう。
「最初からそうすれば良かったのに~」
手のひらで妖夢の額を触ってみる。
「あっ・・・」
熱い。明らかにいつもの妖夢の体温を上回っている。
そしてこの時期だ。鼻水は出ていないが、恐らく風邪か何かだろう。
しかし午前中はこんな状態ではなかった。
妖夢のことだ、熱があったが、我慢していたのかもしれない。
それで悪化してしまったのだと考えられる。
「妖夢!すごい熱じゃない!なんで言わなかったの?」
「・・・・・」
妖夢は口を開こうとしない。
頬は赤く、呼吸は乱れている。
「・・・とりあえずあなたの部屋に行きましょう」
「しかし、まだ仕事が・・・」
「いいの、今のあなたは休まなきゃだめ」
ひとまず、妖夢をおぶって妖夢の部屋へ向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「え~っと、このあたりかしらね~」
妖夢を布団に入れ、寝付くのを確認してから、私は書庫へ向かった。
ある本を探しているのだが、なかなか見つからない。
「あ、これかしら?」
手に取った本には、「魂魄流料理本」と書かれていた。これが先ほどから探していた本だ。
字の書き方から、書したのは妖忌だと分かる。というより、本の裏に大きく名前が書いてあった。
取り敢えずページをめくり、目次を見てみる。
「魂魄流目次・・・なんでも魂魄流ってつければいいってもんじゃないわよ・・・」
上から、チーズケーキ、アップルパイ、タルトなど作り方の乗っているページが書いてある。
あとで読もうかしら。なんて思ったが、今は探している料理がある。
「あった」
それは、目次の一番下にあった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
そ~っと襖をあけ、布団で眠る妖夢に近づき、枕元に座る。
座る際、小声で「よっこいしょ」なんて言ってしまい、少し恥ずかしくなってしまった。
妖夢の寝顔を見てみると、安らかな顔で眠っていた。
呼吸も安定したものになっているので、おそらく明日にでも治るだろう。
「ん・・・あれ、ゆゆこさま・・・?」
「あら、起こしちゃった?ごめんなさいね」
「あの・・・すみません」
「なにが?」
「幽々子様に迷惑を・・・んむ!」
妖夢の口を唇で塞ぐ。
そのまま押し倒してしまおうと思ったがやめた。
「ゆゆこさまっいきなり何をっ!?」
「あなたは何も気にしないでいいの。今は体を休ませないと」
「・・・分かりました」
「っと、そういえば、はい妖夢」
体の影になって、妖夢からは見えないように隠しておいた、お椀を妖夢に渡す。
「ん・・・これは・・・お粥ですか?」
「そう、本を見て作ってみたんだけど・・・」
さっき探していた料理とは、お粥の事。
彼女の今くらいの体力があれば食べられるはず。
きゅるるるる
妖夢の腹の虫が鳴いた。
「あはは、お腹がなっちゃいました」
「ふふ、かわいい音。早く食べないと冷めちゃうわよ?」
「そうですね。では・・・頂きます」
「あ、ちょっと待って」
食べ始めようとする妖夢を静止する。
「何ですか?」
「私が食べさせてあげる」
私がそう言うと、妖夢は一瞬ぽかんとしたが、そのあと、顔を秋の楓の様に紅くしながら、
「・・・おねがいします」
「へ?」
正直「いやです」と断られるかと思っていたので素っ頓狂な声を出してしまった。
「本当に?」
「・・・はい」
こくり、と頷いた。
「じゃあ、お椀かして」
妖夢からお椀を渡してもらい、匙で掬う。
それをふうふうと息を吹きかけて冷まし、妖夢の口へ運ぶ。
お粥を少しづつ、口に入れてゆく。食欲もあるようだし、まずは一安心。
粥を取って口に入れるのを数回繰り返すと、お椀の中のお粥は無くなっていた。
「どうだった?」
「すごくおいしかったです。ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさま」
「いや~、ゆゆこさまって料理できたんですね~」
「ちょっと、それじゃあ私が全く料理できないみたいじゃないの~」
指で妖夢のほっぺたをつまんでむに~っとやさしく伸ばしてみる。
妖夢が「やめてくでゃひゃいよ~」と言いながら笑っているを見て、心の中でほっと胸を撫で下ろした。
~~~~~~~~~~~~~~~
「妖夢、服脱いで」
「え・・・・?」
「体を拭いてあげるのよ」
じゃばじゃばとたらいに入れたお湯で手ぬぐいを濡らす。
お風呂に入れない妖夢を拭いてあげようとしているのだが・・・・・
「じ、自分で拭きますよ」
「だ~め、あなたは病人なのよ?」
「でも・・・」
「嫌なら無理やりにでもやっちゃうわよ~?」
「わ、分かりましたよ~」
+ + + + +
「ん~ん~♪」
「・・・・」
体をタオルで拭きながら鼻歌なんて歌ってみる。
妖夢は顔を真っ赤にして何もしゃべらない。恥ずかしいのだろう。
「ん・・・」
拭くところが背中から腋の下あたりになったころ、妖夢が声を漏らした。
「どうしたの?」
「あの・・・・くすぐったいです・・・ひゃっ!」
なるほど、くすぐったかったのか。
よしもっとくすぐってやろう・・・と思ったが、止めておいた。
妖夢の体調を忘れてはいけない。
「・・・上半身は終わったわね・・・次は下半しn」「自分でやります」
あら残念。
~~~~~~~~~~~~~~~
ご飯も食べた。体も拭いた。寝巻きも着せた。
あとはもう妖夢を寝かせるだけだ。
「妖夢、調子は?」
「おかげさまで、昼間よりは良くなりましたね。明日にはきっと治りますよ」
そう言って妖夢は胸をぽん、と叩く。
「まぁ頼もしい。でも無理はダメよ?」
「気をつけます」
「じゃあもう寝ましょうか」
「え、ここでですか?」
「そう、添い寝してあげる」
体調が悪い時の夜は何故か孤独感が強くなる。
子供が風邪を引いたときは添い寝してあげると良い、と何かの本に書いてあった。
「私は子供じゃないです」
「私からしたらまだまだ子供よ~」
「ほらほら、もう寝ましょう」
「もう布団に中に入ってるし・・・」
+ + + + + +
「・・・・あの~幽々子様?」
「なぁに」
「抱きつかないでいただきたいのですが・・・」
「い~や~よ、妖夢は体を暖めないとだめだもの」
「でも、もしうつしてしまったら・・・・」
「だいじょうぶよ~」
~~~~~~~~~~~~~~~
すうすうと寝息が聞こえる。妖夢はもう寝付いたのだろう。
呼吸は荒くは無い。熱はまだ少しあるものの、苦しそうな表情もしていない。
飲んだ薬が効いたのだろう。
「妖夢」
小さな声で声を掛けてみる。
返事が返ってくることは期待していない。ただ声に出したかっただけ。
ふと妖夢の顔に手のひらを当ててみる。熱は平熱の少し上あたりのまま。
私の手が冷えた手が気持ちがいいのか、目を細めている。
次に、髪に触れてみる。妖夢の銀色の髪は、さらさらして手触りが良い。
こうして頭を撫でていると妖夢の母親になったような気分だ。いつもそのつもりだが。
妖夢の胸に手をそっとあててみる。
トクン、トクン、と規則正しいリズムで動いている。
「あら?」
暫く胸に手をあてていると、なにかに手を握られた。
妖夢の手だった。
おそらく寝ぼけて握ったのだろう。
なぜか、動かないはずの私の心臓がどきん、と動いた気がした。
「・・・ん・・・はぁ」
誰も見ていないことを良いことに大きな欠伸をしてしまった。
いま何時だろう。そろそろ眠くなってきた。
「さて、もうそろそろ私も寝ようかしら」
妖夢の顔に顔を近づけて耳元で囁いてみる。
「早く良くなってね」
妖夢の頬にそっとくちづけをしてみる。
良くなるようにおまじない。
明日になったら妖夢の元気な顔が見られるだろう。
「おやすみなさい、妖夢」
ほのぼのしてて良かったです。
でも親子っぽいゆゆみょんもいいですねえ。
お大事になさってくださいねー
怖いですよ~。忙しい時期ですから。
>>2.名前が無い程度の能力 様
血糖値上がっちゃいましたか・・・ありがとうございますッ!!
>>3.名前が無い程度の能力 様
妖「そうじゃろ!?、そうじゃろ!?」
>>4.名前が無い程度の能力 様
幽「私だって死ぬときは死ぬわよ~。妖夢~!おかわり~」
>>5.名前が無い程度の能力 様
ゆゆ様は妖夢がかわいすぎてどうしようもないんですよ。きっと。
風邪のほうは良くなりました。ありがとうございます。
読んでくださった皆さん、ありがとうございましたッ!!
最近、この二人が好きになってきてたけど、これをよんでもっと好きになりました!
ありがとうございました。